JPH05281230A - リガンド・レセプター反応の高感度検出法 - Google Patents

リガンド・レセプター反応の高感度検出法

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JPH05281230A
JPH05281230A JP10378791A JP10378791A JPH05281230A JP H05281230 A JPH05281230 A JP H05281230A JP 10378791 A JP10378791 A JP 10378791A JP 10378791 A JP10378791 A JP 10378791A JP H05281230 A JPH05281230 A JP H05281230A
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JP
Japan
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fluorescent
particles
fine particles
substance
ligand
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Application number
JP10378791A
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English (en)
Inventor
Tomoyuki Kuroda
知之 黒田
Hideji Shibata
秀司 柴田
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リガンド反応による微粒子の凝集を、微粒子
の自然凝集から分離区別して低濃度のリガンドまでも測
定する。 【構成】 被検物質中の特異性のある部分に選択的に結
合する物質を結合させた蛍光微粒子と、被検物質中の上
記部分とは異なる、特異性のある部分に選択的に結合す
る物質を結合させた磁性微粒子と、被検物質を含む試料
溶液の3つを所定時間、所定温度で反応させ、被検物質
に蛍光微粒子と磁性微粒子の両者を特異的に結合させ、
得られた混合液を磁場中に置き、磁性微粒子および蛍光
微粒子と磁性微粒子の凝集体と、磁性を持たない蛍光微
粒子とを分離し、次いで蛍光微粒子を溶解し、 蛍光性
溶液の蛍光強度より、被検物質により生じた蛍光微粒子
と磁性微粒子の凝集体数を算出し、試料溶液中の被検物
質濃度を算出する。 【効果】 磁力を用いて未反応の蛍光微粒子を除去し、
反応した蛍光微粒子を蛍光光度計で測定し、高感度測定
を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特異的結合を利用する
試料溶液中の被検物質濃度を検出する方法およびこの方
法を実施するための測定キットに関する。この発明は特
に、分析物がいわゆる「サンドイッチ」反応の関与によ
り分析されるリガンド−レセプター検出法に適用可能で
ある。
【0002】本発明は特異的結合を利用するリガンド・
レセプター検出法として、具体的には抗原抗体反応を利
用するイムノアッセイ、核酸の相補性を利用する核酸プ
ローブ測定、ホルモンその他生理活性物質とそのレセプ
ターの特異的結合を利用する測定などへの適用が可能で
ある。本発明を用いることにより、これら高感度ではあ
るが複雑な手技を要する測定を、迅速且つ容易に行なう
ことができる。本発明はまた特異性の高い測定法とし
て、遺伝病、癌、感染症、代謝異常症などの診断への応
用が期待される。
【0003】
【従来の技術】リガンド・レセプター検出法は特異性の
高い測定法であり、遺伝病、癌、感染症、代謝異常症な
どの診断のために有効な手段として汎用されるようにな
ってきた。抗原抗体反応を利用するイムノアッセイは、
CEA,AFPを初めとする腫瘍マーカーの測定、TS
H,インシュリン等のホルモン測定、B型肝炎ウイル
ス、ロタウイルス等の病原性微生物の検出、毒素原性大
腸菌毒素、Clostridium difficile 毒素等の病原因子の
検出、感染症における抗体の生成を見る抗体検査等広い
範囲で実施されている。
【0004】核酸の相補性を利用する核酸プローブ測定
は、近年特異性の高い測定法として広く用いられるよう
になってきた。例えばB型肝炎、C型肝炎、AIDSな
どのウイルス感染症、パピローマウイルス、クラミジ
ア、淋菌などの性感染症、また、ガン遺伝子、ガン抑制
遺伝子などガン関連遺伝子、血友病、筋ジストロフィー
など先天性遺伝子疾患、糖尿病、高血圧などの診断、遺
伝子異常など広範に利用されるようになってきた。また
ホルモン、生理活性物質とその受容体を用いる特異的測
定法も用いられるようになってきた。例えば、糖類を含
む物質とレクチンとの反応、インターロイキン2とその
レセプター、アセチルコリンとそのレセプター、またビ
オチンとアビジンなどもこの範躊に入る。またコレラ毒
素、毒素原性大腸菌の易熱性毒素が腸管のガングリオシ
ドに結合することから、このガングリオシドを用いたこ
れらの毒素の測定法も報告されている。
【0005】これらの測定法は感度の高い手法として近
年急速な進歩を遂げた測定法である。これらの手法の多
くはサンドイッチ法と呼ばれる測定法を用いている。す
なわち、測定対象となるリガンドを二種類のレセプター
で挟み込んで測定する。レセプターの一方を不溶性の担
体に結合担持し、他方のレセプターに測定可能な標識を
結合させて測定対象のリガンドと反応させる。この時リ
ガンドを固相レセプターと標識レセプターで挟み込むよ
うに特異的に反応して、固相レセプター−リガンド−標
識レセプターの結合が生じ、結果として標識物質が固相
に結合される。この固相に結合した標識物質の量は、検
体中の測定対象となるリガンドの量に比例し、この標識
物質の量を測定することによりリガンドの量を測定する
ことができる。
【0006】固相としては、ポリスチレン、ナイロン、
アクリルアミド、デキストラン、アガロースなどのポリ
マーサポートがよく用いられる。また赤血球なども用い
られることがある。形状としては、ラテックスビーズ、
マイクロプレート、試験管、膜など多岐にわたってい
る。
【0007】標識物質として放射性同位元素、酵素、蛍
光物質、発光物質、酵素基質などが一般に用いられてい
る。またラテックスビーズなどではラテックス同士の凝
集を測定する場合もある。標識物質の数が検出法の感度
を大きく左右するが、標識物質は一般にレセプター1分
子当り1分子〜数十分子、特別に多い場合でも数百分子
であり標識物質の導入には制限がある。
【0008】これらの手法は一般には結合したもの(bou
nd) と結合しなかったもの(free)を分離する操作を実施
する。このB/F分離により高感度な測定が可能とな
る。この手法では遊離(free)の標識レセプターをどれだ
け除くことができるかが大きなポイントとなっている。
従ってB/F分離はこの手法においては重要であり、従
ってその操作も複雑で、時間もかかる。B/F分離を行
わない方法としてEMIT法(enzyme multiplied immun
oassaytechnique) が報告された(Rubenstein,K.E. et.
al.;Biochem.Biophys.Res.Commun.,47,846,1972) 。こ
の方法では標識として酵素を用い、抗体が抗原と結合す
ると酵素の活性部位に変化が生じ(活性化または活性阻
害)、その活性の変化を測定するというものである。同
じ手法で酵素基質を抗原に標識として結合させた方法が
商品化されている(SLFIA;Substrate-labeled flu
orescent immunoassay;Ames 社)。これは、検体中の抗
原と標識抗原を競合させると抗体と反応した標識基質
は、立体障害のため後から添加した酵素の基質となりえ
ず、遊離の標識抗原のみ酵素反応の基質となり、酵素に
よる生成物の量が検体中の抗原の量に比例するという手
法である。
【0009】また免疫蛍光偏光解消法と呼ばれる手法が
開発された。本法では蛍光標識した抗原を抗体と反応さ
せると蛍光標識抗原のブラウン運動が制限され、標識蛍
光を偏光で励起すると偏光の解消が抑制されることを利
用したものである。この場合、競合法を用いており、薬
物、ハプテンのような低分子物質しか測定出来ず蛋白質
等の高分子には応用できない。
【0010】一方、高分子のホモジニアスアッセイとし
てペルオキシダーゼ標識を用いる方法がある。すなわ
ち、ペルオキシダーゼを標識とし、酵素の活性測定時に
基質である過酸化水素の濃度を高い状態に保つと、未反
応すなわち遊離のペルオキシダーゼは高濃度の過酸化水
素により阻害されて活性を示さず、一方抗原抗体反応に
より免疫複合体の中に取り込まれたペルオキシダーゼは
立体障害により高濃度の過酸化水素にさらされることが
なく活性を示すという方法である。しかしこの方法では
溶血検体では血球中のカタラーゼ様活性により偽陽性を
示すことが知られており、特異性上問題がある。
【0011】ラテックス凝集、赤血球凝集による測定で
は一般にB/F分離は行わないが、これらはスクリーニ
ング検査として用いられており、感度は高くはない。ラ
テックス凝集を粒子計測装置で測定する方法が既に開示
されている(前田真木子他;日本臨床検査自動化学会会
誌,14,231,1990.,特表昭63−502875号公
報)。これらの手法は粒子を検出する際に、一つ一つの
粒子が凝集粒子であるか非凝集粒子であるかを検出する
方法であり、検出時に遊離(free)と結合(bound) を判断
することができるので感度が高く、且つ前処理としての
洗浄操作を必要としない簡便な方法である。この方法で
高感度を達成するには、粒度分布のできるだけ小さな粒
子を用いること、粒子が単粒子であるか、二個以上の複
数粒子であるかを正確に検出することである。粒子の粒
度分布をできるだけ小さく保つことは困難であり、これ
を達成することはそのまま粒子の製造コストに影響す
る。また、粒子が単粒子であるか、二個以上の複数粒子
であるかを正確に検出することは、測定機器の測定精度
を高くすることで可能であるが、高価な機器を必要とす
る。一方、粒子を単粒子として分散状態に保つこと、す
なわち自然凝集による粒子の複数粒子化を抑制すること
が本法の感度向上につながるが、この粒子の分散は容易
ではないので、リガンドの濃度が低く、凝集が非常に少
ない場合、リガンドと反応して凝集したものか自然凝集
によるものかの識別が困難であり、自然凝集の粒子数以
下の測定は不可能となる。従って、この方法の測定感度
は一般の酵素標識サンドイッチ法と大差がなく、放射性
標識法より感度は低い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ラテ
ックス凝集を粒子計測装置で測定する方法においてリガ
ンドとの反応による粒子の凝集を、粒子の自然凝集から
分離区別して測定し、低濃度のリガンドまでも測定でき
る高感度アッセイを達成する方法を提供することであ
る。本発明の他の目的はリガンド・レセプター検出法に
おいてレセプターに多量の標識を導入する方法を提供す
ることである。本発明は更に当該検出方法に使用する測
定キットも提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、試料溶液中の
被検物質濃度を以下の工程からなるリガンド・レセプタ
ー反応を利用して測定するリガンド・レセプター反応の
高感度検出法である。 a.被検物質中の特異性のある部分[a]に選択的に結
合する物質を結合させた蛍光波長[X]の蛍光微粒子
[A・X]と、被検物質中の上記[a]とは異なる、特
異性のある部分[b]に選択的に結合する物質を結合さ
せた磁性微粒子[B・M]と、被検物質を含む試料溶液
の3つを所定時間、所定温度で反応させ、被検物質に蛍
光微粒子[A・X]と磁性微粒子[B・M]の両者を特
異的に結合させ、 b.工程a.で得られた混合液を磁場中に置き、磁性微
粒子〔B・M〕及び蛍光性微粒子〔A・X〕と磁性微粒
子〔B・M〕の凝集体と磁性を持たない蛍光微粒子〔A
・X〕とを分離し、 c.蛍光微粒子〔A・X〕を溶解する溶解液を磁性微粒
子と結合した蛍光微粒子に加え、蛍光性の溶液を作成
し、 d.上記蛍光性溶液の蛍光強度より、被検物質により生
じた〔A・X〕・〔B・M〕の凝集体の数を算出し、試
料溶液中の被検物質濃度を算出する。
【0014】また本発明は蛍光微粒子〔A・X〕及び磁
性微粒子〔B・M〕を組み込んだことを特徴とする試料
溶液中の被検物質濃度をリガンド・レセプター反応を利
用して測定するリガンド・レセプター反応の高感度検出
キットである。本発明においては、被検物質に特異的で
あり、被検物質の異なる部位に結合する異なる性質(蛍
光と磁性)の微粒子で被検物質をサンドイッチ状態と
し、磁力を用いて未反応の蛍光微粒子を除去し、反応し
た蛍光微粒子を蛍光光度計により測定する。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する(図1参
照)。試料溶液中の被検物質濃度を以下の工程からなる
リガンド・レセプター反応を利用して測定するリガンド
・レセプター反応の高感度検出法において、 a.被検物質中の特異性のある部分[a]に選択的に結
合する物質を結合させた蛍光波長[X]の蛍光性微粒子
[A・X]と、被検物質中の上記[a]とは異なる、特
異性のある部分[b]に選択的に結合する物質を結合さ
せた磁性微粒子[B・M]と、被検物質を含む試料溶液
の3つを所定時間、所定温度で反応させ、被検物質に蛍
光性微粒子[A・X]と磁性粒子[B・M]の両者を結
合させる。
【0016】試料中の被検物質とは、抗原抗体反応を利
用するイムノアッセイでは抗原または抗体であり、核酸
の相補性を利用する核酸プローブ測定ではDNAまたは
RNAであり、生理活性物質とそのレセプターの特異的
結合を利用する測定ではホルモンや毒素などである。被
検物質中の特異性のある部分とは、被検物質の一部分で
被検物質を代表する特異性を持った部分を言う。すなわ
ち抗原抗体反応や核酸プローブ測定などにおいて他の物
質と交差反応を示さない特定の部分を選択することが重
要である。
【0017】蛍光微粒子とは蛍光物質を結合または含有
する微粒子を言う。蛍光物質としてフルオレセイン、ロ
ーダミン6G、エオシンY等のキサンテン環含有染料、
ウンベリフェロン、クマリン6等のクマリン環含有染
料、アクリジン系染料、フィコエリスリン、アロフィコ
シアニン等のフィコビリ蛋白、ベンツイミダゾール環含
有染料、フェナンスリジウム系染料、アジン系染料、チ
オキサンテン系染料、チアジン系染料、シアニン系染
料、スチリル系染料、オキサジン系染料、トリアリール
メタン系染料、ジアリールメタン系染料、その他などが
選択される。また微粒子の素材としては、比重が0.9
〜2.0で水溶液に分散できるものならば、どのような
微粒子も用いることができる。例えばポリスチレン、ポ
リビニールトルエン、ポリメチルメタクリレート、ポリ
ジビニールベンゼン、ポリアクロレイン、ポリブタジエ
ン、及びこれらの混合組成の工業的ラテックス粒子、あ
るいはカジノキ花粉、キノコ胞子、鶏、羊等の固定赤血
球、ヒト固定リンパ球、固定胸腺細胞等の生物学的粒子
のようなものが選択される。このような蛍光微粒子とし
て、例えばデュークサイエンティフィック(Duke Scien
tific Corp. )社のコバスフェアーズ(Covaspheres
TM)蛍光粒子、バイオクリン(Bioclean)蛍光粒子、
フローサイトメトリースタンダード(Flowcytometry St
andard Corp.)社のミクロビーズアライメントスタンダ
ード(MicrobeadsAlignment Standards)粒子、ローヌ
プーラン(Rhone-Poulenc Specialities Chimiques)社
のシリー(Serie )PSI蛍光粒子、ポリサイエンス
(Polyscience )社のフルオーズブライトカルボキシレ
イト(FluoresbriteTM Carboxylate)粒子、ポリビーズ
(Polybead)蛍光微粒子、コールターエレクトロニクス
(Coulter Electronics )社のフルオレッセントアライ
メントスタンダード(Fluorescent Alignment Standar
d)粒子、シグマ(Sigma )社のグルタルアルデヒド固
定の鶏赤血球、七面鳥赤血球、オルソダイアグノスティ
ック(Ortho Diagnostic)社のフルオロトロール(Fluo
rotrol)GF、その他などが選択される。
【0018】選択的結合物質と微粒子の結合は、二官能
基の縮合反応や架橋反応として一般に知られた方法によ
り容易に実施出来る。例えばグルタルアルデヒドによる
アミノ基同士の架橋、カルボジイミドによるアミノ基と
カルボキシル基との架橋による共有結合、アジドの光分
解による挿入反応、アミノ基とトシル基の交換反応、ア
ミノ基とカルボキシル基とのイオン結合などにより実施
出来る。また微粒子表面は選択的結合物質を結合させた
後に、不活性化処理を行なうことにより非特異的な結合
を防止しておくことができる。この不活性化処理はサケ
精子DNA部分分解物、ランダムオリゴヌクレオチド、
ウシ血清アルブミンなどで処理する方法や未反応の官能
基をエタノールアミンなど公知の方法で処理することに
より達成される。
【0019】磁性粒子として磁性粉を含有する微粒子を
用いることができる。これは例えばローンプーラン社の
エスタボール(estapor)、ダイナル社のダイナビーズ(d
ynabeads) などが選択される。
【0020】b.工程a.で得られた混合液を磁場中に
置き、磁性微粒子〔B・M〕及び蛍光性微粒子〔A・
X〕と磁性微粒子〔B・M〕の凝集体と磁性を持たない
蛍光微粒子〔A・X〕とを分離する。本操作は反応液に
磁場をかけることにより磁性を有する微粒子(磁性微粒
子単独、磁性微粒子同士の非特異的凝集、及び被検物質
を介した磁性微粒子と蛍光微粒子の結合物)と磁性を持
たない微粒子(蛍光微粒子単独、蛍光微粒子同士の非特
異的凝集)を分離する。
【0021】c.蛍光微粒子〔A・X〕を溶解する溶解
液を磁性微粒子と結合した蛍光微粒子に加え、蛍光性の
溶液を作成する。反応しなかった蛍光微粒子に蛍光微粒
子溶解液を加え、蛍光物質を液中に溶解し、蛍光性溶液
を得ることも可能である。蛍光微粒子を溶解する溶解液
としては、微粒子の組成がポリスチレンなどの場合、N
aOH、工業的ラテックス粒子の場合、ジメチルホルム
アミド、ジメチルスルフォキシド等の有機溶媒などを用
いることができる。
【0022】d.上記蛍光性溶液の蛍光強度より、被検
物質により生じた〔A・X〕・〔B・M〕の凝集体の数
を算出し、試料溶液中の被検物質濃度を算出する。
【0023】蛍光強度の測定は一般の蛍光光度計を用い
て測定できる。一般にリガンド・レセプター検出法にお
いて、レセプターを固相に固定するために、反応速度は
液相の反応に比べて遅くなることが知られている。しか
し本発明では微粒子を用いることで反応速度の低下を抑
制することが可能であり、反応液を攪拌することで更に
抑制できる。従って固相を用いることによる反応速度低
下の不利益を抑えることができる。本発明の方法では、
磁性を有する粒子を利用してB/F分離をした後に、蛍
光微粒子を溶解液により溶解し蛍光を液相として測定す
ることが可能である。
【0024】
【発明の効果】一般に蛍光測定は高感度の測定法として
知られている。蛍光物質を標識物質としてサンドイッチ
測定をすることもよく知られている。しかし蛍光標識で
は1分子のリガンドに対して、1分子のレセプターが反
応しても標識物質の分子数はレセプター上の標識分子数
に過ぎず、1〜数百分子に過ぎない。従って蛍光測定は
高感度であっても計測される蛍光分子の数は少ない。一
方、蛍光微粒子を用いる方法では1個の蛍光微粒子中の
蛍光物質含量は、蛍光量の多い粒子を選定すればFIT
換算で1010程度と大量に存在するが、微粒子中に存在
するため懸濁液中では不均一な分散としており且つ微粒
子中の全蛍光物質を測定することはできない。本発明は
この微粒子を溶解液により溶解し、均一な系として測定
することにより微粒子中の全蛍光物質を効率よく測定で
き、蛍光測定の高感度と1分子の反応に多量の蛍光を導
入する標識法を兼ね備えた高感度測定法である。
【0025】本発明ではリガンド・レセプター測定にお
いて、蛍光粒子を標識として用い、この蛍光粒子を溶解
し溶液として均一状態で測定することにより、レセプタ
ーに多量に標識を導入した場合と同等の効果を得ること
ができ、高感度測定を達成することができた。
【0026】
【実施例】以下に、本発明の実施例を例示することによ
って、本発明の効果をより一層明確なものとするが、こ
れら実施例によって本発明の範囲は限定されるものでは
ない。 (実施例1)核酸プローブの調製 核酸プローブとして、腸炎ビブリオの耐熱性毒素に相補
的なオリゴヌクレオチドを用いた。オリゴヌクレオチド
は、DNA合成機 380A 型(アプライド・バイオシステ
ムズ社)を用いて、ホスホアミダイト法により合成し
た。塩基配列は、次の通りであり、配列表1および2に
も示した。 5'-CCCCGGTTCT GAXGAGATAT TGTN-3' (TDH1) および 5'-CAGGTACTAA AXGGTTGACA TCCTN-3' (TDH2) 配列中Nは5位にリンカーアームを有するデオキシウリ
ジンを示す。この5位にリンカーアームを有するデオキ
シウリジンは、特表昭60-500717 号公報に開示された合
成法により、デオキシウリジンから化学合成により調製
し、オリゴヌクレオチドに導入した。合成されたオリゴ
ヌクレオチドは、27%アンモニア水で55℃、4 時間脱保
護処理を施した後、陰イオン交換高速液体クロマトグラ
フィーMono-Q FPLC (ファルマシア社)を用いて精製し
た。0.2 μmol スケールの合成を行ない、約11.5A260
(260nm における吸光度より求めた絶対量)のオリゴヌ
クレオチドを得た。
【0027】(実施例2)核酸プローブ結合性磁性粒子
の調製 磁性粒子としてディノインダストリア社(Dyno Industri
er A. S.,Norway)製XP−6006を用いた。磁性粒子
100 μl と実施例1で調製したTDH1プローブ 132pm
olを1mMホウ酸緩衝液(pH8) 中で混合し(最終液量 200
μl)、37℃で4時間反応させ、 250μl のモノエタノー
ルアミン塩酸水溶液を加え、更に30分間反応させた。反
応終了後、磁石で磁性粒子を集めて反応液を除去後、1
mlの水で5回洗浄した後、 789μl のHEPES緩衝液
(20mM, pH7.0, 1% BSA を含む)に再懸濁し、超音波処
理(20kHz, 50W, 2秒間) し、4℃で保存した。粒子に結
合したプローブ数は以下の方法で測定した。TDH1プ
ローブ結合緑蛍光粒子懸濁液10μl(107 ビーズ)に×
20ハイブリダイゼーション液(クエン酸ナトリウム( 二
水塩、以下同じ)8.8%、NaCl 17.5%、ウ
シ血清アルブミン2%、ポリビニールピロリドン2.0
%、ドデシル硫酸ナトリウム4.0%) 10μl を加
え、40pmolの32P 標識したantiTDH1(TDH1の
相補鎖)プローブ20μl を加え、50℃で15分間ハ
イブリダイゼーション後、15,000rpm で5分間遠心し上
清を除き、洗浄液1(クエン酸ナトリウム0.44%、
NaCl 0.875%、ドデシル硫酸ナトリウム1
%)1mlに粒子を懸濁させ、50℃で5分間洗浄し、1
5,000rpm で5分間遠心し上清を除いた。同様に洗浄液
2(クエン酸ナトリウム0.44%、NaCl0.87
5%、トリトンX−100 1%)、洗浄液3(クエン
酸ナトリウム0.44%、NaCl 0.875%)で
洗浄した。40μl の水に再懸濁した粒子の10μl を
メンブレンフィルター(0.22μm )で濾過し、1ml
の水で5回洗浄した後、メンブレンフィルター上の粒子
32P をシンチレーションカウンター(アロカ社)で測
定した。結果は652,000CPMで粒子1個当り約177,000 分
子のTDH1プローブが結合されていた。その結果、微
粒子1個当たり約81,800分子のTDH1プローブが結合
されていた。
【0028】(実施例3)核酸プローブ結合蛍光粒子の
調製 蛍光ビースとしてはポリサイエンス社(Polyscience In
c.,USA)製のフルオーズブライトカルボキシレイトミク
ロスフェア(Fluoresbrite Carboxylate Microsphere No
17147)を用いた。実施例2と同様にして 100μl の粒子
(1.15 ×108 粒子) 、2.5 μmol のEDC及び 250pmol
のTDH2プローブを反応させた後、洗浄、再懸濁(HEP
ES緩衝液、 115μl)し、超音波処理した後、4℃で保存
した。
【0029】(実施例4)ハイブリダイゼーション反応
の蛍光光度計による測定 A.蛍光光度計による検量線の作成 蛍光光度計は日立 650-10 型を用いた。フルオレスブラ
イトカルボキシレイトミクロフェア87μl(108 ) 粒子を
100 μl の4N-NaOH で溶解し、1N-HClで中和し、リン酸
緩衝液(10mM, pH7.0) で希釈し、10mlとした。この溶液
の1/10, 3/10の希釈液を作り、10粒子/ml 〜107 粒子/m
l に相当する蛍光溶液を得た。これらの溶液を 463nm励
起、 528nm受光、PMT Gain:High 、励起スリット幅10n
m、受光スリット幅10nmで測定し、検量線を得た (第2
図)。この蛍光粒子1個の蛍光強度はFIT換算で, 2.
7 ×109 分子に相当すると算出された。
【0030】B.ハイブリダイゼーション反応 TDH1プローブ標識磁性粒子1μl(1.0×106 ビーズ
) 、TDH2プローブ標識蛍光粒子1μl(1.0×106
ーズ) 、熱変性した腸炎ビブリオDNA抽出液80μl 、
及びハイブリダイゼーション液38μl を混合し、50℃で
15分間ハイブリダイゼーションを行った後、磁石で磁性
粒子を試験管壁に集め、反応液をアスピレーターで吸引
除去後、実施例2と同様な反応液を添加洗浄した後、10
0 μl の4N-NaOH で粒子を溶解し、1N-HClで中和後、リ
ン酸緩衝液(10mM, pH7.0) で希釈し、2mlとし、蛍光光
度計で測定した。
【0031】C.結果 結果を第3図に示した。5×103 〜5×106 ゲノム/ml
が定量的に測定できた。
【配列表】
【0032】配列番号:1 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成核酸 配列の特徴 特徴を表す記号:modified base 存在位置:1 特徴を決定した方法:E 他の情報:5-(N-(7'''- アミノヘプチル) アクリルアミ
ド-2''- イル) デオキシ ウリジン (5-(N-(7'''-amino
heptyl) acrylamido-2''-yl)deoxy uridine) 存在位置:2 ..25 他の特徴:ビブリオ パラヘモリティカス(Vibrio para
haemolyticus) の耐熱性毒素(thermostable direct hem
olycin: TDH1) 産生部位に相補的配列 NCCCCGGTTC TGATGAGATA TTGTT 25
【配列表】
【0033】配列番号:2 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成核酸 配列の特徴 特徴を表す記号:modified base 存在位置:1 特徴を決定した方法:E 他の情報:5-(N-(7'''- アミノヘプチル) アクリルアミ
ド-2''- イル) デオキシ ウリジン (5-(N-(7'''-amino
heptyl) acrylamido-2''-yl)deoxy uridine) 存在位置:2 ..25 他の特徴:ビブリオ パラヘモリティカス(Vibrio para
haemolyticus) の耐熱性毒素(thermostable direct hem
olycin: TDH2) 産生部位に相補的配列 NCAGGTACTA AATGGCTGAC ATCCT 25
【図面の簡単な説明】
【図1】蛍光微粒子と磁性微粒子を用いた核酸プローブ
の反応を説明する図である。
【図2】実施例4における蛍光粒子の検量線を示す。
【図3】実施例4における腸炎ビブリオDNAの検量線
を示す。
【符号の説明】 図1中、1は標的核酸、2は共存する核酸、3は標的核
酸の特異的な配列a、4は標的核酸の他の特異的な配列
b、5は3の配列に相補的な配列を持った核酸プロー
ブ、6は4の配列に相補的な配列を持った核酸プロー
ブ、7は磁性粒子、8は蛍光粒子を示す。9は7の磁性
粒子同士の自然または非特異的凝集、10は8の蛍光粒
子同士の自然または非特異的凝集、11は標的核酸と3
−5のハイブリダイゼーションにより特異的に標的核酸
1に結合した蛍光粒子、12は標的核酸と4−6のハイ
ブリダイゼーションにより特異的に標的核酸1に結合し
た蛍光粒子を示す。13は磁石を示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料溶液中の被検物質濃度を以下の工程
    からなるリガンド・レセプター反応を利用して測定する
    リガンド・レセプター反応の高感度検出法。 a.被検物質中の特異性のある部分[a]に選択的に結
    合する物質を結合させた蛍光波長[X]の蛍光微粒子
    [A・X]と、被検物質中の上記[a]とは異なる、特
    異性のある部分[b]に選択的に結合する物質を結合さ
    せた磁性微粒子[B・M]と、被検物質を含む試料溶液
    の3つを所定時間、所定温度で反応させ、被検物質に蛍
    光微粒子[A・X]と磁性微粒子[B・M]の両者を特
    異的に結合させ、 b.工程a.で得られた混合液を磁場中に置き、磁性微
    粒子〔B・M〕及び蛍光性微粒子〔A・X〕と磁性微粒
    子〔B・M〕の凝集体と磁性を持たない蛍光微粒子〔A
    ・X〕とを分離し、 c.蛍光微粒子〔A・X〕を溶解する溶解液を磁性微粒
    子と結合した蛍光微粒子に加え、蛍光性の溶液を作成
    し、 d.上記蛍光性溶液の蛍光強度より、被検物質により生
    じた〔A・X〕・〔B・M〕の凝集体の数を算出し、試
    料溶液中の被検物質濃度を算出する。
  2. 【請求項2】 被検物質がDNAあるいはRNAであ
    り、選択的に結合する物質がオリゴヌクレオチドである
    請求項1のリガンド・レセプター反応の高感度検出法。
  3. 【請求項3】 被検物質が抗原または抗体であり、選択
    的に結合する物質が対応する抗体または抗原である請求
    項1のリガンド・レセプター反応の高感度検出法。
  4. 【請求項4】 被検物質が生理活性物質であり、選択的
    に結合する物質がそのレセプターである請求項1のリガ
    ンド・レセプター反応の高感度検出法。
  5. 【請求項5】 蛍光微粒子〔A・X〕及び磁性微粒子
    〔B・M〕を組み込んだことを特徴とする、試料溶液中
    の被検物質濃度をリガンド・レセプター反応を利用して
    測定するリガンド・レセプター反応の高感度検出キッ
    ト。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6225046B1 (en) 1995-04-03 2001-05-01 Macquarie Research Ltd. Method for detecting microorganisms
US6994971B1 (en) * 1999-10-08 2006-02-07 University Of Utah Research Foundation Particle analysis assay for biomolecular quantification
WO2008032535A1 (fr) * 2006-09-15 2008-03-20 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. Microparticule semi-conductrice fluorescente, procédé de production de cette microparticule, agent de marquage fluorescent pour substances biologiques comportant cette microparticule, et procédé de bio-imagerie faisant intervenir cette microparticule

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