JPH05278156A - 傾斜機能を有する繊維強化熱可塑性樹脂成形材およびその製造法 - Google Patents

傾斜機能を有する繊維強化熱可塑性樹脂成形材およびその製造法

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JPH05278156A
JPH05278156A JP19750291A JP19750291A JPH05278156A JP H05278156 A JPH05278156 A JP H05278156A JP 19750291 A JP19750291 A JP 19750291A JP 19750291 A JP19750291 A JP 19750291A JP H05278156 A JPH05278156 A JP H05278156A
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JP
Japan
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fibers
thermoplastic resin
layer
fiber
reinforcing
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Application number
JP19750291A
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English (en)
Inventor
Masatsugu Mochizuki
政嗣 望月
Toshiyuki Nishio
俊幸 西尾
Masaaki Yamaguchi
正昭 山口
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Publication date
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  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 一方の面と他方の面とが接する環境が著しく
異なる状況下で使用された場合にも、その熱応力の発生
を極力抑えることが可能で、層間剥離を生ずることがな
く、歪や反りの無い傾斜機能を有する熱可塑性樹脂成形
材を得る。 【構成】 経糸ガラス繊維(強化用繊維)、緯糸PPS
繊維(熱可塑性樹脂繊維)よりなる交織布F1で第1〜
3層、第5層、第6層、第9層を、経糸ガラス繊維、緯
糸ナイロン繊維(熱可塑性樹脂繊維)よりなる交織布F
2で第4層、第7層、第8層、第10〜12層を、それ
ぞれ形成するように積層し、PPS繊維とナイロン繊維
を溶融せしめて圧縮成形することにより、中間層におい
てPPS樹脂とナイロン樹脂の相対的含有量が厚み方向
に徐々に変化した繊維強化熱可塑性樹脂成形材を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内部環境と外部環境が
著しく異なる各種の容器やパイプの構造材として好適な
傾斜機能を有する繊維強化熱可塑性樹脂成形材およびそ
の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、強化用長繊維で強化した熱可塑性
樹脂成形材の製造方法には、エクストリュージョンラミ
ネート法、プルトリュージョン法やフィラメントワイン
ディング法等を適用する方法がある。また、強化用長繊
維に熱可塑性樹脂の粉末をサスペンジョン状態で付与し
て得られる繊維を組み上げるか、あるいは強化用長繊維
に熱可塑性樹脂の融液を含浸して得られる繊維を組み上
げ、その後熱可塑性樹脂を加熱溶融する方法が知られて
いる。しかしながら、一般的に、従来法であるエクスト
リュージョンラミネート法等により得られる強化用繊維
を補強材とする熱可塑性樹脂成形材は硬くて可とう性に
欠けるため、深絞り成形物のような複雑形状の成形には
適さないことが大きな問題点となっている。また、強化
用長繊維に熱可塑性樹脂の粉末をサスペンジョン状態で
付与した繊維を組み上げる方法、あるいは強化用長繊維
に熱可塑性樹脂の融液を含浸した繊維を組み上げる方法
では、得られた繊維およびそれにより形成された織布は
非常に硬くて取扱が同様に困難なものとなる。
【0003】これら問題点を回避するために、特開平2
−14039号では経糸と緯糸の各々が、少なくとも1
種類の熱可塑性樹脂繊維および少なくとも1種類の補強
繊維糸からなる織物を重ね合わせ加熱圧縮成形すること
により熱可塑性樹脂成形材を得る方法が示されている。
しかし、この方法では厚み方向において組成的に均一な
ものしか得られていない。
【0004】さらに、複数の強化用繊維を組み合わせる
ことにより熱可塑性樹脂成形材を得る方法が特開平2−
13623号に示されている。しかしながら、この方法
では厚み方向において異なる材料を単に配置するため、
非連続的な変化による機械的な作用および熱的な応力に
より剥離が生じたり、熱膨張係数の差により、歪や反り
が生じる場合歪や反りが発生するなどの欠点がある。
【0005】また、複数の素材を組み合わせることによ
り複数の機能を付与する方法としてラミネート成形法や
多層フィルム成形法が知られているが、これらの場合に
もその異種成分界面において組成が非連続的に変化する
ために、機械的な作用および熱的な応力により剥離ある
いはその他の欠陥が生じる恐れがあり、また、熱的に膨
張係数の異なる素材を組み合わせる場合、その熱膨張係
数の差により、歪や反りが生じる場合がある。
【0006】また、複数の樹脂を組み合わせることによ
り複数の機能を付与する方法として、一般的にポリマー
ブレンド法やポリマーアロイ法が知られている。しかし
ながら、これらの方法においては、これら複数の素材を
単に均一に組み合わせて使用する方法が主として行われ
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、一方の面と
他方の面とで著しく熱的・化学的・機械的環境が異なっ
ても、熱的な応力に強く、化学的に安定で、機械的な作
用に強く、かつコスト的にも安価で、しかの歪や反りが
発生することのない熱可塑性樹脂成形材(複合材料)を
得ることを技術的課題とするものである。本発明は、ま
た深絞り成形物のような複雑形状の成形物にも適用可能
な傾斜機能を有する繊維強化熱可塑性樹脂成形材および
その製造法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記技術
的課題を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹
脂繊維と強化用繊維とからなり、かつそのいずれか一方
の繊維が2種類の素材から成る編織布を、その中間層に
おいて一方の面から他方の面に向けて相対含有量が徐々
に変化するように積層すれば、所期の目的が達成される
事を見いだし本発明に至った。
【0009】すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂と強化
用繊維とからなり、かつ少なくとも一方が2種類からな
る素材で形成されており、その2種類の素材がそれぞれ
異なる面に配され中間部においては相対的含有量が厚み
方向に徐々に変化していることを特徴とする繊維強化熱
可塑性樹脂成形材、および熱可塑性樹脂繊維と強化用繊
維とからなり、かつ少なくとも一方が2種類からなる素
材で形成され、しかもその2種類の素材の相対的含有量
が異なる複数の編織布を上記2種類の素材の相対的含有
率が積層方向(厚み方向)に徐々に変化するように積層
し、熱可塑性樹脂繊維を溶融せしめて圧縮成形すること
を特徴とする傾斜機能を有する繊維強化熱可塑性樹脂成
形材の製造法を要旨とするものである。
【0010】以下本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明において使用する熱可塑性樹脂繊維
は、熱可塑性樹脂を熱や溶媒等で溶解し繊維化したもの
をいい、例えばポリオレフィン類、ポリエステル類、ポ
リアミド類、ポリアリレート、ポリフェニレンサルファ
イド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテル・エーテ
ルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミ
ド、ポリイミド等のポリマー類またはコポリマー類など
公知の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0012】また、本発明において使用する強化用繊維
は、前記熱可塑性樹脂繊維より融点が高くて、熱可塑性
樹脂の強化用に使用しうる繊維で、例えば、炭素繊維、
ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維、ポリベンゾオキ
サゾール繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維等の長繊
維を挙げることができる。
【0013】次に、これらの繊維を用いて編織成するこ
とにより編織布を得る方法につき説明する。
【0014】編織成は、熱可塑性樹脂繊維と強化用繊維
を用いて行なわれるが、その方法としては、熱可塑性樹
脂繊維と強化用繊維を交織する方法、熱可塑性樹脂繊維
と強化用繊維を引き揃えまたは混繊した糸を編織成する
方法などにより行なうことができる。ここで、混繊を行
なう方法としては特に限定されるものではないが、例え
ば、エアーにより開繊を行ない混合する方法、液中で開
繊を行ない混合する方法、静電気により開繊を行ない混
合する方法等のように従来から知られている方法を使用
することができる。
【0015】また、ここで得られる編織布は、平織り、
綾織り、朱子織りやその変化組織または経編みや緯編み
などの組織で編織成されたものであることが可能であ
る。糸使いなどを変化させることにより種々の組成や組
織を有した編織布を容易に得ることができる。
【0016】また、ここで用いられる熱可塑性樹脂繊
維、強化用繊維の少なくとも一方は2種類であり、この
ほかに第3成分として他の熱可塑性樹脂繊維、強化用繊
維、その他を併用することができる。複数の素材を使用
する場合には、交織、引き揃え、混繊等を適当に組み合
わせることにより複数の素材を有する編織布を得ること
が可能となる。
【0017】また、経織り密度や緯織り密度は任意に設
定することができるため、限りなく種々の織布を得るこ
とができる。
【0018】次に、このようにして得られた編織布を積
層する方法について、図を用いて本発明を詳細に説明す
る。
【0019】図1は、交織により得られた織布を14枚
積層する場合の積層方法についての一例を示す。この図
において、第1層から第4層までは、経糸が密度m本/
inchの強化用長繊維Aより成り、緯糸が密度n本/
inchの熱可塑性樹脂繊維Cより成る平織り織布F1
を積層面内でその方向を90度ずつずらしながら積層し
た状態であり、一方第11層から第14層までは、経糸
が密度x本/inchの強化用長繊維Bより成り、緯糸
が密度y本/inchの熱可塑性樹脂繊維Dより成る平
織り織布F2を同様に90度ずつずらしながら積層した
状態を示す。第5層から第10層は中間層であって、本
例においては第5層、第8層および第9層が織布F2
を、また第6層、第7層および第10層が織布F1とい
うように、各々の織布の積層配列を組み合わせ、これら
を積層面内で90度ずらし積層することにより構成され
ている。
【0020】ここでいう傾斜とは、厚み方向にある素材
が一方から他方に向け徐々にその含有比率を変化させる
ことをいい、本発明では具体的には上に示したような中
間層を形成することにより達成される。
【0021】また、ここで中間層を形成する織布におい
てその織り密度を変化させることは更に有効であり、例
えば第1層、第4層、第6層、第7層、第10層の織布
F1において、この順でmの数およびnの数を徐々に減
らしていき、第5層、第8層,第9層、第11層、第1
4層の織布F2において、この順でxの数およびyの数
を徐々に増やしていくということも可能である。
【0022】また、中間層を形成する織布において糸使
いを変化させることも有効である。例えば、第6層、第
7層および第10層の織布F1の代わりに、連続強化繊
維Aに対しその組成が50%を超えないよう強化用長繊
維Bを経糸に配列し、また熱可塑性樹脂繊維Cに対しそ
の組成が50%を超えないように熱可塑性樹脂繊維Dを
緯糸に配列した織布F1’を、一方第5層、第8層およ
び第9層の織布F2の代わりに、強化用長繊維Bに対し
その組成が50%を超えないように強化用長繊維Aを経
糸に配列し、また熱可塑性樹脂繊維Dに対しその組成が
50%を超えないように熱可塑性樹脂繊維Cを緯糸に配
列した織布F2’を積層する方法等が考えられる。
【0023】ここで積層において各々の織布を、その積
層面内での強化用長繊維の方向に関して例えば45度、
60度または90度ずつずらして積層することは面内等
方性材料を得るためには有効である。
【0024】図2は引き揃えにより得られた織布を14
枚積層する場合の積層方法の一例を示す。この図におい
て第1層から第4層までは経糸が密度p本/inchの
強化用長繊維Aおよび密度r本/inchの熱可塑性樹
脂繊維Cの引き揃えより成り、緯糸が密度q本/inc
hの強化用長繊維Aおよび密度s本/inchの熱可塑
性樹脂繊維Cを引き揃えることにより得られた平織り織
布F3を積層した状態であり、一方第11層から第14
層までは経糸が密度a本/inchの強化用長繊維Bお
よび密度c本/inchの熱可塑性樹脂繊維Dの引き揃
えより成り、緯糸が密度b本/inchの強化用長繊維
Bおよび密度d本/inchの熱可塑性樹脂繊維Dを引
き揃えることにより得られた平織り織布F4を積層した
状態を示す。本例において、中間層は第5層、第8層お
よび第9層が織布F4を、また第6層、第7層および第
10層が織布F3というように、各々の織布の積層配列
を組み合わせることにより構成されている。
【0025】ここで中間層を形成する織布においてその
織り密度を変化させることは更に有効である。
【0026】また、中間層を形成する織布において引き
揃える糸使いを変化させることも有効であり、例えば、
第10層の織布F3の代わりに、経糸は強化用長繊維A
および熱可塑性樹脂繊維Cの引き揃えより成り、緯糸が
連続強化繊維Aおよび熱可塑性樹脂繊維Dを引き揃える
ことにより得られた織布F3’を用い、また第5層の織
布F4の代わりに、経糸は強化用繊維Bおよび熱可塑性
樹脂繊維Dの引き揃えより成り、緯糸が強化用長繊維B
および熱可塑性樹脂繊維Cを引き揃えることにより得ら
れた織布F4’を用いることも可能である。
【0027】ここで積層において各織布を、その積層面
内での強化用長繊維の方向に関して、例えば45度ずつ
ずらして面内積層することは等方性材料を得るためには
有効である。
【0028】また、織布を得る方法において、強化用長
繊維および熱可塑性樹脂繊維より成る混繊糸や、強化用
長繊維同士より成る混繊糸、また熱可塑性樹脂繊維同士
より成る混繊糸を用いることも有効であり、このような
糸を交織あるいは引き揃えて使用することができる。
【0029】また、強化用長繊維と熱可塑性樹脂との接
着性を改良するために、公知の方法であるカップリング
剤処理、酸化処理やプラズマ処理等を行なうことも可能
である。付与の方法としては特に限定されるものではな
いが、糸の状態、織布の状態等で行なうことができる。
【0030】また、使用される熱可塑性樹脂繊維CとD
が一般的に言うところの非相溶である場合、樹脂同士の
界面の特性を改良するために、公知の方法である相溶化
剤処理を必要に応じて行なうことも可能である。付与の
方法としては特に限定されるものではないが、織布の状
態または熱可塑性樹脂繊維を得る際の練込み等で行なう
ことができる。
【0031】このようにして得られた積層体を加熱、加
圧成形する場合、従来より熱可塑性樹脂成形材の成形方
法として一般的に用いられている加熱プレス法、オート
クレーブ法およびダイヤフラム法を用いることができ
る。加熱プレス法の場合、減圧を行ないながら加熱プレ
スを行なうことが好ましい。加熱は織布を構成する熱可
塑性樹脂の融点温度域で行なうが、使用される熱可塑性
樹脂繊維CとDに大きな融点温度差がある場合は、まず
低い融点温度付近まで昇温し、その後、所期の加圧圧力
を負荷した後、直ちに高い融点温度まで昇温を行なうこ
とにより、低い融点温度を有する熱可塑性樹脂の熱分解
を極力抑えながら成形加工を行なうことができる。ある
いは、加熱プレス法の場合、加熱プレス機の上下の熱板
の温度をそれぞれ独立にコントロールし、低い融点側に
接する熱板の温度は低く、高い融点側に接する熱板の温
度は高く設定することにより熱分解や異常熱流動を避け
効率よく所期の目的を達成することができる。
【0032】
【作用】本発明によれば、編織布の積層方法を変化させ
て、一方の面と他方の面においてその素材を相違させ、
さらにその中間層において素材の含有量を徐々に変化さ
せ、これらを加熱成形することにより、その厚み方向に
おける熱可塑性樹脂または/および強化用長繊維の含有
量が徐々に変化したものとなると共に、熱可塑性樹脂同
士の混合状態や強化用繊維と樹脂の接着が良好となる。
このようにして得られる本発明の傾斜機能を有する熱可
塑性樹脂成形材は、その熱可塑性樹脂成形材の内部環境
と外部環境が著しく異なる状況下で使用された場合、例
えば、何れかの側が高温にさらされてもその熱可塑性樹
脂成形材内部における熱応力の発生を極力抑えることが
可能となり、また層間剥離を防止する接合効果に極めて
優れた材料を得ることが可能となる。また、熱可塑性樹
脂成形材の要求性能に応じた素材の選択が可能となり、
経済性にも優れる。また、非対称な構成を有する場合
も、歪や反りの無い熱可塑性樹脂成形材を得ることがで
きる。
【0033】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0034】実施例1および比較例1
【0035】強化用繊維にガラス繊維を、またマトリッ
クスとなる熱可塑性樹脂繊維にPPS(ポリフェニレン
サルファイド)繊維とN6(ナイロン6)繊維を用いた
場合の実施例および比較例を示す。
【0036】まず、実施例として積層する織布の数は全
部で12層であり、その構成は以下のようである。すな
わち、第1〜3層は経糸にガラス繊維(67.5tex
/800f,直径6μ)45本/inch、緯糸にPP
S繊維(210d/72f)40本/inchより成る
織布を用い、第10〜12層は経糸にガラス繊維(6
7.5tex/800f,直径6μ)45本/inc
h、緯糸にN6繊維(210d/72f)40本/in
chより成る織布を用いた。ここで、第4〜9層の中間
層の構成は以下のようである。すなわち、第4層,第7
層および第8層は上に示した経糸ガラス繊維で緯糸N6
繊維より成る織布で構成される。また、第5層,第6層
および第9層は上に示した経糸ガラス繊維で緯糸PPS
繊維より成る織布で構成される。これらの織布はその積
層面内でガラス繊維の方向を45度ずつずらせることに
より積層した。なお、ここで用いられた織布は、いずれ
も1重量%濃度のアミノシランカップリング剤溶液で処
理した。
【0037】一方 比較例として、使用されるガラス繊
維、N6繊維およびPPS繊維の種類は実施例1と同一
物を用い、織布の積層構成を以下に示すように作製し
た。すなわち、全部で12層より構成される織布におい
て第1〜6層は経糸がガラス繊維で緯糸がN6繊維より
成る織布を用いた。また、第7〜12層は経糸がガラス
繊維で緯糸がPPS繊維より成る織布で構成した。これ
らの織布はその積層面内でガラス繊維の方向を45度ず
つずらせることにより積層した。
【0038】次に、上記実施例1および比較例1に示さ
れる構成より成る積層体を加圧・加熱プレスにより成形
した。成形条件は、10torrの真空下にて、最初に
圧力10kg/cmに加圧し、8℃/min.で31
0℃まで昇温後、圧力を25kg/cmに昇圧した。
この状態にて20分保持し、その後温度を15℃/mi
n.の降温速度にて50℃まで下げ、その後雰囲気を大
気圧に戻した。得られた成形体は実施例1の場合には反
りや歪がほとんど無く、また視覚的にも欠陥の無いもの
であった。それに対し、比較例1の場合には明らかに若
干の反りが見られた。JIS−K7055に示される曲
げ試験の結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】上記曲げ試験において、実施例1の場合に
は試験後の試料は曲げ破壊を示したのに対し、比較例1
の場合には剪断破壊を示した。そこで、比較例1の試料
の破壊部を詳細に解析したところ、N6とPPSとの層
間で層間剥離を起こしていた。
【0041】本方法に示される方法でPPSを内側にし
て作った容器は、高温の有機溶剤を入れた場合にも、ひ
び割れや変形を起こす事なく、溶剤や溶液に対して安定
なPPSの特長を持ち合わせるとともに、PPSを10
0%用いたものと同等の強度を有する容器を作った場合
より安価に製作することができた。
【0042】実施例2、比較例2、比較例3および比較
例4
【0043】強化用長繊維にカーボン繊維およびアラミ
ド繊維を、熱可塑性樹脂繊維にPEEK(ポリエーテル
エーテルケトン)繊維を用いた場合の実施例および比較
例を示す。
【0044】まず、実施例として積層する織布の数は全
部で12層であり、その構成は以下のようである。すな
わち、第1〜3層は経糸にカーボン繊維(1800d/
3000f)10本/inch、緯糸にPEEK繊維
(1000d/84f)10本/inchより成る織布
を用い、第10〜12層は経糸にアラミド繊維(110
0d/750f)15本/inch、緯糸にPEEK繊
維(641d/48f)15本/inchより成る織布
を用いた。ここで、第4〜9層の中間層の構成は以下の
ようである。すなわち、第4層、第7層および第8層は
上に示した経糸がアラミド繊維で緯糸がPEEK繊維よ
り成る織布で構成され、第5,第6層および第9層は上
に示した経糸がカーボン繊維で緯糸がPEEK繊維より
成る織布で構成される。これらの織布はその積層面内で
強化繊維の方向を90度ずつずらせることにより積層し
た。
【0045】次に 比較例2として、使用されるカーボ
ン繊維、アラミド繊維、PEEK繊維の種類は上記と同
一物を用い、織布の積層構成を以下に示すように作製し
た。すなわち、全部で12層より構成される織布におい
て、第1〜6層は経糸がカーボン繊維で緯糸がPEEK
繊維より成る織布を用い、また第7〜12層は経糸がア
ラミド繊維で緯糸がPEEK繊維より成る織布で構成し
た。これらの織布はその積層面内で強化繊維の方向を9
0度ずつずらせることにより積層した。
【0046】さらに、比較例3として、全12層がカー
ボン繊維とPEEK繊維より成る織布で構成し、これら
織布はその積層面内で強化繊維の方向が90度ずつずれ
るように積層した。
【0047】さらに比較例4として、全12層がアラミ
ド繊維とPEEK繊維より成る織布で構成し、これら織
布はその積層面内で強化繊維の方向が90度ずつずれる
ように積層した。
【0048】次に、実施例2、比較例2、比較例3およ
び比較例4に示される構成より成る積層体を加圧・加熱
プレスにより成形した。成形条件は、10torrの真
空下にて、最初に圧力10kg/cmに加圧し、8℃
/min.で400℃まで昇温後、圧力を30kg/c
に昇圧した。この状態にて20分保持し、その後温
度を15℃/min.の降温速度にて50℃まで下げ、
その後雰囲気を大気圧に戻した。JIS−K7055に
示される曲げ試験の結果を表2に示す。実際の曲げ試験
は、表と裏で強化繊維の構成が異なる場合には圧縮側に
カーボン繊維が、引っ張り側にアラミド繊維がくるよう
に試験を行なった。
【0049】
【表2】
【0050】表2から明らかなように、曲げ試験におい
て実施例2は比較例2と比較して曲げ強度および弾性率
について約3割高い値を示し、実施例2においてはカー
ボン繊維とアラミド繊維が曲げに際し圧縮および引っ張
りに対しバランス良く配置されていることがわかる。な
お、比較例3においては実施例2より曲げ弾性率におい
てやや高い値を示すものの、強度は低く曲げに対し脆い
材料であった。また、比較例4においては実施例2より
曲げ強度および弾性率ともに低い材料であった。
【0051】このように、本発明において得られた傾斜
機能を有する熱可塑性樹脂成形材は曲げ等の機械的な負
荷に対し、バランスの取れた素晴らしい性能を発揮す
る。
【0052】実施例3および比較例5 強化繊維にガラス繊維を、熱可塑性樹脂繊維に特開昭6
1−16924号,61−55115号,61−788
32号,61−136519号記載の難燃性を有する
(LOI=60)ポリマー(以下、Zポリマー、Z繊維
と呼ぶ。)繊維およびPET(ポリエチレンテレフタレ
ート)繊維を用いた場合の実施例を示す。
【0053】実施例3において積層した織布の数は全部
で12層であり、その構成は以下のようである。すなわ
ち、第1〜3層は経糸にガラス繊維(67.5tex/
800f,直径6μ) 45本/inch、緯糸にZ繊
維(600d/72f)20本/inchより成る織布
を用い、第10〜12層は経糸にガラス繊維(67.5
tex/800f,直径6μ)45本/inch、緯糸
にPET繊維(450d/144f)25本/inch
より成る織布を用いた。ここで、第4〜9層の中間層の
構成は以下のようである。すなわち、第4層,第7層お
よび第8層は上に示した経糸がガラス繊維で緯糸がPE
T繊維より成る織布で構成され、第5層,第6層および
第9層は上に示した経糸がガラス繊維で緯糸がZ繊維よ
り成る織布で構成される。これらの織布はその積層面内
でガラス繊維の方向を45度ずつずらせることにより積
層した。なお、ここで用いられた織布はいずれも1w
t.%濃度のアミノシランカップリング剤溶液で処理し
た。
【0054】次に、比較例5として、使用されるガラス
繊維、Z繊維およびPET繊維の種類は上記と同一物を
用い、織布の積層構成を以下に示すように作製した。す
なわち、全12層より構成される織布に於て第1〜6層
は経糸がガラス繊維で緯糸がZ繊維より成る織布を用
い、また第7〜12層は経糸がガラス繊維で緯糸がPE
T繊維より成る織布で構成した。これらの織布はその積
層面内でガラス繊維の方向を45度ずつずらせることに
より積層した。
【0055】次に、実施例3および比較例5に示される
構成より成る積層体を加圧・加熱プレスにより成形し
た。成形条件は、10torrの真空下にて、最初に圧
力10kg/cmに加圧し、8℃/min.で300
℃まで昇温後、圧力を25kg/cmに昇圧した。こ
の状態にて20分保持し、その後温度を15℃/mi
n.の降温速度にて50℃まで下げ、その後、雰囲気を
大気圧に戻した。このようにして得られた成形体は、実
施例3の場合には反りや歪がほとんど無く、また視覚的
にも欠陥の無いものであった。それに対し、比較例5の
場合には明らかに視覚的に若干の反りが見られた。JI
S−K7055に示される曲げ試験の結果を表3に示
す。
【0056】
【表3】
【0057】上記曲げ試験において、実施例3の場合に
は試験後の試料は曲げ破壊を示したのに対し、比較例5
の場合には剪断破壊を示したことより、比較例5ではZ
ポリマーとPET間で層間剥離が起こっていることが示
唆される。
【0058】本発明に示される方法でZポリマー側に火
炎が接近するような部材を作った場合にも自己消火性で
あり、かつ難燃性であるZポリマーの特長を持ち合わせ
るとともに、Zポリマーを100%用いたものと同等の
強度を有する容器を作った場合よりも安価に作ることが
できた。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、内部環境と外部環境が
著しく異なる状況下(例えば、温度)で使用された場合
にもその熱応力の発生を極力抑えることが可能となり、
また層間剥離を防止する接合効果に極めて優れた材料を
得ることが可能となり、また要求性能に応じた素材の選
択が可能となり、経済性にも優れ、また、非対称な構成
を有する場合も、歪や反りの無い傾斜機能を有する熱可
塑性樹脂成形材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】交織により得られた織布F1とF2を14枚積
層する場合の積層状態を示す展開図である。
【図2】引き揃えにより得られた織布F3とF4を14
枚積層する場合の積層状態を示す展開図である。
【符号の説明】
F1 強化用長繊維A(経糸)と熱可塑性樹脂繊維C
(緯糸)との交織布 F2 強化用長繊維B(経糸)と熱可塑性樹脂繊維D
(緯糸)との交織布 F3 強化用長繊維A、熱可塑性樹脂繊維C(経糸)と
強化用長繊維A、熱可塑性樹脂繊維(緯糸)との引き揃
え布 F4 強化用長繊維B、熱可塑性樹脂繊維D(経糸)と
強化用長繊維B、熱可塑性樹脂繊維D(緯糸)との引き
揃え布

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂と強化用繊維とからなり、か
    つ少なくとも一方が2種類からなる素材で形成されてお
    り、その2種類の素材がそれぞれ異なる面に配され中間
    部においては相対的含有量が厚み方向に徐々に変化して
    いることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂成形材。
  2. 【請求項2】熱可塑性樹脂繊維と強化用繊維とからな
    り、かつ少なくとも一方が2種類からなる素材で形成さ
    れ、しかもその2種類の素材の相対的含有量が異なる複
    数の編織布を上記2種類の素材の相対的含有率が積層方
    向(厚み方向)に徐々に変化するように積層し、熱可塑
    性樹脂繊維を溶融せしめて圧縮成形することを特徴とす
    る傾斜機能を有する繊維強化熱可塑性樹脂成形材の製造
    法。
JP19750291A 1991-05-08 1991-05-08 傾斜機能を有する繊維強化熱可塑性樹脂成形材およびその製造法 Pending JPH05278156A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103112175A (zh) * 2013-02-01 2013-05-22 东华大学 一种连续纤维自增强梯度层合板及其制备方法
JP2016079401A (ja) * 2014-10-17 2016-05-16 王子ホールディングス株式会社 繊維強化プラスチック成形体及び繊維強化プラスチック成形体用基材

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CN103112175B (zh) * 2013-02-01 2015-04-22 东华大学 一种连续纤维自增强梯度层合板及其制备方法
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JP2019130910A (ja) * 2014-10-17 2019-08-08 王子ホールディングス株式会社 繊維強化プラスチック成形体及び繊維強化プラスチック成形体用基材

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