JPH05279543A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH05279543A
JPH05279543A JP10522492A JP10522492A JPH05279543A JP H05279543 A JPH05279543 A JP H05279543A JP 10522492 A JP10522492 A JP 10522492A JP 10522492 A JP10522492 A JP 10522492A JP H05279543 A JPH05279543 A JP H05279543A
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JP
Japan
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weight
parts
copolymer
isoprene
block
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Application number
JP10522492A
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English (en)
Inventor
Kazuhiko Yamamoto
山本  和彦
Yoshiki Tamaizumi
美喜 玉泉
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐薬品性と制振性能に優れた熱可塑性樹脂組
成物を提供する。 【構成】 (I)シアン化ビニル化合物−芳香族ビニル
化合物共重合体40〜95重量部、および(II) オレフ
ィン系樹脂60〜5重量部〔ただし、(I)+(II) =
100重量部〕、ならびに(I)〜(II) 成分の合計量
100重量部に対し、(III)芳香族ビニル化合物を主体
とする重合体ブロック(A)と、イソプレンまたはイソ
プレンとブタジエンを主体とし、ビニル結合含量が40
%以上、0℃以上にtanδの主分散のピークを有し、
数平均分子量が10,000〜200,000である重
合体ブロック(B)とからなり、かつブロック構造がA
−(B−A)nまたは(A−B)m(ただし、nは1以
上、mは2以上の整数)で表される直鎖状あるいは分岐
状の数平均分子量が10,000〜500,000であ
るブロック共重合体2〜60重量部、を含有してなる熱
可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた耐薬品性と制振
性能を有する熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ABS樹脂は、自動車用部
品、電気・電子部品、OA機器部品として広く採用され
ている。しかしながら、これらの部品の要求性能を充分
に満足させるものではない。例えば、最近の大気圏のオ
ゾン対策のため、発泡剤溶剤として使用されているフロ
ンが変更されようとしているが、代替フロン、フロン1
23(CHCl2 3 )、フロン141b(CH3 CC
2 F)に対し、ABS樹脂はスルベントクラックを発
生するという問題がある。また、自動車などの交通機関
に起因する騒音、振動も、大きな社会問題になってお
り、自動車内部にも低振動、低騒音が要求されている。
さらに、一般家庭においても、複写機、プリンターなど
の事務機器から発生する騒音、振動の低減が重要な課題
になっている。さらにまた、生活機械の変化から、家庭
用電気製品が大型化しており、冷蔵庫、洗濯機、掃除機
の低振動、低騒音化が要求されている。現行のABS樹
脂では、これら低振動、低騒音の要求性能を満足させる
ことはできない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、従来のABS樹脂と
同等の物性を有するのみならず、耐薬品性と制振性能に
優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(I)シアン
化ビニル化合物−芳香族ビニル化合物共重合体〔以下
「共重合体(I)」ということがある〕40〜95重量
部、および(II) オレフィン系樹脂〔以下「オレフィン
系樹脂(II) 」ということがある〕60〜5重量部〔た
だし、(I)+(II) =100重量部〕、ならびに
(I)〜(II) 成分の合計量100重量部に対し、(II
I)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック
(A)と、イソプレンまたはイソプレンとブタジエンを
主体とし、ビニル結合含量が40%以上、0℃以上にt
anδの主分散のピークを有し、数平均分子量が10,
000〜200,000である重合体ブロック(B)と
からなり、かつブロック構造がA−(B−A)nまたは
(A−B)m(ただし、nは1以上、mは2以上の整
数)で表される直鎖状あるいは分岐状の数平均分子量が
10,000〜500,000であるブロック共重合体
〔以下「ブロック共重合体(III)」ということがある〕
2〜60重量部、を含有してなる熱可塑性樹脂組成物を
提供するものである。
【0005】本発明に使用される共重合体(I)は、シ
アン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合し
て得られるものであり、通常、AS樹脂として汎用され
ているものであるが、ゴム状重合体の存在下にシアン化
ビニル化合物、芳香族ビニル化合物を重合したものでも
よく、またこれらの混合物でもよい。ここで、共重合体
(I)を構成するシアン化ビニル化合物としては、アク
リロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、こ
れらは1種または2種以上で使用される。このシアン化
ビニル化合物としては、特にアクリロニトリルが好まし
い。また、共重合体(I)を構成する芳香族ビニル化合
物としては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチ
ルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、
1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−
アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノ
エチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルキシレン、モ
ノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムスチ
レン、フルオロスチレン、エチルスチレン、ビニルナフ
タレンなどが挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチ
レンが好ましい。これらの芳香族ビニル化合物は、単独
であるいは2種以上混合して用いられる。共重合体
(I)中のシアン化ビニル化合物の含量は、40〜95
重量%、好ましくは50〜90重量%であり、40重量
%未満では剛性が低く、一方95重量%を超えると耐薬
品性が悪化する。
【0006】なお、共重合体(I)中には、その他の共
重合可能な単量体を60重量%以下程度併用することも
できる。このその他の共重合可能な単量体としては、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアク
リレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、
ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレー
ト、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなど
のアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチル
メタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタ
クリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリ
レート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシル
メタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデ
シルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フ
ェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどの
メタクリル酸エステル;無水マレイン酸、無水イタコン
酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸無水物;アクリル
酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイミド、N−メ
チルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メ
チルフェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、
N−シクロヘキシルマレイミドなどのα−またはβ−不
飽和ジカルボン酸のイミド化合物;グリシジルメタクリ
レートなどのエポキシ化合物;アクリルアミド、メタク
リルアミドなどの不飽和カルボン酸アミドなどが挙げら
れる。これらのその他の共重合可能な単量体は、1種単
独であるいは2種以上を併用することができる。
【0007】また、共重合体(I)の数平均分子量は、
好ましくは10,000〜500,000であり、1
0,000以下では得られる組成物の物性が低くなり、
一方500,000を超えると、成形加工性が悪化す
る。また、共重合体(I)は、通常、溶液重合、あるい
は懸濁重合、好ましくは溶液重合により製造される。こ
の溶液重合での媒体としては、トルエン、アセトニトリ
ル、ジメチルホルムアミドなどが使用でき、重合開始剤
としては、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ベン
ゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドな
ど、もしくは熱重合により、さらに連鎖移動剤として
は、メルカプタン類、炭化水素類などが使用され、さら
に重合温度としては、60〜150℃程度である。
【0008】次に、本発明に使用されるオレフィン系樹
脂(II) は、1種またはそれ以上のモノオレフィンを高
圧法または低圧法のいずれかによる重合から得られる樹
脂である。ここで、モノオレフィンとしては、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキ
セン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−プ
ロペン、3−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−
ヘキセン、およびそれらの混合物が挙げられ、好ましく
はエチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、
より好ましくはプロピレンである。好ましいオレフィン
系樹脂(II) は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
4−メチル−1−ペンテンであり、また共重合体タイプ
の(II) 成分としては、エチレン、1−ブテン、1−ペ
ンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、2
−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、
および5−メチル−1−ヘキセンの群から選ばれた少な
くとも1種が共重合されたポリプロピレンなどが挙げら
れる。オレフィン系樹脂(II) としてさらに好ましく
は、ポリプロピレン、アイソタクティックポリプロピレ
ン、および前記共重合体タイプのポリプロピレンであ
る。
【0009】本発明の組成物中における共重合体(I)
とオレフィン系樹脂(II) との配合割合は、共重合体
(I)が40〜95重量部、好ましくは50〜90重量
部、オレフィン系樹脂(II) 60〜5重量部、好ましく
は50〜10重量部〔ただし、(I)+(II) =100
重量部〕である。共重合体(I)が40重量部未満〔オ
レフィン系樹脂(II) が60重量部を超える場合〕で
は、得られる組成物の弾性率が低くなり、柔らかくな
り、一方95重量部を超える場合〔オレフィン系樹脂
(II) が5重量部未満〕では、耐薬品性が悪化する。
【0010】次に、ブロック共重合体(III)は、芳香族
ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(A)と、イ
ソプレンまたはイソプレンとブタジエンを主体とする重
合体ブロック(B)とから構成される。ここで、重合体
ブロック(A)を構成する芳香族ビニル化合物は、前記
共重合体(I)を構成する芳香族ビニル化合物と同様の
ものが挙げられる。なお、重合体ブロック(A)の数平
均分子量は、好ましくは1,000〜50,000、さ
らに好ましくは5,000〜40,000である。1,
000未満では(I)〜(II) 成分との混合時にブロッ
ク共重合体(III)の相溶性が悪化し、一方50,000
を超えると混合時の作業性が悪くなる。また、重合体ブ
ロック(A)のブロック共重合体(III)中における割合
は、好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは8〜
45重量%である。5重量%未満では、ブロック共重合
体(III)が共重合体(I)とオレフィン系樹脂(II) と
の相溶化剤として充分作用せず、一方50重量%を超え
ると、粘度が高くなるため混合時の作業性が極めて悪
く、不均一な物性になる。
【0011】重合体ブロック(B)を構成するモノマー
としては、イソプレンまたはイソプレンとブタジエンと
の混合物であり、これ以外のモノマーを使用しても本発
明の目的を達成することができない。例えば、重合体ブ
ロック(B)を構成するモノマーとして、ブタジエンの
みを使用した場合には、ビニル結合(3,4−結合およ
び1,2−結合)含量を増加させても、制振性能を発揮
する温度は0℃未満であり、常温での制振性能は小さ
く、高温での制振性能は実質的に得られず実用的でな
い。イソプレンの場合、本発明で規定するビニル結合含
量(40%以上)とすることにより、0℃〜50℃前後
までの温度範囲で制振性能を発揮することができる。ま
た、イソプレンにブタジエンを併用する場合には、イソ
プレンが40重量%以上であれば0℃以上での制振性能
を発揮することができる。ブタジエンを併用する場合、
重合体ブロック(B)の構造は、ランダム、ブロックあ
るいはテーパードのいずれであってもよい。
【0012】重合体ブロック(B)中のビニル結合
(3,4−結合および1,2−結合)は、40%以上、
好ましくは50%以上であり、40%未満では、常温あ
るいは高温下で充分な制振性能が発揮されない。また、
重合体ブロック(B)は、ブロック共重合体の粘弾性測
定より得られるtanδ(損失正接)の主分散のピーク
温度が0℃以上にあることが必要である。ピーク温度が
0℃よりも低いと、高温領域での制振性能が充分ではな
い。さらに、重合体ブロック(B)の数平均分子量は、
10,000〜200,000、好ましくは20,00
0〜150,000である。10,000未満ではゴム
状としての性質が充分でなく、制振性能が低く、一方2
00,000を超えると成形加工性が悪化する。なお、
重合体ブロック(B)は、該ブロック(B)中の炭素−
炭素二重結合の少なくとも一部、好ましくは50%以
上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90
%以上が水素添加されていることが、得られる組成物の
耐熱性を向上させる観点から望ましい。
【0013】本発明に使用されるブロック共重合体(II
I)のブロック構造は、A−(B−A)nまたは(A−
B)m(ただし、nは1以上、mは2以上の整数、好ま
しくは20以下の整数である)で表される直鎖状あるい
は分岐状の構造を有し、必要に応じて重合体ブロック
(B)の炭素−炭素二重結合の少なくとも一部を水素添
加することによって得られる。このようにして得られる
共重合体ブロック(III)の数平均分子量は、10,00
0〜500,000、好ましくは20,000〜40
0,000である。10,000未満では、ブロック共
重合体(III)自体がゴム状の性質を失い、得られる熱可
塑性樹脂組成物の耐衝撃性が乏しいものとなる。一方、
500,000を超えると、(I)〜(II) 成分との混
合時に作業性が悪く、均一な物性が得られない。ブロッ
ク共重合体(III)の配合量は、前記(I)〜(II) 成分
100重量部に対し、2〜60重量部、好ましくは5〜
50重量部である。2重量部未満では、相溶化剤として
の効果が低く、目的とする物性が得られず、一方60重
量部を超えると、組成物の剛性が低くなる。
【0014】本発明のブロック共重合体(III)は、例え
ば有機モノリチウム化合物を開始剤として芳香族ビニル
化合物、イソプレンもしくはイソプレンとブタジエンの
混合物を順次重合させる方法、芳香族ビニル化合物、次
いでイソプレンもしくはイソプレンとブタジエンの混合
物を重合し、これをカップリング剤によりカップリング
する方法、あるいは有機ジリチウム化合物を開始剤とし
てイソプレンもしくはイソプレンとブタジエンの混合
物、次いで芳香族ビニル化合物を順次重合させる方法な
どが挙げられる。ここで、有機モノリチウム化合物とし
ては、メチルリチウム、エチルリチウム、ペンチルリチ
ウム、ブチルリチウムなどが挙げられる。また、カップ
リング剤としては、アジピン酸ジエチル、ジビニルベン
ゼン、テトラクロロケイ素、ブチルトリクロロケイ素、
テトラクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、ジメチルク
ロロケイ素、テトラクロロゲルマニウム、1,2−ジブ
ロムエタン、1,4−クロルメチルベンゼン、ビス(ト
リクロルシリル)エタン、エポキシ化アマニ油、トリレ
ンジイソシアネート、1,2,4−ベンゼントリイソシ
アネートなどが挙げられる。さらに、有機ジリチウム化
合物としては、ナフタレンジリチウム、ジリチオヘキシ
ルベンゼン、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニル
リチウム、イソプレニルジリチウムなどが挙げられる。
使用量は、単量体100重量部に対し、開始剤が0.0
1〜0.2重量部程度、カップリング剤が0.04〜
0.8重量部程度である。また、この際、重合体ブロッ
ク(B)のミクロ構造、すなわちビニル結合含量を40
%以上、かつ0℃以上にtanδの主分散のピークを持
つようにするために、ルイス塩基が用いられる。このル
イス塩基としては、エーテル、アミンなど、具体的には
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエー
テル、ブチルエーテル、高級エーテル、またエチレング
リコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメ
チルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテ
ル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどのポ
リエチレングリコールのエーテル誘導体、アミンとして
はテトラメチルエチレンジアミン、ピリジン、トリブチ
ルアミンなどの第3級アミンなどが挙げられる。このル
イス塩基の使用量は、開始剤のリチウムモル数に対し、
0.1〜1,000倍程度用いられる。
【0015】重合の際には、溶媒を使用することが望ま
しい。この重合溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘ
プタン、オクタン、メチルシクロペンタ、シクロヘキサ
ン、ベンゼン、キシレンなどの炭化水素溶媒が用いられ
る。重合反応は、通常、重合温度−30℃〜150℃、
好ましくは0〜80℃、重合時間0.5〜50時間、好
ましくは5〜45時間で実施される。さらに、重合は、
一定温度にコントロールして実施しても、また熱除去を
しないで上昇温度下にて実施してもよい。
【0016】また、重合体ブロック(B)が水素添加さ
れたブロック共重合体(III)の場合には、このようにし
て得られるブロック共重合体を、不活性溶媒中に溶解
し、20〜150℃、1〜100kg/cm2 の加圧水
素下、反応時間0.1〜100時間の範囲で水素化触媒
の存在下で行われる。水素化に使用される不活性溶媒と
しては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼ
ン、トルエン、エチルベンゼンなどの炭化水素溶媒、ま
たはメチルエチルケトン、酢酸エチル、エチルエーテ
ル、テトラヒドロフランなどの極性溶媒が挙げられる。
【0017】また、水素化触媒としては、ジシクロペン
タジエニルチタンハライド、有機カルボン酸ニッケル、
有機カルボン酸ニッケルと周期律表第I〜III 族の有機
金属化合物からなる水素化触媒、カーボン、シリカ、ケ
イソウ土などで担持されたニッケル、白金、パラジウ
ム、ルテニウム、レニウム、ロジウム金属触媒やコバル
ト、ニッケル、ロジウム、ルテニウム錯体、あるいはリ
チウムアルミニウムハイドライド、p−トルエンスルホ
ニルヒドラジド、さらにはZr−Ti−Fe−V−Cr
合金、Zr−Ti−Nb−Fe−V−Cr合金、LaN
5 合金などの水素貯蔵合金などが挙げられる。
【0018】これらの水素化触媒のうちでも、有機リチ
ウムとコバルトの有機カルボン酸塩からなる触媒、例え
ばn−ブチルリチウムとコバルトオクテートからなる触
媒が好ましい。この場合、Li/Co比(モル比)=
2.0〜2.5/1が適当である。この際、炭素−炭素
二重結合の水添率は、水素化触媒、水素化化合物の添加
量、または水素添加反応時における水素圧力、反応時間
を変えることにより調節される。水素化されたブロック
共重合体溶液からは、触媒の残渣を除去し、フェノール
系またはアミン系の老化防止剤を添加し、該溶液から水
添されたブロック共重合体(III)を容易に単離すること
ができる。この水添ブロック共重合体の単離は、例えば
重合体溶液に、アセトンまたはアルコールなどを加えて
沈澱させる方法、重合体溶液を熱湯中に攪拌下、投入し
溶媒を蒸留除去する方法などで行うことができる。
【0019】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、以上の
(I)〜(III)成分を主成分とするが、このほか一般の
樹脂、ゴムに用いられる充填剤(補強剤)を配合するこ
とができる。この充填剤としては、カーボンブラック、
カーボン繊維、ガラス繊維、シリカ、炭酸カルシウム、
マイカ、フェライトなどが挙げられる。この充填剤の使
用量は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量部に対
して、5〜200重量部、好ましくは10〜100重量
部である。5重量部未満では、遮音性が悪く、一方20
0重量部を超えると組成物が脆くなる。
【0020】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、通常の混
練り装置、例えば単軸押出機、二軸押出機、ラバーミ
ル、ブラベンダーミキサー、バンバリーミキサー、加圧
ニーダー、ミキシングロールなどを用いて混合すること
ができる。なお、混練り温度は、混合する成分〔(I)
〜(III)成分〕がすべて溶融する温度であり、通常、1
50〜350℃、好ましくは180〜250℃の範囲で
あることが望ましい。また、混練り時間は、構成成分の
種類、量および混練り装置に依存するため一概に論じら
れないが、加圧ニーダー、バンバリーミキサーなどを混
練り装置として使用する場合には、通常、約3〜10分
程度である。さらに、混練りするにあたり、各成分を一
括混練りしてもよく、また任意の成分を混練りしたの
ち、残りの成分を添加し混練りする多段分割混練り法を
とることもできる。また、本発明熱可塑性樹脂組成物
は、押出成形、射出成形、真空成形、プレス成形、スタ
ンパブル成形などによって各種の成形品とすることがで
きる。このようにして得られる成形品は、その優れた性
質を生かして、自動車部品、電気・電子部品、OA機器
部品として幅広く使用することができる。
【0021】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明のさらに詳細に
説明するが、本発明の主旨を越えない限り、本発明は、
以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例
中、部および%は、特に断らない限り重量基準である。
また、実施例中、各種の物性の評価は、次の方法で測定
した。耐薬品性 試験片(1/2″×1/8″×5″)に定歪1%を付与
した状態で、フロン141bに浸漬し、24時間後の割
れ、クラックを観察した。 ○;割れず。 ×;割れる。耐衝撃性 アイゾット衝撃強度(ASTM D256に準じて測
定、試験片;1/8″、ノッチ付き)、単位=kg・c
m/cm曲げ弾性率 ASTM D790に準じて測定(試験片;1/2″×
3/2″×5″)、単位=kg/cm2 損失係数 厚さ2mmのテストピースを用いて共振法で測定した。
【0022】参考例1 実施例、比較例に使用した各成分は、以下のとおりであ
る。共重合体(I)(アクリロニトリル−スチレン共重合
体) アクリロニトリル含有量=23.5%、数平均分子量1
7,500オレフィン系樹脂(II ) (II) −1;ポリプロピレン〔東ソー(株)製、J50
10B〕 (II) −2;ポリエチレン〔ユニオンポリマー社製、ペ
トロセン〕ブロック共重合体(III) (III)−1;数平均分子量=17,000、ポリスチレ
ンブロックの数平均分子量=10,000、ポリイソプ
レンブロックの数平均分子量=15,000、3,4−
結合含量および1,2−結合含量(合計)=76.5
%、tanδのピーク温度=36℃ (III)−2;数平均分子量=11,000、ポリスチレ
ンブロックの数平均分子量=6,000、ポリイソプレ
ンブロックの数平均分子量=95,000、3,4−結
合含量および1,2−結合含量(合計)=74%、イソ
プレン部分の水素添加率=75%、tanδのピーク温
度=34℃
【0023】実施例1〜9、比較例1〜4 表1〜2に示す配合処方により、以下の手順で熱可塑性
樹脂組成物を作製した。すなわち、各成分を50mmφ
の押出機を用いて270℃で混練りし、ペレットを作製
し、このペレットを射出成形機を用いて射出成形し、テ
ストピースを作製し、物性の評価を行った。結果を表1
〜2に示す。表1から明らかなように、本発明の組成物
(実施例1〜9)は、いずれも耐薬品性(耐フロン
性)、機械的強度に優れていることが分かる。これに対
し、表2から明らかなように、比較例1は、ブロック共
重合体(III)の含量が少なすぎる場合であり、耐衝撃性
が劣る。比較例2は、ブロック共重合体(III)が多すぎ
る場合であり、曲げ弾性率が低い。比較例3は、共重合
体(I)が下限を下回り、かつオレフィン系樹脂(II)
が上限を超える場合であり、曲げ弾性率、耐衝撃性が劣
る。比較例4は、共重合体(III)が上限を超え、かつオ
レフィン系樹脂(II) が下限を下回る例であり、耐薬品
性、耐衝撃性、制振性能が劣る。
【0024】実施例10〜13、比較例5 実施例1、実施例8あるいは比較例1で得られた熱可塑
性樹脂組成物のペレットに、炭酸カルシウムあるいはカ
ーボン繊維を加えて、タンブラーを用いてブレンドし、
2軸押出機を用いて250℃で混練りし、射出成形機で
成形してテストピースを作製し、物性を評価した。結果
を表3に示す。表3から明らかなように、本発明の熱可
塑性樹脂組成物(実施例10〜13)は、いずれも制振
性能、耐薬品性、機械的強度が優れていることが分か
る。これに対し、比較例5は、ブロック共重合体(III)
の含量が下限を下回る比較例1の組成物を用いた例であ
り、制振性能が劣ることが分かる。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐薬品
性と制振性能に優れ、自動車部品、電気・電子部品、O
A機器部品として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 25/12 LDX 9166−4J 53/02 LLY 7142−4J

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (I)シアン化ビニル化合物−芳香族ビ
    ニル化合物共重合体40〜95重量部、および(II) オ
    レフィン系樹脂60〜5重量部〔ただし、(I)+(I
    I) =100重量部〕、ならびに(I)〜(II) 成分の
    合計量100重量部に対し、(III)芳香族ビニル化合物
    を主体とする重合体ブロック(A)と、イソプレンまた
    はイソプレンとブタジエンを主体とし、ビニル結合含量
    が40%以上、0℃以上にtanδの主分散のピークを
    有し、数平均分子量が10,000〜200,000で
    ある重合体ブロック(B)とからなり、かつブロック構
    造がA−(B−A)nまたは(A−B)m(ただし、n
    は1以上、mは2以上の整数)で表される直鎖状あるい
    は分岐状の数平均分子量が10,000〜500,00
    0であるブロック共重合体2〜60重量部、を含有して
    なる熱可塑性樹脂組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002284821A (ja) * 2001-03-22 2002-10-03 Kuraray Co Ltd 制振材用材料及び合成樹脂用制振性改良剤
WO2015125707A1 (ja) * 2014-02-20 2015-08-27 旭化成ケミカルズ株式会社 熱可塑性樹脂組成物、並びに、成形体及びその製造方法

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US10563060B2 (en) 2014-02-20 2020-02-18 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Thermoplastic resin composition, and molded product and method for producing same

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