JPH0529634Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は家庭用の吊棚に関し、例えば台所の
壁部や出窓部に取付けて台所用具を整理保管する
ための摺動式の吊棚装置に係るものである。

「従来の技術」 従来この種の吊棚は、棚吊枠又は棚受具を壁面
や出窓部の左右両側に対設し、それらの棚吊枠等
に棚板の両側枠部を係合固定する手段により適数
段に棚を吊設していたもので、棚板が定置式に設
けられるものであつた。

「考案が解決しようとする問題点」 ところで、台所において上記吊棚を設けるには
流し台と共に設置されるのが普通であり、壁部や
出窓部の前側には流し台が設置されており、これ
がために吊棚と作業者間に隔りが生じ、吊棚上へ
の台所用具出入れに際して手が届きにくくて作業
が困難な状態であり、踏台等を用いてその出入れ
を行わねばならない煩わしさが生じていた。

そこで、本願考案では上述の状態において台所
用具の出入れ作業を行い易くするために、作業に
際し必要時には棚を前方へ引出して用を終え、そ
の後は棚を元の定位置へ押入れておける前後摺動
式の吊棚を提供しようとするものである。

「問題点を解決するための手段」 上記目的を達成する手段として、長方形状左右
一対の棚吊枠の内側対向面に夫夫棚摺動用の軌条
を適数段に架設し、之等各軌条に棚の両側枠杆を
遊嵌することにより両棚吊枠間に適数の棚を前後
摺動自在に数段吊設するものであつて、前記棚吊
枠の前後両縦枠の内側面に多数の係止孔を段設
し、摺動案内溝を内側向きに設けた軌条の外側面
に沿つて横長い係合片を突設し、この係合片を前
記棚吊枠前後両縦枠に段設した係止孔の一対に係
合させて軌条を架設するよう構成したものであ
り、前記軌条を適数適宜間隔に上下に段設し、之
等の各軌条に夫夫棚の側枠杆を遊嵌することによ
り任意に摺動式の吊棚を設けるものであつて、
尚、各軌条の前端部において棚側枠の前端部又は
後端部が係合するようにストツパーピンを摺動案
内溝に貫挿するものである。

「作用」 左右一対の棚吊枠に対設した軌条の摺動案内溝
に棚の両側枠杆を遊嵌して棚を吊持させるから、
軌条の摺動案内溝に沿つて棚の両側枠が前後摺動
自在であり、両棚吊枠間に吊設された棚を前方へ
引けば棚が吊設位置から引出されて突出し、之を
後方へ押せば元の定位置に収まつて安定するので
簡単容易に棚を引出し又は押入れて台所用具の整
理が楽にでき、台所作業の能率化を計れる。

そして、軌条の前端部に挿設したストツパーピ
ンにより引出された棚の側枠杆後端部が摺動案内
溝内で係合して棚の前進が止り、又、押入れた棚
の側枠杆前端部が同ストツパーピンに係合して棚
の後退が止るから、棚の摺動範囲を前記ストツパ
ーピンにより規制し棚が過度に前後移動しなく、
軌条からの脱落を防止する。

「実施例」 添付図面により本考案の一実施例を説明する。

第１図は吊棚の左側部における要部を示したも
ので、棚吊枠１は長方形状板体の周縁部を同方向
内側へ直角状に折曲げ形成した前縁１ａと後縁１
ｂとの対向面の下方部に夫夫形材の一片に多数
の切込み係止孔１ｃを上下に段設した前縦枠杆１
a′と後縦枠杆１b′とを各切込み係止孔を向合い状
に前後対応させて溶着してあり、同じ対向面の上
方部には爪片１ｄを対設し、この両爪片１ｄ，１
ｄにより後述するパイプ棚２の側枠２ａの前後両
端部引掛片２ｂ，２ｂを係止させてパイプ棚２を
吊持している。図中の１ｅはこの棚吊枠の取付孔
を示し、１ｆはこの棚吊枠へ他の物品を取付ける
ための透孔を示す。

軌条３は第２図及び第３図に明示しているよう
に、内側に摺動案内溝３ａを凹設した折曲げ溝形
材の底部外側部の上縁に沿つて同長横長の係合片
３ｂを上向きにして外方に突設すると共に、同外
側部の下縁に沿つて同長の当接片３ｃを下向きに
曲成してあり、前記係合片３ｂを棚吊枠前後両縦
枠杆に対設した一対の切込み係止孔１ｃ，１ｃに
挿入して両縦枠杆に係合し当接片３ｃを両縦枠杆
の内側面に当接させることにより棚吊枠の内側に
軌条３を係脱自在に架設するよう構成してある。

そして、網棚４の側枠４ａの水平杆４a′を前記
軌条３の摺動案内溝３ａに挿入遊嵌して前後摺動
自在に吊持させた上で、軌条３の前端部において
前記側枠４ａの前端部又は後端部が係合するよう
ストツパーピン５を摺動案内溝３ａに貫挿してあ
る。

尚、本実施例におけるパイプ棚２及び網棚４の
構造を詳述すると、パイプ棚２は、並列に配した
複数のパイプの両端部を夫夫その下方に配した側
枠２ａと上方に配した波形押え板２ｃとで挟持し
各パイプ間をねじ２ｄで締付けて固定し、側枠２
ａの前後両端に引掛片２ｂを設けたものである。

又、網棚４は、網４′を側面形字形に折曲げ
た底部と上縁部との各前後縁に沿つて夫夫線材４
ｂを添着すると共に、左右両端縁に沿つて字形
の側板４ｃを添着し、該側板の前後端部に門形側
枠４ａの両基端部（下端部）を添着しその上端水
平杆４a′を少し外側方へ折曲げ突設すると共に、
同水平杆４a′の前端寄り部に内側向きの凹曲部イ
を曲成してこの水平杆４a′を軌条３の摺動案内溝
３ａに挿入遊嵌し、摺動案内溝に沿つて前後摺動
させて前方へ引いた場合には同水平杆の後端折曲
部ロがストツパーピン５に係合し、後方へ押した
場合には凹曲部イがストツパーピン５に係合する
ことによりその摺動範囲を規制するよう構成して
いる。

第４図は前記軌条の他の実施例を示し、この軌
条３′は内側に摺動案内溝３′ａを凹設した溝形材
の底部外側面に、別体で形成した断面〓形状の係
合部材を溶着することにより上方部に係合片
３′ｂと下方部に当接片３′ｃとを形成させたもの
で、その前端寄り部にストツパーピン５を貫挿す
るようにしてあり、之を前記軌条３と同様にして
棚吊枠１へ係合架設するものである。

尚、本考案における吊棚の棚部構造は、前記実
施例におけるパイプ棚及び網棚に限定されるもの
でなく、適宜形状、適宜構造の棚の両側部に軌条
の摺動案内溝に遊嵌できるような側枠を形成すれ
ば、その側枠を棚吊枠の軌条に嵌合することによ
り摺動自在に吊設できるものである。

「考案の効果」 本考案の吊棚は、棚吊枠の前後縦枠内側に前後
相対応させて段設した多数の係止孔により、適数
の軌条を適宜間隔に段設して軌条により数段の棚
を前後摺動自在に吊設することが容易であるから
引出し式の吊棚を任意な状態に設けることがで
き、吊棚の設置場所や使用者の都合により、使い
勝手がよいよう適当な引出し式の吊棚が設けられ
る。

そして、各棚を引出し式に使用することができ
るので、棚上に手が届き易く載置する物品の出入
れを容易にし作業の能率を向上する。

尚、軌条３又は３′を棚吊枠１の内側に前後係
止孔１ｃにより係合架設した状態において、上方
部の係合片３ｂ又は３′ｂが両縦枠杆内部に上向
きで係合し、下方部の当接片３ｃ又は３′ｃが係
止孔の下方部で両縦枠杆の内側面に当接するから
上下二点の支持により軌条が安定して係合し上下
方向の動揺がなく摺動案内溝３ａ又は３′ａが水
平状を保持するので棚側枠の前後摺動が円滑であ
り、且つ、軌条の上端水平面が係止孔の上縁に当
接しているので衝撃により棚が上方へ衝き上げら
れても軌条が棚吊枠から離脱することがなく棚が
安定する。

又、棚側枠の上端部水平杆を外側方へ突設し、
それを軌条の摺動案内溝へ遊嵌して前後摺動させ
るから、吊棚の摺動が円滑軽快であり、なお、ス
トツパーピンに側枠上端の水平杆の前端凹曲部と
後端折曲部とが交互に係合することにより、吊棚
の過度の摺動を制御して棚の脱落を防止し、棚の
正常な摺動を保つと共に、凹曲部の係合により棚
収納時の停止位置を確保する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の吊棚の左側端要部を示
す一部斜視図、第２図は同要部の一部を断面で示
した正面図、第３図は同要部の分解斜視図、第４
図は軌条の他の実施例を示す斜視図である。 １……棚吊枠、１a′……前縦枠杆、１b′……後
縦枠杆、１ｃ……係止孔、２……パイプ棚、３…
…軌条、３ａ……摺動案内溝、３ｂ……係合片、
３ｃ……当接片、４……網棚、４ａ……側枠、４
a′……水平杆、イ……凹曲部、ロ……後端折曲
部、５……ストツパーピン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 左右両棚吊枠の前後両縦枠の内側縁に沿つて
   対設した対向片に多段の切込み係止孔を段設
   し、摺動案内溝を内側向きに凹設した軌条の外
   側底部の上縁に沿つて上向き係合片を突設し、
   同外側底部の下縁に沿つて下向き当接片を垂設
   し、前記上向き係合片を前記両縦枠対向片の係
   止孔に係入し、下向き当接片を対向片の内側面
   に当接させて両棚吊枠の各内側部に軌条を係脱
   自在に架設し、該両側軌条の摺動案内溝に棚の
   両側枠上端に突設した水平杆を前後摺動自在に
   遊嵌することにより軌条を介して棚を吊設した
   摺動式吊棚。 (2) 棚の両側枠４ａの上端部で外方へ突設した水
   平杆４a′の前端寄り部に凹曲部イを設け、軌条
   ３の前端部において摺動案内溝３ａにストツパ
   ーピン５を貫挿し、摺動案内溝３ａに遊嵌した
   水平杆４a′の前後摺動時に前記凹曲部イと水平
   杆の後端折曲部ロが前記ストツパーピン５に交
   互に係合するよう構成した実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の摺動式吊棚。