JPH05278129A - 繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造法 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造法

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JPH05278129A
JPH05278129A JP3082572A JP8257291A JPH05278129A JP H05278129 A JPH05278129 A JP H05278129A JP 3082572 A JP3082572 A JP 3082572A JP 8257291 A JP8257291 A JP 8257291A JP H05278129 A JPH05278129 A JP H05278129A
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composite material
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molding
composite raw
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JP3082572A
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Kensuke Oono
野 賢 祐 大
Hiroyuki Uchino
野 洋 之 内
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Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温における剛性と低温における対衝撃性に
優れ、部分的にしかも一方向に高い剛性と耐衝撃性とを
有している繊維強化熱可塑性樹脂成形体を製造する。 【構成】 繊維状強化材と熱可塑性樹脂とから形成され
た複合素材を加熱溶融し、型内で加圧成形して繊維強化
熱可塑性樹脂成形体を製造する方法において、前期複合
材の一部が一方向に引き揃えられた長繊維強化材を含む
熱可塑性樹脂複合素材であって、該複合素材の加熱を、
該複合素材の一方向に引き揃えらえた長繊維強化剤のマ
トリックスを構成する熱可塑性樹脂が溶融しないように
加熱を行うことを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂成形
体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高温における剛性と低温
における耐衝撃性に優れ、部分的にしかも一方向に高い
剛性と耐衝撃性とを有する繊維強化熱可塑性樹脂成形体
の製造法に関するものである。詳しくは、熱可塑性樹脂
と繊維状強化材とを主成分とする複合素材から繊維強化
熱可塑性樹脂成形体を成形する際、成形体の必要な部分
にのみ、一方向に引き揃えられた長繊維強化材を緊張状
態を保ったまま配置し、特定の方向における剛性と耐衝
撃性に優れた、自動車の内・外装部品や、弱電部品など
の工業用部品として供することができる成形体を成形す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、成形体の特定の方向における機械
的強度の優れた成形体を得るための方法として、強化繊
維の一部を一方向に引き揃えた長繊維と熱可塑性樹脂と
からなる複合素材シートを加圧成形する方法が特開昭6
4−81826号や特公平1−22147号公報などと
して知られている。これらの方法はいずれも強化繊維が
一定方向に引き揃えられ、しかも緊張状態を保ったまま
樹脂の融点以上に加熱され、次いで加圧固化されること
により、高い機械的強度が得られるとの発想に基き、複
合素材シートを積層構造となし、一方向に引き揃えられ
た強化繊維を含む層が成形体に残るように工夫がなされ
ている。そして、これらの方法によって形成された成形
体は、無秩序に強化繊維が分散した成形体よりも特定の
方向における機械的強度が優れているので、自動車のバ
ンパービームのような特定の方向の強度が要求される部
材において利用されるようになった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法を用いて熱可塑性樹脂と強化繊維を主成分とする
複合素材シートを加熱・加圧して成形体を成形する際、
該複合素材シートを前記熱可塑性樹脂の融点又は軟化点
以上の温度にまで予熱することが一般的であった。従っ
て、該複合素材シート内で一方向に引き揃えられて緊張
状態にあった強度繊維が、樹脂の流動に伴なって方向性
を失ったり、弛緩状態となったりして得られる成形体の
強度は期待した程度にまでは高くなっていないのが実情
である。また、成形体の形状によっては、予熱された素
材が型内を流動するのに伴って、複合素材シート中の強
化繊維の方向性・緊張性が損なわれてしまうこともあっ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】
〔発明の概要〕 発明者等は、複合成形体の強度の向上について種々の検
討を重ねた結果、該成形体を製造する際、次のおよび
の二種類の複合素材 熱可塑性樹脂と方向性を持たない強化繊維とを主成
分とする複合素材 熱可塑性樹脂と一方向に引き揃えられた強化繊維と
を主成分とする複合素材 を用い、該複合素材が成形体の必要部分にのみ配置さ
れ、しかも強化繊維の方向性・緊張性ができるだけ損な
われないような成形を行なうことにより、特定方向の強
度が著しく改良された成形体が得られるとの知見を得て
本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の繊維強
化熱可塑性樹脂成形体の製造法は、方向性をもたない繊
維強化熱可塑性樹脂複合材(A)と、一方向に引き揃え
られた繊維強化熱可塑性樹脂複合素材(B)との積層体
を、(A)の複合素材のマトリックスを形成する熱可塑
性樹脂は溶融し、(B)の複合素材のマトリックスを形
成する熱可塑性樹脂は溶融しない状態に加熱し、次いで
この積層体を加圧成形することを特徴とするものであ
る。
【0005】〔発明の具体的説明〕 〔I 〕 複合素材 (1) 構成材料 本発明の繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造法におい
て、原材料として用いられる複合素材は繊維状強化材と
熱可塑性樹脂とから基本的に構成されている。 (a) 熱可塑性樹脂 熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン
などのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレ
ン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ア
クリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフ
ェニレンエーテル、ポリエーテルスルフォン、ポリサル
フォン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケ
トン、或いは、これらの変性体やブレンド物などのあら
ゆる熱可塑性樹脂をも適用できる。これらの中でも繊維
状強化材によって耐熱特性(例.熱変形温度)が顕著に
向上する結晶性樹脂を使用することが望ましい。このよ
うな結晶性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリアミド、ポリエステルなどがあるが、
特にポリプロピレン、ポリアミドを用いることが好まし
い。上記複合素材に用いられる熱可塑性樹脂は、全く同
一のものであっても、同一種で何等かの物性の異なるも
のであっても、また全く異なるものであってもよい。
該複合素材に用いられる熱可塑性樹脂材料の形態として
は、ペレット、パウダー、フレーク、繊維およびフィル
ムなどがあるが、後記複合素材の製造方式、たとえば、
次に示す重積方式、含浸方式、分散方式などによって変
わることから、それぞれの製造方式に応じて適宜最適の
ものが選択される。 重積方式 繊維強化材のマットの上に熱可塑性樹脂粉体を散布し、
重積するか、前記マット上に押出成形直後の熱可塑性樹
脂フィルムを重ね、ロールで積層する方法(特公昭61
−14926号公報)。 含浸方式 マット上から樹脂粉体の水性分散液を流し込むか、マッ
トを水性分散液に浸漬してマット中に樹脂を含浸する方
法(ヨーロッパ特許第56703号明細書)。 強化材と樹脂粉体を空気中又は水中で攪拌混合した
後、抄紙等によりマット状に賦形する乾式又は湿式分散
法(特開昭63−158228号、同62−29711
3号、特開平2−51536号各公報)。しかし、本発
明において原材料として用いられる複合素材の製造方式
が、分散方式が好適であることからすると、熱可塑性樹
脂材料の好適な形態としては、パウダー状であることが
好ましく、特に粒径1mm以下のパウダーであることが好
ましい。形成しようとする複合素材の各形態によって、
用いられる樹脂材料の形態が若干異なるが、その形態は
複合素材の製造方式に応じて適宜選択される。たとえば
押出コーティング法においてはペレット状のものが用い
られ、流動床式コーティング法においてはパウダー状の
ものを用いられるのが一般的である。熱可塑性樹脂材料
には、その使用目的に応じてさらに添加剤、フィラー、
着色剤、発泡剤、架橋剤などを添加することができる。
【0006】(b) 繊維状強化材複合素材用繊維状強化材 後記複合素材を形成するのに用いられる繊維状強化材
としては、比較的短繊維状のパルプ・木粉などの天然繊
維、ガラス繊維・カーボン繊維・金属繊維などの無機繊
維およびプラスチックス繊維、アラミッド繊維などの合
成繊維およびそれらの混合物を挙げることができるが、
特に直径が3〜20μm、長さが3〜50mm程度のガラ
ス繊維が好んで用いられる。このような繊維状強化材の
形態としては、用途に応じて、これらの単繊維状、スト
ランド状、ロービング状、織物状或いはそれらの組合わ
せのものを用いることができる。これらの繊維状強化材
を表面処理したり、改質剤を含浸したりして用いること
もできる。複合素材繊維状強化材 また、後記複合素材を形成するのに用いられる繊維状
強化材としては、上記複合素材を形成するのに用いら
れる繊維状強化材が適用されるが、その形態としては、
形成しようとする複合素材の形態によって異なるが、一
方向に引き揃えられた強化繊維束やテープが形成される
ことが必要である。このような繊維状強化材としては長
繊維のストランドやロービングの形態のものが好まし
い。中でも直径3〜20μm、長さが3mm以上、好まし
くは6mm以上のガラス長繊維のストランドやロービング
が特に好ましい。また、使用目的に応じて2種以上の長
繊維を併用したり、これらの繊維状強化材を表面処理し
たり、改質剤を含浸したりして用いることもできる。ま
た、目的を損なわない範囲でこれらの強化材料をニード
リングしたり、糸で編んだりすることもできる。
【0007】(2) 複合素材の製造 (a) 複合素材の形態 本発明の繊維強化熱可塑性樹脂成形体を製造する際に用
いられる複合材としては、以下に示すおよびの少な
くとも二種類の複合素材が用いられる。 熱可塑性樹脂と方向性を持たない繊維状強化材とを
主成分とする複合素材 熱可塑性樹脂と一方向に引き揃えられた繊維状強化
材とを主成分とする複合素材
【0008】(b) 複合素材の製造 上記方向性を持たない強化繊維を含有する複合素材の
製造法としては、重積法、含浸法、分散法などが存在す
るが、本発明の適用はいずれの製法にも制限されるもの
ではない。これらの中では、乾式又は湿式による分散法
が好ましく、特に湿式分散法によって製造されたものが
好ましい。前記湿式分散法によって複合素材を製造する
方法について具体的に述べれば、直径約1mm以下のパウ
ダー状熱可塑性樹脂50〜90重量%と直径3〜25μ
m、長さ約3〜50mmのガラスのチョップドストランド
よりなる繊維状強化材50〜10重量%との混合物を、
予め界面活性剤を加えて撹伴し充分に泡立てた水中に投
入し、さらに撹伴を続けて分散させた後、この分散物を
フィルターを通過させて泡(水)を槇過して、得られた
混抄物(ウェブ)を乾燥することによって複合材が得ら
れる。或いは、さらに該ウェブを加熱して熱可塑性樹脂
を溶融させて500〜5,000g/m2 程度のシート
に成形することによって複合材が得られる。
【0009】(c) 複合素材の製造 上記一方向に引き揃えられた繊維強化材を含有する複合
素材の製造法としては、長繊維ストランド又はロービ
ングを一方向に引き揃えた束又はマット状の素材を出発
物質として用い、(イ) これら出発物質を熱可塑性樹
脂の押出機のダイ部にフィードして熱可塑性樹脂をコー
ティングする方法(押出コーティング法)、(ロ) こ
れら出発物質を予熱した後、熱可塑性樹脂のパウダーが
浮遊状態にある流動床の中にフィードしてコーティング
を行なう方法、(ハ) 一方向に引き揃えられた長繊維
強化材のマットの片面又は両面に熱可塑性樹脂のシー
ト、フィルム又はパウダーを配して加熱加圧する方法、
(ニ) 一方向に引き揃えられた長繊維強化材のマット
の片面又は両面に湿式分散法によって得られるウェブを
配し加熱加圧する方法などを採用することができる。い
ずれの方法においても、繊維状強化材が緊張性を保持し
たまま熱可塑性樹脂によって加熱固化されることと、望
ましくはストランドやロービングの内部にまで熱可塑性
樹脂が充分含浸されることが重要である。これらの複合
素材の製造法の中でも、(イ)の押出コーティングする
方法により、ストランド状、テープ状、リボン状又はシ
ート状などの複合素材を得る方法は応用範囲が広く好
ましい。また、本製造法で得られたストランド状、テー
プ状、リボン状の複合素材は、次工程にて熱融着など
によってシート状に変形させたりする方法を採用するこ
ともできる。複合材を製造する方法の代表例として以下
に押出コーティング法について具体的に説明する。前記
一方向に引き揃えられた繊維状強化材、特に直径3〜2
0μmのガラス長繊維からなるロービングを、所要量連
続的に熱可塑性樹脂の押出機のダイにフィードし、ダイ
内で充分に樹脂を含浸させた後、緊張状態を保持したま
まの状態で冷却固化させて、直径1〜5mm程度、ガラス
長繊維含有量が20〜80重量%、樹脂含量が80〜2
0重量%程度のストランドとするか、或いは厚さ0.5
〜10mm、幅5〜200mm程度、ガラス長繊維含有量が
20〜80重量%、樹脂含量が80〜20重量%程度の
シートとする。
【0010】〔II〕 繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製
造 (1) 複合素材の予熱 本発明の繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造法は、前記
複合素材とを予熱し、次いで、型内でフローモール
ディング、スタンプ成形などの加圧成形を行なって成形
するのであるが、本発明においては予熱が極めて重要な
ことである。このような複合素材の予熱は、型内で行な
う場合と型外で行なう場合とがあり、本発明はいずれの
方法にも制限されるものでない。以下に一般的に行なわ
れている型外での予熱について具体的に説明する。 (a) 複合素材の予熱 複合素材の予熱は、赤外線ヒーター、熱風ヒーター、
接触式ヒーターなどの汎用の予熱装置を用いて行なうこ
とができる。該予熱によって、複合素材が型内で加圧
された状態で、充分な流動性を示す温度、一般には熱可
塑性樹脂が結晶性を示すものである場合は溶融点又は非
晶性を示すものである場合は軟化点より20〜80℃高
い温度となるように保持される。
【0011】(b) 複合素材の予熱 予熱のための装置は(a)項の「複合素材の予熱」と
同様のものが使用されるが、複合素材の予熱温度は、
熱可塑性樹脂が結晶性を示すものである場合は溶融点又
は非晶性を示すものである場合は軟化点より僅かに低い
温度(例えば1〜5℃低い温度)から溶融点(又は軟化
点)より100℃低い温度までの、好ましくは溶融点
(又は軟化点)より僅かに低い温度から溶融点(又は軟
化点)より50℃低い温度までの範囲の温度となるよう
に設定される。この範囲以上の温度では強化繊維の方向
性・緊張性が損なわれて成形品の強度が充分でなく、ま
たこの範囲以下の温度(例えば予熱なし)では、前記複
合素材〜の融着が不完全となり、成形品の強度が低
下する。 (c) 予熱方法 実際の成形加工時の複合素材とをそれぞれ別々の予
熱装置を用いて予熱するときは、予熱装置の設定温度、
予熱時間などをそれぞれの素材に合わせて制御すること
により、前述の予熱温度を達成することができる。しか
し、経済性や設置面積などの制約から双方を1個の予熱
装置を用いて予熱しなければならないときは、次のよう
な態様が考えられる。 (イ) 複合素材を予熱装置にフィードする時間を遅
らせる。 (ロ) 複合素材を他のマスキング材で覆って予熱す
る。 (ハ) 複合素材に用いる熱可塑性樹脂を、複合素材
に用いる熱可塑性樹脂よりも溶融・軟化特性のゆっく
りしたもの、又は溶融・軟化温度の高いものとする。
【0012】(2) 予熱した複合素材の型へのチャー
ジ 複合素材のチャージは、既に一般に行なわれている方
法を採用することができる。具体的には成形品の投影面
積よりやや小さめ(50〜80%)のブランクを1枚又
は数枚重ねてチャージした後、加圧によってフロー成形
したり、或いは、成形品の投影面積とほぼ等しいか、や
や大きめ(105〜200%)のブランクを1枚又は数
枚重ねてチャージした後、加圧によって変形させて成形
(スタンプ成形)したりすることによって行なわれる。
また、これらのチャージ方法を併用することによって行
なうこともできる。複合素材チャージの仕方は得られ
る製品の物性に極めて重要な影響を及ぼす。 以下に図
1および図2に示されるような自動車用バンパービーム
の成形を行なう場合の例を挙げて、以下に複合素材のフ
ィード方法をいくつか例示するが、本発明方法はこれら
の例示に制限されるものではない。いずれのフィード方
法も自動車用バンパービームにおいて一定の方向(長手
方向)の強度が特に強く要求される部分にのみ一方向に
引き揃えられた強化繊維を含む複合素材をチャージし
て成形する点は共通である。図3に示す方法は、自動車
用バンパービーム1の正面部1aに複合素材2を型4
内にチャージし、その上(又は下)に複合素材3を配
置すると共に、バンパービームの端部1bに複合素材
3を単独で配置した後、型締めを行なって複合素材2
を加圧下に流動させる。その後、冷却して成形体を得る
ものである。また、図4に示す方法は、自動車用バンパ
ービーム1の正面部1aに複合素材2で上下を覆うよ
うに複合素材3を配置する以外は図3に示す方法と同
様にして成形体を得るものである。どちらのケースにお
いても、複合素材3が実質的に溶融せず、著しい流動
による変形を受けず、しかも複合素材2との接触面で
のみ融着が行なわれて、強化繊維の方向性・緊張性が失
われないようにチャージと成形を行なうことにより、所
望の部分の局部的な一方向の強度が得られる。図5に示
す方法では、チャージの方法は図3に示す方法と類似す
るが、複合素材2の面積が最終成形体の投影面積より
も大きい点が異なっている。従って、型締めにより、複
合素材2は延伸と圧縮を受け、複合素材3との接触
面で融着が行なわれるが、図3および図4に示す方法に
比べると複合素材2の著しい流動を伴わないので、所
望の部位に複合素材3を固定しやすいといった利点が
ある。
【0013】(3) 成形体の製造 予熱した複合素材とを型4内にチャージした後、型
締めにより圧力を加えて成形体を製造するに際しては、
型締めのタイミング・型締めの速度・成形圧力・保圧時
間・型温度などが重要である。 (a) 型締めのタイミング 複合素材を予熱装置から取り出す瞬間と型締めを開始す
る瞬間との間の時間はできるだけ短い方がよい。通常1
分間以内、できれば20秒以内が望ましく、それ以上長
時間をかけた場合、複合素材の温度が低下して加圧時の
流動性・変形性および複合素材およびの融着が阻害
される。 (b) 型締めの速度 複合素材の温度が低下しないうちに賦形を終了させて成
形サイクルを短縮させることから、型締め開始から型締
め終了までの時間をできるだけ短くする方が良い。但
し、複合素材をフィードしなかった型(通常上型)が複
合素材と接触した後の型締め速度を5〜50mm/sec 、
特に10〜30mm/sec 位に制御することが好ましく、
あまり型締め速度が速すぎると複合素材の変形がそれに
追随できなくなる。また、逆にあまり遅すぎると複合素
材の冷却が進行して完全な賦形が行なえない。 (c) 成形圧力 成形圧力は、その成形方法(フロー成形、スタンプ成形
など)により若干異なるが、通常1〜400kgf /c
m2 、好ましくは3〜300kgf /cm2 、より好ましく
は10〜200kgf /cm2 である。成形圧力が上記範囲
より低いと複合素材の流動や変形が充分起こらず、ま
た、上記範囲より高すぎると複合素材の変形・破断が
起ったり、成形装置の経済性の面で不利になる。 (d) 保圧時間 保圧時間は、成形体の肉厚などにより著しく異なるが、
成形体の冷却が充分行なわれ、保圧を解除しても成形体
が変形しなくなるまで、充分な時間をとる必要がある。
通常、成形体の肉厚4mmにおいては60秒以上、10mm
においては120秒以上の保持することが好ましい。 (e) 型温度 通常、常温から複合素材を構成する熱可塑性樹脂の熱変
形温度よりも低い温度までの温度範囲内で行なわれる。
型温度があまり低すぎると複合素材の流動が阻害され
たり、成形体の表面外観が損なわれたりするし、また、
あまり高すぎると著しく長いサイクルタイムを必要とす
る。実際には実験により最適の型温度を予め設定してお
く必要がある。
【0014】
【実験例】本発明の繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造
法について、具体的に説明するため、以下に実施例およ
び比較例を示すが、これら実験例は本発明の目的を損な
わない限り、これらに限定されるものではない。なお、
実施例および比較例中の物性の評価は以下に示す評価方
法にて測定を行なった。評価方法 (1) 曲げ強度:JIS−K7113に規定される方
法によって行なった。なお、測定温度は23℃であっ
た。 (2) 曲げ弾性率:JIS−K7113に規定される
方法によって行なった。なお、測定温度は23℃であっ
た。 (3) アイゾット衝撃強度:JIS−K7110に規
定される方法によって行なった。 なお、測定温度は23℃であった。
【0015】比較例1 平均粒径350μmのポリプロピレンパウダー(三菱油
化(株)製試作品TX−1277、JIS−K7210
によるメルトフローレート25g/10分、融点約16
4〜167℃)60重量%と、直径約10μm、長さ約
13mmのガラスのチョップドストランド(日本電気硝子
製、ECS−13−IP−140G)40重量%との混
合物を、予め界面活性剤を加えて撹伴し充分に泡立てた
水中に投入し、さらに撹伴を続けて分散させた後、フィ
ルターを通して泡(水)を槇過して得られた混抄物(ウ
ェブ)を乾燥させた。次いで、該ウェブを加熱・加圧し
て縦31cm×横34cm、坪量が4,600g/m2 程度
のシートに成形した。次に、このシートを約23cm×約
14cmの大きさに裁断したもの2(以下A材料と呼ぶ)
2枚を赤外線ヒーターで約6分間予熱し、表面温度約2
20℃、中心部℃約200℃となるように予熱した。そ
して、この予熱されたシート2枚を重ね合せ、新井製作
所製70トン油圧プレスと、図6に示すような形状の雄
雌型4a,4bを用い150kgf /cm2 の圧力をかけて
フロー成形して縦25cm×横16cm×肉厚約3mmの平板
5を得た。この平板5の図7に示す切り出し位置(縦、
横)5a,5bから試験片5a,5bを切り出して、該
試験片5a,5bの曲げ強度、曲げ弾性率、およびアイ
ゾット衝撃強度を測定した結果を表1に示す。
【0016】比較例2 繊維径16μm、繊維数約4,000本のガラスロービ
ング(旭ファイバーグラス製、R2200 TM FT
631)を押出機のダイに供給し、該ガラスロービン
グにJIS−K7210によるメルトフローレート30
g/10分のポリプロピレンホモポリマー(融点約16
4〜167℃)を押出コーティングし、テンションをか
けながら冷却して直径約3mm、ガラス含量約40重量%
の、ポリプロピレン含量60重量%であって、ガラスロ
ービングが一方向に配向したストランド3(以下B材料
と呼ぶ)を得た。このストランド自体の曲げ強度および
曲げ弾性率を測定した結果を表1に示す。
【0017】比較例3 比較例2で得たストランド3を約24cmの長さに切断し
たもの(B材料)30本と、A材料2枚とを比較例1と
同一の装置を用い2台の加熱炉を用い、同一の方法で2
20℃に予熱した。即ち、B材料3をA材料2で図8に
示すようにサンドイッチして型内にフィードし、比較例
1と同一の方法でフロー成形して厚さ約4mmの平板5を
得た。この平板の図9に示す切り出し位置(縦、横)5
a,5bから試験片5a,5bを切り出して、該試験片
5a,5bの曲げ強度、曲げ弾性率、およびアイゾット
衝撃強度を測定した結果を表1に示す。なお、図9の斜
線部分はB材料3による強化部分5cである。縦方向の
各物性値は僅かに向上するにとどまった。
【0018】比較例4 上記B材料3の予熱を別の赤外線ヒーターでB材料3の
表面温度が175℃となるような別の条件で行なった以
外は、比較例3と同様のフロー成形を行なって平板5を
得た。この平板の図9に示す切り出し位置から試験片5
a,5bを切り出し、該試験片5a,5bの曲げ強度、
曲げ弾性率、およびアイゾット衝撃強度を測定した結果
を表1に示す。各物性値は比較例3とほぼ同一であっ
た。
【0019】実施例1〜3 A材料の表面温度がそれぞれ220℃、220℃、22
0℃となるように加熱炉を用い、かつ、上記B材料3の
表面温度がそれぞれ160℃、140℃および120℃
となるように別の加熱炉を用いて予熱した以外は、比較
例3と同様のフロー成形(成形品の大きさ縦25cm×横
16cm×肉厚1〜10mm)を行なって平板5を得た。こ
の平板の図9に示す切り出し位置(縦,横)5a,5b
から試験片5a,5bを切り出し、該試験片5a,5b
の曲げ強度、曲げ弾性率、およびアイゾット衝撃強度を
測定した結果を表1に示す。特に縦方向の各物性値が比
較例3と較べて向上した。
【0020】比較例5 上記B材料3を予熱せずに用いた以外は、比較例3と同
様のフロー成形を行なって平板5を得た。この平板5の
図9に示す切り出し位置から試験片5a,5bを切り出
す際にA材料2とB材料3とが分離してしまって、試験
片5a,5b物性の評価が不可能であった。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】方向性を持たない繊維強化熱可塑性樹脂
複合素材と一方向に引き揃えられた繊維強化熱可塑性
樹脂複合素材の積層体をの複合素材のそのマトリッ
クスを形成する熱可塑性樹脂が溶融し、の複合素材の
マトリックスの熱可塑性樹脂は融点又は軟化点より低い
温度である状態に加熱し、次いでこの積層体を加圧成形
することによって得られた繊維強化熱可塑性樹脂成形体
は、特定の方向の機械的強度が著しく向上されたもの
で、自動車部品など高強度の要求される用途に適した工
業的に極めて有益な材料である。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車用バンパービームの斜視図である。
【図2】図1の自動車のバンパービームのA−A線断面
図である。
【図3】本発明における自動車用バンパービームをフロ
ー成形する際の複合素材のフィード方法の一態様を示す
成形前(a)後(b)の断面図である。
【図4】本発明における自動車用バンパービームをフロ
ー成形する際の複合素材のフィード方法の他の態様を例
示する成形前(a)後(b)の断面図である。
【図5】本発明における自動車用バンパービームをスタ
ンプ成形する際の複合素材のフィード方法の一態様を例
示する成形前(a)後(b)の断面図である。
【図6】実施例において用いた雄雌型の断面図である。
【図7】比較例1における試験片の切出し位置の説明
図。
【図8】比較例3〜5および実施例1〜3における複合
素材のフィード方法の説明図。
【図9】比較例3〜5および実施例1〜3における試験
片の切出し位置の説明図。
【符号の説明】
1 バンパービーム 1a 正面部 1b 端部 2 複合素材(A材料) 3 複合素材(B材料) 4 型 4a 雄型 4b 雌型 5 平板 5a 縦切り出し試験片 5b 横切り出し試験片 5c B材料による強化部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 105:14

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】方向性をもたない繊維強化熱可塑性樹脂複
    合材(A)と、一方向に引き揃えられた繊維強化熱可塑
    性樹脂複合素材(B)との積層体を、(A)の複合素材
    のマトリックスを形成する熱可塑性樹脂は溶融し、
    (B)の複合素材のマトリックスを形成する熱可塑性樹
    脂は溶融しない状態に加熱し、次いでこの積層体を加圧
    成形することを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂成形体
    の製造法。
JP3082572A 1991-04-15 1991-04-15 繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造法 Withdrawn JPH05278129A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7596394B2 (en) * 2005-06-21 2009-09-29 Lite-On It Corporation Handhold wireless device

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