JPH0526558Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、原子炉用燃料集合体において、複
数の燃料要素（燃料棒）を支持する支持構造体に
関するものである。

［従来の技術］ 従来、この種の支持構造体としては、第５図及
び第６図に示すものが提供されている。これは、
複数のストラツプ１…を多数の格子空間２…を画
成するように組み立ててなる支持格子３と、複数
の支持格子３…の互いに対応する格子空間２…を
挿通する複数の制御棒案内管（以下、案内管と略
す）４…とにより構成されているもので、案内管
４が配列されている以外の格子空間２に、燃料被
覆管と該燃料被覆管に内封された核燃料ペレツト
とからなる燃料要素（図示略）を挿入して支持す
るようになつている。各案内管４は、内部に核反
応を制御する制御棒（図示略）が挿通されるよう
になつており、中性子の吸収能が低いジルカロイ
を素材として形成されている。各案内管４は、そ
の上下端を、支持構造体の空間に冷却水を流通さ
せるための上部ノズル（図示略）及び下部ノズル
５により固定されている。案内管４と支持格子３
との結合は、異種の金属どうしの結合であり通常
の鑞付けができないので、第７図及び第８図に示
すような構造が採用されている。すなわち、当該
格子空間２の内側に、内径が案内管４の外径より
やや大きいスリーブ６がストラツプ１に鑞付けさ
れて固定されており、このスリーブ６に案内管４
を挿入した後、両者の重合部の適当箇所において
両者を一体に拡管し、互いに係合する凸部７…と
凹部８…を形成している。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、上記のような従来の技術におい
ては、拡管によつて案内管４に荷重がかかり、案
内管４が曲がり変形する、あるいは、拡管の不良
により、これを交換する必要が生じることがあ
る。この場合、案内管４とスリーブ６が一体に変
形されて固着されているので、その案内管４だけ
でなく、その案内管４に既に固定したスリーブ６
及びこのスリーブ６に固着された支持格子３、さ
らにはその支持格子３にスリーブ６を介して固着
された案内管４を全て交換しなければならず、結
局全てを新たに組み立てなければならないという
問題点があつた。

［問題点を解決するための手段］ 上記のような問題点を解決するために、この考
案は、複数のストラツプを多数の格子空間を画成
するように組み立ててなる支持格子と、上記格子
空間に上記ストラツプに固着されて装着された筒
状部材と、複数の支持格子の対応する格子空間に
装着された上記筒状部材を挿通する案内管とを備
えた支持構造体において、上記筒状部材は、非塑
性変形状態で離脱可能に筒状の係止部材に接触さ
せられ、該係止部材は上記案内管に固着されてい
るものである。

［作用］ このような支持構造体は、支持格子に固着され
た筒状部材と案内管とを直接固定せずに、筒状部
材から離接可能な係止部材を介して固定してい
る。従つて、案内管及び係止部材を適宜に分断す
れば、筒状部材を破損せずに、案内管だけが筒状
部材から引き抜かれる ［実施例］ 以下、第１図ないし第３図を参照してこの考案
の第１実施例を説明する。なお、上述した従来例
と同様の箇所については、符号を同じくして説明
を簡略化する。

ニツケル系合金（インコネル）の帯状薄板から
なるストラツプ１…を縦横に組み合わせて形成さ
れた支持格子３の格子空間２には、第３図に示す
ような筒状部材１１が装着されている。この筒状
部材１１はステンレス鋼から形成され、その中央
部に、周方向に４箇所、上下の長さがストラツプ
１の幅に等しく設定された長方形の窓部１２が形
成されており、この窓部１２に４枚のストラツプ
１…が、窓部１２の上下端面により挟み込まれる
ことにより格子空間２に固定されている。この窓
部１２は、ストラツプ１を取り付けたときに、ス
トラツプ１が筒状部材１１の内面に突出しないよ
うに形成されている。この筒状部材１１の両端の
外面には雄ねじ部１３，１３が形成されており、
筒状部材の両端には、この雄ねじ部１３に螺合す
る雌ねじ部１４が内面に形成された筒状の係止部
材１５，１５がそれぞれ螺着されている。そし
て、筒状部材１１及びその両端の係止部材１５，
１５の中を案内管４が挿通しており、案内管４と
係止部材１５とは、拡管によつて固着されてい
る。この拡管は、案内管４の内側に、外周に複数
（例では４つ）の断面が楕円状の球体を外側へ移
動可能に取り付けた拡管治具（図示略）を挿入
し、案内管４と係止部材１５との重合部において
球体を外方へ押し出して案内管４の内面を押圧
し、案内管４と係止部材１５とを一体に塑性変形
して、案内管４の外面に凸部１６を、係止部材１
５の内面に凹部１７を形成して両者を係合させる
ものである。この係止部材１５は、案内管４と同
じジルカロイから製造されている。

このような支持構造体を構築するには、予め、
支持格子３の格子空間２に、筒状部材１１の窓部
１２にストラツプ１を挟着させて筒状部材１１を
装着し、また、筒状部材１１の両端に係止部材１
５，１５を螺合しておく。そして、下部ノズル５
に複数の案内管４を固定し、この案内管４に筒状
部材１１及び係止部材１５を挿通させて支持格子
３を組み付け、固定治具（図示略）により仮に固
定して位置決めし、案内管４に拡管治具を挿入し
て筒状部材１１と係止部材１５を一体に拡管させ
て固着する。これを順次行つて全ての支持格子３
を組み付け、さらに燃料要素を空いている格子空
間２…に挿入した後、案内管４の上端に上部ノズ
ルを固定して支持構造体の組み立てを完了する。

このような支持構造体の構築において、拡管に
よる案内管４の曲がりや、拡管により案内管４ま
たは係止部材１５が破損した場合には、次のよう
にしてその案内管４を引き出す。すなわち、破損
した案内管４または破損した係止部材１５が装着
された案内管４について、既に拡管により固着さ
れた係止部材１５との重合部を、拡管部と螺合部
との間、すなわち第２図にＡ−Ａ線で示す位置に
おいて破断し、拡管により互いに固着された側の
案内管４と係止部材１５を除去する。そして、筒
状部材１１内に残留している案内管４を引き抜
き、筒状部材１１の両端に螺合されている係止部
材１５の残片を、該残片を回動させることによ
り、雄ねじ部１３と雌ねじ部１４との螺合を外し
て取り除く。このようにして当該の案内管４と係
止部材１５との全ての固着を外して該案内管４と
係止部材１５とを取り除いた後、各筒状部材１１
の両端に改めて新しい係止部材１５を螺合して取
り付け、再度案内管４を挿通し、拡管を行つて支
持構造体を構築する。

上記のような説明から容易に理解されるよう
に、この考案においては、案内管４と支持格子３
に鑞付けされた筒状部材１１とが直接拡管によつ
て固着されていないので、該当する案内管４と係
止部材１５との重合部を分断して、該案内管４と
係止部材１５とを他の支持格子３を破損せずに除
去することができる。

第４図に示すのは、この考案の第２の実施例を
示すもので、係止部材１５ａは、筒状部材１１ａ
とほぼ同径の筒状に形成されており、筒状部材１
１ａと端面どうしを突き合わせられて案内管４に
装着されている。そして、この係止部材１５ａ
は、その他端において案内管４と一体に拡管され
て固着されている。すなわち、拡管によつて案内
管４の外面に形成される凸部１６ａ及び係止部材
１５ａの内面に形成される凹部１７ａの中心が係
止部材１５ａの外端よりやや外に位置するように
なつており、これによつて、係止部材１５ａは拡
管の際に筒状部材１１ａ側に押し付けられるの
で、筒状部材１１ａがガタがなく強固に固定され
る。この例においても、一旦拡管して固着した案
内管４と係止部材１５ａとは、第４図にＢ−Ｂ線
で示す位置においてその重合部を分断することに
よつて取り外すことができる。その場合に、筒状
部材１１ａと係止部材１５ａが螺合されていない
ので、Ｂ−Ｂ線で分断すれば案内管４及び係止部
材１５ａが直ちに取り外される。

なお、本願の実施例を上記のものに限られるこ
となく、例えば、係止部材と案内管との固着部の
構造は、溶接やリベツト止めなど適宜のものが採
用されてよい。

［考案の効果］ 以上詳述したように、この考案は、複数のスト
ラツプを多数の格子空間を画成するように組み立
ててなる支持格子と、上記格子空間に上記ストラ
ツプに固着されて装着された筒状部材と、複数の
支持格子の対応する格子空間に装着された上記筒
状部材を挿通する案内管とを備えた支持構造体に
おいて、上記筒状部材は、非塑性変形状態で離脱
可能に筒状の係止部材に接触させられ、該係止部
材は上記案内管に固着されているものであるか
ら、支持格子に固着された筒状部材と案内管とを
直接固定せずに、筒状部材から離脱可能な係止部
材を介して固定していることにより、製造工程に
おいて案内管が曲がつたり破損したり、あるいは
係止部材が破損した場合でも、当該案内管及び係
止部材を適宜分断すれば、筒状部材を損なうこと
なく、案内管及び係止部材の残部だけを筒状部材
から円滑に取り外すことができ、従つて、既に構
築した部分（支持格子及び筒状部材）を再度使用
でき、従来に比較して大幅に工程を短縮すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の要部の断面図、
第２図は第１図の−矢視図、第３図は同実施
例の要部の斜視図、第４図はこの考案の第２の実
施例の断面図、第５図は従来例の斜視図、第６図
はその断面図、第７図は同じく従来例の断面図、
第８図は第７図の−矢視図である。 １……ストラツプ、２……格子空間、３……支
持格子、４……案内管、１１，１１ａ……筒状部
材、１３……雄ねじ部、１４……雌ねじ部、１
５，１５ａ……係止部材、１６，１６ａ……凸
部、１７，１７ａ……凹部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 複数のストラツプを多数の格子空間を画成す
   るように組み立ててなる支持格子と、上記格子
   空間に上記ストラツプに固着されて装着された
   筒状部材と、複数の支持格子の対応する格子空
   間に装着された上記筒状部材を挿通する案内管
   とを備えた支持構造体において、上記筒状部材
   は、非塑性変形状態で離脱可能に筒状の係止部
   材に接触させられ、該係止部材は上記案内管に
   固着されていることを特徴とする支持構造体。 (2) 上記係止部材は案内管と一体に変形されて該
   案内管に固着されていることを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の支持構造体。 (3) 上記筒状部材と係止部材とは螺合されている
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項または第２項記載の支持構造体。