JPH05292593A - スピーカ用振動板及びその製造方法 - Google Patents
スピーカ用振動板及びその製造方法Info
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- JPH05292593A JPH05292593A JP4118378A JP11837892A JPH05292593A JP H05292593 A JPH05292593 A JP H05292593A JP 4118378 A JP4118378 A JP 4118378A JP 11837892 A JP11837892 A JP 11837892A JP H05292593 A JPH05292593 A JP H05292593A
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- aramid
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- diaphragm
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- Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Diaphragms For Electromechanical Transducers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】新規の材料により新規の成形加工を施した振動
板とその製造方法。 【構成】混合比率が５〜５０％のポリエーテルサルフォ
ンとアラミドのポリマーアロイを主成分とし、ポリマー
アロイを射出により成形して後、アラミドのガラス転移
温度以上の温度で熱処理して、耐熱性を持たせる。
板とその製造方法。 【構成】混合比率が５〜５０％のポリエーテルサルフォ
ンとアラミドのポリマーアロイを主成分とし、ポリマー
アロイを射出により成形して後、アラミドのガラス転移
温度以上の温度で熱処理して、耐熱性を持たせる。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、新規の材料により成形
加工した振動板とその製造方法に関するものである。
加工した振動板とその製造方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来この種のスピーカ用振動板は、その
素材の材質として、音響輻射音圧レベルを維持するため
に、軽量であること、すなわち、密度が低い（ρが小さ
い）こと、また、再生周波数帯域を広くとるために、比
弾性率（Ｅ／ρ）が大きいこと、更に、歪みを抑制し
て、耐許容入力を大きく保持するために、剛性（ヤング
率）が大きいことが要求される。特に、屋外又は、サウ
ナ室、車載用スピーカの振動板として使用する場合、上
記の必要性質に加えて、高温度に耐える耐熱性と、水分
あるいは水蒸気に曝されて変形したり、変質しない耐湿
性が要求される。従来この種のスピーカ用振動板材料と
して、紙パルプ、あるいはそれに樹脂含浸した樹脂加工
品、ガラス、又は炭素繊維織布にエポキシ樹脂等を含浸
して、熱成形したもの、ＰＥＩ、ＰＩ等のいわゆるスー
パーエンプラのフィルムを熱プレスして成形したもの等
が用いられている。
素材の材質として、音響輻射音圧レベルを維持するため
に、軽量であること、すなわち、密度が低い（ρが小さ
い）こと、また、再生周波数帯域を広くとるために、比
弾性率（Ｅ／ρ）が大きいこと、更に、歪みを抑制し
て、耐許容入力を大きく保持するために、剛性（ヤング
率）が大きいことが要求される。特に、屋外又は、サウ
ナ室、車載用スピーカの振動板として使用する場合、上
記の必要性質に加えて、高温度に耐える耐熱性と、水分
あるいは水蒸気に曝されて変形したり、変質しない耐湿
性が要求される。従来この種のスピーカ用振動板材料と
して、紙パルプ、あるいはそれに樹脂含浸した樹脂加工
品、ガラス、又は炭素繊維織布にエポキシ樹脂等を含浸
して、熱成形したもの、ＰＥＩ、ＰＩ等のいわゆるスー
パーエンプラのフィルムを熱プレスして成形したもの等
が用いられている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】したがって、従来のこ
の種のコーン形、 またはドーム形のスピーカ用振動板に
あっては、紙パルプに樹脂含浸したものは、比弾性率、
剛性が低く、また、ガラス、炭素繊維織布にエポキシ樹
脂を含浸して加熱成形したものは、成形時間が長く要す
るのでコストが低くならず、２５０℃以上の高温下では
樹脂が分解するので使用できないというような欠点があ
った。また、ＰＩ、ＰＥＩ等のスーパーエンプラを熱成
形したものは、２５０℃以上の高温下では樹脂が軟化し
て、振動によって変形するという問題があった。
の種のコーン形、 またはドーム形のスピーカ用振動板に
あっては、紙パルプに樹脂含浸したものは、比弾性率、
剛性が低く、また、ガラス、炭素繊維織布にエポキシ樹
脂を含浸して加熱成形したものは、成形時間が長く要す
るのでコストが低くならず、２５０℃以上の高温下では
樹脂が分解するので使用できないというような欠点があ
った。また、ＰＩ、ＰＥＩ等のスーパーエンプラを熱成
形したものは、２５０℃以上の高温下では樹脂が軟化し
て、振動によって変形するという問題があった。
【０００４】そこで、本発明は、このような従来のスピ
ーカ用振動板が有していた課題を解決するために、アラ
ミドとポリエーテルサルホン（ＰＥＳ）をブレンドして
振動板の形状に成形して、さらに熱処理することによっ
て、耐熱性の向上を図ることを目的とし、振動板の成形
時には、相溶して互いに非晶質の一相状態であったアラ
ミドとＰＥＳが、熱処理によって二者が相分離を起こし
て、ＰＥＳによるアラミドの結晶化が促進され、アラミ
ド単体よりも遥かに高い耐熱性（４００℃以上）を有す
るすることができる振動板及びその製造方法を提供しよ
うとするものである。
ーカ用振動板が有していた課題を解決するために、アラ
ミドとポリエーテルサルホン（ＰＥＳ）をブレンドして
振動板の形状に成形して、さらに熱処理することによっ
て、耐熱性の向上を図ることを目的とし、振動板の成形
時には、相溶して互いに非晶質の一相状態であったアラ
ミドとＰＥＳが、熱処理によって二者が相分離を起こし
て、ＰＥＳによるアラミドの結晶化が促進され、アラミ
ド単体よりも遥かに高い耐熱性（４００℃以上）を有す
るすることができる振動板及びその製造方法を提供しよ
うとするものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】該目的を達成するための
本発明の構成を、実施例に対応する図１乃至図８を用い
て説明すると、本第１発明は、ポリエーテルサルフォン
とアラミドのポリマーアロイを主成分とする構成のスピ
ーカ用振動板である。
本発明の構成を、実施例に対応する図１乃至図８を用い
て説明すると、本第１発明は、ポリエーテルサルフォン
とアラミドのポリマーアロイを主成分とする構成のスピ
ーカ用振動板である。
【０００６】第２発明は、前記ポリエーテルサルフォン
の混合比率が、５〜５０％である構成の第１発明のスピ
ーカ用振動板である。
の混合比率が、５〜５０％である構成の第１発明のスピ
ーカ用振動板である。
【０００７】第３発明は、ポリマーアロイを射出により
成形して後、アラミドのガラス転移温度以上の温度で熱
処理することを構成とするスピーカ用振動板の製造方法
である。第４発明は、ポリマーアロイをキャスティング
フィルムを加熱プレスして成形して後、アラミドのガラ
ス転移温度以上の温度で熱処理することを構成とするス
ピーカ用振動板の製造方法である。
成形して後、アラミドのガラス転移温度以上の温度で熱
処理することを構成とするスピーカ用振動板の製造方法
である。第４発明は、ポリマーアロイをキャスティング
フィルムを加熱プレスして成形して後、アラミドのガラ
ス転移温度以上の温度で熱処理することを構成とするス
ピーカ用振動板の製造方法である。
【０００８】
【作用】本発明は、振動板の構成を、 ポリエーテルサル
フォンとアラミドのポリマーアロイを主成分とする構
成、 あるいは、 前記ポリエーテルサルフォンの混合比率
が、５〜５０％である構成とし、 ポリマーアロイを射出
により成形して後、アラミドのガラス転移温度以上の温
度で熱処理するようにし、 又、 ポリマーアロイをキャス
ティングフィルムを加熱プレスして成形して後、アラミ
ドのガラス転移温度以上の温度で熱処理するようにして
用いればよい。
フォンとアラミドのポリマーアロイを主成分とする構
成、 あるいは、 前記ポリエーテルサルフォンの混合比率
が、５〜５０％である構成とし、 ポリマーアロイを射出
により成形して後、アラミドのガラス転移温度以上の温
度で熱処理するようにし、 又、 ポリマーアロイをキャス
ティングフィルムを加熱プレスして成形して後、アラミ
ドのガラス転移温度以上の温度で熱処理するようにして
用いればよい。
【０００９】その結果、アラミドとポリエーテルサルホ
ン（ＰＥＳ）をブレンドして振動板の形状に成形して、
さらに熱処理することによって、耐熱性の向上を図るこ
とができ、 振動板の成形時には、相溶して互いに非晶質
の一相状態であったアラミドとＰＥＳが、熱処理によっ
て二者が相分離を起こして、ＰＥＳによるアラミドの結
晶化が促進され、アラミド単体よりも遥かに高い耐熱性
（４００℃以上）を有する加工に好都合なばかりでな
く、その成品も耐熱性の向上を図ることができる。
ン（ＰＥＳ）をブレンドして振動板の形状に成形して、
さらに熱処理することによって、耐熱性の向上を図るこ
とができ、 振動板の成形時には、相溶して互いに非晶質
の一相状態であったアラミドとＰＥＳが、熱処理によっ
て二者が相分離を起こして、ＰＥＳによるアラミドの結
晶化が促進され、アラミド単体よりも遥かに高い耐熱性
（４００℃以上）を有する加工に好都合なばかりでな
く、その成品も耐熱性の向上を図ることができる。
【００１０】
【実施例】以下本発明の実施例について図面に基づいて
説明する。
説明する。
【００１１】図中、図１乃至図８は、本発明の振動板及
びその製造方法の１実施例のを示す図であって、図１に
断面を示すドーム形状振動板の形状成形金型において、
(1a)は上金型、 (1b)は下金型、 (3),(3)は加熱用熱線、
(5a)は振動板本体である。
びその製造方法の１実施例のを示す図であって、図１に
断面を示すドーム形状振動板の形状成形金型において、
(1a)は上金型、 (1b)は下金型、 (3),(3)は加熱用熱線、
(5a)は振動板本体である。
【００１２】図２は同上形状の形状保持焼鈍成形金型の
上型(4a)、 及び下型(4b)の断面図で、上型(4a)の内部の
振動板本体(5a)側に対流現象により熱を緩和する空気室
(4c)を設けてある。
上型(4a)、 及び下型(4b)の断面図で、上型(4a)の内部の
振動板本体(5a)側に対流現象により熱を緩和する空気室
(4c)を設けてある。
【００１３】図３に断面を示す円錐形状振動板の形状成
形金型において、(2a)は上金型、 (2b)は下金型、 (3),
(3)は加熱用熱線、 (5b)は振動板本体である。図３の上
下金型(2a),(2b)の中心部で互いに相対する面を密着し
ておくと、 振動板(5b)の中心部に短いボイスコイルボビ
ン又はボイスコイルボビン接着部(5g)をも一体に成形可
能である。図４は同上形状の形状保持焼鈍成形金型の上
型(6a)、 及び下型(6b)の断面図で、上型(6a)の内部の振
動板本体(5b)側に、熱を緩衝するための空気室(6c)を設
けてある。
形金型において、(2a)は上金型、 (2b)は下金型、 (3),
(3)は加熱用熱線、 (5b)は振動板本体である。図３の上
下金型(2a),(2b)の中心部で互いに相対する面を密着し
ておくと、 振動板(5b)の中心部に短いボイスコイルボビ
ン又はボイスコイルボビン接着部(5g)をも一体に成形可
能である。図４は同上形状の形状保持焼鈍成形金型の上
型(6a)、 及び下型(6b)の断面図で、上型(6a)の内部の振
動板本体(5b)側に、熱を緩衝するための空気室(6c)を設
けてある。
【００１４】図５は、 本発明に使用する金型で、 円錐形
振動板本体(9a)とダストプルーフキヤップ(5f)と、さら
に短いボイスコイルボビン又はボイスコイルボビン接着
部(5g)を一体に成形できるを一体に成形する成形用上下
金型(10a),(10b)の断面図で、円錐形振動板(9a)の中心
部に金型である。 この金型(10a),(10b)により振動板(9
a)とダストプルーフキヤップ(5f)とボイスコイルボビン
とを一体に成形出来るから、 スピーカ組み立て工程の工
数が著しく短縮、 簡単化出来るとともに、 組み立て精度
も向上させることができる。
振動板本体(9a)とダストプルーフキヤップ(5f)と、さら
に短いボイスコイルボビン又はボイスコイルボビン接着
部(5g)を一体に成形できるを一体に成形する成形用上下
金型(10a),(10b)の断面図で、円錐形振動板(9a)の中心
部に金型である。 この金型(10a),(10b)により振動板(9
a)とダストプルーフキヤップ(5f)とボイスコイルボビン
とを一体に成形出来るから、 スピーカ組み立て工程の工
数が著しく短縮、 簡単化出来るとともに、 組み立て精度
も向上させることができる。
【００１５】図６はＰＥＳ／アラミドブレンドのＴｇ変
化（ＤＳＣ）曲線を示す図、図７はＰＥＳ／アラミドブ
レンドの動的弾性率の温度依存性を示す図である。 (1) ＰＥＳ（化学式１）とメタフェニレンジアミンと
４，４’−ジアミノフェニルエーテルより重合して得ら
れたアラミド（ＰＡ４４Ｉ，化学式２）の粉末を、アラ
ミド／ＰＥＳ＝７０／３０の重量比となるように混合し
たものを３３０℃〜３６０℃に加熱して溶融し、キャス
ティング法により厚さ４０μｍの透明なキャストフィル
ムを完成した。このフィルムを、２６０℃〜２８０℃に
保持したドーム形状の振動板形状の成形金型（図１）で
加熱成形した。次に、同じドーム形状の形状保持具（図
２）に挟んで、３００℃に加熱した電気炉内で約１２時
間焼鈍した後、室温に戻して治具から取り出すことによ
り、ドーム形の振動板(5a)に仕上げる。 (2) アラミド（ＰＡ４４Ｉ）／ＰＥＳ＝７０／３０の
重量比からなる粉末を混合、溶融してペレットを作成し
て、表１に示した射出成形の条件で口径２５ｃｍ、厚さ
１．５〜３．０ｍｍの未焼鈍のドーム形状の振動板(5a)
を得た。次に、同じドーム形状の振動板(5a)の形状保持
具(4a),(4b)に挟んで（図２）、３００℃に加熱した電
気炉内で約１２時間焼鈍した後、室温に戻して治具から
取り出すことにより、ドーム形振動板(5a)を得た。以上
のようにして、 上記発明は、 図３、図４、図５に示すよ
うに、円錐形のスピーカ用振動板(9a)にも適用できる。
化（ＤＳＣ）曲線を示す図、図７はＰＥＳ／アラミドブ
レンドの動的弾性率の温度依存性を示す図である。 (1) ＰＥＳ（化学式１）とメタフェニレンジアミンと
４，４’−ジアミノフェニルエーテルより重合して得ら
れたアラミド（ＰＡ４４Ｉ，化学式２）の粉末を、アラ
ミド／ＰＥＳ＝７０／３０の重量比となるように混合し
たものを３３０℃〜３６０℃に加熱して溶融し、キャス
ティング法により厚さ４０μｍの透明なキャストフィル
ムを完成した。このフィルムを、２６０℃〜２８０℃に
保持したドーム形状の振動板形状の成形金型（図１）で
加熱成形した。次に、同じドーム形状の形状保持具（図
２）に挟んで、３００℃に加熱した電気炉内で約１２時
間焼鈍した後、室温に戻して治具から取り出すことによ
り、ドーム形の振動板(5a)に仕上げる。 (2) アラミド（ＰＡ４４Ｉ）／ＰＥＳ＝７０／３０の
重量比からなる粉末を混合、溶融してペレットを作成し
て、表１に示した射出成形の条件で口径２５ｃｍ、厚さ
１．５〜３．０ｍｍの未焼鈍のドーム形状の振動板(5a)
を得た。次に、同じドーム形状の振動板(5a)の形状保持
具(4a),(4b)に挟んで（図２）、３００℃に加熱した電
気炉内で約１２時間焼鈍した後、室温に戻して治具から
取り出すことにより、ドーム形振動板(5a)を得た。以上
のようにして、 上記発明は、 図３、図４、図５に示すよ
うに、円錐形のスピーカ用振動板(9a)にも適用できる。
【００１６】表１は、射出成形条件を示す表である。ア
ラミド（ＰＡ４４Ｉ）／ＰＥＳ＝７０／３０の重量比か
らなる粉末を混合、溶融したペレットを作成した射出成
形の条件を表す。
ラミド（ＰＡ４４Ｉ）／ＰＥＳ＝７０／３０の重量比か
らなる粉末を混合、溶融したペレットを作成した射出成
形の条件を表す。
【００１７】化学式１は、ＰＥＳの構造式を表し、化学
式２は、メタフェニレンジアミンと４，４’−ジアミノ
フェニルエーテルより重合して得られたアラミド(ＰＡ
４４Ｉ）の構造式を表す。
式２は、メタフェニレンジアミンと４，４’−ジアミノ
フェニルエーテルより重合して得られたアラミド(ＰＡ
４４Ｉ）の構造式を表す。
【００１８】上記 化学式１，化学式２は、 それぞれア
ラミドのＴｇ以上の温度（２７０℃〜４００℃）で熱処
理して、相溶した２成分が相分離してアラミドだけが結
晶化し、ＰＥＳの非晶質相の中に、アラミドの結晶がは
まり込んだ構造（図８）を形成していることを模式的に
示している。図８の細い実線は、アラミド非晶質相を、
太い実線はアラミド結晶を、細い点線はＰＥＳ非晶質相
をそれぞれ表している。 以上本発明の代表的と思われ
る実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれら
の実施例構造のみに限定されるものではなく、本発明に
いう前記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を
達成し、以下にいう効果を有する範囲内において適宜改
変して実施することができるものである。
ラミドのＴｇ以上の温度（２７０℃〜４００℃）で熱処
理して、相溶した２成分が相分離してアラミドだけが結
晶化し、ＰＥＳの非晶質相の中に、アラミドの結晶がは
まり込んだ構造（図８）を形成していることを模式的に
示している。図８の細い実線は、アラミド非晶質相を、
太い実線はアラミド結晶を、細い点線はＰＥＳ非晶質相
をそれぞれ表している。 以上本発明の代表的と思われ
る実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれら
の実施例構造のみに限定されるものではなく、本発明に
いう前記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を
達成し、以下にいう効果を有する範囲内において適宜改
変して実施することができるものである。
【００１９】
【発明の効果】ＰＥＳ（Ａ）、アラミド（Ｂ）それぞれ
単体及び、アラミド／ＰＥＳ（７０／３０）ブレンドの
キャストのみ（第一掃引／（Ｃ）、第二掃引／
（Ｄ））、キャスト後焼鈍したもの（Ｅ）のＤＳＣ曲線
を図６に示す。また、ＰＥＳ（Ａ）、アラミド（Ｂ）そ
れぞれ単体及び、アラミド／ＰＥＳ（７０／３０）ブレ
ンドのキャストのみ（Ｃ）、キャスト後焼鈍（Ｄ）した
ものの動的弾性率の依存性についての測定結果は図７に
示すとおりである。
単体及び、アラミド／ＰＥＳ（７０／３０）ブレンドの
キャストのみ（第一掃引／（Ｃ）、第二掃引／
（Ｄ））、キャスト後焼鈍したもの（Ｅ）のＤＳＣ曲線
を図６に示す。また、ＰＥＳ（Ａ）、アラミド（Ｂ）そ
れぞれ単体及び、アラミド／ＰＥＳ（７０／３０）ブレ
ンドのキャストのみ（Ｃ）、キャスト後焼鈍（Ｄ）した
ものの動的弾性率の依存性についての測定結果は図７に
示すとおりである。
【００２０】図６から、ＰＥＳ、アラミドのガラス転移
温度（Ｔｇ）はそれぞれ、２２０℃、２６４℃であるこ
とを示している。また、キャストのみのＴｇは、第一掃
引ではＰＥＳとアラミド中間の２５２℃で、さらに、３
３３℃にアラミドの結晶化による発熱ピークが現れてい
る。したがって、キャストのみの場合、ＰＥＳとアラミ
ドの２成分が相溶して一相状態をとっており、２成分は
互いに非晶質であることを示している。
温度（Ｔｇ）はそれぞれ、２２０℃、２６４℃であるこ
とを示している。また、キャストのみのＴｇは、第一掃
引ではＰＥＳとアラミド中間の２５２℃で、さらに、３
３３℃にアラミドの結晶化による発熱ピークが現れてい
る。したがって、キャストのみの場合、ＰＥＳとアラミ
ドの２成分が相溶して一相状態をとっており、２成分は
互いに非晶質であることを示している。
【００２１】そして、キャストのみの第二掃引では、再
びＰＥＳとアラミドの２２２℃と２５７℃のＴｇが現
れ、３３３℃のアラミドの結晶化による発熱ピークは消
失している。さらに、キャスト後焼鈍したものでは、２
２５℃のＰＥＳのＴｇのみで、アラミドのＴｇは現れて
いない。したがって、図８は、アラミドのＴｇ以上の温
度（２７０℃〜４００℃）で熱処理することにより、相
溶した３成分が相分離してアラミドだけが結晶化し、Ｐ
ＥＳの非晶質相の中に、アラミドの結晶がはまり込んだ
構造（化学式１，化学式２）を形成していることを示し
ている。
びＰＥＳとアラミドの２２２℃と２５７℃のＴｇが現
れ、３３３℃のアラミドの結晶化による発熱ピークは消
失している。さらに、キャスト後焼鈍したものでは、２
２５℃のＰＥＳのＴｇのみで、アラミドのＴｇは現れて
いない。したがって、図８は、アラミドのＴｇ以上の温
度（２７０℃〜４００℃）で熱処理することにより、相
溶した３成分が相分離してアラミドだけが結晶化し、Ｐ
ＥＳの非晶質相の中に、アラミドの結晶がはまり込んだ
構造（化学式１，化学式２）を形成していることを示し
ている。
【００２２】図７により、ＰＥＳとアラミド単体では、
Ｔｇ（ＰＥＳ＝２２０℃、アラミド＝２６４℃）を越え
ると、弾性率が急激に低下（軟化）し始めているのが分
かる。また、アラミド／ＰＥＳブレンドのキャストのみ
（Ｔｇ＝２５２℃）も同様の挙動を示している。したが
って、耐熱性もアラミドとＰＥＳの中間を示している。
しかし、十分に熱処理を加えたものでは、アラミドのＴ
ｇ（２６４℃）を越えても高い弾性率を示し、４００℃
でも約５．０×１０8Ｐａの弾性率を保持しているた
め、常時３００℃〜４００℃の雰囲気に長期間に亙り反
復して曝されるような過酷な環境下でも、実用上十分な
耐熱性を示すことが分かる。
Ｔｇ（ＰＥＳ＝２２０℃、アラミド＝２６４℃）を越え
ると、弾性率が急激に低下（軟化）し始めているのが分
かる。また、アラミド／ＰＥＳブレンドのキャストのみ
（Ｔｇ＝２５２℃）も同様の挙動を示している。したが
って、耐熱性もアラミドとＰＥＳの中間を示している。
しかし、十分に熱処理を加えたものでは、アラミドのＴ
ｇ（２６４℃）を越えても高い弾性率を示し、４００℃
でも約５．０×１０8Ｐａの弾性率を保持しているた
め、常時３００℃〜４００℃の雰囲気に長期間に亙り反
復して曝されるような過酷な環境下でも、実用上十分な
耐熱性を示すことが分かる。
【００２３】耐熱性の点のみに限ると、全芳香族ポリエ
ステル（液晶ポリマ）、ＰＡＩ（ポリアミドイミド）、
ＰＩ（ポリイミド）等のスーパーエンプラでも２００〜
３００℃の耐熱性があるが、例えば、全芳香族ポリエス
テルでは異方性大きく、流れ方向と直角方向の強度は１
／１０に低下するため、振動板として十分な性能を得ら
れない。また、ＰＡＩ、ＰＩでは溶融粘度が非常に大き
く、薄肉の成形品が得られず、振動板に成形した際の重
量が大きく音圧の低下を招いてしまう。
ステル（液晶ポリマ）、ＰＡＩ（ポリアミドイミド）、
ＰＩ（ポリイミド）等のスーパーエンプラでも２００〜
３００℃の耐熱性があるが、例えば、全芳香族ポリエス
テルでは異方性大きく、流れ方向と直角方向の強度は１
／１０に低下するため、振動板として十分な性能を得ら
れない。また、ＰＡＩ、ＰＩでは溶融粘度が非常に大き
く、薄肉の成形品が得られず、振動板に成形した際の重
量が大きく音圧の低下を招いてしまう。
【００２４】本発明のアラミド／ＰＥＳブレンドでは、
射出成形で３００〜３６０℃、キャストフィルムからの
熱プレス成形で２６０〜２８０℃程度の温度で容易に成
形でき、熱処理を加えることにより４００℃以上の耐熱
性を持つ振動板を得ることができる。
射出成形で３００〜３６０℃、キャストフィルムからの
熱プレス成形で２６０〜２８０℃程度の温度で容易に成
形でき、熱処理を加えることにより４００℃以上の耐熱
性を持つ振動板を得ることができる。
【００２５】更に、本発明の振動板は、ＰＥＳをベース
レジンとしているため、難燃性で耐薬品性、酸・アルカ
リ性、耐熱水性に優れ、耐溶剤性も良好である。したが
って、高温のスチーム中での連続使用や高温のＣＯn・
ＮＯxガス中でも、変形したり変質することはない。従っ
て、 本発明で得られた振動板は、常時２００〜４００℃
の高温に曝されるような過酷な使用環境、例えば、自動
車のエンジンや、排気管付近に設置して使用する、騒音
の能動消去用のスピーカ用振動板として使用することが
できる。という従来のものには期待することが出来ない
顕著な効果を有するに至ったのである。
レジンとしているため、難燃性で耐薬品性、酸・アルカ
リ性、耐熱水性に優れ、耐溶剤性も良好である。したが
って、高温のスチーム中での連続使用や高温のＣＯn・
ＮＯxガス中でも、変形したり変質することはない。従っ
て、 本発明で得られた振動板は、常時２００〜４００℃
の高温に曝されるような過酷な使用環境、例えば、自動
車のエンジンや、排気管付近に設置して使用する、騒音
の能動消去用のスピーカ用振動板として使用することが
できる。という従来のものには期待することが出来ない
顕著な効果を有するに至ったのである。
【００２６】更にまた、本発明方法は、振動板とダスト
プルーフキヤップ、更にはボイスコイルボビンまたはそ
の接着部をも一体に成形することも容易に可能である、
という従来のものには期待することが出来ない顕著な効
果を有するに至ったのである。
プルーフキヤップ、更にはボイスコイルボビンまたはそ
の接着部をも一体に成形することも容易に可能である、
という従来のものには期待することが出来ない顕著な効
果を有するに至ったのである。
【図１】ドーム形状の振動板の形状成形金型の断面図。
【図２】同上形状の形状保持焼鈍成形金型の断面図
【図３】円錐形状の振動板の形状成形金型の断面図。
【図４】同上形状の形状保持焼鈍成形金型の断面図。
【図５】円錐形振動板とダストプルーフキヤップとボイ
スコイルボビン又はその接続部を一体に成形する成形用
金型の断面図。
スコイルボビン又はその接続部を一体に成形する成形用
金型の断面図。
【図６】ＰＥＳ／アラミドブレンドのＴｇ変化（ＤＳ
Ｃ）曲線を示す。ＰＥＳ（Ａ）、アラミド（Ｂ）それぞ
れ単体及び、アラミド／ＰＥＳ（７０／３０）ブレンド
のキャストのみ（第一掃引／（Ｃ）、第二掃引／
（Ｄ））、キャスト後焼鈍したもの（Ｅ）のＤＳＣ曲線
を示す。
Ｃ）曲線を示す。ＰＥＳ（Ａ）、アラミド（Ｂ）それぞ
れ単体及び、アラミド／ＰＥＳ（７０／３０）ブレンド
のキャストのみ（第一掃引／（Ｃ）、第二掃引／
（Ｄ））、キャスト後焼鈍したもの（Ｅ）のＤＳＣ曲線
を示す。
【図７】ＰＥＳ／アラミドブレンドの動的弾性率の温度
依存性を示す。ＰＥＳ（Ａ）、アラミド（Ｂ）それぞれ
単体及び、アラミド／ＰＥＳ（７０／３０）ブレンドの
キャストのみ（Ｃ）、キャスト後焼鈍（Ｄ）したものの
動的弾性率の依存性についての測定結果を示す。
依存性を示す。ＰＥＳ（Ａ）、アラミド（Ｂ）それぞれ
単体及び、アラミド／ＰＥＳ（７０／３０）ブレンドの
キャストのみ（Ｃ）、キャスト後焼鈍（Ｄ）したものの
動的弾性率の依存性についての測定結果を示す。
【図８】アラミド／ＰＥＳ系の熱処理後の相分離構造を
示す。
示す。
(1a) 形状成形用上金型。 (1b) 形状成形用下金型。 (4a) 焼鈍成形用上金型。 (4b) 焼鈍成形用下金型。 (5a) スピーカ用ドーム形振動板。 (5b) スピーカ用円錐形振動板。
【表１】
【化１】
【化２】
Claims (4)
- 【請求項１】 ポリエーテルサルフォンとアラミドのポ
リマーアロイを主成分とするスピーカ用振動板。 - 【請求項２】 前記ポリエーテルサルフォンの混合比率
が、５〜５０％である請求項１に記載のスピーカ用振動
板。 - 【請求項３】 ポリマーアロイを射出により成形して
後、アラミドのガラス転移温度以上の温度で熱処理する
ことを特徴とするスピーカ用振動板の製造方法。 - 【請求項４】 ポリマーアロイをキャスティングフィル
ムを加熱プレスして成形して後、アラミドのガラス転移
温度以上の温度で熱処理することを特徴とするスピーカ
用振動板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4118378A JP3057899B2 (ja) | 1992-04-09 | 1992-04-09 | スピーカ用振動板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4118378A JP3057899B2 (ja) | 1992-04-09 | 1992-04-09 | スピーカ用振動板及びその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05292593A true JPH05292593A (ja) | 1993-11-05 |
| JP3057899B2 JP3057899B2 (ja) | 2000-07-04 |
Family
ID=14735220
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4118378A Expired - Fee Related JP3057899B2 (ja) | 1992-04-09 | 1992-04-09 | スピーカ用振動板及びその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3057899B2 (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2003063544A1 (fr) * | 2002-01-24 | 2003-07-31 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Diaphragme pour haut-parleur et resine polyamide-imide et resine polyimide pour un tel diaphragme |
| JP2006287830A (ja) * | 2005-04-05 | 2006-10-19 | Foster Electric Co Ltd | 電気音響変換器用振動板の製造方法および電気音響変換器用振動板 |
| US7790083B2 (en) | 2003-07-01 | 2010-09-07 | Robert Bosch Gmbh | Method for producing a throttle valve unit in a two-component injection molding process |
-
1992
- 1992-04-09 JP JP4118378A patent/JP3057899B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2003063544A1 (fr) * | 2002-01-24 | 2003-07-31 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Diaphragme pour haut-parleur et resine polyamide-imide et resine polyimide pour un tel diaphragme |
| US7790083B2 (en) | 2003-07-01 | 2010-09-07 | Robert Bosch Gmbh | Method for producing a throttle valve unit in a two-component injection molding process |
| JP2006287830A (ja) * | 2005-04-05 | 2006-10-19 | Foster Electric Co Ltd | 電気音響変換器用振動板の製造方法および電気音響変換器用振動板 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3057899B2 (ja) | 2000-07-04 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
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