JPH05269878A - 架橋塩化ビニル系樹脂発泡体の製造法 - Google Patents

架橋塩化ビニル系樹脂発泡体の製造法

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JPH05269878A
JPH05269878A JP4073841A JP7384192A JPH05269878A JP H05269878 A JPH05269878 A JP H05269878A JP 4073841 A JP4073841 A JP 4073841A JP 7384192 A JP7384192 A JP 7384192A JP H05269878 A JPH05269878 A JP H05269878A
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JP
Japan
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foam
water
vinyl chloride
foaming
partition plate
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Application number
JP4073841A
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English (en)
Inventor
Yoshihiro Kimura
吉宏 木村
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧縮強さが大きく、スチレンなどのモノマー
によって軟化しない架橋塩化ビニル系樹脂発泡体を短時
間で効率よく製造しうる方法を提供すること。 【構成】 発泡性組成物を発泡させた1次発泡体を、該
1次発泡体と仕切板とのあいだに通水路を有する型枠内
に入れたのち、該通水路に熱水を通水して該1次発泡体
を2次発泡させることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は架橋塩化ビニル系樹脂発
泡体の製造法に関する。さらに詳しくは、軽量構造材と
してFRP船、FRPタンクなどの芯材などとして好適
に使用しうる微細セル構造を有する架橋塩化ビニル系樹
脂発泡体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂発泡体は、圧縮強度、
引張強度、曲げ強度、耐溶剤性などにすぐれ、軽量であ
ることから、たとえばスチレン単量体を多量に含有する
不飽和ポリエステル系樹脂を使用するFRP積層体の芯
材、各種積層板の芯材などとして用いられている。
【0003】しかしながら、従来の塩化ビニル系樹脂発
泡体は、圧縮強さが小さく、またたとえばFRP積層体
を作製するために、該発泡体からなる芯材上にスチレン
などのモノマーを含有した不飽和ポリエステルを流延し
た際には、該モノマーにより発泡体が軟化し、変形する
という欠点がある。
【0004】本発明者らは、前記欠点を解消し、圧縮強
さが大きく、スチレンなどのモノマーによって軟化せ
ず、なおかつ微細セル構造を有する架橋塩化ビニル系樹
脂発泡体を製造しうる方法を見出している(特願平3−
219479号明細書)。
【0005】前記発泡体の製造法によれば、確かに前記
欠点を解消しうる良好な発泡体を製造することができる
が、製造に要する時間が比較的長いため、より短時間で
効率よく発泡体を製造しうる方法の開発が望まれてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記発泡体
の製造法に鑑みてなされたものであり、圧縮強さが大き
く、スチレンなどのモノマーによって軟化しない発泡体
を短時間で効率よく製造しうる方法を提供することを目
的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、発泡性組成物
を発泡させた1次発泡体を、該1次発泡体と仕切板との
あいだに通水路を有する型枠内に入れたのち、該通水路
に熱水を通水して該1次発泡体を2次発泡させることを
特徴とする架橋塩化ビニル系樹脂発泡体の製造法に関す
る。
【0008】
【作用および実施例】本発明の製造法によれば、圧縮強
さが大きく、スチレンなどのモノマーによって軟化しな
い発泡体を短時間で効率よく製造することができる。本
発明の製造法によれば、このようにすぐれた物性を有す
る発泡体を短時間で製造することができるのは、発泡性
組成物を発泡させたゲル状の1次発泡体を型枠内に入れ
たのち、該1次発泡体の表面が効率よく熱水と接触し、
発泡性組成物に含有された酸無水物と、熱水とが接触し
て速やかに架橋反応が進行すると同時に、生成した炭酸
ガスによって2次発泡が進行し、該1次発泡体が緻密と
なって硬度が向上した表面層が形成されることにもとづ
くものと考えられる。
【0009】本発明に用いられる発泡性組成物は、本発
明が架橋塩化ビニル系樹脂発泡体を製造することを目的
としたものであるため、塩化ビニル系樹脂のほか、イソ
シアネートと酸無水物が用いられる。
【0010】本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂は、
たとえば塩化ビニル単独重合体、塩化ビニル- 酢酸ビニ
ル共重合体などの塩化ビニルを50重量%以上、好ましく
は70重量%以上含有する共重合体類をはじめ、塩化ビニ
ルと相溶性を呈するブレンド樹脂、たとえば塩素化塩化
ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン、エチレン- 酢酸ビニ
ル共重合体などの少なくとも1種を50重量%未満、好ま
しくは30重量%未満添加した塩化ビニル系樹脂との混合
物をも含む概念のものである。なお、前記塩化ビニル系
樹脂の重合度は通常1000〜4000、なかんづく1500〜3000
であることが好ましい。また、本発明においては、前記
塩化ビニル系樹脂のなかでは、ペースト塩化ビニル系樹
脂は、いわゆるゾル状の流動性を有する発泡性組成物と
することができ、工業的に取扱いが便利なばあいがある
ので好適に使用しうるものである。ここで、ペースト塩
化ビニル系樹脂とは、数μm以下の粒子径をもつ真珠状
の微細粉末で、いわゆる乳化重合法やミクロ懸濁重合法
により製造されるものであり、前記微細粉末はさらに径
の小さい多数の微粒子から構成される。
【0011】前記塩化ビニル系樹脂の配合量は、通常発
泡性組成物に対して20〜90重量%、なかんづく30〜60重
量%であることが好ましい。かかる塩化ビニル系樹脂の
配合量が前記範囲よりも少ないばあいには、発泡時に発
泡体のセル膜が破れて良好な発泡体とならなくなること
があり、また前記範囲よりも多いばあいには、発泡体の
密度が大きくなり、軽量構造材としての価値が失われる
傾向がある。
【0012】前記イソシアネートとしては、たとえばト
ルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン
ジイソシアネート(MDI)などがあげられ、これらの
イソシアネートは通常単独でまたは2種以上を混合して
用いられる。
【0013】前記イソシアネートの配合量は、通常発泡
性組成物に対して20〜50重量%、なかんづく30〜40重量
%であることが好ましい。かかる配合量が前記範囲より
も少ないばあいには、架橋効果が低下する傾向があり、
また前記範囲よりも多いばあいには、架橋反応に長時間
を要する傾向がある。なお、前記イソシアネートは酸無
水物および水を共存させることにより反応し、架橋が進
行すると同時に炭酸ガスが発生するので、該炭酸ガスを
発泡剤として利用することができる。このように生成し
た炭酸ガスを発泡剤として利用するばあいには、前記イ
ソシアネートの配合量は、発泡性組成物に対して20重量
%以上、なかんづく25重量%以上とすることが望まし
い。
【0014】前記酸無水物としては、たとえば無水フタ
ル酸、無水マレイン酸などがあげられ、これらの酸無水
物は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。な
お、酸無水物はイソシアネートとは直接反応しないた
め、発泡性組成物を発泡させて1次発泡体を作製し、え
られた1次発泡体に水を接触させて酸無水物をジカルボ
ン酸とし、これとイソシアネートとを反応させて2次発
泡させると同時に架橋反応を進行せしめるのがよい。
【0015】前記酸無水物の配合量は、通常イソシアネ
ートのイソシアネート基1当量に対して酸無水物に水を
反応させたときに生成するカルボキシル基0.5 〜1.5 当
量、とくに好ましくは1当量となるように調整すること
が望ましい。かかる配合量が前記範囲をこえるばあいお
よび前記範囲よりも少ないばあいのいずれのばあいにも
未反応物が残存し、えられる発泡体の各種物性を低下さ
せる傾向がある。
【0016】前記発泡性組成物には、必要により、たと
えばヒドラジカルボンアミド、タルクなどの造核剤を発
泡性組成物に対して0.01〜3重量%、なかんづく0.1 〜
1重量%添加することが好ましい。かかる配合量が前記
範囲よりも少ないばあいには、セルの微細化効果が不充
分となる傾向があり、また前記範囲をこえて配合しても
その効果はさほど顕著には向上しない。
【0017】なお、これらの造核剤のなかでは、ヒドラ
ジカルボンアミドは、その配合量がたとえば発泡性組成
物に対して0.15重量%と、きわめて少量で用いたばあい
であっても、えられる発泡体のセル径は、ヒドラジカル
ボンアミドを添加しないばあいと対比して大幅に、たと
えば約50%以上も小さくなるので、本発明において好ま
しいものである。
【0018】なお、本発明においては、前記造核剤に加
えて、整泡剤を発泡性組成物に配合したばあいには、よ
り一層セルの微細化を図ることができる。このような整
泡剤としては、たとえばアゾビスイソブチロニトリル、
アゾジカルボンアミドなどがあげられ、これらの整泡剤
は通常単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0019】前記整泡剤の配合量は、充分な整泡作用を
発現せしめるためには、発泡性組成物に対して0.1 重量
%以上、なかんづく0.5 重量%以上とすることが好まし
いが、あまりにもその配合量が多すぎるばあいには、製
品のコスト高につながるため、発泡性組成物に対して5
重量%以下、なかんづく2重量%以下とすることが好ま
しい。
【0020】前記発泡性組成物には、必要により発泡剤
が配合される。かかる発泡剤は、蒸発型発泡剤および分
解型発泡剤に大別されるが、本発明においてはいずれの
発泡剤も使用しうる。
【0021】前記蒸発型発泡剤としては、たとえばプロ
パン、ブタンをはじめ、フロン -123などのソフトフ
ロンなどがあげられ、これらの発泡剤は単独でまたは2
種以上を混合して用いられる。
【0022】前記分解型発泡剤としては、たとえばジア
ゾアミノベンゼン、N,N´- ジニトロソペンタメチレ
ンテトラミン、p- トルエンスルホニルヒドラジドなど
があげられ、これらの発泡剤は単独でまたは2種以上を
混合して用いられる。
【0023】前記発泡剤の配合量は、イソシアネートと
酸無水物の配合量、所望する発泡倍率や発泡剤の種類な
どによって異なるので一概には決定することができない
が、通常発泡性組成物に対して10重量%以下、なかんづ
く7重量%以下の範囲から選ばれる。発泡剤の配合量が
前記範囲をこえるばあいには、発泡時にセル膜の破断が
生じやすくなる傾向がある。
【0024】なお、前記発泡剤は、必要に応じてたとえ
ば尿素系の発泡助剤などと組合せて用いられうる。
【0025】また、前記発泡性組成物には、必要によ
り、たとえば安定剤、無機充填剤(増量剤)、顔料など
を適量配合することができる。
【0026】前記安定剤としては、塩化ビニル系樹脂の
分解劣化を阻止する能力を有するものであればとくに限
定はない。かかる安定剤の具体例としては、たとえば二
塩基性ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、三塩基性
硫酸鉛やステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、
亜リン酸鉛、フェニルインドールなどがあげられ、これ
らの安定剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられ
る。
【0027】前記無機充填剤には繊維状物と粒状物があ
る。前記繊維状物の代表例としては、たとえば岩綿、ガ
ラス繊維、セラミックファイバーなどがあげられる。ま
た、前記粒状物の代表例としては、たとえばタルク、炭
酸カルシウム、シラスバルーンなどがあげられる。
【0028】前記顔料は、えられる発泡体を所望の色に
着色するためのものであり、炭酸カルシウムなどのよう
に無機充填剤としての役割を兼備させることができる白
色顔料のほか、たとえばベンジジンオレンジ、ベンジジ
ンエローなどがあげられる。
【0029】なお、本発明においては、さらにたとえば
各種酸化防止剤、紫外線吸収剤をはじめ、三級アミン、
アルキルスルホン酸塩などの帯電防止剤などの通常プラ
スチックの添加剤として用いられているものを発泡性組
成物に適宜配合することができる。
【0030】本発明に用いられる発泡性組成物は、前記
したように、塩化ビニル系樹脂、造核剤、イソシアネー
ト、酸無水物、その他必要により配合される発泡剤、各
種添加剤などを所定量配合することによりえられるが、
該発泡性組成物は、金型内に充填する前に、たとえば双
腕ニーダーなどの混練機を用いて充分に混練し、均一な
組成のゾル状物としておくことが好ましい。なお、混練
時の温度についてはとくに限定はなく、通常室温であれ
ばよい。
【0031】つぎに調製された発泡性組成物をたとえば
アルミニウム合金などからなる金型内に充填し、金型を
たとえば油圧駆動型の多段式ホットプレス機などにセッ
トし、加圧下で該発泡性組成物を加熱する。
【0032】加圧および加熱条件は、該発泡性組成物の
構成成分により異なるが、発泡性組成物に応じた適当な
温度、たとえば150 〜200 ℃および圧力 100〜 300kg/
cm2・Gが選定される。なお、温度が前記範囲に達した
ら、30〜60分間程度その状態を維持するのが好ましい。
そののち、金型を加圧したままの状態でプレス機の加圧
加熱板温度を水などの冷却媒体を用いて室温まで降下さ
せ、金型を型開きすることにより1次発泡体がえられ
る。
【0033】つぎにえられた1次発泡体を、該1次発泡
体と仕切板とのあいだに通水路を有する型枠内に入れた
のち、該通水路に熱水を通水または対流などにより該1
次発泡体に接触させて該1次発泡体の2次発泡を行な
う。
【0034】このように2次発泡を行なったばあいに
は、発泡性組成物中の酸無水物は、イソシアネートとの
あいだで直接反応しないが、水分の存在下で酸無水物が
ジカルボン酸となり、生じたジカルボン酸がイソシアネ
ートと反応する。したがって、えられた1次発泡体を熱
水と接触させて架橋反応を進行させると同時に生成した
炭酸ガスによって2次発泡が行なわれる。なお、本発明
で通水とは、自然もしくは強制的に通水させるか、また
は対流、その他の反応によって消費される水を補うため
の熱水の流動などにより発泡体に熱水が供給されるすべ
ての作用をいう。
【0035】以下に、本発明における1次発泡体の2次
発泡方法の一実施態様を図面にもとづいて説明する。
【0036】図1は、通水性仕切板2が設けられた仕切
板1が型枠3を介して2段に積層され、形成されたスペ
ースに1次発泡体4が配置された状態の断面を示す概略
説明図である。通水性仕切板2と1次発泡体4とのあい
だには、通水性仕切板2に設けられた突起により熱水の
通水路が形成されている。
【0037】仕切板1としては、一般に鉄、ステンレ
ス、アルミニウム合金などの金属からなる角パイプを溶
接により連結したものなどのように、機械的強度が大き
い素材からなるものが用いられる。
【0038】型枠3は、仕切板1および通水性仕切板2
を保持し、1次発泡体4を挿入するためのスペースを形
成し、またえられる2次発泡体の寸法を一定値に規制す
るために、通常仕切板1および通水性仕切板2の四隅に
設けられる額縁状のものである。型枠3の高さは、所定
の2次発泡体の厚さに応じて適宜調整すればよいが、通
常10〜200mm 程度、なかんづく20〜100mm 程度である。
型枠3の材質としては、たとえば鉄、ステンレスなどが
あげられる。
【0039】通水性仕切板2は、前記したように、1次
発泡体4とのあいだで通水路を形成するために、その表
面に突起を有するものが好ましい。かかる突起の形状に
ついては、とくに限定はないが、たとえば図2に示され
るような紡錘形を有する突起5をはじめ、円柱形、円錘
形、角柱形、角錐形などの形状を有する突起などがあげ
られ、本発明はかかる突起の形状のみに限定されるもの
ではない。かかる突起の高さは、あまりにも高いばあい
には、2次発泡体の表面への突起のくいこみが大きくな
り、仕上加工をする際の収率を低下させる傾向があり、
またあまりにも低すぎるばあいには、通水性仕切板2と
1次発泡体のあいだに形成された空隙が小さくなりすぎ
て1次発泡体と熱水との接触度合いを高め、架橋反応の
所要時間を短縮するという本発明の目的が達成されなく
なる傾向があるため、通常0.3 〜3mm、なかんづく1〜
2mm程度であることが好ましい。
【0040】通水性仕切板2としては、たとえば金属板
をプレスして所定の突起を有するように加工されたもの
をはじめ、所定の突起を有するボード状に合成樹脂など
で成形されたものなどがあげられるが、本発明はかかる
例示のみに限定されるものではない。
【0041】なお、通水性仕切板2の代表例として、そ
の表面に突起を有するものを例示したが、本発明におい
ては、その表面に突起がない平板状のものであっても、
パンチング孔があいたものや金網状のものなどのように
熱水の導入が容易であるものであれば、目的を達成する
ことができることはいうまでもない。また、本発明にお
いては、通水性仕切板2自体に通水性があるものを用い
ることもできる。このような通水性仕切板としては、た
とえばスパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布など
の不織布をはじめ、ポリプロピレンやポリエチレンなど
の樹脂ビーズを焼結してつくられた通水性を有する樹脂
板などがあげられるが、本発明はかかる例示のみに限定
されるものではない。
【0042】また、本発明においては、内部が空洞の角
柱パイプをたとえば溶接などの手段によって接続し、1
次発泡体と接する面に多数の貫通孔を設けた仕切板を用
いてもよい。このような仕切板を用いたばあいには、通
水性仕切板が不要であり、仕切板および型枠で固定され
た1次発泡体を熱水中に浸漬するだけで、角柱パイプ内
の空洞を介して貫通孔から流出した熱水を1次発泡体と
接触させることができる。
【0043】また、さらに本発明においては、円柱状の
パイプやポールをたとえば溶接などの手段によって接続
した仕切板を用いてもよい。かかる仕切板を用いたばあ
いには、これらパイプやポール面と1次発泡体とが線接
触し、該1次発泡体とパイプやポールとのあいだに空隙
が形成され、これを通水路として利用することができ
る。2次発泡に際しては、仕切板および型枠で固定され
た1次発泡体を熱水中に浸漬するだけで、1次発泡体と
パイプやポールとのあいだに形成された通水路を介して
熱水が通水し、1次発泡体に接触する。
【0044】通水性仕切板2と1次発泡体4のあいだに
形成された通水路に熱水を通水などにより接触する際
に、1次発泡体と熱水とが充分に反応し、架橋反応を進
行させると同時に生成した炭酸ガスにより2次発泡を行
なうためには、熱水の温度は90℃以上とすることが好ま
しい。熱水の通水時間は、通常発泡体の種類、厚さなど
に応じて適宜設定されるものであり、一概には決定する
ことができないが、あまりにもその時間が短すぎるばあ
いには、架橋反応の進行が不充分となり、またあまりに
も長すぎるばあいには、かえって生産効率が低下するよ
うになるので、最低限必要な時間だけ熱水を通水するこ
とが好ましい。
【0045】なお、本発明においては、型枠内で熱水の
通水による2次発泡に先だって、1次発泡体を高温の熱
水や水蒸気などと接触させて型枠3の寸法をこえない範
囲内で発泡させておいてもよい。このようにあらかじ
め、1次発泡体に高温の熱水や水蒸気を接触させ、型枠
3の寸法近くまで発泡させておくと、型枠3内へ発泡体
をセットする際に、前後左右への偏心を小さくすること
ができるという利点がある。
【0046】このように、1次発泡体にあらかじめ高温
の熱水や水蒸気を接触させるばあいには、発泡体の種類
や厚さにもよるが、80〜95℃程度の熱水や水蒸気を20〜
500分間程度、1次発泡体と接触させることが好まし
い。
【0047】また、さらに前記1次発泡体にあらかじめ
高温の熱水や水蒸気を接触させるばあいには、まず1次
発泡体に80〜90℃の高温の熱水や水蒸気を接触させたの
ち、つぎに91〜97℃の高温の熱水や水蒸気を接触させた
ばあいには、架橋反応がまだあまり進んでいない2次発
泡初期での発泡速度が小さくなるため、セル膜の破損確
率を低下させることができるという利点がある。
【0048】かくしてえられる本発明の製造法による架
橋塩化ビニル系樹脂発泡体は、圧縮強さが大きく、たと
えばFRP積層体をつくる際に不飽和ポリエステルを架
橋するために用いられるスチレンなどのモノマーと接触
したばあいであっても軟化などの変質を生起することが
ないというすぐれた性質を有するものである。
【0049】つぎに、本発明の架橋塩化ビニル系樹脂発
泡体の製造法を実施例に基づいて詳細に説明するが、本
発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0050】製造例1〜2 表1に示す組成となるように原料を調整し、総量が50kg
となるように計量したのち、有効容量が50リットルの双
腕ニーダーで室温下で45分間混練して発泡性組成物をえ
た。
【0051】えられた発泡性組成物を内寸が680mm ×33
5mm ×14mmのアルミニウム合金製金型10台内にそれぞれ
充填し、多段プレス機にセットした。プレス熱板にスチ
ームを通し、金型温度を175 ℃まで昇温し、圧力210kg
/cm2 ・Gで35分間保持したのち、プレス熱板に工業用
水を通して30℃以下となるまで冷却し、プレス機の締付
圧を解放し、金型を型開きして1次発泡体をえた。えら
れた1次発泡体の発泡倍率は1.2 〜1.5 倍であった。
【0052】
【表1】
【0053】実施例1〜2 製造例1または製造例2でえられた1次発泡体を、90℃
の熱水中に30分間放置し、ついで95℃の熱水中で50分間
放置したのち、通水性仕切板として図2に示す突起の形
状を有する通水性仕切板(厚さ2.5mm 、突起の高さ1.5m
m )を用い、図1に示すように組立てられた型枠(950
×1900×54mm)内に設置した。
【0054】つぎに、99〜100 ℃の熱水が満たされた槽
を用意し、該槽内の熱水に型枠を浸漬して通水性仕切板
と1次発泡体のあいだに99〜100 ℃の熱水を実施例1で
は120 分間、実施例2では160 分間通水して2次発泡を
行ない、2次発泡体をえた。
【0055】えられた2次発泡体を通常の仕上加工機を
用いて910 ×1820×50mmに仕上加工したのち、その物性
として、密度、圧縮強さおよび耐スチレンモノマー性を
以下の方法にしたがって調べた。その結果を表2に示
す。
【0056】(イ)密度 仕上加工した板の重量(g)および体積(cm3 )を測定
して求める。
【0057】(ロ)圧縮強さ 仕上加工した板から50×50×50mmの試験片を切り出し、
(株)島津製作所製、オートグラフIS- 2000によ
り試験速度10mm/分で、室温下、厚さ方向に圧縮したと
きの降伏強さを求める。
【0058】(ハ)耐スチレンモノマー性 仕上加工した板から100 ×100 ×10mmの試験片を切り出
し、その片面にスチレンモノマーを46重量%含有する不
飽和ポリエステル樹脂を塗布する。
【0059】室温下で4時間放置後、塗布していない面
の軟化度合いを指圧により調べ、以下の評価基準にもと
づいて判定する。
【0060】(評価基準) ○:軟化が認められない。 △:軟化がやや認められる。 ×:軟化が大きい。
【0061】比較例1〜2 実施例1〜2において、通水性仕切板を用いなかったほ
かは実施例1〜2と同様にして2次発泡体をえ、さら
に、仕上加工した。
【0062】えられた仕上加工した板の物性を実施例1
〜2と同様にして調べた。その結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】表2に示した結果から明らかなように、比
較例1〜2においては、通水性仕切板が用いられていな
いため、架橋反応の進行が不充分であり、えられた2次
発泡体は、圧縮強さが小さく、耐スチレンモノマー性に
おとるものであることがわかる。
【0065】比較例3〜4 比較例1〜2においては、通水性仕切板が用いられてい
ないため、所望の2次発泡体をうることが困難であるこ
とが明らかとなったが、つぎに実施例1〜2でえられた
2次発泡体と同程度の架橋度合いを有する2次発泡体を
つくるために、比較例1〜2の方法において必要とされ
る熱水の通水時間を調べた。その結果、比較例1におい
ては170 分間(比較例3)、比較例2においては230 分
間(比較例4)と、実施例1〜2と対比してそれぞれ、
1.4 倍程度の長時間を要した。
【0066】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、圧縮強さが大
きく、耐モノマー性にすぐれた架橋塩化ビニル系樹脂発
泡体を短時間で容易に製造することができ、えられた発
泡体は、耐モノマー性が必要とされるFRP船、FRP
タンクなどの芯材などとして好適に使用しうるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における1次発泡体の2次発泡方法に関
する説明図である。
【図2】本発明に用いられる通水性仕切板の一実施態様
を示す平面図である。
【符号の説明】
4 1次発泡体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:24

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発泡性組成物を発泡させた1次発泡体
    を、該1次発泡体と仕切板とのあいだに通水路を有する
    型枠内に入れたのち、該通水路に熱水を通水して該1次
    発泡体を2次発泡させることを特徴とする架橋塩化ビニ
    ル系樹脂発泡体の製造法。
JP4073841A 1992-03-30 1992-03-30 架橋塩化ビニル系樹脂発泡体の製造法 Pending JPH05269878A (ja)

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