JPH05293901A

JPH05293901A - 管状または棒状構造体

Info

Publication number: JPH05293901A
Application number: JP2407923A
Authority: JP
Inventors: Akira Morii; 章森井; Taro Mihara; 太郎三原; Yoshifumi Nakanou; 佳史中納
Original assignee: Sumitomo Chemical Co Ltd
Current assignee: Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date: 1990-12-27
Filing date: 1990-12-27
Publication date: 1993-11-09

Abstract

(57)【要約】【目的】ゴルフシャフトや、釣竿に適した管状または
棒状体で、使用時の感触が良好な音波伝達特性や振動減
衰性を有するものを提供する。【構成】本発明は、繊維強化樹脂が構成材料の一部ま
たは全部を占める管状または棒状構造体において、外径
／肉厚が２〜２０であり、該繊維強化樹脂中のアルミナ
質繊維が、全体の１〜８０重量％である管状または棒状
構造体。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化樹脂が構成材
料の一部または全部を占める管状または棒状構造体に関
する。特に繊維強化樹脂の繊維としてアルミナ質繊維を
用い、ゴルフシャフトや釣竿等のスポーツレジャー用品
に適用されるものである。

【０００２】

【従来の技術】繊維強化した樹脂で作られた管状体は、
ゴルフシャフト、釣竿等に広く利用されている。特開昭
57-165244号公報や、特開昭 64-166935号公報にはアル
ミナ質繊維等を併用した炭素繊維とのハイブリッドより
なる管状体が示されている。

【０００３】これらは、アルミナ質繊維を使用して薄肉
管状体の押漬す力に対する抵抗力を大きくしたり、曲げ
強度や耐衝撃強度を向上させることをねらったものであ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】特開昭 57-165244号公
報、特開昭 64-166935号公報に記載のものは、ハイブリ
ッド化することにより、いずれも薄肉管状体の静的な機
械的特性を改善することはできるものの、例えばゴルフ
シャフトで打球した時の感触や、釣竿で釣糸を投げた時
や魚信の感触に関わる音波伝達特性や、振動減衰性につ
いては、満足のいくものではない。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、繊維強化樹脂
が構成材料の一部または全部を占める管状または棒状構
造体において、外径／肉厚が２〜２０であり、該繊維強
化樹脂中のアルミナ質繊維が、全体の１〜８０重量％で
あることを特徴とする管状または棒状構造体を提供する
ものである。

【０００６】本発明の管状または棒状構造体は、断面が
円形のみならず、楕円、三角形、四角形、それ以上の多
角形及び星形、周囲が波うちの円形を有するもので、内
部が中空のものを管状と称し、中実つまり内部まで詰っ
ているものを棒状と称する。

【０００７】該管状または棒状構造体を構成する材料
は、繊維強化樹脂がその一部または全部を占めるか、繊
維強化樹脂以外の材料としては、スチール、アルミニウ
ムのごとき金属、木材、竹のごとき天然の素材、合成樹
脂等汎用の構造材料である。

【０００８】繊維強化樹脂と、それ以外の材料は、いず
れが内側でも外側でもよく、また、サンドイッチ構造で
いずれかが他方を挟んだものでよい。

【０００９】繊維強化樹脂における繊維としては、アル
ミナ質繊維を必須とし、その他必要に応じ周知の強化用
繊維を併用したものである。

【００１０】該アルミナ質繊維は、その組成は、Ａｌ₂
Ｏ₃６０重量％以上、ＳｉＯ₂４０重量％以下の成分か
らなる周知のものでよい。好ましくは、ＳｉＯ₂２〜２
５重量％の組成のものである。またシリカ成分中の５０
％以下、好ましくは１０％以下の範囲でこれをリチウ
ム、ベリリウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、
ケイ素、リン、カリウム、カルシウム、チタン、クロ
ム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、ランタ
ン、タングステン、バリウムの一種または二種以上の酸
化物で置換えてもよい。

【００１１】また、該アルミナ質繊維の引張強度、弾性
率はそれぞれ１５０Kg／mm²以上、２０ｔ／mm²以上の
値を有するものが好ましい。上記のアルミナ質繊維は、
例えば特公昭51-12736号公報、同51-13768号公報等に記
載された方法で製造することができる。

【００１２】該アルミナ質繊維の使用形態は、連続繊
維、チョップドストランド、織物等であり、特に限定さ
れない。また、樹脂との接着性をより向上させるため、
予め表面をシランカップリング剤等、公知の方法で処理
して使用してもよい。

【００１３】繊維強化樹脂を形成する強化繊維として
は、該アルミナ質繊維以外の周知の強化用繊維例えば、
炭素繊維、ガラス繊維、シリコンカーバイト繊維、チラ
ノ繊維、アラミド繊維、ステンレス繊維等の強化用に使
用される無機、有機および金属繊維がある。

【００１４】本発明の繊維強化樹脂のマトリックス樹脂
としては、従来からＦＲＰに使用されているマトリック
ス樹脂が使用可能である。該樹脂について例示するとエ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹
脂、不飽和ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミ
ド−イミド、ポリイミド、ポリベンゾチアゾール、ケイ
素樹脂等の熱硬化型樹脂；ポリアミド、ポリアセター
ル、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレン
エーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケト
ン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル（ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、全芳香族ポリエステル等）等の熱可塑性樹脂が挙げ
られる。なかでも、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステ
ル、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリエーテルエーテルケトンが好ましい。これらは
単独で、また必要に応じて適宜混合して用いることがで
きる。

【００１５】繊維強化樹脂にすべてアルミナ質繊維を含
ませておく必要はなく、アルミナ質繊維単独の繊維強化
樹脂と、前述の他の繊維での強化樹脂とを組み合わせて
もよいし、あるいは、アルミナ質繊維と他の繊維とを混
ぜた繊維での強化樹脂と、他の繊維での強化樹脂とを組
み合わせてもよい。

【００１６】いずれにしても、アルミナ質繊維の量が、
該管状または棒状構造体全体に対して、１〜８０重量
％、好ましくは２〜５０重量％である。１重量％未満だ
と、本発明の目的が充分達成し得ない。

【００１７】該管状または棒状構造体は、その外径／肉
厚の比は２〜２０である。２０を越えると、本発明の目
的が充分達成できない。

【００１８】なお、本発明において外径とは、断面が円
状は、そのままであるが、円状以外の形状の場合は、該
形状断面が内接する円の外径を用いる。

【００１９】また、肉厚は、断面が円状でも不均一の場
合や、断面が円状以外の形状の場合は、最も小さい厚み
を用いる。

【００２０】なお、棒状構造体の場合の肉厚は、中心点
から外側までが最も短い部分の距離とする。

【００２１】本発明の該管状または棒状構造体を製造す
る一例を示すと、まずアルミナ質繊維を含む繊維強化樹
脂は、いわゆるプリプレグと称される半固形樹脂を含浸
した繊維の集合体の形態で用いる。

【００２２】その場合そのプリプレグシート中のアルミ
ナ質繊維の量は、概略体積分率で１０〜７５％、好まし
くは２０〜６５％の範囲で、管状または棒状構造体の種
類、大きさによって適宜決めることができる。

【００２３】該アルミナ質繊維の配向角度は、該構造体
として、音波伝播特性や振動特性と共に、曲げ強度、ね
じり強度、衝撃強度等をも合せ発揮させる必要がある場
合には、該構造体の長さ方向に対して、０〜±６０゜に
配向させるのが好ましい。

【００２４】まず管状の構造体は、あらかじめ管状とな
っているものの上に、所定の肉厚となる様、必要な回
数、該プリプレグを巻き付け、加熱してプリプレグを固
着させればよい。この場合、プリプレグが巾が広いもの
であれば、一回の巻きで全面を覆う様にしてもよく、巾
が狭ければ、長さ方向に対し、９０℃未満の方向に巻い
てもよい。その際、角度によっては、間隙が生じても、
必要量のアルミナ質繊維を含む限り、差しつかえない。

【００２５】繊維強化樹脂から管状構造体を製作するに
は、周知の方法でよいが例えば、アルミナ質繊維を含む
プリプレグ及び／またはアルミナ質繊維を含まないプリ
プレグをマンドレルに所要の厚みと、所要アルミナ質繊
維含量となる様、多層に巻き、テープラッピング法と称
する公知の方法で、該樹脂成分を硬化させ、マンドレル
を引き抜く方法もある。

【００２６】中実の棒状構造体の製作についても、同様
にあらかじめ中実の棒状体を用意し、その上に該アルミ
ナ質繊維を含むプリプレグを巻いて固めることにより、
あるいは、プリプレグを中心に空間が生じない様密に巻
いて行き硬化させることにより、得ることができる。

【００２７】なお、アルミナ質繊維を含有するプリプレ
グシートとアルミナ質繊維を含まないプリプレグシート
の巻き付けは、あらかじめそれらの異種のプリプレグシ
ートを貼り合せておいたものを巻き付けてもよい。ま
た、樹脂の硬化を一度に行ってもよいし、何回か繰り返
し行ってもよい。

【００２８】また、本発明に用いるアルミナ質繊維は無
色透明性を有するので、アルミナ質繊維強化樹脂層を管
状及び棒状構造体の最外層に配置する場合には、あらか
じめマトリックス樹脂に着色剤を混入したり、アルミナ
質繊維自体が着色されたものを用いることによって、装
飾性の高い構造体を得ることができる。

【００２９】

【発明の効果】本発明の管状または棒状構造体は、音、
衝撃の伝達が早く、しかもその上、振動減衰性が良好で
ある。具体的には、ゴルフシャフト内の音波伝播速度を
速めることにより、打球時の感触が速く手に伝わること
によって、時間的ずれが少となり、打球後の適確なフォ
ロースルーが可能となって方向安定性、飛距離が向上
し、爽快感も向上する。また、振動減衰性がよいので、
無駄な振動がなくなり、ゴルフシャフトでの打球後の方
向安定性がよくなる。また、釣竿で釣糸を投げた場合の
方向安定性が向上するし、魚信をとらえる上でも、早く
て微妙な差異が判断できる。

【００３０】

【実施例】次に本発明についてより具体的に説明する
が、本発明はこれらによって限定されるものではない。
本実施例で、音速と振動減衰性の評価方法は、以下の通
りである。

【００３１】音速の測定は、アコースティックエミッシ
ョン装置（Physical Acoustic 社PAC 3000型）を用い
て、管状体の太い端部より２００mm長の位置に音のセン
サーを設置し、その上にパルスジェネレーターを付け、
そこからさらに６００mm長の間隔をあけて、もう一つの
音のセンサーを付けて、到達時間差を測定して、管状体
内での音速を測定した。

【００３２】振動減衰性は、太い端部を万力に固定し
て、片持ちばりの状態で、水平に保持し、固定部から５
０mmの部位と、そこから９２０mmの部位に振動センサー
を設置し、その固定部をハンマーで軽く叩き振動を与
え、これらセンサーで振動を測定し、モーダル解析によ
り共振周波数での損失係数（％）を算出して表わした。

【００３３】実施例１先端部外径４．０mm、手元部外径１３．０mm、長さ１３
００mmの均一なテーパーを有するスチール製芯金を準備
し、これにシリコーン離型剤を塗布した。一方、炭素繊
維ＡＳ４（ハーキュレス社製弾性率２４ton/mm²）に
エポキシ樹脂を含浸させた一方向引揃え、炭素繊維プリ
プレグシート（繊維目付２００ｇ／m²樹脂含量３５重量
％）を、芯金の長さ方向に対して＋４５゜、−４５゜の
繊維配向角度に各２層、その上に０゜方向に２層を巻い
た。さらに、最外層にアルミナ質繊維（Ａｌｔｅｘ、住
友化学工業（株）製；弾性率２０ton/mm²）にエポキシ
樹脂を含浸させた一方向引揃えプリプレグシート（繊維
目付２００ｇ／m²、樹脂含量３０重量％）を０゜方向に
１層を巻いた後、ポリエステル収縮テープで巻き締めた
後、熱風オーブン中１００℃×１時間、続いて１２０℃
×１時間加熱して硬化させて、アルミナ質繊維１０重量
％含有し、長さ１２００mmの管状体を得た。その管状体
の外径／肉厚の比は、先端部で６．４mm／１．２mm＝
５．３、手元部で１５．４mm／１．２mm＝１２．８であ
った。評価結果を表１に示す。

【００３４】実施例２アルミナ質繊維プリプレグの繊維目付を３０ｇ／m²とし
た以外は、実施例１と同様に行った。成形した管状体の
外径／肉厚の比は、先端部で６．２mm／１．１mm＝５．
６、手元部で１５．２mm／１．１mm＝１３．８であり、
アルミナ質繊維の含有量は、１．５重量％であった。評
価結果を表１に示す。

【００３５】実施例３実施例１の０゜方向×２層の炭素繊維ＡＳ４プリプレグ
シートと、０゜方向×１層のアルミナ質繊維プリプレグ
シートの巻き順序を入れかえた以外は、実施例１と同様
に行った。成形した管状体の外径／肉厚の比は、先端部
で６．５mm／１．２５mm＝５．２、手元部で１５．５mm
／１．２５mm＝１２．４であり、長さ１２００mmでアル
ミナ繊維の含有量は９．５重量％であった。評価結果を
表１に示す。

【００３６】実施例４炭素繊維プリプレグの炭素繊維ＡＳ４の代りに、炭素繊
維ＩＭ６（ハーキュレス社製、弾性率３０ton/mm²）を
用いた以外は、実施例１と同様に行った。成形した管状
体の外径／肉厚の比は、先端部で６．４mm／１．２mm＝
５．３、手元部で１５．４mm／１．２mm＝１２．８であ
り、長さ１２００mmでアルミナ繊維の含有量は１０．５
重量％であった。評価結果を表１に示す。

【００３７】比較例１先端部外径６．５mm、肉厚０．５mm、手元部外径１５．
５mm、肉厚０．５mmの全スチール製の管状体について評
価した。評価結果を表１に示す。

【００３８】比較例２アルミナ質繊維プリプレグシートの代りに、炭素繊維Ａ
Ｓ４一方向引揃プリプレグシート（繊維目付２００ｇ／
m²、樹脂含量３５重量％）とした以外は、実施例１と同
様に行った。成形した管状体の外径／肉厚の比は、先端
部で６．６mm／１．３mm＝５．１、手元部で１５．６mm
／１．３mm＝１２．０であり、長さ１２００mmであっ
た。評価結果を表１に示す。

【００３９】比較例３炭素繊維ＡＳ４一方向引揃えプリプレグシート（繊維目
付２００ｇ／m²、樹脂含量３５重量％）を準備し、芯金
の長さ方向に対して＋４５゜、−４５゜の繊維配向角度
に各２層巻いた後、その上に炭素繊維ＡＳ４織物プリプ
レグシート（平織り、繊維目付３００ｇ／m²、樹脂含量
４０重量％）を、繊維配向角度を０゜／９０゜になるよ
うに２層巻きつけた。それ以外は、実施例１と同様に行
った。成形した管状体の外径／肉厚の比は、先端部で
６．６mm／１．３mm＝５．１、手元部で１５．６mm／
１．３mm＝１２．０であり、長さ１２００mmであった。
評価結果を表１に示す。

【００４０】比較例４アルミナ質繊維の代りにボロン繊維（ＡＲＣＯ製、弾性
率４０ton/mm²）を用いた以外は、実施例３と同様に行
った。成形した管状体の外径／肉厚の比は、先端部で
６．５mm／１．２５mm＝５．２、手元部で１５．５mm／
１．２５mm＝１２．４であり、長さ１２００mmでボロン
繊維の含有量は、９．５重量％であった。評価結果を表
１に示す。

【００４１】比較例５外径が一定である１０mmφのテーパーなし、長さ１３０
０mmのスチール製芯金を準備し、シリコーン離型剤を塗
布した。炭素繊維ＡＳ４プリプレグシート（繊維目付１
５０ｇ／m²、樹脂含量３５重量％）を準備し、芯金の長
さ方向に対して＋４５゜、−４５゜の繊維配向角度に各
１層、その上に０゜方向に１層を巻いた。さらに最外層
にアルミナ質繊維プリプレグシート（繊維目付１００ｇ
／m²、樹脂含量３０重量％）を０゜方向に１層を巻いた
後、実施例１と同様に、１２００mm長さの管状体を成形
した。その管状体の外径／肉厚の比は、長さ方向いづれ
も１１mm／０．５mm＝２２であった。アルミナ質繊維の
含有量は１２．５重量％であった。評価結果を表１に示
す。

【００４２】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所 // Ｂ２９Ｋ 105:08 Ｂ２９Ｌ 23:22 4Ｆ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】繊維強化樹脂が構成材料の一部または全
部を占める管状または棒状構造体において、外径／肉厚
が２〜２０であり、該繊維強化樹脂中のアルミナ質繊維
が、全体の１〜８０重量％であることを特徴とする管状
または棒状構造体。