JPH05269203A - 低比重リポ蛋白質を除去した血漿を製造する方法 - Google Patents

低比重リポ蛋白質を除去した血漿を製造する方法

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JPH05269203A
JPH05269203A JP4355447A JP35544792A JPH05269203A JP H05269203 A JPH05269203 A JP H05269203A JP 4355447 A JP4355447 A JP 4355447A JP 35544792 A JP35544792 A JP 35544792A JP H05269203 A JPH05269203 A JP H05269203A
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徹 黒田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 一般的に普及可能であり、低比重リポ蛋白質
を高い効率で選択的に吸着し、非選択的な吸着が少な
く、安全性があり、滅菌操作も簡単に行うことができ
る、血漿の浄化あるいは再生に適した浄化血漿の製造方
法を提供する。 【構成】 血漿中で負電荷を示す官能基を、分子量20
0当たりに1個以上有する分子量が5000以上の鎖状
ポリアニオンが水不溶性担体の表面に結合されてなり、
その負電荷密度が1μeq/ml以上、1meq /ml以下であ
る吸着材を用いて、低比重リポ蛋白質を含む血漿から、
低比重リポ蛋白質を選択的に除去した血漿を得る方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血漿脂質の増加に起因
する各種疾患と密接な関係を持つと考えられている低比
重リポ蛋白質を選択的に除去した血漿の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】周知の如く、血液中の脂質、特に低比重
リポ蛋白質の増加は、動脈硬化の原因あるいは進行と密
接な関係を持っていると考えられている。動脈硬化が進
むと心筋梗塞、脳梗塞等循環器系の重篤な症状に陥る可
能性が非常に高くなり、死亡率も高い。そこで、血液、
血漿等の体液成分から低比重リポ蛋白質を選択的に吸着
除去することによって、上記の如き疾患の進行を防止
し、症状を軽減せしめ、さらには治癒を早めることが期
待されていた。
【0003】上記目的に使用可能な既存の技術には、ア
ガロースゲルにヘパリンを固定化した吸着材による吸着
( Lupien, P-J, et.al. : A new approach to the man
agement of familial hypercholesternlemia. Removal
of plasma-cholesterol based on the principle of af
finity chromatography. Lancet, 2 : 1261 〜1264,197
6.)、およびガラスパウダーまたはガラスビーズを用い
たクロマトグラフィー( Carlson, L.A. : Chromatogra
phic separation of serum Lipoprotein on glass powd
er colums. Description of the method and some appl
ications. Clin. Chim. Acta, 5 : 528〜538, 1960.)
がある。
【0004】しかしながら、ヘパリンをアガロースに固
定した吸着材は、低比重リポ蛋白質に選択的吸着能を示
すものの吸着能力が充分でなく、また、担体にアガロー
スを用いているため、機械的強度が不充分で取扱い性、
操作性が悪く、体液を流した場合の目づまりが起こり易
く、また、滅菌操作によるポアーの破壊があり、非常に
使い難いものであった。また、ガラスパウダーやガラス
ビーズを用いる方法は、吸着能力が低く、その上、吸着
選択性が低いという欠点があり、実用的でなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の如き従来技術に基づく吸着操作の問題点に鑑み、一般
的に普及可能であり、低比重リポ蛋白質を高い効率で選
択的に吸着し、非選択的な吸着が少なく、安全性があ
り、滅菌操作も簡単に行うことができる、血漿の浄化あ
るいは再生に適した浄化血漿の製造方法を提供しようと
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
に沿って鋭意研究した結果、分子中に負電荷を示す官能
基を多数個持ち、分子量が比較的大きい鎖状ポリアニオ
ンを表面に有し、かつ、その負電荷密度が特定の範囲に
ある吸着材が、驚くべきほど高い効率で低比重リポ蛋白
質を吸着し、非選択的な吸着が少なく、かつ、血液の凝
固、線溶系、補体系を活性化することが少ないことを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、血漿中で負電荷を示
す官能基を、分子量200当たりに1個以上有する分子
量が5000以上の鎖状ポリアニオンが水不溶性担体の
表面に結合されてなり、その負電荷密度が1μeq/ml以
上、1meq /ml以下である吸着材を、血漿入口および出
口を有するカラム内に隔設された2枚の吸着材漏出防止
フィルターの間に50〜400ml充填してなる吸着装置
に、低比重リポ蛋白質を含む血漿を断続的に通液し、低
比重リポ蛋白質を選択的に除去した血漿を製造する方法
である。
【0008】本発明で対象とする吸着物質は、低比重リ
ポ蛋白質であるが、より詳細に説明すると、分子量が
2.2×106 から3.5×106 、水和密度が1.0
03から1.034(g/ml)、浮上係数(1.06
3)が0から20×10-13 cm・sec -1・ dyn-1
-1、直径が20.0から30.0nmのリポ蛋白( SCA
NU, A.M. : plasma lipoproteins : an introduction.
“ The Biochemistry of Atherosclerosis " ed. by SC
ANU A.M., 1979, P.3 〜 8, による)を言う。これより
比重の小さいリポ蛋白、すなわち、浮上係数(1.06
3)が20×10-13 cm・sec -1・ dyn-1・g-1より大
きいリポ蛋白質は吸着されてもよいが、比重の高い高比
重リポ蛋白は吸着されないことが好ましい。
【0009】本発明で言うポリアニオン部とは、1分子
の分子量が5000以上であり、1分子中に負電荷を示
す官能基、すなわち、スルホン酸基や硫酸基など血漿中
で負電荷を示す官能基を多数個持つものを言う。例示す
ると、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルリン酸等のビ
ニル系合成ポリアニオン、ポリスチレンスルホン酸、ポ
リスチレンリン酸等のスチレン系ポリアニオン、デキス
トラン硫酸などの硫酸各糖のポリアニオン、ポリタウリ
ン等のペプチド系ポリアニオン、RNA、DNA等の核
酸系ポリアニオンやポリリン酸、ポリホスフェイトエス
テル、ポリ−α−メチルスチレンスルホン酸などのポリ
アニオンがあげられる。
【0010】中でも合成することによって得られるポリ
アニオンは、その化学的安定性に優れ、高圧蒸気滅菌、
γ線滅菌、エチレンオキサイド滅菌等に対しても安定な
ものを得易く、また、分子量の調節も比較的簡便に行え
る等の点で天然の物より優れ、推奨できる。また、合成
により得られるポリアニオンの場合、天然の多糖類にみ
られるような補体の活性化を起こし難いポリアニオンが
容易に得られるため好ましい。さらに、ビニル系アニオ
ンのように、担体に対して直接グラフト重合を行えるも
のは、担体に対して分子量の大きいポリアニオンを高保
持量で固定することができる点で、より好ましい結果を
与える。
【0011】また、吸着目的物質である低比重リポ蛋白
質は、直径が約200Åという巨大なリポ蛋白であるた
め、ポリアニオンの構造は鎖状構造であることが好まし
く、吸着材表面から長く伸びている方が好ましい。ま
た、鎖状ポリアニオン中の負電荷密度は、分子量200
当たりに少なくとも1個あるのが好ましい。さらに好ま
しくは、分子量70から150の単位に1個あるのが望
ましい。ここで言う分子量には、負電荷を示す官能基の
分子量も含む。鎖状ポリアニオンの分子量は、小さくな
ると低比重リポ蛋白質をあまり吸着しなくなるので、5
000以上が好ましく25000 〜1000000 の範囲がより望
ましい。鎖状ポリアニオンが持つ多数個の負電荷を示す
官能基が、低比重リポ蛋白質の多数点を認識することに
より、強いクーロン力で低比重リポ蛋白質を結合すると
考えられる。
【0012】負電荷の密度は吸着材1ml当たり1μeqか
ら1meq の範囲が低比重リポ蛋白質の吸着性能が良く、
吸着選択性が良く、凝固線溶系、補体系への影響が少な
い適当な範囲である。1μeq/mlより負電荷密度が低く
なると、低比重リポ蛋白質の吸着能力が実用性能に満た
ず、1meq を超えると非選択的な吸着が増え、凝固線溶
系、補体系に悪影響を与える。より好ましい範囲は5μ
eq/mlから700μeq/ml、さらに好ましいのは10μ
eq/mlから500μeq/ml、より望ましくは20μeq/
mlから300μeq/mlである。負電荷密度の測定は、通
常の陽イオン交換樹脂のイオン交換容量測定方法に準じ
て行うことができる。
【0013】本発明吸着材を製造する方法は、例えば、
担体を活性化し、鎖状合成ポリアニオンをその片末端で
共有結合させる方法、担体にアニオンモノマーをグラフ
ト重合させ、ポリアニオンのグラフト鎖を形成する方法
などが挙げられる。担体は、5000以上の分子量を持
つポリアニオンを負電荷密度で1μeq/mlから1meq /
mlの範囲で固定できればよく、親水性担体、疎水性担体
のいずれも使用できるが、疎水性担体を用いる場合に
は、時に担体へのアルブミンの非特異的吸着が生じるた
め、親水性担体の方が好ましい結果を与える。
【0014】不溶性担体の形状は、粒子状、繊維状、中
空糸状、膜状等いずれの公知の形状も用いうるが、50
00以上の分子量を持つ鎖状ポリアニオンの保持量、吸
着材としての取扱い性よりみて、粒子状、繊維状のもの
が好ましい。
【0015】粒子状担体としては、平均粒径25μmな
いし2500μmの範囲にあることが好ましい。平均粒
径はJIS−Z−8801に規定されるフルイを用いて
流水中で分級した後、各級の上限粒径と加減粒径の中間
値を各級の粒径とし、その重量平均として平均粒径を算
出する。また、粒子形状は、球形が好ましいが、特に限
定されるものではない。平均粒径が2500μm以上で
は、低比重リポ蛋白質の吸着量および吸着速度が低下す
るし、25μm以下では、凝固系の活性化、血球粘着を
おこしやすい。使いうる粒子状担体としては、アガロー
ス系、デキストラン系、セルロース系、ポリアクリルア
ミド系、ガラス系、シリカ系活性炭系等が挙げられる
が、ゲル構造を有する親水性担体が良好な結果を与え
る。また、通常固定化酵素、アフィニティクロマトグラ
フィーに用いられる公知の担体は、特別な限定なく使用
することができる。ここで、担体の蛋白質排除限界分子
量は200万以上あることが必要であり、250万から
1000万が好ましく、300万から700万の範囲に
あるのが好ましい。これを細孔の平均孔径で示すと20
0Åないし3000Å、より好ましくは250Åないし
700Åの範囲、望ましくは300から650Åの範囲
にあるものである。
【0016】粒子状担体としては、多孔性粒子、特に多
孔性重合体を用いることもできる。本発明で用いられる
多孔性重合体粒子は、5000以上の分子量を持つポリ
アニオンを負電荷密度で1μeq/mlから1meq /mlの範
囲で固定化しうるものであり、重合体組成は、ポリアミ
ド系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ビニル化合物
の重合体等、多孔性構造をとりうる公知の重合体を用い
ることができるが、特に親水性モノマーにより親水化し
たビニル化合物系多孔性重合体粒子が好ましい結果を与
える。
【0017】本発明に用いられる吸着材は、血液を流し
たときに目詰まりが起こらないことが必要である。した
がって、本発明に用いられる担体は硬質担体であること
が好ましく、合成高分子担体、無機担体等が好ましく用
いられる。ここで言う硬質担体とは、外力を加えたと
き、担体の物性値が一定値以上を保持するものを言う
が、具体的には、ゲルを直径10mm、長さ50mmの容器
に充填し、通水するとき、カラムの入口圧力と出口圧力
との差が200mmHgの状態でゲルの体積減少率が10%
以下であるのが好ましい。
【0018】前記多孔性構造は、平均孔径200Åない
し3000Åの範囲にあるのが好ましいが、平均孔径が
小さすぎる場合には、吸着される低比重リポ蛋白質の量
が少なく、大きすぎる場合には、重合体粒子の強度が低
下し、かつ表面積が減少するため実用的ではない。表面
積は少なくとも10m2 /g以上であることが好まし
く、55m2 /g以上であることがさらに好ましい。望
ましくは100m2 /g以上である。
【0019】平均孔径の測定は水銀圧入式ポロシメータ
ーによる。この方法は、多孔性物質に水銀を圧入してゆ
き、侵入した水銀量から気孔量を、圧入に要する圧力か
ら孔径を求める方法であり、40Å以上の孔を測定する
ことができる。本発明の孔とは、孔径が40Å以上の表
面からの連通孔と定義する。平均孔径は、孔径をr、ポ
ロシメーターで測定した累積気孔量をVとしたとき、dv
/dlogrの値が最大となるときのrの値とする。
【0020】繊維状担体を用いる場合には、その繊維径
が1μmないし50μm、より好ましくは5μmから2
5μmの範囲にあるものがよい。繊維径が大きすぎる場
合には、低比重リポ蛋白質の吸着量および吸着速度が低
下するし、小さすぎる場合には、凝固系の活性化、血球
粘着、目づまりをおこしやすい。用いうる繊維状担体と
しては、再生セルロース系繊維、ナイロン、アクリル、
ポリエステル等公知の繊維を一般に用いることができ
る。
【0021】5000以上の分子量を持つ鎖状ポリアニ
オンを不溶性担体の表面に固定する方法は、共有結合、
イオン結合、物理吸着、包埋あるいは重合体表面への沈
殿不溶化等あらゆる公知の方法を用いることができる
が、鎖状ポリアニオンの溶出性から考えると、共有結合
により、固定、不溶化して用いることが好ましい。その
ため通常固定化酵素、アフィニティクロマトグラフィー
で用いられる公知の担体の活性化方法、リガンドとの結
合方法、および担体を幹ポリマーとし、鎖状ポリアニオ
ンを枝とするグラフト重合の手法を用いることができ
る。
【0022】活性化方法を例示すると、ハロゲン化シア
ン法、エピクロルヒドリン法、ビスエポキシド法、ハロ
ゲン化トリアジン法、ブロモアセチルブロミド法、エチ
ルクロロホルマート法、1,1’−カルボニルジイミダ
ゾール法等をあげることができる。本発明の活性化方法
は、リガンドのアミノ基、水酸基、チオール基等の活性
水素を有する求核反応基と置換および/または付加反応
できればよく、上記の例示に限定されるものではない
が、化学的安定性、熱的安定性等を考慮すると、エポキ
シドを用いる方法が好ましく、特にエピクロルヒドリン
法が推奨できる。また、シリカ系、ガラス系等のシラノ
ール基を持つ担体については、各種シランカップリング
剤が好ましく用いられる。
【0023】グラフト重合法を例示すると、連鎖移動
法、乳化重合法、セリウム塩、過硫酸塩−ハロゲン化リ
チウム、過酸化水素−金属塩等各種開始剤を用いたグラ
フト重合法、パーエステル基、メルカプト基、ジアゾ基
等の官能基を有するポリマーによるグラフト重合法、空
気またはオゾン酸化によるグラフト重合法、放射線グラ
フト法などがあげられるが、中でも水酸基、チオール、
アルデヒド、アミンなどの還元性基を有する担体に、セ
リウム塩、鉄塩などを開始剤としてアニオンモノマーを
グラフト重合して行く方法が簡便であり、推奨できる。
また、グラフト重合の系は、比較的分子量の大きいポリ
アニオンを担体の内部まで固定できるので好ましく用い
られる。
【0024】担体に、5000以上の分子量を持つ鎖状
ポリアニオンを2種類以上結合させてもさしつかえな
い。以上、本発明に用いられる吸着材の製造方法を例示
して、少なくとも5000の分子量を持つポリアニオン
を1μeq/mlから1meq /mlの負電荷密度で担体に結合
する方法について詳細に説明したが、本発明の吸着材
は、これに限定されるものではない。
【0025】例えば、5000以上の分子量を持つ鎖状
ポリアニオンを有する重合性モノマーを用いて重合(共
重合)する方法、5000以上の分子量を持つポリアニ
オンを活性化した後に担体と結合する方法等も採用する
ことができる。本発明に用いられる低比重リポ蛋白質吸
着材は、血液の導出入口を備えた容器内に充填保持され
て使用される。
【0026】図面において、1は本発明に用いられる低
比重リポ蛋白質吸着材を納めてなる吸着装置の一例を示
すものであり、円筒2の一端開口部に、内側に吸着材漏
出防止フィルター3を張ったパッキング4を介して血液
導入口を有するキャップ6をネジ嵌合し、円筒2の他端
開口部に内側に吸着材漏出防止フィルター3’を張った
パッキング4’を介して血液導出口7を有するキャップ
8をネジ嵌合して容器を形成し、フィルター3および
3’の間に吸着材を充填保持させて吸着材層9を形成し
てなるものである。
【0027】吸着材層9には、前述の低比重リポ蛋白質
吸着材を単独で充填してもよく、他の吸着材と混合もし
くは積層してもよい。他の吸着材としては、例えば幅広
い吸着能を有する活性炭のようなものを用いることがで
きる。これにより吸着材の相乗効果によるより広範な臨
床効果が期待できる。吸着材層9の容積は、体外循環に
用いる場合、50〜40ml程度が適当である。本発明の
方法を体外循環という形で行う場合には、大略次の二通
りの方法がある。一つには、体内から取り出した血液を
遠心分離器もしくは膜型血漿分離器を使用して、血漿成
分と血球成分とに分離した後、血漿成分のみを該装置に
通過させ、浄化した後、血球成分と合わせて体内にもど
す方法であり、他の一つは体内から取り出した血液を直
接該装置に通過させ、浄化する方法である。
【0028】また、血液もしくは血漿の通過速度につい
ては、該吸着材の吸着能率が非常に高いため、吸着材の
粒度を粗くすることができ、また充填度を低くできるの
で、吸着材層の形状の如何にかかわりなく、高い通過速
度を与えることができる。そのため多量の体液処理をす
ることができる。本発明の方法においては、低比重リポ
蛋白質を含む血液は前述の吸着装置に断続的に通液され
る。断続的な通液には以下に例示するような様々なメリ
ットがある。
【0029】まず、断続的な通液と通液の間には、吸着
量が飽和に達し失活した吸着材を再生することができ
る。この場合、被処理血液が連続的に処理されるように
同じ吸着装置を2個以上準備し、常に1個の吸着装置に
被処理血液を通液し、他の吸着装置を再生または再生準
備の状態に置くようにすると効率的な浄化血漿の製造が
実現できる。
【0030】また、通常、被処理血液中に含まれている
低比重リポ蛋白質の量は処理前には正確に把握できない
から、吸着装置の処理能力と被処理血液の量、および被
処理血液中の低比重リポ蛋白質の量とのバランスを処理
操作前に知ることは難しい。それ故吸着装置の処理能力
を遙かに下回る量の血液を処理しただけで吸着装置を捨
ててしまったり、反対に吸着装置の処理能力を超える量
の被処理血液を通液してしまい、吸着材が被処理血液中
に含まれている低比重リポ蛋白質を吸着しきれないこと
もあり得る。
【0031】このような不都合を回避するために、被処
理血液を吸着装置に断続的に通液し、断続的な通液と通
液の間に適宜吸着装置の血液出口側から出てくる血漿中
に低比重リポ蛋白質が残存していないかをチェックする
などして、吸着装置の処理能力を確認すれば、結局は被
処理血液を再度吸着操作にかけるといった手間を省き、
しかも、貴重な被処理血液に吸着材との接触というダメ
ージを与える回数を減らし、その上、吸着装置もその能
力を無駄なく利用されることになるので、低比重リポ蛋
白質が除去された血漿を短時間に効率的に製造すること
ができる。
【0032】
【発明の効果】本発明に用いられる吸着材は、以上述べ
てきたように血液中の低比重リポ蛋白質を高率かつ選択
的に吸着除去し、該吸着材を用いた吸着装置は非常にコ
ンパクトであると共に簡便かつ安全である。そして、血
漿蛋白中の他の成分を非選択的に吸着することが少な
く、高い効率で低比重リポ蛋白質を吸着でき、さらに凝
固線溶、補体系を活性化することが少ない。本発明は、
高脂血症等の血液の浄化、再生に適用可能であり、高脂
血症に起因した疾患の安全で確実な治療法としても有効
である。
【0033】
【実施例】以下実施例により、本発明の実施の態様をよ
り詳細に説明する。 実施例1 酢酸ビニル100g、トリアリルイソシアヌレート4
1.4g(X=0.40)、酢酸エチル100g、ヘプ
タン100g、ポリ酢酸ビニル(重合度500)7.5
gおよび2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.8
gよりなる均一混合液と、ポリビニルアルコール1重量
%、リン酸二水素ナトリウム二水和物0.05重量%お
よびリン酸水素二ナトリウム十二水和物1.5重量%を
溶解した水400mlとをフラスコに入れ、十分攪拌した
のち65℃で18時間、さらに75℃で5時間加熱攪拌
して懸濁重合を行い、粒状共重合体を得た。濾過水洗、
ついでアセトン抽出後、カセイソーダ46.5gおよび
メタノール2リットルよりなる溶液中で40℃で18時
間、共重合体のエステル交換反応を行った。得られたポ
リビニルアルコールゲルの平均粒子径は98μm、排除
限界分子量は480万であった。
【0034】このゲル1容に対して、スチレンスルホン
酸(分子量184あたりに1個のスルホン酸基を持つ)
を5w/v%を溶解したメタノール溶液10容を加え、
γ線25kGyを照射してポリビニルアルコールゲル表
面にポリスチレンスルフォン酸を放射線重合して吸着材
を得た。得られた吸着材の負電荷密度は58μeq/ml、
ポリスチレンスルフォン酸の分子量は約5,500であ
った。
【0035】得られた吸着材を用いて、以下のようにコ
レステロール吸着能力を測定した。総コレステロール濃
度235mg/dlの血漿6容に吸着材1容を加え、37℃
で2時間反応させた。反応前後の総コレステロール減少
量より求めた吸着材の吸着能力は、吸着材1mlあたり1
4.2mgであった。かくして得られた吸着材を200pp
m のピロ亜硫酸ナトリウム緩衝液と共に、図面に示した
のと同様の、血漿の流入口と流出口とを有する容器に充
填して高圧蒸気滅菌して、吸着器を試作した。吸着器に
充填できた吸着材の量は10mlであった。
【0036】吸着器に、総コレステロール濃度235mg
/dlの血漿20mlを0.5ml/分で灌流した。この時の
吸着器流出血漿中の総コレステロール濃度は2.0mg/
dlであり、コレステロールの吸着性は非常に高かった。
その後、血漿の灌流を中断して、30mlの生理食塩液
(薬局法)で吸着器を洗浄した後、4℃で2日間保存し
た。保存後、上記と同様にして総コレステロール濃度2
35mg/dlの血漿20mlを灌流した。この時の吸着器流
出血漿中の総コレステロール濃度は4.6mg/dlであ
り、保存前と同様高いコレステロール吸着能力を示し
た。このようにコレステロールの吸着性は、保存前後で
安定して高値であり、かつ吸着材の吸着能力を無駄にす
ることなく利用できた。
【0037】実施例2 実施例1で用いた吸着器と同様の吸着器を用いて実施し
た。吸着器に、総コレステロール濃度250.7mg/dl
の血漿100mlを0.5ml/分で灌流した。灌流当初の
吸着器流出血漿中の総コレステロール濃度は0.2mg/
dlであり、高い吸着性能を発揮していたが、血漿およそ
50mlを灌流した頃より、吸着器流出血漿中の総コレス
テロールは徐々に高値となり、血漿100mlを灌流した
ときには、吸着材前後での総コレステロールの減少は見
られなかった。
【0038】次に、血漿の灌流を中断し、生理食塩液5
0mlをこの吸着器に0.5ml/分で灌流した後、5%塩
化ナトリウム水溶液10mlを0.5ml/分で灌流して吸
着材に吸着したLDLコレステロールを遊離した。遊離
後、生理食塩液50mlをこの吸着器に0.5ml/分で灌
流し、再度総コレステロール濃度250.7mg/dlの血
漿50mlを0.5ml/分で灌流した。この時吸着器流出
血漿中の総コレステロール濃度は0.4mg/dlであり、
再び高い吸着性能を発揮した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる低比重リポ蛋白質吸着材を
使用した吸着装置の1例を示す断面図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 血漿中で負電荷を示す官能基を、分子量200当たりに
    1個以上有する分子量が5000以上の鎖状ポリアニオ
    ンが水不溶性担体の表面に結合されてなり、その負電荷
    密度が1μeq/ml以上、1meq /ml以下である吸着材
    を、血漿入口および出口を有するカラム内に隔設された
    2枚の吸着材漏出防止フィルターの間に50〜400ml
    充填してなる吸着装置に、低比重リポ蛋白質を含む血漿
    を断続的に通液し、低比重リポ蛋白質を選択的に除去し
    た血漿を製造する方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP4578405B2 (ja) * 2003-05-08 2010-11-10 株式会社カネカ 全血処理が可能な低密度リポ蛋白およびフィブリノーゲンの吸着材、及び吸着器

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