JPH05302987A - 新エネルギーを利用した電池 - Google Patents

新エネルギーを利用した電池

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JPH05302987A
JPH05302987A JP3147256A JP14725691A JPH05302987A JP H05302987 A JPH05302987 A JP H05302987A JP 3147256 A JP3147256 A JP 3147256A JP 14725691 A JP14725691 A JP 14725691A JP H05302987 A JPH05302987 A JP H05302987A
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JP
Japan
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anode
deuterium
cathode
heat
battery
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JP3147256A
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English (en)
Inventor
Hideo Ikegami
英雄 池上
Masao Kawai
正夫 川合
Hiroshige Fukatsu
裕成 深津
Shinichi Takagi
真一 高木
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Aisin AW Co Ltd
Original Assignee
Aisin AW Co Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/10Nuclear fusion reactors

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  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)
  • Hybrid Cells (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エネルギー効率が良く、重水D2 Oの消耗が
無く、重水素ガスと酸素ガスを重水へ変換する装置を必
要としない、しかも熱伝導能力が高くしかも熱の取り出
しの容易なP/F効果を利用した電池を提供すること。 【構成】 電池は、少なくとも断熱材容壁からなる密閉
構造の框体となっており、その框体の壁の一部である熱
導体又はその框体の内部にある熱導体板に、板状もしく
は膜状の重水素吸蔵金属の陰極を熱的に結合させ、その
熱導体板は熱を電気エネルギーに変換するための熱電変
換素子が結合されている。框体内には、陰極に対向して
板状の陽極が配置さており、陰極と陽極の間には、重水
を主体とした電解液が、上部空間を残して収容されてい
る。さらに、框体内の残りの空間には重水素ガスが加圧
充填されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発生した熱を電気エネ
ルギーに変換する電池に関する。
【0002】
【従来の技術】1989年3月、ユタ大学で、ポンズ教
授とフライシュマン教授らにより常温において核融合現
象が観察されることが発表された。その実験は次のよう
なものである。重水酸化リチウムLiODを含んだ重水
2 Oにパラジウム等の水素吸蔵性金属材料を陰極と
し、白金を陽極として直流電流を供給して電気分解を行
なうものである。
【0003】かれらの実験によると、投与したエネルギ
ー以上のエネルギーが熱エネルギーのかたちで発生して
いる。その後、多くの科学者によりそのような過剰熱の
発生が確認されており、その過剰熱の発生は、現在では
ポンズ−フライシュマン効果(以下、P/F効果と記述
する)として広く知られている。そして、従来、P/F
効果を利用した電池は存在していなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、P/F効果装置
においては、電解質がアルカリ性のものと、酸性のもの
があった。アルカリ性電解質を用いるP/F効果装置で
は、陽極で式(1)に示すような酸素O2 を発生する反
応が起こっている。
【0005】
【化1】
【0006】ここでOD- 及びe- は重水酸化イオン、
および電子を各々あらわす。この反応が起こるために
は、最低1. 7 V(RHE基準)程度の電位を必要と
し、このようにP/F効果装置に入力するエネルギーが
多大なため、その装置の出力/入力エネルギー比を低下
させる主要因となっていた。また、重水D2 O電解液に
含まれる重水酸化リチウムLiOD等の電解質は低電気
伝導性であるため電気分解をおこなうと溶液の電気抵抗
によるジュール熱が発生し、溶液及び電解槽が加熱され
ることになる。このような発熱も入力エネルギーを余計
な熱エネルギーにするだけで、この装置のエネルギー効
率を低下させる要因のひとつであった。
【0007】また、酸性電解質を用いたP/F効果装置
においては、陽極では、重水D2 Oが次式(7)で示さ
れるように反応し酸素を発生していた。
【0008】
【化2】
【0009】この酸性溶解液における酸素O2 発生反応
はアルカリ性電解液での同反応(式(1))を行なうた
めの電位すなわち、最低1. 7 V(RHE基準)程度の
電位、よりも更に高電位を必要とすることが知られてい
る。したがって、アルカリ性電解液を用いたP/F効果
装置と同様に、その装置の出力/入力エネルギー比を低
下させる主要因となっていた。
【0010】さらに、従来、電解液がアルカリ性、酸性
何れの場合でも、陰極で発生する重水素ガスD2 と陽極
で発生する酸素ガスO2 を装置外へ排出するP/F効果
装置においては、重水D2 Oが消耗されるので装置内の
液量の減少を招き、一定時間毎に重水D2 Oの補充を必
要としていた。またさらに、密閉型のP/F効果装置、
すなわち重水素ガスD2 と酸素O2 ガスを再び装置内で
重水D2 Oに変換する型の装置においては、その変換に
白金触媒を用いた変換装置、及びその温度を200℃程
度に保つ温度制御装置が必要である等の問題点があっ
た。また、発熱体からの熱の取り出しが十分でないと、
発熱体が加熱して溶解したり、電解液を加熱し沸騰させ
てしまう等の問題がある。しかしながら、発生した熱を
効率良く利用するためには、高い温度での熱を使用した
方が効率が良いことは一般に知られている。
【0011】そこで、本発明は上記問題点を解決する、
エネルギー効率の良く、重水D2 Oの消耗が無く、重水
素ガスD2 と酸素ガスO2 を重水へ変換する装置を必要
としない、しかも熱伝導能力が高く、熱の取り出しが容
易でP/F効果を効率良く利用した電池を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記した問題点を解決す
るために本発明は、少なくとも断熱材容壁からなる密閉
構造の框体となっており、その框体の一部である熱導体
板またはその框体の内部にある熱導体板に、水素吸蔵金
属の陰極が熱的に結合しており、その熱導体板の他面
に、熱を電気エネルギーに変換するための熱電変換素子
が結合され、前記框体内には、重水を主体とした電解液
が上部空間を残し、該陰極が浸るように収容され、框体
内の残りの空間には、加圧された重水素ガスが充填され
ており、重水素ガスが電極の反応点まで気体の状態で供
給される機能を持つ陽極が、前記陰極に対向して配置さ
れ、該陽極の少なくとも一部が重水素ガス中に露出し、
該陽極の他の部分が前記電解液に接するように構成され
ることを特徴とする新エネルギーを利用した電池とする
ものである。即ち、本発明の新しいエネルギーを利用し
た電池は、陰極で発生した多量の熱を該陰極と熱的に接
合させた熱導体板を介して、熱電変換素子に伝えること
により、過度に陰極及び電解液を加熱することなく、効
率良く熱電気変換を行なうものである。
【0013】また、本発明の新しいエネルギーを利用し
た電池は、電解質を含む重水中で、陽極と、水素吸蔵型
金属またはその合金から本質的になる陰極とに電圧を印
加してP/F効果反応を行なわせる形式のP/F効果装
置において、陽極に重水素ガスD2 を供給することによ
って、陽極で酸素を発生させる反応をおこなわせること
なく、式
【0014】
【化3】
【0015】で示す重水素ガスD2 を重水素イオンD+
とする反応を行なわせ、P/F効果により発生する熱を
利用した電池とするものである。該P/F効果の反応を
さらに説明すれば、本発明では、前記式(3)で示す重
水素ガスD2 を重水素イオンD+ とする反応を行なわせ
るためには、次の手段によって行なう。
【0016】すなわち、P/F効果装置を密閉型とし、
この中に重水素ガスD2 を高圧で充填することにより、
電解液への重水素ガスD2 のイオン化反応(式(3))
速度を速める。ところで、電解法によるP/F効果反応
ではパラジウム等の水素吸蔵性金属またはその合金を陰
極とし、その陰極中に重水素原子Dを高密度に充填しな
ければならない。その場合、本発明における電解液とし
て重水酸化リチウムLiOD等のアルカリ性重水溶液を
用いるP/F効果の陰極での反応機構は、次の式のよう
になる。
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】該式(4)により陰極表面に生じた吸着重
水素原子D(a)は、該式(6)で示されるように陰極
であるパラジウム内部へ吸収されるか(この状態をD
(Pd)と表す)、さらにまたは該式(5)で示される
ように、重水素ガスD2 となってパラジウム表面より遊
離する。式(3)の反応をおこなわせるためには、陽極
に十分な量の重水素ガスD2 を供給し、印加する電圧を
従来、水の電気分解に必要とされていた1.7V(RH
E基準)よりはるかに少ない電圧を印加して行なう。
【0021】式(3)の反応は、電気分解型の反応では
なく燃料電池型の反応であるため、通常、式(3)の反
応を行なわせてP/F効果を行なわせるために装置に印
加する電圧は約0.3V程度である。さらに詳細に説明
すれば、陽極で起こる反応、すなわち、式(2)に示さ
れる反応に必要な印加電圧は約0.05V程度であり、
また、陰極で起こる反応、すなわち、式(4)、式
(5)、式(6)に示される反応に必要な印加電圧は約
0.25V程度であるので、P/F効果装置全体に印加
される電圧はその和として通常約0.3V程度印加され
る。ただし、その際考慮されるべきことは、電解液の種
類によって異なるが、電解液にはそれぞれの電解液に固
有の電気抵抗Rを有するので、電解電流iと電気抵抗R
との積、iR分だけの電圧を増加させて印加する必要が
ある。
【0022】また、本発明において電解液としてD2
4,DCl等の酸性電解液を用いた場合には陰極では重
水D2 Oが式(4)のように放電する代わりに重水素イ
オンD+ が次式(7)のように放電する。
【0023】
【化7】
【0024】ここで、陰極表面に生じた吸着重水素原子
D(a)はアルカリ性電解液中と同様に式(5)に示さ
れるように重水素ガスD2 となって遊離するか、あるい
は式(7)で示されるよう原子状のままに陰極内部へ拡
散し、溶解する。本発明においては、陽極として重水素
ガスD2 のイオン化反応(式(3))に対して高活性を
有するガス拡散電極等を配置し、該極への重水素ガスD
2 の供給を充分に保障することにより電解液がアルカリ
性でも酸性でも陽極での反応を式(3)とすることがで
き、陰極への重水素原子D(a)の充填に要する過電圧
を大幅に減少させ、P/F効果装置への必要な入力エネ
ルギーを低くすることができる。
【0025】ここで、陽極および陰極における個別の反
応をまとめて装置全体としての反応という面からみると
従来型のP/F効果装置では電解液がアルカリ性では式
(4)、式(5)、式(6)、式(1)の総和として、
酸性では式(7)と式(2)の総和として、いずれの液
性でも
【0026】
【化8】
【0027】で示されるように重水D2 Oが電気分解さ
れて重水素ガスD2 と酸素ガスO2 が発生し、重水素D
の一部は重水素原子D(a)としてパラジウム内部へ溶
解吸収される。このとき従来型のP/F効果装置では陰
極へ充填される重水素原子D(a)は重水分子D2 Oか
ら供給されるので従来型のP/F効果装置では重水D2
Oの消耗が起きていた。
【0028】しかしながら、本発明のP/F効果を用い
た電池においては、アルカリ性電解液では陰極反応は従
来型のものと同様に式(4)、式(5)、式(6)で与
えられるが、陽極反応は式(3)で与えられ、陽極で生
じた重水素イオンD+ と陰極で生成した重水酸化物イオ
ンOD- とが反応して重水D2 Oに戻るため、全体とし
て起きるのは重水D2 Oの電気分解による消耗ではなく
重水素ガスD2 の陰極中への溶解、吸収による重水素ガ
スD2 の消耗のみである。
【0029】一方、酸性電解液でも同様に重水素ガスD
2 の陽極反応は式(3)のようになり、生成した重水素
イオンD+ が式(7)に示されるように陰極で放電して
再び重水素原子D(a)に戻るので、全体としては重水
2 O、あるいは電解質の消耗は起きず、陰極中への重
水素Dの溶解、吸収による重水素ガスD2 の消耗のみで
ある。
【0030】
【作用】本発明によれば、P/F効果反応により重水素
吸蔵金属からなる陰極に発生した大量の熱は、この陰極
と熱的に結合している熱導体板に伝達され、さらに熱は
この熱導体板と熱的に結合している熱電変換素子に伝達
される。この熱電変換素子は外側が冷却フィンに覆われ
ているため、熱導体板側と冷却フィン側との温度差が大
となるから、この温度差により電気エネルギーが発生す
る。この発生した電気エネルギーを熱電変換素子につな
いだ出力端子から取得する。
【0031】
【実施例1】図1は、P/F効果、すなわち新エネルギ
ーを利用した本発明の電池の実施例を示す。一面からな
る熱導体板4と、残りの面が全て断熱材でできた断熱材
容壁5とにより密封された框体が形成されている。その
熱導体板4の内側に重水素吸蔵金属からなる板状もしく
は膜状の陰極2が接合されて熱的に結合している。その
框体内には陰極2に対向してガス拡散電極からなる陽極
1が空間をおいて配置されている。 前記熱導体板4の
材料としては、耐水素、耐蝕性の材料が用いられ、ステ
ンレス、ハステロイ(商品名)、インコネル(商品名)
が例として挙げられる。
【0032】また、陽極の材料には、ガス拡散電極また
はパラジウム等があり、まずガス拡散電極は、通常、多
孔質の反応層とガス供給層がプレス成形されたものであ
り、反応層は親水性のカーボン粉末とポリテトラフルオ
ロエチレンとによって成形した多孔質成形体に白金粉末
を塗布することにより吸着して担持させたものである。
陽極の別の例としては、パラジウム等も利用することが
できる。
【0033】この框体内には前記陽極1および陰極2が
浸るように電解液3が収容されている。この電解液には
重水D2 O中にアルカリ性電解質として重水素化水酸化
リチウムLiOD、酸性電解質として重硫酸D2 SO4
または重塩酸DClの溶解されたものが用いられる。ま
た、この框体内の空間部には加圧された重水素ガスD 2
が導入されており、陽極の一部は重水素ガス中に突出し
ている。
【0034】陽極1および陰極2はP/F効果の発生に
必要な電流源である外部の電解電源9と接続されてい
る。また、前記熱導体板4の外側の大部分には熱電変換
素子6が接合されており、さらにその熱電変換素子6の
外側には冷却フィン7が接合されているので、熱電変換
素子6の表裏では温度差が多大なものとなって、この熱
が電気エネルギーに変換され出力端子より取り出され
る。
【0035】図2は熱電変換素子6の展開図を概念的に
示す。さいころ状のn型半導体とp型半導体が格子状に
互い違いに配置されている。それらの半導体の表側また
は裏側には2個の半導体を電気的に継なぐように短冊状
の電極板8が千鳥状に配置されている。このような素子
を高温側の熱導体板4と低温側の冷却フィン7に接合し
て熱的に結合させている。これらの電極板8の配置を直
列に連結することにより高電圧の電気出力を得ることが
できる。
【0036】また、一般的には、パラジウム等の水素吸
蔵型金属は、その体積の900〜1000倍程度の容積
の重水素ガスD2 をその内部に吸収できることが知られ
ており、この点を考慮して予め本発明の電池の初期重水
素圧を設定し、陰極への重水素充填後の最終重水素ガス
2 のガス圧が電解液の温度上昇による沸騰を防止する
に充分な圧力以下にならないようにしておけば本発明の
電池の運転中はこの初期圧が減少するだけで重水素ガス
2 の補充の必要はない。
【0037】一方、陽極での反応を酸素ガスO2 の発生
ではなく重水素ガスD2 のイオン化反応とする本発明の
電池は、陰極中への重水素Dの充填を効果的に達成する
上で、さらに次のような利点を有している。陰極上で生
成し、吸着された重水素原子D(a)が式(5)で示さ
れるように、重水素ガスD2 として遊離してゆくか、あ
るいは式(6)のように重水素原子D(a)として陰極
内部へ拡散溶解してゆくかは、式(5)の反応の速度と
式(6)の重水素Dの陰極内部への拡散溶解過程の速度
との相対的な関係によって決まる。陰極中へ重水素Dを
効果的に充填するためには、式(5)の反応が遅いこと
が望ましい。式(5)の反応を遅くするにはチオ尿素等
の界面活性物質を電解液中に加えれば良いことが知られ
ているが、従来型のP/F効果装置では陽極の電位が酸
素ガスO2 の発生電位(RHE基準で1. 7V 以上)に
あるため、これらの界面活性物質を加えても陽極で酸化
され分解する。しかしながら、本発明の電池では陽極の
電位は重水素ガスD2 のイオン化電位(RHE基準で0.
1V以下)にあるため上記界面活性物質の陽極での酸化
・分解は起こらない。
【0038】そのため、本発明の電池の運転を該界面活
性物質の共存下で行うと一定の投入電力に対して陰極へ
の重水素Dの充填をより効果的に行うことができ、装置
のより一層の効率化を実現することができる。
【0039】
【実施例2】図3および図4は、P/F効果装置から発
生する熱エネルギーを電気エネルギーとして取り出す電
池の別の実施例を示すものである。図3はその正面の断
面図、図4はその斜視図を切断して示す。実施例1では
熱導体板が1面のみであったが、この実施例は対向する
二面が熱導体板14となっている。この熱導体板14
と、残りの面が全て断熱材でできた断熱材容壁15とに
より密封された框体が形成されている。その熱導体板1
4の内側にパラジウム等の重水素吸蔵金属からなる板状
もしくは膜状の陰極12が接合されて熱的に結合してい
る。その框体内には陰極12に対向してガス拡散電極か
らなる陽極11が空間をおいて配置されている。陽極1
1の材料は、実施例1と同じものが使用される。
【0040】この框体内には前記陽極11および陰極1
2が浸るように電解液13が収容されている。また、こ
の框体内の上部空間には加圧された重水素ガスD2 が導
入され、陽極11の一部が空間に突出している。P/F
効果を安定に行なうために陽極11および陰極12に
は、電解電流制御装置22が接続されている。また、電
解液中には電解液の温度を測定するための温度センサ1
9が設置され、その温度情報が電解電流制御装置22内
のCPUに入力される。
【0041】この電解電流制御装置22には、さらに電
解電流を供給するためのスタータ電源21が接続されて
いる。また、前記熱導体板14の外側の大部分には熱電
変換素子16が接合されており、さらにその熱電変換素
子16の外側には冷却フィン17が接合されているの
で、熱電変換素子16の表裏では温度差が多大なものと
なって、この熱が電気エネルギーに変換され電極板18
に接続された出力端子20より、電気エネルギーとして
取り出される。さらに、このようにして取り出された電
気エネルギーの一部は電解電流にも供給されるようにな
っており、この場合スタータ電源21はオフされる。
【0042】図5のフローチャートおよび図10の電解
電流制御装置の回路図に基づいて本実施例における電解
電流制御装置22を用いた本発明の電池の電解電流制御
方法を説明する。スタータ電源21から電解電流を陽極
11および陰極12に流し続けていくと、P/F効果の
過剰熱により電解液13の温度が上昇してくる。予め、
スタータ電源21のオフ時の電解液の最適温度θOFF
設定しておき温度情報を電解電流制御装置22内のCP
Uにインプットしておき、一方、温度センサ19から得
られた温度θiが前記CPUに自動的にインプットされ
て両者が比較される。このとき、θi<θoffの場
合、スタータ電源21がオンされ、電解電流制御装置2
2内の抵抗値Rが最小にセットされる。
【0043】一方、θi>θoffである場合、スター
タ電源21をオフし、予め設定されている出力端子間の
電圧Vと、電圧計により測定された現実の出力端子間の
電圧Vi とが比較される。このとき、V<Viの場合、
抵抗値Rをαだけ増やす計算(R=R+α)をし、V>
Viの場合、抵抗値Rをαだけ減らす計算(R=R−
α)をして、電解電流制御装置22内の抵抗値Rを制御
する。
【0044】
【実施例3】図6は本発明の別の実施例の電池を示し、
P/F効果によって生じる熱エネルギーを利用し、重水
素ガス室を設けた電池を斜視的にみた断面図である。実
施例2の電池の外形と、熱導体板34と断熱材容壁35
とからなる本実施例の框体の外形は全く同一であるが、
電池内部の構造のみが異なっている。
【0045】ガス拡散電極からなる平板状の陽極31が
熱伝導容壁34に接合された平板状もしくは膜状のパラ
ジウム等の重水素吸蔵金属からなる陰極32に対向して
それぞれ配置されており、陽極1と熱導体板34との間
で電解槽室を形成し、その電解槽室内部に電解液33を
収容している。その電解液の上部空間には加圧された重
水素ガスD2 が充填されている。熱導体板34およびそ
れに接合された陰極32は、框体側壁の相対する1組を
形成しているので、各々の熱導体板34とそれに対する
陽極31とで、電解槽室は2個形成されている。
【0046】また、2枚の平板状の陽極の間には、加圧
された重水素ガスD2 が充填された重水素ガス室39が
形成されており、この重水素ガス室39と前記電解槽室
とを区切る陽極31の上部空間で重水素ガスD2 が自由
に移動できるように連絡されている。本実施例の電池の
その他の構成は、実施例2と同一である。以上のように
構成することによって、框体内に加圧充填された重水素
ガスD2 の電解液への供給が、重水素ガス室39を形成
するガス拡散電極である陽極31の壁面全体から行なわ
れ、陽極では、前記式(3)の反応を効率よく行なうこ
とができる。したがって、陰極では前記式(7)の反応
が効率良くおこなわれることになる。
【0047】
【実施例4】図7は本発明のさらに別の実施例を示し、
P/F効果によって生じる熱エネルギーを利用し、重水
素ガス室49を設けた電池の構成を示した図である。框
体底面の一面が熱導体板44で構成され、残りの壁が断
熱材容壁45によって構成されている。その熱導体板4
4の内側にパラジウム等の重水素吸蔵金属からなる板状
の陰極42が接合されて熱的に結合されている。その框
体内には陰極42に対向してガス拡散電極からなる板状
の陽極41が空間を隔てて配置されている。陽極41の
材料は、実施例1のものと同一のものを採用した。ま
た、陽極41の周囲には垂直に延びる淵壁51が形成さ
れている。
【0048】この框体内には、前記陽極41の底面と前
記陰極42の全体が浸るように電解液43が収容されて
いる。電解液43は実施例1と同一のものを使用した。
電解液43に陽極41の底面が浸るようにしているの
で、電解液43の液面は陽極43の位置より高いものと
なっている。また、陽極41の上面の空間部分は加圧さ
れた重水素ガスD2 が充填された重水素ガス室49を形
成している。一方、電解液の液面上部には重水素ガスD
2 が充填されており、前記淵壁51の上部で重水素ガス
2 が自由に移動できるようになっている。
【0049】また、前記実施例3と同様に、熱導体板4
4の外側に熱電変換素子46および冷却フィン47が接
合されており、さらに、断熱材容壁45の上面部に出力
端子50、重水素ガス充填口53、電解液充填口54が
設けられている。本実施例は以上のように構成されるの
で、電池内に加圧充填された重水素ガスD2 の電解液4
3への供給が、重水素ガス室49を形成するガス拡散電
極である陽極41の壁面全体から行なわれた。陽極41
では、前記式(3)の反応を効率よく行なうことができ
る。したがって、陰極42では前記式(7)の反応が効
率良く行なわれることになる。
【0050】
【実施例5】図8は本発明の別の実施例の、P/F効果
によって生じる熱エネルギーを利用し、単位セルを複数
組み合わせた電池の構成を示した図である。断熱材容壁
65で全ての面が構成された框体の中に、ガス拡散電極
からなる陽極61と熱導体板64とで小部屋が幾つも形
成されている。先ず、一つの小部屋について説明する。
平板状の陽極61は、断熱材容壁65からなる框体の側
壁から空間を隔てて平行に対向して、断熱材容壁65か
らなる框体の床面から垂直に起立し、上部に空間を残し
て配置されている。この平板状の陽極61に対して平行
で垂直に起立し、上部に空間を残して、熱導体板64が
配置されている。この熱導体板64の前記陽極61に面
する側にはパラジウム等の重水素吸蔵金属からなる板状
の陰極62が接合されて熱的に結合されており、さらに
熱導体板64の他方の面には熱電変換素子66が接合さ
れて熱的に結合している。前記陽極61とこの熱導体板
64とで上部が開放された小部屋が形成されており、こ
の小部屋の中には、電解質を含んだ重水D2 Oからなる
電解液63が収容されている。これらの陽極61、電解
液63、熱導体板64、および熱電変換素子66から1
つの単位セルが形成されている。
【0051】本実施例の電池はこの単位セルが複数直列
に組み合わされて、電池を構成している。この電池の空
間部へは加圧された重水素ガスD2 が充填されている。
出力端子70への電気的結線は単位セルを直列でも並列
でもどちらでも継なぐことができる。
【0052】
【実施例6】図9は、本発明の別の実施例の、P/F効
果によって生じる熱エネルギーを効率良く熱電変換素子
で変換する電池の構成を示した図である。一面が熱導体
板84とその他の面がすべて断熱材容壁85とから框体
が構成されている。その框体の内部にガス拡散電極から
なる平板状の陽極81が、前記熱導体板84に接合され
た平板状のパラジウム等の重水素吸蔵合金からなる陰極
82に対向して設置されており、その陽極81は框体の
底部の断熱材容壁85から垂直に起立している。前記熱
導体板84との間の空間内に、電解質を含む重水D 2
からなる電解液83が収容されて、電解槽を形成してい
る。陽極81は天井部までは到達しておらず、また陽極
81の電解槽を形成していない側は、框体の断熱材容壁
85との間に空間部が設けられている。これらの空間部
には加圧された重水素ガスD2 が充填されている。ま
た、前記熱導体板84の外側には熱電変換素子86が熱
的に結合されている。
【0053】本実施例では、前記框体を熱電変換素子8
6を内側にして左右対称に配置し、熱導体96を介して
複数のヒートパイプ95を挟んで結合されている。この
ヒートパイプ95は框体の上方まで延長されており、ヒ
ートパイプ95の先端には層状に形成された冷却フィン
87が設けられている。本実施例においては、冷却フィ
ン87の面積を拡大することができ、ヒートパイプ95
と組み合わせることによって、熱電変換素子86の両側
の温度差を拡大することができるので、効率の良い電気
エネルギーの取得ができる。
【0054】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれ
ば、P/F効果反応を起こす陰極を板状にし、この陰極
に板状の熱導体板を介して熱電変換素子を接合したの
で、陰極で発生した熱を損失することなく直ちに電気エ
ネルギーに変換することができる。
【0055】また、陽極と陰極の間のクリアランスを最
小に構成することができるので、電解液に生じる電気抵
抗を小さくすることができ、そのために、電圧を印加し
て、重水素イオンD+ を発生させるのに消費する電気エ
ネルギーを小さくすることができる。さらに、本発明の
電池は、エネルギー効率が良く、重水D2 Oの消耗が無
く、重水素ガスD2 と酸素ガスO2 を重水へ変換する装
置を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、P/F効果装置から発生する熱エネ
ルギーを電気エネルギーとして取り出す電池の実施例を
示す。
【図2】熱電変換素子の展開図を概念的に示す。
【図3】本発明の別の実施例の、P/F効果装置から発
生する熱エネルギーを電気エネルギーとして取り出す電
池の実施例を示す。
【図4】図3の斜視図を切断して示す。
【図5】本発明の電池の電解電流制御方法のフローチャ
ート図を示す。
【図6】重水素ガス室を設けた本発明の電池を斜視的に
みた断面図。
【図7】重水素ガス室を設けた本発明の別の電池を示
す。
【図8】単位セルを複数組み合わせた本発明の電池を示
す。
【図9】P/F効果によって生じる熱エネルギーを効率
良く熱電変換素子で変換する本発明の電池を示す。
【図10】本発明で用いる電解電流制御装置の回路図を
示す。
【符号の説明】
1,11,31,41,61,81 陽極 2,12,32,42,62,82 陰極 3,13,33,43,63,83 電解液 4,14,34,44,64,84 熱導体板 5,15,35,45,65,85 断熱材容
壁 6,16,36,46,66,86 熱電変換
素子 7,17,37,47,87 冷却フィ
ン 8,10,18,38,48,68,88 電極板 9 電解電源 19 温度セン
サ 20,40,50,70,90 出力端子 21 スタータ
電源 22 電解電流
制御装置 23,103,53 重水素ガ
ス充填口 24,104,54 電解液充
填口 25,52,72,92 電気分解
端子 51 淵壁 95 ヒートパ
イプ 96 熱導体
フロントページの続き (72)発明者 高木 真一 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)少なくとも断熱材容壁からなる密閉
    構造の框体となっており、(2)その框体の一部である
    熱導体板またはその框体の内部にある熱導体板に、水素
    吸蔵金属の陰極が熱的に結合しており、(3)その熱導
    体板の他面に、熱を電気エネルギーに変換するための熱
    電変換素子が結合され、(4)前記框体内には、重水を
    主体とした電解液が上部空間を残し、該陰極が浸るよう
    に収容され、(5)框体内の残りの空間には、加圧され
    た重水素ガスが充填されており、(6)重水素ガスが電
    極の反応点まで気体の状態で供給される機能を持つ陽極
    が、前記陰極に対向して配置され、該陽極の少なくとも
    一部が重水素ガス中に露出し、該陽極の他の部分が前記
    電解液に接するように構成されることを特徴とする新エ
    ネルギーを利用した電池。
JP3147256A 1991-06-19 1991-06-19 新エネルギーを利用した電池 Withdrawn JPH05302987A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003270372A (ja) * 2002-03-12 2003-09-25 Hidetsugu Ikegami 無反跳非熱核融合反応生成方法及び無反跳非熱核融合エネルギー発生装置
WO2020021638A1 (ja) * 2018-07-24 2020-01-30 齊藤 公章 発熱装置

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