JPH05278133A - 炭素繊維強化炭素材料の耐酸化被覆の欠陥部封止方法 - Google Patents

炭素繊維強化炭素材料の耐酸化被覆の欠陥部封止方法

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JPH05278133A
JPH05278133A JP10395392A JP10395392A JPH05278133A JP H05278133 A JPH05278133 A JP H05278133A JP 10395392 A JP10395392 A JP 10395392A JP 10395392 A JP10395392 A JP 10395392A JP H05278133 A JPH05278133 A JP H05278133A
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Hiroshi Nagao
広志 長尾
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典良 福田
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治郎 平本
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】宇宙往還機等を大気等の酸素含有雰囲気状態で
飛翔する物体の高耐熱性,耐酸化性を有する炭素繊維強
化炭素材料の表面に形成するセラミックス耐酸化被覆の
亀裂やピンホール,ひび割れ等の欠陥部を確実に封止し
基本的な構造の特性を保持することが出来るようにす
る。 【構成】炭素繊維強化炭素の表面に形成したセラミック
ス耐酸化被覆の亀裂やピンホール,ひび割れ等の欠陥部
にアルカリシリケートガラスのアルカリケイ酸塩を含浸
させ、次いで室温中に放置し、水分蒸発作用を介しゲル
化処理させ、更に、加熱処理により緻密なガラス状物質
にし、亀裂やピンホール,ひび割れ内への封孔を確実に
し、且つ、炭素繊維強化炭素のセラミックス被覆との密
着を確実にし、重量軽減を阻止し、機能を維持させるこ
とが出来るようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】開示技術は、所謂スペースシャト
ルの宇宙往還機等の高速空中飛翔体のカバー等の耐熱構
造物に使用可能であって充分な耐酸化性を具備した炭素
繊維強化炭素材料の製造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】周知の如く、科学技術の隆盛はミクロの
世界からマクロの世界にまで及び、その範囲は地球領域
を超えて宇宙領域まで拡大し、止どまるところを知らな
い発達の勢いにある。
【0003】そして、宇宙規模の科学技術の発達は未知
の領域での資源探査,発見の異次元環境に於けるさまざ
まな技術的手段の新規開発等が大いに期待され、したが
って、かかる地球領域と宇宙領域とに亘る制御技術,情
報伝達の技術もまた必要不可欠となっている。
【0004】而して、飛翔体の有限使用は新規構造物の
宇宙空間への流出,廃棄につながって宇宙環境の汚染と
なったり、地球質量の変化等につながる虞があることか
ら、又、コストパーフォーマンス等の点から飛翔体のカ
バー使用態様の構造物が注目されており、所謂スペース
シャトル等の新規の飛翔体の出現がなされ、これに伴う
新たな技術的問題等が生じてきている。
【0005】ところで、かかる飛翔体はその構造上、充
分な強度,剛性を有する必要は勿論のことであるが、軽
量で低コストで取り扱いがし易く、高速で大気圏内を滑
走することから空気との摩擦による高熱に耐え、しか
も、耐酸化性に富むことが基本的に必要である。
【0006】而して、在来高速飛翔体の機体に用いられ
てきている炭素繊維強化炭素材料は高い耐熱性を有し、
しかも、軽量で相当な強度を有することからスペースシ
ャトル等の苛酷な熱環境下で使用される飛翔体のカバー
等の構造物には極めて適合性の高い材料として基本的に
高い期待が寄せられているものではある。
【0007】しかしながら、かかる炭素繊維強化炭素材
料は一方でかかる優れた点を有しているものの、大気中
を高速飛翔することから酸化し易いというマイナス点を
有し、大気等酸素含有雰囲気のもとでは500〜600
℃以上の温度での長時間使用が不可能であるという欠点
を有し、したがって、これに対処するに炭素繊維強化炭
素の耐酸化被覆処理技術が多くの理論実験をふまえてさ
まざまな角度から検討されてきた。
【0008】そして、これらの処理技術のうち最も一般
的であって実用化されているのは拡散反応法や化学蒸着
法(CVD法)等によるセラミックス被覆技術である。
【0009】ところで、炭素繊維強化炭素に対するセラ
ミックス被覆はベースとなる炭素繊維強化炭素自体の熱
膨脹係数が−1〜1×10-6/°Kであるのに対し、被
覆用のセラミックス材料の熱膨脹係数は−3〜10×1
-6/°K以上であるために、酸素含有雰囲気中での高
速飛翔による温度変化に伴う熱応力の発生が避けられ
ず、結果的に被覆セラミックス層の亀裂やピンホール,
ひび割れ等の欠陥部が不可避的に生ずる潜在的な問題が
ある。
【0010】そこで、当然のことながら、該亀裂やピン
ホール,ひび割れ等の欠陥部に対処する技術の開発がな
され、炭素繊維強化炭素においてセラミックス被覆層の
欠陥封止をガラス状物質により行う技術が開発され、そ
の手段として液状有機前駆体を用いる手法が案出されて
おり、例えば、アメリカに於けるスペースシャトルの実
使用態様では炭素繊維強化炭素による構造部品に拡散反
応法を用い、炭化けい素被覆層を形成した後、液状有機
前駆体のテトラエトキシシランを該炭化けい素被覆層の
亀裂やピンホール,ひび割れ等の欠陥部に含浸させ、熱
処理してけい酸ガラスに変換し欠陥封止を行っており、
これらのかかる技術については1979(SAMPE
Vol 24,1979)年の1524ページから15
31ページにかけて開示されており、又、特開平2−6
9382号公報にも拡散反応法と化学蒸着法(CVD
法)とにより得られた炭化けい素被覆の欠陥に液状有機
前駆体であってテトラエトキシシラン、及び、トリエト
キシボランを含浸させ得られたけい酸ガラスとほう酸ガ
ラスで欠陥部を封止する方法が示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】かかる炭素繊維強化炭
素に形成する耐酸化被覆の欠陥部封止を行うにガラス状
物質を用いることは優れた技術ではあるものの、液状有
機前駆体を用いる手段では基本的にガラスに変換する処
理工程で100〜400℃程度の加熱を行って硬化処理
されるが、該硬化処理プロセスにおいて、シリカゲル等
の中間物質が生成され、該シリカゲルは多孔質であっ
て、その後、500〜1000℃に加熱処理してガラス
状物質にするプロセスで収縮作用が生じ易く、完全なひ
び割れ封止がされないという欠点があり、多孔質である
がために、もろく脱落による重量減少が生ずる虞があ
り、必ずしも満足し得る結果が得られない不具合があ
り、前述SAMPE Vol 24,1979年に示さ
れている実使用例では試験圧力が0.05気圧と低く、
酸素が充分でない環境下であるにもかかわらず、980
℃に加熱処理して1.5時間保持した時の重量減少は
2.5mg/cm2 であって、設定された炭素繊維強化
炭素材料の板厚を0.2cm,一般的な比重が1.6と
すれば、1cm2 当りの炭素繊維強化炭素の重量が32
0mgであり、この場合の耐酸化被覆面積が表裏で2c
2 であるところから、炭素繊維強化炭素の重量の1.
6%が1.5時間で消耗することにより構造物としての
強度に大きな影響を及ぼす不都合さがある。
【0012】又、前記特開平2−69382号公報発明
においては大気中で600〜1500℃の加熱処理を3
時間行った後の重量減少は1.3〜2.5%であり、同
様に構造物の強度が大きく後退することになり、アメリ
カ文献AIAA86−0949,1986にはスペース
シャトルに用いられた炭素繊維強化炭素量は酸化による
重量減少が4%になると、構造物としての強度が半分に
もなることが示されており、したがって、実用上液状有
機前駆体を用いての繊維被覆の欠陥部封止は短時間使用
の場合を除き構造物材料として不適当であることが知得
されていることになる。
【0013】
【発明の目的】この出願の発明の目的は上述従来技術に
基づく宇宙往還機等の大気中を高速飛行する飛翔体の機
体等の炭素繊維強化炭素のセラミックス被覆層に於ける
亀裂やピンホール,ひび割れ等の欠陥部の封止の問題点
を解決すべき技術的課題とし、本来的にベースである炭
素繊維強化炭素の構造材料としての充分な強度の維持が
図られ、しかも、使用時間の長短にかかわらず、不可避
的に発生し易い欠陥部を確実に封止することが出来、初
期の機能が充分に発揮出来るようにして宇宙航空産業に
おける材料技術利用分野に益する優れた炭素繊維強化炭
素材料の耐酸化被覆の欠陥部封止方法を提供せんとする
ものである。
【0014】
【発明の背景】出願人はロケット等大気中での高速飛翔
体の開発,検討,製造実施を行っている過程で各種の高
熱環境下での炭素繊維強化炭素の該研究を行っていたと
ころ、セラミックス耐酸化被覆の亀裂やピンホール,ひ
び割れ等の欠陥部にアルカリケイ酸塩の水溶液を含浸さ
せ、ゲル化処理、及び、加熱処理を行うと完全な欠陥部
封止が出来ることを知見し、この出願の発明を実施可能
を完成するに至ったものであり、該アルカリケイ酸塩水
溶液は水ガラスとして建設業等に於いて用いられている
物質であり対象母材の間隙部に良好な流動性を有して侵
透する特性を有し、又、該母材に対する良好な液濡れ性
を有しているものでもあり、大気中に放置した状態では
水分の緩やかな脱離に伴う縮合反応によってゲル化が穏
やかに進行し、又、これに80〜200℃の加熱処理を
施すと、液分がほぼ完全に離脱して極めて緻密なゲル状
物質が得られ、炭素繊維強化炭素に形成したセラミック
ス耐酸化性被覆欠陥部にも含浸状態にさせることが容易
であり、ガラス状物質に変換した状態でも極めて緻密で
炭素繊維強化炭素との結合力が強く脱落せず、構造材と
しての強度の干渉を抑止する機能を有しているものであ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段・作用】前述目的に沿い先
述特許請求の範囲を要旨とするこの出願の発明の構成
は、前述課題を解決するために、宇宙往還機の大気中で
高速飛行する飛翔体の構造材のカバー等のセラミックス
耐酸化被覆に対しアルカリケイ酸塩をスプレー等により
塗布させて含浸させ、その後、室温の大気雰囲気中に放
置し、緩やかに水分蒸発を介しアルカリ成分を含む緻密
なシリカゲルに変換し80〜200℃の加熱処理を行う
ことにより、又、更に、500〜1000℃で追加加熱
処理することにより緻密なガラス状物質に変化させ、ア
ルカリシリケートガラスを得、該アルカリシリケートガ
ラスは欠陥部に親密に充填状態にされて封止を確実にす
ることが出来、炭素繊維強化炭素の構造材としての機能
を確実に保持することが出来るようにした技術的手段を
講じたものである。
【0016】
【実施例】次に、この出願の発明の実施例を説明すれば
以下の通りである。
【0017】先ず、繊維強化炭素の基となる炭素繊維は
一般市販のPAN系,ピッチ系の炭素繊維を用いること
が出来、その繊維態様としては平織り,朱子織りの織
布,多次元織り,立体織布,一次元配向体,フェルト等
を用いることが出来ることが可能であり、かかる炭素繊
維強化素材にマトリックス前駆体としてフェノール樹
脂,フラン樹脂等の熱硬化性樹脂やピッチ等の熱可塑性
樹脂を含浸賦形し焼成炭化処理を行って炭素繊維強化炭
素材料を得ることが出来る。
【0018】このようにして得られた炭素繊維強化炭素
材料は樹脂の残炭率が低いことから多くの気孔を有して
おり、低密度で強度が低く、又、必要に応じ、該気孔内
に更に炭素を充填するという緻密化処理を行うが、かか
る緻密化処理は炭素繊維強化炭素材料の気孔内に樹脂の
再含浸後、焼成炭化するレジンチャー法、或いは、プロ
パン等の炭化水素ガスを高温で気孔内に注入し、熱分解
炭素を沈漬させるCVD(CVI)法を用いることも出
来る。
【0019】そして、得られた炭素繊維強化炭素材料に
対しセラミックス耐酸化被覆形成処理を行うが、用いる
セラミックス素材としては高温強度,耐酸化性の炭素繊
維強化炭素に対する親和性等を考慮すれば、Si,T
i,Zr,Hf等の炭化物,窒化物,ほう化物を利用す
るものであるが、セラミックス被覆処理については緻密
な被覆が形成される化学蒸着法(CVD法)が好ましい
ものであって、炭化物セラミックスに限るとすれば拡散
反応法も採用可能であり、最も望ましくは化学蒸着法
(CVD法)による被覆処理前に予め拡散反応法によっ
て予め炭素炭素強化炭素表面に炭化物セラミックス化処
理を施す多層被覆処理を行うことにより、セラミックス
の炭素繊維強化炭素とセラミックス被覆層の間の良好な
密着性の向上,熱応力の緩和による性能向上が図られる
ものである。
【0020】そして、調整されるセラミックス耐酸化被
覆層の厚みはトータルで15〜500μmであることが
好ましい。
【0021】そして、欠陥部封止手段としては前述した
如く、アルカリシリケートガラスを封孔処理するが、ア
ルカリケイ酸液については粉末状のものを予め水溶液と
して市販されているのを用いても良く、封孔に際し良好
な含浸が得られるように好ましくは水溶液の粘度が0.
01〜1pとなるように水分調整をしておくことが好ま
しい。
【0022】そして、アルカリケイ酸塩としてはケイ酸
ナトリウム,ケイ酸カリウム等が採用出来るものであ
る。
【0023】そして、得られた水溶液はセラミックス耐
酸化被覆層を形成させた炭素繊維強化炭素表面に対しブ
ラッシング,スプレー,ディッピング等の手法でコーテ
ィングすれば良い。
【0024】コーティング後の水溶液は欠陥部に毛細管
現象によって充分な含浸状態を得ることが出来る。
【0025】又、これに代えて真空含浸法、或いは、真
空加圧含浸法等を用いて強制含浸させることも可能であ
る。
【0026】尚、炭素繊維強化炭素表面に対するアルカ
リシリケートガラスの塗布量は表面積当り1〜100m
g/cm2 あれば良く、好ましくは1〜10mg/cm
2 が望ましいものである。
【0027】而して、塗布されたアルカリシリケートガ
ラスは室温の大気雰囲気中に放置することにより緩やか
に水分を蒸発され、脱水に伴う緩やかな縮合反応を介し
容易にアルカリ成分を含むシリカゲルに変換することが
出来、室温の大気中への放置は1〜7日程度で良く、好
ましくは2〜3日が良い。
【0028】そして、室温放置が終了した状態で80〜
200℃の加熱を行うことによって水分を完全に除去す
ることが出来、残留水分の急激な蒸発による発泡を防止
するべく初期段階では100℃を越えない温度で1〜1
0時間程度加熱処理し、次いで、100℃を越える温度
で1〜10時間加熱することが望ましく、脱水完了状態
では更に500〜1000℃で加熱処理し緩やかに残余
のアルカリ成分を除去することが出来、容易に緻密、且
つ、安定したアルカリシリケートガラスを得ることが出
来る。
【0029】次に、上述実施例に則す実験例を比較例と
共に図面を参照して以下に示す。
【0030】先ず、ベースとしての炭素繊維強化炭素材
料は商品名PL−2211フェノールホルムアルデヒド
樹脂をメタノールで溶解希釈し、30重量%とした溶液
に高弾性繊維使用の炭素繊維クロスに含浸し、樹脂目付
量83g/m2 として、その後、オーブン中で80℃温
度で30分間加熱乾燥し、メタノールを揮発させ樹脂含
浸の炭素繊維クロスを得た。
【0031】そこで、該含浸炭素繊維クロスを12枚積
層状態にし、オートクレーブを介して3kg/cm2
圧力で150℃,60分の加熱処理を行い、炭素繊維強
化プラスチックとし、該炭素繊維強化プラスチックをア
ルゴンガスの流下のもとで1時間当り20℃の昇温速度
で2000℃まで焼成し、300×300×2mmtの
炭素繊維強化炭素材料を得た。
【0032】上述の如くして得られた炭素繊維強化炭素
材料に対し、更に、ピッチの含浸、及び、焼成の緻密化
処理を4回反復して行い、密度1.59g/cm3 の炭
素繊維強化炭素材料を得た。
【0033】かくの如くして得られたベースの炭素繊維
強化炭素材料を100×50mmに切断後、以下の如く
してセラミックス耐酸化被覆を行った。
【0034】即ち、先ず粒径10μm以下,純度99.
9%のけい素25重量%,平均粒径1.0μm,純度9
9.8%の炭化けい素75重量%をボールミルにより6
時間攪拌混合し、攪拌混合処理物中に上記炭素繊維強化
炭素材料を埋没させるように黒鉛ルツボ中にアルゴンガ
スを供給して1600℃で200分間反応させ拡散反応
法により炭素繊維強化炭素材料表面に炭化けい素被覆を
形成した。
【0035】次に、炭化けい素被覆状に体積比が四塩化
けい素:メタン:水素=1:1:5なる反応ガスを31
1/分で流通させ反応温度1300℃,反応全圧100
Torrの条件で化学蒸着法(CVD法)による反応を
生じさせ120μmの炭化けい素被覆を重積状に積層し
てセラミックス耐酸化被覆形成の炭素繊維強化炭素材料
を得、更に次の如くしてアルカリシリケートガラスガラ
スによるセラミックス被覆の欠陥部封止を行った。
【0036】先ず、けい酸ナトリウム粉末67部と純水
33部を均一分散状態に混合攪拌し、完全に溶解させ、
水溶液を上述の如くして得られた炭素繊維強化炭素材料
に刷毛を介して所定に塗布した後、高温室内に3日間放
置しオーブンを介し常温から90℃まで30分間加熱処
理し、90℃で60分間維持状態にし、更に、90℃か
ら150℃まで30分間加熱昇温し、続いて更に、15
0℃で120分間保持し、その後、3時間で室温まで降
温冷却し、最後に大気炉により常温から900℃まで1
0分間加熱昇温させ該900℃で5分間保持し、その
後、2時間室温まで降温冷却した。
【0037】このようにして得られたガラス状物質の重
量は元のセラミックス耐酸化被覆層を形成した炭素繊維
強化炭素材料の全表面積に対し3.0mg/cm2 であ
った。
【0038】次に、上述実験例に対する比較例1を示す
と、上述実施例のアルカリシリケートガラスによるセラ
ミックス被覆の欠陥部封止処理を行わない以外は同様な
処理工程をたどらせてセラミックス耐酸化被覆層形成の
炭素繊維強化炭素材料を得た。
【0039】次に、別の比較例2について示すとアルカ
リシリケートガラスによるセラミックス被覆に対する欠
陥部封止処理を行わずにテトラエトキシシラン20部と
トリエトキシボラン80部の混合溶液中にセラミックス
耐酸化被覆形成の炭素繊維強化炭素材料を浸漬させた
後、オーブンにて空気中300℃,1時間加熱処理する
プロセスを6回反復し、けい酸ガラスとほう酸ガラスの
混合物のガラス状物質によりセラミックス被覆の欠陥部
封止処理を行った。
【0040】このようにして、前述実施例と同様処理プ
ロセスでセラミックス耐酸化被覆形成炭素繊維強化炭素
材料を得た。
【0041】そして、上述実験例,比較例1,比較例2
のサンプルを横軸に時間(分),縦軸に温度(℃)を取
る図1の温度履歴で大気中で加熱し加熱後の重量変化を
測定する酸化試験を各サンプルについて3回反復した結
果は次の表1に示す通りである。
【0042】しかし、比較例1については当該サンプル
が2回加熱後形くずれを生じたために、耐酸化試験は2
回で止どめたものである。
【0043】尚、試験前の重量を100としたのは比較
のための指標である。
【0044】
【表1】
【0045】尚、この出願の発明の実施態様は上述実施
例に限るものでないことは勿論であり、例えば、適用対
象の炭素繊維強化炭素はスペースシャトル等の高速飛翔
体以外のものに対しても適用出来ることは勿論のことで
ある。
【0046】
【発明の効果】以上、この出願の発明によれば、基本的
に宇宙往還機等の大気等酸素を含有する雰囲気環境中を
高温下で高速飛翔する物体の耐熱性であって耐酸化性を
充分に有する炭素繊維強化炭素材料において、セラミッ
クス被覆を形成させ、炭素繊維強化炭素とセラミックス
被覆との膨脹係数が相違し、温度変化に伴う熱応力の発
生によって該セラミックス被覆に亀裂やピンホール,ひ
び割れ等の欠陥部の発生が潜在的にある虞があるのに対
し、該欠陥部を確実に封止し、炭素繊維強化炭素の重量
減少を防止し、設計通りの強度が経時的に充分に維持さ
れ、高温酸素含有雰囲気のもとで反復使用出来る炭素繊
維強化炭素材料を得ることが出来るという優れた効果が
奏される。
【0047】而して、耐酸化セラミックス被覆に生ずる
欠陥部にアルカリケイ酸塩の水溶液を含浸させることに
より、小さな亀裂やピンホール,ひび割れ等への良い侵
透性を利用し、良好な液濡れ性を有するようにすること
により上述炭素繊維強化炭素のセラミックス被覆との結
合性が良く、緻密で脱落をせず、重量軽減を抑止するこ
とが出来るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】大気中での加熱処理の温度履歴曲線である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森野 美樹 茨城県つくば市千現2−1−1 宇宙開発 事業団内 (72)発明者 酒井 昭仁 岐阜県各務原市川崎町1番地 川崎重工業 株式会社岐阜工場内 (72)発明者 長尾 広志 岐阜県各務原市川崎町1番地 川崎重工業 株式会社岐阜工場内 (72)発明者 福田 典良 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鐡株式 会社技術研究本部内 (72)発明者 平本 治郎 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鐡株式 会社技術研究本部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素繊維強化炭素材料の耐酸化セラミック
    ス被覆に生ずる欠陥部にアルカリケイ酸塩水溶液を含浸
    させ、ゲル化処理、及び加熱処理によりガラス質を形成
    させ、該欠陥部を封止するようにすることを特徴とする
    炭素繊維強化炭素材料の耐酸化被覆の欠陥部封止方法。
  2. 【請求項2】上記アルカリケイ酸塩水溶液によるゲル化
    処理が、大気雰囲気中で処理温度80〜200℃で行わ
    れることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の炭素
    繊維強化炭素材料の耐酸化被覆の欠陥部封止方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010126553A (ja) * 2008-11-25 2010-06-10 Yokohama Rubber Co Ltd:The タイヤパンク補修材

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