JPH052730A - 磁気デイスク装置および磁気ヘツドおよびウエハ - Google Patents

磁気デイスク装置および磁気ヘツドおよびウエハ

Info

Publication number
JPH052730A
JPH052730A JP18427391A JP18427391A JPH052730A JP H052730 A JPH052730 A JP H052730A JP 18427391 A JP18427391 A JP 18427391A JP 18427391 A JP18427391 A JP 18427391A JP H052730 A JPH052730 A JP H052730A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic disk
mol
magnetic head
oxide
head slider
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18427391A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinsuke Higuchi
晋介 樋口
Akihiro Goto
明弘 後藤
Takeshi Miyazaki
猛 宮崎
Masahisa Sofue
昌久 祖父江
Sukeo Saito
翼生 斉藤
Kenji Tochigi
憲治 栃木
Yutaka Misawa
豊 三沢
Kunihiro Maeda
邦裕 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP18427391A priority Critical patent/JPH052730A/ja
Publication of JPH052730A publication Critical patent/JPH052730A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【構成】 表層に炭素を主成分とする保護膜が形成され
た磁気ディスク1を備えた磁気ディスク装置において、
磁気ヘッド3のスライダの主材料として前記保護膜の炭
素の酸化に対する触媒作用が小さい酸化物を採用した。 【効果】 このスライダ材料は、磁気ディスク1と磁気
ヘッド3との摺動時に保護膜の炭素を酸化する度合いが
小さいので、炭素酸化に起因する保護膜の摩耗が小さく
なる。したがって、磁気ディスク1の摺動耐久性が向上
する。磁気ヘッド3と磁気ディスク1との接触を厳格に
避ける必要は無くなるので、磁気ヘッド3と磁気ディス
ク1との距離をさらに接近させ、記録密度の高い磁気デ
ィスク装置を作製できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンピュータの外部記
憶装置として使用される磁気ディスク装置に係り、特
に、表面層に炭素を主成分とする保護膜が形成された磁
気ディスクの摩耗耐久性を高める手段に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータの外部記憶装置としては、
記録媒体への記録密度が高く、しかも情報の書き込み/
読み出しが速い磁気ディスク装置が求められる。
【0003】記録密度を高めるために適した磁気ディス
クとして、スパッタ型磁気ディスクまたはメッキ型磁気
ディスクがある。これらの磁気ディスクは、磁性媒体を
スパッタ処理またはメッキ処理により形成し、磁性媒体
の厚さを薄く制御している。一般的に、磁性媒体の表面
は保護膜で被覆する。場合によっては、さらにその表面
に潤滑剤をコーティングする。
【0004】磁性媒体が薄くなると、磁束の広がりが小
さくなり、記録密度を高めることができる。磁束の広が
りをさらに小さくするには、磁気ヘッドと記録媒体との
距離を近付けることが望ましい。このため、記録密度を
高めるには、スパッタ型磁気ディスクまたはメッキ型磁
気ディスクを用いるとともに、磁気ヘッドと磁気ディス
クとの距離を接近させる必要がある。
【0005】従来の一般的な磁気ディスク駆動機構にお
いて、磁気ディスク装置が停止中、磁気ヘッドは、ばね
荷重により磁気ディスクに押し付けられて静止してい
る。磁気ディスクが回転を始めると、磁気ヘッド・スラ
イダが磁気ディスクと摺動しつつ浮上揚力を増し、つい
にはばね荷重に打ち勝って完全に浮上する。すなわち、
磁気ヘッドと磁気ディスクとは、極めて微小な空隙を保
って対向する。磁気ヘッドは、磁気ディスクが回転を停
止する時は、前記過程とは逆の過程をたどる。この磁気
ディスク駆動方式は、Contact Start Stop(CS
S)方式と呼ばれている。CSS方式では、磁気ヘッド
・スライダが磁気ディスク上を過渡的に摺動することが
避けられない。したがって、磁気ディスクの保護膜の摩
耗損傷が問題となる。
【0006】この摩耗損傷の問題を解決する手段とし
て、磁気ディスク装置が停止中は磁気ヘッド・スライダ
が磁気ディスクと完全に離れており、磁気ディスクが充
分に回転速度を増し磁気ヘッド・スライダが浮上できる
状態になってから、磁気ディスクに磁気ヘッド・スライ
ダを接近させるというLoading On/Off方式が提案さ
れている。
【0007】しかし、磁気ヘッド・スライダと磁気ディ
スクとの空隙は、記録密度を高めるためにますます狭く
されているので、磁気ヘッド・スライダが浮上状態にあ
っても、磁気ディスクとの接触や摺動を完全に避けるの
は難しくなってきた。接触や摺動の原因としては、磁気
ヘッドのデータアクセス運動に伴う磁気ヘッド・スライ
ダの沈み込み現象や塵埃の付着による浮上量低下があ
る。さらに最近では、記録密度を一層高めるために、磁
気ヘッド・スライダと磁気ディスクとを軽微な接触状態
で使用することさえ考えられている。
【0008】このように、磁気ヘッド・スライダと磁気
ディスクとの摺動は避けられず、磁気ディスクの摩耗損
傷対策を講じなけらばならない状況になってきた。摩耗
損傷対策は、磁気ディスク表面の保護膜を対象とすべき
である。摩耗損傷がその下層の磁性媒体に及ぶと、正常
な記録/再生機能が損なわれてしまうからである。
【0009】保護膜の材質に関しては、例えば、ダイヤ
モンド状炭素(特開平1−258223号),アモルフ
ァス状炭素(特開平1−258218号),二酸化けい
素など、多くの提案がある。一般には、炭素保護膜が用
いられている。
【0010】炭素保護膜と組み合せて用いる磁気ヘッド
・スライダの材質については、Al23−TiC複合材
を用いた K.Namura et.al,Proceedings of the JapanIn
ternational Tribology Conference Nagoya(1990)p.186
9や、Al23−TiO2複合材またはAl23−ZrO
2複合材を用いた M.Y.Chu et.al,TechnicalReport No.9
0-017 Dep.Mater.Sci.Mine.Eng.Univ.Californiaの提案
がある。また、特開平1−258219号は、ZrO2
−carbideやZrO2−Al23複合材を用いた
例を開示している。これらはいずれも酸化物が主材であ
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、炭素または炭
素を主に含む保護膜の摩耗損傷は、上記のような酸化物
が主材の磁気ヘッド・スライダとの組み合わせの場合、
充分には小さくならないという問題があった。
【0012】本発明の目的は、磁気ディスクの炭素また
は炭素を主に含む保護膜の摩耗を抑制する手段を備えた
磁気ディスク装置を提供することである。
【0013】本発明の他の目的は、磁気ディスクの炭素
または炭素を主に含む保護膜の摩耗を抑制する手段を含
む磁気ヘッドを提供することである。
【0014】本発明の別の目的は、磁気ディスクの炭素
または炭素を主に含む保護膜の摩耗を抑制する手段を含
む磁気ヘッドを作製するためのウェハ材を提供すること
である。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、表面層に炭素を主成分とする保護膜が形
成された磁気ディスクを備えた磁気ディスク装置におい
て、磁気ディスクの表面を摺動することもある磁気ヘッ
ド・スライダを構成する主材として、表面層の炭素の酸
化に対する触媒作用の大きさがAl23の2/5以下の
酸化物を用いることを提案する。
【0016】本発明は、また、表面層に炭素を主成分と
する保護膜が形成された磁気ディスクを備えた磁気ディ
スク装置において、磁気ディスクの表面を摺動すること
もある磁気ヘッド・スライダを構成する主材として、表
面層の炭素の酸化に対する触媒作用の大きさが成分比換
算でAl23−10モル%MgOの複合焼結体と同じか
それ以下の酸化物を用いることを提案する。ここで、M
gOの一部または全部がAl23の相当量と反応してア
ルミネートを生じる。
【0017】本発明は、さらに、表面層に炭素を主成分
とする保護膜が形成された磁気ディスクを備えた磁気デ
ィスク装置において、磁気ディスクの表面を摺動するこ
ともある磁気ヘッド・スライダを構成する主材として、
成分比換算でAl23−10モル%MgO,Al23
10モル%SiO2,MgO−2.5モル%Nb25
Al23−5モル%Nb25,Al23−10モル%T
iO2の複合焼結体,またはNb25のいずれかの酸化
物を用いることを提案する。ここで、複合焼結体におい
ては、2種の酸化物の間で複酸化物が生じる。
【0018】本発明は、表面層に炭素を主成分とする保
護膜が形成された磁気ディスクを備えた磁気ディスク装
置において、磁気ディスクの表面を摺動することもある
磁気ヘッド・スライダとして、酸化アルミニウムを主材
とし、酸化アルミニウムに対して金属原子数換算で2モ
ル%以上18モル以下の割合の酸化ニオブまたは酸化タ
ンタルまたは酸化チタンまたは酸化マグネシウムまたは
酸化シリコンを含む素材を用いることを提案する。この
場合、各含有酸化物とAl23との間で、アルミネート
が生成される。
【0019】いずれの場合も、前記磁気ヘッド・スライ
ダは、SiC,ZrC,TaC,TiC,NbC,また
はTiNのいずれか1つまたは2つ以上を含むこともで
きる。
【0020】より具体的には、磁気ヘッド・スライダ
は、酸化アルミニウムに対して3体積%以上40体積%
以下のSiC,ZrC,TaC,TiC,NbC,また
はTiNのいずれか1つまたは2つ以上を含むことが可
能である。
【0021】本発明は、磁気ディスク装置全体として実
現できることがもちろんであるが、磁気ヘッド・スライ
ダ単体としても、磁気ヘッド・スライダに加工すべきウ
ェハ素材としても実現可能である。
【0022】
【作用】本発明者らは、炭素または炭素を主に含む保護
膜の摩耗の大きな原因が炭素の酸化であることを初めて
認識した。磁気ヘッド・スライダが保護膜上を摺動する
と、保護膜の炭素が酸化されて離脱し、保護膜の消耗を
引き起こす。消耗の実際的形態は、いわゆる燃焼である
のか、摩擦による機械的離脱であるのかは不明である。
しかし、いずれにしても酸化のステップをとる。
【0023】本発明者らは、さらに、この酸化がスライ
ダを構成する酸化物に大きく影響されることを見出し
た。スライダが炭素の酸化を促進する触媒作用を持つ材
料からなるときは、保護膜の摩耗が大きく、スライダが
炭素の酸化を促進する触媒作用の少ない材料からなると
きは、保護膜の摩耗が小さい。
【0024】したがって、炭素または炭素を主に含む保
護膜の摩耗を小さくするには、炭素の酸化を促進する触
媒作用の少ない材料からなるスライダを選べばよい。保
護膜には、H,Ar,Oなどのガス成分またはSi,T
iなどの金属成分が少量含まれていても、同様の材料選
択方針を適用できる。
【0025】多くの酸化物材料は、通常、炭素の酸化の
触媒作用を持つ。MgOや従来のスライダ材の主成分で
あるAl23も触媒作用を持つ。これに反して、Nb2
5などの触媒作用は小さい。
【0026】本発明者らは、種々の検討を重ねた結果、
従来のスライダ材にNb25やTiO2を特定量添加す
ると、触媒作用が小さくなることを見出した。十分な効
果を得るには、前記物質の添加量は金属原子数に換算し
て2〜18モル%の範囲がよい。これより多くても少な
くても、触媒作用を抑える効果が低下する。
【0027】なお、磁気ヘッド・スライダを製作する際
の精密加工性を向上させるために、SiC,ZrC,T
aC,TiC,NbC,TiNなどの非酸化物を添加す
ることも可能である。ただし、TiC,TiNは,Ti
2と同時に添加すると、それらの固溶体を生成するの
で、注意を要する。
【0028】上記のAl23系材料にSiCやNbCな
どを添加する場合、触媒作用の十分な抑制効果を得るに
は、少なくともAl23に対して3体積%以上を添加す
ることが必要である。しかし、40体積%を越えると、
ボイドすなわち気孔が多く発生し、磁気ヘッド・スライ
ダ材料として好ましくない。このようなボイドの多い磁
気ヘッド・スライダをあえて用いれば、ボイドのため
に、磁気ディスクの機械的摩耗が大きくなる。したがっ
て、Al23に対するSiCやNbCの割合は、3体積
%以上40体積%以下が望ましい。
【0029】
【実施例】次に、本発明による磁気ディスク装置の実施
例を説明する。
【0030】《実施例1》まず、磁気ディスク装置の構
造の一例を説明する。しかし、本発明はこの特定の構造
には限定されない。
【0031】図1は、本発明による磁気ディスク装置の
一実施例の全体構造を示す斜視図、図2は、図1の磁気
ディスク装置の平面図である。この磁気ディスク装置
は、情報を記録する磁気ディスク1と、磁気ディスク1
を回転させるモータ2と、磁気ディスク1に情報を書き
込みまたは磁気ディスク1から情報を読み出す磁気ヘッ
ド3と、磁気ヘッド3を支持し磁気ディスク1の目標位
置に決めるアクチュエータ4およびボイスコイルモータ
ー5と、磁気ディスク装置装置内部を清浄に保つエアフ
ィルタ6とを備えている。アクチュエータ4は、キャリ
ッジ7とレール8と軸受9とからなる。ボイスコイルモ
ーター5は、ボイスコイル10とマグネット11とから
なる。実施例1は、同一の回転軸に8枚の磁気ディスク
を取り付けて、全体の記憶容量を大きくした例を示して
いる。磁気ディスク1はスパッタ型磁気ディスクであ
り、スパッタ磁性媒体の表面が炭素のスパッタ保護膜で
被覆されている。
【0032】図3は、本発明による材料を用いた磁気ヘ
ッド3の斜視図である。この磁気ヘッド3は、テーパー
ドフラット型磁気ヘッドであり、スライダ12とその表
面の一部に形成された磁気ヘッド素子13とからなる。
摺動面14は、磁気ディスク1の表面を過渡的に摺動す
る。本発明は、このテーパードフラット型磁気ヘッドの
みならず、負圧型磁気ヘッドなどにも適用可能である。
【0033】本実施例では、スライダ12の材質を種々
の酸化物に替え、それらを摺動させた炭素保護膜の摩耗
量を測定した。そして、炭素保護膜の酸化に対する各酸
化物の触媒作用の大きさを調べた。各種酸化物は、純度
99%以上の原料粉を真空雰囲気中でホットプレス焼結
し作成した。ただし、Nb25については大気雰囲気中
で焼結し作成した。各種酸化物の緻密化をモニタし、緻
密化がほぼ終了する温度を求めた。この温度は、例えば
Al23系の材料については1450℃、TiO2につ
いては1200℃である。焼結は1時間継続した。Ti
2の焼結体では酸素不足が生じていた。
【0034】試験酸化物を粉径0.1mm以下に粉砕し、
この試験酸化物の粉末を粉径10μm以下のグラファイ
ト粉末に混合する。この混合物を熱天秤を用いて大気中
で加熱し、グラファイトの重量減少を測定した。重量減
少のオンセット温度をグラファイトの燃焼開始温度と定
義した。試験酸化物の触媒作用が大きいほど、試験酸化
物を混合した時のグラファイトの燃焼開始温度が低下す
る。そこで、グラファイト粉末だけの燃焼開始温度も測
定し、両者の温度差を触媒活性度と定義した。なお、炭
素には、一般に結合状態(SP2かSP3)や結晶化の
度合いにより、いくつもの種類が存在し、それぞれ燃焼
開始温度が異なる。したがって、燃焼開始温度や触媒活
性度の絶対値自体には、それほど重要な意味はない。本
実験では同一ロットのグラファイト粉末を用い、触媒活
性度の相対的大小関係を調べた。非酸化物を含む材料に
ついては、その材料の酸化がグラファイトの燃焼よりも
低い温度で生じる場合がある。その場合は、この試験方
法は適切でない。
【0035】炭素膜の厚さは50nmとし、表面にはあら
かじめ深さ30nmの規則的な溝を全面に設けた。このよ
うにして、摺動後の溝の深さを測定すると、炭素保護膜
の摩耗を定量的に調べることが可能である。スライダを
磁気ディスクに押し付けた状態で、スライダの位置での
周速が25m/sとなるように磁気ディスクを回転さ
せ、連続的に摺動させた。摺動は磁気ディスクの同一円
周上で30000回転実行させた。
【0036】図4は、炭素保護膜の摩耗量とスライダの
触媒活性度との関係を示すグラフである。種々の酸化物
スライダの触媒活性度は、0〜67℃の範囲に分散して
いた。これら酸化物スライダの摺動による炭素保護膜の
摩耗量は5〜27nmの範囲に分散していた。酸化物スラ
イダの触媒活性度と炭素保護膜の摩耗量との間には相関
が見られ、触媒活性度が小さいほど摩耗量が小さい。触
媒活性度が20℃以下となっており成分換算でAl23
−10モル%MgO,Al23−10モル%SiO2
Nb25,MgO−2.5モル%Nb25,Al23
5モル%Nb25,Al23−10モル%TiO2の複
合焼結体では、いずれも炭素保護膜の摩耗量は同程度に
小さかった。なお、これらの複合焼結体においては、各
々複酸化物を生じている。
【0037】本実施例によれば、触媒活性度が小さい酸
化物スライダを用いると、スパッタ処理により形成され
た炭素保護膜の摩耗を小さくできることがわかる。
【0038】この結果は、Chemical Vapor Deposition
(CVD)処理により形成した炭素保護膜についても同
様であった。
【0039】《実施例2》実施例1で炭素保護膜の摩耗
が小さかったAl23系酸化物に、さらに、Al23
対して20体積%の非酸化物を混合し、11種の焼結体
を作製した。これらの焼結体でスライダを作製し炭素保
護膜の摩耗を調べた。炭素保護膜は、膜厚20nmの通常
形状品とした。規則的な溝のない通常形状品では、摩耗
深さの定量的測定は困難であったので、高分解能の電界
放射型電子顕微鏡で観察した。その結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】従来例のAl23+20体積%TiC(N
o.11)以外は、いずれも摩耗が少なかった。なお、T
iO2と同じ金属元素化合物のTiCやTiNを同時添
加した場合、これらの間で固溶反応が生じた((No.
4,5)。その結果、TiO2が一部消費されたため、
炭素保護膜の摩耗がやや大きくなった。
【0042】実施例2から、触媒活性度が小さい酸化物
スライダには若干の非酸化物を混合しても、スパッタ処
理により形成された炭素保護膜の摩耗を小さくできるこ
とがわかる。
【0043】《実施例3》Al23に対する添加酸化物
の量の影響について調べた。このため、TiO2,Nb2
5,Ta25,MgO,SiO2の添加量を変えた焼結
体を作製した。そして、実施例1と同様に、炭素の酸化
に対する触媒活性度を測定した。その結果を図5に示
す。いずれの場合も、金属原子数換算で添加量が2モル
%以上18モル%以下の範囲の時に、触媒活性度が小さ
くなった。この範囲での触媒活性度は、図4で炭素保護
膜の摩耗が小さくなった領域すなわち20℃以下触媒活
性度に対応する。これらの材料を用いてスライダを作製
し、炭素保護膜の摩耗を調べたところ、炭素保護膜の摩
耗が小さかった。
【0044】実施例3から、Al23に対するTi
2,Nb25,Ta25,MgO,SiO2などの添加
量が、金属原子数換算で2モル%以上18モル%以下の
範囲の場合に、触媒活性度が小さくなり、炭素保護膜の
摩耗量も小さくなることがわかる。
【0045】《実施例4》Al23−Nb25系に対す
る非酸化物SiCの添加量の影響について調べた。Si
Cの量を変えた焼結体のウェハを作製したが、結果的に
SiCとNb25とが反応し、NbCとSiO2とが生
じた。したがって、実態として、Al23-Nb25系は
Al23−Nb25−SiO2系に変化し、SiCはS
iC+NbCに変化した。同一加工条件における機械加
工仕上がり状況を観察した。加工条件としてはスライダ
の切り出し加工に準じた。その結果を表2のNo.12
〜15に示す。
【0046】
【表2】
【0047】No.12〜15の試料を比較すると、S
iCの量がAl23に対して3体積%未満では、スライ
ダにチッピングが生じ、逆に40体積%を越えた場合
は、ボイドが多数見られた。チッピングはない方が良い
ことはもちろんであるが、加工速度を遅くする等の対策
によって改善できる。一方、ボイドは加工条件では必ず
しも改善できず、磁気ヘッドのスライダとして好ましく
ない。すなわち、SiCの量は磁気ヘッドのスライダと
しては少なくとも40体積%以下の範囲が良く、さらに
加工上は3体積%以上が好ましいことがわかる。
【0048】表2の各材料を用いてスライダを作製し、
実施例2と同様の方法で摺動試験した場合の保護膜の摩
耗の観察結果も表2に示す。SiCの量が40体積%以
下のものは炭素保護膜の摩耗が軽微であった。
【0049】この実施例から、Al23−Nb25系ス
ライダへのSiCの添加量が3体積%以上40体積%以
下の範囲の場合にスライダが機械加工しやすくなり、し
かも、炭素保護膜の摩耗量が小さいことがわかる。この
ことは、Nb25をTiO2やTa25に替えて試して
もほぼ同様であった。また、SiCを実施例2の別の非
酸化物に替えてもほぼ同様であった。
【0050】さらに、No.12〜15の試料よりもN
25の量が少ない試料に関する実験結果をNo.16
および17に示す。この場合も、スライダの加工状況と
保護膜の摩耗の状況とは、好ましい範囲にあった。
【0051】
【発明の効果】本発明のスライダ材料は、磁気ディスク
と磁気ヘッドとの摺動時に保護膜の炭素を酸化する度合
いが小さいので、炭素酸化に起因する保護膜の摩耗が抑
制される。その結果、磁気ディスクの摩耗耐久性の高い
磁気ディスク装置が得られる。また、磁気ヘッドと磁気
ディスクとの接触を厳格に避ける必要は無くなることか
ら、磁気ヘッドと磁気ディスク1の距離をさらに接近さ
せ、記録密度の高い磁気ディスク装置を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による磁気ディスク装置の一実施例の全
体構造を示す斜視図である。
【図2】図1の磁気ディスク装置の平面図である。
【図3】本発明による材料を用いた磁気ヘッド3の斜視
図である。
【図4】炭素保護膜の摩耗量とスライダの触媒活性度と
の関係を示すグラフである。
【図5】Al23系スライダ材料の触媒活性度とAl2
3への添加物量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 磁気ディスク 2 モータ 3 磁気ヘッド 4 アクチュエ
ータ 5 ボイスコイルモータ 6 エアフィル
タ 7 キャリッジ 8 レール 9 軸受 10 ボイスコイ
ル 11 マグネット 12 スライダ 13 磁気ヘッド素子 14 摺動面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 祖父江 昌久 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 斉藤 翼生 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所小田原工場内 (72)発明者 栃木 憲治 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 三沢 豊 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 前田 邦裕 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面層に炭素を主成分とする保護膜が形
    成された磁気ディスクを備えた磁気ディスク装置におい
    て、前記磁気ディスクの表面を摺動することもある磁気
    ヘッド・スライダを構成する主材が、前記表面層の炭素
    の酸化に対する触媒作用の大きさがAl23の2/5以
    下の酸化物であることを特徴とする磁気ディスク装置。
  2. 【請求項2】 表面層に炭素を主成分とする保護膜が形
    成された磁気ディスクを備えた磁気ディスク装置におい
    て、前記磁気ディスクの表面を摺動することもある磁気
    ヘッド・スライダを構成する主材が、前記表面層の炭素
    の酸化に対する触媒作用の大きさが成分比換算でAl2
    3−10モル%MgOの複合焼結体と同じかそれ以下
    の酸化物であることを特徴とする磁気ディスク装置。
  3. 【請求項3】 表面層に炭素を主成分とする保護膜が形
    成された磁気ディスクを備えた磁気ディスク装置におい
    て、前記磁気ディスクの表面を摺動することもある磁気
    ヘッド・スライダを構成する主材が、 成分比換算でA
    23−10モル%MgO,Al23−10モル%Si
    2,MgO−2.5モル%Nb25,Al23−5モ
    ル%Nb25,Al23−10モル%TiO2の複合焼
    結体,またはNb25のいずれかの酸化物であることを
    特徴とする磁気ディスク装置。
  4. 【請求項4】 表面層に炭素を主成分とする保護膜が形
    成された磁気ディスクを備えた磁気ディスク装置におい
    て、前記磁気ディスクの表面を摺動することもある磁気
    ヘッド・スライダが、酸化アルミニウムを主材とし、当
    該酸化アルミニウムに対して金属原子数換算で2モル%
    以上18モル以下の割合の酸化ニオブまたは酸化タンタ
    ルまたは酸化チタンまたは酸化マグネシウムまたは酸化
    シリコンを含むことを特徴とする磁気ディスク装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁
    気ディスク装置において、前記磁気ヘッド・スライダ
    が、SiC,ZrC,TaC,TiC,NbC,または
    TiNのいずれかを1つまたは2つ以上含むことを特徴
    とする磁気ディスク装置。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の磁気ディスク装置にお
    いて、前記磁気ヘッド・スライダが、酸化アルミニウム
    に対して3体積%以上40体積%以下のSiC,Zr
    C,TaC,TiC,NbC,またはTiNのいずれか
    を1つまたは2つ以上含むことを特徴とする磁気ディス
    ク装置。
  7. 【請求項7】 表面層に炭素を主成分とする保護膜が形
    成された磁気ディスクの表面を摺動することもある磁気
    ヘッド・スライダにおいて、その主材が、前記表面層の
    炭素の酸化に対する触媒作用の大きさがAl23の2/
    5以下の酸化物からなることを特徴とする磁気ヘッド・
    スライダ。
  8. 【請求項8】 表面層に炭素を主成分とする保護膜が形
    成された磁気ディスクの表面を摺動することもある磁気
    ヘッド・スライダにおいて、その主材が、前記表面層の
    炭素の酸化に対する触媒作用の大きさが成分比換算でA
    23−10モル%MgOの複合焼結体と同じかそれ以
    下の酸化物からなることを特徴とする磁気ヘッド・スラ
    イダ。
  9. 【請求項9】 表面層に炭素を主成分とする保護膜が形
    成された磁気ディスクの表面を摺動することもある磁気
    ヘッド・スライダにおいて、その主材が、成分比換算で
    Al23−10モル%MgO,Al23−10モル%S
    iO2,MgO−2.5モル%Nb25,Al23−5
    モル%Nb25,Al23−10モル%TiO2の複合
    焼結体,またはNb25のいずれかの酸化物からなるこ
    とを特徴とする磁気ヘッド・スライダ。
  10. 【請求項10】 表面層に炭素を主成分とする保護膜が
    形成された磁気ディスクの表面を摺動することもある磁
    気ヘッド・スライダにおいて、その構成材が、酸化アル
    ミニウムを主材とし、当該酸化アルミニウムに対して金
    属原子数換算で2モル%以上18モル以下の割合の酸化
    ニオブまたは酸化タンタルまたは酸化チタンまたは酸化
    マグネシウムまたは酸化シリコンを含むことを特徴とす
    る磁気ヘッド・スライダ。
  11. 【請求項11】 請求項7〜10のいずれか一項に記載
    の磁気ヘッド・スライダにおいて、SiC,ZrC,T
    aC,TiC,NbC,またはTiNのいずれか1つま
    たは2つ以上が含まれることを特徴とする磁気ヘッド・
    スライダ。
  12. 【請求項12】 請求項10に記載の磁気ヘッド・スラ
    イダにおいて、酸化アルミニウムに対して3体積%以上
    40体積%以下のSiC,ZrC,TaC,TiC,N
    bC,またはTiNのいずれか1つまたは2つ以上が含
    まれることを特徴とする磁気ヘッド・スライダ。
  13. 【請求項13】 表面層に炭素を主成分とする保護膜が
    形成された磁気ディスクの表面を摺動することもある磁
    気ヘッド・スライダの素材となるウェハにおいて、前記
    表面層の炭素の酸化に対する触媒作用の大きさがAl2
    3の2/5以下の酸化物からなることを特徴とするウ
    ェハ。
  14. 【請求項14】 表面層に炭素を主成分とする保護膜が
    形成された磁気ディスクの表面を摺動することもある磁
    気ヘッド・スライダの素材となるウェハにおいて、前記
    表面層の炭素の酸化に対する触媒作用の大きさが成分比
    換算でAl23−10モル%MgOの複合焼結体と同じ
    かそれ以下の酸化物からなることを特徴とするウェハ。
  15. 【請求項15】 表面層に炭素を主成分とする保護膜が
    形成された磁気ディスクの表面を摺動することもある磁
    気ヘッド・スライダの素材となるウェハにおいて、成分
    比換算でAl23−10モル%MgO,Al23−10
    モル%SiO2,MgO−2.5モル%Nb25,Al2
    3−5モル%Nb25,Al23−10モル%TiO2
    の複合焼結体,またはNb25のいずれかの酸化物から
    なることを特徴とするウェハ。
  16. 【請求項16】 表面層に炭素を主成分とする保護膜が
    形成された磁気ディスクの表面を摺動することもある磁
    気ヘッド・スライダの素材となるウェハにおいて、酸化
    アルミニウムを主材とし、当該酸化アルミニウムに対し
    て金属原子数換算で2モル%以上18モル以下の割合の
    酸化ニオブまたは酸化タンタルまたは酸化チタンまたは
    酸化マグネシウムまたは酸化シリコンを含むことを特徴
    とするウェハ。
  17. 【請求項17】 請求項13〜16のいずれか一項に記
    載の磁気ヘッド・スライダの素材となるウェハにおい
    て、SiC,ZrC,TaC,TiC,NbC,または
    TiNのいずれか1つまたは2つ以上を含むことを特徴
    とするウェハ。
  18. 【請求項18】 請求項16に記載の磁気ヘッド・スラ
    イダの素材となるウェハにおいて、酸化アルミニウムに
    対して3体積%以上40体積%以下のSiC,ZrC,
    TaC,TiC,NbC,またはTiNのいずれか1つ
    または2つ以上を含むことを特徴とするウェハ。
JP18427391A 1990-07-27 1991-07-24 磁気デイスク装置および磁気ヘツドおよびウエハ Pending JPH052730A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18427391A JPH052730A (ja) 1990-07-27 1991-07-24 磁気デイスク装置および磁気ヘツドおよびウエハ

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2-197961 1990-07-27
JP19796190 1990-07-27
JP18427391A JPH052730A (ja) 1990-07-27 1991-07-24 磁気デイスク装置および磁気ヘツドおよびウエハ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH052730A true JPH052730A (ja) 1993-01-08

Family

ID=26502401

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18427391A Pending JPH052730A (ja) 1990-07-27 1991-07-24 磁気デイスク装置および磁気ヘツドおよびウエハ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH052730A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5808833A (en) * 1996-04-26 1998-09-15 Nec Corporation Magnetic disk apparatus with protective films
US5910863A (en) * 1993-09-20 1999-06-08 Hitachi, Ltd. Magnetic head slider and magnetic disk device using the same
US7144552B1 (en) 1999-12-24 2006-12-05 Fujitsu Limited Method and apparatus for preparing chemical solutions
US7414002B2 (en) 2004-11-29 2008-08-19 Kyocera Corporation Aluminum oxide-titanium nitride sintered body, manufacturing method thereof, and magnetic head substrate, ultrasonic motor and dynamic pressure bearing using the same
US20180170811A1 (en) * 2015-06-17 2018-06-21 National Institute For Materials Science Oxidation-induced self-healing ceramic composition containing healing activator, method for producing same, use of same, and method for enhancing functionality of oxidation-induced self-healing ceramic composition

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5910863A (en) * 1993-09-20 1999-06-08 Hitachi, Ltd. Magnetic head slider and magnetic disk device using the same
US5808833A (en) * 1996-04-26 1998-09-15 Nec Corporation Magnetic disk apparatus with protective films
US7144552B1 (en) 1999-12-24 2006-12-05 Fujitsu Limited Method and apparatus for preparing chemical solutions
US7414002B2 (en) 2004-11-29 2008-08-19 Kyocera Corporation Aluminum oxide-titanium nitride sintered body, manufacturing method thereof, and magnetic head substrate, ultrasonic motor and dynamic pressure bearing using the same
US20180170811A1 (en) * 2015-06-17 2018-06-21 National Institute For Materials Science Oxidation-induced self-healing ceramic composition containing healing activator, method for producing same, use of same, and method for enhancing functionality of oxidation-induced self-healing ceramic composition
US10822277B2 (en) * 2015-06-17 2020-11-03 National Institute For Materials Science Oxidation-induced self-healing ceramic composition containing healing activator, method for producing same, use of same, and method for enhancing functionality of oxidation-induced self-healing ceramic compositions

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4738885A (en) Magnetic disk, substrate therefor and process for preparation thereof
Yamashita et al. Sputtered ZrO/sub 2/overcoat with superior corrosion protection and mechanical performance in thin film rigid disk application
JP2743851B2 (ja) 磁気ヘッド
JPH052730A (ja) 磁気デイスク装置および磁気ヘツドおよびウエハ
US6670032B2 (en) Oriented magnetic medium on a nonmetallic substrate
JP2956570B2 (ja) 磁気ヘッド
US5916655A (en) Disk substrate
JPH0740350B2 (ja) 磁気デイスク基板
JP2865991B2 (ja) 磁気ディスク装置および磁気ヘッドスライダ
JPH0628632A (ja) 薄膜磁気ヘッド作製用基板及びそれを用いた薄膜磁気ヘッド
JP2523908B2 (ja) 磁気ディスク装置及び薄膜磁気ヘッド並びに薄膜磁気ヘッド作製用ウエハ
JPH0668631A (ja) 磁気ディスク装置
JPH07101502B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH09212836A (ja) 磁気ヘッドスライダーとその製造方法
JPH09512127A (ja) 改良されたディスク基材
JP2810203B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH0758539B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH0922517A (ja) 磁気ヘッドスライダー及び磁気ディスク装置
JPH07182628A (ja) 磁気ヘッド、磁気記憶装置および磁気ディスク記憶装置
JP3287063B2 (ja) 浮動型磁気ヘッド用セラミックス材及びそれを用いた浮動型磁気ヘッド
JPS62214510A (ja) スライダ−付き磁気ヘツド
JPH01146132A (ja) 磁気デイスク
JPS63176350A (ja) 薄膜磁気ヘツド用スライダ
JPH0240131A (ja) 磁気ディスクの製造方法
JPH08180352A (ja) 磁気ヘッドスライダとその製造方法