JPH05301043A - 低比重リポ蛋白吸着材 - Google Patents

低比重リポ蛋白吸着材

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JPH05301043A
JPH05301043A JP4104821A JP10482192A JPH05301043A JP H05301043 A JPH05301043 A JP H05301043A JP 4104821 A JP4104821 A JP 4104821A JP 10482192 A JP10482192 A JP 10482192A JP H05301043 A JPH05301043 A JP H05301043A
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blood
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cellulose
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hours
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JP4104821A
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English (en)
Inventor
Hideyuki Yokota
英之 横田
Masahiro Seko
政弘 世古
Kazunori Inamori
和紀 稲森
Masakazu Tanaka
昌和 田中
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血液を直接潅流することによって血液の凝
固、血球成分の破壊、減少等の弊害を及ぼすことのない
血液適合性を有し、血中の低比重リポタンパクおよび
(または)極低比重リポタンパクを選択的、簡便、かつ
効果的に吸着することのできる吸着能、吸着特性を備え
た低比重リポタンパク吸着材を提供する。 【構成】 水不溶性固体表面に、N−スルホキトサンを
スルホン酸含量が50μeq/mlから2.0meq/
ml(湿潤状態)となるよう固定し、これによって血中
の低比重リポタンパクおよび(または)極低比重リポタ
ンパクを除去することを特徴とする低比重リポタンパク
吸着材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は動脈硬化、高脂血症の病
因物質である低比重リポ蛋白(以下LDLと略記する)
および(または)極低比重リポ蛋白(以下VLDLと略
記する)を吸着除去し、疾病を治療することを目的と
し、血液もしくは血液成分を接触させることによって血
中のLDLおよび(または)VLDLを吸着する低比重
リポ蛋白吸着材に関するものである。本発明において、
N−スルホキトサンとは、下記化1の要部構造を有する
化合物を指す。
【0002】
【化1】
【0003】また、本発明において、−NHSO3Hも
しくはこの塩をいずれもスルファミノ基と呼ぶ。
【0004】
【従来の技術】動脈硬化の原因となる高脂血症の治療に
は各種薬剤の使用が行われているが、一般に副作用の危
険性があり、使用量、使用期間などに細心の注意を払う
必要がある。また、正常値の数倍のLDLおよび(また
は)VLDL値を示し、最も重篤な症状を招く危険性の
ある家族性高脂血症(FH)では薬剤の効果が充分に期
待できない場合も多い。
【0005】他の治療方法としては血漿交換法が有効と
され、広く行われている。しかしながら、この療法では
血漿をすべて交換するため、(1)不要成分のみなら
ず、必要な成分までも除去されてしまうこと、(2)除
去した血漿に替えて体内に補充される血漿、あるいは血
漿製剤が不足しているため、大量かつ持続的な入手が困
難であること、(3)血清肝炎やアレルギー、さらには
AIDS(後天性免疫不全症候群)感染の危険性がある
こと、など血漿交換法が内含する問題は多い。
【0006】このような問題を解決できる治療法として
は、自己の血液を浄化した後に再輪注する方法、すなわ
ち、体外循環血液浄化法が望ましいとされる。この方法
を採るにあたり、副作用がなく、自己の血液から病因物
質を充分且つ選択的に除去することのできる浄化材及び
血液浄化療法が望まれていた。
【0007】こういった状況を背景として、近年、LD
Lおよび(または)VLDLの吸着除去による療法が一
般的になってきた。このような方法は例えば、アガロー
スゲルにヘパリンを固定した吸着材(S.Moorja
ni et al.,Clin.Chim.Acta.,
77(1977)21−30)などが知られているが、
この材料は吸着能力が充分でなく、機械的強度について
も充分とは言い難い。また、抗体等を固定した免疫吸着
体を利用してLDLおよび(または)VLDLの吸着除
去を行う試みがなされているが、吸着選択性、吸着能力
の面では満足できるものの、抗体の入手が困難で高価で
あるという欠点がある。
【0008】このような問題点を改善する目的で供せら
れた吸着材には、有害成分と親和性をもつ素材(シリカ
など)を多孔化したもの(特開昭59−139935,
特開昭63−160669など)、有害成分と親和性を
有する化合物(リガンド:スルホン酸基,カルボキシル
基など)を固定したものがある。後者はいわゆるアフィ
ニティー吸着材と呼ばれるもので、さらに次のふたつに
大別できる。 (1)不溶性担体にリガンドとしてポリアニオンを固定
したもの(特公昭62−59975,特開平1−145
071,リガンドをデキストラン硫酸に限定:特公平3
−5822,リガンドをヘパリンに限定:特開昭59−
139937など) (2)不溶性担体にリガンドとしてスルホン酸基および
(または)カルボキシル基をもつ単量体を固定したもの
(特公平2−51346,特開昭58−27559な
ど)
【0009】アフィニティー吸着材に用いられるリガン
ドは比較的安価で、選択性、吸着能力も比較的満足でき
るレベルにあるが、これらの吸着材は血液適合性に乏し
いため、多量のヘパリンの添加が必要となり、出血傾向
等の副作用が生じる可能性を残している。このような点
から、さらに高い効率及び特異性で病因物質を除去する
ことができ、また体液に対する悪影響の少ない浄化材が
望まれている。
【0010】LDLおよび(または)VLDL以外の物
質を吸着する吸着材に目を向けてみると、例えば、特開
平1−158970という特許にはこのような概念に基
づいて開発された血液浄化材について開示されている。
この特許によって開示されている血液浄化材は、重合度
1〜90のエチレンオキサイド骨格を有する親水性スペ
ーサーを介して、リガンドとなる低分子有機化合物を水
不溶性多孔質固体表面に固定し、これに直接血液を潅流
して免疫グロブリンを吸着することを特徴としている。
【0011】親水性スペーサーの持つ意義は大きく二つ
に分けることができる。第一に、血液中の血球成分や、
被吸着物質でないタンパクの付着を防止することであ
る。親水性スペーサーはその周辺に水を吸着している。
このため吸着材表面は水の層に覆われ、この水の層が血
球成分の付着を防いでいる(排除体積効果)。また、水
の層を形成するスペーサーが運動することにより、さら
に血球成分の付着は困難になり、付着した血球成分は脱
離しやすくなる。また、凝固因子や補体の活性化が抑制
されるといった利点を有する。
【0012】第二に、リガンドの運動性を上昇させるこ
とによって吸着能の向上が期待できるということであ
る。特に被吸着物質が巨大分子である場合、リガンドを
担体表面に直接固定しただけでは被吸着物質とリガンド
の接近が困難であり、また一部で結合したとしても結合
サイトの数が充分ではなく、容易に脱着してしまう可能
性が大きい。親水性スペーサーを介在させることによっ
て被吸着物質とリガンドとの接近が促進され、またリガ
ンドの動きに融通性があるため周囲のリガンドが被吸着
物質との結合に参与しやすく、このため結合サイトの多
い強固な結合を生成することができる。
【0013】特開平1−158970では、重合度1〜
90のエチレンオキサイド骨格を有する親水性スペーサ
ーを介在させているが、重合度が90までのエチレンオ
キサイド骨格を有する親水性スペーサーを導入しただけ
では、充分な血液適合性を実現するのは困難であり、特
開平1−158970においても血液適合性向上のため
アクリル酸誘導体のコーティングを行っている。このよ
うな操作は煩雑であるばかりでなく、毒性をもった物質
の溶出を招く可能性も存在する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の欠点を解決し、リガンドの効果を充分に引き出して、
良好な吸着能、吸着特性を有し、コーティング等の煩雑
な操作を省略してなお充分な血液適合性を持った血液浄
化吸着材を提供することにより、副作用がなく、自己の
血液からLDLおよび(または)VLDLを充分且つ選
択的に除去することのできる効果的な吸着材を提供しよ
うとしたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の低比重リポタン
パク吸着材は、水不溶性固体に親水性スペーサーを介し
てN−スルホキトサンを、スルファミノ基由来の酸含量
が50μeq/ml(湿潤状態)〜2.0meq/ml
(湿潤状態)となるよう固定し、これによって血中のL
DLおよび(または)VLDL除去することを特徴とす
るものである。本発明の低比重リポタンパク吸着材に用
いられる親水性スペーサーは」、炭素数1〜4の繰り返
し単位から成り、重合度が5〜400のポリアルキレン
オキサイド骨格を有することを特徴とする。このような
親水性スペーサーとしては、例えばポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトレメチレン
グリコールなどの骨格を有する化合物が挙げられる。本
発明に用いられる親水性スペーサーはここに例示した化
合物のように非イオン性であることが好ましい。
【0016】本発明の低比重リポタンパク吸着材は、水
不溶性固体がポリスチレン、架橋ポリビニルアルコー
ル、ポリメタクリル酸およびその誘導体或いはこれらの
共重合体などの合成有機高分子化合物、セルロース、キ
チン、キトサン等の天然有機高分子化合物、またはアシ
ルセルロース、アシルキチン等の改質天然有機高分子化
合物であることが好ましい。これらの高分子化合物のう
ち、機械的強度、リガンド導入の容易さを考慮すると、
適度に架橋したポリスチレン、ポリメタクリル酸および
その誘導体或いはこれらの共重合体、セルロースが望ま
しく、さらに好ましくはセルロースが望ましい。
【0017】本発明に用いられるN−スルホキトサンは
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下GPC
と略記する)によるポリエチレングリコール(以下PE
Gと略記する)換算で分子量1000〜20000が望
ましく、好ましくは2000〜10000、さらに好ま
しくは2500〜6000が望ましい。これよりも分子
量が小さいと血液適合性、吸着性能とも充分に得られ
ず、これよりも大きいと導入率が低下する傾向にあり、
性能の向上は望めない。
【0018】本発明でのN−スルホキトサン導入は、キ
トサンを水不溶性固体に導入した後アミノ基をスルホン
化する方法、あらかじめアミノ基をスルホン化したキト
サンを水不溶性固体に導入する方法、いずれも用いられ
得る。前者を採用する場合、N−スルホキトサンに含ま
れるアミノ基のスルホン化率は30%以上、好ましくは
50%以上、さらに好ましくは70%以上が望ましい。
後者を採用する場合、N−スルホキトサンのスルホン化
率は30%以上、好ましくは50%以上、さらに好まし
くは70%以上が望ましいが、キトサンのアミノ基が全
てスルホン化されてしまうと(スルホン化率100
%)、残存のアミノ基を利用して[水不溶性固体]−
[親水性スペーサー]に化学結合で導入することが不可
能になるので好ましくない。しかしながら、残存アミノ
基が大量に存在するとLDL吸着に好ましくない影響を
与える可能性があるので、水不溶性固体への固定が終了
した時点での残存アミノ基が全体の10%以下であるこ
とが望ましい。これを超える量の残存アミノ基が存在す
る場合、無水酢酸、無水コハク酸、1,3−プロパンス
ルトンなどによってブロックすることが推奨される。本
発明でのキトサンのN−スルホン化にはクロロスルホン
酸、濃硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄/ジメチルホルムア
ミド錯体、三酸化硫黄/ピリジン錯体などが用いられ得
るが、このなかで、三酸化硫黄/ピリジン錯体が好まし
い。他の試薬を用いた場合、水酸基までもスルホン化さ
れてしまう。なお、上記スルホン化率は、スルホン化前
後のキトサンに含まれるアミノ基を滴定する方法、もし
くは元素分析で窒素と硫黄の含量を定量することによっ
て測定することができる。
【0019】本発明のN−スルホキトサンはLDLおよ
び(または)VLDLとの親和性によってこれを吸着除
去するリガンドとしてだけではなく、上記の特開平1−
158970で開示されている親水性スペーサーとして
の働きをも有している。水不溶性固体表面の比較的近傍
のN−スルホキトサン鎖は主に親水性スペーサーとして
血液適合性の向上およびリガンドの運動性向上に貢献
し、水不溶性固体表面から遠距離にあるN−スルホキト
サンはリガンドとしてLDLおよび(または)VLDL
の吸着除去の役割を有する。しかしながら、親水性スペ
ーサーとしてのN−スルホキトサン鎖の効果は充分であ
るとは言い難く、より良好な吸着性能、血液適合性を実
現するには非イオン性の親水性スペーサーを介在させる
必要がある。
【0020】さらに、水不溶性固体に直接ポリアニオン
を導入した場合においては導入法のいかんに関わらず、
ポリアニオンが水不溶性固体に多数の結合点で固定され
る可能性が大きく、LDLおよび(または)VLDL吸
着の際にポリアニオンの効果が充分に発揮されないとい
う欠点を有する。このようなことから、より良好な吸着
性能、血液適合性を実現するには非イオン性の親水性ス
ペーサーを介在させる必要がある。
【0021】また、N−スルホキトサンは抗凝血剤とし
てよく知られているヘパリンの機能を示す類似物(ヘパ
リノイド)としての働きも有する。ヘパリンの基本骨格
はD−グルコサミンとD−グルクロン酸であり、このア
ミノ基と一部の水酸基がスルホン化された構造を持って
いる。ヘパリノイドとしては現在までにセルロース、ア
ミロース、デキストランなどの基本骨格にスルホン酸基
を導入したものが報告されているが、キトサンはこれら
の多糖類とは異なり、D−グルコサミンを基本骨格とし
ているので、そのN−スルホン化物はヘパリノイドとし
てより大きな効果が期待できる。したがって、特開平1
−158970ではいまだ不十分であった血液適合性の
実現が可能となる。
【0022】このようなヘパリノイドの抗凝血性を議論
する際に忘れてならないのが、毒性であるが、本発明に
おいてはN−スルホキトサンを水不溶性固体表面に固定
しているため、抗凝血剤として直接投与する場合に比べ
てその危険性は極端に減少する。また、毒性はN−スル
ホキトサンの鎖長、分子量にも大きく影響を受ける。前
に記載したような範囲の分子量のN−スルホキトサンを
水不溶性固体表面上に固定した場合、万一N−スルホキ
トサンが脱離して血中に遊離しても、重篤な副作用を招
く恐れは小さい。
【0023】本発明に使用される水不溶性固体の形状
は、粒子状、繊維状、膜状等いずれの公知の形状も用い
られ得るが、通液性、表面積確保、吸着材調製時の取扱
いの容易さなどの点から、粒子状もしくは繊維状が望ま
しい。粒子状担体の平均粒径は10μmから5mmの範
囲にあることが望ましいが、粒径が小さくなると血球の
流通抵抗が大きくなり、粒径が大きくなると担体充填量
の減少、ひいては有効表面積の減少を招くので、平均粒
径30μmから1mmの範囲にあることが望ましい。さ
らに好ましくは平均粒径50μmから500μmが望ま
しい。粒子形状については、細胞に損傷を与えにくいこ
とや、物理的外力に対する強度、さらに調製の容易さか
ら、球状であることが望ましい。同じ理由から、繊維状
担体の繊維直径は0.1μmから50μm、好ましくは
0.3μmから25μmが望ましく、さらに好ましくは
0.5μmから15μmが望ましい。
【0024】担体表面には有効表面積を拡大するため微
小孔が存在することが好ましい。その平均孔径は粒子状
担体の場合、20Åから20000Å、好ましくは10
0Åから15000Å、更に好ましくは1000Åから
12000Å、繊維状担体の場合20Åから3000
Å、好ましくは100Åから2000Åである。これよ
り平均孔径が小さいと被吸着物質が微小孔内部まで到達
できず、これより大きいと有効表面積を拡大する効果が
不十分であり、また担体の強度低下を招く恐れがある。
【0025】本発明に使用される水不溶性固体への親水
性スペーサー、およびN−スルホキトサンの導入の方法
は共有結合、電子線照射によるグラフト化など、特に制
限されないが、[セルロース]−[親水性スペーサー]
−[N−スルホキトサン]を得る場合、以下のような方
法が利用され得る。 セルロースに親水性スペーサーを介してキトサンを導
入した後、このキトサンのアミノ基をスルホン化する方
法 (1)セルロースの改質 過沃素酸ナトリウムを0.1規定から5.0規定好まし
くは0.5規定から1.5規定の硫酸に溶解した溶液
に、平均粒径20μmから200μm、好ましくは30
μmから70μm、平均孔径500Åから10000
Å、好ましくは1000Åから8000Åの粒状多孔質
セルロースを添加し、10℃から50℃、好ましくは2
0℃から30℃で、5時間から30時間、好ましくは1
0時間から24時間反応させる。上記過沃素酸ナトリウ
ム−硫酸溶液の過沃素酸ナトリウム濃度は0.5重量%
から15重量%、好ましくは1.0重量%から10重量
%である。また、上記粒状多孔質セルロースの過沃素酸
ナトリウム溶液への浴比は10容量%から50容量%、
好ましくは15容量%から35容量%である。この反応
混合物を濾過して生成物を回収し、充分に水洗して、膨
潤状態でアルデヒド含量0.010meq/mlから
2.00meq/ml、好ましくは0.050meq/
mlから1.50meq/mlのアルデヒドセルロース
を得る。このアルデヒドセルロースは下記化2にその要
部構造を示すように、一部のグルコースユニットが開環
した構造をしている。
【0026】
【化2】
【0027】(2)親水性スペーサーの導入 分子量300〜8000、好ましくは400〜700
0、さらに好ましくは1000〜6500の両末端にア
ミノ基を有するポリエチレングリコール(以下PEOア
ミンと略記する)をpH9.5の緩衝液に溶解させてお
き、これに上記(1)で得たアルデヒドセルロースを
添加して撹拌しながら10℃から50℃好ましくは20
℃から30℃で、5時間から30時間、好ましくは10
時間から24時間反応させる。上記PEOアミン緩衝液
の濃度は5重量%から60重量%、好ましくは10重量
%から40重量%、この溶液へのアルデヒドセルロース
の浴比は1容量%から20容量%、好ましくは3容量%
から15容量%である。この反応混合物を濾過して生成
物を回収、水洗し、これをpH9.0の緩衝液に分散さ
せ、水素化ホウ素ナトリウムを添加して10℃から50
℃好ましくは20℃から30℃で、5時間から30時
間、好ましくは10時間から24時間反応させてシッフ
塩基の水素添加を行う。含シッフ塩基[セルロース]−
[PEOアミン]の緩衝液への浴比は1容量%から20
容量%、好ましくは3容量%から15容量%、含シッフ
塩基[セルロース]−[PEOアミン]と水素化ホウ素
ナトリウムの仕込比は20/1から3/2、好ましくは
15/1から3/1(いずれも容量/重量比)である。
こうしてアミノ基含量0.010から2.50meq/
ml、好ましくは0.050から1.50meq/ml
の[セルロース]−[PEOアミン]を得る。ここで用
いたPEOアミンとは下記化3の構造を有する
【0028】
【化3】 化3においてはnが5−400のものである。
【0029】(3)キトサンの導入 上記(2)で得た[セルロース]−[PEOアミン]
をpH9.5の緩衝液に分散させておき、これにグルタ
ルアルデヒドを添加して撹拌しながら10℃から50℃
好ましくは20℃から30℃で、5時間から30時間、
好ましくは10時間から24時間反応させる。上記緩衝
液への[セルロース]−[PEOアミン]の浴比は3容
量%から20容量%、好ましくは5容量%から15容量
%、グルタルアルデヒドの添加量は濃度が0.05重量
%から5.0重量%、好ましくは0.1重量%から3.
0重量%となることが望ましく、[セルロース]−[P
EOアミン]由来のアミノ基に対して過剰量が加えられ
ることが必要である。こうして[セルロース]−[PE
Oアミン]−[グルタルアルデヒド]を得る。この反応
混合物を濾過して生成物を回収、水洗し、これをpH
9.5の緩衝液に分散させ、GPCでPEG換算の分子
量1000〜20000、好ましくは2000〜100
00、さらに好ましくは2500〜6000のキトサン
を加えてpHを調整した後、10℃から50℃好ましく
は20℃から30℃で、5時間から30時間、好ましく
は10時間から24時間反応させる。上記緩衝液への
[セルロース]−[PEOアミン]−[グルタルアルデ
ヒド]の浴比は3容量%から20容量%、好ましくは5
容量%から15容量%、キトサンの添加量は濃度が1.
5重量%から60重量%、好ましくは10重量%から4
0重量%となることが望ましく、[セルロース]−[P
EOアミン]−[グルタルアルデヒド]由来のアルデヒ
ド基に対して過剰量が加えられることが必要である。こ
の反応混合物を濾過して生成物を回収、水洗し、これを
pH9.0の緩衝液に分散させ、水素化ホウ素ナトリウ
ムを添加して10℃から50℃好ましくは20℃から3
0℃で、5時間から30時間、好ましくは10時間から
24時間反応させてシッフ塩基の水素添加を行う。含シ
ッフ塩基[セルロース]−[PEOアミン]−[キトサ
ン]の緩衝液への浴比は3容量%から20容量%、好ま
しくは5容量%から15容量%、含シッフ塩基[セルロ
ース]−[PEOアミン]−[キトサン]と水素化ホウ
素ナトリウムの仕込比は20/1から3/2、好ましく
は15/1から3/1(いずれも容量/重量比)であ
る。こうしてアミノ基含量0.010から2.50me
q/ml、好ましくは0.050から2.00meq/
mlの[セルロース]−[PEOアミン]−[キトサ
ン]を得る。
【0030】(4)キトサンのN−スルホン化 上記(2)で得た[セルロース]−[PEOアミン]−
[キトサン]にpH9.5の緩衝液を1/3から1/1
2好ましくは1/5から1/10の容量比となるよう加
えて分散させ、三酸化硫黄/ピリジン錯体を少量ずつ加
えてゆき、濃度が10重量%から50重量%、好ましく
は20重量%から40重量%の水酸化ナトリウム水溶液
を加えて反応溶液のpHを9〜10に保つよう調整しな
がら、10℃から50℃好ましくは20℃から30℃
で、0.5時間から12時間、好ましくは1時間から8
時間反応させる。反応混合物から生成物を回収、洗浄水
がpH7.0になるまで充分に洗浄して[セルロース]
−[PEOアミン]−[N−スルホキトサン]を得る。
[セルロース]−[PEOアミン]−[キトサン]/緩
衝液懸濁液と、三酸化硫黄/ピリジン錯体の仕込比は5
/1から30/1、好ましくは10/1から25/1
(いずれも容量/重量比)である。
【0031】あらかじめアミノ基をスルホン化したキ
トサンを水不溶性固体表面に導入する方法 (1)キトサンのN−スルホン化 GPCによるPEG換算で分子量1000〜2000
0、好ましくは2000〜10000、さらに好ましく
は2500〜6000のキトサンにpH9.5の炭酸緩
衝液を1/3から1/12好ましくは1/5から1/1
0の容量比となるよう加えて溶解させ、三酸化硫黄/ピ
リジン錯体を少量ずつ加えてゆき、濃度が10重量%か
ら50重量%、好ましくは20重量%から40重量%の
水酸化ナトリウム水溶液を加えて反応溶液のpHを9〜
10に保つよう調整しながら、10℃から50℃好まし
くは20℃から30℃で、0.5時間から12時間、好
ましくは1時間から8時間反応させる。こうして得られ
たN-スルホキトサンのスルホン化率30%から99
%、好ましくは50%から95%、さらに好ましくは7
0%から95%である。この反応混合物はそのまま[セ
ルロース]−[PEOアミン]への導入反応に使用でき
るが、充分な精製を要する場合は、反応混合物を約1/
3の容量に濃縮した後、セルロース半透膜に入れて蒸留
水で透析することにより低分子量の不純物を除去し、こ
れを濃縮乾固させればよい。キトサンと三酸化硫黄/ピ
リジン錯体の仕込比は1/3から10/1、好ましくは
2/3から5/1(いずれも重量比)である。
【0032】(2)N−スルホキトサンの導入 上記(1)で得たN−スルホキトサンを、上記
(2)の方法で得た[セルロース]−[PEOアミン]
に、上記(3)と同様の方法で固定することによって
[セルロース]−[PEOアミン]−[N−スルホPE
I]を得る。
【0033】例えば上記の様な方法で、粒子状もしくは
繊維状の[水不溶性固体]−[親水性スペーサー]−
[N−スルホキトサン]を得た後、これを適当な容器に
充填することによって本発明の血液浄化吸着材が得られ
る。容器の材質はガラス、ステンレス、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポ
リメチルメタクリレート等、特に制限されないが、滅菌
等の取扱いを考慮すると、ポリプロピレンやポリカーボ
ネートが好ましい。容器の形態についても特に制限され
ないが、粒子状担体の場合は両端を血液流入部、血液流
出部とした円筒のカラム型、繊維状担体の場合は粒子状
担体の場合と同様のカラム型、或いはシート状に成形し
た後、これを挟み込むような形態にしたものが適当であ
ろう。
【0034】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を説明する。実
施例中の部は、特に注釈を加えない場合は重量部を意味
する。 〈実施例1〉粒状多孔質セルロース(平均粒径50μ
m、平均孔径5000Å)1000部(容量)を、過沃
素酸ナトリウム125部を1規定−硫酸4000部に溶
解した溶液に添加し、25℃で18時間反応させた後、
濾別、水洗し、アルデヒド含量1.02meq/mlの
アルデヒドセルロース(CA−1)を得た。アルデヒド
の定量はオキシム法によって行った。すなわち、CA−
1約1.0mlを正確に秤量し(この量をV1mlとす
る)、これに0.5規定塩酸ヒドロキシルアミン溶液
(塩酸ヒドロキシルアミン35gを水160mlに溶か
し、95%エタノールで希釈して1lとしたもの)10
ml、ピリジンブロムフェノールブルー溶液(4%ブロ
ムフェノールブルー0.25mlとピリジン20mlの
混合液を95%エタノールに希釈して1lとしたもの)
35mlを加えた。この懸濁液(以下サンプルと呼ぶ)
を、CA−1を入れずに0.5規定塩酸ヒドロキシルア
ミン溶液10mlとピリジンブロムフェノールブルー溶
液35mlを加えたもの(以下ブランクと呼ぶ)と併せ
て超音波洗浄器内に15分間放置した。サンプルとブラ
ンクを取り出し、サンプルの呈する色がブランクと同じ
になるまで0.1規定水酸化ナトリウム−メタノール溶
液を滴下した。この際滴下した水酸化ナトリウム量をW
1ml、力価をF1とすると、アルデヒド含量x1meq
/gは次式によって得られる。 x1=(0.1×F1×W1)/V1
【0035】分子量4500のPEOアミンを400部
取ってpH9.5の炭酸緩衝液1200部(容量)に溶
解し、これに上記で得たCA−1を100部(容量)加
え、25℃で18時間撹拌して反応させた。この反応混
合物を濾過して生成物を回収、水洗し、アミノ基含量
0.97meq/gの[セルロース]−[PEOアミ
ン](CPEA−1)を得た。アミノ基の定量は以下の
方法によって行った。CPEA−1約0.1mlを正確
に秤量し(この量をV2gとする)、0.1規定塩酸水
溶液10ml(力価をF2とする)を加え、この懸濁液
をジオキサンで希釈して全量で40mlにする(この懸
濁液を以下サンプルと呼ぶ)。サンプルを約30分撹拌
した後、自動滴定装置(平沼産業製COMTITE10
1)を用いて0.1規定水酸化ナトリウム水溶液(力価
をF2'とする)で滴定を行う。サンプルを中和するまで
に要した0.1規定水酸化ナトリウム水溶液の量をW2
mlとすると、CC−1のアミノ基含量x2meq/g
は次式によって得られる。 V2×x2+0.1×F2’×W2=0.1×F2×10
【0036】上記で得たCPEA−1を100部(容
量)取ってpH9.5の炭酸緩衝液1200部(容量)
に懸濁させておき、これにグルタルアルデヒド60%水
溶液100部を添加して、25℃で18時間撹拌して反
応させた。濾過によって回収、水洗した生成物をpH
9.5炭酸緩衝液2000部(容量)に懸濁させ、これ
に、GPC(島津製作所製C−R4A)によるPEG換
算で分子量約5000のキトサン30部を添加して撹拌
しながら25℃で、18時間反応させた。この反応混合
物を濾過して生成物を回収、水洗し、これをpH9.0
の炭酸緩衝液1500部(容量)に分散させ、水素化ホ
ウ素ナトリウム30部を添加して25℃で、18時間反
応させてシッフ塩基の水素添加を行った。こうしてキト
サン由来のアミノ基含量0.94meq/mlの[セル
ロース]−[PEOアミン]−[キトサン](CPEA
C−1)を得た。アミノ基の定量は上記と同様の方法に
よって行った。
【0037】上記で得たCPEAC−1を100部(容
量)取ってpH9.5の炭酸緩衝液850部(容量)に
分散させ、30重量%水酸化ナトリウム水溶液を少量ず
つ添加し、pHを9〜10に調整しながら三酸化硫黄/
ピリジン錯体50部を25℃で、少量ずつ4時間かけて
加えてゆき、25℃でさらに1時間撹拌した。ここで要
した水酸化ナトリウム水溶液は34部(容量)であっ
た。反応混合物を回収、洗浄水がpH7.0になるまで
充分にイオン交換水で洗浄して[セルロース]−[PE
Oアミン]−[N−スルホキトサン](CPEASC−
1)を得た。このCPEASC−1は、N−スルホキト
サンのスルファミノ基由来の酸含量が0.92meq/
mlであった。酸含量の定量は以下の方法によって行っ
た。CPEASC−1をN/10過塩素酸水溶液で洗浄
した後、イオン交換水で洗浄水がpH7.0になるまで
充分に洗浄し、これを上記でCPEA−1を定量したの
と同様の方法で、0.1規定塩酸水溶液を0.1規定水
酸化ナトリウム水溶液に、0.1規定水酸化ナトリウム
水溶液を0.1規定過塩素酸−ジオキサン溶液にそれぞ
れ替えて測定することによって定量した。
【0038】上記で得たCPEASC-1を100ml
のカラムに充填し、100U/mlのヘパリンを含む生
理食塩液100ml、続いて1U/mlのヘパリンを含
む生理食塩液100mlでカラム内、および血液回路内
を洗浄した。一方、クエン酸加豚血1lをビーカーにと
り、カラムを通して再びこのビーカーに戻すよう血液回
路を組んだ。この装置を用いて血液流量50ml/mi
nで潅流実験を3時間連続して行い、カラム前後の血中
LDLの量を測定した。また、潅流開始前後の全血液中
のアルブミン量、総蛋白量、血小板量を測定した。LD
Lの定量は和光純薬製β−リポ蛋白C−テストワコーを
用いてヘパリン沈澱・比色法によって行った。アルブミ
ン量はブロムクレゾールグリーン法、総蛋白量はビウレ
ット法、血小板量は自動血球算定装置を用いて定量し
た。結果は表1、表2に示した。なお、LDLの量は実
際の測定値、アルブミン、総蛋白、血小板については残
存率で表示した。単位は(mg/dl)であるが、血小
板については(個/dl)を用いた。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】〈実施例2〉GPC(島津製作所製C−R
4A)によるPEG換算で分子量約5000のキトサン
100部をpH9.5の炭酸緩衝液900部(容量)に
溶解させておき、これに30重量%の水酸化ナトリウム
水溶液を少量ずつ添加してpHを9〜10に調整しなが
ら、三酸化硫黄/ピリジン錯体90部を25℃で少量ず
つ5時間かけて加えてゆき、25℃でさらに1時間撹拌
した。ここで要した水酸化ナトリウム水溶液は91部
(容量)であった。反応溶液を炭酸ナトリウムと炭酸水
素ナトリウムでpHを9.5に調整し、N−スルホキト
サン(SC−2)溶液を得た。
【0042】実施例1で得たCPEA−1を100部
(容量)取ってpH9.5の炭酸緩衝液1500部(容
量)に懸濁させておき、これにグルタルアルデヒド60
%水溶液100部を添加して、25℃で18時間撹拌し
て反応させた。濾過によって回収、水洗した生成物をp
H9.5炭酸緩衝液1840部(容量)に懸濁させ、こ
れに、上記で得たSC−を160部(容量)添加して撹
拌しながら25℃で、18時間反応させた。この反応混
合物を濾過して生成物を回収、水洗し、これをpH9.
0の炭酸緩衝液1500部(容量)に分散させ、水素化
ホウ素ナトリウム30部を添加して25℃で、18時間
反応させてシッフ塩基の水素添加を行った。こうしてN
−スルホキトサンに含まれるスルファミノ基由来の酸含
量0.90meq/mlの[セルロース]−[PEOア
ミン]−[N−スルホキトサン](CPEASC−2)
を得た。酸含量の定量は実施例1と同様の方法で行っ
た。
【0043】上記[セルロース]−[PEOアミン]−
[N−スルホキトサン](CPEASC−2)を用いて
実施例1と同様に血液潅流実験を行い、カラム前後の血
中LDL量、潅流開始前後の全血液中のアルブミン量、
総蛋白量、血小板量を測定した。結果は表1、表2に示
す。
【0044】〈比較例1〉分子量4000のポリアクリ
ル酸600部をpH4.5のクエン酸緩衝液2500部
(容量)に溶解させ、N−シクロヘキシル−N'-(2−
モルホリノエチル)カルボジイミド−メト−p−トルエ
ンスルホン酸塩(以下CMECと略記する)63部を添
加し、0℃で20分撹拌した。これに実施例1で得たC
PEA−1を100部(容量)加えて、0℃から徐々に
反応温度を室温まで上昇させ、18時間撹拌して反応さ
せた。生成物を濾過によって回収し、3%水酸化ナトリ
ウム水溶液、続いてイオン交換水で充分に洗浄し、ポリ
アクリル酸のカルボキシル基由来の酸含量1.24me
q/mlの[セルロース]−[PEOアミン]−[ポリ
アクリル酸] (CPEAPA−3)を得た。酸含量は実施例と同様の
方法で定量した。
【0045】上記[セルロース]−[PEOアミン]−
[ポリアクリル酸](CPEAPA−3)を用いて実施
例1と同様に血液潅流実験を行い、カラム前後の血中L
DL量、潅流開始前後の全血液中のアルブミン量、総蛋
白量、血小板量を測定した。結果は表1、表2に示す。
【0046】〈比較例2〉実施例1で得たCPEA−1
を100部(容量)取ってpH9.5の炭酸緩衝液15
00部(容量)に懸濁させておき、これにグルタルアル
デヒド60%水溶液100部を添加して、25℃で18
時間撹拌して反応させた。濾過によって回収、水洗した
生成物をpH9.5炭酸緩衝液1500部(容量)に懸
濁させ、これに、タウリン25部を添加して撹拌しなが
ら25℃で、18時間反応させた。この反応混合物を濾
過して生成物を回収、水洗し、これをpH9.0の炭酸
緩衝液1500部(容量)に分散させ、水素化ホウ素ナ
トリウム30部を添加して25℃で、18時間反応させ
てシッフ塩基の水素添加を行った。こうしてタウリン由
来のスルホン酸含量0.88meq/mlの[セルロー
ス]−[PEOアミン]−[タウリン](CPEAT−
4)を得た。酸含量は実施例と同様の方法で定量した。
【0047】上記[セルロース]−[PEOアミン]−
[タウリン](CPEAT−4)を用いて実施例1と同
様に血液潅流実験を行い、カラム前後の血中LDL量、
潅流開始前後の全血液中のアルブミン量、総蛋白量、血
小板量を測定した。結果は表1、表2に示す。
【0048】〈比較例3〉実施例1で得たCA−1を1
00部(容量)取ってpH9.5の炭酸緩衝液2000
部(容量)に分散させておき、これにタウリン26部を
添加して撹拌し、25℃で18時間反応させた。生成物
を濾過によって回収し、イオン交換水で洗浄した後pH
9.0の炭酸緩衝液2000部(容量)に分散させ、水
素化ホウ素ナトリウム30部を加えて撹拌し、25℃で
18時間反応させてシッフ塩基の水素添加を行った。生
成物を回収、イオン交換水で充分に洗浄して[セルロー
ス]−[タウリン](CT−5)を得た。実施例と同様
の方法で測定したところ、CT−5のタウリン由来スル
ホン酸の含量は、0.95meq/mlであった。
【0049】上記[セルロース]−[タウリン](CT
−5)を用いて実施例1と同様に血液潅流実験を行い、
カラム前後の血中LDL量、潅流開始前後の全血液中の
アルブミン量、総蛋白量、血小板量を測定した。結果は
表1、表2に示す。
【0050】〈比較例4〉粒状多孔質セルロース(平均
粒径50μm、平均孔径5000Å)100部(容
量)、20重量%水酸化ナトリウム水溶液40部(容
量)、ヘプタン120部(容量)、ゼラチン8部の混合
懸濁液を40℃で2時間撹拌した後、エピクロルヒドリ
ン50部を加えて40℃でさらに2時間撹拌した。この
反応混合物から生成物を回収し、充分に洗浄してエポキ
シ化セルロース(CE−6)を得た。極限粘度0.08
3dl/g、平均重合度140、硫黄含量19.2%重
量のデキストラン硫酸ナトリウム5部を水20部(容
量)に溶解させておき、これに上記CE−6を20部
(容量)を加えてpHを12に調整して40℃で18時
間反応させた。未反応のグリシジル基をモノエタノール
アミンでブロックした後、生成物を回収し充分洗浄して
スルホン酸含量0.30meq/ml[セルロース]−
[デキストラン硫酸ナトリウム](CDS−6)を得
た。
【0051】上記[セルロース]−[デキストラン硫酸
ナトリウム](CDS−6)を用いて実施例1と同様に
血液潅流実験を行い、カラム前後の血中LDL量、潅流
開始前後の全血液中のアルブミン量、総蛋白量、血小板
量を測定した。結果は表1、表2に示す。
【0052】上記の例から明らかなように、本発明の定
比重リポタンパク吸着材は血中のLDLを選択的かつ簡
便に除去できた。吸着能だけに注目した場合はデキスト
ラン硫酸を固定した吸着材も本発明の吸着材と同レベル
であったが、アルブミン、血小板といったたの血中成分
に及ぼす影響を考えた場合、本発明の吸着材は極めて優
れていることがわかった。この理由は以下の通りであ
る。水不溶性固体表面上に固定した親水性スペーサーが
有効に働き、排除体積効果によって良好な血液適合性が
実現される。また、N−スルホキトサンのヘパリノイド
としての効果も現れ、これも血液適合性の向上に貢献し
ているものと考えられる。リガンドとして働くスルファ
ミノ基は、親水性スペーサーによって固体表面から離れ
て固定されており、固体表面近傍の親水性スペーサーの
流動性によってそのモービリティーを増し、吸着能の向
上が図られている。
【0053】
【発明の効果】本発明の低比重リポタンパク吸着材は、
親水性スペーサー導入による排除体積効果に加えて、リ
ガンドとして導入したN−スルホキトサンの一部がヘパ
リノイドとしての効果も発揮するために、良好な吸着能
と血液適合性を両立することができ、あらかじめ血液か
ら血漿成分を分離して潅流するという煩雑な方法をとら
ず直接血液を潅流することによって充分な効果を期待す
ることができる。このため、簡便な操作で低比重リポタ
ンパクの除去による症状の改善、治療に利用され得る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年5月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 低比重リポ蛋白吸着材
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は動脈硬化、高脂血症の病
因物質である低比重リポ蛋白(以下LDLと略記する)
および(または)極低比重リポ蛋白(以下VLDLと略
記する)を吸着除去し、疾病を治療することを目的と
し、血液もしくは血液成分を接触させることによって血
中のLDLおよび(または)VLDLを吸着する低比重
リポ蛋白吸着材に関するものである。本発明において、
N−スルホキトサンとは、下記化1の要部構造を有する
化合物を指す。
【0002】
【化1】 化1におけるXは、H、またはNa等のアルカリ金属、
またはCa等のアルカリ土類金属、または第4級アミノ
基の塩形成基である。
【0003】また、本発明において、−NHSO3Hも
しくはこの塩をいずれもスルファミノ基と呼ぶ。
【0004】
【従来の技術】動脈硬化の原因となる高脂血症の治療に
は各種薬剤の使用が行われているが、一般に副作用の危
険性があり、使用量、使用期間などに細心の注意を払う
必要がある。また、正常値の数倍のLDLおよび(また
は)VLDL値を示し、最も重篤な症状を招く危険性の
ある家族性高脂血症(FH)では薬剤の効果が充分に期
待できない場合も多い。
【0005】他の治療方法としては血漿交換法が有効と
され、広く行われている。しかしながら、この療法では
血漿をすべて交換するため、(1)不要成分のみなら
ず、必要な成分までも除去されてしまうこと、(2)除
去した血漿に替えて体内に補充される血漿、あるいは血
漿製剤が不足しているため、大量かつ持続的な入手が困
難であること、(3)血清肝炎やアレルギー、さらには
AIDS(後天性免疫不全症候群)感染の危険性がある
こと、など血漿交換法が内含する問題は多い。
【0006】このような問題を解決できる治療法として
は、自己の血液を浄化した後に再輪注する方法、すなわ
ち、体外循環血液浄化法が望ましいとされる。この方法
を採るにあたり、副作用がなく、自己の血液から病因物
質を充分且つ選択的に除去することのできる浄化材及び
血液浄化療法が望まれていた。
【0007】こういった状況を背景として、近年、LD
Lおよび(または)VLDLの吸着除去による療法が一
般的になってきた。このような方法は例えば、アガロー
スゲルにヘパリンを固定した吸着材(S.Moorja
ni et al.,Clin.Chim.Acta.,
77(1977)21−30)などが知られているが、
この材料は吸着能力が充分でなく、機械的強度について
も充分とは言い難い。また、抗体等を固定した免疫吸着
体を利用してLDLおよび(または)VLDLの吸着除
去を行う試みがなされているが、吸着選択性、吸着能力
の面では満足できるものの、抗体の入手が困難で高価で
あるという欠点がある。
【0008】このような問題点を改善する目的で供せら
れた吸着材には、有害成分と親和性をもつ素材(シリカ
など)を多孔化したもの(特開昭59−139935,
特開昭63−160669など)、有害成分と親和性を
有する化合物(リガンド:スルホン酸基,カルボキシル
基など)を固定したものがある。後者はいわゆるアフィ
ニティー吸着材と呼ばれるもので、さらに次のふたつに
大別できる。 (1)不溶性担体にリガンドとしてポリアニオンを固定
したもの(特公昭62−59975,特開平1−145
071,リガンドをデキストラン硫酸に限定:特公平3
−5822,リガンドをヘパリンに限定:特開昭59−
139937など) (2)不溶性担体にリガンドとしてスルホン酸基および
(または)カルボキシル基をもつ単量体を固定したもの
(特公平2−51346,特開昭58−27559な
ど)
【0009】アフィニティー吸着材に用いられるリガン
ドは比較的安価で、選択性、吸着能力も比較的満足でき
るレベルにあるが、これらの吸着材は血液適合性に乏し
いため、多量のヘパリンの添加が必要となり、出血傾向
等の副作用が生じる可能性を残している。このような点
から、さらに高い効率及び特異性で病因物質を除去する
ことができ、また体液に対する悪影響の少ない浄化材が
望まれている。
【0010】LDLおよび(または)VLDL以外の物
質を吸着する吸着材に目を向けてみると、例えば、特開
平1−158970という特許にはこのような概念に基
づいて開発された血液浄化材について開示されている。
この特許によって開示されている血液浄化材は、重合度
1〜90のエチレンオキサイド骨格を有する親水性スペ
ーサーを介して、リガンドとなる低分子有機化合物を水
不溶性多孔質固体表面に固定し、これに直接血液を潅流
して免疫グロブリンを吸着することを特徴としている。
【0011】親水性スペーサーの持つ意義は大きく二つ
に分けることができる。第一に、血液中の血球成分や、
被吸着物質でないタンパクの付着を防止することであ
る。親水性スペーサーはその周辺に水を吸着している。
このため吸着材表面は水の層に覆われ、この水の層が血
球成分の付着を防いでいる(排除体積効果)。また、水
の層を形成するスペーサーが運動することにより、さら
に血球成分の付着は困難になり、付着した血球成分は脱
離しやすくなる。また、凝固因子や補体の活性化が抑制
されるといった利点を有する。
【0012】第二に、リガンドの運動性を上昇させるこ
とによって吸着能の向上が期待できるということであ
る。特に被吸着物質が巨大分子である場合、リガンドを
担体表面に直接固定しただけでは被吸着物質とリガンド
の接近が困難であり、また一部で結合したとしても結合
サイトの数が充分ではなく、容易に脱着してしまう可能
性が大きい。親水性スペーサーを介在させることによっ
て被吸着物質とリガンドとの接近が促進され、またリガ
ンドの動きに融通性があるため周囲のリガンドが被吸着
物質との結合に参与しやすく、このため結合サイトの多
い強固な結合を生成することができる。
【0013】特開平1−158970では、重合度1〜
90のエチレンオキサイド骨格を有する親水性スペーサ
ーを介在させているが、重合度が90までのエチレンオ
キサイド骨格を有する親水性スペーサーを導入しただけ
では、充分な血液適合性を実現するのは困難であり、特
開平1−158970においても血液適合性向上のため
アクリル酸誘導体のコーティングを行っている。このよ
うな操作は煩雑であるばかりでなく、毒性をもった物質
の溶出を招く可能性も存在する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の欠点を解決し、リガンドの効果を充分に引き出して、
良好な吸着能、吸着特性を有し、コーティング等の煩雑
な操作を省略してなお充分な血液適合性を持った血液浄
化吸着材を提供することにより、副作用がなく、自己の
血液からLDLおよび(または)VLDLを充分且つ選
択的に除去することのできる効果的な吸着材を提供しよ
うとしたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の低比重リポタン
パク吸着材は、水不溶性固体に親水性スペーサーを介し
てN−スルホキトサンを、スルファミノ基由来の酸含量
が50μeq/ml(湿潤状態)〜2.0meq/ml
(湿潤状態)となるよう固定し、これによって血中のL
DLおよび(または)VLDLを除去することを特徴と
するものである。本発明の低比重リポ蛋白吸着材に用い
られる親水性スペーサーは」、炭素数1〜4の繰り返し
単位から成り、重合度が5〜400のポリアルキレンオ
キサイド骨格を有することを特徴とする。このような親
水性スペーサーとしては、例えばポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコールなどの骨格を有する化合物が挙げられる。本発
明に用いられる親水性スペーサーはここに例示した化合
物のように非イオン性であることが好ましい。
【0016】本発明の低比重リポ蛋白吸着材は、水不溶
性固体がポリスチレン、架橋ポリビニルアルコール、ポ
リメタクリル酸およびその誘導体或いはこれらの共重合
体などの合成有機高分子化合物、セルロース、キチン、
キトサン等の天然有機高分子化合物、またはアシルセル
ロース、アシルキチン等の改質天然有機高分子化合物で
あることが好ましい。これらの高分子化合物のうち、機
械的強度、リガンド導入の容易さを考慮すると、適度に
架橋したポリスチレン、ポリメタクリル酸およびその誘
導体或いはこれらの共重合体、セルロースが望ましく、
さらに好ましくはセルロースが望ましい。
【0017】本発明に用いられるN−スルホキトサンは
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下GPC
と略記する)によるポリエチレングリコール(以下PE
Gと略記する)換算で分子量1000〜20000が望
ましく、好ましくは2000〜10000、さらに好ま
しくは2500〜6000が望ましい。これよりも分子
量が小さいと血液適合性、吸着性能とも充分に得られ
ず、これよりも大きいと導入率が低下する傾向にあり、
性能の向上は望めない。
【0018】本発明でのN−スルホキトサン導入は、キ
トサンを水不溶性固体に導入した後アミノ基をスルホン
化する方法、あらかじめアミノ基をスルホン化したキト
サンを水不溶性固体に導入する方法、いずれも用いられ
得る。前者を採用する場合、N−スルホキトサンに含ま
れるアミノ基のスルホン化率は30%以上、好ましくは
50%以上、さらに好ましくは70%以上が望ましい。
後者を採用する場合、N−スルホキトサンのスルホン化
率は30%以上、好ましくは50%以上、さらに好まし
くは70%以上が望ましいが、キトサンのアミノ基が全
てスルホン化されてしまうと(スルホン化率100
%)、残存のアミノ基を利用して[水不溶性固体]−
[親水性スペーサー]に化学結合で導入することが不可
能になるので好ましくない。しかしながら、残存アミノ
基が大量に存在するとLDL吸着に好ましくない影響を
与える可能性があるので、水不溶性固体への固定が終了
した時点での残存アミノ基が全体の10%以下であるこ
とが望ましい。これを超える量の残存アミノ基が存在す
る場合、無水酢酸、無水コハク酸、1,3−プロパンス
ルトンなどによってブロックすることが推奨される。本
発明でのキトサンのN−スルホン化にはクロロスルホン
酸、濃硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄/ジメチルホルムア
ミド錯体、三酸化硫黄/ピリジン錯体などが用いられ得
るが、このなかで、三酸化硫黄/ピリジン錯体が好まし
い。他の試薬を用いた場合、水酸基までもスルホン化さ
れてしまう。なお、上記スルホン化率は、スルホン化前
後のキトサンに含まれるアミノ基を滴定する方法、もし
くは元素分析で窒素と硫黄の含量を定量することによっ
て測定することができる。
【0019】本発明のN−スルホキトサンはLDLおよ
び(または)VLDLとの親和性によってこれを吸着除
去するリガンドとしてだけではなく、上記の特開平1−
158970で開示されている親水性スペーサーとして
の働きをも有している。水不溶性固体表面の比較的近傍
のN−スルホキトサン鎖は主に親水性スペーサーとして
血液適合性の向上およびリガンドの運動性向上に貢献
し、水不溶性固体表面から遠距離にあるN−スルホキト
サンはリガンドとしてLDLおよび(または)VLDL
の吸着除去の役割を有する。しかしながら、親水性スペ
ーサーとしてのN−スルホキトサン鎖の効果は充分であ
るとは言い難く、より良好な吸着性能、血液適合性を実
現するには非イオン性の親水性スペーサーを介在させる
必要がある。
【0020】さらに、水不溶性固体に直接ポリアニオン
を導入した場合においては導入法のいかんに関わらず、
ポリアニオンが水不溶性固体に多数の結合点で固定され
る可能性が大きく、水不溶性固体表面からポリアニオン
の分子鎖が長く伸びるのが困難になりLDLおよび(ま
たは)VLDL吸着の際にポリアニオンの効果が充分に
発揮されないという欠点を有する。このようなことか
ら、より良好な吸着性能、血液適合性を実現するには非
イオン性の親水性スペーサーを介在させる必要がある。
【0021】また、N−スルホキトサンは抗凝血剤とし
てよく知られているヘパリンの機能を示す類似物(ヘパ
リノイド)としての働きも有する。ヘパリンの基本骨格
はD−グルコサミンとD−グルクロン酸であり、このア
ミノ基と一部の水酸基がスルホン化された構造を持って
いる。ヘパリノイドとしては現在までにセルロース、ア
ミロース、デキストランなどの基本骨格にスルホン酸基
を導入したものが報告されているが、キトサンはこれら
の多糖類とは異なり、D−グルコサミンを基本骨格とし
ているので、そのN−スルホン化物はヘパリノイドとし
てより大きな効果が期待できる。したがって、特開平1
−158970ではいまだ不十分であった血液適合性の
実現が可能となる。
【0022】このようなヘパリノイドの抗凝血性を議論
する際に忘れてならないのが、毒性であるが、本発明に
おいてはN−スルホキトサンを水不溶性固体表面に固定
しているため、抗凝血剤として直接投与する場合に比べ
てその危険性は極端に減少する。また、毒性はN−スル
ホキトサンの鎖長、分子量にも大きく影響を受ける。前
に記載したような範囲の分子量のN−スルホキトサンを
水不溶性固体表面上に固定した場合、万一N−スルホキ
トサンが脱離して血中に遊離しても、重篤な副作用を招
く恐れは小さい。
【0023】本発明に使用される水不溶性固体の形状
は、粒子状、繊維状、膜状等いずれの公知の形状も用い
られ得るが、通液性、表面積確保、吸着材調製時の取扱
いの容易さなどの点から、粒子状もしくは繊維状が望ま
しい。粒子状担体の平均粒径は10μmから5mmの範
囲にあることが望ましいが、粒径が小さくなると血球の
流通抵抗が大きくなり、粒径が大きくなると担体充填量
の減少、ひいては有効表面積の減少を招くので、平均粒
径30μmから1mmの範囲にあることが望ましい。さ
らに好ましくは平均粒径50μmから500μmが望ま
しい。粒子形状については、細胞に損傷を与えにくいこ
とや、物理的外力に対する強度、さらに調製の容易さか
ら、球状であることが望ましい。同じ理由から、繊維状
担体の繊維直径は0.1μmから50μm、好ましくは
0.3μmから25μmが望ましく、さらに好ましくは
0.5μmから15μmが望ましい。
【0024】担体表面には有効表面積を拡大するため微
小孔が存在することが好ましい。その平均孔径は粒子状
担体の場合、20Åから20000Å、好ましくは10
0Åから15000Å、更に好ましくは1000Åから
12000Å、繊維状担体の場合20Åから3000
Å、好ましくは100Åから2000Åである。これよ
り平均孔径が小さいと被吸着物質が微小孔内部まで到達
できず、これより大きいと有効表面積を拡大する効果が
不十分であり、また担体の強度低下を招く恐れがある。
【0025】本発明に使用される水不溶性固体への親水
性スペーサー、およびN−スルホキトサンの導入の方法
は共有結合、電子線照射によるグラフト化など、特に制
限されないが、[セルロース]−[親水性スペーサー]
−[N−スルホキトサン]を得る場合、以下のような方
法が利用され得る。 セルロースに親水性スペーサーを介してキトサンを導
入した後、このキトサンのアミノ基をスルホン化する方
法 (1)セルロースの改質 過沃素酸ナトリウムを0.1規定から5.0規定好まし
くは0.5規定から1.5規定の硫酸に溶解した溶液
に、平均粒径20μmから200μm、好ましくは30
μmから70μm、平均孔径500Åから10000
Å、好ましくは1000Åから8000Åの粒状多孔質
セルロースを添加し、10℃から50℃、好ましくは2
0℃から30℃で、5時間から30時間、好ましくは1
0時間から24時間反応させる。上記過沃素酸ナトリウ
ム−硫酸溶液の過沃素酸ナトリウム濃度は0.5重量%
から15重量%、好ましくは1.0重量%から10重量
%である。また、上記粒状多孔質セルロースの過沃素酸
ナトリウム溶液への浴比は10容量%から50容量%、
好ましくは15容量%から35容量%である。この反応
混合物を濾過して生成物を回収し、充分に水洗して、膨
潤状態でアルデヒド含量0.010meq/mlから
2.00meq/ml、好ましくは0.050meq/
mlから1.50meq/mlのアルデヒドセルロース
を得る。このアルデヒドセルロースは下記化2にその要
部構造を示すように、一部のグルコースユニットが開環
した構造をしている。
【0026】
【化2】
【0027】(2)親水性スペーサーの導入 分子量300〜8000、好ましくは400〜700
0、さらに好ましくは1000〜6500の両末端にア
ミノ基を有するポリエチレングリコール(以下PEOア
ミンと略記する)をpH9.5の緩衝液に溶解させてお
き、これに上記(1)で得たアルデヒドセルロースを
添加して撹拌しながら10℃から50℃好ましくは20
℃から30℃で、5時間から30時間、好ましくは10
時間から24時間反応させる。上記PEOアミン緩衝液
の濃度は5重量%から60重量%、好ましくは10重量
%から40重量%、この溶液へのアルデヒドセルロース
の浴比は1容量%から20容量%、好ましくは3容量%
から15容量%である。この反応混合物を濾過して生成
物を回収、水洗し、これをpH9.0の緩衝液に分散さ
せ、水素化ホウ素ナトリウムを添加して10℃から50
℃好ましくは20℃から30℃で、5時間から30時
間、好ましくは10時間から24時間反応させてシッフ
塩基の水素添加を行う。含シッフ塩基[セルロース]−
[PEOアミン]の緩衝液への浴比は1容量%から20
容量%、好ましくは3容量%から15容量%、含シッフ
塩基[セルロース]−[PEOアミン]と水素化ホウ素
ナトリウムの仕込比は20/1から3/2、好ましくは
15/1から3/1(いずれも容量/重量比)である。
こうしてアミノ基含量0.010から2.50meq/
ml、好ましくは0.050から1.50meq/ml
の[セルロース]−[PEOアミン]を得る。ここで用
いたPEOアミンとは下記化3の構造を有する
【0028】
【化3】 化3においてはnは5から400のものである。
【0029】(3)キトサンの導入 上記(2)で得た[セルロース]−[PEOアミン]
をpH9.5の緩衝液に分散させておき、これにグルタ
ルアルデヒドを添加して撹拌しながら10℃から50℃
好ましくは20℃から30℃で、5時間から30時間、
好ましくは10時間から24時間反応させる。上記緩衝
液への[セルロース]−[PEOアミン]の浴比は3容
量%から20容量%、好ましくは5容量%から15容量
%、グルタルアルデヒドの添加量は濃度が0.05重量
%から5.0重量%、好ましくは0.1重量%から3.
0重量%となることが望ましく、[セルロース]−[P
EOアミン]由来のアミノ基に対して過剰量が加えられ
ることが必要である。こうして[セルロース]−[PE
Oアミン]−[グルタルアルデヒド]を得る。この反応
混合物を濾過して生成物を回収、水洗し、これをpH
9.5の緩衝液に分散させ、GPCでPEG換算の分子
量1000〜20000、好ましくは2000〜100
00、さらに好ましくは2500〜6000のキトサン
を加えてpHを調整した後、10℃から50℃好ましく
は20℃から30℃で、5時間から30時間、好ましく
は10時間から24時間反応させる。上記緩衝液への
[セルロース]−[PEOアミン]−[グルタルアルデ
ヒド]の浴比は3容量%から20容量%、好ましくは5
容量%から15容量%、キトサンの添加量は濃度が1.
5重量%から60重量%、好ましくは10重量%から4
0重量%となることが望ましく、[セルロース]−[P
EOアミン]−[グルタルアルデヒド]由来のアルデヒ
ド基に対して過剰量が加えられることが必要である。こ
の反応混合物を濾過して生成物を回収、水洗し、これを
pH9.0の緩衝液に分散させ、水素化ホウ素ナトリウ
ムを添加して10℃から50℃好ましくは20℃から3
0℃で、5時間から30時間、好ましくは10時間から
24時間反応させてシッフ塩基の水素添加を行う。含シ
ッフ塩基[セルロース]−[PEOアミン]−[キトサ
ン]の緩衝液への浴比は3容量%から20容量%、好ま
しくは5容量%から15容量%、含シッフ塩基[セルロ
ース]−[PEOアミン]−[キトサン]と水素化ホウ
素ナトリウムの仕込比は20/1から3/2、好ましく
は15/1から3/1(いずれも容量/重量比)であ
る。こうしてアミノ基含量0.010から2.50me
q/ml、好ましくは0.050から2.00meq/
mlの[セルロース]−[PEOアミン]−[キトサ
ン]を得る。
【0030】(4)キトサンのN−スルホン化 上記(2)で得た[セルロース]−[PEOアミン]−
[キトサン]にpH9.5の緩衝液を1/3から1/1
2好ましくは1/5から1/10の容量比となるよう加
えて分散させ、三酸化硫黄/ピリジン錯体を少量ずつ加
えてゆき、濃度が10重量%から50重量%、好ましく
は20重量%から40重量%の水酸化ナトリウム水溶液
を加えて反応溶液のpHを9〜10に保つよう調整しな
がら、10℃から50℃好ましくは20℃から30℃
で、0.5時間から12時間、好ましくは1時間から8
時間反応させる。反応混合物から生成物を回収、洗浄水
がpH7.0になるまで充分に洗浄して[セルロース]
−[PEOアミン]−[N−スルホキトサン]を得る。
[セルロース]−[PEOアミン]−[キトサン]/緩
衝液懸濁液と、三酸化硫黄/ピリジン錯体の仕込比は5
/1から30/1、好ましくは10/1から25/1
(いずれも容量/重量比)である。
【0031】あらかじめアミノ基をスルホン化したキ
トサンを水不溶性固体表面に導入する方法 (1)キトサンのN−スルホン化 GPCによるPEG換算で分子量1000〜2000
0、好ましくは2000〜10000、さらに好ましく
は2500〜6000のキトサンにpH9.5の炭酸緩
衝液を1/3から1/12好ましくは1/5から1/1
0の容量比となるよう加えて溶解させ、三酸化硫黄/ピ
リジン錯体を少量ずつ加えてゆき、濃度が10重量%か
ら50重量%、好ましくは20重量%から40重量%の
水酸化ナトリウム水溶液を加えて反応溶液のpHを9〜
10に保つよう調整しながら、10℃から50℃好まし
くは20℃から30℃で、0.5時間から12時間、好
ましくは1時間から8時間反応させる。こうして得られ
たN-スルホキトサンのスルホン化率は30%から99
%、好ましくは50%から95%、さらに好ましくは7
0%から95%である。この反応混合物はそのまま[セ
ルロース]−[PEOアミン]への導入反応に使用でき
るが、充分な精製を要する場合は、反応混合物を約1/
3の容量に濃縮した後、セルロース半透膜に入れて蒸留
水で透析することにより低分子量の不純物を除去し、こ
れを濃縮乾固させればよい。キトサンと三酸化硫黄/ピ
リジン錯体の仕込比は1/3から10/1、好ましくは
2/3から5/1(いずれも重量比)である。
【0032】(2)N−スルホキトサンの導入 上記(1)で得たN−スルホキトサンを、上記
(2)の方法で得た[セルロース]−[PEOアミン]
に、上記(3)と同様の方法で固定することによって
[セルロース]−[PEOアミン]−[N−スルホPE
I]を得る。
【0033】例えば上記の様な方法で、粒子状もしくは
繊維状の[水不溶性固体]−[親水性スペーサー]−
[N−スルホキトサン]を得た後、これを適当な容器に
充填することによって本発明の血液浄化吸着材が得られ
る。容器の材質はガラス、ステンレス、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポ
リメチルメタクリレート等、特に制限されないが、滅菌
等の取扱いを考慮すると、ポリプロピレンやポリカーボ
ネートが好ましい。容器の形態についても特に制限され
ないが、粒子状担体の場合は両端を血液流入部、血液流
出部とした円筒のカラム型、繊維状担体の場合は粒子状
担体の場合と同様のカラム型、或いはシート状に成形し
た後、これを挟み込むような形態にしたものが適当であ
ろう。
【0034】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を説明する。実
施例中の部は、特に注釈を加えない場合は重量部を意味
する。 〈実施例1〉粒状多孔質セルロース(平均粒径50μ
m、平均孔径5000Å)1000部(容量)を、過沃
素酸ナトリウム125部を1規定−硫酸4000部に溶
解した溶液に添加し、25℃で18時間反応させた後、
濾別、水洗し、アルデヒド含量1.02meq/mlの
アルデヒドセルロース(CA−1)を得た。アルデヒド
の定量はオキシム法によって行った。すなわち、CA−
1約1.0mlを正確に秤量し(この量をV1mlとす
る)、これに0.5規定塩酸ヒドロキシルアミン溶液
(塩酸ヒドロキシルアミン35gを水160mlに溶か
し、95%エタノールで希釈して1lとしたもの)10
ml、ピリジンブロムフェノールブルー溶液(4%ブロ
ムフェノールブルー0.25mlとピリジン20mlの
混合液を95%エタノールに希釈して1lとしたもの)
35mlを加えた。この懸濁液(以下サンプルと呼ぶ)
を、CA−1を入れずに0.5規定塩酸ヒドロキシルア
ミン溶液10mlとピリジンブロムフェノールブルー溶
液35mlを加えたもの(以下ブランクと呼ぶ)と併せ
て超音波洗浄器内に15分間放置した。サンプルとブラ
ンクを取り出し、サンプルの呈する色がブランクと同じ
になるまで0.1規定水酸化ナトリウム−メタノール溶
液を滴下した。この際滴下した水酸化ナトリウム量をW
1ml、力価をF1とすると、アルデヒド含量x1meq
/mlは次式によって得られる。 x1=(0.1×F1×W1)/V1
【0035】分子量4500のPEOアミンを400部
取ってpH9.5の炭酸緩衝液1200部(容量)に溶
解し、これに上記で得たCA−1を100部(容量)加
え、25℃で18時間撹拌して反応させた。この反応混
合物を濾過して生成物を回収、水洗し、アミノ基含量
0.97meq/mlの[セルロース]−[PEOアミ
ン](CPEA−1)を得た。アミノ基の定量は以下の
方法によって行った。CPEA−1約0.1mlを正確
に秤量し(この量をV2mlとする)、0.1規定塩酸
水溶液10ml(力価をF2とする)を加え、この懸濁
液をジオキサンで希釈して全量で40mlにする(この
懸濁液を以下サンプルと呼ぶ)。サンプルを約30分撹
拌した後、自動滴定装置(平沼産業製COMTITE1
01)を用いて0.1規定水酸化ナトリウム水溶液(力
価をF2'とする)で滴定を行う。サンプルを中和するま
でに要した0.1規定水酸化ナトリウム水溶液の量をW
2mlとすると、CC−1のアミノ基含量x2meq/m
lは次式によって得られる。 V2×x2+0.1×F2’×W2=0.1×F2×10
【0036】上記で得たCPEA−1を100部(容
量)取ってpH9.5の炭酸緩衝液1200部(容量)
に懸濁させておき、これにグルタルアルデヒド60%水
溶液100部を添加して、25℃で18時間撹拌して反
応させた。濾過によって回収、水洗した生成物をpH
9.5炭酸緩衝液2000部(容量)に懸濁させ、これ
に、GPC(島津製作所製C−R4A)によるPEG換
算で分子量約5000のキトサン30部を添加して撹拌
しながら25℃で、18時間反応させた。この反応混合
物を濾過して生成物を回収、水洗し、これをpH9.0
の炭酸緩衝液1500部(容量)に分散させ、水素化ホ
ウ素ナトリウム30部を添加して25℃で、18時間反
応させてシッフ塩基の水素添加を行った。こうしてキト
サン由来のアミノ基含量0.94meq/mlの[セル
ロース]−[PEOアミン]−[キトサン](CPEA
C−1)を得た。アミノ基の定量は上記と同様の方法に
よって行った。
【0037】上記で得たCPEAC−1を100部(容
量)取ってpH9.5の炭酸緩衝液850部(容量)に
分散させ、30重量%水酸化ナトリウム水溶液を少量ず
つ添加し、pHを9〜10に調整しながら三酸化硫黄/
ピリジン錯体50部を25℃で、少量ずつ4時間かけて
加えてゆき、25℃でさらに1時間撹拌した。ここで要
した水酸化ナトリウム水溶液は34部(容量)であっ
た。反応混合物を回収、洗浄水がpH7.0になるまで
充分にイオン交換水で洗浄して[セルロース]−[PE
Oアミン]−[N−スルホキトサン](CPEASC−
1)を得た。このCPEASC−1は、N−スルホキト
サンのスルファミノ基由来の酸含量が0.92meq/
mlであった。酸含量の定量は以下の方法によって行っ
た。CPEASC−1をN/10過塩素酸水溶液で洗浄
した後、イオン交換水で洗浄水がpH7.0になるまで
充分に洗浄し、これを上記でCPEA−1を定量したの
と同様の方法で、0.1規定塩酸水溶液を0.1規定水
酸化ナトリウム水溶液に、0.1規定水酸化ナトリウム
水溶液を0.1規定過塩素酸−ジオキサン溶液にそれぞ
れ替えて測定することによって定量した。
【0038】上記で得たCPEASC-1を100ml
のカラムに充填し、100U/mlのヘパリンを含む生
理食塩液100ml、続いて1U/mlのヘパリンを含
む生理食塩液100mlでカラム内、および血液回路内
を洗浄した。一方、クエン酸加豚血1lをビーカーにと
り、カラムを通して再びこのビーカーに戻すよう血液回
路を組んだ。この装置を用いて血液流量50ml/mi
nで潅流実験を3時間連続して行い、カラム前後の血中
LDLの量を測定した。また、潅流開始前後の全血液中
のアルブミン量、総蛋白量、血小板量を測定した。LD
Lの定量は和光純薬製β−リポ蛋白C−テストワコーを
用いてヘパリン沈澱・比色法によって行った。アルブミ
ン量はブロムクレゾールグリーン法、総蛋白量はビウレ
ット法、血小板量は自動血球算定装置を用いて定量し
た。結果は表1、表2に示した。なお、LDLの量は実
際の測定値、アルブミン、総蛋白、血小板については残
存率で表示した。単位は(mg/dl)であるが、血小
板については(個/dl)を用いた。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】〈実施例2〉GPC(島津製作所製C−R
4A)によるPEG換算で分子量約5000のキトサン
100部をpH9.5の炭酸緩衝液900部(容量)に
溶解させておき、これに30重量%の水酸化ナトリウム
水溶液を少量ずつ添加してpHを9〜10に調整しなが
ら、三酸化硫黄/ピリジン錯体90部を25℃で少量ず
つ5時間かけて加えてゆき、25℃でさらに1時間撹拌
した。ここで要した水酸化ナトリウム水溶液は91部
(容量)であった。反応溶液を炭酸ナトリウムと炭酸水
素ナトリウムでpHを9.5に調整し、N−スルホキト
サン(SC−2)溶液を得た。
【0042】実施例1で得たCPEA−1を100部
(容量)取ってpH9.5の炭酸緩衝液1500部(容
量)に懸濁させておき、これにグルタルアルデヒド60
%水溶液100部を添加して、25℃で18時間撹拌し
て反応させた。濾過によって回収、水洗した生成物をp
H9.5炭酸緩衝液1840部(容量)に懸濁させ、こ
れに、上記で得たSC−を160部(容量)添加して撹
拌しながら25℃で、18時間反応させた。この反応混
合物を濾過して生成物を回収、水洗し、これをpH9.
0の炭酸緩衝液1500部(容量)に分散させ、水素化
ホウ素ナトリウム30部を添加して25℃で、18時間
反応させてシッフ塩基の水素添加を行った。こうしてN
−スルホキトサンに含まれるスルファミノ基由来の酸含
量0.90meq/mlの[セルロース]−[PEOア
ミン]−[N−スルホキトサン](CPEASC−2)
を得た。酸含量の定量は実施例1と同様の方法で行っ
た。
【0043】上記[セルロース]−[PEOアミン]−
[N−スルホキトサン](CPEASC−2)を用いて
実施例1と同様に血液潅流実験を行い、カラム前後の血
中LDL量、潅流開始前後の全血液中のアルブミン量、
総蛋白量、血小板量を測定した。結果は表1、表2に示
す。
【0044】〈比較例1〉分子量4000のポリアクリ
ル酸600部をpH4.5のクエン酸緩衝液2500部
(容量)に溶解させ、N−シクロヘキシル−N'-(2−
モルホリノエチル)カルボジイミド−メト−p−トルエ
ンスルホン酸塩(以下CMECと略記する)63部を添
加し、0℃で20分撹拌した。これに実施例1で得たC
PEA−1を100部(容量)加えて、0℃から徐々に
反応温度を室温まで上昇させ、18時間撹拌して反応さ
せた。生成物を濾過によって回収し、3%水酸化ナトリ
ウム水溶液、続いてイオン交換水で充分に洗浄し、ポリ
アクリル酸のカルボキシル基由来の酸含量1.24me
q/mlの[セルロース]−[PEOアミン]−[ポリ
アクリル酸] (CPEAPA−3)を得た。酸含量は実施例と同様の
方法で定量した。
【0045】上記[セルロース]−[PEOアミン]−
[ポリアクリル酸](CPEAPA−3)を用いて実施
例1と同様に血液潅流実験を行い、カラム前後の血中L
DL量、潅流開始前後の全血液中のアルブミン量、総蛋
白量、血小板量を測定した。結果は表1、表2に示す。
【0046】〈比較例2〉実施例1で得たCPEA−1
を100部(容量)取ってpH9.5の炭酸緩衝液15
00部(容量)に懸濁させておき、これにグルタルアル
デヒド60%水溶液100部を添加して、25℃で18
時間撹拌して反応させた。濾過によって回収、水洗した
生成物をpH9.5炭酸緩衝液1500部(容量)に懸
濁させ、これに、タウリン25部を添加して撹拌しなが
ら25℃で、18時間反応させた。この反応混合物を濾
過して生成物を回収、水洗し、これをpH9.0の炭酸
緩衝液1500部(容量)に分散させ、水素化ホウ素ナ
トリウム30部を添加して25℃で、18時間反応させ
てシッフ塩基の水素添加を行った。こうしてタウリン由
来のスルホン酸含量0.88meq/mlの[セルロー
ス]−[PEOアミン]−[タウリン](CPEAT−
4)を得た。酸含量は実施例と同様の方法で定量した。
【0047】上記[セルロース]−[PEOアミン]−
[タウリン](CPEAT−4)を用いて実施例1と同
様に血液潅流実験を行い、カラム前後の血中LDL量、
潅流開始前後の全血液中のアルブミン量、総蛋白量、血
小板量を測定した。結果は表1、表2に示す。
【0048】〈比較例3〉実施例1で得たCA−1を1
00部(容量)取ってpH9.5の炭酸緩衝液2000
部(容量)に分散させておき、これにタウリン26部を
添加して撹拌し、25℃で18時間反応させた。生成物
を濾過によって回収し、イオン交換水で洗浄した後pH
9.0の炭酸緩衝液2000部(容量)に分散させ、水
素化ホウ素ナトリウム30部を加えて撹拌し、25℃で
18時間反応させてシッフ塩基の水素添加を行った。生
成物を回収、イオン交換水で充分に洗浄して[セルロー
ス]−[タウリン](CT−5)を得た。実施例と同様
の方法で測定したところ、CT−5のタウリン由来スル
ホン酸の含量は、0.95meq/mlであった。
【0049】上記[セルロース]−[タウリン](CT
−5)を用いて実施例1と同様に血液潅流実験を行い、
カラム前後の血中LDL量、潅流開始前後の全血液中の
アルブミン量、総蛋白量、血小板量を測定した。結果は
表1、表2に示す。
【0050】〈比較例4〉粒状多孔質セルロース(平均
粒径50μm、平均孔径5000Å)100部(容
量)、20重量%水酸化ナトリウム水溶液40部(容
量)、ヘプタン120部(容量)、ゼラチン8部の混合
懸濁液を40℃で2時間撹拌した後、エピクロルヒドリ
ン50部を加えて40℃でさらに2時間撹拌した。この
反応混合物から生成物を回収し、充分に洗浄してエポキ
シ化セルロース(CE−6)を得た。極限粘度0.08
3dl/g、平均重合度140、硫黄含量19.2%重
量のデキストラン硫酸ナトリウム5部を水20部(容
量)に溶解させておき、これに上記CE−6を20部
(容量)を加えてpHを12に調整して40℃で18時
間反応させた。未反応のグリシジル基をモノエタノール
アミンでブロックした後、生成物を回収し充分洗浄して
スルホン酸含量0.30meq/ml[セルロース]−
[デキストラン硫酸ナトリウム](CDS−6)を得
た。
【0051】上記[セルロース]−[デキストラン硫酸
ナトリウム](CDS−6)を用いて実施例1と同様に
血液潅流実験を行い、カラム前後の血中LDL量、潅流
開始前後の全血液中のアルブミン量、総蛋白量、血小板
量を測定した。結果は表1、表2に示す。
【0052】上記の例から明らかなように、本発明の定
比重リポ蛋白吸着材は血中のLDLを選択的かつ簡便に
除去できた。吸着能だけに注目した場合はデキストラン
硫酸を固定した吸着材も本発明の吸着材と同レベルであ
ったが、アルブミン、血小板といったたの血中成分に及
ぼす影響を考えた場合、本発明の吸着材は極めて優れて
いることがわかった。この理由は以下の通りである。水
不溶性固体表面上に固定した親水性スペーサーが有効に
働き、排除体積効果によって良好な血液適合性が実現さ
れる。また、N−スルホキトサンのヘパリノイドとして
の効果も現れ、これも血液適合性の向上に貢献している
ものと考えられる。リガンドとして働くスルファミノ基
は、親水性スペーサーによって固体表面から離れて固定
されており、固体表面近傍の親水性スペーサーの流動性
によってそのモービリティーを増し、吸着能の向上が図
られている。
【0053】
【発明の効果】本発明の低比重リポ蛋白吸着材は、親水
性スペーサー導入による排除体積効果に加えて、リガン
ドとして導入したN−スルホキトサンの一部がヘパリノ
イドとしての効果も発揮するために、良好な吸着能と血
液適合性を両立することができ、あらかじめ血液から血
漿成分を分離して潅流するという煩雑な方法をとらず直
接血液を潅流することによって充分な効果を期待するこ
とができる。このため、簡便な操作で低比重リポ蛋白の
除去による症状の改善、治療に利用され得る。
フロントページの続き (72)発明者 田中 昌和 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水不溶性固体に親水性スペーサーを介し
    てN−スルホキトサンを、−NHSO3 Hもしくはこの
    塩という構造を有する官能基由来の酸含量が50μeq
    /ml(湿潤状態)〜2.0meq/ml(湿潤状態)
    となるよう固定したことを特徴とする低比重リポ蛋白吸
    着材。
  2. 【請求項2】 親水性スペーサーが、炭素数1〜4の繰
    り返し単位から成り、重合度が5〜400のポリアルキ
    レンオキサイド骨格を有することを特徴とする請求項1
    記載の低比重リポ蛋白吸着材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5929197B2 (ja) * 2010-10-27 2016-06-01 東レ株式会社 血液成分吸着用担体及び血液成分吸着カラム

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP5929197B2 (ja) * 2010-10-27 2016-06-01 東レ株式会社 血液成分吸着用担体及び血液成分吸着カラム
US9802178B2 (en) 2010-10-27 2017-10-31 Toray Industries, Inc. Carrier for blood component adsorption and blood component adsorption column

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