JPH05277005A - 成型面ファスナー及びそれを用いた係合システム - Google Patents

成型面ファスナー及びそれを用いた係合システム

Info

Publication number
JPH05277005A
JPH05277005A JP10875892A JP10875892A JPH05277005A JP H05277005 A JPH05277005 A JP H05277005A JP 10875892 A JP10875892 A JP 10875892A JP 10875892 A JP10875892 A JP 10875892A JP H05277005 A JPH05277005 A JP H05277005A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molded surface
surface fastener
engaging piece
engaging
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10875892A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeo Anzai
成雄 安斉
Kunihiko Shimamura
邦彦 島村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP10875892A priority Critical patent/JPH05277005A/ja
Publication of JPH05277005A publication Critical patent/JPH05277005A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Slide Fasteners, Snap Fasteners, And Hook Fasteners (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 2枚の成型面ファスナーを係止した状態で一
方のファスナーを横方向に若干移動させられ、また縦方
向に自由にスライドさせられる、取り付け位置の調整が
容易な成型面ファスナーの提供。 【構成】 基板1に同一方向に湾曲した断面鉤形状を有
する複数の連続突起状の係合片2が一定の間隔で立設さ
れた成型面ファスナーであって、係合片の頂部までの高
さが 1.5〜 5mm、点 Xと点 Zまでの距離 Bが 1.5〜 5m
m、直線 Lから係合片の頂部までの高さ Aと基板表面か
ら直線 Lまでの高さ E及び点 Xから基板に平行に延在さ
せた直線が係合片の内壁に当接するまでの距離 Dとの関
係、点 Xと隣接する係合片の点 Zとの間の間隙 Sと距離
Bとの関係及び距離 Dと係合片の間隔B+Sとの関係が
特定の関係式を満足するよう構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は成型面ファスナー及びそ
れを用いた係合システム、特に断面が鉤形状を有する複
数の連続突起状の係合片が一定の間隔で立設された2枚
の成型面ファスナーを係止一体化させることができ、し
かも2枚の成型面ファスナーを係止させた状態で一方の
成型面ファスナーを係止方向(以下横方向と称す)に若
干移動させることができ、かつ係合片方向(以下縦方向
と称す)に自由にスライドさせることのできる成型面フ
ァスナー及びそれを用いた係合システムに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より、“マジックテープ(登録商
標)”、“マジタッチ(登録商標)”なる商品名で市販
されている面ファスナーは、基板の一表面に合成繊維の
単糸、または膨頭部を有する樹脂成型体からなる多数の
フック状係合素子を立設した雄面ファスナーと、基板の
一表面に多数のループ状係合素子を設けた雌面ファスナ
ーからなり、これら2つの係合素子を係止させることに
よって、雄面ファスナーと雌面ファスナーを密着一体化
させる。
【0003】また“スコッチメイト(登録商標)”、
“デュアルロック(登録商標)”なる商品名で市販され
ている面ファスナーは、上記雄面ファスナーと雌面ファ
スナーを密着一体化させる係止方法と異なり、基板の一
表面に頭付き突起からなる多数の係合素子を群状に立設
した、同一形状の2つの面ファスナーの係合素子を対向
させ、面ファスナーの頭付突起を相手側の頭付突起間に
嵌入させることにより、面ファスナー同志を密着一体化
させる。上記係止方法は、いずれも面状の多数の点的係
合により2つの面ファスナーを密着一体化させる方法で
あり、密着一体化させた状態での自由度は小さい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来の面ファス
ナーは、いづれも2つの面ファスナーの確実な密着一体
化を目的とするものである。そのため、密着一体化させ
た状態で位置調整のために一方の面ファスナーを移動さ
せることは困難である。密着一体化させた状態の面ファ
スナーを無理やり移動させようとすると密着面に大きな
剪断力が働いて、面ファスナーが引き離されたり、係合
素子が破壊される。従来の面ファスナーは密着一体化さ
せた一方の面ファスナーの取り付け位置を調整する場合
には、面ファスナーを離脱させた後、一方の面ファスナ
ーを所定の位置に移動させて再度密着一体化させる必要
がある。そのため取り付け位置を微妙に調整する必要の
ある用途への適用は本質的に不向きである。
【0005】したがって本発明の目的は、上記問題点を
解消した成型面ファスナー及びそれを用いた係合システ
ムを提供することにある。本発明の他の目的は、2枚の
成型面ファスナーを係止一体化させた状態で一方の成型
面ファスナーを横方向に若干移動させることができ、ま
た縦方向に自由にスライドさせることのできる、取り付
け位置の調整が容易な成型面ファスナー及びそれを用い
た係合システムを提供することにある。本発明の目的
は、押し出し成型または射出成型により容易に製造する
ことのできる安価な成型面ファスナー及びそれを用いた
係合システムを提供することにある。
【0006】これら全ての目的は、本発明の成型面ファ
スナーが極めて単純な方法で、かつ極めて低減したコス
トで製造されることにより初めて達成できる。本発明の
成型面ファスナー及びそれを用いた係合システムは、従
来の面ファスナーの適用分野は言うまでもなく、取り付
け位置を微妙に調整する必要のある用途、例えばハウジ
ング分野における内外装材の取り付け、自動車、航空機
等のシートカバーの取り付けなど各分野において広く利
用することができる。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち請求項1記載の
発明は、基板の少なくとも一表面に、同一方向に湾曲し
た断面鉤形状を有する複数の連続突起状の係合片が一定
の間隔で立設された成型面ファスナーであって、該基板
表面から連続突起状の係合片の頂部までの高さが 1.5〜
5mm、該係合片の鉤部の最外端に接触する、基板に垂直
な直線と、該係合片の断面鉤形状の鉤部の下端に接触す
る、基板に平行な直線(L) が交差する点(X)と該直線(L)
が係合片の外壁と交差する点 (Z)までの距離 (B)が 1.
5〜 5mm、かつ該直線(L) から係合片の頂部までの高さ
(A) と該基、板表面から直線(L)までの高さ(E) および
該点 (X)から基板に平行に延在させた直線が係合片の内
壁に当接するまでの距離 (D)との関係、該直線(L) が点
(X)から隣接する係合片の外壁と交差する点 (Z)までの
距離(S) と距離(B) との関係および上記距離 (D)と係合
片の間隔 (B+S) との関係が下記(1) 〜(3) 式を満足
するよう構成したことを特徴とする成型面ファスナーで
ある。 0.8 A≦E≦A+1.2 D ・・・(1) 0.7 B≦S≦1.2 B ・・・(2) 0.15 (B+S) ≦D≦0.45 (B+S) ・・・(3)
【0008】また請求項2記載の発明は、請求項1記載
の第1の成型面ファスナーと、該第1の成型面ファスナ
ーと同一構造の第2の成型面ファスナーとからなり、上
記第1および第2の成型面ファスナーは湾曲した鉤形状
の連続突起状の係合片が互いに係止するように対向配置
され、かつ一方の成型面ファスナーの連続突起状の係合
片が相手側の成型面ファスナーの隣接する連続突起状の
係合片との間に設けられた間隙に嵌入して、2枚の成型
面ファスナーの湾曲した断面鉤形状を有する係合片を互
いに係止一体化させるとともに、該係止一体化させた成
型面ファスナーが係合片方向に自由に移動し、かつ係止
方向に僅かに移動可能なよう構成したことを特徴とする
成型面ファスナーを用いた係合システムである。
【0009】
【作用】2つの成型面ファスナーを係止一体化させる際
に、被着体との間の取付工法上の手順、係止取付方向、
位置ズレの修正などから取り付け位置調整が必要であ
る。しかし係止一体化させたときの密着度が高いと一方
の成型面ファスナーを縦・横方向へ移動させて取り付け
位置調整することは極めて困難である。本発明は上記構
成により、2つの成型面ファスナーを係止一体化させた
ときに、適度な密着度とすることにより、2枚の成型面
ファスナーを係止一体化させた状態で一方の成型面ファ
スナーを横方向に若干移動させることができ、また縦方
向には自由に移動させることができる。さらに (1) 2枚の成型面ファスナーの着脱が容易である。 (2) 係止状態の2枚の成型面ファスナーは、特定の方向
に対する係止強力が大きい。 という相反する2つの要件を同時に満たすことができ
る。
【0010】
【実施例】次に本発明の成型面ファスナー及びそれを用
いた係合システムの一実施例を図面にて説明する。図1
は本発明の成型面ファスナーの斜視図であり、細長状の
基板1の一表面に、同一方向に湾曲した断面鉤形状を有
する複数の連続突起状の係合片2が一定の間隔で基板に
対し垂直に立設されている。上記連続突起状の係合片2
は基板の両面に立設させてもよい。
【0011】上記係合片の断面鉤形状としては、図1に
示す形状の他に,図2に示す略U字形状、図3に示す係
合片が基板に対して傾斜して立設された形状、図4に示
す複数の折曲部を有する形状などがある。かかる係合片
の断面鉤形状は上記に図示した以外にも本発明の目的に
適合した種々の形状を採用することができる。
【0012】本発明の成型面ファスナーは、図5に示す
ように基板1の一表面に連続突起状に立設された係合片
2が特定の高さを有し、かつ該係合片の鉤部の最外端に
接触する、基板に垂直な直線と該係合片の断面鉤形状の
鉤部の下端に接触する、基板に平行な直線(L)が交差す
る点 (X)と該直線(L)が係合片の外壁と交差する点 (Z)
までの距離 (B)[以下係合片の断面幅と称す]が特定の
幅を有している。また直線(L) から係合片の頂部までの
高さ(A) 、該基板表面から直線(L) までの高さ(E) [以
下袖下高さと称す]、係合片の断面幅(B) 、該点 (X)か
ら基板に平行に延在させた直線(L) が係合片の内壁に当
接するまでの距離 (D)[以下袖下と称す]、該直線(L)
が点 (X)から隣接する係合片の外壁と交差する点 (Z)ま
での距離(S) [以下間隙と称す]および係合片の間隔
(B+S) がそれぞれ特定の関係を有することによっ
て、初めて本発明の目的である特定方向に大きな係止強
力を有し、かつ2枚の成型面ファスナーを係止一体化さ
せた状態で横方向のルース性があり、しかも縦方向へ一
方の成型面ファスナーを自由にスライドさせることがで
きる、取付位置調整の容易な成型面ファスナーが提供さ
れる。
【0013】上記パラメータ(A),(B),(D),(E),および
(S) の関係は、2枚の成型面ファスナーを係止固定させ
る際の力(押圧力)、密着固定させた2枚の成型面ファ
スナーを上下方向に離脱させるため力(離脱強力)およ
び係止状態での2枚の成型面ファスナーの自由度を実用
的な範囲に設定するために重要な要件である。
【0014】押圧力は、大きすぎると2枚の成型面ファ
スナーをスムースに係止一体化させることが困難で、し
かも離脱させることも難しくなり実用的でない。また離
脱強力は、大きすぎると成型面ファスナーを再使用する
場合の離脱作業が困難であり、また離脱させる時に係合
片を破損させる恐れがあり実用的でない。かかる押圧力
と離脱強力は使用する樹脂の硬度、曲げ弾性率により適
宜決定されが、通常押圧力は2.0kg/cm↑2 以下、好まし
くは0.3 〜1.0kg/cm↑2 が実用的である。また離脱強力
は6kg/cm↑2 以下が適当である。
【0015】2枚の成型面ファスナーをスムースに係止
させ、かつ係止一体化させた状態で過剰なクリアランス
が無いようにするためには、まず基板表面に立設させた
断面鉤形状を有する係合片2の鉤部にの下端に接触し、
かつ基板に平行な直線 (L)から係合片の頂部までの高さ
(A) 、袖下 (D)および袖下高さ(E) との関係が下記 (1)
式を満足する必要がある。 0.8 A≦E≦A+1.2 D・・・(1) 袖下高さ(E) が直線 (L)から係合片の頂部までの高さ
(A) の0.8 Aよりも小さいと2枚の成型面ファスナーを
係止一体化させることが困難であり、例え2枚の成型面
ファスナーを係止一体化させたとしても、横方向の調整
が困難となることもある。また袖下の高さ(E) が直線
(L)から係合片の頂部までの高さ(A) に袖下(D) の1.2
倍を加えた値を越えると、横方向のクリアランスとのバ
ランスが悪くなり2枚の成型面ファスナーを係止一体化
させたときに係合片袖下部分のクリアランスが大きくて
係止一体化させた状態とはいい難い。また基板間の距離
や平面度のズレが大きく係止も外れ易くなる。
【0016】係合片の断面幅 (B)は1.5 〜 5mm、通常1.
7 〜3.5mm が適当である。係合片の断面幅 (B)が1.5 mm
未満では良好な鉤形状の係合片を安定に成形することが
困難で、係止状態のクリアランスも小さく横方向の調整
も無理である。また 5mmを越えるとスペースが増大して
係止効率が低下し、鉤形状が変形し易く係止が外れるこ
とがある。
【0017】係合片を相手側の成型面ファスナーの係合
片とスムースに係止させ、かつ安定に係止状態を保持す
るためには、係合片の断面幅(B) と間隙(S) が下記(2)
式を満足する必要がある。 0.7 B≦S≦1.2 B・・・(2) 上記間隙(S) が係合片の断面幅(B) の0.7 倍未満である
と鉤形状の係合片を相手側の係合片に設けられた間隙内
にスムースに嵌入させることが困難である。一方間隙
(S) が係合片の断面幅(B) の1.2 倍を越えるとクリアラ
ンスが過大となり係止一体化させた2枚の成型面ファス
ナーが振動など多少の荷重変動や取付調整作業時に簡単
に外れることがある。
【0018】さらに2枚の成型面ファスナーの係止一体
化が容易で、かつ2枚の成型面ファスナーを係止させた
ときに横方向に若干移動させるためには袖下 (D) と係
合片の間隔 (B+S) が下記 (3)式を満足する必要があ
る。 0.15 (B+S) ≦D≦0.45 (B+S) ・・・(3) 袖下 (D) が係合片の間隔の15%未満では2枚の成型
面ファスナーを係止させた状態で適切な位置調整のスペ
ースをとることが困難である。また45%を越えると2
枚の成型面ファスナーを係止させたときの横方向の移動
距離が大きく係止状態が不安定である。
【0019】また断面鉤形状の係合片は相手側の係合片
と容易に係止し、かつ係止が簡単に外れない安定した係
止力が作用する形状でなければならない。通常図5に示
すように断面鉤形状の係合片の係止角度、すなわち断面
鉤形状の底面が基板に対する垂線となす角度 (α) が2
枚の成型面ファスナーの係合片が相互に係止する角度ま
たは曲面であればよい。通常角度 (α) は20〜90度が好
ましく採用される。
【0020】さらに2枚の成型面ファスナーの係合片同
士をスムースに係止させるためには、上記点(X) と係合
片の中心軸と該係合片の頂部に接触する、基板に水平な
直線との交点(Y) とを結ぶ直線と係合片の中心軸となす
角度 (β) を40〜80度とすることが好ましい。該角度が
40度未満では必要な袖下スペースを取ると係合片が嵩高
くなって、係合片を相手側の係合片間に形成された間隙
に嵌入させて良好な係止状態を得ることが困難である。
また該角度が80度を越えると鉤が偏平形状となって、袖
下スペースが過大となり係合片を相手側の成型面ファス
ナーの係合片と係止させても係止力が弱く、外れやす
く、しかもクリアランスが大きくガタつくことになる。
【0021】基板の一表面に立設させた係合片の基部厚
さ (W) は、通常0.3 〜3mm 好ましくは0.5 〜2.0mm が
適当である。基部厚さが0.3mm 未満では係合片が変形し
やすく、また良好な断面鉤形状を有する係合片を安定に
成形することが困難で係合片の強度も低下し、外力で係
止が簡単に外れることがある。また3mm を越えると係合
片が厚肉で屈曲性が低下し、スムースに嵌入させること
が困難となり、さらにスペースが増大して係止効率も低
下する。
【0022】基板の表面に立設させた係合片の頂部まで
の高さ (H)は1.5 〜 5mmである。通常1.8 〜4.5mm が適
当である。高さ (H)が1.5mm 未満では良好な鉤形状を有
する係合片を安定に成形することが困難である。また例
え成形できたとしても係合片が小さくクリアランスも小
さいため2枚の成型面ファスナーの係合片を係止、ある
いは調整させることが困難である。高さ (H)が5mm を越
えると被着体との位置ズレが大きく係止スペースが増大
するとともに、互いに係止する係合片基板の間の平行度
が大幅に悪くなって係合のバランスがくずれ、外力など
によって係止が外れ易くなる。
【0023】成型面ファスナーの基板の厚さ (T) は通
常0.3 〜 3mm、好ましくは0.5 〜2.5mm が適当である。
基板の厚さが0.3mm 未満では、成型面ファスナーが曲が
って取扱い性が劣ることがある。また基板が曲がりやす
く、また係合片が倒れやすいため被着面に2枚の成型面
ファスナーを係止一体化させたときに係止が外れること
がある。基板の厚さが3mm を越えると被着面の取付けス
ペースが増大し、使用する樹脂量が多くてコストが上昇
するとともに、成形加工性も悪化する。なお成型面ファ
スナーの基板の厚さ (T) および基板の一表面に立設さ
れる係合片の厚さ (W) は面ファスナーの形状、性能、
使用する樹脂の硬度、曲げ弾性率により適宜決定され
る。
【0024】本発明の成型面ファスナーの形状は、係合
片が上記特定の構造を有していればどのような寸法形状
でも構わないが、通常基板の幅が10〜50mmの細幅形状が
好ましく使用される。該細幅形状の基板の一表面には、
基板の長手方向に平行に複数の係合片が立設される。細
幅形状の成型面ファスナーの長さは使用目的により数メ
ートル以上の長いものから、1〜2センチメートル以下
の短いものまで使用される。
【0025】本発明の成型面ファスナーは2枚の成型面
ファスナーを係止一体化させたときに、特定方向に大き
な係止強力を有し、かつ係止一体化させるとき、または
係止一体化させた状態で一方の面ファスナーを移動させ
るための適切な形状を有すること、またスムースな着脱
性を有すること、さらに必要な係止強力を得るために、
使用する樹脂は軟質グレードでは硬度70以上、硬質グレ
ードでは曲げ弾性率30000kg/cm↑2 以下の樹脂を使用す
ることが好ましい。硬度が70未満では樹脂が柔らかすぎ
て2枚の成型面ファスナーを係止一体化させたときに一
方の成型面ファスナーをスムースに移動させることが困
難となり、また係止が外れやすくなる。曲げ弾性率が30
000kg/cm↑2 を越えると樹脂が硬すぎて若干の加工誤差
が生ずることで2枚の成型面ファスナーを係止一体化さ
せる際に極めて大きな押圧力を必要とすることがある。
【0026】本発明の成型面ファスナーに適用する、硬
度70以上、曲げ弾性率30000kg/cm↑2 以下の樹脂として
は、熱可塑性樹脂、例えばポリオレフィン樹脂(ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリブテンなど)、アクリル
酸系樹脂(メタアクリル酸、ポリアクリルニトリルな
ど)、酢酸ビニルまたはビニルアルコール系樹脂(ポリ
酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニル
アルコール共重合体など)、含ハロゲン系樹脂(塩化ビ
ニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、弗素樹脂など)、スチ
ロール樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン
共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体など)、ポリ
アミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ジエン系ゴム(ブ
タジエン系ゴム、イソプレン系ゴム、クロロプレン系ゴ
ムなど)、オレフィン系ゴム(ポリイソブチレン、エチ
レン−プロピレン共重合体など)、ポリウレタン樹脂な
どを主成分とする樹脂が挙げられる。
【0027】これらの樹脂の中から上記条件を満足する
一種類または二種類以上の樹脂を選択することができ
る。またこれらの樹脂に他の無機物などの添加剤を配合
することにより樹脂を改質し、加工性、諸物性等を変え
ることができる。また面ファスナーの一部に、特に係合
片部分の表面を粗面化加工、メッキ加工、表面処理剤の
塗布などにより改質してもよい。通常硬度80以上、曲げ
弾性率28000kg/cm↑2 以下の飽和ポリエステル樹脂、ポ
リ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン
樹脂を主成分とする樹脂が好ましく用いられる。中でも
ポリ塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂は成形性、耐候
性等に優れ、かつ安価であるため好ましく用いられる。
なお硬度とは、JIS−K6301−A型硬度計により
測定した値である。
【0028】本発明の成型面ファスナーは上記一種類ま
たは二種類以上の熱可塑性樹脂を用いて成型してもよい
が、図6に示すように基板1に用いる樹脂 (I)と、係
合片2に用いる樹脂 (II)とで曲げ弾性率の異なる2
種類の樹脂を使用して係合片を複合化してもよい。係合
片を複合化することによって基板の強度を向上させ、か
つ係合片を柔らかくして着脱性を改良するなど、成型面
ファスナーにその使用目的に合致した機能を付与するこ
とができる。例えば基板に用いる樹脂 (I)として、曲
げ弾性率23000kg/cm↑2の樹脂を用い、係合片に用いる
樹脂 (II)として、曲げ弾性率 3000kg/cm↑2の樹脂を
用いると基板の強度が大きいにも係わらず、係止性が改
良されてソフトな係止が可能となり、耐繰り返し疲労性
等も向上させることができる。
【0029】本発明の成型面ファスナーは、縫製、粘接
着、タッカー、超音波、高周波等で直接被着体に取り付
けることができる。また例えば図7に示すように基板1
の一部に湾曲した鉤状の係止手段6を一体に設けたり、
図8に示すように基板1の裏面に鉤状の係止手段6を立
設してもよい。かかる係止手段6を設けることにより容
易に成型面ファスナーを被着体に取り付けることができ
る。また成型面ファスナーを被着面に貼着する場合に
は、基板の裏面に粘・接着剤を塗布することができる。
この場合には基板の裏面に塗布した粘・接着剤層の表面
を離型紙で覆う必要がある。
【0030】さらに成型面ファスナーにテント用の布地
等を縫製により取り付ける場合には、図9に示すように
基板1の一側端に幅 3〜25mmの被着体取付片9を複合押
し出し成形により一体に設けることもできる。該被着体
取付片9はシート10等にミシン等で容易に縫製できる
とともに、ミシンの縫い目11から引き裂けないような
比較的柔らかい樹脂が使用される。かかる樹脂として
は、通常硬度60以上で、曲げ弾性率 6000kg/cm↑2以下
の樹脂が用いられる。被着体取付片に使用される樹脂は
好ましくは上記成型面ファスナーに使用される樹脂と同
一種類の樹脂が用いられる。
【0031】次に本発明の成型面ファスナーを使用した
係合システムについて図10にて説明する。第1の成型
面ファスナー3の断面鉤形状の係合片2と、該第1の成
型面ファスナーと同一構造の第2の成型面ファスナー4
の断面鉤形状の係合片2´を係止させることにより、2
枚の成型面ファスナーを係止一体化させている。この場
合基板1と1´はほぼ平行な状態で係止しているため、
係合片を回転させても外れることはない。
【0032】本発明の成型面ファスナーは2枚の成型面
ファスナーを係止させた状態での取り付け位置の調整が
可能なことで、その位置調整機構を図11にて説明す
る。まず横方向の長さは、第1の成型面ファスナー3と
係止する第2の成型面ファスナー4の係止位置をO点に
示す係合片からP点に示す係合片に列を一段ずらし係止
位置を変更することにより調整できる。次に縦方向の位
置は第1の成型面ファスナー3と係止する第2の成型面
ファスナー4を係合片2、2´に沿ってP点からQ点に
スライドさせることにより調整可能である。面ファスナ
ー3,4の横方向の角度や基板間の平行度の若干の調整
は袖下のスペースで行うことができる。例えば横方向は
第2の成型面ファスナーの係止位置をQ点からR点に移
動させることにより調整できる。
【0033】本発明の成型面ファスナーは、係合片に対
し、主として横方向の力を受ける場合の用途に適した成
型面ファスナーであり、例えば防水シート、工事用シー
ト、各種パーテーション等の敷物の固定・連結、座席シ
ート表皮材端末の吊り込み固定、各種吊り具、カーテン
の吊り下げ、展示物・表示物等の一方向の加重に対して
の固定性が要求される用途に好ましく適用される。
【0034】その一例として、例えば自動車などの座席
シートやヘッドレストやベッドなどの立体状芯体へ表皮
材を取り付ける例を図12にて説明する。まず基板表面
に一方向に湾曲した断面鉤形状を有する複数の連続突起
状の係合片2が立設された2枚の第1の成型面ファスナ
ー3を自動車シート22の下部表面に固定する。次いで
第1の成型面ファスナー3と同一構造の第2の成型面フ
ァスナー4を表皮材23の両端に固定する。そして該表
皮材23の一端に固定された第2の成型面ファスナー4
の係合片2´を自動車シート22の下部表面に固定され
た第1の成型面ファスナー3の係合片2と係止する。次
に表皮材23をシート芯22に被覆した後、その端を引
っ張って表皮材23を張設した状態で表皮材の他端部に
固定された第2の成型面ファスナー4を自動車シート2
2の下部表面に固定された第1の成型面ファスナー3に
押し付け、第1の成型面ファスナー3と第2の成型面フ
ァスナー4の係合片2、2´を係止させる。このように
2つの成型面ファスナー3,4を係止一体化させること
により表皮材を自動車シートやヘッドレストに張設する
ことができる。
【0035】本発明のシステムに使用する成型面ファス
ナーは、複数列の係合片の頂部は滑らかな形状に形成し
ておくことが好ましい。係合片の頂部を例えば円弧状に
形成すると、第1の成型面ファスナーに対して、第2の
成型面ファスナーを角度を設けて当接したとしても、第
2の成型面ファスナーの表面を押圧した際に、第2の成
型面ファスナーが第1の成型面ファスナーの係合片と平
行となるように滑って容易に2枚の成型面ファスナーを
係止一体化させることができる。
【0036】次に本発明の成型面ファスナーの製造方法
について図13にて説明する。まず押出機31で溶融さ
れた樹脂は、ダイ32を通じて押し出され、その形をく
ずさないようにサイジング導入装置33に受けて、冷却
されながらサイジング処理部34に入る。サイジング処
理部34では成型面ファスナーの隣接する係合片の間隙
に挿入する突条を有する冷却型や、冷却水などにより樹
脂成型体を形成しながら進行させ、また加温などによっ
て加工歪みを取りながら徐冷して安定した成形体となる
ように処理する。この処理温度は樹脂によって異なる
が、例えばポリプロピレンでは一旦冷却後100〜14
0℃で熱処理し、しかる後徐冷して室温にするようにし
ている。製造された成型面ファスナーはロール35に引
き取られ、カッター36で所定の長さに切断され箱37
に集められて梱包・出荷される。
【0037】実験例1〜5 樹脂として曲げ弾性率25000kg/cm↑2の熱可塑性ポリ塩
化ビニルを使用して、一方向に湾曲した断面鉤形状を有
する係合片が立設された図1に示す成型面ファスナーを
成形した。その際、上記成型面ファスナーの係合片の鉤
部の最下端に接触する、基板に平行な直線 (L)から係合
片までの高さ(A) 係合片の断面幅(B) 、袖下高さ(E) 、
袖下(D) および上記係合片の鉤部の最外端に接触する、
基板に垂直な直線と直線 (L)との交点 (X)と該直線 (L)
が隣接する係合片の外壁と交差する点 (Z)までの距離
(S) を変えた5種類の成型面ファスナーを成形した。か
かる成型面ファスナーは、いずれも幅30mm、厚み1.1mm
の基板表面に4.9 mmのピッチで3列の係合片が設けられ
ていた。得られた成型面ファスナーを40mmの長さに切断
し、常温にて下記の試験を行った。なお実験例で使用し
た成型面ファスナーは、いずれも2枚の成型面ファスナ
ーを係止一体化させた状態で一方の成型面ファスナーを
縦方向に移動させることができた。
【0038】(1) 押圧力 同一構造の2枚の成型面ファスナーを係合片が対向する
ように配置して、一方の成型面ファスナーの裏面を押圧
して2枚の成型面ファスナーの係合片を相互に係止させ
るための力 (2) 係合片強度 係止一体化させた状態の2枚の成型面ファスナーを横方
向に引っ張った時に、係合片が変形して2枚の成型面フ
ァスナーの係止が外れるまでの力
【0039】
【表1】
【0040】なお、実験例1の係合片は上記(1) 〜 (3)
式を満足しており、成型面ファスナーとして実用的な性
能を有している。しかし実験例2の係合片は (1)式、実
験例3および実験例4の係合片は (2)式、実験例5の係
合片は (3)式を満足していないため成型面ファスナーと
して表1に示すような実用上の問題がある。
【0041】
【発明の効果】以上のように本発明の成型面ファスナー
は、押し出し成型または射出成型により、極めて低コス
トで、しかも均一した精度で容易に製造することができ
る。また本発明の係合システムは、2枚の成型面ファス
ナーを係止一体化した状態で一方の成型面ファスナーを
縦方向へ自由に移動させることおよび横方向の位置の調
整が可能なため、種々の用途へ適用することができる。
例えば室内外の装飾、壁掛け、自動車や航空機の内装、
あるいは機械類の据付位置の微調整などに適用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】成型面ファスナーの射視図である。
【図2】成型面ファスナーの射視図である。
【図3】成型面ファスナーの射視図である。
【図4】成型面ファスナーの射視図である。
【図5】成型面ファスナーの各パラメーターとの関係を
説明するための断面図である。
【図6】成型面ファスナーの他の例を示す断面図であ
る。
【図7】成型面ファスナーに鉤状の係止手段を設けた例
を示す斜視図である。
【図8】成型面ファスナーに鉤状の係止手段を設けた例
を示す斜視図である。
【図9】成型面ファスナーにシートを一体に取り付けた
例を示す斜視図である。
【図10】成型面ファスナーを用いた係合システムを示
す断面図である。
【図11】2枚の成型面ファスナーの位置調整機構を説
明する平面図である。
【図12】成型面ファスナーを自動車シート等の表皮材
取り付けに使用した例を示す断面図である。
【図13】成型面ファスナーの製造工程を示すフロー図
である。
【符号の説明】
1 基板 2 係合片 3 第1の成型面ファスナー 4 第2の成型面ファスナー

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の少なくとも一表面に、同一方向に
    湾曲した断面鉤形状を有する複数の連続突起状の係合片
    が一定の間隔で立設された成型面ファスナーであって、
    該基板表面から連続突起状の係合片の頂部までの高さが
    1.5〜 5mm、該係合片の鉤部の最外端に接触する、基板
    に垂直な直線と、該係合片の断面鉤形状の鉤部の下端に
    接触する、基板に平行な直線(L) が交差する点 (X)と該
    直線(L) が係合片の外壁と交差する点 (Z)までの距離
    (B)が 1.5〜 5mm、かつ該直線(L) から係合片の頂部ま
    での高さ(A) と該基板表面から直線(L) までの高さ(E)
    および該点 (X)から基板に平行に延在させた直線が係合
    片の内壁に当接するまでの距離 (D)との関係、該直線
    (L) が点 (X)から隣接する係合片の外壁と交差する点
    (Z)までの距離(S) と距離(B) との関係および上記距離
    (D)と係合片の間隔 (B+S) との関係が下記(1) 〜(3)
    式を満足するよう構成したことを特徴とする成型面フ
    ァスナー。 0.8 A≦E≦A+1.2 D ・・・(1) 0.7 B≦S≦1.2B ・・・(2) 0.15 (B+S) ≦D≦0.45 (B+S)・・・(3)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の第1の成型面ファスナー
    と、該第1の成型面ファスナーと同一構造の第2の成型
    面ファスナーとからなり、上記第1および第2の成型面
    ファスナーは湾曲した鉤形状の連続突起状の係合片が互
    いに係止するように対向配置され、かつ一方の成型面フ
    ァスナーの連続突起状の係合片が相手側の成型面ファス
    ナーの隣接する連続突起状の係合片との間に設けられた
    間隙に嵌入して、2枚の成型面ファスナーの湾曲した断
    面鉤形状を有する係合片を互いに係止一体化させるとと
    もに、該係止一体化させた成型面ファスナーが連続突起
    状の係合片方向に自由に移動し、かつ係止方向に僅かに
    移動可能なよう構成したことを特徴とする成型面ファス
    ナーを用いた係合システム。
JP10875892A 1992-03-31 1992-03-31 成型面ファスナー及びそれを用いた係合システム Pending JPH05277005A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10875892A JPH05277005A (ja) 1992-03-31 1992-03-31 成型面ファスナー及びそれを用いた係合システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10875892A JPH05277005A (ja) 1992-03-31 1992-03-31 成型面ファスナー及びそれを用いた係合システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05277005A true JPH05277005A (ja) 1993-10-26

Family

ID=14492761

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10875892A Pending JPH05277005A (ja) 1992-03-31 1992-03-31 成型面ファスナー及びそれを用いた係合システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05277005A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012005510A (ja) * 2010-06-22 2012-01-12 Furukawa Electric Co Ltd:The 雄面ファスナー、面ファスナー及び雄面ファスナーの製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012005510A (ja) * 2010-06-22 2012-01-12 Furukawa Electric Co Ltd:The 雄面ファスナー、面ファスナー及び雄面ファスナーの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5235731A (en) Molded-resin separable fastener and fastening system utilizing the same
JP6739421B2 (ja) 次元的に柔軟なタッチ・ファスナー・ストリップ
EP2599401B1 (en) Surface fastener with excellent temporary fixing function
US6076238A (en) Mechanical fastener
US7188396B2 (en) Method for making a mushroom-type hook strip for a mechanical fastener
CN1232372A (zh) 制造热塑塑料粘接扣的方法和装置
AU4586099A (en) Fastening body for sheet member
JPH05277005A (ja) 成型面ファスナー及びそれを用いた係合システム
KR102122986B1 (ko) 체결구 부재
JPH06154016A (ja) 樹脂成型面ファスナー部材
JPH05277004A (ja) 樹脂成型面ファスナー及びそれを用いた係合システム
JPH0714710B2 (ja) モールディング取付装置の製造方法
EP3143897B1 (en) Surface fastener, cushion structure, and seat structure
EP1609383A1 (en) Pre-assembled slidable fastener device and method of mounting
JP6025034B2 (ja) 嵌合ガタツキ防止に優れた面ファスナーの組み合わせ
JP2016142408A (ja) 重ね合わせ複合部品
JPH06190910A (ja) 内装材への面ファスナ取付け方法
JPH04101614U (ja) ワンウエー型面フアスナー