JPH0529721Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は鉄塔、その他高層建造物の高さ方向
及びある高さ位置において水平方向に敷設される
剛性材からなる墜落防止用ガイドレール装置に関
し、これ等レールに嵌合して走行する安全器が同
一の器具にして両レールを走行可能である形式の
新規なガイドレール装置を提案するものである。

〈従来技術と問題点〉 従来、墜落防止用ガイドレール装置は高さ方向
に垂直レール、ある高さ位置において垂直レール
と直交して水平方向に水平レールが鉄塔、その他
の高層建造物に縦横に敷設されており、作業者は
それ等レールに安全器を嵌合させライフロープを
介してこれを伴い昇降及び水平移動して所定の作
業をなすもので、万一移動中又は作業中に墜落状
態に陥つた際、上記レールが拠所体となり引留め
られ墜落を免れるのである。

この場合、上記レールと安全器との関係は、 (イ) 垂直レールと水平レール共、走行部が同一構
造のレールを敷設しこれに嵌合して走行する安
全器を二種類用意して各レールをそれぞれ走行
すること。

(ロ) 垂直レールと水平レール共、走行部が同一構
造のレールを敷設し、これに嵌合して走行する
安全器を垂直レール用、水平レール用とモード
選択可能な装置がビルトインされたものを用い
て走行すること。

(ハ) 垂直レールと水平レールの、安全器が走行す
る走行部の構造を各々異にするレールを敷設し
てこれに嵌合して走行する安全器を同一の器具
で走行すること。

の三形式に略分類されている。

(イ)の形式については、水平移動用の安全器を別
に携行して昇塔する労力を要し、更に高所でつけ
替えるという危険作業が伴い、(ロ)の形式について
は、安全器に格別の仕掛けをビルトインさせるか
ら構造が複雑になり高価であり、かつ操作も難し
くならざるを得ず、(ハ)の形式については当然なが
ら二種類のレールを製作してそれぞれ敷設するか
ら製造費用は高価になり、敷設時にも垂直用水平
用と別々に管理してかつ誤設なきよう懸心を必要
するなどの多くの問題点が残されている。

〈問題点を解決するための手段〉 本願の考案は上記(ハ)の形式に近似するものの、
敷設すべき垂直用、水平用のガイドレールの製作
を一種類にして、しかもこれに嵌合して走行する
安全器も同一の器具で走行が可能であるガイドレ
ール装置を提案するもので、断面形状は近似工型
を呈する長尺の剛性レールであつて、該断面形状
において、上下に伸びるウエツブの上方側を左右
に適宜張出し走行部を形成し、下方側においても
同様に左右に適宜張出し把持部を形成し、かつ該
走行部の上面又は該把持部の下面のいずれか一方
の面に長手方向に伸びる溝条を設けると共に、 垂直レールにあつては該溝条を有する側を把持
部となし他方側を走行部として、及び水平レール
にあつては該溝条を有する側を走行部となし他方
側を把持部として、これ等レールを鉄塔その他高
層建造物に敷設することで、即ち、レールの断面
形状において、左右対称及び上下についても溝条
の有無を除けばこれも上下対称に構成してあるか
ら、従つて把持部と走行部の要部寸法は同一であ
り、垂直レール及び水平レール共、一種類のレー
ルを用意して、その敷設時に天地逆様に設置する
のみで両レールの機能をそれぞれ果して、前記問
題点の多くを解決するものである。

〈実施例〉 第１図は本考案のガイドレール装置にかかる垂
直レールが支持金具に把持され、安全器が嵌合さ
れている状態を該支持金具と該安全器を仮想して
示すレール断面図である。第２図は本考案のガイ
ドレール装置にかかる水平レールが支持金具に把
持され、安全器が嵌合されている状態を該支持金
具と該安全器を仮想して示すレール断面図であ
る。第１図に示す如き垂直レール１の断面形状は
近似工型を呈する長尺の剛性レールであつて、ウ
エツブ１１の上方側を左右に寸法を同じくして張
出し走行部１２を形成し、下方側においても走行
部１２と同様に左右に寸方を同じくして張出し、
把持部１３を形成しかつ、把持部１３の下面１
３′に長手方向に伸びる溝条１４が切欠いて設け
てあり、上記断面形状は左右対称をなしており、
上下についても溝条１４の有無を除けば全く上下
対称をなすものである。

垂直レール１は把持部１３を支持金具３に挟持
され、この金具を介して鉄塔等にその高さ方向に
敷設されており把持部１３の他方側である走行部
１２には安全器４が嵌合して、フランジを有する
ローラー４１が上記走行部１２にガイドされ高さ
方向に走行すべくなしてある。構造の詳細は省略
するが、安全器４は連結部４２にライフロープを
介して作業者と連結されており、万一墜落状態に
陥つた際には連結部４２に安全器４引下げる力が
作用して、安全器４に内蔵されているブレーキ手
段を駆動し、ブレーキ部材４３の先端を強力に上
記走行部１２の上面１２′に押圧させ安全器４を
その位置に固定する構造になつている。

安全器４のブレーキ手段は連結部４２に安全器
４を引下げる力が作用すると駆動し、逆に引上げ
る力が作用すると解除されるから、垂直レール１
に沿つて加工するとき安全器４の自重が上記引上
げる力として連結部４２に作用し作業者の円滑な
下降がなされるのである。

鉄塔等のある高さ位置において垂直レールと直
交して水平レールが敷設され、作業者は必要に応
じレールの分岐装置（図示省略）を操作して安全
器を水平レールに乗入れて水平移動するのである
が、この場合、安全器は水平レールとの嵌合が完
全であればそれだけで墜落防止の役目を果してお
り、むしろ不用意に安全器のブレーキがかかれば
作業者の移動を妨げるのみならず、作業者は急に
引止められ、よろける等して、高所であることも
加えて極めて危険であり、従つて水平レールを安
全器との嵌合においては、ブレーキがかからない
構造の安全器が必要なのである。

斯かる事情下にあつて、垂直レール１と直交し
て第２図に示す如き水平レール２が敷設される
が、その断面形状は前述の垂直レール１と同一形
状を呈し、ただしその敷設時に天地逆様にして設
置するからウエツブ２１の一方側である把持部２
３を支持金具３に挟持され、この金具を介して鉄
塔等に前記垂直レール１と直交して水平方向に敷
設がなされる。挟持部２３の他方側である走行部
２２の上面２２′には長手方向に伸びる溝条２４
が切欠いて設けてあり、該走行部２２に嵌合され
た安全器４はローラー４１を介して該走行部２２
にガイドされ水平方向に走行するが、この場合安
全器４のブレーキ部材４３が最大に突出しても上
記溝条２４の存在により走行部２２の上面２２′
を押圧すべき掛りがなく、従つて連結部４２にど
の方向の力が作用してもブレーキがかかることな
く、作業者の円滑な水平移動が約束されるのであ
る。なお、レールに設けた溝条２４，１４の底部
に赤色塗料を塗布する等して、垂直レール１と水
平レール２との誤設なきよう高配することも一案
である。

〈効果〉 本考案のガイドレール装置によれば、垂直レー
ルと水平レールの把持部と走行部の主要寸法を同
じくしてその敷設時において、天地逆様に設置す
ればよく、しかもこれ等レールに嵌合して走行す
る安全器も垂直用、水平用とモード選択可能な格
別の仕掛けを要しない、一種類の安全器をもつて
こと足りるなど優れた効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のガイドレール装置にかかる垂
直レールが支持金具に把持され、安全器が嵌合さ
れている状態を該支持金具と該安全器を仮想して
示すレール断面図である。第２図は本考案のガイ
ドレール装置にかかる水平レールが支持金具に把
持され、安全器が嵌合されている状態を該支持金
具と該安全器を仮想して示すレール断面図であ
る。 １２，２２……走行部、４２……連結部、１
３，２３……把持部、４３……ブレーキ部材、１
４，２４……溝条。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 断面形状は近似工型を呈する長尺の剛性レール
   であつて、該断面形状において、上下に伸びるウ
   エツブの上方側を左右に寸法を同じくして適宜張
   出し走行部を形成し、下方側においても同様に左
   右に寸方を同じくして適宜張出し把持部を形成し
   て、上記断面形状を上下および左右を対称とな
   し、更に上記走行部の上面または上記把持部の下
   面のいづれか一方の面の中央に長手方向に伸びる
   溝条を設けると共に、垂直レールにあつては該溝
   条を有する側を把持部となし他方側を走行部とし
   て、及び水平レールにあつては該溝条を有する側
   を走行部となし他方側を把持部として、これ等レ
   ールを鉄塔その他高層建造物に敷設してなること
   を特徴とする墜落防止用ガイドレール装置。