JPH05279323A - 2,5−ピロリジンジオン誘導体及びその製法 - Google Patents

2,5−ピロリジンジオン誘導体及びその製法

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JPH05279323A
JPH05279323A JP11948292A JP11948292A JPH05279323A JP H05279323 A JPH05279323 A JP H05279323A JP 11948292 A JP11948292 A JP 11948292A JP 11948292 A JP11948292 A JP 11948292A JP H05279323 A JPH05279323 A JP H05279323A
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章雄 大谷
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式〔I〕 (式中、環Aはトリ低級アルコキシフェニル基を表
す。)で示される2,5−ピロリジンジオン誘導体また
はその薬理的に許容し得る塩。 【効果】 この化合物は、優れた抗血栓作用を示すた
め、抗血栓薬として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗血栓作用を有する新
規2,5−ピロリジンジオン誘導体及びその製法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】血栓が心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓症等の
各種疾病を惹起することは良く知られており、このため
従来から組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキ
ナーゼ、ストレプトキナーゼ等の酵素製剤が血栓防止に
広く用いられている。しかし、これらの薬剤は血中で速
やかに分解して薬効を消失し、また非経口投与でしか医
薬用途に供しえない難点がある。一方、2,5−ピロリ
ジンジオンの誘導体としては、N−メチル−3,4−ジ
ベンジリデン体〔ヌーボウ・ジャーナル・デ・キミー
(NOUVEAU JOURNAL DE CHIMI
E),Vol.1,No.5,413−418(197
7)〕が公知であるが、当該化合物の薬理活性は、なに
も知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた抗血
栓作用を有し、かつ従来公知の酵素製剤とは異なり、経
口投与及び非経口投与のいずれでも使用しうる新規化合
物を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係る2,5−ピ
ロリジンジオン誘導体は一般式〔I〕
【0005】
【化4】
【0006】(式中、環Aはトリ低級アルコキシフェニ
ル基を表す。)で示される。
【0007】本発明の目的物〔I〕の具体例としては、
環Aが3,4,5−トリ低級アルコキシフェニル基、
2,3,4−トリ低級アルコキシフェニル基、2,4,
5−トリ低級アルコキシフェニル基、2,4,6−トリ
低級アルコキシフェニル基等のトリ低級アルコキシフェ
ニル基である化合物があげられる。
【0008】本発明の目的物〔I〕は、二つの二重結合
に基づく4種の立体異性体及びその混合物をいずれも含
むものである。この内、薬効上好ましい化合物は、二重
結合部位が共にE−配位を有するものである。
【0009】本発明の目的物〔I〕において、低級アル
コキシ基としては、炭素数1〜6、とりわけ炭素数1〜
4のアルコキシ基があげられる。
【0010】本発明の目的物〔I〕は、遊離の形でもま
たその薬理的に許容しうる塩の形でも医薬用途に用いる
ことができる。薬理的に許容しうる塩としては、例え
ば、ナトリウム塩、カリウム塩の如きアルカリ金属塩、
カルシウム塩の如きアルカリ土類金属塩等をあげること
ができる。
【0011】本発明の目的物〔I〕及びその薬理的に許
容しうる塩は、経口的にも非経口的にも投与することが
でき、経口もしくは非経口投与に適した賦形剤と混合
し、医薬製剤として用いることができる。また医薬製剤
は、錠剤、カプセル剤、散剤の如き固形製剤であっても
よく、溶液、懸濁液、乳液の如き液体製剤であってもよ
い。更に非経口投与する場合には、注射剤の形で用いる
ことができる。投与量は、患者の年齢・体重・状態ある
いは疾患の程度により異なるが、通常1日当たりの投与
量は、経口投与の場合には、0.1〜100mg/k
g、とりわけ0.5〜50mg/kg、非経口投与の場
合には、0.01〜10mg/kg、とりわけ0.05
〜5mg/kgであるのが好ましい。本発明によれば、
目的物〔I〕は、例えば一般式〔II〕
【0012】
【化5】
【0013】(式中、R及びRは、一方が低級アル
コキシ基で他方がアミノ基を表し、環Aは前記と同一意
味を有する。)で示されるカルバモイル化合物を分子内
閉環反応させることにより製造することができる。
【0014】分子内閉環反応は、適当な溶媒中、塩基の
存在下で適宜実施することができる。塩基としては、例
えば、アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、水素化アル
カリ金属、アルカリ金属アルコラート、リチウムジイソ
プロピルアミド等の低級アルキル置換アルカリ金属アミ
ド、n−ブチルリチウム等の低級アルキルアルカリ金
属、トリ低級アルキルアミン、1,8−ジアザビシクロ
[5.4.0]ウンデカ−7−エン等の有機アミンを好
適に用いることができる。
【0015】溶媒は、反応に悪影響を及ぼさない不活性
溶媒であればよく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミ
ド等の有機溶媒又はこれら有機溶媒と水との混合溶媒等
があげられる。反応は、冷却下〜加熱下で幅広く実施で
き、例えば−60℃〜150℃、とりわけ20℃〜15
0℃で好適に実施することができる。
【0016】上記反応において、目的物〔I〕が立体異
性体の混合物として得られた場合は必要により、例え
ば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー法等の常法に
よりそれぞれ分離することができる。
【0017】本発明の原料化合物〔II〕は、新規化合
物であり、例えば、(1)ベンズアルデヒド又はトリ低
級アルコキシベンズアルデヒドとコハク酸ジ低級アルキ
ルエステルとの縮合反応により3−低級アルコキシカル
ボニル−4−フェニル(又はトリ低級アルコキシフェニ
ル)−3−ブテン酸とした後、(2)エステル化の常法
により対応する低級アルキルエステルを製し、(3)こ
れをトリ低級アルコキシベンズアルデヒド(又は工程
(1)でトリ低級アルコキシベンズアルデヒドを使用し
た時は、本工程ではベンズアルデヒドを使用)と反応さ
せて、一般式〔III〕
【0018】
【化6】
【0019】(式中、R11及びR21は、一方が低級
アルコキシ基で他方が水酸基を表し、環Aは前記と同一
意味を有する。)で示されるブテン酸エステル化合物と
し、次いで、(4)化合物〔III〕、その塩又はその
反応性誘導体をアンモニアと反応させて製造することが
できる。縮合反応工程(1)及び(3)は、適当な溶媒
中、塩基(例えば、アルカリ金属アルコラート)の存在
下、冷却〜加熱下、例えば−20℃〜溶媒の沸点で好適
に実施できる。一方、縮合反応工程(4)は、化合物
〔III〕又はその塩を用いる場合、脱水剤(例えばジ
シクロヘキシルカルボジイミド)の存在下に、また化合
物〔III〕の反応性誘導体を用いる場合、脱酸剤(例
えば水酸化アルカリ金属)の存在下又は非存在下に、実
施することができ、これら反応は、適当な溶媒中、冷却
下〜溶媒の沸点、例えば−20℃〜100℃で好適に実
施できる。なお、本明細書中、二重結合を有する化合物
(例えば、化合物〔I〕、〔II〕、〔III〕)の構
造式は、特に明記しない限り、二重結合部位における配
位はシス配位(Z)であってもよく、又トランス配位
(E)であってもよいことを表す。
【0020】
【実施例】
実施例1 (1)(E)−3−メトキシカルボニル−4−フェニル
−3−ブテン酸メチルエステル23.1g及び3,4,
5−トリメトキシべンズアルデヒド19.4gのt−ブ
チルアルコール100ml溶液を、カリウムt−ブチラ
ート11.1gのt−ブチルアルコール100ml溶液
に室温で攪拌下滴下し、次いで、1時間攪拌する。反応
液を冷水200mlに注いで、イソプロピルエーテル抽
出する。水層をpH2−3に調整し、酢酸エチルで抽出
後、酢酸エチル層を洗浄、乾燥し、溶媒を留去する。残
査をジエチルエーテルで結晶化して、(E)−2−
〔(E)−3,4,5−トリメトキシベンジリデン〕−
3−カルボキシ−4−フェニル−3−ブテン酸メチルエ
ステル25.7gを淡黄色結晶として得る。 収 率 :65% M.P.:153−154℃(酢酸エチル−イソプロピ
ルエーテル混液より再結晶) (2)本品25.7gのトリクロロメタン50ml溶液
に、氷水冷下、チオニルクロライド4.7mlを滴下す
る。次いで、ジメチルホルムアミド1滴を加えた後、3
0分間加熱還流する。反応液を25℃以下まで冷却後、
濃アンモニア水20ml中へ激しく攪拌しながら滴下す
る。そのまま30分間攪拌した後、有機層を分離し、洗
浄、乾燥後、溶媒を留去する。残査をジエチルエーテル
より結晶化・ろ取して(E)−2−〔(E)−3,4,
5−トリメトキシベンジリデン〕−3−カルバモイル−
4−フェニル−3−ブテン酸メチルエステル24.9g
を淡黄色結晶として得る。 収 率 :97% M.P.:179−180℃(酢酸エチルより再結晶)
【0021】(3)本品24.9gのテトラヒドロフラ
ン75ml溶液に、2N水酸化ナトリウム水溶液15.
6mlを加え、1時間加熱還流する。室温まで冷却後、
2N塩酸15.6mlを加え、減圧下で濃縮した後、ト
リクロロメタンを加え、洗浄、乾燥後、溶媒を留去す
る。残査を酢酸エチルより再結晶して、3−〔(E)−
ベンジリデン〕−4−〔(E)−3,4,5−トリメト
キシベンジリデン〕−2,5−ピロリジンジオン17.
6gを黄色板状晶として得る。 収 率 :77% M.P.:158−159℃ なお、再結晶母液をシリカゲルカラムクロマト精製して
3−〔(E)−ベンジリデン〕−4−〔(Z)−3,
4,5−トリメトキシベンジリデン〕−2,5−ピロリ
ジンジオンを橙色結晶として得る。 M.P.:193−195℃(酢酸エチル−n−ヘキサ
ン混液より再結晶)
【0022】実施例2 (1)(Z)−3−メトキシカルボニル−4−フェニル
−3−ブテン酸メチルエステルを実施例1−(1)及び
(2)と同様に処理して、(Z)−2−〔(E)−3,
4,5−トリメトキシベンジリデン〕−3−カルバモイ
ル−4−フェニル−3−ブテン酸メチルエステルを無色
結晶として得る。 M.P.:144−146℃(酢酸エチル−n−ヘキサ
ン混液より再結晶) (2)本品を実施例1−(3)と同様に処理して、3−
〔(Z)−ベンジリデン〕−4−〔(E)−3,4,5
−トリメトキシベンジリデン〕−2,5−ピロリジンジ
オンを黄色結晶として得る。 M.P.:176−178℃(酢酸エチル−n−ヘキサ
ン混液より再結晶)
【0023】実施例3 (1)(E)−3−メトキシカルボニル−4−フェニル
−3−ブテン酸メチルエステル及び2,4,6−トリメ
トキシベンズアルデヒドとを実施例1−(1)と同様に
処理して、(E)−2−〔(E)−2,4,6−トリメ
トキシベンジリデン〕−3−カルボキシ−4−フェニル
−3−ブテン酸メチルエステル(泡状物)及び(E)−
2−〔(Z)−2,4,6−トリメトキシベンジリデ
ン〕−3−カルボキシ−4−フェニル−3−ブテン酸メ
チルエステル(M.P.:208−210℃)を得る。 (2)(E)−2−〔(E)−2,4,6−トリメトキ
シベンジリデン〕−3−カルボキシ−4−フェニル−3
−ブテン酸メチルエステルを実施例1−(2)と同様に
処理して、(E)−2−〔(E)−2,4,6−トリメ
トキシベンジリデン〕−3−カルバモイル−4−フェニ
ル−3−ブテン酸メチルエステルを得る。 M.P.:173−174℃ (3)上記生成物を実施例1−(3)と同様に処理し
て、3−〔(E)−ベンジリデン〕−4−〔(E)−
2,4,6−トリメトキシベンジリデン〕−2,5−ピ
ロリジンジオンを得る。 M.P.:246−248℃
【0024】実施例4 (1)(E)−3−メトキシカルボニル−4−(3,
4,5−トリメトキシフェニル)−3−ブテン酸メチル
エステル及びベンズアルデヒドとを実施例1−(1)と
同様に処理して、(E)−2−〔(E)−ベンジリデ
ン〕−3−カルボキシ−4−(3,4,5−トリメトキ
シフェニル)−3−ブテン酸メチルエステルを得る。 M.P.:131−133℃ (2)本品を実施例1−(2)と同様に処理して、
(E)−2−〔(E)−ベンジリデン〕−3−カルバモ
イル−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−3
−ブテン酸メチルエステルを得る。 M.P.:121−122℃ (3)本品を実施例1−(3)と同様に処理して、3−
〔(E)−ベンジリデン〕−4−〔(E)−3,4,5
−トリメトキシベンジリデン〕−2,5−ピロリジンジ
オンを得る。 実施例5−8 (1)参考例1及び4−5で得た対応原料化合物と対応
ベンズアルデヒド化合物とを実施例1−(1)と同様に
処理して、下記第1表記載の化合物を得る。
【0025】
【表1】
【0026】(2)上記生成物を実施例1−(2)と同
様に処理して、下記第2表記載の化合物を得る。
【0027】
【表2】
【0028】(3)上記生成物を実施例1−(3)と同
様に処理して、下記第3表記載の化合物を得る。
【0029】
【表3】
【0030】参考例1 カリウムt−ブチラート16.8gのt−ブチルアルコ
ール150ml溶液に、ベンズアルデヒド15.9g及
びコハク酸ジメチルエステル26.3gのt−ブチルア
ルコール20ml溶液を、室温で攪拌下滴下し、次い
で、30分間攪拌する。反応液を氷水200mlに注い
で、イソプロピルエーテル抽出する。水層をpH2−3
に調整し、酢酸エチルで抽出後、酢酸エチル層を洗浄、
乾燥し、溶媒を留去する。残査をメタノール75mlに
溶かし、氷冷下、チオニルクロライド10.9mlを滴
下し、室温で一晩放置した後、溶媒を留去する。残査に
イソプロピルエーテルを加え、洗浄、乾燥後、溶媒を留
去する。残査を減圧下で蒸留することにより、(E)−
3−メトキシカルボニル−4−フェニル−3−ブテン酸
メチルエステル23.2gを無色油状物として得る。 収 率 :66% B.P.:135−137℃(0.3mmHg)
【0031】参考例2 ベンズアルデヒド21.2g及びコハク酸ジメチルエス
テル40.9gを参考例1と同様に処理し、シリカゲル
精製して、(Z)−3−メトキシカルボニル−4−フェ
ニル−3−プテン酸メチルエステル2.3gを無色シロ
ップ状物として得る。
【0032】参考例3 3,4,5−トリメトキシベンズアルデヒド及びコハク
酸ジメチルエステルを参考例1と同様に処理して(E)
−3−メトキシカルボニルー4−(3,4,5−トリメ
トキシフェニル)−3−ブテン酸メチルエステルを淡黄
色シロップ状物として得る。 参考例4−5 対応原料化合物を参考例1と同様に処理して、下記第4
表記載の化合物を得る。
【0033】
【表4】
【0034】
【発明の効果】本発明の目的物である2,5−ピロリジ
ンジオン誘導体〔I〕及びその薬理的に許容し得る塩
は、経口及び非経口投与のいずれでも優れた抗血栓作用
を奏し、抗血栓薬として、例えば、心筋梗塞、脳卒中、
肺塞栓症、深部静脈血栓症、末梢動脈閉塞症、狭心症、
敗血症及びその他の静脈閉塞症の如き血管病並びに糖尿
病合併症の予防及び治療薬として使用することができ
る。また、経皮的冠動脈形成術後あるいは血栓溶解療法
後の再閉塞の予防薬としても使用することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式〔I〕 【化1】 (式中、環Aはトリ低級アルコキシフェニル基を表
    す。)で示される2,5−ピロリジンジオン誘導体また
    はその薬理的に許容し得る塩。
  2. 【請求項2】 二重結合部位が共にE−配位を有する請
    求項1記載の化合物。
  3. 【請求項3】 環Aが3,4,5−トリ低級アルコキシ
    フェニル基である請求項2記載の化合物。
  4. 【請求項4】 一般式〔II〕 【化2】 (式中、環Aはトリ低級アルコキシフェニル基、R
    びRは、一方が低級アルコキシ基で他方がアミノ基を
    表す。)で示されるカルバモイル化合物を分子内閉環反
    応させ、所望により生成物をその薬理的に許容し得る塩
    とすることを特徴とする、一般式〔I〕 【化3】 (式中、記号は前記と同一意味を有する。)で示される
    2,5−ピロリジンジオン誘導体またはその薬理的に許
    容し得る塩の製法。
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