JPH05302917A - 液体クロマトグラフィー用充填剤およびその製造方法 - Google Patents
液体クロマトグラフィー用充填剤およびその製造方法Info
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- JPH05302917A JPH05302917A JP4107455A JP10745592A JPH05302917A JP H05302917 A JPH05302917 A JP H05302917A JP 4107455 A JP4107455 A JP 4107455A JP 10745592 A JP10745592 A JP 10745592A JP H05302917 A JPH05302917 A JP H05302917A
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- hydrophobic
- particle
- monomer
- hydrophilic
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 血液などの複数のタンパク質を含む試料を直
接注入して試料中の目的物質を分離し得る液体クロマト
グラフィー用充填剤および該充填剤の簡単で再現性の良
い製造方法を提供する。 【構成】 多孔性架橋重合体粒子でなるコア粒子、およ
び被覆層を有するクロマトグラフィー用充填剤であっ
て、該コア粒子の孔内表面が疎水性であり、かつ粒子外
表面に親水性重合体でなる被覆層が形成されている、液
体クロマトグラフィー用充填剤。
接注入して試料中の目的物質を分離し得る液体クロマト
グラフィー用充填剤および該充填剤の簡単で再現性の良
い製造方法を提供する。 【構成】 多孔性架橋重合体粒子でなるコア粒子、およ
び被覆層を有するクロマトグラフィー用充填剤であっ
て、該コア粒子の孔内表面が疎水性であり、かつ粒子外
表面に親水性重合体でなる被覆層が形成されている、液
体クロマトグラフィー用充填剤。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体クロマトグラフィ
ー用充填剤に関する。さらに詳しくは、血液試料を除タ
ンパク操作せずに注入し得る、液体クロマトグラフィー
用充填剤に関する。
ー用充填剤に関する。さらに詳しくは、血液試料を除タ
ンパク操作せずに注入し得る、液体クロマトグラフィー
用充填剤に関する。
【0002】
【従来の技術】各種物質の分離または検出に液体クロマ
トグラフィーが使用され、生体試料からのタンパク質の
分離など、特に親水性物質の分離には、逆相分配クロマ
トグラフィー(以下RPLCとする)が汎用されてい
る。血清などのタンパク質を多量に含む生体試料中の物
質のHPLC分析においては、このタンパク質の影響に
より、分析精度および分析カラムの機能が低下したり、
分析カラムの寿命が短くなったりする。そのため試料の
前処理として、除タンパク操作が必要となる。除タンパ
ク操作は繁雑であったが、近年、HPLC分析において
は、カラムスイッチングによる自動除タンパク操作法が
確立された(特開昭62−259061号公報)。しか
しこの方法には、分離用カラムのほかに1本以上の前処
理カラムが必要なこと、流路が複雑でバルブの切り替え
のための装置が必要なこと、溶離液の種類が増えること
などの欠点がある。
トグラフィーが使用され、生体試料からのタンパク質の
分離など、特に親水性物質の分離には、逆相分配クロマ
トグラフィー(以下RPLCとする)が汎用されてい
る。血清などのタンパク質を多量に含む生体試料中の物
質のHPLC分析においては、このタンパク質の影響に
より、分析精度および分析カラムの機能が低下したり、
分析カラムの寿命が短くなったりする。そのため試料の
前処理として、除タンパク操作が必要となる。除タンパ
ク操作は繁雑であったが、近年、HPLC分析において
は、カラムスイッチングによる自動除タンパク操作法が
確立された(特開昭62−259061号公報)。しか
しこの方法には、分離用カラムのほかに1本以上の前処
理カラムが必要なこと、流路が複雑でバルブの切り替え
のための装置が必要なこと、溶離液の種類が増えること
などの欠点がある。
【0003】最近上記の欠点を解決する目的で、除タン
パク操作をせずに直接生体試料を注入し、該試料中の薬
物などの濃度を分離・定量することが可能な数種のクロ
マトグラフィー用充填剤が開発された(J.Haginaka,Tre
nds Anal.Chem.,10,17ー22(1991))。これらの充填剤は、
いずれも親水性基および疎水性基を有し、親水性基によ
り血液中の夾雑タンパクを排除し、そして疎水性基によ
り対象物質の分離を行うものである。親水性基および疎
水性基の設定においては、以下の2種類の充填剤が報告
されている。
パク操作をせずに直接生体試料を注入し、該試料中の薬
物などの濃度を分離・定量することが可能な数種のクロ
マトグラフィー用充填剤が開発された(J.Haginaka,Tre
nds Anal.Chem.,10,17ー22(1991))。これらの充填剤は、
いずれも親水性基および疎水性基を有し、親水性基によ
り血液中の夾雑タンパクを排除し、そして疎水性基によ
り対象物質の分離を行うものである。親水性基および疎
水性基の設定においては、以下の2種類の充填剤が報告
されている。
【0004】第1の充填剤は、多孔性シリカゲルまたは
ガラスビーズの孔内表面に疎水性基を結合させ、さらに
粒子外表面に親水性基を化学的に結合させたものであ
り、この充填剤においては、血液中のタンパク質は、そ
の分子サイズが大きいため細孔内に入らず、かつ親水性
の粒子外表面に吸着されることなくカラムを素通りす
る。一方、分子サイズの小さい対象物質は細孔内に侵入
し、孔内表面の疎水性基との相互作用により分離される
(特開昭61−65159号公報、特開平1−1231
45号公報、特開平3−107759号公報)。特開昭
61−65159号公報および特開平1−123145
号公報には、まず多孔性粒子の孔内表面および粒子外表
面に疎水性基を有する化合物で被覆し、その後、粒子外
表面の疎水性基のみを酵素反応で親水性基に変換するこ
とにより得られる充填剤が開示されている。特開平3−
107759号公報には、多孔性シリカゲル粒子の孔内
表面のシラノール基が、粒子外表面のシラノール基に比
べて反応性が低いことを利用し、次のようにして得られ
る充填剤が開示されている。まず、多孔性シリカゲル粒
子の孔内表面との反応が実質的に無視できるような緩和
な反応条件下で、該粒子の外表面のシラノール基に親水
性基を結合させる。次に孔内表面のシラノール基との反
応が円滑に進行する強い反応条件下でシラノール基に疎
水性基を結合させることにより、孔内表面に疎水性基、
そして粒子外表面に親水性基をもつ充填剤が得られる。
ガラスビーズの孔内表面に疎水性基を結合させ、さらに
粒子外表面に親水性基を化学的に結合させたものであ
り、この充填剤においては、血液中のタンパク質は、そ
の分子サイズが大きいため細孔内に入らず、かつ親水性
の粒子外表面に吸着されることなくカラムを素通りす
る。一方、分子サイズの小さい対象物質は細孔内に侵入
し、孔内表面の疎水性基との相互作用により分離される
(特開昭61−65159号公報、特開平1−1231
45号公報、特開平3−107759号公報)。特開昭
61−65159号公報および特開平1−123145
号公報には、まず多孔性粒子の孔内表面および粒子外表
面に疎水性基を有する化合物で被覆し、その後、粒子外
表面の疎水性基のみを酵素反応で親水性基に変換するこ
とにより得られる充填剤が開示されている。特開平3−
107759号公報には、多孔性シリカゲル粒子の孔内
表面のシラノール基が、粒子外表面のシラノール基に比
べて反応性が低いことを利用し、次のようにして得られ
る充填剤が開示されている。まず、多孔性シリカゲル粒
子の孔内表面との反応が実質的に無視できるような緩和
な反応条件下で、該粒子の外表面のシラノール基に親水
性基を結合させる。次に孔内表面のシラノール基との反
応が円滑に進行する強い反応条件下でシラノール基に疎
水性基を結合させることにより、孔内表面に疎水性基、
そして粒子外表面に親水性基をもつ充填剤が得られる。
【0005】第2の充填剤は、末端に親水性基をもつ炭
化水素鎖(C2〜C24)をシリカゲルに結合させた、変
性シリカゲルである(特開平2−45758号公報)。
該充填剤において長鎖の末端部は親水性基であり、根元
部(シリカゲル担体の近辺)は疎水性であるため、上記
と同様の効果が期待し得る。
化水素鎖(C2〜C24)をシリカゲルに結合させた、変
性シリカゲルである(特開平2−45758号公報)。
該充填剤において長鎖の末端部は親水性基であり、根元
部(シリカゲル担体の近辺)は疎水性であるため、上記
と同様の効果が期待し得る。
【0006】これらの試料直接注入型充填剤は、いずれ
もシリカゲルをコア粒子したもので、従来のシリカ系充
填剤と共通の欠点を有する。すなわち、使用pHが制限
され、残存シラノール基の影響を受け、そして製造再現
性が悪い。さらに、該充填剤を製造するときには、酵素
反応あるいは化学反応により親水性基および疎水性基を
シリカゲルに導入するため、工程が複雑となり、得られ
た充填剤の品質の再現性も悪い。さらに低分子物質の分
離能についても限界があるとの指摘もされている。
もシリカゲルをコア粒子したもので、従来のシリカ系充
填剤と共通の欠点を有する。すなわち、使用pHが制限
され、残存シラノール基の影響を受け、そして製造再現
性が悪い。さらに、該充填剤を製造するときには、酵素
反応あるいは化学反応により親水性基および疎水性基を
シリカゲルに導入するため、工程が複雑となり、得られ
た充填剤の品質の再現性も悪い。さらに低分子物質の分
離能についても限界があるとの指摘もされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
欠点を解決するものであり、その目的とするところは、
血液などの試料が直接注入できる液体クロマトグラフィ
ー用充填剤および該充填剤の簡単で再現性の良い製造方
法を提供することにある。
欠点を解決するものであり、その目的とするところは、
血液などの試料が直接注入できる液体クロマトグラフィ
ー用充填剤および該充填剤の簡単で再現性の良い製造方
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の液体クロマトグ
ラフィー用充填剤は、多孔性架橋重合体粒子でなるコア
粒子、および被覆層を有し、該コア粒子の孔内表面が疎
水性であり、かつ粒子外表面に親水性重合体でなる被覆
層が形成されている。
ラフィー用充填剤は、多孔性架橋重合体粒子でなるコア
粒子、および被覆層を有し、該コア粒子の孔内表面が疎
水性であり、かつ粒子外表面に親水性重合体でなる被覆
層が形成されている。
【0009】本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤
の製造方法は、多孔性の疎水性架橋重合体粒子でなるコ
ア粒子に有機溶媒および重合開始剤を含浸させる工程;
該有機溶媒および重合開始剤を含浸させた多孔性の疎水
性架橋重合体粒子を水性分散媒に分散させる工程;およ
び、得られた分散液に該有機溶媒に溶解しない親水性単
量体を添加し、該架橋重合体粒子の粒子外表面のみで該
親水性単量体を重合させ、該架橋重合体粒子の外表面の
みに親水性重合体でなる被覆層を形成する工程;を包含
する。
の製造方法は、多孔性の疎水性架橋重合体粒子でなるコ
ア粒子に有機溶媒および重合開始剤を含浸させる工程;
該有機溶媒および重合開始剤を含浸させた多孔性の疎水
性架橋重合体粒子を水性分散媒に分散させる工程;およ
び、得られた分散液に該有機溶媒に溶解しない親水性単
量体を添加し、該架橋重合体粒子の粒子外表面のみで該
親水性単量体を重合させ、該架橋重合体粒子の外表面の
みに親水性重合体でなる被覆層を形成する工程;を包含
する。
【0010】本発明に用いられる「多孔性架橋重合体粒
子」とは、粒子内部で無秩序に連通し、かつその一部ま
たはすべてが粒子外部と連通する細孔を有する重合体粒
子を指す。該細孔の平均孔径は、該細孔を有する粒子の
平均粒子径の0.0001〜0.1倍である。「孔内表
面」とは、この細孔の孔壁部分をいい、「粒子外表面」
とは、該粒子の孔内表面以外の表面部分、すなわち、外
部に露出した表面部分をいう。
子」とは、粒子内部で無秩序に連通し、かつその一部ま
たはすべてが粒子外部と連通する細孔を有する重合体粒
子を指す。該細孔の平均孔径は、該細孔を有する粒子の
平均粒子径の0.0001〜0.1倍である。「孔内表
面」とは、この細孔の孔壁部分をいい、「粒子外表面」
とは、該粒子の孔内表面以外の表面部分、すなわち、外
部に露出した表面部分をいう。
【0011】本発明の充填剤は、多孔性の疎水性架橋重
合体粒子をコア粒子とし、該粒子の外表面部分のみが親
水性重合体で被覆された、2層構造の重合体粒子であ
る。該架橋重合体粒子の素材としては、疎水性架橋性単
量体を(共)重合させて得られる(共)重合体、または
疎水性架橋性単量体と疎水性非架橋性単量体との共重合
体が用いられる。上記疎水性架橋性単量体および疎水性
非架橋性単量体は、それぞれ単独で、あるいは二種以上
を組み合わせて用いられ得る。
合体粒子をコア粒子とし、該粒子の外表面部分のみが親
水性重合体で被覆された、2層構造の重合体粒子であ
る。該架橋重合体粒子の素材としては、疎水性架橋性単
量体を(共)重合させて得られる(共)重合体、または
疎水性架橋性単量体と疎水性非架橋性単量体との共重合
体が用いられる。上記疎水性架橋性単量体および疎水性
非架橋性単量体は、それぞれ単独で、あるいは二種以上
を組み合わせて用いられ得る。
【0012】上記疎水性架橋性単量体としては、例えば
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレートのようなジ(メタ)アク
リル酸エステル;テトラメチロールメタントリ(メタ)
アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)
アクリレートなどの多価アルコールのポリ(メタ)アク
リル酸エステル;ジビニルベンゼン、ジビニルトルエ
ン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレンなどの2個
以上のビニル基を有する芳香族系化合物などが用いられ
る。上記疎水性非架橋性単量体としては、例えばメチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリ
レート、t−ブチル(メタ)アクリレートのような(メ
タ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニルのようなカルボン酸ビニル類;スチレン、メチルス
チレンのようなスチレン系単量体などが用いられる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレートのようなジ(メタ)アク
リル酸エステル;テトラメチロールメタントリ(メタ)
アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)
アクリレートなどの多価アルコールのポリ(メタ)アク
リル酸エステル;ジビニルベンゼン、ジビニルトルエ
ン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレンなどの2個
以上のビニル基を有する芳香族系化合物などが用いられ
る。上記疎水性非架橋性単量体としては、例えばメチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリ
レート、t−ブチル(メタ)アクリレートのような(メ
タ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニルのようなカルボン酸ビニル類;スチレン、メチルス
チレンのようなスチレン系単量体などが用いられる。
【0013】上記の疎水性単量体を重合して得られる疎
水性架橋重合体は、本発明の充填剤のコア粒子となるだ
けでなく、該粒子の孔内表面において、薬物などの被分
離物質と相互作用し、逆相分配モードの分離を行う。従
って、上記単量体は、被分離物質の分離が適切となるよ
う、重合体の疎水的性質を考慮して選択される。上記架
橋性単量体および非架橋性単量体を混合して用いる場合
には、非架橋性単量体は全単量体中において、90重量
%以下、好ましくは、20〜80重量%の割合で用いら
れる。
水性架橋重合体は、本発明の充填剤のコア粒子となるだ
けでなく、該粒子の孔内表面において、薬物などの被分
離物質と相互作用し、逆相分配モードの分離を行う。従
って、上記単量体は、被分離物質の分離が適切となるよ
う、重合体の疎水的性質を考慮して選択される。上記架
橋性単量体および非架橋性単量体を混合して用いる場合
には、非架橋性単量体は全単量体中において、90重量
%以下、好ましくは、20〜80重量%の割合で用いら
れる。
【0014】本発明において、多孔性の疎水性架橋重合
体粒子の粒子外表面の被覆層となる親水性の原料となる
単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基
を有するビニル単量体;および、他の親水性官能基を有
する単量体、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、アクリルアミド、アリルアミンなどのアミノ基を有
する単量体、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのカ
ルボキシル基を有する単量体が用いられ得る。上記水酸
基以外の官能基(すなわち、アミノ基またはカルボキシ
ル基)を有する単量体を用いた場合、該単量体と被分離
物質との間で該官能基によるイオン性の相互作用が起こ
り、分離が妨げられる場合がある。従って、該単量体を
用いて得られた本発明の充填剤を使用する場合には、該
相互作用の影響が小さい条件、例えば非解離型状態にな
るようなpH領域で分析を行うか、もしくは化学反応に
よりアミノ基またはカルボキシル基を水酸基に変換する
必要がある。上記親水性単量体は、必要に応じて二種以
上が混合して用いられ得る。親水性単量体の使用量は単
量体の種類によって異なるが、被覆すべき疎水性架橋重
合体粒子100重量部に対して1〜100重量部の割合
で用いられる。
体粒子の粒子外表面の被覆層となる親水性の原料となる
単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基
を有するビニル単量体;および、他の親水性官能基を有
する単量体、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、アクリルアミド、アリルアミンなどのアミノ基を有
する単量体、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのカ
ルボキシル基を有する単量体が用いられ得る。上記水酸
基以外の官能基(すなわち、アミノ基またはカルボキシ
ル基)を有する単量体を用いた場合、該単量体と被分離
物質との間で該官能基によるイオン性の相互作用が起こ
り、分離が妨げられる場合がある。従って、該単量体を
用いて得られた本発明の充填剤を使用する場合には、該
相互作用の影響が小さい条件、例えば非解離型状態にな
るようなpH領域で分析を行うか、もしくは化学反応に
よりアミノ基またはカルボキシル基を水酸基に変換する
必要がある。上記親水性単量体は、必要に応じて二種以
上が混合して用いられ得る。親水性単量体の使用量は単
量体の種類によって異なるが、被覆すべき疎水性架橋重
合体粒子100重量部に対して1〜100重量部の割合
で用いられる。
【0015】本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤
を調製するには、最初にコア粒子となる多孔性の疎水性
架橋重合体粒子が既知の任意の水性懸濁重合法により調
製される。それにはまず、上記の疎水性単量体(疎水性
架橋性単量体および必要に応じて疎水性非架橋性単量
体)と重合開始剤とを希釈剤に溶解させる。この場合に
用いられる重合開始剤は、ラジカルを発生する触媒であ
り、疎水性であること以外は特に限定されない。例え
ば、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイ
ドなどの有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、
アゾビスイソブチロアミドのようなアゾ化合物などの既
知のラジカル発生触媒のいずれもが使用され得る。上記
希釈剤は多孔形成剤として作用するものであり、上記単
量体を溶解し、かつその重合体を溶解させない有機溶媒
のいずれもが使用可能である。例えば、トルエン、キシ
レン、ジエチルベルゼン、ドデシルベンゼンのような芳
香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカ
ンのような飽和炭化水素類;イソアミルアルコール、ヘ
キシルアルコール、オクチルアルコールのようなアルコ
ール類が用いられる。その使用量は限定されないが、上
記単量体混合物(単量体、重合開始剤および希釈剤)1
00重量部に対して15〜200重量部の割合であるこ
とが好ましい。さらに、希釈剤として上記疎水性単量体
混合物と相溶性の異なる種々の有機溶媒を使用すること
により、多孔性重合体の細孔の大きさを任意に変化させ
ることが可能である。
を調製するには、最初にコア粒子となる多孔性の疎水性
架橋重合体粒子が既知の任意の水性懸濁重合法により調
製される。それにはまず、上記の疎水性単量体(疎水性
架橋性単量体および必要に応じて疎水性非架橋性単量
体)と重合開始剤とを希釈剤に溶解させる。この場合に
用いられる重合開始剤は、ラジカルを発生する触媒であ
り、疎水性であること以外は特に限定されない。例え
ば、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイ
ドなどの有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、
アゾビスイソブチロアミドのようなアゾ化合物などの既
知のラジカル発生触媒のいずれもが使用され得る。上記
希釈剤は多孔形成剤として作用するものであり、上記単
量体を溶解し、かつその重合体を溶解させない有機溶媒
のいずれもが使用可能である。例えば、トルエン、キシ
レン、ジエチルベルゼン、ドデシルベンゼンのような芳
香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカ
ンのような飽和炭化水素類;イソアミルアルコール、ヘ
キシルアルコール、オクチルアルコールのようなアルコ
ール類が用いられる。その使用量は限定されないが、上
記単量体混合物(単量体、重合開始剤および希釈剤)1
00重量部に対して15〜200重量部の割合であるこ
とが好ましい。さらに、希釈剤として上記疎水性単量体
混合物と相溶性の異なる種々の有機溶媒を使用すること
により、多孔性重合体の細孔の大きさを任意に変化させ
ることが可能である。
【0016】上記単量体、重合開始剤および希釈剤を、
ポリビニルアルコール、リン酸カルシウムなどの懸濁安
定剤を溶解した水相に添加し、窒素置換後、攪拌しなが
ら40〜100℃に加熱することにより懸濁重合を行
う。得られた重合体粒子中には希釈剤である有機溶媒が
分散して存在するため、該重合体粒子を熱水および有機
溶媒で十分洗浄し、粒子に含有されているか、あるいは
付着している懸濁安定剤、有機溶媒および残存単量体な
どを除去する。さらに必要に応じて粒子を分級すること
によりコア粒子が得られる。
ポリビニルアルコール、リン酸カルシウムなどの懸濁安
定剤を溶解した水相に添加し、窒素置換後、攪拌しなが
ら40〜100℃に加熱することにより懸濁重合を行
う。得られた重合体粒子中には希釈剤である有機溶媒が
分散して存在するため、該重合体粒子を熱水および有機
溶媒で十分洗浄し、粒子に含有されているか、あるいは
付着している懸濁安定剤、有機溶媒および残存単量体な
どを除去する。さらに必要に応じて粒子を分級すること
によりコア粒子が得られる。
【0017】次に、得られたコア粒子に有機溶媒および
重合開始剤を含浸させる。すなわち、有機溶媒に重合開
始剤を溶解し、この重合開始剤溶液に上記の架橋重合体
粒子を浸漬する。このとき用いられる有機溶媒は、後に
用いる親水性単量体を溶解しない。該有機溶媒と上記親
水性単量体の組み合わせとしては、例えば、n−ヘキサ
ンと2−ヒドロキシエチルメタクリレート、n−デカン
とポリエチレングリコールメタクリレート、ベンゼンと
アクリル酸、イソアミルアルコールとアリルアミンなど
が挙げられる。
重合開始剤を含浸させる。すなわち、有機溶媒に重合開
始剤を溶解し、この重合開始剤溶液に上記の架橋重合体
粒子を浸漬する。このとき用いられる有機溶媒は、後に
用いる親水性単量体を溶解しない。該有機溶媒と上記親
水性単量体の組み合わせとしては、例えば、n−ヘキサ
ンと2−ヒドロキシエチルメタクリレート、n−デカン
とポリエチレングリコールメタクリレート、ベンゼンと
アクリル酸、イソアミルアルコールとアリルアミンなど
が挙げられる。
【0018】上記操作により有機溶媒および重合開始剤
が粒子中に浸透する。この有機溶媒および重合開始剤含
有粒子を、上記の親水性単量体を溶解させた水性分散媒
中に分散させ、あるいはこの粒子を分散させた水性分散
媒中に上記親水性単量体を添加し、溶解させて、窒素置
換後、攪拌しながら加熱して重合を行う。この重合によ
り、親水性単量体が架橋重合体粒子の粒子外表面で重合
して、粒子の粒子外表面を被覆する。一方孔内表面部分
は、上記有機溶媒の存在により親水性単量体が侵入でき
ないため、該親水性単量体による被覆は行われない。上
記の水性分散媒には架橋重合体粒子の分散性を安定させ
るため、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアル
コールなどの分散安定剤を添加することもできる。重合
の温度および時間は、反応させる親水性単量体の種類お
よび重合開始剤の種類によっても異なるが、40〜10
0℃で0.5〜40時間程度である。以上の方法により
2層構造の架橋重合体粒子である本発明のクロマトグラ
フィー用充填剤が調製される。
が粒子中に浸透する。この有機溶媒および重合開始剤含
有粒子を、上記の親水性単量体を溶解させた水性分散媒
中に分散させ、あるいはこの粒子を分散させた水性分散
媒中に上記親水性単量体を添加し、溶解させて、窒素置
換後、攪拌しながら加熱して重合を行う。この重合によ
り、親水性単量体が架橋重合体粒子の粒子外表面で重合
して、粒子の粒子外表面を被覆する。一方孔内表面部分
は、上記有機溶媒の存在により親水性単量体が侵入でき
ないため、該親水性単量体による被覆は行われない。上
記の水性分散媒には架橋重合体粒子の分散性を安定させ
るため、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアル
コールなどの分散安定剤を添加することもできる。重合
の温度および時間は、反応させる親水性単量体の種類お
よび重合開始剤の種類によっても異なるが、40〜10
0℃で0.5〜40時間程度である。以上の方法により
2層構造の架橋重合体粒子である本発明のクロマトグラ
フィー用充填剤が調製される。
【0019】本発明の液体クロマトグラフィー用充填剤
を調製する他の方法は、多孔性架橋重合体粒子の調製に
引き続いて親水性単量体を反応させる連続法による。こ
の方法においては、まず上記の多孔性架橋重合体粒子を
調製するための重合反応を開始させる。この時用いられ
る希釈剤は、上記方法において架橋重合体に含浸させる
有機溶媒の作用を兼ね備えたものを用いる。すなわち、
親水性単量体を溶解しない有機溶媒を希釈剤として選択
する。重合がある程度進行し、かつ未反応の重合開始剤
が残存している時に上記親水性単量体を反応系に添加
し、分散媒に溶解する。このような状態においては、系
内の有機相および生成した疎水性重合体粒子表面に重合
開始剤が存在するため、引き続いて親水性単量体の重合
が起こり、しかも孔内には親水性単量体が溶解しない有
機溶媒(希釈剤)が存在するため、粒子外表面のみを被
覆する形で親水性重合体の層が形成される。該親水性単
量体を添加する方法は特に限定されず、一括して添加す
る方法、数回に分割して添加する方法または滴下して添
加する方法のいずれでもよい。添加時には該反応系を一
度冷却し、親水性単量体を添加して水相に良く溶解して
から再び温度を上げたほうが重合再現性が良い。あるい
は、親水性単量体を添加する前後で温度を変更してもよ
い。親水性単量体を添加した後の重合条件は、使用する
単量体によって異なるが、40〜100℃で0.5〜1
0時間であり、親水性単量体のホモポリマーにより凝集
が起こらない段階で重合を停止する。得られた重合体粒
子を上記方法と同様に洗浄、分級することにより、本発
明のクロマトグラフィー用の充填剤が得られる。
を調製する他の方法は、多孔性架橋重合体粒子の調製に
引き続いて親水性単量体を反応させる連続法による。こ
の方法においては、まず上記の多孔性架橋重合体粒子を
調製するための重合反応を開始させる。この時用いられ
る希釈剤は、上記方法において架橋重合体に含浸させる
有機溶媒の作用を兼ね備えたものを用いる。すなわち、
親水性単量体を溶解しない有機溶媒を希釈剤として選択
する。重合がある程度進行し、かつ未反応の重合開始剤
が残存している時に上記親水性単量体を反応系に添加
し、分散媒に溶解する。このような状態においては、系
内の有機相および生成した疎水性重合体粒子表面に重合
開始剤が存在するため、引き続いて親水性単量体の重合
が起こり、しかも孔内には親水性単量体が溶解しない有
機溶媒(希釈剤)が存在するため、粒子外表面のみを被
覆する形で親水性重合体の層が形成される。該親水性単
量体を添加する方法は特に限定されず、一括して添加す
る方法、数回に分割して添加する方法または滴下して添
加する方法のいずれでもよい。添加時には該反応系を一
度冷却し、親水性単量体を添加して水相に良く溶解して
から再び温度を上げたほうが重合再現性が良い。あるい
は、親水性単量体を添加する前後で温度を変更してもよ
い。親水性単量体を添加した後の重合条件は、使用する
単量体によって異なるが、40〜100℃で0.5〜1
0時間であり、親水性単量体のホモポリマーにより凝集
が起こらない段階で重合を停止する。得られた重合体粒
子を上記方法と同様に洗浄、分級することにより、本発
明のクロマトグラフィー用の充填剤が得られる。
【0020】本発明の充填剤の粒径は特に限定はされな
いが、通常は1〜500μm、好ましくは1〜100μ
mである。被覆層の厚みは、充填剤の粒径の約0.01
〜10%の範囲にある。
いが、通常は1〜500μm、好ましくは1〜100μ
mである。被覆層の厚みは、充填剤の粒径の約0.01
〜10%の範囲にある。
【0021】
【作用】本発明のクロマトグラフィー用充填剤は、多孔
性の疎水性架橋重合体をコア粒子とし、該粒子の外表面
部分のみが親水性重合体で被覆された重合体粒子であ
る。したがって細孔内に入れないタンパク質は該粒子外
表面部分の親水性重合体により排除され溶出し、一方低
分子物質は細孔内に侵入し、細孔内の疎水基との相互作
用により分離される。
性の疎水性架橋重合体をコア粒子とし、該粒子の外表面
部分のみが親水性重合体で被覆された重合体粒子であ
る。したがって細孔内に入れないタンパク質は該粒子外
表面部分の親水性重合体により排除され溶出し、一方低
分子物質は細孔内に侵入し、細孔内の疎水基との相互作
用により分離される。
【0022】
【実施例】以下に本発明を実施例につき説明する。
【0023】以下の実施例および比較例により得られた
充填剤を下記の方法により充填し、クロマトグラフィー
試験を行った。
充填剤を下記の方法により充填し、クロマトグラフィー
試験を行った。
【0024】「充填方法」充填剤2.3gを秤量し、3
0mlの50%メタノール水溶液に分散した。該分散液
をマグネチックスターラーにより5分間攪拌した後、5
分間超音波処理した。再び3分間攪拌した後、パッカー
((株)梅谷精機製)に移し、内径6mm、長さ75m
mのステンレス製カラムに充填した。充填は(株)島津
製作所製ポンプLC−6ADを用い、200kg/cm
2で低圧充填により行った。
0mlの50%メタノール水溶液に分散した。該分散液
をマグネチックスターラーにより5分間攪拌した後、5
分間超音波処理した。再び3分間攪拌した後、パッカー
((株)梅谷精機製)に移し、内径6mm、長さ75m
mのステンレス製カラムに充填した。充填は(株)島津
製作所製ポンプLC−6ADを用い、200kg/cm
2で低圧充填により行った。
【0025】「液体クロマトグラフ」積水化学工業
(株)製液体クロマトグラフシステムSSLC−20を
用いた。図1に装置の構成を示す。この装置は、送液ポ
ンプ2、試料注入装置3、分離カラム4、検出器5、お
よび該検出器5に接続された記録計6を有する。試料
は、試料注入装置3から系内に注入され、送液ポンプ2
からの溶離液1により分離カラム4内に送られる。分離
された試料は、検出器5により検出され、記録計6に記
録される。分析条件は、以下のとおりに設定して行っ
た。
(株)製液体クロマトグラフシステムSSLC−20を
用いた。図1に装置の構成を示す。この装置は、送液ポ
ンプ2、試料注入装置3、分離カラム4、検出器5、お
よび該検出器5に接続された記録計6を有する。試料
は、試料注入装置3から系内に注入され、送液ポンプ2
からの溶離液1により分離カラム4内に送られる。分離
された試料は、検出器5により検出され、記録計6に記
録される。分析条件は、以下のとおりに設定して行っ
た。
【0026】流 速:2ml/min 溶 離 液:100mMリン酸緩衝液とアセトニトリル
の9:1(容量比)の混合物 温 度:室温 検 出:254nm 試料標準液:抗痙攣薬 :フェノバルビタール: 5μ
mol/ml水溶液 フェニトイン :10μmol/ml水溶液 カルバマゼピン : 5μmol/ml水溶液 いずれも和光純薬工業(株)製を用いた。
の9:1(容量比)の混合物 温 度:室温 検 出:254nm 試料標準液:抗痙攣薬 :フェノバルビタール: 5μ
mol/ml水溶液 フェニトイン :10μmol/ml水溶液 カルバマゼピン : 5μmol/ml水溶液 いずれも和光純薬工業(株)製を用いた。
【0027】 局所麻酔薬:プロカイン 10μmol/ml
水溶液 プロカインアミド 10μmol/ml水溶液 いずれもシグマ社製を用いた。
水溶液 プロカインアミド 10μmol/ml水溶液 いずれもシグマ社製を用いた。
【0028】注 入 量:10μl (実施例1)スチレン(疎水性非架橋性単量体)100
g、ジビニルベンゼン(疎水性架橋性単量体)200g
およびベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)1gを
トルエン(希釈剤)300gに溶解した。この混合物を
4%ポリビニルアルコール水溶液2.5リットルに添加
して、攪拌しながら調粒した後、窒素置換下において8
0℃で8時間懸濁重合を行った。重合後、生成物を熱水
およびアセトンで順次洗浄し、乾燥して粒径が約1〜2
0μmの多孔性の疎水性架橋重合体粒子を得た。
g、ジビニルベンゼン(疎水性架橋性単量体)200g
およびベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)1gを
トルエン(希釈剤)300gに溶解した。この混合物を
4%ポリビニルアルコール水溶液2.5リットルに添加
して、攪拌しながら調粒した後、窒素置換下において8
0℃で8時間懸濁重合を行った。重合後、生成物を熱水
およびアセトンで順次洗浄し、乾燥して粒径が約1〜2
0μmの多孔性の疎水性架橋重合体粒子を得た。
【0029】次にこの架橋重合体粒子100gを、アゾ
ビスソブチロニトリル(重合開始剤)0.5gが溶解し
ているn−ヘキサン1リットルに浸漬して、該開始剤お
よび有機溶媒を含浸させた。得られた含浸粒子を1%ポ
リビニルアルコール水溶液2.5リットルに懸濁させ、
攪拌しながら2−ヒドロキシエチルメタクリレート(親
水性単量体)50gを反応系に添加し、分散媒に溶解し
た。窒素置換後50℃で3時間重合を行った。重合後、
生成物を熱水およびアセトンで順次洗浄し、乾燥して微
小の疎水性架橋重合体粒子を得た。該粒子を日鉄鉱業
(株)製空気分級機ELBOW−JETLABO EJ
−L−3型により分級して、平均粒径が8〜10μmの
粒子を集め、充填剤を得た。
ビスソブチロニトリル(重合開始剤)0.5gが溶解し
ているn−ヘキサン1リットルに浸漬して、該開始剤お
よび有機溶媒を含浸させた。得られた含浸粒子を1%ポ
リビニルアルコール水溶液2.5リットルに懸濁させ、
攪拌しながら2−ヒドロキシエチルメタクリレート(親
水性単量体)50gを反応系に添加し、分散媒に溶解し
た。窒素置換後50℃で3時間重合を行った。重合後、
生成物を熱水およびアセトンで順次洗浄し、乾燥して微
小の疎水性架橋重合体粒子を得た。該粒子を日鉄鉱業
(株)製空気分級機ELBOW−JETLABO EJ
−L−3型により分級して、平均粒径が8〜10μmの
粒子を集め、充填剤を得た。
【0030】得られた充填剤を上記の方法で充填し、上
記の条件で抗痙攣薬の標準液を分析した。得られたクロ
マトグラムを図2に示す。図2および後述の図3、図4
および図6においてAは血清タンパク質、Bはフェノバ
ルビタール、Cはフェニトイン、Dはカルバマゼピンに
起因するピークである。さらに健常人血清に上記の抗痙
攣薬を上記の標準液と同じ濃度になるように添加した試
料を測定した結果、図3のクロマトグラムが得られた。
本実施例の充填剤は前処理操作を行わずに血中薬物を良
好に分離し得た。
記の条件で抗痙攣薬の標準液を分析した。得られたクロ
マトグラムを図2に示す。図2および後述の図3、図4
および図6においてAは血清タンパク質、Bはフェノバ
ルビタール、Cはフェニトイン、Dはカルバマゼピンに
起因するピークである。さらに健常人血清に上記の抗痙
攣薬を上記の標準液と同じ濃度になるように添加した試
料を測定した結果、図3のクロマトグラムが得られた。
本実施例の充填剤は前処理操作を行わずに血中薬物を良
好に分離し得た。
【0031】(比較例1)本比較例においては、親水性
重合体で被覆されていない、多孔性の疎水性架橋重合体
粒子を調製した。
重合体で被覆されていない、多孔性の疎水性架橋重合体
粒子を調製した。
【0032】スチレン(疎水性非架橋性単量体)100
g、ジビニルベンゼン(疎水性架橋性単量体)300g
およびベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)1gを
トルエン(希釈剤)300gに溶解した。この混合物を
4%ポリビニルアルコール水溶液2.5リットルに添加
して、攪拌しながら調粒した後、窒素置換下において8
0℃で10時間懸濁重合を行った。重合後、生成物を実
施例1と同様に処理し、充填剤を得た。
g、ジビニルベンゼン(疎水性架橋性単量体)300g
およびベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)1gを
トルエン(希釈剤)300gに溶解した。この混合物を
4%ポリビニルアルコール水溶液2.5リットルに添加
して、攪拌しながら調粒した後、窒素置換下において8
0℃で10時間懸濁重合を行った。重合後、生成物を実
施例1と同様に処理し、充填剤を得た。
【0033】得られた充填剤を上記の方法で充填し、さ
らに上記の条件で抗痙攣薬の標準液を分析したところ、
図2と同様のクロマトグラムが得られた。
らに上記の条件で抗痙攣薬の標準液を分析したところ、
図2と同様のクロマトグラムが得られた。
【0034】また健常人血清に抗痙攣薬を添加した健常
人血清を測定した。得られたクロマトグラムを図4に示
す。
人血清を測定した。得られたクロマトグラムを図4に示
す。
【0035】さらに同様の充填剤を用い、カラムスイッ
チング法により自動前処理(除タンパク)を行い、健常
人血清に抗痙攣薬を添加した試料を測定した。なお前処
理装置として積水化学工業(株)製オートセラマウトM
SC−620を用い、前処理カラムはセラマウト25
(内径4mm、長さ20mm;積水化学工業(株)製)
を用いた。装置の構成を図5に示す。この装置において
は、六方バルブ9の接続端aに試料注入装置3が接続さ
れ、該試料注入装置3には送液ポンプ2により前処理液
7が流入するように構成されている。六方バルブ9の接
続端cには送液ポンプ21が接続され、接続端dには分
離カラム4および検出器5が順次接続されている。さら
に接続端bおよびeを介して前処理カラム8が接続され
ている。試料は、試料注入装置3から注入され、送液ポ
ンプ2により送られる前処理液7により、前処理カラム
8へ送られ、目的物質は前処理カラムに吸着する。試料
中のタンパク質は前処理カラム8を素通りして接続端e
およびfを介して、系外へ除去される。次に、六方バル
ブ9を切り換え、溶離液1が送液ポンプ21を介して、
前処理カラム8へ流入するようにする。溶離液1により
前処理カラム8に吸着した物質は溶離し、接続端e、f
を介して分離カラム4へ流入する。これは分離カラム4
で分離され、目的物質は検出器5により検出され、記録
計6に記録される。測定の結果得られたクロマトグラム
を図6に示す。
チング法により自動前処理(除タンパク)を行い、健常
人血清に抗痙攣薬を添加した試料を測定した。なお前処
理装置として積水化学工業(株)製オートセラマウトM
SC−620を用い、前処理カラムはセラマウト25
(内径4mm、長さ20mm;積水化学工業(株)製)
を用いた。装置の構成を図5に示す。この装置において
は、六方バルブ9の接続端aに試料注入装置3が接続さ
れ、該試料注入装置3には送液ポンプ2により前処理液
7が流入するように構成されている。六方バルブ9の接
続端cには送液ポンプ21が接続され、接続端dには分
離カラム4および検出器5が順次接続されている。さら
に接続端bおよびeを介して前処理カラム8が接続され
ている。試料は、試料注入装置3から注入され、送液ポ
ンプ2により送られる前処理液7により、前処理カラム
8へ送られ、目的物質は前処理カラムに吸着する。試料
中のタンパク質は前処理カラム8を素通りして接続端e
およびfを介して、系外へ除去される。次に、六方バル
ブ9を切り換え、溶離液1が送液ポンプ21を介して、
前処理カラム8へ流入するようにする。溶離液1により
前処理カラム8に吸着した物質は溶離し、接続端e、f
を介して分離カラム4へ流入する。これは分離カラム4
で分離され、目的物質は検出器5により検出され、記録
計6に記録される。測定の結果得られたクロマトグラム
を図6に示す。
【0036】本比較例の充填剤は、カラムスイッチング
法により血清中の薬物を良好に分離、および定量し得
た。しかし前処理操作を行わなかった場合、血清中の薬
物は分離し得なかった。これは充填剤の粒子外表面の疎
水性部分に血清タンパク質が吸着したためと思われる。
法により血清中の薬物を良好に分離、および定量し得
た。しかし前処理操作を行わなかった場合、血清中の薬
物は分離し得なかった。これは充填剤の粒子外表面の疎
水性部分に血清タンパク質が吸着したためと思われる。
【0037】(実施例2)本実施例では、本発明に記載
の、疎水性架橋重合体粒子の調製に引き続いて親水性単
量体を反応させる連続した重合法を採用した。
の、疎水性架橋重合体粒子の調製に引き続いて親水性単
量体を反応させる連続した重合法を採用した。
【0038】ジエチレングリコールジメタクリレート
(疎水性架橋性単量体)50g、テトラメチロールメタ
ンテトラアクリレート(疎水性架橋性単量体)50g、
ジビニルベンゼン(疎水性架橋性単量体)100gおよ
びベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)1gをn−
デカン(希釈剤)300gに溶解させた。これを4%ポ
リビニルアルコール水溶液2.5リットルに添加して、
攪拌しながら調粒した後、窒素置換下において70℃で
4時間懸濁重合を行った。重合後、反応系を30℃に冷
却し、オクタエチレングリコールモノメタクリレート
(親水性架橋性単量体)50gを反応系に添加して溶解
した。該反応系を30分攪拌した後、再び70℃に加熱
し4時間重合を行った。生成物を熱水およびアセトンで
順次洗浄し、乾燥して微小の多孔性架橋重合体粒子を得
た。
(疎水性架橋性単量体)50g、テトラメチロールメタ
ンテトラアクリレート(疎水性架橋性単量体)50g、
ジビニルベンゼン(疎水性架橋性単量体)100gおよ
びベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)1gをn−
デカン(希釈剤)300gに溶解させた。これを4%ポ
リビニルアルコール水溶液2.5リットルに添加して、
攪拌しながら調粒した後、窒素置換下において70℃で
4時間懸濁重合を行った。重合後、反応系を30℃に冷
却し、オクタエチレングリコールモノメタクリレート
(親水性架橋性単量体)50gを反応系に添加して溶解
した。該反応系を30分攪拌した後、再び70℃に加熱
し4時間重合を行った。生成物を熱水およびアセトンで
順次洗浄し、乾燥して微小の多孔性架橋重合体粒子を得
た。
【0039】実施例1と同様に分級し、充填および評価
を行った。健常人血清に抗痙攣薬を添加した試料を測定
した結果、図3と同様のクロマトグラムが得られた。
を行った。健常人血清に抗痙攣薬を添加した試料を測定
した結果、図3と同様のクロマトグラムが得られた。
【0040】さらに得られた充填剤を用いて、局所麻酔
薬を健常人血清に前記の試料標準液の項に記した濃度に
なるように添加した試料の分析を行った。得られたクロ
マトグラムを図7に示す。図7および後述の図8におい
て、Aは血清タンパク質、Eはプロカインアミド、Fは
プロカインに起因するピークである。
薬を健常人血清に前記の試料標準液の項に記した濃度に
なるように添加した試料の分析を行った。得られたクロ
マトグラムを図7に示す。図7および後述の図8におい
て、Aは血清タンパク質、Eはプロカインアミド、Fは
プロカインに起因するピークである。
【0041】本実施例の充填剤は血清試料を直接注入し
ても、試料薬物を良好に分離し得た。
ても、試料薬物を良好に分離し得た。
【0042】(比較例2)多孔性シリカゲルの細孔内表
面に疎水性基、外表面に親水性基をそれぞれ導入したP
inkertonカラム(リージスケミカル社製;4.
6×150mm)を用いて、実施例2と同様に局所麻酔
薬を健常人血清に添加した試料の分析を行った。得られ
た結果を図8に示す。プロカインアミドとプロカインと
を充分分離し得なかった。これはシリカ系充填剤表面の
残存シラノール基に起因する非特異的吸着によると思わ
れる。
面に疎水性基、外表面に親水性基をそれぞれ導入したP
inkertonカラム(リージスケミカル社製;4.
6×150mm)を用いて、実施例2と同様に局所麻酔
薬を健常人血清に添加した試料の分析を行った。得られ
た結果を図8に示す。プロカインアミドとプロカインと
を充分分離し得なかった。これはシリカ系充填剤表面の
残存シラノール基に起因する非特異的吸着によると思わ
れる。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、細孔内表面が疎水性
で、かつ粒子外表面が親水性である充填剤が簡単に、ま
た再現性良く製造され得る。この充填剤を用いると、除
タンパク操作をせずに直接生体試料を注入し、該試料中
の薬物などの濃度を分離・定量を精度よく行うことがで
きる。また本発明の充填剤は、ポリマーで形成されてい
るので広いpH範囲にて使用可能である。
で、かつ粒子外表面が親水性である充填剤が簡単に、ま
た再現性良く製造され得る。この充填剤を用いると、除
タンパク操作をせずに直接生体試料を注入し、該試料中
の薬物などの濃度を分離・定量を精度よく行うことがで
きる。また本発明の充填剤は、ポリマーで形成されてい
るので広いpH範囲にて使用可能である。
【図1】実施例1、実施例2、比較例1および比較例2
で得られた充填剤を評価するための液体クロマトグラフ
ィーの装置の構成を示す模式図である。
で得られた充填剤を評価するための液体クロマトグラフ
ィーの装置の構成を示す模式図である。
【図2】実施例1で得られた充填剤を用いて、抗痙攣薬
であるフェノバルビタール、フェニトイン、およびカル
バマゼピンの標準液を測定した結果、得られたクロマト
グラムを示す。
であるフェノバルビタール、フェニトイン、およびカル
バマゼピンの標準液を測定した結果、得られたクロマト
グラムを示す。
【図3】実施例1で得られた充填剤を用いて、健常人血
清に抗痙攣薬であるフェノバルビタール、フェニトイ
ン、およびカルバマゼピンを添加した試料を測定した結
果、得られたクロマトグラムを示す。
清に抗痙攣薬であるフェノバルビタール、フェニトイ
ン、およびカルバマゼピンを添加した試料を測定した結
果、得られたクロマトグラムを示す。
【図4】比較例1で得られた充填剤を用いて、健常人血
清に抗痙攣薬であるフェノバルビタール、フェニトイ
ン、およびカルバマゼピンを添加した試料を測定した結
果、得られたクロマトグラムを示す。
清に抗痙攣薬であるフェノバルビタール、フェニトイ
ン、およびカルバマゼピンを添加した試料を測定した結
果、得られたクロマトグラムを示す。
【図5】比較例1で用いた、自動前処理装置を接続した
液体クロマトグラフィーの装置の構成を示す模式図であ
る。
液体クロマトグラフィーの装置の構成を示す模式図であ
る。
【図6】比較例1で得られた充填剤および図5の液体ク
ロマトグラフィーを用いて、健常人血清に抗痙攣薬であ
るフェノバルビタール、フェニトイン、およびカルバマ
ゼピンを添加した試料を測定した結果、得られたクロマ
トグラムを示す。
ロマトグラフィーを用いて、健常人血清に抗痙攣薬であ
るフェノバルビタール、フェニトイン、およびカルバマ
ゼピンを添加した試料を測定した結果、得られたクロマ
トグラムを示す。
【図7】実施例2で得られた充填剤を用いて、局所麻酔
薬であるプロカインアミドおよびプロカインを健常人血
清に添加した試料の測定の結果、得られたクロマトグラ
ムを示す。
薬であるプロカインアミドおよびプロカインを健常人血
清に添加した試料の測定の結果、得られたクロマトグラ
ムを示す。
【図8】比較例2の充填剤を用いて、局所麻酔薬である
プロカインアミドおよびプロカインを健常人血清に添加
した試料の測定の結果、得られたクロマトグラムを示
す。
プロカインアミドおよびプロカインを健常人血清に添加
した試料の測定の結果、得られたクロマトグラムを示
す。
1 溶離液 2 送液ポンプ 3 試料注入装置 4 分離カラム 5 検出器 6 記録計 7 前処理液 8 前処理カラム 9 六方バルブ
Claims (2)
- 【請求項1】 多孔性架橋重合体粒子でなるコア粒子、
および被覆層を有するクロマトグラフィー用充填剤であ
って、 該コア粒子の孔内表面が疎水性であり、かつ粒子外表面
に親水性重合体でなる被覆層が形成されている、 液体クロマトグラフィー用充填剤。 - 【請求項2】 液体クロマトグラフィー用充填剤の製造
方法であって、 多孔性の疎水性架橋重合体粒子でなるコア粒子に有機溶
媒および重合開始剤を含浸させる工程;該有機溶媒およ
び重合開始剤を含浸させた多孔性の疎水性架橋重合体粒
子を水性分散媒に分散させる工程;および得られた分散
液に該有機溶媒に溶解しない親水性単量体を添加し、該
架橋重合体粒子の外表面のみで該親水性単量体を重合さ
せ、該架橋重合体粒子の外表面のみに親水性重合体でな
る被覆層を形成する工程;を包含する、液体クロマトグ
ラフィー用充填剤の製造方法。
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JP10745592A JP3164641B2 (ja) | 1992-04-27 | 1992-04-27 | 液体クロマトグラフィー用充填剤およびその製造方法 |
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JP (1) | JP3164641B2 (ja) |
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- 1992-04-27 JP JP10745592A patent/JP3164641B2/ja not_active Expired - Fee Related
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