JPH05288335A - 石炭焚きボイラ用ミル装置およびその粉砕方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 石炭焚きボイラの最低負荷を大きく切り下げ
ることができるように、幅広い粒度分布の微粉炭を製造
するミル装置を提供する。 【構成】 石炭焚きボイラ１のミル装置として竪型ロー
ラミル１０１〜１０４をそれぞれ複数台配備し、ボイラ
の高負荷時には竪型ローラミルの使用率を高め、かつチ
ューブミルを停止するかその使用率を低めに抑え、ボイ
ラの低負荷時には竪型ローラミルの使用率を低くするか
停止し、チューブミルの使用率を高くする。 【効果】 ミルの運転コストを増加させることなく、危
険な振動を抑え、最低負荷を切り下げることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ボイラに石炭を粉砕し
て供給するミル装置とその運転方法に係り、特にボイラ
負荷に応じて粉砕された微粉炭の粒度分布を適切に変え
ることができるボイラ用ミル装置とその粉砕方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】竪型ローラミルは、粉砕に要する動力が
少なく、その運転コストが低いことから、例えば、微粉
炭を燃料として使用する石炭焚きボイラの微粉炭製造装
置に広く使用されている。石炭焚きボイラを備えた火力
発電所においても電力の需給調整用に中間負荷運用が要
求されるようになってきた。また、低ＮＯｘ・高効率燃
焼の面から製品の粒度を細かくすることができる回転分
級式の竪型ローラミルの使用が一般的になっている。

【０００３】従来の回転分級式竪型ローラミルを図２に
より説明する。竪型ローラミルの底部に円盤状粉砕テー
ブル４があり、該粉砕テーブル４はギヤボックス５と連
結している。該粉砕テーブル４は、モータ６１によって
回転駆動されるギヤボックス５内のギヤ（図示せず）を
介して数十ｒｐｍで回転するように構成されている。粉
砕テーブル４の上面外周上には凹状上面を有する円環状
の粉砕リング６が固定されている。粉砕リング６の上面
には複数の粉砕ローラ７がローラブラケット１８により
回転可能に支持され、ローラブラケットを介してその上
部の加圧フレーム８によって押圧された状態で同リング
に当接しており、被粉砕物を介して粉砕リング６により
回転力が付与される。加圧フレーム８への加圧力は、加
圧シリンダ１１によって調整される。粉砕テーブル４、
粉砕リング６および粉砕ローラ７より粉砕部が構成され
ている。石炭等の被粉砕物は、粉砕リング６と粉砕ロー
ラ７との間に導入され、圧潰されて粉粒状に粉砕され
る。粉砕部中心上方には、給炭管３が設けられ、給炭管
３の外側には回転軸２１と回転軸２１に放射状に配置さ
れた回転羽根１４とで構成されている分級機１３が設け
られている。分級機１３では回転羽根１４の回転数を調
節することにより粉砕された粉粒体をある大きさにより
仕分け、所定粒径以下のものを送炭管１７から図示して
いないバーナへ移送し、所定粒径以上のものは前記粉砕
部へ戻される。分級機１３の上方には細粒化された粒子
をボイラのバーナに移送する送炭管１７が設けられてい
る。粉砕部および分級機１３は円筒状ハウジング１内に
収納されており、ハウジング１内壁と、粉砕部外周面お
よび分級機１３の外周面との間の空間は、粉砕された粉
粒体を空気によって移送する流路を形成している。移送
用空気は、粉砕テーブル４の外周とハウジング１の内壁
とで形成される円環状の空気噴射流路であるスロートリ
ング１２より供給される。

【０００４】次に動作について説明する。給炭管３を通
じて粉砕テーブル４上に供給された４０mm以下の石炭Ｂ
は、粉砕テーブル４の回転によって生じる遠心力により
粉砕リング６と粉砕ローラ７との隙間を通過する間に微
粉炭に粉砕され、スロートリング１２より導入された移
送用空気Ａによって上方へ吹き上げられる。上方へ吹き
上げられた石炭粒子のうち粗い粒子は、気流から分離
し、落下して再び粉砕テーブル４上へ戻される（一次分
級）。また、粒径が小さい粒子は、空気とともにハウジ
ング１に沿って上昇し、回転羽根１４へ到達する。これ
ら粒子のうち大きい粒子は回転羽根１４により遠心力を
受け、ハウジング１の内壁を旋回しながら下降し、粉砕
テーブル４上へ落下し、再粉砕される。

【０００５】一方、小さな遠心力しか受けない微粒子
は、分離されずに空気とともに系外へ排出される（二次
分級）。このように竪型ミル内へ供給された石炭は、所
定の粒度になるまで何回かミル内を循環した後、製品と
して系外へ取り出される。ミル内を循環する石炭の量す
なわち粉砕テーブル４、粉砕リング６および粉砕ローラ
７等より構成される粉砕部を通過する石炭量は、製品の
粒度等により異なるが、製品量の５倍前後であり、その
うち約半分の石炭が一次分級で粉砕部へ戻される。

【０００６】以上述べた構成を有する竪型ローラミル
は、低ＮＯｘ・高効率燃焼の面から分級性能が鋭くかつ
分級点がより小さい回転分級機１３が採用され、微粉炭
の粒度も２００メッシュパス（７５μｍ以下）９０％以
上の微粉度まで対応できるようになっているが（燃料協
会誌第６９巻第９号Ｐ７８７）、製品の粒度分布（粒径
分布）が狭いという欠点がある（燃料協会誌第６９巻第
９号Ｐ７８７、特開昭６１−６４３７５号公報）。これ
は粉砕されて所定粒径に達した粒子はどんどん分離され
てミルの外に排出されるため、ミル内に残留して過剰粉
砕された、より小さい粒径の粒子が少ないためである。
そのため、バーナでの着火、保炎に必要な微粉を一部分
含んだ微粉炭の調整が困難である。石炭焚きボイラにお
いて、ボイラの低負荷運用時には、火炉内の温度が低下
するので、バーナでの着火、保炎のため微粉が必要とな
る。このように微粉が必要とされる場合に分級性能が鋭
い回転分級式竪型ローラミルを用いると、必要な微粉粒
の割合を確保するために、やむをえず通常の運転に比し
て、過粉砕の状態でミルを運用せざるを得ず、ミルの運
転コストを上昇させるばかりでなく、粉砕部の寿命を縮
めるという問題を生ずる。したがって、効率的にミルを
運用するためには幅広い粒度分布が要求される。比較的
広い粒径分布を与えるミルとしてチューブミルがある。
これは水平円筒状容器の中に粉砕用の鋼球を多数収納し
たもので、この中に被粉砕物を入れ円筒状容器を回転さ
せて粉砕するもので、粉砕動力が竪型ローラミルの２倍
程度必要なことから、ボイラ用石炭ミルとしてはローラ
ミル、ボールミルが採用されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ボイラの火炉内の温度
すなわちバーナ近傍の温度は、ボイラ負荷が下がるほど
低くなる。したがって、電力の需給調整用の中間負荷運
用火力として石炭焚きボイラを使用する場合、ボイラの
低負荷運用時に石炭の着火、保炎の安定性が問題とな
り、このためボイラの最低負荷を油焚火力並みに大きく
切り下げることに対する障害となっていた。また、竪型
ローラミルは低負荷域では粉砕リングとローラミルとの
間で粉砕される被粉砕物（石炭）層の層厚が薄くなり、
ローラとの間で滑りが発生し、これに基づく大きな振動
が発生する問題があり、色々と対策されているが、充分
な解決には至っていない。

【０００８】したがって、竪型ローラミルを使用したボ
イラ用ミルにおいては、低負荷域では重油燃焼に切り替
えて運転されており、ボイラを冷起動する際は、特に長
時間におよぶ重油燃焼が必要となり、燃料費の面から問
題があった。本発明の目的は、石炭焚きボイラの最低負
荷を大きく切り下げることができるように幅広い粒度分
布の微粉炭を製造できる石炭焚きボイラ用ミル装置およ
びその粉砕方法を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本願の第１の発明は、ボイラに石炭を粉砕して供給する
ミルを合計容量がボイラの負荷に対応するように複数台
組合せて使用する石炭焚きボイラ用ミル装置において、
ボイラの高負荷時に高使用率で低負荷時には低使用率か
使用停止する複数台の竪型ローラミルと、ボイラの高負
荷時には使用停止し低負荷時には使用する１台以上のチ
ューブミルとを設けたことを特徴とする石炭焚きボイラ
用ミル装置に関する。

【００１０】第２の発明は、石炭焚きボイラに石炭を粉
砕して供給するミル装置として、チューブミルを１台以
上と竪型ローラミルを複数台配備し、ボイラの高負荷時
には竪型ローラミルの使用率を高め、かつチューブミル
を停止するかその使用率を低めに抑え、ボイラの低負荷
時には竪型ローラミルの使用率を低くするか停止し、チ
ューブミルを運転することを特徴とする石炭焚きボイラ
用ミル装置の粉砕方法に関する。

【００１１】

【作用】本発明の石炭焚きボイラ用ミルシステムにおい
て、ボイラの低負荷運用時にはチューブミルの使用率を
高めることにより微粒を含んだ幅広い粒度分布の微粉炭
を製造することができるようになり、ボイラの低負荷運
用時にも安定燃焼を達成できるとともに大きな振動の発
生を抑制できる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明にかかわる実施例を図面を用い
て説明する。図１は本発明の実施例を示す説明図であ
る。本発明では、石炭焚きボイラの低負荷時にチューブ
ミルの使用率を高め、かつ、回転分級式竪型ローラミル
の使用率をボイラ高負荷時より下げるか、または回転分
級式竪型ローラミルを停止させることを特徴とする。

【００１３】石炭焚きボイラでは、石炭の燃焼用の二次
空気は、押し込み通風機５０より空気予熱器５１を経て
ボイラ７０へ送られる。一方、石炭の搬送用の一次空気
は、押し込み通風機５２より空気予熱器５１を経由した
熱空気と押し込み通風機５２からの冷空気とを混合して
通常２５０℃前後の温度に調節して、竪型ミル１００へ
一次空気として送られる。一次空気の温度は、冷空気ダ
ンパ８１の開度と、熱空気ダンパ８２の開度を制御して
調節し、一次空気の流量は一次空気ダンパ８３の開度を
制御して調節する。竪型ミル１００内で粉砕された石炭
は、微粉炭となり一次空気とともにバーナを経てボイラ
７０内へ送られ、火炉７１内で燃焼する。一般に石炭焚
きボイラでは６台前後のミルが配備され、ボイラ負荷の
増減に対してはミル台数と１台あたりのミル負荷の増減
で対応している。

【００１４】次に動作について説明する。石炭焚きボイ
ラで燃料比が１から２程度の燃焼性のよい石炭を燃焼す
る場合、高負荷時には、低ＮＯｘ・高効率燃焼の面から
微粉炭は、１００メッシュ（粒径１５０μｍ）以上の粗
粉をできるだけ少なくすることが要求される。また、ボ
イラの高負荷時は火炉内の温度が十分に高温であるた
め、石炭の着火、保炎の安定化に２０μｍ以下の微粉を
必要としない。したがって、ボイラの高負荷時には、ミ
ルで製造される微粉炭の粒度分布は狭くした方が、ミル
内に残留して過剰粉砕される粒子を少なくできるので粉
砕動力を節減し、ミルの運転コストを低く抑えることが
できる。石炭焚きボイラでは通常６台前後のミルが配備
され、そのうち１台が予備ミルとして配備されている。
本発明では、例えば７台のミルが配備され、このうち５
台が回転分級式竪型ローラミル１００〜１０４で残りの
２台がチューブミル１１０、１１１の場合を例に説明す
る。石炭焚きボイラの高負荷時に５台の回転分級式竪型
ローラミル１００〜１０４と１台のチューブミル１１０
を使用する。ボイラ高負荷時の運転では、ミル粉砕動力
節減の面から回転分級式竪型ローラミル１００〜１０４
の負荷率を高め、チューブミル１１０の負荷率をできる
だけ低くすることが望ましい。したがって、ボイラ高負
荷時には図２に示した回転分級式竪型ローラミルの分級
機１３の回転羽根１４によって発生する遠心力によって
鋭い分級が行なわれ、狭い粒度分布の微粉炭が主として
ボイラへ送られる。

【００１５】一方、石炭焚きボイラの低負荷時には、石
炭の着火、保炎の安定性の面から２０μｍ以下の微粉が
ある一定の割合以上必要となる。本発明では、例えばボ
イラ負荷２０％のときチューブミル１１０、１１１を２
台使用し（保安の面からミルは少なくとも２台以上で運
転することが望ましい）、ミルの負荷率を６０％で運転
する（ボイラ負荷率：２０％＝〔（６０×２）／（１０
０×６）〕×１００）。ボイラの低負荷時には、粒径が
より小さく、かつ、幅広い粒度分布の微粉炭を製造でき
るチューブミル１１０、１１１のみを使用するので、２
０μｍ以下の微粉を含んだ微粉炭が系外バーナへ送られ
るとともに、バーナへ送られる微粉炭濃度を竪型ローラ
ミルより高くすることができる。したがって、ボイラ低
負荷時で火炉内温度が低くなっても、２０μｍ以下の微
粉と高濃度微粉炭により石炭の着火、保炎の安定化が図
れ、石炭焚きボイラにおいてより一層の低負荷運転が達
成され、、電力需給調整用の中間負荷運用の要求を満た
すことができる。また、２０μｍ以下の微粉を必要量だ
け製造するので、ミルを過粉砕の状態で運転することが
避けられ、さらに、必要以上のミルの運転コストを増や
さず、かつ、粉砕部の寿命が短くなるのを抑えることが
できる。上記実施例のほか、低負荷時に竪型ローラミル
１台とチューブミル１台の組合せで運転することもでき
る。

【００１６】本実施例では、竪型ローラミルに回転分級
式ミルを使用する例について説明したが、高性能サイク
ロン分級式竪型ローラミルを使用しても同様な効果が得
られる。次に本発明で使用するチューブミルの概要を図
３により説明する。図３において、石炭Ｂはバンカ９０
より給炭機９１を経てチューブミル１１０入口３１へ空
気Ａとともに供給される。チューブミル１１０には多数
の粉砕用ボールが充填されており、チューブミル本体が
回転するにつれてボールもチューブミル内で運動し、ボ
ールの襲撃力などにより石炭は粉砕される。粉砕された
石炭は空気とともにチューブミル出口３５より分級機１
２０内へ入り、微粉は空気とともにバーナに送られる。
一方、粗粒は分級機１２０の下部よりミル入口３１へ戻
される。一般にチューブミル１１０内の分級が悪いため
に、チューブミル内で粉砕された製品は、竪型ローラミ
ルに比べて粒径分布が広くなる。

【００１７】

【発明の効果】本発明によれば、石炭焚きボイラにおい
て、竪型ローラミルとチューブミルをそれぞれ複数台設
けて、ボイラの負荷に応じて回転分級式ミルとチューブ
ミルの台数を調節することによりミルの運転コストを増
加させることなく、危険な振動を発生することなく、最
低負荷を切り下げることができ、電力の需給調整用に要
求される中間負荷運用ボイラを提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の石炭焚きボイラ用ミルシステムの概略
系統図。

【図２】回転分級式竪型ローラミルの概略図。

【図３】チューブミルの概要図。

【符号の説明】

１…ハウジング、３…給炭管、４…粉砕テーブル、５…
ギヤボックス、６…粉砕リング、７…粉砕ローラ、８…
加圧フレーム、９…スプリング、１０…スプリングフレ
ーム、１１…加圧シリンダ、１２…スロートリング、１
３…分級機、１７…送炭管、１８…ローラブラケット、
５０、５２…押し込み通風機、５１…空気予熱器、７０
…ボイラ、７１…火炉、８１…冷空気ダンパ、８２…熱
空気ダンパ、８３、８４、８５、８６、８７、８８、８
９…一次空気ダンパ、９０…石炭バンカ、９１…給炭
機、１０１、１０２、１０３、１０４…竪型ローラミ
ル、１１０、１１１…チューブミル、１２０…分級機。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金本 浩明 広島県呉市宝町６番９号 バブコック日立 株式会社呉工場内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボイラに石炭を粉砕して供給するミルを
   合計容量がボイラの負荷に対応するように複数台組合せ
   て使用する石炭焚きボイラ用ミル装置において、ボイラ
   の高負荷時に高使用率で低負荷時には低使用率か使用停
   止する複数台の竪型ローラミルと、ボイラの高負荷時に
   は使用停止し低負荷時には使用する１台以上のチューブ
   ミルとを設けたことを特徴とする石炭焚きボイラ用ミル
   装置。
2. 【請求項２】 石炭焚きボイラに石炭を粉砕して供給す
   るミル装置として、チューブミルを１台以上と竪型ロー
   ラミルを複数台配備し、ボイラの高負荷時には竪型ロー
   ラミルの使用率を高め、かつチューブミルを停止するか
   その使用率を低めに抑え、ボイラの低負荷時には竪型ロ
   ーラミルの使用率を低くするか停止し、チューブミルを
   運転することを特徴とする石炭焚きボイラ用ミル装置の
   粉砕方法。