JPH0530207Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案は、自動販売機のコインメカニズムに配
設される硬貨収納パイプ内の収納硬貨の金種確認
装置に関する。

(ロ) 従来の技術 自動販売機内で投入硬貨の選別収納処理や釣銭
払出し処理等の硬貨処理動作を行なうコインメカ
ニズムには、釣銭用の硬貨を保留しておくための
硬貨収納パイプが設けられる。この硬貨収納パイ
プには、コインメカニズム内に設けられた硬貨選
別器によつて選別された硬貨が収納されるもの
と、釣り銭不足に備えて予備の硬貨を保留してお
くための予備用のものとがある。

一方、実開昭59−6275号公報や実開昭61−
155982号公報に開示されているように硬貨収納パ
イプに透明な材質が使用されることは従来より知
られている。透明な硬貨収納パイプが、コインメ
カニズムの前面側に配設されていれば、内部を透
視することにより、パイプ内に保留されている硬
貨の金種を確認することができる。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 しかしながら、近年の自動販売機においては、
高額な商品を販売したり、他品種の商品をまとめ
て販売する傾向にあり、コインメカニズムの前面
側に並設配置した硬貨収納パイプの後方にも予備
用の硬貨収納パイプを設けるようにしたものがあ
る。

このように前面側の硬貨収納パイプの後列に硬
貨収納パイプを設けた場合は、透明な材質を用い
てパイプを形成しても、後部の硬貨収納パイプ内
に収納されている硬貨の金種を確認することがで
きない。

また、予備用の硬貨収納パイプで、異なる金種
の硬貨を兼用して収納するようにしたものでは、
収納されている硬貨の金種が常時確認されていな
ければ、硬貨補充の際に収納ミスなどの不都合が
生じるようになる。

そこで本考案は、このような従来の問題点を解
決し、硬貨収納パイプ内に収納されている硬貨の
金種の確認を容易に行なえる金種確認装置を提供
することを目的とする。

(ニ) 問題点を解決するための手段 この目的を達成するために本考案による硬貨収
納パイプの金種確認装置は、コインメカニズムに
配設される硬貨収納パイプの壁面に案内溝を設
け、この硬貨収納パイプに取付けられる前面パネ
ルに上記案内溝に対向して長孔を穿設し、この長
孔の側方の上記前面パネル上に金種表示部を設
け、開脚した弾発体の脚部が上記案内溝に嵌合す
ると共にその頭部が上記長孔に遊嵌しその肩部が
前面パネルの背面に上記脚部の弾発力で当接する
摺動体を、上記前面パネルと上記硬貨収納パイプ
との間に設け、上記長孔の側方の上記前面パネル
背面には上記摺動体を位置決めするための複数の
突起を上記金種表示部内の個々の金種表示の略中
央に設けたことを特徴とする。

(ホ) 作用 上述の構成によれば、上記摺動体を弾発性の脚
部に抗して下方に押し下げ位置決め用の突起を超
えて長孔内をスライドさせれば、所望の金種表示
に対応した位置へ摺動体を移動することができ
る。したがつて、硬貨収納パイプ内に収納される
硬貨の金種に対応させて上記摺動体を移動させて
おけば、常時硬貨収納パイプ内に収納されている
硬貨の金種を確認することができる。

(ヘ) 実施例 以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説
明する。

第１図に、本発明の一実施例による硬貨収納パ
イプの金種確認装置を設けたコインメカニズムを
示す。

この第１図において、自動販売機での硬貨処理
に関する動作を行なうコインメカメズム１は、最
上部に硬貨受入口２が設けられ、この硬貨受入口
２から取り入れられた硬貨が下方の硬貨選別器３
において選別される。

また、上記金種確認装置が設けられる前面の平
板上のカバー４後方には、第２図に示すように複
数の硬貨収納パイプを並設し一体に形成したカセ
ツト式の硬貨パイプ本体５が取り付けられてい
る。この硬貨パイプ本体５には、上記硬貨選別器
３によつて選別された硬貨が振り分けられて収納
される。図中左側３列の硬貨収納パイプ６と、釣
り銭不足を補うための右側２列の予備用硬貨収納
パイプ７Ａ，７Ｂが設けられている。これら予備
用の硬貨収納パイプ７Ａ，７Ｂには、異なる金種
の硬貨が状況に応じて兼用して収納される。

また、硬貨パイプ本体５の前面四隅には、切り
欠き８が形成されており、これら切欠き８に上記
カバー４の背面四隅に設けられたフツク状の係止
片９がそれぞれ係合することにより、カバー４が
硬貨パイプ本体５の前面部に所定の間隔を隔てて
着脱自在に取付けられる。

また、硬貨パイプ本体５の前部壁面には、予備
用硬貨収納パイプ７Ａ，７Ｂの略中央部に略コ字
状をなす案内溝１０がパイプの長手方向に設けら
れている。

第３図に、この案内溝１０を上方から見た第２
図の−線断面図を示す。

カバー４には、案内溝１０と対向する位置に２
つの長孔１１，１１が上下方向に穿設されてお
り、カバーの前面にはこれら長孔１１，１１の側
方近傍に、例えば10円、50円、100円というよう
に金種表示部１２，１２が上下方向に等間隔にそ
れぞれ印刷等により表示されて設けられている。
またカバー４の背面にはこれら長孔１１、および
１１の左右側方に、案内溝１０の側壁１０ａ，１
０ａに対向する案内側壁１３，１３が上下方向に
突設されている。案内側壁１３，１３の間隔W₁
は、第４図に示すように長孔１１の孔幅W₂より
も大きく形成されている。またカバー４の背面に
は、長孔１１，１１の左右側方であつて案内側壁
１３，１３の内側に位置決め用の複数の突起１４
が第５図に示すように等間隔に上下に設けられて
いる。上下の突起１４，１４間の略中央に対応し
た位置に上記金種表示部１２内の個々の金種表示
１２ａがなされている。

そして所定の間隔を隔てた上記カバー４と硬貨
パイプ本体５との間には、頭部１５が長孔１１内
に遊嵌し、上下に開いた弾性体の一対の脚部１
６，１６が案内溝１０に嵌め込まれて圧設してい
る摺動体１７がそれぞれの長孔１１，１１部に設
けられている。この摺動体１７の中央部は、左右
の案内側壁１３，１３方向に突出しており、この
突出部１８の肩部１８ａは脚部１６，１６の弾発
力により押し上げられて、長孔１１の背面部１１
ａに当接している。これにより脚部１６，１６の
弾発力を利用して、摺動体１７が定位置に保持さ
れるようになつている。なお脚部１６，１６間に
配設され案内溝１０方向に突出する突片１９は、
摺動体１７を押し下げた際に突片１９の先端を案
内溝１０の溝底に当接させることで、摺動体１７
の頭部１５が長孔１１より外れるのを防ぐように
するためのものである。

上記摺動体１７は、頭部１５が長孔１１の側壁
に挾まれ、中央部の突出部１８が案内側壁１３，
１３に挟まれて、長孔１１、案内側壁１３，１３
および案内溝１０に案内されて、長孔１１内を上
下方向に摺動し、突起１４により固定位置の位置
決めが行なわれる。

このように構成される上記金種確認装置では、
カバー４前面の上部の金種確認装置によつて、た
とえば左列の予備用硬貨収納パイプ７Ａ内に収納
される硬貨の金種の確認を行なうようにし、下部
の金種確認装置によつて右列の予備用硬貨収納パ
イプ７Ｂ内の硬貨の金種の確認を行なうように予
め定めておけば、第１図に示す摺動体１７の位置
では左列の予備用硬貨収納パイプ７ａ内に10円硬
貨が収納されていることが確認でき、右列の予備
用硬貨収納パイプ７Ｂ内には50円硬貨が収納され
ていることが確認できる。

予備用硬貨収納パイプ７Ａまたは７Ｂ内に収納
する硬貨の金種を変えたい場合は、第５図に示す
ように先端部がとがつたシヤープペン等から成る
治具２０を摺動体１７の前面部の凹部２１に当て
て、脚部１６，１６の弾発力に抗して摺動体１７
を押し下げ、所望の金種表示１２ａに対応する位
置まで摺動体１７を突起１４を超えて上下方向に
スライドさせて治具２０を凹部２１より離す。す
ると、位置を変えた摺動体１７は、突起１４によ
つて位置決めされ上下方向の移動が阻止される。

このように上記金種確認装置によつて、予備用
硬貨収納パイプ７ａ，７Ｂ内に収納されている硬
貨の金種を常時確認することができるので、釣銭
の補充時に誤つて異なる金種の硬貨をパイプ７
Ａ，７Ｂ内に入れてしまうような不具合を防止で
き、パイプ７Ａ，７Ｂ内へ補充すべき金種の忘れ
防止に役立てることができる。

また、上記金種確認装置を用いれば、透明な材
質によつて硬貨収納パイプを形成する必要もなく
なる。

また、硬貨パイプ本体５の後部に一体に別の予
備用硬貨収納パイプが設けられているような場合
には、上記金種確認装置を用いることにより、従
来透明な材質を用いてパイプを形成したとしても
困難であつた後部列の予備用硬貨収納パイプ内に
収納されている硬貨の金種を容易に確認すること
ができる。

(ト) 考案の効果 以上説明したように本考案によれば、硬貨収納
パイプの前面パネルに、複数の金種表示に沿つて
摺動自在な摺動体を設けると共に、この摺動体を
個々の金種表示に対応した位置に位置決めができ
るようにしたので、硬貨収納パイプ内に保留され
た硬貨の金種に対応させて摺動体の位置を移動さ
せておけば、パイプ内に何の金種の硬貨が保留さ
れているかを即座に確認することができる。した
がつて、硬貨収納パイプ内に保留されている硬貨
の金種の忘れ防止に役立つと共に、硬貨収納パイ
プ内への釣銭補給の作業性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例による金種確認装置
を配したコインメカニズムの正面図、第２図はカ
バーを取外した硬貨パイプ本体を示す斜視図、第
３図は第２図の−線断面図、第４図は第１図
の−線断面図、第５図は第１図の−線断
面図である。 １……コインメカニズム、４……カバー、５…
…硬貨パイプ本体、６……硬貨収納パイプ、７
Ａ，７Ｂ……予備用硬貨収納パイプ、１０……案
内溝、１１……長孔、１２……金種表示部、１２
ａ……金種表示、１３……案内側壁、１４……突
起、１５……上端部、１６……脚部、１７……摺
動体、１９……突片、２０……治具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コインメカニズムに配設される硬貨収納パイプ
   の壁面に案内溝を設け、その硬貨収納パイプに取
   り付けられる前面パネルに上記案内溝に対向して
   長孔を穿設し、この長孔の側方の上記前面パネル
   上に金種表示部を設け、開脚した弾発体の脚部が
   上記案内溝に嵌合しその頭部が上記長孔に遊嵌し
   その肩部が前面パネルの背面に上記脚部の弾発力
   で当接する摺動体を、上記前面パネルと上記硬貨
   収納パイプとの間に設け、上記長孔の側方の上記
   前面パネル背面には上記摺動体を位置決めするた
   めの複数の突起を上記金種表示部内の個々の金種
   表示の略中央部に設けたことを特徴とする硬貨収
   納パイプの金種確認装置。