JPH05286712A - 硫化アルカリ含有溶液の酸化方法 - Google Patents

硫化アルカリ含有溶液の酸化方法

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JPH05286712A
JPH05286712A JP4087086A JP8708692A JPH05286712A JP H05286712 A JPH05286712 A JP H05286712A JP 4087086 A JP4087086 A JP 4087086A JP 8708692 A JP8708692 A JP 8708692A JP H05286712 A JPH05286712 A JP H05286712A
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JP
Japan
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sodium
sulfide
solution
oxidizing
oxygen
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JP4087086A
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English (en)
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Shigemitsu Atsuji
重光 厚地
Taketoshi Mori
武利 森
Satoshi Nakasuji
聡 中筋
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高濃度硫化アルカリ含有溶液を高い酸化効率
で酸化する新規な方法を提供すること。 【構成】 硫化アルカリもしくは水硫化アルカリの少な
くとも一方を50g/リットル以上含有する溶液に細孔
容積総量を換算硫化アルカリ1モル当たり0.70ミリ
リットル以上とした活性炭を共存させ、1気圧を超える
圧力及び50℃以上の温度で、微細気泡状の酸素又は酸
素含有ガスを接触させること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は硫化アルカリを高濃度に
含有する溶液の酸化方法に関するものである。更に詳し
くは、硫化水素含有ガスを苛性ソーダ溶液に吸収させた
硫化アルカリ溶液を使用し、その溶液を新規な方法で酸
化し、還元剤あるいは漂白剤などとして有用なチオ硫酸
ソーダを得る方法に関する。
【0002】更に又、得られるチオ硫酸ソーダを硫酸塩
まで微生物酸化し必要なら河川に放流し得る無害な溶液
となす方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】硫化水素は、石油精製工程あるいはパル
プ、染料、セロハン更にはビスコースレーヨン等を製造
する工程中で発生する悪臭のする有害な気体であり、昭
和46年制定の悪臭防止法で悪臭物質に指定されたこと
はよく知られている。そのため、この発生した硫化水素
ガスを苛性ソーダ等の水性溶液で吸収除去し、硫化ソー
ダ又は水硫化ソーダの形で固定することが広く行われて
いる。
【0004】しかし、この硫化ソーダ又は水硫化ソーダ
溶液は毒性が強い上にそのままで利用できる可能性にも
乏しく、あるいは又、そのまま河川等に放流しようとし
ても極少量の硫化ソーダ又は水硫化ソーダさえ水中の鉄
イオン等と硫化物をつくり、水を黒色に変化させて2次
公害を惹起するなどのため放流することもできない。従
って硫化ソーダ又は水硫化ソーダの溶液から有用物質を
得るかあるいはこの溶液を処理してそのまま河川等に放
流できるように無害化する提案が望まれているのである
が、いまだ実用性に富む充分満足できる提案はなされて
ないのである。
【0005】例えば、本発明者らが最も可能性に富むと
考える酸化方法として硫化ソーダもしくは水硫化ソーダ
を次亜塩素酸ソーダや過酸化水素等の強力な酸化剤を使
用して酸化する方法が知られている。しかしこの方法
は、処理すべき硫化物の量が少ないときは工程の単純化
が可能であり魅力的な方法であるが、処理する量が増え
るにつれ、酸化剤そのものが高価のため著しいランニン
グコストの増大をもたらし、又未反応の酸化剤を更に処
理する工程も必要となり実用性に欠ける。
【0006】より安価な酸化剤である空気また酸素含有
ガスを用いて酸化する方法もすでに提案されている。例
えば特開昭61−4594号公報は硫化染料廃水中の硫
化ソーダを常圧以上で空気酸化する提案である。この提
案では、苛性ソーダ濃度15%未満のときは常圧以上で
空気酸化することが難しいとし、苛性ソーダ濃度15%
以上で反応させることを主張している。しかしながらこ
の提案では、酸化処理した後の液中の過剰の苛性ソーダ
を循環再利用できる可能性が少なく、そのため大量の過
剰の苛性ソーダを酸化以降のどこかの工程で中和処理し
なければならない。
【0007】従って、この提案では過剰の大量の苛性ソ
ーダを使用し更にそれに相当する多量の中和剤例えば硫
酸を必要とすること、また中和処理のための余分の工程
を設けなければならないことなどが大きな問題である。
しかし、本発明者らはこの提案に興味をいだき、苛性ソ
ーダのかわりにより安価な炭酸ソーダを利用し酸化反応
が終了したあとで余分な炭酸ソーダを安価な生石灰で中
和し、苛性ソーダを再生し、更にこの苛性ソーダに炭酸
ガスを吸収させて炭酸ソーダとするプロセスにすれば、
この特開昭61−4594号公報の問題点を軽減し得る
のではないかと考えてみた。そこで、炭酸ソーダ18w
t%、硫化ソーダ2.3wt%の溶液を調整し、常圧下
に空気酸化を試みてみた。しかし、やはり、特開昭61
−4594号公報が主張するように、塩基性がかなり劣
る炭酸ソーダでは酸化効率が著しく劣り、硫化ソーダの
63%が酸化されたに過ぎず、硫化ソーダ及び又は水硫
化ソーダの分子状酸素による酸化が困難であることを確
認した。
【0008】また、特開昭49−115099号公報も
硫化ナトリウム及び又は水硫化ナトリウムを空気又は酸
素を用いて酸化する提案である。この提案では酸化の速
度が溶液のpHに影響され特にpHが7以上では非常に
酸化が困難となるため、酸化促進剤として活性炭又はカ
ーボンを利用することを提案している。そしてその実施
例では亜硫酸パルプ廃液を還元性雰囲気で熱分解して得
た特殊なカーボンを使用し、低濃度の硫酸ソーダ2g/
リットルの溶液を空気酸化し好成績を得ている。
【0009】本発明者らは、この提案にも興味をいだき
市販活性炭を使用した確認実験(比較例1)を行ってみ
た。しかし、意外なことにこの提案の主張するような好
結果は得られず、本発明の対象とする高濃度硫化ソーダ
へ適用することは困難であることが明らかとなった。さ
らに、きれいな水質を得るための処理を目的とした硫化
ソーダ及び又は水硫化ソーダの酸化方法が提案されてい
る。例えば特開昭58−122093号公報は硫化ソー
ダ及び又は水硫化ソーダを2〜5g/リットル含有する
廃水のCOD成分やヨウ素を消費する成分を除去するた
めに分子状酸素含有ガスを接触させて酸化し硫化ソーダ
をチオ硫酸ソーダとしたのち、その溶液をpH1〜6
で、白色硫黄細菌で微生物処理する提案である。しか
し、この方法は強い酸性で働く特殊な酸化細菌を使う微
生物処理方法であるため、処理液が強い酸性となりその
ままでは河川等に放出できない。
【0010】よって従来技術の中には、例えばビスコー
ス・レーヨン製造工程で発生するような、高濃度(50
g/リットル以上)の硫化ソーダもしくは水硫化ソーダ
を無害化し、その上水質汚濁防止法にも適合するような
きれいな水質を確保し得る処理技術はいまだ見あたらな
い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、例え
ばビスコース・レーヨン製造工程等で回収されるところ
の、高濃度(50g/リットル以上)の硫化アルカリも
しくは水硫化アルカリの少なくとも一方を含む溶液を極
めて高い酸化効率で、主としてチオ硫酸アルカリ等に酸
化せしめること、さらにこの酸化処理をした溶液を安定
で無害な芒硝等に酸化すると同時にBODを減少させ、
水質汚濁防止法の規制値以下の水質にして河川に放出で
きるまで処理することへの新規な方法の提供にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、例えばビ
スコース・レーヨン製造工程より発生する硫化水素を回
収して得られる高濃度(50g/リットル以上)の硫化
ソーダもしくは水硫化ソーダの少なくとも一方を含む溶
液を処理するためには、従来公知の処理技術やそれらの
延長線上の技術ではとうてい解決できないことを確認
し、独自の研究を鋭意重ね、幾つかの新しい知見を得て
工業的にも実施可能な技術を作り上げるに至った。
【0013】即ち本発明者等は、酸化剤である分子状酸
素の液中濃度を極度に高め更にそれを活性化せしめよう
という観点から検討を重ねた結果、特定の温度、圧力条
件下で分子状酸素を含む気泡を特別に微細化し、更にそ
れを高めた圧力下で活性炭内部に入り込ませることで酸
素を吸着活性化させると、硫化ソーダ又は水硫化ソーダ
のチオ硫酸ソーダへの酸化反応が著しく速くなることを
見いだした。
【0014】又、さらに硫化ソーダ又は水硫化ソーダを
チオ硫酸ソーダにした後の微生物酸化の研究を鋭意進め
た結果、意外にも工業的に大量の処理をするために好都
合なpH6.5〜8.5の中性に近い領域で、下水処理
で用いられる活性汚泥細菌を馴養して得られた酸化菌
(イオウ化合物酸化細菌)が効率よくチオ硫酸ソーダを
芒硝に酸化し得ることを見いだし本発明を完成した。
【0015】即ち本発明は(1)硫化アルカリを高濃度
で含有する溶液を酸化する方法において、硫化アルカリ
もしくは水硫化アルカリの少なくとも一方を50g/リ
ットル以上含有する溶液に細孔容積総量を換算硫化アル
カリ1モル当たり0.70ミリリットル以上とした活性
炭を共存させ、1気圧を超える圧力及び50℃以上の温
度で、微細気泡状の酸素又は酸素含有ガスを接触させる
ことを特徴とする硫化アルカリ含有溶液の酸化方法。
【0016】(2)硫化アルカリを高濃度で含有する溶
液を酸化する方法において、硫化ソーダもしくは水硫化
ソーダの少なくとも一方を50g/リットル以上含有す
る溶液に細孔容積総量を換算硫化ソーダ1モル当たり
0.70ミリリットル以上とした活性炭を共存させ、1
気圧を超える圧力及び50℃以上の温度で、微細気泡状
の酸素又は酸素含有ガスを接触させてチオ硫酸ソーダ溶
液となす手段と、実質的に中性領域で馴養したイオウ化
合物酸化細菌でチオ硫酸ソーダ溶液のpHを6.5〜
8.5に保ちつつ微生物処理する手段とからなることを
特徴とする硫化アルカリ含有溶液の酸化方法、である。
【0017】本発明における処理対象液は、硫化水素を
硫化アルカリ溶液で回収した溶液であり、特に硫化ソー
ダもしくは水硫化ソーダの少なくとも一方を50g/リ
ットル以上含有した溶液である。更に70g/リットル
以上、250g/リットル以下の濃度で処理するのが効
率的でありより好ましい。又、処理液の濃度が50g/
リットル未満だと酸素含有ガス(以下圧縮空気等と呼
ぶ)と接触させる際に気泡が大きくなり反応効率が低下
して処理時間が長くなり工業上好ましくない。猶、本発
明に言う濃度は硫化ソーダ濃度であり、水硫化ソーダの
場合は硫化ソーダに換算したものである。
【0018】本発明にいう活性炭の「細孔容積総量」は
次式により算出する。 細孔容積総量(ミリリットル/モル)=細孔容積(ミリ
リットル/g)×活性炭添加量(g)÷硫化ソーダ換算
のモル数(モル) 本発明における細孔容積総量は0.70ミリリットル/
モル以上であり、好ましくは1.50ミリリットル/モ
ル以上である。又、活性炭自体の細孔容積は0.8ミリ
リットル/g以上が好ましい。細孔容積がより小さいと
添加量が多くなり、そのため溶液の撹拌に対する抵抗力
が増えて気泡を微細化することが困難となるばかりか撹
拌効率も低下する。細孔容積総量が0.70ミリリット
ル/モル未満であると反応速度が遅すぎて反応効率が低
下し工業的処理プロセスとして価値が少なくなる。酸化
反応が連鎖的に進行し難くなるためと推考される。
【0019】本発明における細孔容積の測定は定容法吸
着装置(柴田化学器械工業(株)製型式P−700)を
使用して、液体窒素下で窒素の吸着等温線を作成して、
吸着等温線からInkley法により細孔容積を求め
る。本発明者らは従来より提案されている特開昭55−
121844号公報のように活性炭表面の活性点で酸化
反応を進行させるよりも、細孔容積総量という考え方を
導入し、細孔内に吸着させた酸素を拡散させ細孔内の酸
素濃度を高めることの方が重要であると考えるに至っ
た。
【0020】即ち、吸着した酸素の細孔内での保持性つ
まり濃度を高めることで硫化ソーダ又は水硫化ソーダと
の酸化反応を著しく促進し得ると推定している。硫化ソ
ーダ及び又は水硫化ソーダ液を圧縮空気等で酸化する際
の圧力としては、1気圧を超える圧力が好ましい。圧力
が低いと高濃度硫化ソーダもしくは水硫化ソーダの酸化
反応に充分な容存酸素を供給できないために反応速度が
遅くなりプロセスの経済性が著しく損なわれるからであ
る。その圧力が7気圧を超えると反応熱量が多くなり溶
液の温度が上昇しそのため酸素の溶存性が低下する。更
に、現実問題としての経済性にも劣るようになり、7気
圧以下が好ましく使用できる。本発明者らは化学反応上
必要な酸素量の1.2〜2.5倍の酸素の供給が最も効
率のよいことを見いだしている。酸素含有ガスとして例
えば圧縮空気を供給する場合について述べると、空気を
供給したとき液の容積が増加する比率、いわゆるホール
ドアップ率は1.1〜1.3が効率上最も好ましい。
【0021】圧縮空気等が液中に分散する時にできる気
泡の径は長径で2mm以下の微細気泡が大半を占めると
きが工業的には好適であり、反応効率、圧縮空気等の使
用量等を考慮すると、より好ましくは大半が0.5mm
以下の気泡径のときである。本発明で必要とする微細気
泡は例えば次のような方法で達成することができる。即
ち、図1に示す酸化装置において、酸化塔1に設置した
気泡微細化装置2に図2(a)に例示するコップをふせ
た形状のロータ14を用い3000rpm以上の高速で
回転させ、該ロータの内側から圧縮空気等13を連続的
に供給してロータ14の剪断力で空気等の気泡を微細化
させ液中に分散させることによって得られる。
【0022】又は、図1に示す酸化装置において、酸化
塔1に設置した気泡微細化装置2に図2(b)に例示す
る矩形羽根15を用い800rpm以上で回転させ、該
矩形羽根15の下部から圧縮空気等13を連続的に供給
して、この圧縮空気等13の気泡を羽根の回転力によっ
て微細化させ液中に分散させることによって得られる。
【0023】しかし、図1に示す酸化装置において、酸
化塔1に設置した気泡微細化装置2に図3に示す従来よ
り提案されている散気管16を用いた場合は圧縮空気等
13の気泡は微細化されず目的の気泡径は確保できなか
った。又、なぜか低濃度の硫化ソーダ又は水硫化ソーダ
液(例えば3g/リットル以下)では目標気泡径を確保
するのが極めて難しいことを確認した。
【0024】気泡径の測定はロータ及び矩形羽根15の
上部に透明の筒を装着して、内液に硫化ソーダ及び又は
水硫化ソーダ液を入れ圧縮空気等13を連続的に供給
し、気液界面付近の気泡を写真撮影によってその大きさ
を測定することができる。次に反応温度は50℃以上が
必要であり、好ましくは60〜150℃である。反応温
度が50℃未満では反応を殆ど開始させることができな
い。又、反応温度が150℃を超えると溶存酸素が少な
くなり活性炭の機能がうまく作用しないためと思われる
が、反応速度が遅くなりそのため圧縮空気等を長時間供
給しつづけなければならず、エネルギー効率が悪くなる
上、処理プロセスの稼動効率が低下して工業的に不利と
なる。
【0025】本発明によると硫化ソーダ及び又は水硫化
ソーダ溶液をチオ硫酸ソーダ溶液に酸化する時の酸化効
率は、硫化ソーダの除去率として99%以上を達成で
き、更には99.9%以上をも達成し得る。ここでいう
除去率は次式により算出する。 硫化ソーダ除去率(%)=(1−反応後の硫化ソーダ換
算濃度÷初期の硫化ソーダ換算濃度)×100 硫化ソーダ除去率が99.9%未満のときは、酸化され
て生成したチオ硫酸ソーダ溶液がアルカリ性であるた
め、それを中和する次の工程で硫化水素ガスが発生して
二次公害の問題を引き起こしたり、チオ硫酸ソーダ溶液
を微生物処理したときイオウ化合物酸化細菌に対して菌
を死滅させたりする等の不都合を生じ易い。本発明に用
いる微生物処理方法においては、通常の下水処理で用い
られる活性汚泥細菌を溶液のpHを6.5から8.5の
範囲にしたチオ硫酸ソーダを含ませた溶液中で14日以
上、常温で馴養することによって得られるイオウ化合物
酸化細菌を用いることができる。イオウ化合物酸化細菌
としては例えばバチルス属、コリネバクテリウム属、ミ
クロコッカス属、シュウドモナス属、ニトロバクター属
の各種菌を単独で用いてもよいしあるいはこれらを混合
した細菌集団を用いることもできる。本発明における生
物処理はpHを6.5〜8.5の範囲で制御する事が必
要である。pHが6.5未満または8.5を超えると処
理槽内に発泡を認め得るようになったり、あるいは処理
液から汚泥を分離するときに汚泥の分離が困難となると
いう問題などを生じる。又、芒硝への酸化効率も低下し
きれいな水質を得るためのBOD除去が困難となる。
【0026】
【実施例1〜3】次に本発明を実施例によって、さらに
詳細に説明する。硫化ソーダ溶液の酸化装置を図1に示
す。内径0.25m,長さ2mのステンレス製直円筒形
酸化塔1を使用しその内側に旋回流を防止し、上下流を
促進するための整流板12(幅30mm,長さ300m
m)を装着し、下部には、図2(a)に示す直径が60
mmで、長さ90mmのロータ14を有し、ロータはモ
ーターで3800rpmで回転させた。ロータの内側に
は圧縮空気等13を供給する装置を用いた。
【0027】上記酸化装置に表1に示す液組成を有する
高濃度硫化ソーダ溶液40リットルを表2に示す細孔容
積の活性炭(太平化学株式会社製)を細孔容積総量が表
2に示す値になるように混合して酸化塔1に供給後、表
2に示す反応条件(圧縮空気量,微細気泡径,反応開始
温度)で、3時間反応させた。その結果、反応は発熱反
応であるので表2に示す到達反応温度になり、3時間後
の硫化ソーダ濃度は0.005g/リットル以下で酸化
効率は99.9%以上であった。又、表2に示す濃度の
チオ硫酸ソーダが生成した。実施例3では180g/リ
ットルの高濃度のチオ硫酸ソーダ溶液が得られたので、
このまま還元剤として有効に利用し得る。又更に、晶析
等によって分離し純度を高めその価値を高めてもよい。
【0028】次に、内容積20リットルの活性汚泥曝気
槽に、あらかじめチオ硫酸ソーダの水溶液により馴養し
たイオウ化合物酸化細菌(馴養後のこの酸化菌の中に
は、バチルス属,コリネバクテリウム属,ミクロコッカ
ス属,シュウドモナス属,ニトロバクター属の菌相が主
に生息していた。)を汚泥濃度として6500rpmに
なるように添加し、これに上記酸化処理液1リットルに
対して、4倍量の硫酸を加えpH9まで中和して、滞留
時間が4.8日になるように活性汚泥曝気槽に供給し
て、空気を毎分4リットルの割合で送入して曝気処理し
た。この際微生物反応の進行に伴ってpHが低下してく
るため、苛性ソーダ溶液を添加してpHを7に保持し
た。この結果チオ硫酸ソーダは全量酸化されて芒硝がで
きていることが確認され、BOD除去率99%以上が得
られた。
【0029】
【実施例4〜6】酸化塔1の下部に、直角羽根図2
(b)として長さ120mm,幅20mmの矩形羽根
(4枚)を使用し、この矩形羽根15をモーターで86
0rpmで回転させ、矩形羽根15の下部にある散気管
(20Aのステンレスパイプを120φの円形にしてこ
のパイプに5φの穴40個を設けた)内に圧縮空気等1
3を供給した以外は実施例1〜3と同様の硫化ソーダ溶
液の酸化装置を用いて、表1に示す濃度の硫化ソーダ溶
液を表2に示す条件下で処理した結果、硫化ソーダ溶液
は完全に酸化されて芒硝とすることができBOD除去率
99%以上が得られた。
【0030】
【比較例1〜2】実施例1〜3と同様の酸化装置を用い
て、表1に示す液組成を有する、高濃度硫化ソーダ40
リットルを、表3に示す活性炭条件で混合して、酸化塔
1に供給後、表3に示す反応条件で、3時間反応させ
た。その結果としての到達反応温度、硫化ソーダ濃度を
表3に示した。この液を微生物処理するために硫酸で中
和したところ、硫化水素ガスの発生が認められ微生物処
理するに至らなかった。又、反応時間を10時間まで延
長したが、硫化ソーダ濃度は1g/リットル以上であり
充分な低濃度となり得ず、従って芒硝までの更なる酸化
処理は不能となりBOD除去ができないものであった。
【0031】
【比較例3〜4】実施例4〜6と同様の酸化装置を用い
た。表1に示す液組成を有する高濃度硫化ソーダ溶液を
使用して比較例1〜2と同様に反応を行ったが、硫化ソ
ーダ溶液の酸化が充分に進行せず、その濃度が低濃度と
なり得なかった。従って芒硝までの更なる酸化処理は不
能であった。
【0032】
【比較例5】実施例4〜6と同様の酸化装置を使用した
が、圧縮空気等13の微細化をせずに図3に示す散気管
のみを使用して比較例1〜2と同様に反応を行ったが硫
化ソーダ溶液の酸化が充分でなく、その濃度が低濃度と
なり得ず、従って芒硝までの更なる酸化処理は不能とな
りBOD除去ができなかった。
【表1】
【表2】
【表3】
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、高濃度の硫化アルカリ
もしくは水硫化アルカリの少なくとも一方を含有する溶
液を高い酸化効率で酸化して高濃度のチオ硫酸アルカリ
を得ることが可能となり、更に安定で無害な硫酸塩にま
でも酸化し得るため、水質汚濁防止法の規制値以下の水
質にして河川に放出も可能となり、従来、例えばビスコ
ース・レーヨン製造工程で回収される硫化アルカリの処
理においては実現されたことがない極めて有用な液中酸
化の方法を提供し得ることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる硫化ソーダもしくは水硫化ソーダ
を含有する溶液の酸化装置の系統の1例を示す模式図で
ある。
【図2】図1の2気泡微細化装置の模式図であり、
(a)(b)いずれも本発明に好適なものの例示であ
る。
【図3】従来の散気管を示す模式図である。 1…酸化塔 2…気泡微細化装置 3…圧縮機 4…空気流量計 5…圧力調節弁 6…温度計 7…排出弁 8…オーバーフロー弁 9…圧縮空気吐出口 10…液面計 11…保温 12…整流板 13…圧縮空気 14…回転体(ロータ) 15…矩形羽根 16…散気管
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年5月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】従って、この提案では過剰の大量の苛性ソ
ーダを使用し更にそれに相当する多量の中和剤例えば硫
酸を必要とすること、また中和処理のための余分の工程
を設けなければならないことなどが大きな問題である。
しかし、本発明者らはこの提案に興味をいだき、苛性ソ
ーダのかわりにより安価な炭酸ソーダを利用し酸化反応
が終了したあとで余分な炭酸ソーダを安価な生石灰と反
応させ、苛性ソーダを再生し、更にこの苛性ソーダに炭
酸ガスを吸収させて炭酸ソーダとするプロセスにすれ
ば、この特開昭61−4594号公報の問題点を軽減し
得るのではないかと考えてみた。そこで、炭酸ソーダ1
8wt%、硫化ソーダ2.3wt%の溶液を調整し、常
圧下に空気酸化を試みてみた。しかし、やはり、特開昭
61−4594号公報が主張するように、塩基性がかな
り劣る炭酸ソーダでは酸化効率が著しく劣り、硫化ソー
ダの63%が酸化されたに過ぎず、硫化ソーダ又は水硫
化ソーダの分子状酸素による酸化が困難であることを確
認した。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】また、特開昭49−115099号公報も
硫化ナトリウム及び又は水硫化ナトリウムを空気又は酸
素を用いて酸化する提案である。この提案では酸化の速
度が溶液のpHに影響され特にpHが7以上では非常に
酸化が困難となるため、酸化促進剤として活性炭又はカ
ーボンを利用することを提案している。そしてその実施
例では亜硫酸パルプ廃液を還元性雰囲気で熱分解して得
た特殊なカーボンを使用し、低濃度の硫ソーダ2g/
リットルの溶液を空気酸化し好成績を得ている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】本発明における処理対象液は、硫化水素を
苛性アルカリ溶液で回収した溶液であり、特に硫化ソー
ダもしくは水硫化ソーダの少なくとも一方を50g/リ
ットル以上含有した溶液である。更に70g/リットル
以上、250g/リットル以下の濃度で処理するのが効
率的でありより好ましい。又、処理液の濃度が50g/
リットル未満だと酸素含有ガス(以下圧縮空気等と呼
ぶ)と接触させる際に気泡が大きくなり反応効率が低下
して処理時間が長くなり工業上好ましくない。猶、本発
明に言う濃度は硫化ソーダ濃度であり、水硫化ソーダの
場合は硫化ソーダに換算したものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】即ち、吸着した酸素の細孔内での保持性つ
まり濃度を高めることで硫化ソーダ又は水硫化ソーダと
の酸化反応を著しく促進し得ると推定している。硫化ソ
ーダ及び又は水硫化ソーダ液を圧縮空気等で酸化する際
の圧力としては、1気圧を超える圧力が好ましい。圧力
が低いと高濃度硫化ソーダもしくは水硫化ソーダの酸化
反応に充分な存酸素を供給できないために反応速度が
遅くなりプロセスの経済性が著しく損なわれるからであ
る。その圧力が7気圧を超えると反応熱量が多くなり溶
液の温度が上昇しそのため酸素の溶存性が低下する。更
に、現実問題としての経済性にも劣るようになり、7気
圧以下が好ましく使用できる。本発明者らは化学反応上
必要な酸素量の1.2〜2.5倍の酸素の供給が最も効
率のよいことを見いだしている。酸素含有ガスとして例
えば圧縮空気を供給する場合について述べると、空気を
供給したとき液の容積が増加する比率、いわゆるホール
ドアップ率は1.1〜1.3が効率上最も好ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】次に、内容積20リットルの活性汚泥曝気
槽に、あらかじめチオ硫酸ソーダの水溶液により馴養し
たイオウ化合物酸化細菌(馴養後のこの酸化菌の中に
は、バチルス属、コリネバクテリウム属、ミクロコッカ
ス属、シュウドモナス属、ニトロバクター属の菌相が主
に生息していた。)を汚泥濃度として6500ppm
なるように添加し、これに上記酸化処理液1リットルに
対して、4倍量の硫酸を加えpH9まで中和して、滞留
時間が4.8日になるように活性汚泥曝気槽に供給し
て、空気を毎分4リットルの割合で送入して曝気処理し
た。この際微生物反応の進行に伴ってpHが低下してく
るため、苛性ソーダ溶液を添加してpHを7に保持し
た。この結果チオ硫酸ソーダは全量酸化されて芒硝がで
きていることが確認され、BOD除去率99%以上が得
られた。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】
【比較例5】実施例4〜6と同様の酸化装置を使用した
が、圧縮空気等13の微細化をせずに図3に示す散気管
のみを使用して比較例1〜2と同様に反応を行ったが硫
化ソーダ溶液の酸化が充分でなく、その濃度が低濃度と
なり得ず、従って芒硝までの更なる酸化処理は不能とな
りBOD除去ができなかった。
【表1】
【表2】
【表3】
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C02F 9/00 A 8515−4D

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫化アルカリを高濃度で含有する溶液を
    酸化する方法において、硫化アルカリもしくは水硫化ア
    ルカリの少なくとも一方を50g/リットル以上含有す
    る溶液に細孔容積総量を換算硫化アルカリ1モル当たり
    0.70ミリリットル以上とした活性炭を共存させ、1
    気圧を超える圧力及び50℃以上の温度で、微細気泡状
    の酸素又は酸素含有ガスを接触させることを特徴とする
    硫化アルカリ含有溶液の酸化方法。
  2. 【請求項2】 硫化アルカリを高濃度で含有する溶液を
    酸化する方法において、硫化ソーダもしくは水硫化ソー
    ダの少なくとも一方を50g/リットル以上含有する溶
    液に細孔容積総量を換算硫化ソーダ1モル当たり0.7
    0ミリリットル以上とした活性炭を共存させ、1気圧を
    超える圧力及び50℃以上の温度で、微細気泡状の酸素
    又は酸素含有ガスを接触させてチオ硫酸ソーダ溶液とな
    す手段と、実質的に中性領域で馴養したイオウ化合物酸
    化細菌でチオ硫酸ソーダ溶液のpHを6.5〜8.5に
    保ちつつ微生物処理する手段とからなることを特徴とす
    る硫化アルカリ含有溶液の酸化方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011031228A (ja) * 2009-08-06 2011-02-17 Shimizu Corp 溶存硫化物の除去方法及び溶存硫化物の除去装置
JP2012532824A (ja) * 2009-07-08 2012-12-20 ホープ メディカル エンタープライゼズ,インコーポレイテッド ディービーエー ホープ ファーマシュティカルズ チオ硫酸ナトリウムを含有する薬学的組成物
WO2016104381A1 (ja) * 2014-12-24 2016-06-30 株式会社クレハ ポリアリーレンスルフィドの製造工程において生じる硫黄含有化合物を含む排水の処理方法、並びにポリアリーレンスルフィドの製造方法

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JP2012532824A (ja) * 2009-07-08 2012-12-20 ホープ メディカル エンタープライゼズ,インコーポレイテッド ディービーエー ホープ ファーマシュティカルズ チオ硫酸ナトリウムを含有する薬学的組成物
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