JPH0529879B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、原子炉燃料集合体の支持格子にかか
り、特に該支持格子を構成するストラツプの板厚
が厚くなつた場合にも、冷却水の流体抵抗を軽減
させることのできる原子炉燃料集合体の支持格子
に関するものである。

「従来の技術」 従来のこの種の支持格子としては、第４図ない
し第６図に示されるようなものが知られている。

これらの図において、燃料集合体は上下に離間
して平行に配設された上部ノズル１および下部ノ
ズル２と、これらの間に所定の間隔をおいて配設
された複数の支持格子３と、第５図に示されるよ
うにこれらの支持格子３に形成された多数の格子
空間４における所定の格子空間５を挿通して前記
上部ノズル１及び下部ノズル２にそれぞれの上下
端部が連結されて燃料集合体の骨組みを較正する
制御棒案内管６と、前記支持格子３の所定の格子
空間７内に挿通して第６図に示されるようにスプ
リング８及びデインプル９によつて支持されてい
るとともに、その内部に多数の燃料ペレツト１０
及び押さえバネ１１が密封されている複数の燃料
棒１２とから構成されている。このような、燃料
集合体の支持格子３は第７図に示されるストラツ
プ１３を多数縦横に組み込むことにより形成され
ている。

即ち、このストラツプ１３は長方形状の薄い耐
熱合金板（例えばインコネル７１８等の材質）を
その長手方向と直角な方向に切り込んで多数のス
リツト１４を形成し、これら各スリツト間に前記
合金板の一方の側に該合金板の一部を突出させて
スプリング８を形成するとともに、このスプリン
グ８の両側部を打ち抜いてスロツト１５を形成
し、更に第８図に示すように、スプリング８の表
面に凹凸を形成すると共に、スプリング８の上下
に位置する部位の一部を前記合金板の一方の側に
それぞれ突出させてデインプル９を形成してなる
ものである。

「発明が解決しようとする問題点」 ところが、上記従来の支持格子にあつては、ス
プリングの形状が縦型となつており、スプリング
自体は打ち抜いた板材をプレス成形して、凹凸を
付けるようにしたものであるので、スプリングの
長さを長くして弾性変位量を増やそうとしても、
限界があると共に、凹凸を付けたスプリングの特
定の場所に応力集中が発生すること、さらに、支
持格子の材質として熱中性子吸収断面積の小さな
ジルカロイ材が使用される傾向にあるが、この材
料を使用した場合には弾性力が乏しく、従来のイ
ンコネル７１８を使用した場合には充分な弾性力
を発揮していた従来型のスプリングの形状のもの
では、充分な弾性力を確保することが困難である
こと、また、支持格子のストラツプにジルカロイ
材を用いた場合には機械的な強度上の観点から支
持格子の板厚を厚くして剛性を高める必要がある
が、板厚が増えた分だけ冷却水の流路が狭くな
り、流体抵抗が増大するため、従来のスプリング
の形状では冷却水の圧力損失が大きくなること等
の問題点があつた。

本発明は、前記問題点に鑑みてなされたもの
で、スプリング長さを長くすることにより、弾性
変位量を増大させると共に、支持格子のストラツ
プに機械的強度の低いジルカロイ材等を使用して
板厚が厚くなつた場合にも、従来のスプリングに
比べて冷却水の流体抵抗を大幅に低減させること
のできる原子炉燃料集合体の支持格子を提供する
ことを目的としている。

「問題点を解決するための手段」 本発明は、前記問題点を解決するために、原子
炉燃料集合体の支持格子を構成し、かつ板材で製
作されたストラツプの表面のスプリングがＳ字状
に形成されるようにスロツトを打ち抜くととも
に、Ｓ字状に形成されたスプリングを両端部から
中央部に向かうにしたがつてスプリングの表面が
逐次高くなつていくように板材の一方に突出させ
るようにしている。

「作用」 本発明の原子炉燃料集合体の支持格子において
は、スプリングがＳ字状に形成されているため、
スプリングが長くなり、その分弾性変位量が増大
することになる。また、スプリングはストラツプ
の表面より中央部になるに従つて逐次高くなつて
おり、ストラツプとの間に空間が形成され冷却水
が通過するための水路となり、支持格子内を流れ
る冷却水はスプリングによつて抵抗を受けること
が少なくなるとともに、燃料棒が挿入されてスプ
リングに変位を与えた場合にも、スプリングの各
部位には分散した応力が発生することとなる。

「実施例」 以下、本発明を図面を用いて説明する。第１図
ないし第３図は本発明の原子炉燃料集合体の支持
格子の一実施例を示すものである。

これらの図は、前記従来の技術に示した支持格
子のスプリングの付近を示すものであり、これら
の図において、従来の技術に示す構成要素と同一
の要素については同一符号を付してその説明を省
略する。第１図において、符号１３は縦横に組ま
れて支持格子を形成するストラツプであり、これ
ら各ストラツプ１３には紙面の手前側に突出させ
て形成されたスプリング８およびこのスプリング
８の周囲を打ち抜いて形成されたスロツト１５が
設けられているとともに、これらスプリング８の
上下の部位には前記ストラツプ１３の一部をスプ
リング８と同じ側に突出させて形成されたデイン
プル９が設けられている。

前記スプリング８は、ストラツプ１３を構成す
る板材に２つのコ字状をしたスロツト１５を向か
い合わせに打ち抜くことによりＳ字状に形成され
たものであり、第２図に示すように、スプリング
８と板材とが一体となつた両端部８ｓ側から中央
部8mに向かうにしたがつて表面が逐次高くなつ
ていくように板材の一方に突出させたものであ
り、これによつて、スプリング８の内側には所定
の形状の空間８ａが形成されることとなる。さら
に、この実施例の場合、スプリング８は中央部
8mを中心として点対称形とされ、中央部8m付近
は、第３図ａ，ｂに示すように、断面−がフ
ラツトに形成されると共に、断面の両側部は燃料
棒を挿入する際、引つ掻けないように適当な傾斜
面（傾斜角θ＝０〜60°）又は湾曲面が形成され
た構成となつている。

つぎに、前述した本実施例の原子炉燃料集合体
の支持格子の作用について説明する。

前述したように、スプリング８は板材にコ字状
のスロツト１５を向かい合わせに打ち抜くことに
よりＳ字状に形成され、さらに、板材の一側面側
に突出させて形成したものであるので、スプリン
グ８の全長が長くなり、その分弾性変位量が増大
することとなる。また、スプリング８は、中央部
8mに行くに従つてストラツプ１３の表面より逐
次高くなつており、これによつてスプリング８と
ストラツプ１３との間には空間８ａが形成される
こととなる。そして、該空間８ａは支持格子内を
流れる冷却水の水路としての機能を果たし、冷却
水はスプリングによつて抵抗を受けることが少な
くなり、支持格子３内の冷却水の圧力損失が低下
するとともに、支持格子３内に燃料棒が挿入され
てストラツプ１３のスプリング８に変位を与えた
場合にも、スプリングの各部位には分散した応力
が発生することとなる。

したがつて、本実施例の支持格子においては、
支持格子３の材質として機械的強度は低いが、熱
中性子吸収断面積の小さなジルカロイ材等を使用
しても充分な弾性力を発揮させることができると
ともに、スプリング８の特定部位に応力集中が生
じることがない。また、支持格子３のストラツプ
１３にジルカロイ材を用いた場合には機械的な強
度上の観点からストラツプ１３の板厚を厚くして
剛性を高める必要があるが、板厚が増えた分だけ
冷却水の流路が狭くなり流体抵抗が増大するが、
スプリング８の内側に水路が形成されているた
め、その分、冷却水の圧力損失を低減することが
できる。

なお、前述した実施例以外の技術的事項、ある
いは他の実施例について、以下に記載する。

(i) 前記実施例において、スプリングの形状を示
すＳ字状とは、Ｓ字のみに限られることなく、
Ｚ字、己字これらの対掌体等スプリングの長さ
が十分に確保できると共に、両端部から中央部
になるに従つて逐次高くなり、かつ中央部を中
心として略点対称形のものであれば、どのよう
な形状のものでもよい。

(ii) 前記実施例のスプリングは、その形状を両端
部から中央部に向つて高くなるように逐次変化
させるように構成したが、中央部付近以外のス
プリングの部位には、適当な凹凸部を形成する
ことにより、スプリングに適度の剛性を付与す
るようにしてもよい。

「発明の効果」 以上の説明のように、本発明の原子炉燃料集合
体の支持格子によれば、ストラツプの表面のスプ
リングをＳ字状に形成するとともに、両端部から
中央部に向かうにしたがつてスプリングの表面が
逐次高くなつていくようにストラツプの一側面側
に突出させるようにしたものであるので、スプリ
ングを長くすることができ、その分弾性変位量が
増大し、機械的強度の低いジルカロイ材等の材質
を使用した場合にも充分な弾性力を確保すること
ができると共に、スプリングの内側に形成される
空間が冷却水の水路となり流体抵抗を低減させる
ことができ、さらに、スプリングの各部位には分
散した応力を発生させることができるという優れ
た効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本発明の一実施例を示す
ものであり、第１図はストラツプの要部を示す平
面図、第２図は第１図のスプリングのみを表す平
面図、第３図ａ，ｂは第１図の−断面を示す
ものでありスプリングの断面図、第４図ないし第
８図は従来の技術を示すものであり、第４図は原
子炉燃料集合体の正面図、第５図は第４図の−
断面を示すものであり原子炉燃料集合体の支持
格子の平面図、第６図は第５図の一部拡大図、第
７図は一枚のストラツプの表面図、第８図は支持
格子の一部の破断斜視図である。 ３……支持格子、８……スプリング、８ｓ……
両端部、８ｍ……中央部、１３……ストラツプ、
１４……スリツト、１５……スロツト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 長方形状の板材にその長手方向と直角な方向
   に一定間隔毎に多数の切り込みを入れてスリツト
   を形成し、これら各スリツト間に前記板材の一部
   を一方の側に突出させてスプリングを形成すると
   ともに該スプリングの両側部を打ち抜いてスロツ
   トを形成した複数のストラツプを、互いにスリツ
   ト部分で嵌め合わせて格子状に形成した原子炉燃
   料集合体の支持格子において、前記スプリングが
   Ｓ字状に形成されるようにスロツトを打ち抜くと
   ともに、Ｓ字状に形成されたスプリングを両端部
   から中央部に向かうにしたがつてスプリングの表
   面が逐次高くなつていくように板材の一方に突出
   させたことを特徴とする原子炉燃料集合体の支持
   格子。