JPH053016Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、釣用リールの平行巻取り装置等に組
込まれる往復運動用綾溝機構に関する。さらに詳
しくは、この往復運動用綾溝機構の動作性能に係
る構造の改良に関する。

［従来の技術］ 従来、往復運動用綾溝機構としては、例えば軸
方向の相対する方向へ螺旋状に刻設されその両端
で連通した綾溝を有し軸芯を中心として回転され
る綾溝シヤフトと、綾溝シヤフトの綾溝内を摺動
する摺動爪を有する滑子と、滑子を回転自在に収
納し綾溝シヤフトの軸方向へ移動自在で回転不能
に嵌合した滑子ホルダとを備えてなり、綾溝シヤ
フトの回転よつて滑子ホルダを綾溝シヤフトの軸
方向へ往復移動するようにしたものが知られてい
る。

この従来の往復運動用綾溝機構によると、滑子
の摺動爪が綾溝シヤフトの軸線に対し傾斜した一
定の角度をもつて綾溝内を摺動し、綾溝の両端部
において滑子の摺動爪が綾溝シヤフトの軸線に対
し直交し、続いて滑子の摺動爪が綾溝シヤフトの
軸線に対し逆側に傾斜した一定の角度をもつて綾
溝内を摺動することになる。

［考案が解決しようとする課題］ 前述の従来の往復運動用綾溝機構では、綾溝の
両端部における滑子の摺動爪の角度変更によつ
て，綾溝と滑子の摺動爪との摺擦抵抗が高くなる
ため、滑子ホルダの往復移動の折返し動作が円滑
に行なわれなくなるという問題点を有している。

本考案はこのような問題点を解決するためにな
されたものであり、その目的は、滑子ホルダの往
復移動の折返し動作を円滑にした往復運動用綾溝
機構を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 前述の目的を達成するため、本考案に係る往復
運動用綾溝機構は、次のような手段を採用する。

即ち、請求項１では、軸方向の相対する方向へ
螺旋状に刻設されその両端で連通した綾溝を有し
軸芯を中心として回転される綾溝シヤフトと、綾
溝シヤフトの綾溝内を摺動する摺動爪を有する滑
子と、滑子を回転自在に収納し綾溝シヤフトの軸
方向へ移動自在で回転不能に嵌合した滑子ホルダ
とを備えてなる往復運動用綾溝機構において、滑
子側と滑子ホルダ側との一方に凹部を他方に凸部
を設け、凹凸部の係脱により滑子を滑子ホルダ内
で摺動させて滑子の摺動爪の綾溝への摺擦深度を
可変させると共に、凹凸部を滑子の摺動爪が綾溝
シヤフトの軸線と直交する方向に位置した際に噛
合されるように配置したことを特徴とする手段で
ある。

また、請求項２では、請求項１の往復運動用綾
溝機構において、滑子側と滑子ホルダ側との間に
凹凸部を噛合する方向へ付勢する補助部材を介装
したことを特徴とする手段である。

［作用］ 前述の手段によると、請求項１では、凹凸部の
噛合によつて、綾溝の両端部での滑子の摺動爪の
綾溝への摺擦深度が浅く可変されることから、摺
擦抵抗を低くすることができるため、滑子ホルダ
の往復移動の折返し動作を円滑にするという目的
が達成される。

また、請求項２では、摺擦抵抗を低くする凹凸
部の噛合が補助部材によつて付勢補助されるた
め、滑子ホルダの往復移動の折返し動作を円滑に
するという目的がさらに有効に達成される。

［実施例］ 以下、本考案に係る往復運動用綾溝機構の実施
例を図面に基いて説明する。

第１図〜第６図は本考案に係る往復運動用綾溝
機構の第一実施例を示すもので、請求項１に対応
するものである。

この実施例では、第１図から明らかなように、
釣用リールの平行巻取り装置に組込まれたものを
示してある。

この実施例の釣用リールは、左右側枠１，２の
間に支承されたスプール３を一方の側枠１に取付
けられたハンドル４で回転駆動するように構成さ
れている。さらに、このような構成に対して、左
右の側枠１，２の間にスプール３と平行に支承さ
れた綾溝シヤフト５が設けられており、この綾溝
シヤフト５もハンドル４によつて軸芯を中心とし
て回転駆動されるようになつている。

この綾溝シヤフト５は軸方向の相対する方向へ
螺旋状に刻設された二本の綾溝５１，５２を有し
ており、これ等綾溝５１，５２はその両端で連通
してエンドレス状となつている。なお、綾溝５
１，５２が連通する連通部５３は、綾溝シヤフト
５の軸線に対し直交した配置となつている。

このような綾溝シヤフト５に対しては、滑子６
が連係している。滑子６は、前記綾溝５１，５２
内に係合して摺動する弧状の摺動爪６１と、この
摺動爪６１をその一端面に備えた円柱形の基部６
２とからなる。この滑子６は、筒状の滑子ホルダ
７内にその基部６２が回転自在となるように収納
されている。

この滑子ホルダ７は、滑子６の基部６２を回転
自在に収納する筒状の本体７１の外に、滑子６を
収納組付けるためのキヤツプ７２と、テグスを挿
通するガイド孔７３とを有している。また、この
滑子ホルダ７は前記綾溝シヤフト５とこれに沿設
されたガイド板８とに係合、嵌合しており、綾溝
シヤフト５の軸方向へ移動可能で回転不能になつ
ている。

さらに、前記滑子６、滑子ホルダ７の両者間に
おいては、凹凸部１０構造が構成されている。こ
の凹凸部１０は、滑子６の摺動爪６１の反対側の
基部６２の端面に180度の間隔を介して設けられ
た二個の凹部１０ａと、滑子ホルダ７の本体７１
の溝７１′に回止め９′が係合されて取付けられた
カム板９に前記凹部１０ａと対応して設けられた
凸部１０ｂとからなる。なお、この凹凸部１０は
曲面形に形成しており、互いに円滑に噛合が係脱
できるようになつている。また、前記凹部１０ａ
は滑子６の摺動爪６１と同一線上に配置され、前
記凸部１０ｂは綾溝シヤフト５の軸線に直交する
線上に配置されている。

このような実施例によると、綾溝シヤフト５が
回転されることによつて滑子６の摺動爪６１が綾
溝シヤフト５の一方向の綾溝５１内を一定の傾斜
角度をもつて摺動するため、滑子６を収納してい
る滑子ホルダ７が綾溝シヤフト５の軸方向の一方
向へ移動し、滑子６の摺動爪６１が連通部５３に
至るとその傾斜角度が綾溝シヤフト５の軸線と直
交し、さらに滑子６の摺動爪６１が逆方向の綾溝
５２内を逆の一定の傾斜角度をもつて摺動するた
め、滑子ホルダ７が綾溝シヤフト５の軸方向の逆
方向へ移動することになる。

このような滑子ホルダ７の移動において、滑子
ホルダ７のガイド孔７３に挿通されたテグスは、
滑子ホルダ７の綾溝シヤフト５の軸方向即ちスプ
ール３の軸方向へ均等に供給され、スプール３に
均等に巻取られることになる。

また、このような滑子ホルダ７の移動において
は、滑子６の摺動爪６１が綾溝シヤフト５の綾溝
５１，５２の連通部５３に位置している場合、即
ち摺動爪６１が綾溝シヤフト５の軸線に対して直
交している場合、摺動爪６１と同一線上にある凹
凸部１０の凹部１０ａは綾溝シヤフト５と直交す
る線上に配置されている凸部１０ｂと噛合するこ
とになる。この凹部１０ａ、凸部１０ｂの噛合
は、第３図に示すように摺動爪６１の綾溝５１，
５２の連通部への摺擦深度を浅くし、摺擦抵抗を
低くすることになる。なお、前記連通部５３以外
では、前記凹部１０ａ、凸部１０ｂの噛合が解除
され、前記摺擦深度が深くなり摺擦抵抗も高くな
る。

このため、滑子ホルダ７の折返し動作が行われ
る綾溝シヤフト５の両端部において摺擦抵抗が低
く可変されることになる。

第７図、第８図は本考案に係る往復運動用綾溝
機構の第二実施例を示すもので、請求項２に対応
するものである。

この実施例では、前述の第一実施例において、
滑子６と滑子ホルダ７との間に、凹部１０ａ、凸
部１０ｂが噛合する方向へ付勢するスプリングか
らなる補助部材２０を介装したものである。

この実施例によると、凹部１０ａ，凸部１０ｂ
の噛合動作が補助部材２０によつて付勢補助され
るため、前述の滑子ホルダ７の折返し動作が円滑
となる。

なお、補助部材２０については、スプリングの
外に、マグネツト等他の構造のものを採用するこ
とができる。

以上、図示した実施例の外に、前記凹凸部１０
をカム板９を介せず滑子６、滑子ホルダ７に直接
的に設ける構造の実施例とすることも可能であ
る。また、この凹凸部１０を設ける箇所につい
て、滑子６の基部６２の周面と滑子ホルダ７の本
体７１の内周面との間に構成する実施例とするこ
とも可能である。

［考案の効果］ 以上のように本考案に係る往復運動用綾溝機構
は、請求項１，２共通として、綾溝の両端部での
滑子の摺動爪の綾溝への摺擦深度が浅く可変され
るため、摺擦抵抗が低くなり、滑子ホルダの往復
移動の折返し動作が円滑になるという効果があ
る。また、この効果により、釣用リールについて
実施した場合には、釣用リールの操作性が良好と
なる効果を生ずる。

さらに、請求項２のみとして、前記折返し動作
が補助部材によつて付勢補助されるため、前述の
円滑効果をより向上する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る往復運動用綾溝機構の第
一実施例を示す断面図、第２図は第１図を構成す
る要部の拡大斜視図、第３図は第１図の動作を示
す要部拡大断面図、第４図は第３図のＸ−Ｘ線断
面図、第５図は第１図の他動作を示す要部拡大断
面図、第６図は第５図のＹ−Ｙ線断面図、第７図
は本考案に係る往復運動用綾溝機構の第二実施例
を示すもので前記第３図の対応図、第８図は同第
４図の対応図である。 ５……綾溝シヤフト、６……滑子、７……滑子
ホルダ、１０……凹凸部、５１，５２……綾溝、
５３……連通部、６１……摺動爪、２０……補助
部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 軸方向の相対する方向へ螺旋状に刻設されそ
   の両端で連通した綾溝を有し軸芯を中心として
   回転される綾溝シヤフトと、綾溝シヤフトの綾
   溝内を摺動する摺動爪を有する滑子と、滑子を
   回転自在に収納し綾溝シヤフトの軸方向へ移動
   自在で回転不能に嵌合した滑子ホルダとを備え
   てなる往復運動用綾溝機構において、滑子側と
   滑子ホルダ側との一方に凹部を他方に凸部を設
   け、凹凸部の係脱により滑子を滑子ホルダ内で
   摺動させて滑子の摺動爪の綾溝への摺擦深度を
   可変させると共に、凹凸部を滑子の摺動爪が綾
   溝シヤフトの軸線と直交する方向に位置した際
   に噛合されるように配置したことを特徴とする
   往復運動用綾溝機構。 ２ 請求項１の往復運動用綾溝機構において、滑
   子側と滑子ホルダ側との間に凹凸部を噛合する
   方向へ付勢する補助部材を介装したことを特徴
   とする往復運動用綾溝機構。