JPH05266750A - 抗菌性タッチスイッチ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 不特定多数の利用者が使用する透明タッチス
イッチの表面を常に清浄に保つ。 【構成】 透明ガラス基板１上に透明電極２を設け、そ
の上に、透明不透水膜３を介して、銀イオンあるいは銀
錯体をシリカゲルなどのフッ素樹脂と同程度の屈折率を
有する担体に担持させた抗菌剤４粒子をフッ素樹脂中に
分散した透明抗菌性皮膜５を形成する。この構成によれ
ば、不特定多数の使用者が長期間タッチスイッチを使用
しても、抗菌剤により表面に付着した雑菌が滅菌され、
タッチスイッチ表面を常に清浄に保つことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、透明でオン／オフスイ
ッチ機能を有する抗菌性タッチスイッチに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ＣＲＴ画面前部、ＥＬパネル表面
などに透明タッチパネルを設け、これを直接操作するこ
とによりコンピュータや制御回路などへ入力する装置が
多用されている。

【０００３】このような入力装置としては、ガラス板な
どの透明基板に透明電極を設けて構成したタッチパネル
をスイッチとして利用する方式が種々考案されている。
上記構成のタッチパネルは、人体との接触により流れる
微弱電流を検出する方法と、人体を誘電体として利用
し、人体との接触による容量変化に基づくインピーダン
ス変化を検出する方法とに大別される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記のタッチスイッチ
は、個人専用として使用されるものもあるが、不特定多
数を対象として使用されるものも少なくない。

【０００５】しかし、このような従来の構成では、不特
定多数の人を対象とした場合、タッチスイッチの表面
は、いろいろな人の指が接触するので、スイッチの表面
が汚染され不衛生であるという問題があった。

【０００６】本発明はこのような課題を解決するもの
で、不特定多数の人が使用するタッチスイッチを常に清
浄に保つことを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、透明基板上に透明導電膜を設け、その上に
抗菌剤を含有する透明抗菌性皮膜を形成してなる抗菌性
タッチスイッチを構成したものである。

【０００８】また、透明抗菌性皮膜として、フッ素樹脂
に抗菌剤を分散してなる被膜を用いたものである。

【０００９】また、抗菌剤を、銀イオンあるいは銀錯塩
をフッ素樹脂と同程度の屈折率を有する担体に担持させ
るようにしたものである。

【００１０】また、担体として、シリカゲルを用いるよ
うにしたものである。

【００１１】

【作用】この構成によれば、透明抗菌性皮膜中に含まれ
る銀イオンあるいは銀錯塩の抗菌作用により、不特定多
数の利用者がタッチスイッチに接触し、パネル表面に微
生物が付着しても、抗菌剤により殺菌され、常に清浄な
状態に保つことができる。

【００１２】また、本発明のタッチスイッチはすべて透
明な材料で構成され、さらに抗菌剤は、分散する樹脂と
同程度の屈折率を有する担体に担持させることにより、
透明性を損なわないとともに、抗菌剤が徐々に拡散し、
抗菌効果の徐放性が得られる。

【００１３】またタッチスイッチの表面に撥水性の強い
フッ素樹脂膜を形成することにより、表面に夾雑物が付
着することを抑制し、耐汚染性が向上する。

【００１４】一方、透明抗菌性皮膜は導電性が低いが、
皮膜の厚みを薄くすることにより、透明性が増加すると
ともに皮膜のインピーダンスが低くなり、透明導電膜か
ら透明抗菌性皮膜を経由した人体までのインピーダンス
変化を検出することが可能になる。この結果、タッチス
イッチ機能を確実に発揮することとなる。

【００１５】

【実施例】以下に本発明の一実施例を図面を参照しなが
ら説明する。図１に本実施例の抗菌性タッチスイッチの
構成を示す。図に示すように、厚さ３ｍｍのガラス基板
１の上に、酸化インジュウムをスパッタリングなどの方
法で製膜し、約３００Ω／cm²の抵抗値に設定した透明
電極２が形成される。その上に、酸化インジュウムの腐
食劣化を防止するための透明不透水膜３を約５μｍの厚
みに塗布する。

【００１６】つぎに、抗菌剤の製造法を説明する。酢酸
銀を出発原料とし、チオ硫酸ナトリウムとで錯体を形成
させることにより、チオスルファト銀錯塩を得る。この
錯塩を平均粒径約２．６μｍのシリカゲル担体に吸着さ
せたのち、その表面にテトラエトキシシランを加水分解
して得られるシリコンコーティング膜で覆うことにより
抗菌剤４を得る。この抗菌剤４を、透明で撥水性の強い
フッ素樹脂に約１０ｗｔ％分散して得られる透明抗菌性
皮膜５を透明不透水膜３の上に塗布積層する。

【００１７】このようにして得られたタッチスイッチ表
面の抗菌性について評価した結果を（表１）に示す。

【００１８】上記のタッチスイッチおよび抗菌剤を含ん
でいない従来のタッチスイッチについて、表面を滅菌綿
により拭き取り、綿に付着した細菌を滅菌水中に取り出
し、寒天培地上に混釈培養してコロニーを形成させるこ
とにより、付着細菌数を計数した。

【００１９】

【表１】

【００２０】（表１）に示す結果からわかるように、本
実施例の抗菌性タッチスイッチは優れた抗菌性をその表
面に有し、不特定多数の利用者が使用したとしても、常
に表面を清浄に保つことができる。

【００２１】なお、本実施例では抗菌剤として銀錯塩を
用いた例について説明したが、銀イオンを有する他の銀
化合物を用いても同じ効果が得られることは言うまでも
ない。

【００２２】

【発明の効果】以上の実施例の説明から明らかなように
本発明によれば、タッチスイッチ機能を有する透明導電
膜の上に透明導電膜抗菌皮膜を形成することにより、不
特定多数の人が長期間使用しても、タッチスイッチ表面
での雑菌の繁殖を抑制し、表面を常に清浄に保つことが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例のタッチスイッチの概略構成
を示す断面図

【符号の説明】

１ ガラス基板 ２ 透明電極 ３ 透明不透水膜 ４ 抗菌剤 ５ 透明抗菌性皮膜

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 透明基板上に透明導電膜を設け、前記透
   明導電膜上に抗菌剤を含有する透明抗菌性皮膜を形成し
   てなる抗菌性タッチスイッチ。
2. 【請求項２】 透明抗菌性皮膜として、フッ素樹脂に抗
   菌剤を分散してなる被膜を用いる請求項１記載の抗菌性
   タッチスイッチ。
3. 【請求項３】 銀イオンあるいは銀錯塩を、フッ素樹脂
   とほぼ同じ屈折率を有する担体に担持させた抗菌剤をフ
   ッ素樹脂に分散してなる請求項１または２記載の抗菌性
   タッチスイッチ。
4. 【請求項４】 抗菌剤の担体として、シリカゲルを用い
   る請求項１〜３のいずれかに記載の抗菌性タッチスイッ
   チ。