JPH0527255A - 光変調素子およびそれを用いる電子装置 - Google Patents

光変調素子およびそれを用いる電子装置

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JPH0527255A
JPH0527255A JP3179898A JP17989891A JPH0527255A JP H0527255 A JPH0527255 A JP H0527255A JP 3179898 A JP3179898 A JP 3179898A JP 17989891 A JP17989891 A JP 17989891A JP H0527255 A JPH0527255 A JP H0527255A
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liquid crystal
light
color
crystal panel
wavelength
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JP3179898A
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English (en)
Inventor
Yutaka Ishii
裕 石井
Yoshitaka Yamamoto
良高 山元
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 所望の波長帯域の透過光や照射光を電気的に
短時間で切換えられる色彩可変フィルタを液晶で実現さ
せることにより、構成の小型化と表示品質の向上とを図
ることができる光変調素子を提供することであり、さら
にこのような光変調素子を用いた前記特徴を有する新規
の電子装置を提供することである。 【構成】 偏光板2を透過した直線偏光は、液晶パネル
P1への印加電圧の有無によって90°旋光され、ある
いは旋回しない状態で透過する。これによりこの光はカ
ラー偏光板3aの光吸収方向14aあるいは光透過方向
15aのいずれかを透過する。このような作用が各液晶
素子C2,C3においても行われ、各液晶パネルP1〜
P3への印加電圧の有無の組合わせによって、所望の色
彩の光を透過させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電圧や温度などの物理
量の制御により、簡便にかつ高速に透過光や反射光の波
長を連続的または段階的に変化することができる光変調
素子、およびこの光変調素子を用いて構成される直視型
表示装置、透過型表示装置、撮像装置、複写機、印刷製
版装置、ファクシミリ通信装置あるいは画像演算装置な
どの電子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、時計、電卓、コンピュ
ータ端末、ワードプロセッサあるいはテレビジョン受信
機など、広い分野に亘り利用されている。これらの用途
に用いられる代表的な表示モードとしては、液晶セル内
の液晶分子を初期配向としてほぼ90°捩るいわゆるT
N(Twisted Nematic)モードである。TNモードは、1
組の偏光板の間に液晶セルを配置し、このセルの光学的
性質、すなわち表示電圧無印加時の旋光特性と電圧印加
時の旋光解消特性とを利用してモノクロ表示を行うもの
である。
【0003】またカラー化については、液晶セル内に表
示画素毎に、たとえば赤、青、緑の微小寸法のマイクロ
カラーフィルタを設け、TNモードの上記光スイッチン
グ特性を利用し、加色混合によりマルチカラー表示(所
定の複数色表示)やフルカラー表示(無段階色表示)を
行う。この原理は、現在、アクティブマトリクス駆動や
単純マトリクス駆動を適用した小形液晶テレビジョン受
信機の表示装置として採用されている。
【0004】ワードプロセッサ用表示装置として広く使
用されている表示方式としては、TNモードと類似のセ
ル構造で、液晶の捩れ角を180°〜270°に設定す
るSTN(Super Twisted Nematic)モードが挙げられ
る。このモードの特徴は、液晶捩れ角を90°以上に増
大し、かつ偏光板の偏光方向の設定角度の最適化をによ
り、印加電圧の増加に伴う急激な分子配向変形を、液晶
の複屈折変化に反映させ、鋭いしきい値を有する電気光
学特性を実現するものである。したがって単純マトリク
ス駆動に適する。
【0005】一方、このモードの短所としては、液晶の
複屈折により表示の背景色として、黄緑や濃紺の色付き
を呈することにある。この改善法として、表示用STN
パネルに光学補償用パネルやポリカーボネイトなどの高
分子で形成される位相差板を重ね合わせることにより色
補正を行い、モノクロ表示を可能とする技術があり、現
在このような構造の液晶表示装置(LCD)が「ペーパ
ーホワイトLCD」として市販されている。またこのカ
ラー化においては、前述のTNモードと同様の動作原理
でマルチカラー/フルカラー表示が可能となる。
【0006】広い視角を要求される用途に対しては、液
晶に分子長軸方向と短軸方向とで吸光度の異なる色素
(2色性色素)を添加する、いわゆるGH(ゲストホス
ト)モードが使用される。この方式は、偏光板を使用す
るハイルマイヤー型と偏光板を使用しないホワイト/テ
イラー型(相転移型)および2層型などに分類できる
が、いずれにしても動作原理となるものは色素の配向を
電圧による液晶分子の配向を介してコントロールし、色
素分子方向の吸光度差を表示に利用するものである。ま
たカラー化に対しては、色素として可視光の一部の波長
を吸収する色素を用いるか、黒色となる色素を使用した
GHセルに有色フィルタを組み合わせて表示が可能とな
る。
【0007】他のカラー表示法としてはモノクロ表示装
置の前面もしくは背面に透過光の波長を制御できる素子
を設置し、時間順次的にその透過光の波長を切り替える
ことによりカラー表示を行う方法がある。この手法を投
射型表示装置に応用した例として、高分子分散型液晶を
CdSe−TFTパネル(TFT=薄膜トランジスタ)
に封入し、赤、緑、青のフィルタを取り付けた円板を光
源の前に設置し、円板の回転による照明光の色変化に同
期して、前記TFT−LCDに表示を行うことによりフ
ルカラー表示を行う技術がある。一方、表示装置以外の
電子装置においてもカラー化への対応が図られており、
たとえば撮像装置、カラーセンサ、複写機などが挙げら
れる。
【0008】撮像装置は現在、電荷結合素子(CCD:C
harge Coupled Device)が半導体製造技術の進展ととも
に性能の向上が図られ大きな市場を形成しつつある。特
にビデオカメラへの搭載はホームユース市場の拡大に大
きく貢献している。
【0009】カラーセンサにおいても従来では限られた
工業用途にしか用いられていなかったが、近年ビデオカ
メラのホワイトバランス調整用として搭載されるように
なっており、需要が急速に延びている。
【0010】これらの電子装置は光電変換面の前面に合
成樹脂材料などから成るカラーフィルタを装着した構成
となっており、光電変換素子に入射する光の特定波長成
分に対する特性を検出することにより、入射光全体の特
性を算出する構造となっている。
【0011】このような光電変換素子を有する電子装置
の構造上の重要な点は、前記カラーフィルタの構造であ
り、前述した表示装置と同様に、赤(R)、緑(G)お
よび青(B)の光の波長成分に対応するフィルタが光電
変換面に並列に配列されている。すなわち、前記赤、緑
および青の3つのフィルタが表示上の1画素を構成して
いる。
【0012】またこのように入射光を3原色成分に分解
する以外に、補色系のフィルタ(シアン、マゼンタおよ
びイエロー)のみ、もしくは3原色フィルタにこれらを
混合したものを並列配置した構成も提案されている。
【0013】デジタル式複写機においては、複写原稿に
白色光を照射し、反射光を前記赤、緑および青のフィル
タを時間順次的に機械的な構成を用いて切り替えること
により、感光ドラムに3原色の光学像を書込み、その
後、これらの光学像をカラー現像剤を媒体にして記録紙
に複数回転写し、フルカラー表示を再現する。この原理
の中で、予め複写原稿に赤、緑、青のカラーフィルタを
用いて3原色の光源光を順次照射し、原稿像の3原色分
解を行った後、感光ドラムに対して前記と同様に処理を
行ってもフルカラー複写が可能となる。この場合のカラ
ーフィルタの時間順次的な切換え制御は、機械的に行わ
れるのが通常である。
【0014】複写機においては、複写原稿の原稿像を固
体撮像素子(CCD)によって光電変換を行い、その
後、デジタル画像信号処理を行ってカラー原画の再生を
行う構成が用いられる。この場合に用いる固体撮像素子
は、前記CCDと同一であり動作原理も前記説明に従う
ものである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、各種
表示装置や撮像素子あるいはカラーセンサや複写機など
画像入力/出力装置において、カラー化は現在の開発動
向の1つになっているが、現状のカラー化技術では解決
すべき課題を多く抱えている。
【0016】すなわち表示装置に関しては、マルチカラ
ーもしくはフルカラーを実現する目的で、たとえば白黒
表示を行う液晶表示装置の前面に1表示画素毎にたとえ
ば赤、緑、青のマイクロカラーフィルタを設ける構造が
知られている。このようなパネル構造では複数光のマイ
クロカラーフィルタを合わせて1表示画素とするため、
解像度の低下が生じる。これを防止するために表示を行
う液晶表示装置の表示画素サイズを微細化する場合、表
示用の信号が流れる電極部分の微細化による高抵抗化が
生じ、液晶表示装置において信号が供給される位置と信
号供給位置から離れた位置との間で表示される画像濃度
にむらが生じることになる。また製造環境を極めて高い
清浄度に設定する必要があり、ごみなどの影響による製
造上の歩留まりの低下などの問題が生じる。
【0017】一方、前述したGH(ゲストホスト)モー
ドを用いる表示装置では、マルチカラー表示あるいはフ
ルカラー表示を実現するに際して、可視光の一部の波長
を吸収する色素を用いる技術が知られている。このよう
な場合には、異種の色素を添加したゲストホスト液晶を
積層して重ね合わせる必要があるが、この技術では各層
の表示絵素が視差により斜め方向から見た場合に一致し
ないという問題を有する。この問題の解消を図るため
に、各積層パネルのガラス基板の板厚を薄くする技術が
考えられるが、この場合には液晶表示装置を製造する工
程でガラス基板が極めて破損しやすく、取り扱いが困難
になるという課題を生じる。さらに黒色を表示可能な色
素を使用したゲストホスト液晶では、上述したようなマ
イクロカラーフィルタを用いる必要があり、この場合に
は前記解像度の低下という基本的な問題が生じる。
【0018】一方、赤色、緑色、青色の光を時間順次的
に切り替えて表示装置に応用した技術では、前記マイク
ロカラーフィルタを使用する場合と比較し、表示装置の
1画素がそのまま表示画素となるため、解像度は向上す
るが、従来では、この色の切換えをたとえば円板に同方
向に前記3色のカラーフィルタを取り付けて、円板を回
転駆動させるなどの機械的な構成で実現しているため、
装置の小型化や耐久性に問題があり、また騒音を生じる
という問題を有している。
【0019】一方、撮像装置や前記カラーセンサにおい
ては、マイクロカラーフィルタを設ける構造のため解像
度が低下するという表示装置の場合と同様の問題点を有
しており、また微細構造のマイクロカラーフィルタを用
いるなどの点で、装置の構造が複雑になるという課題を
有している。
【0020】また前述したカラー複写機においては、原
稿に照射される光あるいは原稿からの反射光に関して、
3色に分解するためのフィルタの切換え動作は前述した
ような機械式に行われるか、あるいは色毎の光源を設け
る必要があるため、前述したような構成の大型化や耐久
性の低下あるいは騒音などの問題を生じることになる。
あるいは色毎の光源を設ける場合には、構成の小型化や
光源の寿命あるいは色純度、消費電力に問題を有してい
る。
【0021】本発明の目的は、現段階でのカラー化技術
の有する諸問題に鑑み、所望の波長帯域の透過光や照射
光を電気的に短時間で切換えられる色彩可変フィルタを
液晶で実現させることにより、構成の小型化と表示品質
の向上とを図ることができる光変調素子を提供すること
であり、さらにこのような光変調素子を用いた前記特徴
を有する新規の電子装置を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、一対の透明基
板間に液晶を封入してなる複数の液晶パネルと、複数の
カラー偏光板とを交互に配列して成る光変調素子であっ
て、液晶パネルとその両側に配置されたカラー偏光板と
で構成される複数の液晶素子と、各液晶パネルへ印加さ
れる駆動電圧を複数の異なる状態に切換え、各液晶素子
がそれぞれ異なる波長の光を透過し、あるいは任意の波
長の光を透過するように切換える切換手段とを備えるこ
とを特徴とする光変調素子である。
【0023】また本発明は、一対の透明基板間に液晶を
封入してなる複数の液晶パネルと、カラー偏光板を含む
複数の偏光板とを交互に配列して成る光変調素子であっ
て、液晶パネルとその両側に配置された偏光板とで構成
される複数の液晶素子と、各液晶パネルへ印加される駆
動電圧を複数の異なる状態に切換え、各液晶素子がそれ
ぞれ異なる波長の光を透過し、あるいは任意の波長の光
を透過するように切換える切換手段とを備えることを特
徴とする光変調素子である。
【0024】また本発明は、波長λの光のみを透過させ
ようとする場合、各液晶パネルは、液晶の屈折率異方性
Δn、固有螺旋ピッチpに対し、
【0025】
【数1】p・Δn≫λ p;固有螺旋ピッチ Δn;液晶の屈折率異方性 λ;入射光波長 であり、かつ光の主波長において、
【0026】
【数2】
【0027】
【数3】 μ=2Δnd/λ d;液晶の層厚 を満足する構成に選ばれることを特徴とする光変調素子
また本発明は、波長λの光のみを透過させようとする場
合、各液晶パネルは、液晶の屈折率異方性Δn、液晶の
層厚d、整数mに対し、
【0028】
【数4】
【0029】を満足するようにリターデーションΔnd
が選ばれることを特徴とする光変調素子である。
【0030】また本発明は複数の色の波長を含む1つの
光源からの光を、透過型または反射型の表示手段と、光
変調素子とに照射して表示を行い、残像効果の期間内に
前記複数の色に対応する画像をそれぞれ表示手段で表示
し、各色毎の画像の表示期間毎に、光変調素子が透過す
る光の色を切換え、光変調素子は、一対の透明基板間に
液晶を封入してなる複数の液晶パネルと、カラー偏光板
を含む複数の偏光板とを交互に配列して成る光変調素子
であって、液晶パネルとその両側に配置された偏光板と
で構成される複数の液晶素子と、各液晶パネルへ印加さ
れる駆動電圧を複数の異なる状態に切換え、各液晶素子
がそれぞれ異なる波長の光を透過し、あるいは任意の波
長の光を透過するように切換える切換手段とを備えて構
成される光変調素子を含むことを特徴とする表示装置で
ある。
【0031】また本発明は、入射光強度に対応した検出
信号を出力する光検出手段の入射側に光変調素子を配置
し、光変調素子は、一対の透明基板間に液晶を封入して
なる複数の液晶パネルと、カラー偏光板を含む複数の偏
光板とを交互に配列して成る光変調素子であって、液晶
パネルとその両側に配置された偏光板とで構成される複
数の液晶素子と、各液晶パネルへ印加される駆動電圧を
複数の異なる状態に切換え、各液晶素子がそれぞれ異な
る波長の光を透過し、あるいは任意の波長の光を透過す
るように切換える切換手段とを備えて構成される光変調
素子を含むことを特徴とする光検出装置である。
【0032】また本発明は、複数色の波長を含む光を発
生する1つの光源と、原稿と、原稿の光学像が形成さ
れ、光学像を電気信号に変換する光電変換手段との間の
いずれかに1つの光変調素子を配置し、光電変換手段で
得られる電気信号に基づいて、前記複数の色毎の現像剤
を用いて記録媒体上にカラー画像を形成するカラー画像
形成手段とを備え、光変調素子は、一対の透明基板間に
液晶を封入してなる複数の液晶パネルと、カラー偏光板
を含む複数の偏光板とを交互に配列して成る光変調素子
であって、液晶パネルとその両側に配置された偏光板と
で構成される複数の液晶素子と、各液晶パネルへ印加さ
れる駆動電圧を複数の異なる状態に切換え、各液晶素子
がそれぞれ異なる波長の光を透過し、あるいは任意の波
長の光を透過するように切換える切換手段とを備えて構
成される光変調素子を含むことを特徴とするカラー複写
機である。
【0033】また本発明は、複数色の波長を含む光を発
生する1つの光源と、原稿と、原稿の光学像が形成さ
れ、光学像を電気信号に変換する光電変換手段との間の
いずれかに1つの光変調素子を配置し、光電変換手段か
ら得られる電気信号に基づいて、印刷の版となる複数の
色毎の版材料に色毎の原稿像を形成する版材料加工手段
を備え、光変調素子は、一対の透明基板間に液晶を封入
してなる複数の液晶パネルと、カラー偏光板を含む複数
の偏光板とを交互に配列して成る光変調素子であって、
液晶パネルとその両側に配置された偏光板とで構成され
る複数の液晶素子と、各液晶パネルへ印加される駆動電
圧を複数の異なる状態に切換え、各液晶素子がそれぞれ
異なる波長の光を透過し、あるいは任意の波長の光を透
過するように切換える切換手段とを備えて構成される光
変調素子を含むことを特徴とする印刷製版装置である。
【0034】また本発明は、光変調素子を介して、複数
の色毎に対象物を撮像手段で撮像し、撮像手段からの画
像データを色毎に画像メモリにストアしてカラー画像を
入力し、または、画像メモリにストアされた複数の色毎
の画像データに基づいて、表示手段で画像を表示し、か
つ光変調素子で透過光の色を切換えてカラー画像を出力
するいずれかを行い、光変調素子は、一対の透明基板間
に液晶を封入してなる複数の液晶パネルと、カラー偏光
板を含む複数の偏光板とを交互に配列して成る光変調素
子であって、液晶パネルとその両側に配置された偏光板
とで構成される複数の液晶素子と、各液晶パネルへ印加
される駆動電圧を複数の異なる状態に切換え、各液晶素
子がそれぞれ異なる波長の光を透過し、あるいは任意の
波長の光を透過するように切換える切換手段とを備えて
構成される光変調素子を含むことを特徴とする画像入力
/出力装置である。
【0035】また本発明は、複数の波長の光を発生する
光源と、光源からの光の特定波長成分のみを透過する光
変調素子と、1つの特定波長成分の光を表示画像に対応
して透過または反射し、残余の波長成分の光を透過また
は反射する複数の透過型または反射型表示素子とを備
え、光変調素子は、一対の透明基板間に液晶を封入して
なる複数の液晶パネルと、カラー偏光板を含む複数の偏
光板とを交互に配列して成る光変調素子であって、液晶
パネルとその両側に配置された偏光板とで構成される複
数の液晶素子と、各液晶パネルへ印加される駆動電圧を
複数の異なる状態に切換え、各液晶素子がそれぞれ異な
る波長の光を透過し、あるいは任意の波長の光を透過す
るように切換える切換手段とを備えて構成される光変調
素子を含むことを特徴とする画像演算装置である。
【0036】また本発明は、複数色の波長を含む光を発
生する光源からの光を、光変調素子を介して前記複数色
の光のいずれかの光として照射し、光変調素子は、一対
の透明基板間に液晶を封入してなる複数の液晶パネル
と、カラー偏光板を含む複数の偏光板とを交互に配列し
て成る光変調素子であって、液晶パネルとその両側に配
置された偏光板とで構成される複数の液晶素子と、各液
晶パネルへ印加される駆動電圧を複数の異なる状態に切
換え、各液晶素子がそれぞれ異なる波長の光を透過し、
あるいは任意の波長の光を透過するように切換える切換
手段とを備えて構成される光変調素子を含むことを特徴
とする照明装置である。
【0037】
【作用】本発明に従えば、光変調素子に一方側から入射
した光は、カラー偏光板を通過する際に、特定波長の光
は直線偏光に偏光され、当該特定波長以外の波長の光は
直線偏光に変換されず、入射光の状態をほぼ保持したま
まで出射する。
【0038】液晶パネルに印加されている駆動電圧を切
換手段を用いて複数の異なる状態の間で相互に切換える
と、前記液晶パネルとその両側のカラー偏光板とから成
る各液晶素子が、相互に異なる波長の光を透過し、ある
いは任意の波長の光を透過するようにできる。したがっ
て、各液晶素子の光通過方向上流側のカラー偏光板の色
彩に対応する波長の光を透過させる否かを切換えること
ができ、この切換え動作を複数の液晶素子毎に行うこと
により、各カラー偏光板の色彩およびこれらの色彩を混
色して得られる色彩および無彩色を得ることができる。
このような作用は、複数の液晶素子を液晶パネルと複数
のカラー偏光板を含む複数の偏光板とを配置する構成と
した場合でも達成される。
【0039】このようにして簡略化かつ小型化された構
成によって、表示品質が改善された表示作用を達成する
ことできる。
【0040】このような光変調素子と透過型または反射
型の表示手段とを組合わせ、光変調素子は複数種類の波
長の光を選択的に透過し、人間の残像効果の期間内に前
記複数の色に対応する画像を表示手段でそれぞれ表示す
る。これによりカラー表示装置を構成することができ
る。その他、表示装置に限らず複数の波長の色の光を用
いる任意の電子装置において、前記複数の色の光を発生
する構成要素に前記光変調素子を用いることにより、小
型軽量であって表示品質が格段に向上された電子装置を
実現することができる。
【0041】
【実施例】図1は本発明の一実施例の光変調素子1の構
成を示す系統図であり、図2は光変調素子1の構造を示
す図である。光変調素子1は、いわゆるカラー偏光板で
はない通常のニュートラルグレイの偏光板2、液晶パネ
ルP1、カラー偏光板3a、液晶パネルP2、カラー偏
光板3b、液晶パネルP3およびカラー偏光板3cとが
積層された構成を有する。各液晶パネルPi(i=1〜
3)は、電源4に共通に接続された複数の電圧調整回路
5によって、それぞれ個別に印加電圧が制御される。変
形例として、各液晶パネルPiに共通の電圧調整回路5
から共通の印加電圧が加えられるようにしてよい。
【0042】各液晶パネルPiはそれぞれ同一の構成を
有し、一対のガラス基板6,7の上には例としてITO
(インジウムスズ酸化物)などから成る透明電極8,9
がそれぞれ形成される。この透明電極8,9をそれぞれ
被覆して例としてポリビニルアルコールなどから成る配
向膜10,11が形成され、その間に旋光性を有する液
晶材料、例としてTN型などの液晶12が後述するよう
に定められる層厚dで封入され、周縁部はシール材13
で封止される。また各液晶パネルPiの配向膜10,1
1には、それぞれラビング処理などの配向処理が施され
る。各液晶パネルPiにおいて、図2(2)に示すよう
に光の入射側および出射側の配向方向は相互に直交する
状態に定められ、矢符Aia,Aib(i=1〜3)で
示す。
【0043】偏光板2の偏波方向B1に対して、液晶パ
ネルP1の入射側の配向方向A1aは平行に選ばれ、出
射側の配向方向A1bは、前記配向方向A1aから90
°捩った直交方向に選ばれる。カラー偏光板3aにおい
て入射した光の内、特定波長の光、例としてシアン色の
波長の光のみを通過し、残余の波長の光を吸収する偏波
面である光吸収方向14aは、前記配向方向A1bと直
交方向に選ばれ、前記入射した光を波長に拘わらず吸収
することなく、透過する偏波面である光透過方向15a
は配向方向A1bと平行に選ばれる。
【0044】液晶パネルP2の入射側配向方向A2a
は、光透過方向15aと平行に選ばれ、出射側配向方向
A2bは、配向方向A2aと直交方向に選ばれる。カラ
ー偏光板3bの光吸収方向14bは、配向方向A2bと
直交方向に選ばれ、光透過方向15bは、配向方向A2
bと平行方向に選ばれる。液晶パネルP3の入射側配向
方向A3aは、光透過方向15bと平行に選ばれ、出射
側配向方向A3bは配向方向A3aと直交方向に選ばれ
る。カラー偏光板3cの光吸収方向14cは、配向方向
A3bと直交方向に選ばれ、光透過方向15cは光吸収
方向14cと直交方向に選ばれる。
【0045】以下図1および図2に示した構成を用い
て、マルチカラー表示が可能である原理について説明す
る。後述するように、各液晶パネルPiに封入される液
晶12の材料は、TN型液晶や強誘電性液晶など多数の
変形例が可能であるが、いずれにしても各液晶パネルP
iにおいて直線偏光として入射する光を例として90°
ねじる動作状態と、旋光せずに入射光と同一方向の直線
偏光で通過させる動作状態とを切換えて行うようにして
いる。
【0046】各液晶パネルPiは、例として動作電圧を
印加しない状態(以下、オフ状態と称する)で入射した
直線偏光が90°旋光し、動作電圧を印加した状態(以
下、オン状態と称する)では、前記偏光が行われない動
作状態を想定する。当然ながら、逆の設定も可能であ
る。またカラー偏光板3a,3b,3cは、各光吸収方
向14a,14b,14cに平行な直線偏光として入射
する白色光から、波長帯域W1,W2,W3の光のみを
それぞれ直線偏光として透過する。
【0047】各液晶パネルP1〜P3がいずれもオフ状
態の場合、偏光板2を通過して、偏波方向B1と平行な
直線偏光として出射する白色光は、液晶パネルP1で9
0°旋光され、カラーフィルタ3aをその光透過方向1
5aと平行状態で透過し、液晶パネルP2でさらに90
°旋光され、カラーフィルタ3bをその光透過方向15
bと平行な直線偏光で透過する。この光は液晶パネルP
3で90°旋光され、カラーフィルタ3cをその光透過
15cと平行な直線偏光で透過する。これにより光変調
素子1からの光は、白色光として認められる。
【0048】液晶パネルP1のみをオン状態とする場
合、偏光板2を透過した直線偏光は液晶パネルP1を偏
波方向B1と平行な直線偏光のまま透過し、カラーフィ
ルタ3aにその光吸収方向14aと平行に入射し、前記
波長帯域W1の光のみが透過する。この光は、液晶パネ
ルP2で90°旋光され、カラーフィルタ3bにその光
吸収方向14bと平行な直線偏光として入射し、前記波
長帯域W1の光から波長帯域W2の光が選択されて透過
する。この光は、液晶パネルP3で90°旋光され、カ
ラーフィルタ3cにその光吸収方向14cと平行な直線
偏光として入射する。すなわち、前記波長帯域W2の光
からさらに波長帯域W3の光が選択されて透過する。
【0049】すなわち、波長帯域Wh,Wi,Wjの光
に関して、これらに重複する波長帯域を、
【0050】
【数5】 Wh・Wi・Wj (h,i,j=1〜3) と表すと、この場合の光変調素子1から透過する光の波
長帯域は、W1・W2・W3である。これら波長帯域W
1〜W3が可視光帯域の全体に亘り、かつ相互に重複範
囲を有していない場合には、この場合、光変調素子1は
暗状態として認められる。なお、前記第5式において、
2つの波長帯域Wi,Wjについても同様な表現が可能
であるのは勿論である。
【0051】つぎに液晶パネルP2のみをオン状態とす
ると、各液晶パネルP1〜P3の旋光性の有無に対応し
て前述のような透過光の波長帯域の選択に関する説明が
成立し、この場合には、光変調素子1を透過する光の波
長帯域はW2・W3となる。
【0052】液晶パネルP3のみをオン状態とすると、
前述したような説明に基づいて波長帯域W3の光を取り
出すことができる。液晶パネルP1,P3のみをオン状
態とすると、波長帯域W1・W2の光を得ることがで
き、液晶パネルP1〜P3を全てオン状態とすると、波
長帯域W1・W3の光を取り出すことができる。
【0053】このように液晶パネルP1〜P3をオン状
態またはオフ状態のいずれかに適宜設定することによっ
て、例としてカラー偏光板3a,3b,3cの波長帯域
W1,W2,W3をシアン色、マゼンダ色および黄色に
相当するものとした場合、下記第1表に示すように白色
を含む、8色のマルチカラー表示が可能となる。
【0054】
【表1】
【0055】この実施例では、液晶パネルPiは、3枚
用いたけれども、この枚数は3枚に限定されるものでは
なく、さらに多数枚の液晶パネルやカラー偏光板を用い
てもよく、またカラー偏光板の設置位置やニュートラル
偏光板の設置位置も図1の構成例に限定されるものでは
ない。また前記第1表に示す前記波長帯域W1〜W3は
シアン色、マゼンタ色および黄色の波長帯域に限るもの
ではない。
【0056】図3は、前記第1の実施例と同様にTN型
液晶を90°捩れ配向した液晶パネルを用い、図1の構
成例からニュートラルグレーの偏光板2および液晶パネ
ルP1を除いた構成の第2実施例の光変調素子1aの構
成を示す系統図である。本実施例の動作原理は、前述の
第1実施例と同様であり、カラー偏光板3a,3b,3
cの波長帯域W1,W2,W3はそれぞれ赤色、緑色お
よび青色と想定する。ここで、図3に示す液晶パネルP
2,P3がともにオフ状態の場合、カラー偏光板3aを
透過する光の内、光吸収方向14aと平行な波長帯域W
1の光は、液晶パネルP2で90°旋光され、カラー偏
光板3bにその光吸収方向14bと平行な光として入射
する。
【0057】本実施例では、カラー偏光板3a〜3cの
波長帯域W1,W2,W3に重複範囲はなく、したがっ
てカラー偏光板3bに入射した光は遮断される。またカ
ラー偏光板3bを光吸収方向14bと平行な直線偏光で
透過する光があっても、この光は液晶パネルP3で90
°旋光され、カラー偏光板3cにその光吸収方向14c
と平行な直線偏光で入射する。したがってこの光は、カ
ラー偏光板3cで遮断される。
【0058】一方、カラー偏光板3aから光透過方向1
5aと平行な直線偏光として透過する光は、任意の波長
帯域を含む例として白色光であり、この光は液晶パネル
P2で90°旋光され、カラー偏光板3bに光透過方向
15bと平行な直線偏光で入射し、さらに液晶パネルP
3で90°旋光された後、カラー偏光板3cに光透過方
向15cと平行な直線偏光で入射する。すなわちこの光
は、各カラー偏光板3a〜3cのいずれにおいても吸収
または分散されることなく透過し、光変調素子1aから
白色光を得ることができる。
【0059】液晶パネルP2のみオン状態の場合、前述
の動作原理と同様な考察により、カラー偏光板3aの波
長帯域W1(赤色)の光を得ることができ、液晶パネル
P3のみをオン状態としたときには、同様にしてカラー
偏光板3cの波長帯域W3(青色)の光を得ることがで
きる。液晶パネルP2,P3を同時にオン状態とする
と、カラー偏光板3bの波長帯域W2(緑色)の光を得
ることができる。このような特定波長の光の選択動作
と、前記波長帯域W1〜W3を赤色、緑色および青色に
設定した場合の表色例とを下記第2表に示す。
【0060】
【表2】
【0061】このようにして本実施例では、白色を含む
4色のマルチカラー表示を実現することができる。
【0062】上記第1実施例および第2実施例は、光変
調素子1,1aを用いて得るに必要な色彩の数に対応し
て適宜いずれかの構成が選ばれる。第2実施例では構成
が小形にできる効果を有する。
【0063】上述したような原理でマルチカラー表示が
可能な光変調素子1,1aの具体例について以下に説明
する。この具体例は、各液晶パネルPiに用いられる液
晶12の種類と、これに伴う液晶パネルPiの構成とに
基づくものであり、各液晶パネルPiにおいて高速に光
スイッチング動作を行う機能を達成しようとするもので
ある。
【0064】(1)ネマチック液晶を用いる場合 この場合には、ネマチック液晶を用いる液晶パネルPi
が、光の入射側の配向方向Aiaと出射側の配向方向A
ibとが例として90°捩れた捩れ配向であるか、それ
とも相互に平行な平行配向の2つの構造が挙げられる。
前者の捩れ配向は、前記第1および第2実施例に相当す
る。この構造では、TN液晶の旋光特性を利用している
ため、液晶パネルPiを構成するに際して、
【0065】
【数1】p・Δn》λ p;固有螺旋ピッチ Δn;液晶の屈折率異方性 λ;入射光波長 の条件を満足するとともに、光の主波長において、
【0066】
【数2】
【0067】
【数3】 μ=2Δnd/λ d;液晶の層厚 を満足するように液晶の屈折率異方性Δnや層厚dなど
の各種条件を決定する必要がある。
【0068】さらに各偏光板3a〜3cと各液晶パネル
P1〜P3の設置条件としては、各偏光板3a〜3cに
よる光の偏波方向を各液晶パネルPiの入射側配向方向
Aiaと平行あるいは垂直に設定し、液晶パネルPiの
光出射側配向方向Aibは後段のカラー偏光板の光吸収
方向14a,14b,14cと平行あるいは垂直に設定
する必要がある。
【0069】一方、各液晶パネルPiが図4に示すよう
に入射側配向方向Aiaと出射側配向方向Aibとが平
行(各配向方向を総称してAiで示す)の場合、この配
向方向Aiを図5に例示する液晶素子C1におけるよう
にニュートラルグレイの偏光板2の偏波方向B1と角度
α(本実施例では45°)だけ傾斜して設定する。この
設定角度αは、残余の液晶パネルP2,P3についても
同様である。
【0070】ここで液晶パネルP1のリターデーション
Δnd(Δn:液晶の屈折率異方性、d:液晶12の層
厚)と入射光の波長λとが、
【0071】
【数4】
【0072】となる関係にあるとき、液晶パネルP1を
透過した波長λの光は、液晶12の有する複屈折性によ
り、前記偏波方向B1から角度2αだけ旋回した直線偏
光となる。液晶パネルP1における前記第4式を満足す
る波長λの光の出射側の光軸方向を図5に矢符D1で示
す。以下、液晶パネルPiから出射する光の内、前記第
1式を満足して直線偏光となって出射する光の光軸方向
を矢符Ciで示す。
【0073】この現象は以下のように説明される。すな
わち図6(1)に示すように液晶パネルP1に入射した
直線偏光の光は、図6(2)に示すように、液晶パネル
P1の入射側端部付近では直線偏光であるが、液晶パネ
ルP1内を通過するに従って楕円偏光、円偏光、楕円偏
光と順次変換され、出射側端部付近では再び直線偏光と
なる。この出射側の直線偏光の光軸方向が偏光板2の偏
波方向B1に対して、角度2αだけずれることになる。
【0074】このような液晶パネルPiに図1に示す電
圧調整回路5で適宜定められる動作電圧を印加すると、
液晶分子がガラス基板6,7に垂直に配向する。これに
より見掛け上液晶12の複屈折性は消失するため、旋光
特性が消失する。すなわち前記角度α=45°とする
と、このような液晶パネルPiを用いて直線偏光で入射
する光を90°旋光する動作と、旋光させることなく入
射する直線偏光と同一方向の直線偏光で出射する作用と
を切換えて行うことができる。したがって、図1の光変
調素子に関して説明したようなマルチカラーの表示を達
成することができる。
【0075】一方、上記ネマティック液晶を用いる場合
に、マルチカラーが可能となる原理では、無電界時には
各液晶パネルPiは90°の捩れ配向または水平配向と
し、電界印加時には垂直配向となる動作状態を想定し
た。このためには、誘電異方性Δε>0の液晶を水平配
向処理された液晶パネルPiに封入して使用する必要が
あるが、誘電異方性Δε<0の液晶と垂直配向処理を施
した液晶パネルPiとを用いて、電界印加時には90°
の捩れ配向または水平配向とする構成を実現することが
可能である。このような構成によっても、前述の実施例
で述べた作用と同様な作用を達成することができる。
【0076】このような光変調素子1をたとえばモノク
ロ表示のアクティブマトリクス液晶表示装置などを組み
合わせて、マルチカラーあるいはフルカラー表示を行う
とする場合など、その応用例においては色の変化の高速
性が要求されることになる。光変調素子1を高速に動作
をさせようとする場合、印加される電圧の所定変化に対
応する液晶分子の変位が高速に行われる必要がある。こ
のため液晶12の層厚dを可及的に小さくする必要があ
る。このため前記第4式において、m=1と定め変形す
ると、
【0077】
【数6】Δnd=λ/2 が得られる。ここでλ=650nmと設定すると、第6
式から、
【0078】
【数7】Δnd=0.32μm となる。通常のツイステッドネマティック液晶の屈折率
異方性Δn=0.13と仮定すると、層厚d=2.5μ
mと成る。通常のTN型の液晶表示装置における前記液
晶の層厚が5〜12μmであることからすると、本件で
は液晶12の層厚は、既存の液晶表示装置と比べ、1/
5〜1/2小さい値となる。液晶の印加電圧の変化に対
応する応答速度は一般に液晶の層厚dに関して、d2
反比例することが知られている。すなわちセル厚が薄く
なるほど応答時間は速くなる。上述したような実際の数
値条件の下では、通常のTN型などの液晶表示装置の応
答速度よりも4〜25倍速い応答性が得られていること
になる。
【0079】一方、現在販売されている液晶表示装置の
中で、液晶12の層厚の最小値は約5μm程度であるた
め、これよりも層厚を薄く設計するためには、前記第7
式において液晶材料の屈折率異方性がΔn=0.07以
上必要であることがわかる。この数値は、前記通常のT
N型液晶の屈折率異方性が満足する数値であり、したが
って本件実施例の光変調素子1は、通常のTN型液晶を
用いて構成することができる。
【0080】一方、応答速度の高速性を得るためには、
液晶材料の粘性も考慮する必要がある。液晶の粘度は可
及的に低いことが望ましく、一般には35センチポアズ
(cp)以下であれば、本件発明を実現する効果を示す
が、好適には25センチポアズ以下が望ましいことが本
件発明者らの経験により明らかに成っている。このよう
な特性を示す液晶材料には、ビフェニル化合物、フェニ
ルエステル系化合物、シクロヘキサン系化合物、フェニ
ルピリミジン系化合物、ジオキサン系化合物、トラン系
化合物、アルケニル系化合物、フッソ系化合物などが適
合し、あるいはこれらの混合物が有効である。
【0081】このような材料から成る液晶組成物を用い
て、図1に示す光変調素子を構成し印加電圧を切換え、
応答速度を計測した結果、数ミリ秒の高速応答性が得ら
れた。すなわちNTSC方式のテレビジョン映像信号の
1フィールド期間1/60秒は、約17m秒である。し
たがって例として、1フィールド期間で赤色画像、緑色
画像および青色画像を5m秒づつ表示し、これに同期し
て光変調素子1で赤色、緑色および青色の光を透過する
ように切り替える構成が実現可能となる。これにより光
変調素子1を用いるマルチカラー表示が可能となる。す
なわち、小型軽量で構成が簡便なカラーフィルタを実現
することができる。
【0082】さらに、ネマティック液晶を用いる技術に
は、低周波電圧で誘電率異方性Δε>0、高周波電圧で
は、誘電率異方性Δε<0となる2周波駆動用液晶が使
用可能であり、この場合、液晶の動作速度を高速化でき
る利点がある。すなわち低周波電源からの駆動電圧を電
圧調整回路で調整して各液晶パネルに供給すると、各液
晶パネルの液晶は印加電圧が増大するに従い、ホモジニ
アス配列から次第にホメオトロピック配列に変化し、こ
の変化に対応して屈折率異方性Δnが変化する。この状
態から最初のホモジニアス配列に復帰する場合、高周波
電源からの駆動電圧を用いる。これにより復帰が高速に
為され、光変調素子の動作を高速に行うことができる。
【0083】前記2周波駆動用液晶は、液晶の有効動作
温度範囲を広く定め、かつ低粘性を実現するためアルコ
キシフェニルシクロヘキシルカルボキシレート系、アル
キルフェニルシクロキシカルボキシレート系、アルコキ
シフェニルシクロヘキサン系などのような比較的弱い極
性の材料で基材となる混合液晶を構成し、これにたとえ
ば、
【0084】
【化1】
【0085】
【化2】
【0086】
【化3】
【0087】
【化4】
【0088】などのような誘電分散周波数が低い材料を
添加する。さらに下記の2,3−ジシアノー1,4ーハ
イドロキノン誘導体のような誘電率異方性Δεが負に大
きい材料を用いて、全体の誘電率異方性やカットオフ周
波数(すなわち誘電率異方性Δεが正と負との間で切り
替わる周波数)の調整を行う。
【0089】
【化5】
【0090】
【化6】
【0091】
【化7】
【0092】(2)強誘電性液晶を用いる場合。
【0093】強誘電性液晶は分子骨格中に不斉炭素を有
する構造であり、最も一般的な液晶相として、カイラル
スメクティックC相(SmC*相)で強誘電性相を示
す。このようなスメクティックC相の強誘電性液晶は、
図7(1)に示すように各スメクティック層に亘って螺
旋構造を有しており、各液晶分子16の自発分極の方向
17は、図7(2)に示すように、この図の例では反時
計回りに回転する状態を示す。
【0094】このような強誘電性液晶を固有螺旋ピッチ
Pよりも小さな層厚、例として数μmの層厚dで、図2
に示すガラス基板6,7間に挟むと、スメクティックC
相液晶分子の螺旋構造が解ける。このとき、液晶分子1
6の配列方向すなわち図8に示す各スメクティック層1
8毎の液晶分子16の長軸方向は、図8に示すように各
液晶分子16の自発分極方向17がガラス基板6,7の
法線方向と平行で相互に逆方向となる自発分極方向17
a,17bを有する2種類の配列状態で安定となる。
【0095】このような状態の液晶12に電圧を印加す
ると、この電圧による電界と自発分極との相互作用によ
り、電界の極性によって自発分極の方向が規制されるた
め、液晶分子16の配向も前記2種類の安定状態中、電
界の極性に対応したいずれか一方の方向となる。例とし
て、図8に示すようにガラス基板7側を(+)極、ガラ
ス基板6側を(−)極となる電界を印加した場合、液晶
分子16は下向きの自発分極17aとなる配向に整列さ
れる。極性が逆ならば自発分極17bの状態に整列され
る。したがって液晶12に印加される電界の極性に対応
して、スメクティック層18の法線方向19に関して、
角度+θだけ傾斜し、自発分極17aに対応する方向と
なる液晶分子16aの場合と、前記法線方向19に関し
て角度−θだけ傾斜し自発分極方向17bに対応する液
晶分子16bとなる状態との2つの状態が切換えられ
る。
【0096】この液晶分子16の2種類の状態における
各液晶分子16a,16bの配向は、ガラス基板6,7
に平行な仮想平面内で図7および図8に示す立体角2θ
だけ方位角が異なっているため、このような液晶パネル
Pに偏光板を組み合わせると表示が可能となる。
【0097】図9は、前記強誘電性液晶の動作原理に基
づいて、表示が可能となる原理を説明する図であり、図
8の液晶パネルPをガラス基板6,7の法線方向から見
た平面図である。この液晶パネルPには、平行配向処理
を行い、図9(2)に示すように無電界状態で各スメク
ティック層18毎の液晶分子16がスメクティック層1
8の前記法線方向19に関して角度+θだけ傾斜し、自
発分極が図9の紙面背後側から手前側に向かう方向に向
く自発分極方向17bとなる安定状態に整列されている
場合を想定する。
【0098】このとき、図8の液晶パネルPのガラス基
板6,7の両側に偏光板を配置し、図9(1)に示すよ
うに、それらの偏波方向B1,B2は直交するクロスニ
コル状態に定められ、例として一方の偏波方向B1が液
晶分子16bの長軸方向と平行に定められる場合を想定
する。この場合、ガラス基板6側の偏光板の偏波方向が
方向B1であり、ガラス基板6側から光が入射する場
合、液晶パネルPに偏光板を透過して入射した直線偏光
は、その偏光方向が液晶分子16の長軸方向と平行であ
り、旋光されることなく透過し、ガラス基板7側の偏光
板3で遮断される。
【0099】この状態の液晶パネルPに図9紙面手前側
から背後側へ向け、すなわち図8のガラス基板7側を
(+)極、ガラス基板6を(−)極とする電圧を印加す
ると、前述したように液晶分子16の自発分極は自発分
極方向17aとなり、液晶分子16が図9(3)に示す
ように、前記法線方向19と角度−θ傾斜した他の安定
状態に配向を変換する。このときの液晶分子16aの自
発分極は、自発分極方向17aとなる。このときの液晶
分子16aの配向状態は、図9(2)の配向状態より角
度2θだけ傾斜した配向となるため、液晶12の複屈折
効果に基づく図5および図6を参照して説明した原理に
より、偏光板2を経て液晶パネルPに入射した直線偏光
は液晶12を通過する間に変調を受け、その結果、他方
の偏光板3を通過する光成分を生じる。このとき最も効
率がよく明るい表示を受ける条件は、
【0100】
【数8】2θ=45°
【0101】
【数9】
【0102】をともに満足する場合である。ここで第9
式は第4式の整数m′=1としたものと等価であり、こ
の条件では、直線偏光が液晶12を通過する際に90°
旋光する状態に定められる。
【0103】図9(3)の配向状態の液晶パネルPに、
図9紙面背後側から手前側に向かう方向に電圧を印加す
る。すなわち図8のガラス基板6側を(+)極とし、ガ
ラス基板7側を(−)極とする。この場合、前述したよ
うな原理に基づいて、第9図(4)に示すように液晶分
子16は自発分極方向17bとなり、図9(2)に示す
初期状態に復帰する。このようにして前述した構成の液
晶パネルPは、クロスニコル状態の偏光板2,3と組み
合わせることにより、直線偏光で入射する光を例として
90°旋光する動作状態と、旋光せずにそのままの直線
偏光方向で透過する動作状態とを達成できる。したがっ
て図1の各液晶パネルP1〜P3と同一の動作状態を実
現でき、マルチカラー表示が可能となる。
【0104】本実施例の変形例として、たとえば白色/
黒色の2色性色素を強誘電性液晶に添加したいわゆるG
/H(ゲストホスト)モードも使用可能である。この場
合には用いる偏光板を1枚とし、前記立体角にθ=90
°の条件のときに、最も表示の効率がよいことになる。
【0105】このような強誘電性液晶の最大の特徴は、
前記自発分極と電界とが強い相互作用を有するために、
通常のTN型などネマティク液晶に比べ、極めて速い応
答特性を示すことである。本件発明者の実験によれば、
通常のネマティク液晶を用いた場合には、応答時間が数
m秒〜数10m秒であるのに対し、強誘電性液晶を用い
る場合には、数10μ秒〜数100μ秒の応答時間であ
ることが確認された。
【0106】強誘電性液晶の他の特徴は、印加した電界
を除去した後でも、設定された配向を自己保持するメモ
リ作用を有することである。これにより液晶パネルを駆
動する回路構成が格段に簡略化される。
【0107】ここで、前述したような強誘電性液晶相を
示す材料としては、たとえば
【0108】
【化8】
【0109】などのようなシッフ塩基系材料
【0110】
【化9】
【0111】
【化10】
【0112】などのようなアゾ系材料あるいはアゾキシ
系材料、
【0113】
【化11】
【0114】などのようなビフェニル系材料、
【0115】
【化12】
【0116】などのようなエステル系材料、
【0117】
【化13】
【0118】などのようなシクロヘキサン環を含む材
料、
【0119】
【化14】
【0120】などのような複素環を有する材料、
【0121】
【化15】
【0122】などのようなフッソ基や、その他の置換基
が導入された材料
【0123】
【化16】
【0124】などのような環状系キラル置換基が導入さ
れた材料もしくはこれらの混合系が使用される。
【0125】このような材料からなる強誘電性液晶を前
述の図1および図3の光変調素子1,1aとして使用す
れば、通常のネマティック液晶を用いた場合と比べ、格
段に応答の速い液晶素子Cを実現することができる。
【0126】さらに近年に至って、エレクトロクリニッ
ク効果を有する液晶材料や、反強誘電性相を有する液晶
材料も発見されており、これらも使用可能であるは勿論
である。すなわち、前者のエレクトロクリニック効果は
スメクティックA相において、電界を印加するこよによ
り、電界の強度に応じて液晶分子の傾き角が連続的に変
化するものであり、
【0127】
【化17】
【0128】の構造を有し、S.Nisiyama et al.:Jp
n.J.Appl.Phys.,26(1987)L1787でその
特性を詳細に論じられている。
【0129】また前記反強誘電性相を有する液晶材料
は、上記第17化学式の材料でカイラルスメクティック
C相(Sm*C相)で3安定状態が認められており、
A.D.L.Chandani et al.:Jpn.J.Appl.27(1
988)L276で特性が詳細に論じられている。この
いずれの液晶材料を用いても、前述した強誘電性液晶材
料を用いる場合と同様な原理で液晶パネルを構成すれ
ば、同様な高速スイッチング動作を実現することができ
る。
【0130】図10は、本発明の他の実施例の光変調素
子1bの構成例を示す系統図である。本実施例では、液
晶パネルP1〜P3には、前述した2周波駆動用液晶を
用い、各液晶パネルPiの入射側配向方向Aiaと出射
側配向方向Aibとは、各液晶パネルP1〜P3に共通
な直交状態に定められる。ニュートラル偏光板2の偏波
方向B1は、液晶パネルP1の入射側配向方向A1aと
平行であり、カラー偏光板3aの吸収軸方向14aは、
液晶パネルP1の出射側配向方向A1bと平行に選ばれ
る。カラー偏光板3bの光吸収軸方向14bは、液晶パ
ネルP2の出射側配向方向A2bと垂直に選ばれ、カラ
ー偏光板3cの光吸収軸方向14cは液晶パネルP3の
出射側配向方向A3bと平行に選ばれる。
【0131】各カラー偏光板3a〜3cは、それぞれ三
立電機株式会社製のLLC2−9518(ニュートラル
偏光板)、SCC2R−18(赤色、カラー偏光板3
a)、SCC2G−18(緑色、カラー偏光板3b)、
SCC2B−18(青色、カラー偏光板3c)を用い
る。液晶材料は、TX2A(BDH社製)を、各液晶パ
ネルP1,P2,P3毎に液晶の層厚d=5.5μm,
4.5μmおよび4.0μmにシリカスペーサを用いて
層厚の最適化を行った。また液晶パネルP1〜P3に
は、例として10kHzの駆動周波数fHを発生する高
周波電源23と、100Hzの周波数fLを発生する低
周波電源24とがそれぞれスイッチSW1,SW2,S
W3で切換えられて、高周波電源23および低周波電源
24のいずれかが接続される。
【0132】各液晶パネルP1〜P3において、入射す
る直線偏光の光が90°旋光するオフ状態は、各スイッ
チSW1〜SW3が高周波電源23に接続される場合で
あり、入射する直線偏光が旋光することなく透過するオ
ン状態は、各スイッチSW1〜SW3が低周波電源24
に切換えられる場合である。このような条件で光変調素
子1bから得られる光の色を測定したところ、下記第3
表に示されるような6色の表示結果が得られた。
【0133】
【表3】
【0134】すなわち、このような構成を用いてもマル
チカラー表示が可能となる。なお各スイッチSW1〜S
W3の切換えに伴う、各液晶パネルP1〜P3の液晶の
挙動の速度は、2m秒〜5m秒の高速応答が得られるこ
とが確認された。
【0135】図11は、本発明の他の実施例の液晶パネ
ルPiの斜視図である。本実施例の液晶パネルPiは、
図4〜図6を参照して説明した実施例の具体例であり、
図2(1)に示す液晶パネルPiと同一の構造を有し、
水平配向用ポリイミド膜を塗布焼成して配向膜10,1
1として用い、ITOから成る透明電極8,9を形成し
て成るガラス基板6,7に対し、同一方向にそれぞれラ
ビング処理を施して、そのラビング方向が平行となるよ
うに相互に張り合わせて構成する。すなわち図11に示
す入射側配向方向Aiaと出射側配向方向Aibとは相
互に平行であり、ニュートラルグレイの偏光板2の偏波
方向B1あるいはカラー偏光板3の光吸収方向14と
は、角度α(45°)に設定する。
【0136】内部に封入される液晶の種類および偏光板
2,3の種類は、図10を参照して説明した実施例の材
料と同一であり、各液晶パネルP1〜P3の液晶の層厚
は3μm,2.5μmおよび2.0μmとシリカスペー
サを用いて設定し、層厚の最適化を行った。このような
構成例を用いて前記オン状態とオフ状態との切換え動作
を行ったところ、約1m秒の高速応答で第3表に示した
色相変化と同様の色相変化を達成することができた。
【0137】図12は、本発明の他の実施例の液晶パネ
ルPの構成を示す斜視図である。本実施例の液晶パネル
Pは図2(1)に示すスパッタリング法よって透明電極
8,9が形成されたガラス基板6,7上にナイロン66
(商標名)を塗布焼成した後、ラビング処理などにて平
行配向処理を施し、入射側配向方向Aiaと出射側配向
方向Aibとを相互に平行に定める。この後、ガラス基
板6,7間に強誘電性液晶CS−1014(チッソ社
製)を層厚d=1.5〜2.0μmに調整して注入し、
封止する。
【0138】このような強誘電性液晶分子の配向は、例
としてガラス基板6側がガラス基板7側よりも正電位と
する正極性電圧を印加した際には、偏光板2,3の光吸
収方向B1,14と平行または垂直であり、負極性電圧
印加時には液晶分子の配向は、前記の配向に関して例と
して40°〜45°の角度2θだけ傾斜するように配向
が変化する状態に選ばれる。このような液晶パネルPi
は印加される電圧の極性を前述のように切換える極性切
換え回路20に接続される。本件発明者の実験によれ
ば、本実施例の高速性によって前記第3表に示す色彩の
変化が100〜200μmで得られることを確認した。
ただし、第3表におけるオフ状態は極性切換え回路20
によって液晶パネルPに負極性電圧を印加して時であ
り、オン状態は正極性電圧を印加している時である。
【0139】図13は、本発明のさらに他の実施例の光
変調素子1cの系統図である。本実施例の特徴は2つの
液晶パネルP1,P2を用いて、それらの間および両側
にカラー偏光板3a,3b,3cをそれぞれ配置し、各
液晶パネルP1,P2は前記図12を参照して説明した
液晶パネルPiの構成と同一とし、また封入される液晶
も同一種類に選ぶ。すなわち各液晶パネルP1,P2に
は、それぞれ極性反転電源20a,20bが接続され、
前述したように選択される色の光に対応して極性を正極
性状態あるいは負極性状態に設定する。各液晶パネルP
1,P2に印加される電圧の極性と実現される色彩との
関係を下記第4表に示す。
【0140】
【表4】
【0141】また、本件発明者の実験によれば、このよ
うな色彩の切換え動作は100〜200μ秒で行われる
ことが確認された。
【0142】また前記各実施例において強誘電性液晶を
用いるものは、ネマティック液晶を用いる場合と比較
し、入射光が直線偏光であることに関し、液晶の有する
複屈折性に基づく色再現性への不所望な影響が少ないこ
と確認された。またこのような実施例において色、各光
変調素子1a〜1cから得られる複数の色彩の光におい
て再現された色に関し、光変調素子を見る角度によって
再現された色が変動する色再現性の視覚依存性が抑制さ
れていることが確認された。
【0143】各実施例では、光変調素子1,1a,1
b,1cの基板としてガラス基板を用いているが、その
変形例として合成樹脂製のプラスチック基板に置き換え
ることにより、軽量化を図ることができる。さらに透過
光の波長特性の補正を行う目的で、ポリカーボネイトや
ポリビニルアルコールなどの高分子フィルムから成る位
相差板を、各液晶素子C1〜C3の間にさらに加えた構
成や、液晶材料に所定の2色性の色素を添加した材料を
用いるようにしてよい。
【0144】これ以降、前記光変調素子1,1a,1
b,1cを装備する各種電子装置への応用例について説
明する。
【0145】図14は電子装置の一実施例としての液晶
表示装置26の分解斜視図であり、図15は液晶表示装
置26の電気的構成を示すブロック図である。なお、こ
の図では簡単のため、拡散板や偏光子等、周辺材料は省
略してある。液晶表示装置26は、面光源として白色光
を発生する背面光源27と、モノクロ表示を高速に行う
非線形スイッチング素子(薄膜トランジスタや、金属−
絶縁膜−金属構造スイッチング素子など)を適応したア
クティブマトリックス型の液晶表示素子28と、前記各
実施例で説明した光変調素子1,1a,1b,1cの応
用例としての液晶カラーフィルタ29とを含んで構成さ
れる。
【0146】この液晶表示装置26に供給される複合映
像信号は、同期分離回路30で同期信号SYが分離さ
れ、残余の色信号SCは色復調回路31に入力され、赤
色、緑色および青色に対応した各画像信号SR,SG,
SBがそれぞれ出力される。各色毎の画像信号SR,S
G,SBは、切換回路32によって順次的に選択され、
表示制御部33に入力される。表示制御部33は、液晶
表示素子28を走査して、各色毎の画像信号SR〜SB
をモノクロ表示する。
【0147】一方、同期信号SYは制御回路34に入力
され、制御回路34は前記切換回路32を同期信号SY
に同期して動作させるとともに、各液晶パネルP1〜P
Nに接続された電圧調整回路5を制御して、液晶表示素
子28で表示される色毎のモノクロ表示に対応して、液
晶カラーフィルタ29を赤色、緑色および青色の光が順
次透過するように同期して切換える。ここで、NTSC
方式の複合映像信号の1フィールド期間が1/60秒、
すなわち約17m秒であり、この1フィールド期間内に
液晶表示素子28で赤色、緑色および青色の画像に対応
するモノクロ画像が順次表示される場合、液晶カラーフ
ィルタ29ではこれに同期して高速に色の切換えを行う
ことができるのは前述したとおりである。このようにし
て本発明の液晶カラーフィルタ29を用いるマルチカラ
ー表示あるいはフルカラー表示を行う液晶表示装置26
が実現できる。
【0148】したがって本実施例の液晶表示装置26で
は、従来のマイクロカラーフィルタを用いた構成に比
べ、実効的に解像度が3倍以上となり、表示品質が格段
に向上され、また液晶表示素子28に微細構造のマイク
ロカラーフィルタを形成しない点で製造工程の簡略化、
歩留まりの向上および構成の簡略化を図ることができ
る。
【0149】図16は、本発明の電子装置の他の実施例
としての投射型表示装置35の系統図である。投射型表
示装置35は、たとえば白色光を発生する光源36と、
紫外線遮断フィルタ37と、前記液晶カラーフィルタ2
9と、レンズ38とが同一光軸上に配列され、その光軸
上に前記液晶表示素子28とレンズ39とが配置され、
光学像はスクリーン40上に投射され表示される。この
ような投射型表示装置35においては、従来では紫外線
遮断フィルタ37とレンズ38との間に例えば機械的に
回転駆動される円板が配置され、この円板は周方向に、
赤色、緑色および青色のカラーフィルタを形成した機械
式カラーフィルタである。このような構成と比較し、本
実施例では機械的な駆動部品が不要となるため耐久性が
向上され、雑音の削減と長寿命化および構成の小型化を
図ることができる。
【0150】図17は本発明の電子装置の他の実施例と
してのカラー撮像装置41のブロック図である。本実施
例のカラー撮像装置41は、前記CCD素子などから構
成される固体撮像素子42を備え、固体撮像素子42へ
の光の入射側に前記液晶カラーフィルタ29が装着され
る。制御回路43は走査回路44を制御して固体撮像素
子42をラスタ走査する。またこの固体撮像素子42の
一画面の走査毎に電圧調整回路5を制御して、液晶カラ
ーフィルタ29が例えば赤色、緑色および青色の光を順
次透過するように制御する。したがって、固体撮像素子
42からは撮像対象の赤色画像、緑色画像および青色画
像に対応した画像信号が順次的に読み出され、各画像信
号はアナログ/デジタル変換器45でデジタル信号に変
換され、制御回路43に読み取られる。制御回路43に
は走査回路44および電圧調整回路5の制御を同期して
行うための同期信号を発生する同期信号発生回路46が
接続される。
【0151】このようにして本実施例のカラー撮像装置
41は、従来技術に説明したように固体撮像素子42の
光の入射側にマイクロカラーフィルタを用いる必要が解
消され、実質的に解像度が3倍以上に向上され、画像品
質が向上される。またマイクロカラーフィルタを装着す
る場合と比較し、製造上の手間、および構成が簡略化さ
れ、歩留りが向上される。
【0152】図18は本発明の電子装置の他の実施例と
してのカラーセンサ47のブロック図である。カラーセ
ンサ47は、たとえばファクシミリ通信装置などにおい
て、ホワイトバランス調整を行う際の基準白原稿を読み
取る技術として用いられる。カラーセンサ47は、アモ
ルファスシリコンのp層48、i層49およびn層50
からなる光電変換部51と、n層50に形成された背面
電極52と、p層48に形成されたITO(インジウム
スズ酸化物)などからなる透明電極53と、ガラス基板
54とを含んで構成されるセンサ本体55を備える。
【0153】センサ本体55の光の入射側には、前記液
晶カラーフィルタ29が配置される。制御回路43は、
電圧調整回路5を制御して、液晶カラーフィルタ29が
たとえば赤色、緑色および青色の光を順次的に透過させ
るように制御する。この色の切換え毎に、電圧検出回路
56が前記背面電極52と透明電極53との間の電圧を
検出する。すなわち前記色毎の透過光強度を検出するこ
とができる。
【0154】このようなカラーセンサ47において、従
来ではセンサ本体55上に赤色、緑色および青色の3色
のカラーフィルタを設け、背面電極52および透明電極
53を各色のカラーフィルタ毎に分離した構成である。
このような従来技術と比較し、本実施例では構成の簡素
化と小型化とを図ることができる。
【0155】図19は本発明の電子装置の他の実施例と
してのカラー複写機57のブロック図である。カラー複
写機57は、原稿58に光を照射して原稿像を読み取る
際に用いられる光源36を白色光源とし、光源36と原
稿58との間に前記液晶カラーフィルタ29を配置す
る。原稿58からの反射光は、複数の反射鏡59および
光学装置60を介して、前記CCD素子などのイメージ
センサ61に入射する。すなわち液晶カラーフィルタ2
9がたとえば赤色、緑色および青色に切換えられるたび
に原稿58が走査され、イメージセンサ61は各色に対
応する原稿像を読み取る。
【0156】イメージセンサ61の出力は印画装置62
に入力され、印画装置62は前記3色に対応する複数色
のカラー現像剤などを用いて、単一の記録紙上に複数
回、印画動作を行いカラー複写を行う。このとき印画装
置62は、たとえばレーザ光発生装置やこのレーザ光が
照射される感光ドラム、あるいは前記カラー現像剤を用
いる現像装置などを含んで構成される。
【0157】したがってこのようなカラー複写機57で
は、原稿58に照射される光源光の色を切換えるための
前述したような機械的な構造を用いる必要が解消され、
構成の簡略化とともに耐久性の向上を併せて図ることが
できる。本実施例の他の変形例として、液晶カラーフィ
ルタ29を光源36の近傍に設置するに代えて、図16
に2点鎖線で示すようにイメージセンサ61の前段の光
経路上に配置するようにしてもよい。このような構成例
でも前述したような効果と同様な効果を達成することが
できる。
【0158】図20はカラー印刷製版装置63の系統図
である。製版装置63は、ハロゲンランプ64を光源と
して有し、光源光は直円筒状に形成されたガラスなどか
らなる原稿シリンダ65内に導かれ、反射鏡66および
集光レンズ67を介して、原稿シリンダ65に装着され
ているカラー原稿フィルム68に集光される。カラー原
稿フィルム68を透過した光は、ピックアップレンズ6
9および反射鏡70を介してハーフミラー71に導かれ
る。ハーフミラー71で反射した光は、緑色または赤色
のフィルタ72を介して光電管73に入射する。
【0159】一方、ハーフミラー71を透過した光は反
射鏡74で反射され、前記液晶カラーフィルタ29を透
過して光電管75に入射する。光電管73,75からの
入射光量に対応した電流は、電流/電圧変換部76で電
圧に変換され制御回路77に与えられ、制御回路77は
製版機構78を制御して、平版、凸版、凹版および孔版
のいずれかの版材料を製版する。
【0160】このようなカラー製版装置63において
も、たとえば赤色、緑色および青色のフィルタおよびこ
れに対応する複数の光電管を設ける必要が解消され、構
成の小型化と簡略化とを達成することができる。
【0161】図21はカラー画像を伝送するカラーファ
クシミリ装置79のブロック図である。読み取られるべ
きカラー原稿58は、前記液晶カラーフィルタ29とラ
インイメージセンサ80とが積層された読取り素子81
で液晶カラーフィルタ29が3色に切り替わる毎に読取
られる。すなわち読取り処理回路82は、電圧調整回路
5を制御して、液晶カラーフィルタ29を透過する光の
色を前記3色で順次切換え、これに同期してラインイメ
ージセンサ80が走査される。得られた色毎の画像デー
タは、読取り処理回路82で読取られ、画像処理回路8
3でデータ圧縮あるいはデータ伸長処理などが施され、
あるいは画像メモリ84に記憶される。カラー原稿58
を読取って得られた画像データは、通信制御部85で通
信対象への発呼などが行われ、網制御部86を経て電話
回線網に送出される。
【0162】一方、電話回線網から送出されてくる画像
データは、網制御部86および通信制御部85を経て、
画像処理回路83で前記データ伸長処理などが行われ、
記録処理回路87を経てたとえば3色の熱転写リボンあ
るいは3色のインクジェットノズルなどからなるカラー
記録手段88によって記録紙にカラー画像が記録され
る。このようなカラーファクシミリ装置79の構成は、
ラインイメージセンサ80に液晶カラーフィルタ29が
直接装着されたいわゆるオンチップ方式である。
【0163】このようなカラーファクシミリ装置79に
おいて、従来ではラインイメージセンサ80上に3色の
たとえばマイクロカラーフィルタが設置されている。し
たがって本実施例では、このような従来例に対して、構
成の小型化と簡略化とを図ることができる。
【0164】図22はカラーファクシミリ装置79の他
の構成例の読取り素子81aを示す系統図である。この
実施例では、カラー原稿58にはたとえば白色光源36
からの光が照射され、その反射光はロッドレンズ89、
液晶カラーフィルタ29を介して、ラインイメージセン
サ80に入射する。このような実施例において、従来で
は液晶カラーフィルタ29に代えて、3色のカラーフィ
ルタをたとえば機械式に平行移動させてカラー原稿58
からの反射光を3色に分解していた。すなわち本実施例
では、このような従来例に対して構成の簡略化と小型化
とを図ることができる。
【0165】図23は、前記カラーファクシミリ装置7
9の他の構成例の読取り素子81bを示す系統図であ
る。本実施例では白色光源36からの光は、液晶カラー
フィルタ29を介して3色に時間順次的に分解され、こ
の光源光のカラー原稿58からの反射光は前記ロッドレ
ンズ89を介してラインイメージセンサ80に入射され
る。すなわち本実施例においても、前述の実施例におい
て述べた効果と同様な効果を達成することができる。
【0166】次に、本発明が、画像演算装置にも適用で
きることを示す例として、電子情報通信学会論文誌C−
II J73−C−II P.703〜712(1990)に
記載の画像演算システムを引用し、説明する。
【0167】図24は本発明の画像演算装置90の構成
を示す系統図である。画像演算装置90は、白色光源3
6と、液晶カラーフィルタ29とを備え、液晶カラーフ
ィルタ29からの光はカラー偏光板91、一例としてア
クティブマトリクス型でモノクロ表示を行う液晶表示素
子92、カラー偏光板93、同様な液晶表示素子94お
よびカラー偏光板95からなる構成に入射され、カラー
偏光板95から出射する光が演算画像となる。ここで、
カラー偏光板91,93,95は、予め定める特定波長
の光に対してはこれを直線偏光に変換するが、前記特定
波長以外の波長の光は直線偏光に変換されることなくそ
のまま通過する特性を有するものである。
【0168】図25は上記論文誌に記載されている画像
演算装置90の作用を説明する図である。図25(1)
は液晶表示素子92,94の表示画像G1,G2の論理
積(G1・G2)を演算する画像演算装置90aを示
す。この例では、カラー偏光板91,93,95は波長
λ1の光に対して、全て同一方向の直線偏光に変換す
る。したがってカラー偏光板91を透過した直線偏光の
光は、例として液晶表示素子92の斜線で示す非透過領
域では所定角度だけ旋光し、斜線を付さない透過領域で
は直線偏光のまま透過する。したがってその透過領域の
光は、カラー偏光板93をそのまま透過し、つぎに液晶
表示素子94の斜線で示した非透過領域に相当する部分
が旋光され、斜線を付さない透過領域に相当する部分で
はそのまま透過する。この透過した光がカラー偏光板9
5を透過する際に、液晶表示素子94で旋光された光は
遮断され、旋光されない光が透過する。液晶表示素子9
2で旋光された光は、カラー偏光板93で遮断される。
したがって演算画像96として半円形の表示部分が得ら
れる。
【0169】図25(2)は、図25(1)と同様な表
示画像G1,G2の論理和(G1+G2)を実現する画
像演算装置90bの構成を示す。用いる光は、波長λ
2,λ3の2種類の波長の光を用いる。ここでカラー偏
光板91は、波長λ2の光のみに対して直線偏光に変換
し、カラー偏光板93は波長λ2,λ3のいずれの光に
対しても直線偏光に変換し、カラー偏光板95は波長λ
3の光のみに対して直線偏光に変換する。したがって波
長λ2の光は、カラー偏光板91を透過して直線偏光に
変換され、波長λ3の光は直線偏光に変換されることな
くそのままカラー偏光板91を透過する。波長λ2の光
は、液晶表示素子92およびカラー偏光板93を透過す
ると、液晶表示素子92において斜線を付さない円板型
領域のみを透過する。このような波長λ2の光は、液晶
表示素子94に入射すると、斜線を付さない部分では旋
光せずに透過し、斜線を付した部分では旋光して透過す
るが、カラー偏光板95は波長λ2の光は全て透過する
ため、前記円板型領域の形状の透過光が得られる。
【0170】一方、波長λ3の光はカラー偏光板93を
透過する際に、初めて直線偏光に変換され、したがって
液晶表示素子94およびカラー偏光板95を透過するこ
とにより、液晶表示素子94において斜線を付さない長
方形の範囲の光が透過する。したがって演算画像96と
しては、前記円形画像G1と長方形画像G2とが重畳し
た画像、すなわち論理和の画像が得られる。
【0171】図25(3)は前述と同様な画像G1,G
2の排他的論理和の反転画像(G1EXORG2)の反
転画像を得る画像演算装置90cの構成を有している。
このとき波長λ4の単色光を用い、カラー偏光板91,
95はこの波長λ4に対して直線偏光に変換するが、カ
ラー偏光板93は波長λ4の光をそのまま透過する。す
なわちカラー偏光板93は、配置しなくともよく、ある
いは透明なガラスなどでもよい。波長λ4の光はカラー
偏光板91を透過して直線偏光に変換され、この光は液
晶表示素子92において斜線を付さない円形領域ではそ
のまま透過し、斜線を付した領域では所定角度だけ旋光
する。
【0172】このような状態の光が液晶表示素子94に
入射すると、液晶表示素子94の斜線を付した部分に入
射した光は所定角度だけ旋光される。すなわち、液晶表
示素子92を透過する際に、旋光した光はさらに旋光さ
れてカラー偏光板95の偏光方向と平行な直線偏光とな
る。液晶表示素子92で旋光しなかった範囲は、液晶表
示素子94の斜線部分で旋光し、カラー偏光板95で遮
断される。液晶表示素子94の斜線を付さない透過部分
についても同様な現象が生じ、したがって図25(3)
に示すような画像G1,G2の排他的論理和画像の反転
画像が演算画像96として得られる。
【0173】このような画像演算装置90,90a〜9
0cは、図24に示すような液晶カラーフィルタ29を
用いる構成とすることにより、演算に必要な任意の波長
を容易に発生し、かつ選択することができ、複数の画像
の重ね合わせや一方の画像からその一部分を削除する画
像処理などに好適に実施することができる。また、この
他にも光通信装置において混在する各種周波数光信号の
中より所望の周波数光信号を取出す光セレクタとして本
発明の光変調素子が使用できる。
【0174】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、光変調素
子に一方側から入射した光は、カラー偏光板を通過する
際に、特定波長の光は直線偏光に偏光され、当該特定波
長以外の波長の光は前記特定波長の直線偏光方向と異な
る方向の直線偏光に返還され、入射光の波長帯域のまま
で出射する。
【0175】液晶パネルに印加されている駆動電圧を切
換手段を用いて複数の異なる状態の間で相互に切換える
と、前記液晶パネルとその両側のカラー偏光板とから成
る各液晶素子が相互に異なる波長の光を透過し、あるい
は任意の波長の光を透過していることができる。したが
って、各液晶素子の光通過方向上流側のカラー偏光板の
色彩に対応する波長の光を透過させる否かを切換え、こ
の切換え動作を複数の液晶素子毎に行うことにより、各
カラー偏光板の色彩およびこれらの色彩を混色して得ら
れる色彩および無才色とを得ることができる。このよう
な作用は、複数の液晶素子を液晶パネルと複数のカラー
偏光板を含む複数の偏光板を配置する構成とした場合で
も達成される。
【0176】このようにして簡略化かつ小型化された構
成によって、表示品質が改善された表示を達成すること
できる。
【0177】このような光変調素子と透過型または反射
型の表示手段とを組合わせ、光変調素子は複数種類の波
長の光を選択的に透過し、人間の残像効果の期間内に前
記複数の色に対応する画像を表示手段でそれぞれ表示す
る。これによりカラー表示装置を構成することができ
る。その他、表示装置に限らず複数の波長の色の光を用
いる任意の電子装置において、前記複数の色の光を発生
する構成要素に前記光変調素子を用いることにより、小
型軽量であって表示品質が格段に向上された電子装置を
実現することができる。
【0178】を各色のカラーフィルタ毎に分離した構成
である。このような従来技術と比較し、本実施例では構
成の簡素化と小型化とを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の光変調素子1の系統図であ
る。
【図2】液晶パネルPiの構成を示す図である。
【図3】本発明の他の実施例の光変調素子1aの系統図
である。
【図4】液晶パネルPiの配向状態を説明する図であ
る。
【図5】本発明の他の構成例の液晶素子C1の分解斜視
図である。
【図6】本実施例の光学的作用を説明する図である。
【図7】強誘電性液晶の光学的特性を説明する図であ
る。
【図8】強誘電性液晶の電圧印加時の挙動を説明する斜
視図である。
【図9】強誘電性液晶の電圧印加時の整列状態を説明す
る平面図である。
【図10】本発明の他の実施例の光変調素子1bの系統
図である。
【図11】本発明の他の構成例の光液晶パネルPiの斜
視図である。
【図12】本発明の他の構成例の液晶パネルPiの構成
を示す斜視図である。
【図13】本発明のさらに他の実施例の光変調素子1c
の系統図である。
【図14】本発明の他の実施例の液晶表示装置26の分
解斜視図である。
【図15】液晶表示装置26のブロック図である。
【図16】投射型表示装置35の系統図である。
【図17】カラー撮像装置41のブロック図である。
【図18】カラーセンサ47のブロック図である。
【図19】カラー複写機57の系統図である。
【図20】カラー印刷製版装置63の系統図である。
【図21】カラーファクシミリ装置79のブロック図で
ある。
【図22】読取素子81aの系統図である。
【図23】読取素子81bの系統図である。
【図24】画像演算装置90の系統図である。
【図25】画像演算装置90a〜90cの作用を説明す
る図である。
【符号の説明】
1,1a 光変調素子 2,偏光板 3a,3b,3c カラー偏光板 12 液晶 23 高周波電源 24 低周波電源 25 切換回路 26 液晶表示装置 29 液晶カラーフィルタ 35 投写型表示装置 41 カラー撮像装置 47 カラーセンサ 57 カラー複写機 63 カラー印刷製版装置 79 カラーファクシミリ装置 81,81a,81b 読取素子 90,90a,90b,90c 画像演算装置

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の透明基板間に液晶を封入してなる
    複数の液晶パネルと、 複数のカラー偏光板とを交互に配列して成る光変調素子
    であって、 液晶パネルとその両側に配置されたカラー偏光板とで構
    成される複数の液晶素子と、 各液晶パネルへ印加される駆動電圧を複数の異なる状態
    に切換え、各液晶素子がそれぞれ異なる波長の光を透過
    し、あるいは任意の波長の光を透過するように切換える
    切換手段とを備えることを特徴とする光変調素子。
  2. 【請求項2】 一対の透明基板間に液晶を封入してなる
    複数の液晶パネルと、カラー偏光板を含む複数の偏光板
    とを交互に配列して成る光変調素子であって、 液晶パネルとその両側に配置された偏光板とで構成され
    る複数の液晶素子と、 各液晶パネルへ印加される駆動電圧を複数の異なる状態
    に切換え、各液晶素子がそれぞれ異なる波長の光を透過
    し、あるいは任意の波長の光を透過するように切換える
    切換手段とを備えることを特徴とする光変調素子。
  3. 【請求項3】 波長λの光のみを透過させようとする場
    合、各液晶パネルは、液晶の屈折率異方性Δn、固有螺
    旋ピッチpに対し、 【数1】p・Δn≫λ p;固有螺旋ピッチ Δn;液晶の屈折率異方性 λ;入射光波長 であり、かつ光の主波長において、 【数2】 【数3】 μ=2Δnd/λ d;液晶の層厚 を満足する構成に選ばれることを特徴とする請求項1記
    載の光変調素子。
  4. 【請求項4】 波長λの光のみを透過させようとする場
    合、各液晶パネルは、液晶の屈折率異方性Δn、液晶の
    層厚d、整数mに対し、 【数4】 を満足するようにリターデーションΔndが選ばれるこ
    とを特徴とする請求項1記載の光変調素子。
  5. 【請求項5】 複数の色の波長を含む1つの光源からの
    光を、透過型または反射型の表示手段と光変調素子とに
    照射して表示を行い、 残像効果の期間内に前記複数の色に対応する画像をそれ
    ぞれ表示手段で表示し、各色毎の画像の表示期間毎に、
    光変調素子が透過する光の色を切換え、 光変調素子は、一対の透明基板間に液晶を封入してなる
    複数の液晶パネルと、 カラー偏光板を含む複数の偏光板とを交互に配列して成
    る光変調素子であって、 液晶パネルとその両側に配置された偏光板とで構成され
    る複数の液晶素子と、 各液晶パネルへ印加される駆動電圧を複数の異なる状態
    に切換え、各液晶素子がそれぞれ異なる波長の光を透過
    し、あるいは任意の波長の光を透過するように切換える
    切換手段とを備えて構成される光変調素子を含むことを
    特徴とする表示装置。
  6. 【請求項6】 入射光強度に対応した検出信号を出力す
    る光検出手段の入射側に光変調素子を配置し、 光変調素子は、一対の透明基板間に液晶を封入してなる
    複数の液晶パネルと、 カラー偏光板を含む複数の偏光板とを交互に配列して成
    る光変調素子であって、 液晶パネルとその両側に配置された偏光板とで構成され
    る複数の液晶素子と、 各液晶パネルへ印加される駆動電圧を複数の異なる状態
    に切換え、各液晶素子がそれぞれ異なる波長の光を透過
    し、あるいは任意の波長の光を透過するように切換える
    切換手段とを備えて構成される光変調素子を含むことを
    特徴とする光検出装置。
  7. 【請求項7】 複数色の波長を含む光を発生する1つの
    光源と、原稿と、原稿の光学像が形成され、光学像を電
    気信号に変換する光電変換手段との間のいずれかに1つ
    の光変調素子を配置し、 光電変換手段で得られる電気信号に基づいて、前記複数
    の色毎の現像剤を用いて記録媒体上にカラー画像を形成
    するカラー画像形成手段とを備え、 光変調素子は、一対の透明基板間に液晶を封入してなる
    複数の液晶パネルと、 カラー偏光板を含む複数の偏光板とを交互に配列して成
    る光変調素子であって、 液晶パネルとその両側に配置された偏光板とで構成され
    る複数の液晶素子と、 各液晶パネルへ印加される駆動電圧を複数の異なる状態
    に切換え、各液晶素子がそれぞれ異なる波長の光を透過
    し、あるいは任意の波長の光を透過するように切換える
    切換手段とを備えて構成される光変調素子を含むことを
    特徴とするカラー複写機。
  8. 【請求項8】 複数色の波長を含む光を発生する1つの
    光源と、原稿と、原稿の光学像が形成され、光学像を電
    気信号に変換する光電変換手段との間のいずれかに1つ
    の光変調素子を配置し、 光電変換手段から得られる電気信号に基づいて、印刷の
    版となる複数の色毎の版材料に色毎の原稿像を形成する
    版材料加工手段を備え、 光変調素子は、一対の透明基板間に液晶を封入してなる
    複数の液晶パネルと、 カラー偏光板を含む複数の偏光板とを交互に配列して成
    る光変調素子であって、 液晶パネルとその両側に配置された偏光板とで構成され
    る複数の液晶素子と、 各液晶パネルへ印加される駆動電圧を複数の異なる状態
    に切換え、各液晶素子がそれぞれ異なる波長の光を透過
    し、あるいは任意の波長の光を透過するように切換える
    切換手段とを備えて構成される光変調素子を含むことを
    特徴とする印刷製版装置。
  9. 【請求項9】 光変調素子を介して、複数の色毎に対象
    物を撮像手段で撮像し、撮像手段からの画像データを色
    毎に画像メモリにストアしてカラー画像を入力し、また
    は、 画像メモリにストアされた複数の色毎の画像データに基
    づいて、表示手段で画像を表示し、かつ光変調素子で透
    過光の色を切換えてカラー画像を出力するいずれかを行
    い、 光変調素子は、一対の透明基板間に液晶を封入してなる
    複数の液晶パネルと、 カラー偏光板を含む複数の偏光板とを交互に配列して成
    る光変調素子であって、 液晶パネルとその両側に配置された偏光板とで構成され
    る複数の液晶素子と、 各液晶パネルへ印加される駆動電圧を複数の異なる状態
    に切換え、各液晶素子がそれぞれ異なる波長の光を透過
    し、あるいは任意の波長の光を透過するように切換える
    切換手段とを備えて構成される光変調素子を含むことを
    特徴とする画像入力/出力装置。
  10. 【請求項10】 複数の波長の光を発生する光源と、 光源からの光の特定波長成分のみを透過する光変調素子
    と、 1つの特定波長成分の光を表示画像に対応して透過また
    は反射し、残余の波長成分の光を透過または反射する複
    数の透過型または反射型表示素子とを備え、 光変調素子は、一対の透明基板間に液晶を封入してなる
    複数の液晶パネルと、 カラー偏光板を含む複数の偏光板とを交互に配列して成
    る光変調素子であって、 液晶パネルとその両側に配置された偏光板とで構成され
    る複数の液晶素子と、 各液晶パネルへ印加される駆動電圧を複数の異なる状態
    に切換え、各液晶素子がそれぞれ異なる波長の光を透過
    し、あるいは任意の波長の光を透過するように切換える
    切換手段とを備えて構成される光変調素子を含むことを
    特徴とする画像演算装置。
  11. 【請求項11】 複数色の波長を含む光を発生する光源
    からの光を、光変調素子を介して前記複数色の光のいず
    れかの光として照射し、 光変調素子は、一対の透明基板間に液晶を封入してなる
    複数の液晶パネルと、 カラー偏光板を含む複数の偏光板とを交互に配列して成
    る光変調素子であって、 液晶パネルとその両側に配置された偏光板とで構成され
    る複数の液晶素子と、 各液晶パネルへ印加される駆動電圧を複数の異なる状態
    に切換え、各液晶素子がそれぞれ異なる波長の光を透過
    し、あるいは任意の波長の光を透過するように切換える
    切換手段とを備えて構成される光変調素子を含むことを
    特徴とする照明装置。
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