JPH05301073A - ポリエチレン粉体ライニングの下地処理方法 - Google Patents

ポリエチレン粉体ライニングの下地処理方法

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JPH05301073A
JPH05301073A JP10763992A JP10763992A JPH05301073A JP H05301073 A JPH05301073 A JP H05301073A JP 10763992 A JP10763992 A JP 10763992A JP 10763992 A JP10763992 A JP 10763992A JP H05301073 A JPH05301073 A JP H05301073A
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繁夫 長谷川
Tadashi Tamai
忠 玉井
Morio Nakada
盛生 中田
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Ajikawa Iron Works & Constr
AJIKAWA TEKKO KENSETSU KK
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Ajikawa Iron Works & Constr
AJIKAWA TEKKO KENSETSU KK
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 炭素鋼からなる被ライニング材のポリエチレ
ンライニングの下地処理方法に関する。 【構成】 ポリエチレン粉体の溶融温度以上に予備加熱
した炭素鋼からなる被ライニング材に該ポリエチレン粉
末を供給し、被ライニング材の熱によって粉末を溶融さ
せ、被ライニング材表面に連続したポリエチレンの被膜
を形成させるライニング方法において、被ライニング材
表面を脱脂洗浄し、水洗後、塩酸酸洗し、水洗したの
ち、苛性ソーダ、オルトリン酸ソーダ、亜硝酸ソーダか
らなる沸騰水溶液に浸漬し、該被ライニング材表面にF
3 4 を主体とする被膜を形成させ、次いで水洗後、
pHが4.5〜6.0であって、CrO3 濃度が0.0
05〜0.05wt%のクロム酸水溶液に浸漬したのち
乾燥させるポリエチレン粉体ライニングの下地処理方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭素鋼からなる各種装置
の配管、機器に用いられるポリエチレンライニングの下
地処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエチレン粉体ライニングは炭
素鋼からなる被ライニング材表面を脱脂洗浄し、ブラス
ト処理または酸洗浄してからリン酸塩による化成処理被
膜を形成させたのち、200〜300℃に該被ライニン
グ材を予備加熱して、ポリエチレンの粉体を供給して被
ライニング材の保有熱または被ライニング面の逆側から
の供給熱によりポリエチレンの粉体を熱溶融して連続し
たポリエチレンライニング被膜を形成する方法が行われ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これまで、ポリエチレ
ン粉体ライニングは水道用配管あるいは海水取水管など
比較的温度の低い(30℃以下)液と接する環境に多用
され、耐久性の面でもそれなりの実績を有している。と
ころが従来の方法で施工したポリエチレン粉体ライニン
グ材を化学プラント、発電プラントなど液温が50〜6
0℃の環境に用いた場合、ポリエチレンの被膜が短時間
で剥離したり、ブリスタを生じる事故が多発している。
剥離及びブリスタ部の被ライニング面を調査すると、必
ず被ライニング面の腐食が認められることから、従来の
ポリエチレンライニング材は液温が高く、かつ、水蒸気
及び酸素の透過が加速される温度勾配環境に用いた場
合、下地面が腐食されやすいことが分かる。
【0004】従来のポリエチレン粉体ライニング法にお
けるブラスト処理またはリン酸塩による化成処理などの
下地処理は塗装及び樹脂またはゴムライニングなどの下
地処理として産業界で広範囲に適用されている方法であ
るが、200〜300℃で被ライニング材を加熱し、ポ
リエチレン粉末を熱溶融させるポリエチレン粉体ライニ
ング法における下地処理方法としては次のような理由で
必ずしも適正とは言い難い。
【0005】先ず、ブラスト処理は被ライニング面の錆
または異物などを除去することと、ブラストにより生じ
た表面の凹凸のアンカ効果によって、塗膜またはライニ
ングの付着力を向上するとともに、前記錆または異物付
着に起因する局部電池形成による腐食を抑制する狙いが
ある。しかし、ブラスト処理面は活性金属面が露出して
おり、腐食環境に暴露された場合、全面腐食が進行し、
腐食を抑制する効果は期待できない。
【0006】そこで一般の塗装、樹脂ライニング、ゴム
ライニングなどではZn,Sn,Alなどの粉体を配合
したプライマーを塗布し、ブラスト面の腐食を防止する
方法が採用されている。ところが、ポリエチレン粉体ラ
イニングの場合、200〜300℃に加熱するため、前
記防食効果を期待したプライマーは樹脂の熱分解及び前
記Zn,Sn,Alが酸化されて、ZnO2 ,Sn
2 ,Al2 3 などに変化し、電気化学的な防食作用
も消失するため使用できず、ライニング用のポリエチレ
ン粉体を直接供給してライニングしている。また、被ラ
イニング材の予備加熱工程及びポリエチレン粉体の溶融
は空気中で行われており、この間に被ライニング材のブ
ラスト面は局部的に酸化され、腐食環境に暴露された場
合、局部電池形成による腐食されやすいFe2 3 系の
酸化膜が部分的に形成されやすい。
【0007】一方、リン酸塩による化成処理被膜を形成
させる下地処理は腐食性物質の拡散抑制及びその被膜中
に含まれる金属塩による電気化学的防錆効果を狙いとし
て一般的に塗装下地処理として適用されている方法であ
る。しかしながら、リン酸塩による化成処理被膜はMn
3 (PO4 2 ・2MnHPO4 ・4H2 OとFeHP
4 ・4H2 Oの混合結晶あるいはZn3 (PO4 2
・4H2 OとFeHPO4 ・2〜4H2 Oの混合結晶あ
るいはγ・Fe2 3 ・FePO4 ・2H2 OまたはF
eHPO4 ・4〜8H2 Oなどからなっている。これら
の結晶は100〜240℃で結晶水を放出するととも
に、リン酸マンガン系被膜では250℃付近、リン酸亜
鉛系では130℃から酸化分解が始まる。従って、20
0〜300℃で加熱溶融させるポリエチレン粉体ライニ
ングにおいては脱水によるポーラス化、脱水時のリン酸
被膜のクラック発生及び化成処理被膜の付着力の低下ば
かりでなく、リン酸被膜中のMn,Znなどの酸化によ
る防食効果の低下、更にはこれらの塩の酸化が進行して
いる場合には腐食電位の逆転による腐食の加速などにつ
ながり、一般的に適用されている塗装下地処理と同等の
防錆効果は期待できず、ポーラス化、クラック発生によ
る付着力の低下で、剥離やブリスタが短時間に発生しや
すくなる。
【0008】従って、耐食性、被付着性、耐摩耗性など
に優れたポリエチレンライニングを従来使用してきた常
温付近の環境よりも耐ブリスタ性の面で問題となる高温
環境への適用拡大を図るためには付着性に優れ、かつ耐
食性に優れた下地処理方法の開発が望まれており、技術
的課題になっている。
【0009】本発明は上記技術水準に鑑み、かつ上記技
術的課題に応じて、高温環境下でも優れたポリエチレン
ライニングを施工できる下地処理方法を提供しようとす
るものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明はポリエチレン粉
体の溶融温度以上に予備加熱した炭素鋼からなる被ライ
ニング材に該ポリエチレン粉末を供給し、被ライニング
材の熱によって粉末を溶融させ、被ライニング材表面に
連続したポリエチレンの被膜を形成させるライニング方
法において、被ライニング材表面を脱脂洗浄し、水洗
後、塩酸酸洗し、水洗したのち、苛性ソーダ、オルトリ
ン酸ソーダ、亜硝酸ソーダからなる沸騰水溶液に浸漬
し、該被ライニング材表面にFe3 4 を主体とする被
膜を形成させ、次いで水洗後、pHが4.5〜6.0で
あって、CrO3 濃度が0.005〜0.05wt%の
クロム酸水溶液に浸漬したのち乾燥させることを特徴と
するポリエチレン粉体ライニングの下地処理方法であ
る。
【0011】
【作用】本発明は被ライニング材の表面を脱脂、酸洗
し、水洗後、塩酸酸洗し、水洗して清浄にし、この面に
耐熱、耐食性に優れ、付着力にも優れているFe3 4
の均一で緻密な被膜を形成しており、ポリエチレン粉体
の熱溶融時に従来生じていた局部的な酸化膜の形成がな
く、高温環境に使用した場合でもFe3 4 の均一膜に
よって母材の腐食が抑制されるため、剥離やブリスタを
生じることなく、長期間の使用に耐えるポリエチレン粉
体ライニング材を提供することができる。
【0012】本発明の脱脂、酸洗し、水洗後、塩酸酸洗
し水洗するのは、次工程の耐熱性、耐食性に優れ、付着
力に優れたFe3 4 を均一に被ライニング材表面に形
成させるためである。
【0013】被ライニング材表面に均一で緻密な耐熱
性、耐食性及び付着力に優れたFe34 被膜を形成す
るためには苛性ソーダ40〜50wt%、オルトリン酸
ソーダ5〜15wt%、亜硝酸ソーダ2〜8wt%の沸
騰水が用いられるが、好ましくは苛性ソーダ45wt
%、オルトリン酸ソーダ10wt%、亜硝酸ソーダ5w
t%の沸騰水であり、結晶粒径の均一なFe3 4 被膜
が形成される。
【0014】本発明において、被ライニング材表面にF
3 4 を主体とする被膜を形成させたのち、次いで水
洗後、pHが4.5〜6.0であって、CrO3 濃度が
0.005〜0.05wt%のクロム酸水溶液に浸漬す
ることによって、前記Fe34 被膜に付着しているア
ルカリを中和するとともに、Fe3 4 結晶の欠乏箇所
があった場合、下地金属までCrO3 が入り欠乏部が防
食される。pHが4.5未満と低く、CrO3 が0.0
5wt%を越えて高い場合には、Fe3 4 結晶の欠乏
部から入ったクロム酸により下地金属が腐食され、Fe
3 4 の結合力を弱め、耐ブリスタ性が悪くなる。ま
た、pHが6.0を越えて高く、CrO3が0.005
wt%未満の場合は欠乏部下地金属のクロムによる防食
効果が低くなる。
【0015】
【実施例】厚さ3mm、直径120mmの炭素鋼板を6
0℃のオルソケイ酸ソーダ3%溶液に10分間浸漬し脱
脂洗浄したのち、温水洗浄し、次いで50℃の塩酸5%
溶液に10分間浸したのち、90℃の温水で洗浄した。
【0016】次いで、苛性ソーダ45wt%、オルトリ
ン酸ソーダ10wt%、亜硝酸ソーダ5wt%、水40
wt%からなる溶液を135〜145℃に加熱した処理
槽に20分間浸漬した。浸漬後の鋼板を温水で洗浄した
のち、pHが4.5〜6.0であって、CrO3 濃度が
0.005〜0.05wt%のクロム酸水溶液に常温で
10秒間浸漬したのち熱風乾燥した。
【0017】このFe3 4 被膜を形成させたのちクロ
ム酸水溶液に浸漬し乾燥した炭素鋼板を250℃±10
℃に熱板上で加熱したのちメルトフローレート3.0g
/10minで平均粒径100μmのポリエチレン粉体
を前記下地処理をした面に均一に散布し、1mm厚のポ
リエチレンライニング膜を形成させた。
【0018】表1に前記下地処理において、Fe3 4
被膜形成後のクロム酸水溶液浸漬におけるクロム酸濃度
を変えて下地処理した炭素鋼にポリエチレン粉体ライニ
ングした供試材の接着強さ測定結果と、前記供試材を用
いてポリエチレンライニング側にpHが0.5の硫酸水
溶液を入れて60℃に加熱し、ライニングをしていない
鋼板側に20℃の冷却水で冷却した条件下で、ブリスタ
が発生するまでの時間を測定し、その結果をリン酸亜鉛
系化成処理面にポリエチレン粉体をライニングした参考
材にブリスタが発生するまでの期間との倍率で示した。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】本発明の下地処理を適用することによ
り、従来剥離やブリスタ発生が問題となり実用し難かっ
た50〜60℃の環境にポリエチレン粉体ライニングが
適用可能になった。ポリエチレン粉体ライニングは前記
環境条件に用いられる他の樹脂(熱硬化性樹脂)ライニ
ングやゴムライニングに比べて生産コストも低く、樹脂
ライニングやゴムライニングで施工できないような小口
径の配管内面にも施工できる利点もあり、本発明により
ポリエチレン粉体ライニングの適用範囲の拡大が見込ま
れることから、その工業的効果は大きく、かつ長期寿命
確保による信頼性向上効果も大きい。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 22/00 Z 22/78 22/83 (72)発明者 中田 盛生 大阪府大阪市西淀川区竹島4丁目11番88号 安治川鉄工建設株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレン粉体の溶融温度以上に予備
    加熱した炭素鋼からなる被ライニング材に該ポリエチレ
    ン粉末を供給し、被ライニング材の熱によって粉末を溶
    融させ、被ライニング材表面に連続したポリエチレンの
    被膜を形成させるライニング方法において、被ライニン
    グ材表面を脱脂洗浄し、水洗後、塩酸酸洗し、水洗した
    のち、苛性ソーダ、オルトリン酸ソーダ、亜硝酸ソーダ
    からなる沸騰水溶液に浸漬し、該被ライニング材表面に
    Fe3 4 を主体とする被膜を形成させ、次いで水洗
    後、pHが4.5〜6.0であって、CrO3 濃度が
    0.005〜0.05wt%のクロム酸水溶液に浸漬し
    たのち乾燥させることを特徴とするポリエチレン粉体ラ
    イニングの下地処理方法。
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