JPH05298925A - エチレン系共重合体またはその組成物からなる高絶縁体およびこれを用いた電力ケーブル - Google Patents

エチレン系共重合体またはその組成物からなる高絶縁体およびこれを用いた電力ケーブル

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JPH05298925A
JPH05298925A JP12549892A JP12549892A JPH05298925A JP H05298925 A JPH05298925 A JP H05298925A JP 12549892 A JP12549892 A JP 12549892A JP 12549892 A JP12549892 A JP 12549892A JP H05298925 A JPH05298925 A JP H05298925A
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雅昭 池田
Masayoshi Kariya
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Katsufumi Suga
克文 菅
Norihisa Nagasawa
則壽 長沢
Hideo Kawabata
秀雄 川端
Junichi Yokoyama
淳一 横山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気絶縁抵抗が高いエチレン系共重合体およ
びその組成物からなる高絶縁体、およびそれを用いた極
めて電気絶縁抵抗が高い高圧電力ケーブルを開発する。 【構成】 高圧ラジカル重合法により得られる実質的に
エチレンと二塩基酸無水物およびカルボニル基、ニトリ
ル基およびニトロ基を有する単量体の少なくとも1種と
の多元エチレン系ランダム共重合体、または該多元エチ
レン系ランダム共重合体と他のポリオレフィン系樹脂と
の組成物であって、該多元エチレン系ランダム共重合体
または該組成物中の二塩基酸無水物単位が0.001重
量%〜0.05重量%、かつ二塩基酸無水物単位と該極
性基単位の合計が0.002重量%〜0.2重量%であ
るエチレン系共重合体またはその組成物からなる高絶縁
体、およびそれを絶縁体として用いた電力ケーブルによ
り目的を達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高電圧特性、加工性等に
優れるエチレン系共重合体またはその組成物からなる高
絶縁体、およびそれを用いた高圧電力ケーブルに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高圧電力ケーブル用絶縁体として
は高圧法ポリエチレンや架橋ポリエチレンが電気特性に
優れているため広く用いられている。高圧電力ケーブル
のもつ問題の一つに高圧送電中の電力損失があり、これ
を低減させることは重要な課題である。この電力損失の
低減を図る一つの手段は、絶縁材の高電圧特性、特に電
気絶縁抵抗を高めることにより達成することができる。
絶縁材料の高電圧特性を改良する方法として低圧法ポリ
エチレンに無水マレイン酸をグラフトする方法が提案さ
れている(例えば、特開平2−10610号公報等)。
しかし、高圧電力ケーブル用絶縁体として低圧法ポリエ
チレンを用いると、高圧ラジカル重合法ポリエチレンと
くらべて可撓性に劣る、触媒残渣として金属化合物が残
り、電気特性に悪影響を与えるという問題を有してい
る。また、ポリエチレン100重量部に無水マレイン酸
グラフト量が0.5〜10重量%である無水マレイン酸
グラフトポリエチレン2〜40重量部を配合した組成物
の絶縁層のある電力ケーブルが提案されている(特開昭
63−150811号公報)。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題
点に鑑み鋭意検討した結果、エチレンと少量の二塩基酸
無水物と特定の極性基を有する単量体とを高圧ラジカル
重合法により共重合して得られる多元ランダム共重合体
あるいは該多元ランダム共重合体と他のポリオレフィン
との組成物を用いることにより、大幅に電気絶縁抵抗特
性の向上がなされることを見いだして成されたものであ
って、その第1目的は、極めて電気絶縁抵抗が高い絶縁
体を提供するものであり、第2目的はそれを用いた極め
て電気絶縁抵抗が高い高圧電力ケーブルを提供するもの
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の第1発明は、高
圧ラジカル重合法により得られる実質的にエチレンと二
塩基酸無水物およびカルボニル基、ニトリル基およびニ
トロ基を有する単量体の少なくとも1種との多元ランダ
ム共重合体、または該多元ランダム共重合体と他のポリ
オレフィン系樹脂との組成物であって、該多元ランダム
共重合体または該組成物中の二塩基酸無水物単位が0.
001重量%〜0.05重量%、かつ二塩基酸無水物単
位と該極性基単位の合計が0.002重量%〜0.2重
量%であるエチレン系共重合体またはその組成物からな
る高絶縁体である。
【0005】本発明の第2発明は、高圧ラジカル重合法
により得られる実質的にエチレンと二塩基酸無水物およ
びカルボニル基、ニトリル基およびニトロ基を有する単
量体の少なくとも1種との多元ランダム共重合体、また
は該多元ランダム共重合体と他のポリオレフィン系樹脂
との組成物であって、該多元ランダム共重合体または該
組成物中の二塩基酸無水物単位が0.001重量%〜
0.05重量%、かつ二塩基酸無水物単位と該極性基単
位の合計が0.002重量%〜0.2重量%であるエチ
レン系共重合体またはその組成物を絶縁体として用いた
ことを特徴とする電力ケーブルである。以下本発明を詳
述する。
【0006】本発明の第1発明における多元エチレン系
ランダム共重合体(以下共重合体という)またはその組
成物とは、エチレンと二塩基酸無水物と、カルボニル
基、ニトリル基およびニトロ基を有する単量体の少なく
とも一種との多元ランダム共重合体、またはその共重合
体に他のポリオレフィン系樹脂を配合した組成物であ
り、該共重合体またはその組成物中に、二塩基酸無水物
単位を0.001重量%〜0.05重量%、かつ二塩基
酸無水物単位と上記の極性基を有する単量体単位の合計
が0.002重量%〜0.2重量%含むものである。該
共重合体は、高圧ラジカル重合により、エチレンと二塩
基酸無水物および特定の極性基を有する単量体を共重合
することにより製造することができる。
【0007】本発明で使用しうる二塩基酸無水物として
は、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水ハイミック
酸、メチル無水マレイン酸、ジメチル無水マレイン酸、
フェニル無水マレイン酸、ジフェニル無水マレイン酸、
クロロ無水マレイン酸、ジクロロ無水マレイン酸、フル
オロ無水マレイン酸、ジフルオロ無水マレイン酸、ブロ
モ無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等を挙げる
ことができる。これらの中でも特に好ましいものとして
無水マレイン酸を挙げることができる。
【0008】本発明で使用しうる二塩基酸無水物以外の
特定の極性基(以下、極性基という)を含む単量体とし
ては、(a)カルボニル基を有する単量体、(b)ニト
リル基を有する単量体、(c)ニトロ基を有する単量体
を挙げることができる。 (a1)カルボニル基を有する単量体の一例としては、
α,β−不飽和カルボン酸エステルから誘導される不飽
和カルボン酸エステル挙げることができ、その具体的な
例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プ
ロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピ
ル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチ
ル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキ
シル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリ
ル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メ
タクリル酸ステアリル、マレイン酸モノメチルエステ
ル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチ
ルエステル、フマル酸モノメチルエステル、アクリル酸
グリシジル、メタクリル酸グリシジル等の不飽和カルボ
ン酸エステル類を挙げることができる。この中でも特に
好ましいものとして(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルを挙げることができる。更に好ましくはアクリル酸メ
チルやアクリル酸エチルを挙げることができる。
【0009】(a2)カルボニル基を有する他の単量体
としての例は、ビニルエステルを挙げることができる。
その具体的な例としては、プロピオン酸ビニル、酢酸ビ
ニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル
酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニ
ルなどのビニルエステル単量体を挙げることができる。
これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニル
を挙げることができる。
【0010】(a3)カルボニル基を有する他の単量体
としての例は、一酸化炭素、メチルビニルケトン、イソ
プロペニルビニルケトン、エチルビニルケトン、フェニ
ルビニルケトン、t−ブチルビニルケトン、イソプロピ
ルビニルケトン、メチルプロペニルケトン、メチルイソ
プロペニルケトン、シクロヘキシルビニルケトンなどを
挙げることができる。
【0011】(b)ニトリル基を有する単量体として
は、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、α−メ
トキシアクリロニトリル、ビニリデンシアニド、シナモ
ニトリル、クロトノニトリル、α−フェニルクロトノニ
トリル、フマロニトリル、アリルアセトニトリル、2−
ブテンニトリル、3−ブテンニトリルなどを挙げること
ができる。
【0012】(c)ニトロ基を有する単量体としては、
2,4−ジニトロフェニルアクリレート、2−ニトロス
チレン、3−ニトロスチレン、4−ニトロスチレン、p
−ニトロフェニルメタクリレート、m−ニトロフェニル
メタクリレート、2,4−ジニトロフェニルメタクリレ
ート、2,4,6−トリニトロフェニルメタクリレート
等を挙げることができる。
【0013】本発明で用いる高圧ラジカル重合法により
得られる実質的にエチレンと二塩基酸無水物とそれ以外
の特定の極性基を有する単量体との多元エチレン系ラン
ダム共重合体の具体例としては、エチレン/無水マレイ
ン酸/VAまたは一酸化炭素共重合体、エチレン/無水
マレイン酸/メチルビニルケトン共重合体、エチレン/
無水マレイン酸/エチルビニルケトン共重合体、エチレ
ン/無水マレイン酸/アクリロニトリル共重合体、エチ
レン/無水マレイン酸/メタアクリロニトリル共重合
体、エチレン/無水マレイン酸/アリルアセトニトリル
共重合体、エチレン/無水マレイン酸/2−ニトロスチ
レン共重合体、エチレン/無水マレイン酸/m−ニトロ
スチレン共重合体、エチレン/無水マレイン酸/p−ニ
トロフェニルメタクリレート共重合体、エチレン/無水
マレイン酸/メチルイソプロペニルケトン共重合体等、
エチレン/無水マレイン酸/EAまたは一酸化炭素共重
合体等を挙げることができる。
【0014】該高圧ラジカル重合法は、例えばエチレン
99.8〜99.998重量%、二塩基酸無水物0.0
01〜0.05重量%、二塩基酸無水物以外の極性基を
有する単量体(二塩基酸無水物との合計が0.002重
量%以上0.2重量%以下になるような量)の混合物
を、それらの全単量体の総重量に基づいて0.0001
〜1重量%のラジカル重合開始剤の存在下で重合圧力5
00〜4000kg/cm2、好ましくは100〜350℃
の条件下、連鎖移動剤、必要に応じて助剤の存在下に槽
型または管型反応器内で該単量体を同時に、あるいは段
階的に接触、重合させる方法である。
【0015】上記ラジカル重合開始剤としては、ペルオ
キシド、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物、アミンオキ
シド化合物、酸素などの通例の開始剤が挙げられる。ま
た連鎖移動剤としては、水素、プロピレン、ブテン−
1、C1〜C20またはそれ以上の飽和脂肪族炭化水素お
よびハロゲン置換炭化水素、例えばメタン、エタン、プ
ロパン、ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプ
タン、シクロパラフィン類、クロロホルム、および四塩
化炭素、芳香族化合物、例えばトルエン、ジエチルベン
ゼンおよびキシレンのような化合物等が挙げられる。
【0016】上記二塩基酸無水物と、それ以外の極性基
を有する単量体と、エチレンとを共重合させるに際して
は他の不飽和単量体を必要に応じてさらに共重合させる
ことができる。該他の不飽和単量体の一例としては、プ
ロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、デセン−1、オ
クテン−1、スチレン等のオレフィン類が挙げられる。
【0017】本発明において、上記の多元エチレン系ラ
ンダム共重合体に配合する他のポリオレフィン系樹脂と
しては、低密度、中密度、高密度ポリエチレンなどの単
独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−
ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合
体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチ
レン−オクテン−1共重合体などのエチレンを主成分と
する他のα−オレフィンとの共重合体からなる直鎖状低
密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−
プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエ
ン共重合体ゴムが挙げられる。これらの中でも高圧ラジ
カル重合法ポリエチレンを用いることが好ましい。これ
らの組成物を溶融混合する方法としては、バンバリーミ
キサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロー
ル等の通例用いられる混練機により行うことができる。
【0018】本発明においては、上記の多元エチレン系
ランダム共重合体を絶縁体として用いても、あるいはこ
の多元エチレン系ランダム共重合体に他のポリオレフィ
ン系樹脂を配合した組成物を絶縁体として用いても、多
元エチレン系ランダム共重合体あるいはその組成物中の
二塩基酸無水物単位の含有量は0.001〜0.05重
量%、好ましくは0.003〜0.03重量%であり、
二塩基酸無水物単位とそれ以外の特定の極性基を有する
単量体単位との合計が0.002重量%〜0.2重量
%、好ましくは0.005〜0.15重量%の範囲であ
ることが肝要であり、上記二塩基酸無水物単位と特定の
極性基を有する単量体単位を特定の範囲に調整すること
により電気絶縁抵抗を飛躍的に向上せしめる効果を有す
る。
【0019】二塩基酸無水物単位の含有量が0.001
重量%未満、および二塩基酸無水物単位と上記極性基を
有する単量体単位との合計が0.002重量%未満であ
ると電気絶縁抵抗を向上せしめる効果が少なく、二塩基
酸無水物単位の含有量が0.05重量%を越え、かつ二
塩基酸無水物単位と上記極性基を有する単量体単位の合
計が0.2重量%を越える場合には、電気絶縁抵抗が高
いものの、誘電正接(tanδ)の上昇をもたらすので
好ましくない。誘電正接値は、二塩基酸無水物単位の量
と上記極性基を有する単量体単位の量の増加とともに単
調に上昇する。電力ケーブル用絶縁材料とするには、誘
電正接値は最大でも5×10-4以下にするのが望まし
く、このため二塩基酸無水物単位の量は、0.05重量
%以下で、かつ二塩基酸無水物単位と上記極性基を有す
る単量体単位の合計が0.002重量%〜0.2重量%
に限定されるものである。
【0020】上記の多元エチレン系ランダム共重合体の
密度は一般的には0.91〜0.94g/cm3の範囲
で適用される。また、メルトインデックス(以下MIと
略す)についてはケーブルへの押出加工性を考慮すると
0.05〜20g/10分が望ましい。
【0021】上述した本発明の多元エチレン系ランダム
共重合体あるいはその組成物は、通例の電線・電力ケー
ブル等の絶縁層として使用されるのみでなく、単独また
は他の合成樹脂、ゴム等とブレンドされて、フィルムま
たはシート、テープ、ヤーン等に加工され、必要により
他の基材と積層され、絶縁フィルムやシート、絶縁テー
プ、絶縁カバー、絶縁衣等に活用される。
【0022】本発明の第2発明である電力ケーブルと
は、押出しによる内部半導電層および/または外部半導
電層、あるいは所望により銅、アルミニウム、鉛等の外
部金属遮蔽層やアルミニウムテープ等を巻回した遮水層
等の通例電力ケーブルにおいて設けられる被覆層と共に
上記の多元エチレン系ランダム共重合体あるいはその組
成物よりなる絶縁層を有するものである。
【0023】該絶縁層は、架橋体、未架橋体のいずれで
もよい。また、架橋においては、パーオキサイド、イオ
ウ等の他、シラン架橋、電子線架橋等の通例の方法を用
いることができる。
【0024】本発明では、本発明の主旨を逸脱しない範
囲において、他の合成樹脂やゴムあるいは酸化防止剤、
紫外線防止剤、顔料、染料、滑剤、発泡剤、難燃剤、充
填剤等の通例の添加剤等を添加しても差し支えない。
【0025】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳しく説明
するが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。 実施例1 窒素で置換された内容量3.8リットルの攪拌機付きオ
ートクレーブ内に、n−ヘキサン380g無水マレイン
酸のアセトン溶液0.38g(無水マレイン酸として、
0.0038g)アクリル酸エチル(EAと略す)0.
2g、および重合開始剤としてジターシャルブチルパー
オキサイドを加え、ついでエチレンを1,700g仕込
んだ後、重合圧1,600kgf/cm2 温度190
℃、重合時間1時間で重合させた。この重合によって得
たエチレン−無水マレイン酸−アクリル酸エチル共重合
体を得た。トルエン−アセトン溶媒で再沈精製を行った
後、赤外分光光度計で分析したところ、無水マレイン酸
は、0.001重量%で、アクリル酸エチルは、0.0
5重量%であった。この共重合体の電気特性を測定した
ところ、体積抵抗は、比較例1の低密度ポリエチレンに
比べると10倍になっていた。また、誘電正接は、5×
10-4以下であった。
【0026】実施例2 実施例1と同様な製造法で得たエチレン共重合体(無水
マレイン酸は、0.02重量%で、アクリル酸エチル
は、0.01重量%)の電気特性を測定したところ、体
積抵抗は、比較例1の低密度ポリエチレンに比べると2
0倍になっていた。また、誘電正接は、5×10-4以下
であった。
【0027】実施例3 実施例1と同様な製造法で得た共重合体(無水マレイン
酸は、0.15重量%で、アクリル酸エチルは、0.1
5重量%)40gと低密度ポリエチレン2000gとを
ドライブレンドした後、シリンダー温度200℃に設定
した単軸押出機(L/D=26,C.R.=3.0)に
供給し、押し出し後、造粒した。造粒したエチレン共重
合体組成物をトルエン−アセトン溶液で再沈精製をした
のち、赤外分光光度計で分析したところ、無水マレイン
酸は、0.003重量%で、アクリル酸エチルは、0.
003重量%であった。この共重合体組成物の電気特性
を測定したところ、体積抵抗は、比較例1の低密度ポリ
エチレンに比べると10倍になっていた。また、誘電正
接は、5×10-4以下であった。
【0028】実施例4 実施例1と同様な製造法で得た共重合体(無水マレイン
酸は、0.15重量%で、アクリル酸エチルは、0.1
5重量%)500gと低密度ポリエチレン2000gと
を用いて、実施例3と同様な製造法で得たエチレン共重
合体組成物(無水マレイン酸は、0.03重量%で、ア
クリル酸エチルは、0.03重量%)は、比較例1の低
密度ポリエチレンに比べると体積抵抗が、40倍になっ
ていた。誘電正接は、5×10-4以下であった。
【0029】実施例5 実施例3と同様な製造法で共重合体(無水マレイン酸
は、0.4重量%で、アクリル酸エチルは、0.15重
量%)60gと低密度ポリエチレン2000gとのブレ
ンドによって得たエチレン共重合体組成物(無水マレイ
ン酸は、0.01重量%で、アクリル酸エチルは、0.
004重量%)は、比較例1の低密度ポリエチレンに比
べると体積抵抗が、15倍になっていた。誘電正接は、
5×10-4以下であった。
【0030】実施例6 実施例3と同様な製造法で共重合体(無水マレイン酸
は、0.2重量%で、アクリル酸エチルは、7重量%)
10gと低密度ポリエチレン2000gとのブレンドに
よって得たエチレン共重合体組成物(無水マレイン酸
は、0.001重量%で、アクリル酸エチルは、0.0
3重量%)は、比較例1の低密度ポリエチレンに比べる
と体積抵抗が、10倍になっていた。誘電正接は、5×
10-4以下であった。
【0031】実施例7〜10 実施例1のアクリル酸エチルを酢酸ビニル(VAと略
す)、メチルビニルケトン(MVKと略す)、アクリロ
ニトリル(ANと略す)および2−ニトロスチレン(N
Stと略す)に変えた以外は実施例1と同様にして共重
合体を製造した。
【0032】比較例1 現在市販されている高圧ラジカル法による低密度ポリエ
チレン(商品名=日石レクスロンW2000、日本石油
化学(株)製)を比較例にした。
【0033】比較例2 実施例1と同様な製造法で得た共重合体(無水マレイン
酸は、0.04重量%で、アクリル酸エチルは、0.2
重量%)の電気特性を測定したところ、体積抵抗は、比
較例1の低密度ポリエチレンに比べると、60倍になっ
ているが、誘電正接は、5×10-4以上になっているた
めに、電線ケーブル用の絶縁体には不向きである。
【0034】比較例3 実施例1と同様な製造法で得た共重合体(無水マレイン
酸は、0.15重量%で、アクリル酸エチルは、0.1
重量%)10gと低密度ポリエチレン2000gとを用
いて、実施例3と同様な製造法で得たエチレン共重合体
組成物(無水マレイン酸は、0.0007重量%で、ア
クリル酸エチルは、0.0005重量%)は、比較例1
の低密度ポリエチレンに比べると体積抵抗の著しい向上
は、みられない。
【0035】比較例4 実施例1と同様な製造法で得た共重合体(無水マレイン
酸は、0.2重量%で、アクリル酸エチルは、7重量
%)60gと低密度ポリエチレン2000gとを用い
て、実施例3と同様な製造法で得たエチレン共重合体組
成物(無水マレイン酸は、0.01重量%で、アクリル
酸エチルは、0.2重量%)は、比較例1の低密度ポリ
エチレンに比べると体積抵抗が、20倍になっている
が、誘電正接は、5×10-4以上になっているために、
電線ケーブル用の絶縁体には不向きである。これらの結
果をまとめて表1に示す。
【0036】(試験法) 絶縁抵抗(体積固有抵抗);印加電圧3kV、時間10
分、試料厚み0.3mmで測定した。 誘電正接(tanδ) ;横河ヒューレットパッカー
ド(株)製YHP4194Aインピーダンスアナライザ
ー使用、試料厚み1mm、100kHZ。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】上述のように本発明のエチレン/二塩基
酸無水物/特定の極性基を有する単量体から成る多元エ
チレン系ランダム共重合体あるいはその多元エチレン系
ランダム共重合体と他のポリオレフィン系樹脂との組成
物は、二塩基酸無水物単位と特定の極性基を有する単量
体単位を特定することにより電気絶縁抵抗を飛躍的に高
める効果が得られ、電力ケーブルの絶縁層として使用し
た場合において、絶縁層を厚くしないで高電圧送電時の
電力損失を低減することができる。
フロントページの続き (72)発明者 川端 秀雄 神奈川県横浜市港南区大久保3−35−2 (72)発明者 横山 淳一 神奈川県横浜市金沢区高舟台2−25−26

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧ラジカル重合法により得られる実質
    的にエチレンと二塩基酸無水物およびカルボニル基、ニ
    トリル基およびニトロ基を有する単量体の少なくとも1
    種との多元ランダム共重合体、または該多元ランダム共
    重合体と他のポリオレフィン系樹脂との組成物であっ
    て、該多元ランダム共重合体または該組成物中の二塩基
    酸無水物単位が0.001重量%〜0.05重量%、か
    つ二塩基酸無水物単位と該極性基単位の合計が0.00
    2重量%〜0.2重量%であるエチレン系共重合体また
    はその組成物からなる高絶縁体。
  2. 【請求項2】 高圧ラジカル重合法により得られる実質
    的にエチレンと二塩基酸無水物およびカルボニル基、ニ
    トリル基およびニトロ基を有する単量体の少なくとも1
    種との多元ランダム共重合体、または該多元ランダム共
    重合体と他のポリオレフィン系樹脂との組成物であっ
    て、該多元ランダム共重合体または該組成物中の二塩基
    酸無水物単位が0.001重量%〜0.05重量%、か
    つ二塩基酸無水物単位と該極性基単位の合計が0.00
    2重量%〜0.2重量%であるエチレン系共重合体また
    はその組成物を絶縁体として用いたことを特徴とする電
    力ケーブル。
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