JPH05287547A - 溶接性に優れた缶用鋼板およびその製造方法ならびに製缶方法 - Google Patents

溶接性に優れた缶用鋼板およびその製造方法ならびに製缶方法

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JPH05287547A
JPH05287547A JP4084211A JP8421192A JPH05287547A JP H05287547 A JPH05287547 A JP H05287547A JP 4084211 A JP4084211 A JP 4084211A JP 8421192 A JP8421192 A JP 8421192A JP H05287547 A JPH05287547 A JP H05287547A
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英 雄 久々湊
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Abstract

(57)【要約】 【目的】従来とは異なり、圧延方向とは直角をなす方向
に曲げて両端部を接合する形式のクロメート処理鋼板お
よびその製造方法ならびに製缶方法の提供。 【構成】缶胴をなす中央部および接合用板幅方向両端部
を有する鋼板と、この上のクロメート処理被膜とを有
し、圧延方向とは直角方向に曲げて前記板幅方向端部同
士を接合して製缶するためのクロメート処理鋼板であっ
て、前記板幅方向両端部のクロメート処理被膜中の酸化
クロム量は前記中央部のクロメート処理被膜中の酸化ク
ロム量より少なく、溶接を可能とする量である溶接性に
優れた缶用鋼板。この鋼板は帯板の両端部をしゃへい板
で覆って電解クロメート処理することにより製造する。
得られた帯板を圧延方向とは直角方向に切断してブラン
キングシートとし、これを圧延方向に直角をなす方向に
曲げ、板端を溶接して缶とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に3ピース缶を効率
よく製造することを可能とする溶接性に優れた3ピース
缶用鋼板およびその製造方法ならびに製缶方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図1(a)に示す飲料缶、同図(b)に
示す18L缶(例えば灯油缶)、同図(c)に示すペー
ル缶などの缶は、構成上から、2ピース缶と3ピース缶
に分類できる。2ピース缶は錫めっき、クロムめっき、
化成処理、塗油、などの処理を施した表面処理鋼板に、
プレス加工、DWI(drawing and wall ironing)加工、
DRD(drawing and redrawing) 加工などの加工を施
し、これに蓋を取り付けた2部品からなる缶である。3
ピース缶は表面処理鋼板を円筒状もしくは角筒状に曲げ
て端部を接合(11が接合部)して缶胴12を成形した
後、天蓋13と底蓋14を取り付けた3部品からなる缶
である。天蓋13を取り外して装着開閉できる缶も、2
ピース缶、3ピース缶の範疇に含まれる。同図(b)の
15は把手、16は注入口を示す。
【0003】3ピース缶は2ピース缶と比べて製造工程
数が多く製造コストが高くなるものの、プレス加工、D
WI加工などの強加工は行わないため、缶胴12への美
術的印刷が可能となり、ファッション性の点から多用さ
れている。
【0004】図2に3ピース缶の製造工程を示す。すな
わち、厚さ200〜300mm程度のスラブを熱間圧延
により厚さ2〜4mmの熱延鋼帯とした後、高温で巻き
取って自己焼鈍させる。次に酸洗して表面の酸化スケー
ルを除去してから冷間圧延して厚さ0.1〜0.6mm
の冷延鋼帯とする。ついで箱焼鈍または連続焼鈍を行う
ことにより、冷間圧延で形成された圧延組織(繊維状組
織)を回復、再結晶、結晶粒成長へと進め所定の機械的
性質を得る。なお、連続焼鈍の場合は、耐食性、耐錆性
等の向上を目的として、焼鈍前にニッケルメッキを施す
場合もある。その後、所定の調質度(T1〜T6、DR
8〜10)を得るために調質圧延して、表面処理用原板
とする。ついで表面処理されて表面処理鋼帯となった帯
板をシャーラインにて所定の長さに剪断する。図3にそ
の様子を示す。帯板Sは、その長手方向即ち圧延方向が
缶胴の曲げ方向となるように切断されて切板1を得る。
図中2はこの時の切断線であり、Lが切断長さである。
【0005】このようにして得られた切板1に、塗装ラ
インにおいて、缶内面に相当する面に塗装と焼付けを施
し、次にもう一面にも塗装と焼付けを施す。なお、缶外
面に相当する塗装は次の印刷を考慮して白色塗料を塗る
のが一般的である。次の多色印刷は、以前には色の種類
毎に印刷焼付けを繰り返していたが、最近では複数の印
刷機を連設して1パスで印刷と焼付けが行われるように
なっている。なお、これら塗装印刷は図3の斜線で示し
た接合部5を外して行う。これは後述の接合強度が塗料
により低下するためである。
【0006】次に切板1は、スリットカットにより、1
缶当りの大きさのブランクシート6、6にされ、このブ
ランクシート6を円筒状もしくは角筒状に曲げる。図中
3はスリット線であり、角筒状に曲げ加工する場合の曲
げ線を4で示した。そして、ブランクシート6の長手方
向両端部の接合部5、5を溶接もしくは接着剤により重
ね接合した後、フランジ加工、必要に応じてネッキング
加工、ビーディング加工を施して天蓋と底蓋を取り付け
て仕上げる。ここで上記フランジ加工は天蓋13、底蓋
14を巻き締めにより取付けるために行うもので、その
様子を図4に示す。同図において17がフランジ部、1
8が巻締め部である。また、ネッキング加工、ビーディ
ング加工は缶強度を上げる場合に行うものである。
【0007】飲料缶、食缶等に使用される缶用鋼板の材
質は調質度で規定される。調質度はロックウェルT硬さ
(HR −30T)の値をもって表わされ、一回圧延製品
では軟質なものからT1〜T6に、二回圧延製品は同様
にDR8〜DR10に区分されている。
【0008】各調質度のものをつくりわけるため、T3
以下の各種軟質ぶりき原板はCおよびMn含有量を変化
させた低炭素Alキルド鋼素材を用いて、箱焼鈍法で焼
鈍温度と時間で材質を調整した後、1〜3%圧下率の乾
式調質圧延で仕上げてきた。また、T4以上の各種硬質
ぶりき原板はC、N含有量を変化させた低炭素Alキル
ド鋼素材を用いて、連続焼鈍法で焼鈍温度と時間で材質
を調整した後、1〜3%圧下率の乾式調質圧延で仕上げ
てきた。そしてDR材はT1〜T6の各種焼鈍原板を用
いて5〜50%圧下率の湿式(調質圧延油または冷間圧
延油を使う)、二回圧延(Double cold-Reducing)、調質
圧延で仕上げてきた。
【0009】本発明者らは、C、N含有量を調整した低
炭素Alキルド鋼を素材とし、急冷・過時効処理帯を有
する連続焼鈍法で軟質化できる技術を発明し、T2材ま
での商業生産を行ってきた。しかし、最も軟質なT1材
は連続焼鈍法では製造できなかったことから、連続焼鈍
法によりT1材を製造する方法の開発が要望されてい
た。
【0010】他方、前述のように3ピース缶の製造工程
は複雑でコストアップの要因となっていることから、製
造工程の連続化、簡略化が叫ばれている。
【0011】その対応策の1つとして、従来の切板状態
での塗装を帯板の状態で塗装してその後切板にする方法
が考えられる。即ち、切板塗装においては、各切板毎か
つ表裏2回分を塗装ラインに通して塗装と焼付けを行う
必要がある(2コート2ベーク・2回塗装2回焼付け)
が、帯板の場合には缶内面に相当する塗装と缶外面に相
当する塗装を連続して施し、次の焼付けは表裏同時に行
う(2コート1ベーク)ことが可能となる。そして、こ
の塗装ラインで、塗装焼付け後の切板切断を行うことに
より、工程の簡略化と連続化が実現できることになる。
【0012】しかしながら、上記帯板塗装には次のよう
な問題がある。即ち、図2に示したように接合部5、5
を外して塗装しなければならず、この塗装切りの幅は通
常6mm程度であり、塗装範囲の制御が非常に困難であ
る。また塗装が可能としても塗装切り部の中心位置(す
なわち前記6mmの幅の中心である3mmの位置)で、
高速移動中の帯板を切断することは困難である。
【0013】このように塗装範囲、切断位置の制御精度
が悪いと次のようなトラブルにつながる。例えば接合部
に塗料が存在する場合は、これをそのまま溶接すると塗
料が燃焼し、爆飛現象が生じてナゲットが正常に形成さ
れないばかりか穴があくことがある。また接着剤を用い
て接合しても充分な接着力が得られない。逆に本来塗装
すべきところに塗装されない場合には、接合は問題ない
が耐錆性、耐食性等の点で問題となる。
【0014】また、箱焼鈍法には下記(1)〜(3)に
示すような欠点があることが知られている。 (1)タイトコイル状態で焼鈍が施されるために焼鈍温
度を高くすると焼付き欠陥(Sticking Break)が生じて歩
留が低下する。 (2)均熱には数時間以上が必要であるため、焼鈍中に
鋼板表面の結晶粒界へC,Mn等が富化濃縮され、その
結果グラファイトに起因する表面欠陥が発生したり、ま
たぶりきの耐食性が劣化することがあった。 (3)コイルの温度は外巻部と内巻部は高温になり、中
巻部は低温になるため、コイル内硬度のばらつきが大き
くなり均質な原板を得ることは困難であり、その結果平
坦度も劣下していた。
【0015】以上述べたことから判るように従来箱焼鈍
法によれば良質のT1〜T3級のいわゆる軟質ぶりき原
板の製造は困難であった。
【0016】また、もし、T1材も連続焼鈍法で製造で
きれば、T2材以上は加工硬化法でつくりわけることが
できるので製造工程の合理化が図れる効果が期待され
た。
【0017】本発明は、従来の連続焼鈍法はもとより箱
焼鈍法によっても充分に満足し得る品質の調質度T1〜
T3を有する錫めっきあるいはテインフリー鋼板を製造
することができなかったことに鑑み、連続焼鈍法によっ
て良質の調質度T1〜T3のプレス加工性に優れる軟質
錫めっきあるいはテインフリー鋼板の製造方法さらにT
1〜T6、DR8〜DR10材を提供する。
【0018】クロムめっき鋼板、通称、TFSは缶用鋼
板では安価に仕上がる表面処理鋼板なので、18L缶や
ペール缶等の大型缶に多く用いられている。それらの缶
胴に成形する方法としてはクロムめっき層、特に電気的
に絶縁体である酸化クロムが多く付着していると、耐錆
性、耐食性に優れていても電気抵抗シーム溶接法による
接合が難しいため、溶接前に、事前にめっき層を砥石等
で研磨し、地金を出した状態で溶接が行なわれている。
しかし、研磨粉を吸収除去するように工夫された溶接ラ
インでも粉末は散乱するし、缶内に混入すると、食品を
充填する缶であれば人体に害を及ぼすし、塗料などを充
填した場合には、塗膜に鉄−Cr主体の出張り(凸状欠
陥)が生じ、見た目は悪いし、その場所は短時間で発錆
するため、現在は研磨粉を混入させないよう、ラインの
徹底クリーン化、研磨粉の徹底吸収除去を行うため、生
産性は悪い。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、連続焼鈍法およびこれに続く調質圧延の圧下率
の適切な選定によって単一の鋼種で良質の調質度T1さ
らにはこれより硬質の調質度T2〜T6、DR8〜DR
10の任意の調質度の鋼板を得、これに接合すべき両端
部は酸化クロム付着量が少なくなるようにクロメート処
理した溶接性に優れた缶用鋼板およびその製造方法を提
供しようとすることにある。本発明の他の目的は、上記
クロメート処理鋼板(TFS)を圧延方向とは直角方向
にカットしてブランキングシートを得、これを圧延方向
とは直角方向に曲げて両端部を接合することにより特に
3ピース缶を簡単に製造することができる製缶方法を提
供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、缶胴をなす中
央部および接合用板幅方向両端部を有する鋼板と、この
上のクロメート処理被膜とを有し、圧延方向とは直角方
向に曲げて前記板幅方向端部同士を接合して製缶するた
めのクロメート処理鋼板であって、前記板幅方向両端部
のクロメート処理被膜中の酸化クロム量は前記中央部の
クロメート処理被膜中の酸化クロム量より少なく、溶接
を可能とする量である溶接性に優れた缶用鋼板を提供す
るものである。ここで、鋼板としては、組成が重量比
で、 C:0.004%以下、 Si:0.
03%以下、 Mn:0.05〜0.60%、 P:0.0
2%以下、 S:0.02%以下、 N:0.0
1%以下、 Al:0.02〜0.20%、 Nb:0.
1〜0.001%、 Ti:0.1〜0.0001%、 Cr:0.
1%以下、 Cu:0.1%以下、 Ni:0.
1%以下、 B:0.005〜0.0001%、 Mo:0.
01%以下、 O:0.01%以下、 V:0.0
1%以下、 Zr:0.01%以下、 Ca:0.
005%以下、 Sn:0.01%以下、 Sb:0.
01%以下、 希土類元素(REM):0.005%以下、Na:0.
001%以下、 Mg:0.001%以下、 As:0.
01〜0.001%、 Te:0.01〜0.0001% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる極
低炭素鋼より成る連続鋳造スラブに、熱間圧延、酸洗、
冷間圧延を施してから、連続焼鈍を施し、この焼鈍板に
圧下率を適切に選定した調質圧延を施すことにより調質
度をT1〜T6あるいはDR8〜DR10に調整した鋼
板を用いるのがよい。また、前記中央部のクロメート処
理被膜中の酸化クロム量は10mg/m2 以上であり、
前記板幅方向両端部のクロメート処理被膜中の酸化クロ
ム量は10mg/m2 以下であるのが好ましい。
【0021】また、本発明は、上記クロメート処理鋼板
を製造するに際し、組成が重量比で、 C:0.004%以下、 Si:0.
03%以下、 Mn:0.05〜0.60%、 P:0.0
2%以下、 S:0.02%以下、 N:0.0
1%以下、 Al:0.02〜0.20%、 Nb:0.
1〜0.001%、 Ti:0.1〜0.0001%、 Cr:0.
1%以下、 Cu:0.1%以下、 Ni:0.
1%以下、 B:0.005〜0.0001%、 Mo:0.
01%以下、 O:0.01%以下、 V:0.0
1%以下、 Zr:0.01%以下、 Ca:0.
005%以下、 Sn:0.01%以下、 Sb:0.
01%以下、 希土類元素(REM):0.005%以下、Na:0.
001%以下、 Mg:0.001%以下、 As:0.
01〜0.001%、 Te:0.01〜0.0001% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる極
低炭素鋼より成る連続鋳造スラブに、熱間圧延、酸洗、
冷間圧延を施してから、連続焼鈍を施し、この焼鈍板に
圧下率を適切に選定した調質圧延を施すことにより調質
度をT1〜T6あるいはDR8〜DR10に調整した鋼
帯を得、この鋼帯にその板幅方向両端部の所定幅に対
し、しゃへい板を設置して電解クロメート処理を施すこ
とを特徴とする溶接性に優れた缶用鋼板の製造方法を提
供するものである。
【0022】さらに、本発明は、上記のようにして得た
クロメート処理鋼帯に、その板幅方向両端部の所定幅を
外して、鋼帯の両面あるいは片面に塗装を施して焼付
し、次いで必要に応じて印刷、焼付した後、圧延方向に
直角をなす方向で所定の長さに切断し、さらにブランキ
ング加工してブランキングシートとし、該ブランキング
シートを圧延方向とは直角方向に曲げて、前記非塗装部
を重ね接合してから、フランジ加工により天蓋と底蓋を
取り付けて仕上げることを特徴とする3ピース缶の製造
方法を提供するものである。
【0023】以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0024】本発明によれば、製鋼時に真空脱ガス処理
を有効に駆使して、C量を極微量にしたAlキルド鋼ス
ラブを使用することにより連続焼鈍法によってもぶりき
原板では最も軟質な調質度T1の原板を製造することが
できること、ならびに上記Alキルド鋼スラブに炭化物
形成元素で、窒化物形成元素でもあるNb、Ti、Bを
必要により含有させたAlキルド鋼スラブを使用するこ
とにより、結晶粒径を粗大化することによって、HAZ
割れを解決できる3ピース缶法で製缶するにより適した
素材を連続焼鈍法を用いて調質度T1をはじめとする任
意の調質度の原板を製造することができるようになっ
た。
【0025】また、極低炭素鋼は脆性が劣化するが、結
晶粒界強度を増加する元素であるBを必要により含有さ
せる。
【0026】また、連続焼鈍法により前記箱焼鈍法の欠
点である(1)〜(3)は解決できるが、さらに、缶分
野で進んでいる薄めっき化に対応できるように、焼鈍時
に表面に富化濃縮して、鋼中の微量Cが表面に濃化して
くることを防止し、めっきの密着性、耐食性を改善でき
る効果のあるTe、As、Sn、Sbを必要により含有
させる。
【0027】本発明者らは、ぶりきあるいはTFSの硬
度に及ぼす固溶C、Nおよび結晶粒径との関係を系統的
に調べた結果、固溶C、Nが少なく結晶粒径が大きくな
ると軟質になることを知見し、この知見に基いて焼鈍後
に固溶Cを少なくするため出発材である連続鋳造鋼片製
造用溶鋼中のCを少なくすればよいと考えた。
【0028】一方、Alキルド鋼連続鋳造スラブを用い
て通常工程により冷延鋼板となしたものに箱焼鈍を施す
と、Cについては焼鈍後の冷却速度が小さいためにCの
溶解温度域において溶解したCも十分に析出することが
できるので、固溶Cの残存量が微少になる。またNはA
lN析出温度(400℃以上)域での焼鈍温度ならびに
時間ともに十分であるために、ほどんとすべてAlNと
して析出し、また焼鈍時間が長いので十分な粒成長を図
ることもでき、従って箱焼鈍後の原板は軟質で非時効性
となるためにぶりきあるいはTFSの硬度も十分に軟質
になることが知られている。
【0029】本発明者らは、先に連続焼鈍法による軟質
ぶりき原板の製造方法を発明して、特願昭56−125
996号(特開昭58−27932号)によって特許出
願した。前記方法によれば、N量が少なく、かつC量を
ある程度含有したAlキルド鋼材を用い、熱間圧延に際
しては仕上温度をα+γ共存領域あるいはγ領域で、さ
らに巻取温度は炭化物が凝集しない範囲で中温にして得
られた熱延板を用い、急冷帯と過時効処理帯を有する連
続焼鈍炉で再結晶温度以上で焼鈍を施すことによって軟
質な原板を得ることができた。しかし、ぶりきあるいは
TFSの硬度としてはT2〜T3になって、T1のもの
を得ることはできなかった。その理由は、焼鈍時に溶解
した固溶Cを析出させるために、析出サイト(Sit
e)としてのセメンタイトを密に分布させるために、C
量をある程度以上含み、巻取温度は中温以下にして連続
焼鈍炉において過時効処理を施してもセメンタイトが十
分に析出するに至らないためであった。前記セメンタイ
トの析出を促進するためには過時効処理時間を長くする
ことが考えられるが、そのためには過時効処理設備を長
くする必要があり、このことは工業的規模では実施が困
難である。また固溶C、Nが残存しためっき原板は次工
程の調質圧延によって加工硬化を受けるばかりでなく、
さらにめっき後のリフロー処理(溶錫化処理)によりめ
っき鋼板は約400℃からの水焼入れを受けて歪時効硬
化が加わるので、硬度の増加は固溶元素量に比例して大
きくなる。したがって軟質ぶりき原板を製造するために
は固溶元素の残存量を箱焼鈍材並みに調整することが肝
要であることに本発明者らは想到した。
【0030】以上の考察から本発明者らは鋭意研究を重
ねた結果、極低炭素鋼素材を連続焼鈍を行うことによっ
て、硬度をT1に仕上げ、引き続き行う調質圧延で圧下
率をそれぞれ変えることによってT1〜DR10の原板
にそれぞれ作り分けることのできることを新規に知見
し、これをTFSに用いれば缶用鋼板として好適である
ことを見い出して本発明を完成した。
【0031】次に出発素材である連続鋳造鋼片の成分元
素の挙動ならびに成分組成を限定する理由を説明する。
【0032】Cは再結晶温度を大きく支配し再結晶粒径
の成長を抑制する重要な元素であり、箱焼鈍法によれば
C量を多くすると結晶粒径は小さくなって硬質化する
が、連続焼鈍法による場合にはC量が多くなるに従って
硬質化するという単純な傾向は見られない。図5にぶり
き硬度に及ぼすC量の影響を示す。同図から判るように
非常に複雑な傾向を示す。これを冶金学的に説明する
と、C量が約0.004%以下の極微量になるに従って
軟質化し、一方C量が増加すると約0.01%において
最も硬度が高くなるピークが見られ、C量がさらに多く
なるに従って逆に硬度は低くなり、C量0.02〜0.
07%の範囲内で谷となり、さらにC量が多くなるとま
た硬度が高くなる。C量が約0.004%以下で軟質に
なる理由は焼鈍時にCの溶解温度での溶解量の絶対値が
少ないことにより、Cによる歪時効硬化が小さくなるた
めと考えられる。またC量0.01%でピークが現れる
理由は溶解したCを析出させるに際し、C量が少ないの
で析出核としてのFe3 Cが少ないために析出移動距離
が長くなって、これにより冷却過程での析出量が少なく
なり多く残存するからである。したがって0.01%を
超えるある程度のC量を含んでいるものが軟質化するに
際して有効である。しかしさらにC量が多くなるとFe
3 Cは十分存在するが結晶粒径が小さくなるので硬質化
する。結晶粒を均一に粗大化するためにも0.004重
量%以下にする必要がある。
【0033】従って連続焼鈍炉により調質度T1以下の
軟質ぶりき原板を製造するためには、C0.004%以
下にする必要がある。
【0034】Siはぶりきの耐食性を劣化させるほか、
さらに材質を極端に硬質化する元素であるので、Siを
過剰に含有させることは避けるべきである。よって製鋼
段階でできるだけ少なくなるようにすることが肝要であ
り、耐火物中のSiO2 が溶鋼中のAlによって還元さ
れるのを抑制するために、従来使用されているシャモッ
ト質耐火物に代えてジルコン質耐火物を用いる等の注意
を要する。すなわち、Siは0.03%を超えると硬質
化して調質度T1 〜T3 のぶりき原板を製造することが
できないのでSiは0.03%以下にする必要がある。
【0035】Mnは熱延コイルの耳割れ発生を防止する
ために添加する必要があるが、上記耳割れは直接的には
Sによって支配され、このSによる耳割れの発生をMn
の添加によって抑制している。したがってS量が少なけ
れば敢えてMnを添加する必要はないが、鋼中にはSが
不可避的に含有されていることからMnを添加する必要
がある。Mnが0.05%より少ないと耳割れの発生を
防止することができず、一方Mnが0.6%より多いと
結晶粒径が細粒化し硬質化するのでMnは0.05〜
0.6%の範囲内にする必要がある。
【0036】SはMn量との関係において過剰に含有す
ると熱延コイルの耳割れを生成させ、またS系介在物と
なってプレス欠陥となるのでSは0.02%以下にする
必要があり、特にMn/S比で8より少ないと上記耳割
れ、あるいはプレス欠陥が発生するのでMn/Sは8以
上にする必要がある。Sが多いとMnが析出し、結晶粒
径が小さくなる。
【0037】Pは材質を硬質化させ、かつぶりきの耐食
性を劣化させる元素であるので、過剰の含有は好ましく
なく、Pは0.02%以下にする必要がある。
【0038】Alは鋼の製造過程において脱酸剤の機能
を発揮する元素であり、鋼中の含有量が多くなるのに従
って鋼の清浄度が高くなるが過剰の添加は経済的に好ま
しくないし、さらに再結晶粒径の成長を抑制するので、
Alは0.20%以下にする必要がある。一方、Alの
下限量としては、本質的には溶鋼中の固溶酸素量に見合
った量のAlを添加して、脱酸を完了させることができ
ればよいことから金属Alとして鋼中に残存させる必要
はないことになるが、このようにするとぶりきの清浄度
が悪くなる。さらに軟質ぶりきを得るためには固溶Nを
Alによって固定し、その残存量を減らす必要がある。
Alが0.02%より少ないと鋼中の固溶N量が多くな
るので、Alは0.02%以上にする必要がある。よっ
てAlは0.02〜0.20%の範囲内に限定する。
【0039】Nは鋼の製造過程において空気中のNが混
入する結果含有されるが、Nが鋼中に固溶していると軟
質な鋼板が得られずNは不必要な元素なので、製鋼過程
で空気中からのNの混入を極力抑制してNは0.01%
以下にする必要がある。Nが多いとAlNの析出も多く
なり、結晶粒径が小さくなる。
【0040】Nbは炭化物、窒化物形成元素なので、固
溶C、固溶N量の残存量を少なくする機能を有し、一
方、多量添加するとNb系析出物による結晶粒界のピン
止め効果により再結晶温度が高温になり、連続焼鈍炉の
通板作業性が悪くなるのでNbは0.1%以下とし、下
限はNbの効果を発揮するに必要な0.001%とする
必要がある。
【0041】Tiは炭化物、窒化物形成元素なので、固
溶C、固溶N量の残存量を少なくする機能を有し、一
方、大量添加すると、薄鋼板断面を顕微鏡観察すると、
鋭利なとがった、いかにも超硬質である析出物が発見さ
れる。缶用鋼板において、このような介在物が最もきら
われるもので、耐食性を悪くするとともに、プレス加工
を施した際に、すり疵発生の原因にもなると考えられ
る。従って、Tiは0.1%以下とし、下限はTiの効
果を発揮するのに必要な0.0001%にする必要があ
る。
【0042】薄鋼板において、極低炭素鋼を基に、炭化
物形成元素を添加して、固溶Cを極端に減少すると、再
結晶粒界の強度が弱くなり、缶の用途、あるいは缶詰の
使われ方によって、極低温で保管される場合は、脆化割
れが生じる心配も考えられる。このような用途にも品質
上満足できるものをつくるためには、Bを添加すること
が有効である。Bは、粒界に固溶Cが存在するとPの偏
析が小さくなり、粒界強度が大きくなって、脆化不良の
恐れはなくなる。しかし、固溶C量が少なくなると粒界
にPが偏析して脆化する。その際、Bが存在すると、固
溶Cの役目をする、あるいはB自体が粒界強度を大きく
するので脆化不良は解決できる。Bはまた、炭化物、窒
化物を形成するので、軟質化に有効であるが、連続焼鈍
時、再結晶粒界にBが偏析し、再結晶を遅らせ、通板作
業性を悪くするのでBは0.005%以下とし、下限は
Bの効果を発揮するのに必要な0.0001%以上にす
る必要がある。
【0043】Oは再結晶温度を低下させる元素なので、
連続焼鈍炉の通板作業性を改善できる元素である。しか
し、Oが多いと鋼中のAl、Mn、あるいは耐火物のS
i、フラックスのCa、Na、F、等と酸化物を形成
し、プレス加工時の割れ原因、あるいは耐食性を劣化す
るのでできるだけ少なくする必要がある。その方法とし
ては真空脱ガス処理による脱酸強化、タンディッシュの
堰形状、ノズルの形状、鋳込速度の調整により清浄度の
優れたものが得られる。その過程において、鋼中にAl
等が多いと介在物がクラスター状を成し、ストークスの
法則で浮上しやすくなって、清浄度が改善される。その
ためにもAl等は多い方が良い。従って、Oは0.01
%以下にする必要がある。
【0044】Caは溶鋼中でCaOを形成し、これにA
2 3 が反応すると、融点の高い超硬質Al2 3
在物の融点を低下させ、硬度も低下させるので、誤って
Al2 3 が薄鋼板に残存したとしても軟質なため苛酷
な冷間圧延加工で分断され、小さくなって、品質低下を
防止できる。従って必要によっては添加しても良い元素
である。
【0045】本発明の出発素材である鋼を製造するには
C量を0.004%以下の微量となすことに注意する必
要があり、このためには真空脱ガス処理法によって脱炭
反応を生起させてCを低下させる方法がある。一方通常
の脱ガス法によれば長時間を要し、さらにC0.004
%以下にすることが困難であると共に、脱ガス処理中に
溶鋼の温度低下が大きくなって、次工程の連続鋳造工程
において鋳造作業が困難になるばかりでなく、溶鋼温度
の低下により介在物の浮上分離性が悪く鋼の清浄度が劣
化するので満足できる品質のぶりきが得られなくなる。
したがって本発明において用いられる出発素材を得るに
は溶鋼を真空脱ガス処理することにより脱ガス効率を向
上させることが肝要になる。このためには底吹転炉の場
合には吹止Cを0.03%以下に低下させること、なら
びに脱ガス溶鋼の環流速度を上昇させることが有効であ
り、かかる速度上昇のためには脱ガス用環流ガス量を増
大させることが重要である。本発明者らの実験によれ
ば、C0.03%の溶鋼を脱炭する通常の真空脱ガス処
理において取鍋溶鋼を5回転環流させても0.005%
Cにまでしか下がらなかったのに対し、上記の如く環流
ガス量を増大して環流速度を上昇させることにより、同
一回転環流によってC0.004%以下にすることがで
きるばかりでなく、短時間で同一回転環流処理が達成さ
れ、さらにまた温度低下も最小に抑制することができ
る。
【0046】本発明において用いる連続鋳造鋼片は、上
述の如く転炉溶鋼に環流速度を大きくした真空脱ガス処
理を施し、次に連続鋳造して得ることができる。
【0047】前記法によりT1材を連続焼鈍で仕上げた
後、調質圧延圧下率を高くして、加工硬化度を大きくし
て、それぞれの調質度のものをつくりわけることができ
ることを知見した。
【0048】まず、本発明に至る経緯について述べる。
前述した接合部に関する問題は、曲げ方向を従来の圧延
方向と同一の方向から、圧延方向に対して直角方向に変
更することにより解決できることに想到した。これを図
6に示す。従来例を示した前掲図3と同一の部位には同
一記号を付してある。これにより塗装は帯板1の両端部
に位置する接合部5、5を外して、帯板1の長手方向に
連続して施せばよいので、前述した塗装に起因する問題
は一挙に解決できる。
【0049】ところが、このようにして得られたブラン
クシート6を曲げ加工後、シーム溶接で接合してフラン
ジ加工を施したところ、熱影響部(HAZ)で割れる頻
度が非常に高くなることがわかった。そこでこのHAZ
割れを無くすための検討を行った。
【0050】缶胴の溶接は通常、中間電極に胴ワイヤー
を用いる型式の、所謂ワイヤーシーム溶接機を用いて前
述のように接合部を重ね溶接する。これにより重ね部は
鋼板抵抗により発熱、溶解し、電極輪の加圧力によって
接着する。この溶接中の鋼板温度は約900〜1500
℃の範囲となるように電流、電圧が制御される。900
℃未満では溶接強度が不充分となり、1500℃超で
は、スプラッシュが発生するためである。このような溶
接法により接合した缶胴のHAZ割れを調査した結果、
重ね合わせ部の厚さが大きい程、HAZ割れの発生頻度
が高くなることがわかった。
【0051】これは定性的には、図7のように説明でき
る。同図(a)は重ね部が厚い場合、同図(b)は薄い
場合を夫々示したもので、ここで7は缶胴、8はナゲッ
ト、9はフランジ加工用ダイスであり、円筒状の缶の製
造を例にした。フランジ加工の時、重ね合わせ部には引
張力F,F′が生じるが、重ね合わせ部の厚みが大きい
程、引張力は大きくなる(F>F′)。このため、重ね
合わせ部の厚みが大きい程、HAZ割れが発生しやすく
なると考えられる。
【0052】そこで、電極輪の加圧力を大きくすること
により押しつぶして薄くする方法が考えられるが、これ
にも限界があった。即ち、加圧力が過大であると、溶接
が進行し終わりに近づくに従って、重ね合わせ部の板が
互いに逃げて、必要な重ね幅が得られなくなったり、銅
ワイヤーの形状が悪くなって、正常なナゲットが連続し
て得られなくなるという問題が発生した。なお、電流値
を高くして鋼板温度を上げることも考えられるが、この
場合には前述のようにスプラッシュが発生して、これが
缶の内外面に飛散・付着し、塗装膜や印刷膜を破壊し、
耐食性、耐錆性、美観等を損なうので実用に供し得な
い。
【0053】以上圧延方向に曲げて缶を製造する方法で
は問題はなかったのに対し、圧延方向と直角の方向に曲
げて製缶する方法ではHAZ割れの発生頻度が高くなる
点について溶接方法の改善により解決することを検討し
たが、非常に難しく結局解決できなかった。
【0054】そこで、次に本発明者らは缶用鋼板の製造
工程に対して検証を加えた。その結果、上記HAZ割れ
は圧延による結晶組織の異方性にあることをつきとめ
た。例えば、低炭素鋼を用いて調質度T4、板厚0.3
2mmに仕上げたぶりき原板を引張試験した結果の例を
下表に示す。
【0055】この異方性について実験室的に研究したと
ころ、次のことが判明した。即ち、 異方性は調質圧延の影響により表れる。 焼鈍後の結晶粒径が大きい場合、次工程の調質圧延
の影響をそれほど受けない。 焼鈍後の結晶粒径が小さい場合には次工程の調質圧
延の影響を受け、異方性が表れる。 調質圧延後の結晶粒は、その長径(圧延方向)と短
径(圧延方向と直角の方向)との比が1.5以内であれ
ば、異方性はそれほど表れない。 調質圧延での圧下率を高くしてDR10クラスの硬
度に仕上げても、軸径比が1.5以下に仕上がっていれ
ば等方向は維持される。
【0056】尚、上記、の理由は定かではないが、
次のように推察される。即ち、結晶粒が小さいと硬質と
なり、調質圧延時の塑性変形は殆ど圧延方向に限定され
るが、結晶粒が大きい場合には軟質となり、圧延方向と
直角の方向にも塑性変形が生じるためであると考えられ
る。
【0057】そこで本発明者らは結晶粒を大きくするた
めには極端にC量を少なくした極低炭素鋼を素材とする
ことに想到したのである。
【0058】ところで、工業的に製造される缶用鋼板の
場合には同一製造条件であっても結晶粒組織を同一水準
に合わせることは非常に困難であり、また従来はその必
要性も殆どなかった。製造条件が同じでも組織がばらつ
くのは、鋼の精錬工程での鋼中成分比率の変動、加熱
炉、焼鈍炉等において生成する炭化物、酸化物、窒化
物、硫化物等の析出物の大きさ、量および分布状態の変
動によるものと考えられる。
【0059】これらの中で、炭化物は結晶の核となるた
め、炭化物が多く存在すると結晶粒径は小さくなる。一
般にC量の少ない領域では鋼中C量によって結晶粒径が
一義的に決まることが知られている。しかしながら、C
量が同じであっても大きな結晶粒の横に小さな結晶粒が
存在する、所謂混粒組織になることがあり、前述のよう
に小径の結晶粒が存在すると異方性が表れる。混粒組織
になったりならなかったりすることが工業的製造を困難
にするのである。従って前述したように極端にC量を減
少させた極低炭素鋼を用いることは、結晶粒を大きくす
るばかりか、混粒組織をなくすことからも有効となる。
【0060】しかしながら、これだけではまだ不充分で
ある。即ち炭化物以外の析出物(AlN、MnO、Mn
S等)は結晶粒の成長を阻止したり、その成長方向を規
制したりする作用を有するから、本発明の目的に対して
は有害となる。これの対策としては、熱処理温度の調整
により析出物を微細化して分散させることも考えられる
が、この方法では安定して製造することは困難であるこ
とから、この発明は製造コスト上からも有利となるM
n、S、N等の量を少なくする方法を採った。
【0061】以上に述べた知見からこの発明に至ったも
のである。
【0062】この発明によれば、結晶粒を大きくしてか
つ小さな結晶粒の混入率も大巾に低減できるため、圧延
に起因する異方性は生じない。従って、3ピース缶の缶
胴を製造するにあたって圧延方向に対して直角の方向に
曲げて重ね溶接し、フランジ加工を施しても熱影響部
(HAZ)が割れることはなく、またこれにより帯板塗
装が可能となるから、製造工程の短縮やコストダウン等
を達成できる。
【0063】そして、これが可能になるのは次の作用の
相乗効果であると考えられる。 溶接時に熱影響部の結晶粒が粗大化するが、その
際、析出物が粒界に再析出して粒界の強度を低下させて
HAZ割れを誘起させるものの、この発明ではMn、
S、N等を少なくしているので再析出によるHAZ割れ
を低減できる。またMn、S等を少なくすることは製造
コストを安価にするという副次的効果もある。 C量を極端に少なくし、また析出物を少なくして結
晶粒を粗大化かつ均一化させるので、降伏点も低くなり
フランジ加工時における塑性変形も円滑に行われ、HA
Z割れの頻度が少なくなる。 HAZ割れを防止するには板厚そのものを薄くし
て、溶接時の重ね合わせ部の総板厚を薄くすることが考
えられる。しかし板厚を薄くすることは缶強度を低下さ
せることになる。
【0064】近年、空缶コストを削減するため、板厚を
薄くする方向に進んでいるが、缶強度の低下を防止する
ために、板厚に応じて鋼板硬度を高くしている。硬くす
る方法には、C量を多くして結晶粒径を小さくする方法
と調質圧延での圧下率を高くする方法があるが、いずれ
も異方性を呈するためこの発明には採用できない。
【0065】しかしながら、この発明では、極低炭素鋼
を使用しており、硬質化のために圧下率を高くして調質
圧延を行っても何ら問題とはならない。これは高圧下率
の調質圧延により加工硬化しても、溶接部近傍は、溶接
熱により一種の自己焼鈍が進み、元の極低炭素鋼特有の
軟質性になるためであると考えられる。従ってフランジ
加工を行ってもHAZ割れは生じないのである。
【0066】本発明において用いる連続鋳造鋼片は、上
述の如く転炉溶鋼に還流速度を大きくした真空脱ガス処
理を施し、常法により熱間圧延、酸洗、冷間圧延を施
し、次に連続鋳造して得ることができる。この極低炭素
鋼板に対して、圧下率を適切に選定した調質圧延によ
り、調質度T1〜T6、DR8〜DR10の任意の調質
度の缶用鋼板を製造する方法について簡単に説明する。
【0067】図8には調質度(HR −30T)と調質圧
延圧下率との関係の一例を示す。前述したような組成を
有する極低炭素鋼板を連続焼鈍した鋼板に対して、調質
圧延を行なう。本発明においては、上記組成の鋼種を用
いるために、最も軟質の調質度T1の鋼板を連続焼鈍−
調質圧延により製造することができる。これは従来不可
能であった。
【0068】図8の例示から明らかなように、調質度T
1(HR −30Tで49±3)の鋼板を得たいときに
は、連続焼鈍板に対して、圧下率を数%に選定して調質
圧延を行なえばよい。調質度T2では圧下率約10%と
いうように、図8から所望の調質度に対して調質圧延時
の圧下率を選定すればよい。このように、本発明におい
ては、一つの鋼種で全ての調質度の缶用鋼板を製造する
ことができる。
【0069】このように調質度が所望の値となるように
圧下率を適切に選定した調質圧延を施した鋼板に対して
クロメート処理を施す。クロメート処理は、クロム酸、
重クロム酸などCr6+を含有する液中で電解処理を施す
従来一般に行なわれている方法を採用すればよい。クロ
メート処理により鋼板上にはクロメート被膜が形成さ
れ、これは金属クロム、酸化クロム(水和酸化クロムも
含む)で構成されている。
【0070】本発明においては、図6につき上述したよ
うに調質圧延鋼帯からのブランキングシートを圧延方向
に直角方向に曲げて缶にする。このため、ブランキング
シートの接合部すなわち圧延方向に直角をなす方向の両
端部(図6において5)においては、クロメート処理時
に溶接性を阻害する酸化クロム量を少なくしておく必要
がある。それ以外の部分(中央部)は、缶内容物と接す
るので、耐食性、耐錆性に優れることが必要である。こ
のように、ブランキングシートの中央部と両端部におい
て異なる特性のクロメート被膜を形成する方法およびそ
の機構について以下に説明する。
【0071】クロムめっき鋼板(通称TFS)を使っ
て、18L缶やペール缶の胴材にするために、四角に折
ったり、丸めた後、端部を接合して胴になるが、その接
合法は、ほとんどの場合、電気抵抗シーム溶接法であ
る。しかし、TFSを用いて溶接を行おうとしても、電
気抵抗が大きくて、異常発熱し、散り(スプラッシュ)
が多発したり、程度が悪くなった場合は、重ね溶接部が
ピンホールになったりする。この不良を防ぐために、電
流値を下げると、散りが発生しない電流値の直下では、
今度はナゲットが十分形成されないために接合強度が得
られなくなる。従って、接合強度が実用に耐えられる程
度に大きくなる下限電流値と散りが発生しない上限電流
値との範囲、これは適正溶接可能電流範囲と称せられ、
この電流範囲が広くないと安定した溶接作業ができな
い。しかし、TFSは上述のようにこの電流範囲が狭い
ために溶接ができないので、溶接を行う事前に、溶接部
を所定幅、砥石で研削除去し、地金面を露出した後に溶
接が行なわれている。しかし、事前にTFS表面処理面
を研削除去したため、地金は活性になっていて、発錆し
やすくなっている。その発錆を防ぐために、補修塗装も
施されて、仕上げられる。また、研削粉は吸収除去され
るが、それでも飛散するため、工場内は汚れるし、缶内
面も汚れる。
【0072】以上のように、品質上の問題、作業性の問
題等があることはわかっているがTFSをそのまま溶接
することができないので、やむを得ず研削し、その上、
補修塗装を施すことが行なわれている。
【0073】本発明者らは、事前研削を施さないで、表
面処理仕上げのままで溶接を行う方法について、鋭意研
究を行った結果次のことを知見した。クロムめっき鋼板
が電気溶接を安定して行なえないので、めっき層の酸化
クロム付着量に起因していることをつきとめた。これ
は、金属クロムは導電体であるが、酸化クロムは電気絶
縁物であるためであることに想到した。したがって、こ
の酸化クロムの付着量を少なくするとか、膜厚を薄くす
ることが有効であることがわかった。その量としては、
溶接機の機種や、溶接条件によっても異なるが、約10
mg/m2 以下にすることで解決できることがわかっ
た。しかし、酸化クロム量を少なくして溶接ができて
も、耐錆性、耐食性が悪くなった。そこで、本発明者ら
は、酸化クロム量は必要な場所には十分めっきを行い、
不必要、あるいはあまり多く必要としない場所は、それ
に適した量のみ、めっきすることが非常に合理的である
ことに想到した。即ち、18L缶の例で下記に示す。
【0074】従来の低炭素Alキルド鋼を素材とした鋼
板では、図6に示すような板取りが不可能であり、溶接
部も図3に示すように圧延方向と直角方向になった。し
かし、本発明鋼板である極低炭素鋼を使うことによっ
て、上記のような図6に示す板取りも可能になった特徴
を活かして、帯板の板幅端部のみ酸化クロム付着量を減
少し、そのまま溶接が可能に、中央部は、従来通りのめ
っき量にすることを鋭意研究を重ねた。
【0075】その結果、次の方法で操作が可能で、目的
のクロム付着量分布を有するTFSを得るに到った。
【0076】その方法の一例を図9に示す。クロメート
処理タンク内のPb−Snのような電極板21と帯板S
の間に、帯板端部にしゃへい板22を入れて、帯板の両
端部をアンダーコートすることである。例えば、次のよ
うな方法で達成できる。しゃへい板を使わないと、板幅
端部に大電流が流れるために端部に酸化クロムが多く付
着することは避けられない。しかし、しゃへい板を使っ
て、適切な位置に設定することによって、実際に溶接が
行なわれる位置のみの酸化クロム量を低下することがで
きる。このようなTFSで実際高速溶接を行うと、研削
しなくても十分に溶接ができた。
【0077】図10には、帯板の両端部に図9に示すよ
うなしゃへい板を用いてクロメート処理した一例を示
す。クロメート処理液は、CrO3 60g/l、硫酸
0.8g/lを含有する液を用い、極間距離10m
m、10C/dm2 の電気量、15A/dm2 の電流密度の電解
条件でクロメート処理を行なった。そのとき、図9に示
すように、帯板の端部をしゃへい板が覆う距離をxとし
た。その結果を図10に示す。図10から明らかなよう
に、実際に溶接でナゲットが形成される位置において、
しゃへい板を使用すれば、酸化クロム量を帯板端部にお
いて低減させることができ、x=10mmとすれば、酸
化クロム量を帯板端部において10mg/m2 以下にす
ることができる。
【0078】以上詳述したように、本発明によれば、極
低炭素鋼、連続鋳造鋳片を経済的に製造できるようにな
って、その鋼種の鋳片を使って缶用鋼板も経済的に合理
的に製造できるようになった。その結果、連続焼鈍法で
もT1材が製造できるようになったので、この原板に加
工硬化を加えることによってT1〜DR10まで一鋼種
でつくりわけれるようになり、工程流れの単純化、合理
化が図れた。
【0079】極低炭素鋼で結晶粒径を大きくすることが
できるようになったので、従来缶胴は圧延方向に折り曲
げたり、丸めたりして、接合していたが、この方向を9
0°逆転して、圧延方向と直角方向に折り曲げることが
できるようになった。この特徴を活かして板幅端部が溶
接部となるので、帯状で塗装することができるようにな
って、切板塗装よりも合理的になった。さらに、TFS
を溶接する際は、事前にめっき面を研削除去していた
が、めっき時板幅端部のめっき量を低下させることによ
って、研削しなくても溶接ができるようになった。これ
も、上記のように、圧延方向と直角方向に曲げても、H
AZ割れが生じない、極低炭素鋼を発明したがために実
用化できたものである。
【0080】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。 (実施例)表1に示す如き成分組成の鋼を270t底吹
き転炉により溶製し、C0.03%となして出鋼した。
続いてR−H真空脱ガス処理を施してC0.004%以
下に脱炭した後、Alを添加し続いて炭化物形成元素、
窒化物形成元素および鋼板表面への濃化元素を添加した
ものとを作った。これらをそれぞれ連続鋳造機を用いて
介在物の浮上分離を促進して鋳込んで清浄度に優れた鋼
片を得た。これらの鋼片を熱間仕上温度850℃、巻取
温度600℃を中心でそれぞれ圧延し2.6mm厚の熱
延コイルとなした後、酸洗して脱スケールした。次に6
スタンドタンデム冷間圧延機にて極薄板厚に圧延した
後、連続焼鈍を施した。熱サイクルは750℃、60秒
の水準であった。続いて調質圧延機にて圧延率を表2に
示すように選定して圧延し、最終板厚は0.32mmと
した。表2に示す種々の圧下率で調質圧延を施した後、
CrO3 60g/l、硫酸 0.8g/lを含むクロ
メート処理浴を用い、図9および図10に説明したしゃ
へい板を用い、クロメート処理を行い、TFSに仕上げ
た。TFSから供試材を採取し硬度(HR −30T)、
【数1】 △r(△r=(rL+rC−2rD )/2)、イヤリン
グ、缶体の肌荒れ評価を測定し、また曲げ加工を施して
耐フルーティングテストを行った。フルーティングテス
トの評価は缶の胴の成形に相当するように曲げ加工を施
し、胴体に発生した折れが商品として見るに耐えない程
度のもの(×印で表示)とそうでないもの(○印で表
示)に判定した。また、硬度はコイルの全幅、全長につ
いて測定した。また、調質圧延後、クロムめっき鋼板
(TFS)に仕上げるに際し、圧延方向に対して直角方
向の曲げになるように、帯状で塗装、焼き付けを施した
後、切板に剪断し、外面部にはさらに印刷およびクリヤ
ー塗装焼き付けを施した。溶接部のめっき層を事前に研
削除去しないで、そのまま中間電極に銅ワイヤーを使用
するワイヤーシーム溶接機を用いて溶接して18L缶の
胴に成形した後、溶接のスプラッシュ(散り)の発生状
況の評価を行い、さらに引き続きダイフランジャーでフ
ランジ加工を行い、フランジ割れ(HAZ割れ)評価を
行った。
【0081】クロムめっき鋼板の仕上げ方法はNo1〜
11については、クロムめっき時に電極と帯板の間に、
帯板の板幅端部相当位置に“しゃへい板”を設置し、溶
接部の酸化クロム量を低下させた。また、No12〜1
6は従来通り、“しゃへい板”を使わずにめっきを施し
た。尚、塗装、印刷は溶接相当位置には有機皮膜を付着
させずに行った。溶接部は必要に応じて、溶接直後補修
塗装を施す場合もあるが、今回は溶接部のめっきを事前
に研削しないで溶接したので補修塗装を施さなかった。
【0082】これらの結果から、この発明にかかる鋼板
は、圧延方向に対する直角方向の曲げを行ってもHAZ
割れおよびスプラッシュが発生せず、帯板塗装化、無研
削溶接が可能になる優れた鋼板であることが明らかであ
る。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】
【表6】
【0089】
【表7】
【0090】
【表8】
【0091】
【発明の効果】本発明は結晶粒径を大きくできる極低炭
素鋼を使うようにしたから、従来単一鋼種での連続焼鈍
法で製造できなかったT1材も製造できるようになっ
た。
【0092】また、T1材ができるようになったので、
加工硬化法を加えることでT1〜T6、DR8〜DR1
0の全調質度原板を単一鋼種で製造できるようになっ
た。したがって、大幅に工程時間の合理化、短縮が図れ
るようになった。
【0093】結晶粒径を大きくすることができたので、
従来、缶胴の折り曲げ、曲げ方向は圧延方向のみで行な
われていたが、この方式を90°逆転して、板幅方向に
曲げた後、溶接を施した後、フランジ加工を行ってもH
AZ割れが生じないようになった。この特徴が得られる
ようになったので、従来、切板でしか塗装できなかった
のが、コイルコートできるようになり、塗装工程の合理
化、時間の短縮が図れた。
【0094】従来、18L缶、ペール缶、油缶などの大
型中型缶をTFSを使って、溶接法で仕上げるにおい
て、TFSのCr層を研削した後、行っていたが、溶接
を行う板幅端部のみのCr付着量を下げためっきを行う
ことによって酸化Cr量を低下させたので、事前の研削
なしで、溶接を行うことができるように改善できた。こ
の結果溶接工場を汚したり、缶内を汚したり、環境衛生
上悪さをしていた研削粉の飛散の問題も解決できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 3ピース缶の例を示す説明図であって、
(a)は飲料缶、(b)は18L缶、(c)はペール缶
の例を示す。
【図2】 3ピース缶の製造工程説明図である。
【図3】 従来の3ピース缶用鋼板の塗装および切断位
置の説明図である。
【図4】 フランジ加工の説明図である。
【図5】 鋼中C含有量とぶりきの硬度との関係を示す
図である。
【図6】 この発明の3ピース缶用鋼板の接合部、塗装
および切断位置の説明図である。
【図7】 缶胴溶接部の断面図であって、(a)は重ね
部が厚い場合、(b)は重ね部が薄い場合を示す。
【図8】 調質圧延圧下率とぶりきの硬度(HR −30
T)との関係を示す図である。
【図9】 クロメート処理時において帯板両端部の酸化
クロム量を低下させる方法を説明する図である。
【図10】 図9の方法により得られた結果を示す図で
ある。
【符号の説明】
S 帯板 1 切板 2 切断線 3 スリット線 4 曲げ線 5 接合部 6 ブランクシート 11 接合部 12 缶胴 13 天蓋 14 底蓋 15 把手 16 注入口 17 フランジ部 18 巻締め部 21 電極 22 しゃへい板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】缶胴をなす中央部および接合用板幅方向両
    端部を有する鋼板と、この上のクロメート処理被膜とを
    有し、圧延方向とは直角方向に曲げて前記板幅方向端部
    同士を接合して製缶するためのクロメート処理鋼板であ
    って、前記板幅方向両端部のクロメート処理被膜中の酸
    化クロム量は前記中央部のクロメート処理被膜中の酸化
    クロム量より少なく、溶接を可能とする量である溶接性
    に優れた缶用鋼板。
  2. 【請求項2】前記鋼板は、組成が重量比で、 C:0.004%以下、 Si:0.
    03%以下、 Mn:0.05〜0.60%、 P:0.0
    2%以下、 S:0.02%以下、 N:0.0
    1%以下、 Al:0.02〜0.20%、 Nb:0.
    1〜0.001%、 Ti:0.1〜0.0001%、 Cr:0.
    1%以下、 Cu:0.1%以下、 Ni:0.
    1%以下、 B:0.005〜0.0001%、 Mo:0.
    01%以下、 O:0.01%以下、 V:0.0
    1%以下、 Zr:0.01%以下、 Ca:0.
    005%以下、 Sn:0.01%以下、 Sb:0.
    01%以下、 希土類元素(REM):0.005%以下、Na:0.
    001%以下、 Mg:0.001%以下、 As:0.
    01〜0.001%、 Te:0.01〜0.0001% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる極
    低炭素鋼より成る連続鋳造スラブに、熱間圧延、酸洗、
    冷間圧延を施してから、連続焼鈍を施し、この焼鈍板に
    圧下率を適切に選定した調質圧延を施すことにより調質
    度をT1〜T6あるいはDR8〜DR10に調整した鋼
    板である請求項1に記載の溶接性に優れた缶用鋼板。
  3. 【請求項3】前記中央部のクロメート処理被膜中の酸化
    クロム量は10mg/m2 以上であり、前記板幅方向両
    端部のクロメート処理被膜中の酸化クロム量は10mg
    /m 2 以下である請求項1または2に記載の溶接性に優
    れた缶用鋼板。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の缶用鋼板
    を製造するに際し、組成が重量比で、 C:0.004%以下、 Si:0.
    03%以下、 Mn:0.05〜0.60%、 P:0.0
    2%以下、 S:0.02%以下、 N:0.0
    1%以下、 Al:0.02〜0.20%、 Nb:0.
    1〜0.001%、 Ti:0.1〜0.0001%、 Cr:0.
    1%以下、 Cu:0.1%以下、 Ni:0.
    1%以下、 B:0.005〜0.0001%、 Mo:0.
    01%以下、 O:0.01%以下、 V:0.0
    1%以下、 Zr:0.01%以下、 Ca:0.
    005%以下、 Sn:0.01%以下、 Sb:0.
    01%以下、 希土類元素(REM):0.005%以下、Na:0.
    001%以下、 Mg:0.001%以下、 As:0.
    01〜0.001%、 Te:0.01〜0.0001% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる極
    低炭素鋼より成る連続鋳造スラブに、熱間圧延、酸洗、
    冷間圧延を施してから、連続焼鈍を施し、この焼鈍板に
    圧下率を適切に選定した調質圧延を施すことにより調質
    度をT1〜T6あるいはDR8〜DR10に調整した鋼
    帯を得、この鋼帯にその板幅方向両端部の所定幅に対
    し、しゃへい板を設置して電解クロメート処理を施すこ
    とを特徴とする溶接性に優れた缶用鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】組成が重量比で、 C:0.004%以下、 Si:0.
    03%以下、 Mn:0.05〜0.60%、 P:0.0
    2%以下、 S:0.02%以下、 N:0.0
    1%以下、 Al:0.02〜0.20%、 Nb:0.
    1〜0.001%、 Ti:0.1〜0.0001%、 Cr:0.
    1%以下、 Cu:0.1%以下、 Ni:0.
    1%以下、 B:0.005〜0.0001%、 Mo:0.
    01%以下、 O:0.01%以下、 V:0.0
    1%以下、 Zr:0.01%以下、 Ca:0.
    005%以下、 Sn:0.01%以下、 Sb:0.
    01%以下、 希土類元素(REM):0.005%以下、Na:0.
    001%以下、 Mg:0.001%以下、 As:0.
    01〜0.001%、 Te:0.01〜0.0001% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる極
    低炭素鋼より成る連続鋳造スラブに、熱間圧延、酸洗、
    冷間圧延を施してから、連続焼鈍を施し、この焼鈍板に
    圧下率を適切に選定した調質圧延を施すことにより調質
    度をT1〜T6あるいはDR8〜DR10に調整した鋼
    帯を得、この鋼帯にその板幅方向両端部の所定幅に対
    し、しゃへい板を設置して電解クロメート処理を施し、
    このクロメート処理鋼帯に、その板幅方向両端部の所定
    幅を外して、鋼帯の両面あるいは片面に塗装を施して焼
    付し、次いで必要に応じて印刷、焼付した後、圧延方向
    に直角をなす方向で所定の長さに切断し、さらにブラン
    キング加工してブランキングシートとし、該ブランキン
    グシートを圧延方向とは直角方向に曲げて、前記非塗装
    部を重ね接合してから、フランジ加工により天蓋と底蓋
    を取り付けて仕上げることを特徴とする3ピース缶の製
    造方法。
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