JPH05299234A - 耐熱絶縁線輪 - Google Patents

耐熱絶縁線輪

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JPH05299234A
JPH05299234A JP9810392A JP9810392A JPH05299234A JP H05299234 A JPH05299234 A JP H05299234A JP 9810392 A JP9810392 A JP 9810392A JP 9810392 A JP9810392 A JP 9810392A JP H05299234 A JPH05299234 A JP H05299234A
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JP
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conductor
insulating
molded
heat
inorganic
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JP9810392A
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English (en)
Inventor
Hisayasu Mitsui
久安 三井
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】300℃以上の高温で長時間安定して使用で
き、しかもヒートサイクルによって絶縁性能が低下する
ことなく、高電圧機器にも使用できる。 【構成】予め導体の形状に合わせて成形してなる複数個
の成形絶縁板を組合わせて導体を包み、この上から無機
質の絶縁テープを巻回して耐熱絶縁線輪を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば高速増殖炉にお
ける液体ナトリウム循環用の電磁ポンプに300℃以上
の高温で用いられる電気機器の耐熱絶縁線輪に関する。
【0002】
【従来の技術】耐熱絶縁線輪としては種々あるが、30
0℃以上の高温で使用できる耐熱絶縁線輪は殆ど知られ
ていない。MIケーブル(古川電工社の商品名)のよう
に、導体と金属シースの間に酸化マグネシュームの粉を
充填した耐熱絶縁線輪が知られているが、これは金属シ
ースがあるため、渦電流対策が必要であり、しかも導体
占積率が低くなるので、容量の大きい電気機器の線輪に
は不向きである。
【0003】また、特公昭62−1241号公報や特公
昭62−1242号公報に記載されているように、コイ
ルの線間空隙部分およびコイルの外表面部の少なくとも
一部にシリコーン系樹脂、またはそのシリコーン系樹脂
と高融点無機粉末を充填または被覆、あるいは充填およ
び被覆した後焼成して無機質層を形成した耐熱絶縁線輪
が知られている。
【0004】さらに、特公昭62−57086号公報や
特公昭62−57087号公報に記載されているよう
に、導体上に無機絶縁層または使用中の異常時等の高温
時に、無機物化する耐熱絶縁電線を巻付け加工したコイ
ルを固定するようにした耐熱絶縁線輪が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これら公知例の耐熱絶
縁線輪は、あまり厚い無機質層を形成できないことや、
絶縁層自体が粗なため絶縁破壊電圧が低く、高電圧用の
機器に使用できないという欠点があった。したがって、
高電圧機器の場合、無機ポリマー(高温で無機物化し得
るポリマー)の接着剤を用いたガラスマイカテープを巻
回して主絶縁とし、これを加熱加圧して成形して焼成
し、完全に無機化した絶縁を形成する方法が考えられ
る。
【0006】しかし、このように全体を接着剤で固めた
絶縁は、機器の起動時や停止時に導体と絶縁層間の熱膨
張率の違いにより熱応力が発生し、このヒートサイクル
が繰返されると疲労により絶縁にクラックが発生し、絶
縁性能が低下する。特に、大容量機用の大形巻線や、よ
り高温で運転される機器ではこのような現象が発生し易
い。
【0007】従って、高速増殖炉で用いる液体ナトリウ
ム浸漬形無冷却電磁ポンプのような300℃以上の高温
で使用される絶縁線輪は、高温で長期間安定して使用で
きる高い耐熱性が必要である。特に大容量機において
は、ヒートサイクルによって絶縁劣化の起きない高電圧
の絶縁線輪が必要となる。
【0008】本発明は、300℃以上の高温で長時間安
定して使用でき、しかもヒートサイクルによって絶縁性
能が低下することなく、高電圧機器にも使用することが
できる耐熱絶縁線輪を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、予め導体の形
状に合わせて成形してなる複数個の成形絶縁板を組合わ
せて導体を包み、この上から無機質の絶縁テープを巻回
した耐熱絶縁線輪とするものである。
【0010】また、予め導体の形状に合わせて成形して
なる複数個の成形絶縁板を隣接する成形絶縁板の端部が
導体に垂直方向に互いに重なり合わないように組合わせ
て導体を包み、この上から無機質の絶縁テープを巻回し
た耐熱絶縁線輪とするものである。
【0011】さらに、予め導体の形状に合わせて成形し
てなる複数個の成形絶縁板を組合わせて導体を包み、こ
の上から無機質の絶縁テープを巻回し、且つ前記導体と
成形絶縁板の間、成形絶縁板と成形絶縁板との間、成形
絶縁板と無機質の絶縁テープとの間の少なくとも一つの
間に絶縁板または絶縁シートを介在させた耐熱絶縁線輪
とするものである。
【0012】ここで、成形絶縁板としてはポリボロシロ
キサン、シリコーンあるいは無機接着剤を含んだ集成マ
イカまたは剥がしマイカを所望の形状になるように型に
より加熱成形したマイカ板、また所望の形状になるよう
に型により加熱成形したアルミナ、ジルコニア、酸化ベ
リリウム、窒化硼素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、
シリカ、ガラス、合成マイカ、ミオナイトおよびミオレ
ックス(菱電化社製)、マイコムQ(日本マイカ社商品
名)などから成る板を使用できる。
【0013】無機質の絶縁テープとしては、アルミナ、
シリカ、ガラス、アルミナ・ボリア・シリカ[例:ネク
ステル(米国3M社商品名)]など耐熱性があり、高温
での機械的、電気絶縁的特性の優れた繊維を織った織布
を使用できる。
【0014】絶縁板としては、ポリボロシロキサン、シ
リコーンあるいは無機接着剤を含んだ集成マイカまたは
剥がしマイカを加熱成形したマイカ板、補強剤としての
アルミナ、シリカ、ガラス、アルミナ・ボリア・シリカ
などの織布をポリボロシロキサン、シリコーンあるいは
無機接着剤により集成マイカまたは剥がしマイカと貼り
合わせたものを加熱成形したマイカ板、マイカレックス
(渡辺商行社商品名)板、また加熱成形したアルミナ、
ジルコニア、酸化ベリリウム、窒化硼素、窒化ケイ素、
窒化アルミニウム、シリカ、ガラス、合成マイカ、ミオ
ナイトおよびミオレックス(菱電化社製)、マイコムQ
(日本マイカ社商品名)などから成る板を使用できる。
【0015】絶縁シートとしては、集成マイカのみから
成るシート、合成マイカシート、補強材としてのアルミ
ナ、シリカ、ガラス、アルミナ・ボリア・シリカなどの
織布をポリボロシロキサン、シリコーンあるいは無機接
着剤により集成マイカまたは剥がしマイカと貼り合わせ
たマイカシート、またセラミック繊維紙、アルミナペー
パ(例えばマックスペーパー:岡部マイカ社商品名)が
使用できる。
【0016】また、無機接着剤としては、高温で焼成す
ることによって無機化するシリコーンがある。例えば、
アルキルシリケート系のシリコーンAY−49−208
(東レシリコーン社商品名)、無機充填材入りポリボロ
シロキサン系塗料SMR−109(昭和電線電纜社商品
名)などが含まれる。更にモノリン酸アルミニウム、コ
ロイダルシリカやコロイダルアルミナなどが含まれる。
これら無機接着剤は高温での電気絶縁性が優れたもので
なければならない。
【0017】なお、無機質の絶縁テープ端末緩み止め
は、アルミナ、シリカ、アルミナ・ボリア・シリカなど
の無機質繊維から成る糸で押さえ巻くか、または絶縁テ
ープの端末のみ前述した無機接着剤を塗布し、高温で焼
成し、付着させることにより行う。
【0018】
【作用】本発明において、予め導体の形状に合わせて成
形してなる複数個の成形絶縁板を組合わせて導体を包
み、この上から無機質の絶縁テープを巻回した耐熱絶縁
線輪としているので、成形絶縁板がばらばらになるのを
外側に巻回した無機質の絶縁テープが押さえており、3
00℃以上という高温になっても、導体の熱膨脹・収縮
に追従して成形絶縁板同志が相互に移動できるので、従
来の絶縁のように導体と絶縁物の熱膨脹率の差による過
大な応力のために絶縁が破壊することがない。
【0019】また、本発明のような絶縁では、絶縁破壊
は成形絶縁板を貫通して起きるのではなく、成形絶縁板
の表面を這い、端部の合せ目を縫って接地されている鉄
心に抜ける沿面破壊が起きるが、上記したように隣接す
る成形絶縁板の端部が導体に垂直方向に互いに重なり合
わないように複数個の成形絶縁板を組合わせることによ
り、成形絶縁板の端部の合せ目を縫って接地されている
鉄心までの沿面距離が長くなるので、絶縁破壊電圧が高
くなり、高電圧用の絶縁とすることができる。
【0020】さらに、導体と成形絶縁板の間、成形絶縁
板と成形絶縁板との間、成形絶縁板と無機質の絶縁テー
プの間の少なくとも一つの間に、絶縁板または絶縁シー
トを介在させることにより、端部の合せ目を縫う距離を
長くすることができるので、成形絶縁板を組合せただけ
の絶縁により、単位厚さ当りの絶縁破壊電圧を高くで
き、熱放散性も良くなり、より電気機器を小形化するこ
とができる。加えて使用材料は、いずれも高温での電気
絶縁性に優れたものを使用しているので、特性の優れた
耐熱絶縁線輪を得ることができる。
【0021】
【実施例】以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。図1は本発明による耐熱絶縁線輪の第1の実施例を
示す断面図である。
【0022】図1において、導体1はニッケルメッキを
施したアルミナ分散強化銅2(グリデンメタル社商品名
GlidenAL−15)から成る平角線に厚さ100μm の
アルミナ織布と厚さ100μm の無焼成軟質集成マイカ
ーシートとを少量のシリコーン(例えば東芝シリコーン
社の商品名YR3286)を接着剤として貼り合わせて
成るマイカテープ3を巻回したもので、この導体1を内
径500mm、外形900mm、厚さ40mmとなるように無
機化シリコーン(例えば東レシリコーン社の商品名AY
49−208)などの無機質の接着剤4を塗布しなが
ら、パンケーキ状に巻いた後、その上から離型用のポリ
テトラフルオロエチレンテープ(図示せず)を巻き、鉄
板を当てた後、熱収縮性ポリエステルテープを巻き、こ
れを80℃で1時間、130℃で2時間、150℃で2
時間、更に180℃で15時間加熱して硬化した。この
後、前記熱収縮性ポリエステルテープ、鉄板、離型用の
ポリテトラフルオロエチレンテープを除去して導体1を
得た。
【0023】この導体1の上から、軟質集成マイカにシ
リコーン(例えば、東芝シリコーン社製TSR−127
B,TSR−102など)を5〜15重量%含有した軟
質集成マイカを導体の形状に合わせて金型を使って18
0℃で5時間加熱成形して得た図2に示す形状の厚さ
0.5mmの成形絶縁板5を、図1および図3に示すよう
に予め隣接した成形絶縁板の端部6が導体に垂直方向に
互いに重なり合わないように3層積み重ねる。
【0024】本実施例のように成形絶縁板を3層積み重
ねる場合には、隣接した成形絶縁板の端部6が導体に垂
直方向に互いに重なり合わないようにするため、最内層
の端部a,中層の端部b、最外層の端部cの位置が互い
にずれるような形状になるように金型を6個使って、6
種類の形状の成形絶縁板5を製作した。また、図2にお
ける成形絶縁板5の幅wは、最内層では(導体の仕上り
厚さtc +嵌め代)に、中層では(導体の仕上り厚さt
c +成形絶縁物の厚さti の2倍+嵌め代)に、また最
外層では(導体の仕上り厚さtc +成形絶縁物の厚さt
i の4倍+嵌め代)になるように設定した。
【0025】さらに、この上から無機質の絶縁テープ7
として、厚さ300μm のアルミナ繊維織布から成る絶
縁テープを1/2重巻で1回巻回した。続いて絶縁テー
プの端末が緩まないように無機化シリコーン(東レシリ
コーン社商品名AY49−208)を塗布した。この線
輪を空気中で300℃で8時間、更に600℃で8時間
加熱し焼成して耐熱絶縁線輪を得た。
【0026】このように第1の実施例では、予め導体の
形状に合わせて成形してなる複数個の成形絶縁物5によ
り導体1を包み、この上から無機質の絶縁テープ7を巻
回して耐熱絶縁線輪を得ているので、成形絶縁板がばら
ばらになることはなく、導体と一体の絶縁層が形成でき
る。成形絶縁板同志は端部で相互に切離されており、3
00℃という高温になっても、導体の熱膨脹、収縮に追
随して相互に移動でき、また表面に巻回した無機質の絶
縁テープであるアルミナ繊維織布から成る絶縁テープに
は、緩み止めに端末のみに無機化シリコーンが塗布して
あるだけで、その他には接着剤が塗布されていないの
で、熱応力を自身が変形することによって吸収すること
ができる。
【0027】また、高温では気体の沿面破壊電圧が常温
より著しく低下するが、本実施例のように高い絶縁破壊
強さを有する成形絶縁板を用いているので、絶縁破壊は
成形絶縁板を貫通して発生することはなく、成形絶縁板
の表面を這い、端部の合わせ目を縫って接地されている
鉄心に抜ける沿面破壊となる。このため、前述したよう
に成形絶縁板の端部が導体に垂直方向に互いに重なり合
わないように絶縁板を組合わせているので、成形絶縁板
の端部の合わせ目を縫って接地されている鉄心までの沿
面距離が長くなり、絶縁破壊電圧を高くすることがで
き、高電圧用の絶縁とすることができる。
【0028】次に本発明の第2の実施例を図4により説
明するに、図1と同一部分には同一符号を付して示す。
図4において、第1の実施例と同様にして得られた導体
1の上から、成形絶縁板5を差込むことにより導体1を
包む。次にその広幅面の形状に合せてリング状に、第1
の実施例で使用した成形絶縁板と同じ材質の軟質集成マ
イカからなる厚さ0.2mmの絶縁板8を切断したものを
2枚用意し、図4に示すように広幅面の上下面に1枚ず
つ当てる。また、同じ厚さの同一材質の絶縁板を内径面
並びに外径面の寸法に合わせて切断し、内径面並びに外
径面に当る。
【0029】次に、その上から成形絶縁板5を差込むこ
とにより導体1を包む。この場合、図2における成形絶
縁板5の幅wは、外層では(導体の仕上り厚さtc +成
形した絶縁板の厚さti の2倍+絶縁板の厚さの2倍+
嵌め代)になるように設定した。
【0030】更に、この上から無機質の絶縁テープ7と
して、厚さ300μm のアルミナ繊維織布から成る絶縁
テープを1/2重巻で1回巻回した。続いて絶縁テープ
の端末が緩まないように無機化シリコーン(東レシリコ
ーン社商品名AY49−208)を塗布した。この線輪
を空気中で300℃で8時間、更に600℃で8時間加
熱し焼成して耐熱絶縁線輪を得た。
【0031】このような第2の実施例においても、第1
の実施例と全く同様の作用効果が得られることは勿論、
更に成形絶縁板と成形絶縁板との間に高い絶縁破壊強さ
を有する絶縁板を介在させたことにより、端部の合わせ
目を縫う距離を長くすることができ、成形絶縁板を組合
せるだけの絶縁に比べ、単位厚さ当りの絶縁破壊電圧を
高くでき、熱放散姓も良くなり、より電気機器を小形化
することができる耐熱絶縁線輪が得られる。
【0032】ここで、第1の実施例および第2の実施例
で得られた耐熱絶縁線輪と、成形絶縁板を用いないで製
造した耐熱絶縁線輪とを高温状態で使用した場合とその
絶縁破壊電圧の試験結果を比較するに、まず成形絶縁板
を用いないで製造した耐熱絶縁線輪について述べる。
【0033】第1の実施例と全く同様の導体を用意し、
その上から成形絶縁板を積み重ねる代わりに、厚さ50
μm のアルミナ織布を厚さ100μm の無焼成集成マイ
カに裏打ち補強し、これに無機質充填材入り無機化シリ
コーン(東レシリコーン社商品名AY49−208)と
無機充填材入りポリボロシロキサン系樹脂塗料(昭和電
線電纜社商品名SMR−109)とシリコーン感圧接着
剤(東芝シリコーン社商品名YR3286)とを塗布し
て成るマイカーテープを上記無機質充填材入り無機化シ
リコーン(東レシリコーン社商品名AY49−220
8)を塗布しながら1/2重巻で4回巻回し、更にその
上から第1の実施例同様に厚さ300μmのアルミナ繊
維織布から成る絶縁テープを1/2重巻で1回巻回し
た。続いて絶縁テープの端末が緩まないように無機化シ
リコーン(東レシリコーン社商品名AY49−208)
を塗布した。この線輪を空気中で300℃で8時間、更
に600℃で8時間加熱し焼成して耐熱絶縁線輪を得
た。
【0034】次に高温状態で使用した場合の試験結果に
ついて述べるに、第1の実施例および第2の実施例で得
られた耐熱絶縁線輪と上記比較例として製造した耐熱絶
縁線輪を50℃と650℃との間で1000回ヒートサ
イクルを実施したところ、比較例のみが絶縁表面のアル
ミナ織布テープにクラックが発生し、アルミナ繊維が切
断していた。これは導体と絶縁物が完全に一体化してい
るため、両者の熱膨脹率の差により過大な応力が発生し
たためである。
【0035】ヒートサイクル1000回終了後の残存絶
縁破壊電圧(絶縁破壊電圧の初期値に対するヒートサイ
クル劣化後の絶縁破壊電圧の百分率)は、それぞれ第1
の実施例で89%、第2の実施例で93%であったのに
対して、比較例は55%であり、第1および第2の実施
例による絶縁線輪の方が残存絶縁破壊電圧が高かった。
また、絶縁層を分解調査した結果ではマイカーテープが
ところどころ切断していた。これは導体と絶縁層との熱
膨脹差によりマイカテープの長手方向に熱応力が繰返し
加わり、疲労によってマイカーテープが切断したためと
考えられる。これに対して、本実施例では成形絶縁板同
志が端部で相互に切離されており、また表面に巻回した
アルミナ繊維織布から成る絶縁テープには緩み止めに端
末のみに無機化シリコーンが塗布してあるが、その他に
は接着剤が塗布されていないので、熱応力に対しては自
身の変形によって吸収することができる。したがって、
300℃以上という高温になっても、導体の熱膨脹、収
縮に追随して相互に移動できるので、導体と絶縁物との
熱膨脹率の差による過大な応力の発生がなく、絶縁が破
壊するようなことはない。
【0036】また、初期状態の室温での絶縁破壊電圧
は、第1の実施例では10.5kV/mm、第2の実施例
では13.7kV/mm、比較例では3.5kV/mmであ
り、第1および第2の実施例の方が比較例に比べて格段
に高く、また比較例が貫通破壊であったのに対して第1
および第2の実施例は共に沿面破壊であった。これは比
較例が空隙の多い絶縁であったのに対し、本実施例の絶
縁では緻密な絶縁層を有する絶縁版を使用した上に、隣
接する成形絶縁板の端部が導体に垂直方向に互いに重な
り合わないように複数個の成形絶縁板を組合せたため
に、沿面距離が長くなって絶縁破壊電圧が高くできた。
特に成形した絶縁板の間に絶縁板を挿入することによ
り、更に沿面距離を延ばした第2の実施例では、第1の
実施例に比べて更に単位厚さ当りの絶縁破壊電圧を向上
させることができることが分かる。
【0037】前述した第1の実施例および第2の実施例
では、成形絶縁板として集成マイカ板を用いたが、この
成形絶縁板としては剥がしマイカ板、アルミナ、ジルコ
ニア、酸化ベリリウム、窒化硼素、窒化ケイ素、窒化ア
ルミニウム、シリカ、ガラス、合成マイカ、ミオナイト
およびミオレックス(菱電化成社性製)、マイコムQ
(日本マイカ社商品名)などから成る成形絶縁板を使用
できる。
【0038】また、無機質の絶縁テープとしては、アル
ミナ以外にシリカ、ガラス、アルミナ・ボリア・シリカ
[例:ネクステル(米国3M社商品名)]など耐熱性が
あり、高温での機械的、電気絶縁的特性の優れた繊維を
織った織布を使用できる。
【0039】また、絶縁板としては集成マイカ板を用い
たが、前述したように絶縁板としては剥がしマイカ板、
アルミナ、ジルコニア、酸化ベリリウム、窒化硼素、窒
化ケイ素、窒化アルミニウム、シリカ、ガラス、合成マ
イカ、ミオナイトおよびミオレックス(菱電化成社性
製)、マイコムQ(日本マイカ社商品名)などから成る
成形絶縁板を使用できる。また、絶縁板の代わりに絶縁
シートが使用できる。絶縁シートとしては集成マイカの
みから成るシート、合成マイカシート、補強材としての
アルミナ、シリカ、ガラス、アルミナ・ボリア・シリカ
などの織布をポリボロシロキサン、シリコーンあるいは
無機接着剤により集成マイカまたは剥がしマイカと貼り
合わせたマイカシートなどが使用できる。
【0040】なお、前記各実施例では絶縁板を成形絶縁
板と成形絶縁板との間に挿入したが、導体と成形絶縁板
の間、または成形絶縁板と無機質の絶縁テープの間の少
なくとも一つの間に絶縁板あるいは絶縁シートを介在さ
せてもよい。また、無機接着剤としては、モノリン酸ア
ルミニウム、コロイダルシリカやコロイダルアルミナな
どを使用してもよい。さらに、無機質の絶縁テープ端末
緩み止めは、アルミナ、シリカ、アルミナ・ボリア・シ
リカなどの無機質繊維からなる糸で押さえ巻きしてもよ
い。
【0041】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、予め
導体の形状に合わせて成形してなる複数個の成形絶縁物
により導体を包み、この上から無機質の絶縁テープを巻
回して耐熱絶縁線輪を製造するようにしているので、3
00℃以上という高温になっても導体の熱膨脹・収縮に
追随して成形絶縁板同志が相互に移動できるので、従来
の絶縁のように導体と絶縁物の熱膨脹率の差による過大
な応力のために絶縁が破壊することがない。
【0042】また、本発明のような絶縁では、成形絶縁
物の表面を這い、端部の合せ目を縫って接地されている
鉄心に抜ける沿面破壊が起きるが、上記したように隣接
した成形絶縁板の端部が導体に垂直方向に互いに重なり
合わないように複数個の成形絶縁板を組合わせることに
より、成形絶縁板の端部の合せ目を縫って接地されてい
る鉄心までの沿面距離が長くなるので、絶縁破壊電圧が
高くなり、高電圧用の絶縁とすることができる。
【0043】さらに、導体と成形絶縁板との間、または
成形絶縁板と成形絶縁板との間、あるいは成形絶縁板と
無機質の絶縁板との間の少なくとも一つの間に絶縁板ま
たは絶縁シートを介在させることにより、端部の合せ目
を縫う距離を長くすることができるので、成形絶縁板を
組合わせただけの絶縁よりも単位厚さ当りの絶縁破壊電
圧を高くでき、熱放散性もよくなり、より電気機器を小
形化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による耐熱絶縁線輪の第1の実施例を示
す断面図。
【図2】同実施例で使用した成形絶縁板の形状を説明す
るための図。
【図3】同実施例で使用した成形絶縁板の端部の位置関
係を説明するための図。
【図4】本発明による耐熱絶縁線輪の第2の実施例を示
す断面図。
【符号の説明】 1…導体、2…マイカテープ、3…ニッケルメッキした
アルミナ分散強化銅、4…無機質の接着剤、5…成形絶
縁板、6…成形絶縁板の端部、7…無機質の絶縁テー
プ、8…絶縁板。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め導体の形状に合わせて成形してなる
    複数個の成形絶縁板を組合わせて導体を包み、この上か
    ら無機質の絶縁テープを巻回したことを特徴とする耐熱
    絶縁線輪。
  2. 【請求項2】 予め導体の形状に合わせて成形してなる
    複数個の成形絶縁板を隣接する成形絶縁板の端部が導体
    に垂直方向に互いに重なり合わないように組合わせて導
    体を包み、この上から無機質の絶縁テープを巻回したこ
    とを特徴とする耐熱絶縁線輪。
  3. 【請求項3】 予め導体の形状に合わせて成形してなる
    複数個の成形絶縁板を組合わせて導体を包み、この上か
    ら無機質の絶縁テープを巻回し、且つ前記導体と成形絶
    縁板の間、成形絶縁板と成形絶縁板との間、成形絶縁板
    と無機質の絶縁テープとの間の少なくとも一つの間に絶
    縁板または絶縁シートを介在させることを特徴とする耐
    熱絶縁線輪。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH08200366A (ja) * 1995-01-18 1996-08-06 Ntn Corp 磁気軸受

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