JPH05264817A - 光減衰器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 光減衰用ファイバ５のコア５Ａ及びクラッド
５Ｂ或はそのいずれか一方に、光減衰性物質を添加す
る。そして更に、コア５Ａ及びクラッド５Ｂの外径を長
手方向に変化させ、テーパ状部分を形成する。このテー
パ状部分では、シングルモードのファイバモード、マル
チモードのファイバも、それぞれクラッド部分に光が漏
れて効果的に減衰する。また、テーパの度合を変化させ
れば光減衰量を微調整できる。 【効果】 光減衰性物質の添加量を調整することなく、
所定のサイズの光減衰用ファイバについて信号レベルの
微調整ができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、光信号の伝送路上でそ
の信号レベルの調整を行うために使用される光減衰器に
関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば光伝送システムを構成する中継器
等においては、光信号の信号レベルを所定の値に調整す
るために光減衰器が使用される。また光信号のレベルを
測定する測定器や各種の光信号処理回路において同様の
光減衰器が使用される。この光減衰器として、光ファイ
バのコア中に光減衰性物質を添加したものが紹介されて
いる（実開昭63-96506号公報、実開昭63-96507号公報、
実開昭63-96504号公報）。

【０００３】上記のような光減衰器は次のような構成と
されている。図２にその光減衰器の縦断面図を示す。図
において、光減衰用ファイバ１は上端に光コネクタ２を
接続し、ケーシング３の中に収容されている。光コネク
タ２には光伝送路を構成する光ファイバ４が接続されて
いる。ここで光減衰用ファイバ１のコア１Ａ及びクラッ
ド１Ｂには、シリカガラスが使用される。このコア１Ａ
に光減衰特性を持つ遷移金属やＯＨ基を添加する。これ
によって、光ファイバ４を通じて光減衰用ファイバ１に
入力した光信号は、所定距離の光減衰用ファイバ１のコ
ア１Ａ中を伝播することによって一定のレベルだけ減衰
し、出力側の光ファイバ４に出力される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な光減衰器を使用する各種のシステムにおいては、光減
衰器に対し、それぞれ極めて正確な種々のレベルの光減
衰特性を要求する。しかしながら、このような要求に答
えるためには光減衰用ファイバのコアに添加する光減衰
性物質の添加量を正確に微調整する必要がある。また、
要求に応じて、このような光減衰量の異なる多種類の光
減衰用ファイバを用意することはその製品管理も容易で
ない。さらに、製造後の光減衰量の微調整は困難で歩止
りも悪いという難点があった。本発明は以上の点に着目
してなされたもので、一定量の光減衰性物質を添加した
光減衰用光ファイバについて、その光減衰量を比較的自
由に調整することのできる光減衰器を提供することを目
的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の光減衰器は、コ
アと、このコア外周に被覆され、コアより光屈折率の小
さいクラッドを備え、前記コア及び／またはクラッドを
構成する材料中に、光減衰性物質を添加し、前記コア及
びクラッドの外径を長手方向に変化させてテーパ状に成
形したことを特徴とするものである。

【０００６】

【作用】この光減衰器は、光減衰用ファイバ５のコア５
Ａやクラッド５Ｂの一方、又は両方に光減衰性物質を添
加する。そして更に、コア５Ａ及びクラッド５Ｂの外径
を長手方向に変化させ、テーパ状部分を形成する。この
テーパ状部分では、シングルモードのファイバも、マル
チモードのファイバも、それぞれクラッド部分に光が漏
れて効果的に減衰する。また、テーパの度合を変化させ
れば光減衰量を微調整できる。これにより、光減衰性物
質の添加量を調整することなく、所定のサイズの光減衰
用ファイバについて信号レベルの微調整ができる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明を図の実施例を用いて詳細に説
明する。図１は本発明の光減衰器実施例を示す主要部縦
断面図である。この図１には、既に図２において説明し
た光減衰器に使用される光減衰用ファイバ５を図示し
た。この光減衰用ファイバ５は、コア５Ａ及びクラッド
５Ｂを有する。また、このコア５Ａ及びクラッド５Ｂ或
はそのいずれか一方には、共に先に紹介した文献に示す
ような光減衰性物質、例えば遷移金属やＯＨ基等が添加
されている。更にこの光減衰用ファイバ５は、その中央
部の外径が両端部の外径よりも小さくなるようにテーパ
状に加工されている。上記、光減衰性物質の添加量は、
要求される光減衰量に応じて、先に紹介した文献に示す
ように適切な値に選定する。またテーパは、光減衰用フ
ァイバ５の中央部を加熱し左右に張力を加えることによ
って、中央部のみを引き伸ばし任意の形に成形すること
ができる。

【０００８】上記のように、コア及びクラッドに共に光
減衰性物質を添加し、更に光ファイバをテーパ状にした
理由は次の通りである。まず光ファイバをテーパ状にす
ると、テーパ部分のコア５Ａの半径が変化することによ
って、光信号がコアに集中する度合を示すＶ値（規格化
周波数）が変化する。このＶ値は、図３に示した図表中
に表したように、コア５Ａの半径ａと光の波長λ及びコ
ア５Ａの屈折率ｎ１とクラッド５Ｂの屈折率ｎ２の関数
として表される。また、シングルモードファイバの場
合、光信号の半径方向の分布を表すモードフィールドは
ガウス型分布に類似する。この分布は、図３において示
したような特性を示す。即ち、図３の中段の式に示すよ
うに、光減衰用ファイバ５の軸から半径ｒの部分におけ
る光信号強度ＰＧ（ｒ）は、軸における光信号強度を最
大とし、スポットサイズωやファイバ中心からの距離Ｒ
を考慮したＥＸＰカーブで表される。

【０００９】ここで、上記、Ｖ値とω／ａとの関係は図
３下段の式に示すような近似式を用いて表すことができ
る。図３に示すような式から、光の波長λとコア５Ａ及
びクラッド５Ｂの屈折率ｎ１、ｎ２が一定の場合、コア
５Ａの半径ｒが小さくなるとそのモードフィールドはク
ラッド部に、即ちシングルモードのファイバにおいても
光信号はクラッド中を伝播する。図４には、シングルモ
ードファイバ６をテーパ状にした場合のＡ−Ａ断面にお
ける光信号強度分布を図示した。このように、シングル
モードにおいても光ファイバをテーパ状にすれば光信号
の一部がクラッド６Ｂ中に漏れながら伝播する。従って
クラッド部分に光を減衰させる物質を添加しておけば、
光減衰用ファイバ５をテーパ状にすることによって光信
号の一部をコア５Ａからクラッド５Ｂに漏らして、高い
光減衰効果を得ることができる。

【００１０】一方、マルチモードファイバにおいては、
ファイバをテーパ状にすれば全反射の臨界条件を満たさ
ない光線が生まれ、クラッド５Ｂにその信号の一部が漏
れる。図５にそのようなテーパ状にしたマルチモードフ
ァイバの縦断面図を示す。図のように、マルチモードフ
ァイバ７のコア７Ａを伝播する光は、ファイバがテーパ
化されたことによってコア７Ａからクラッド７Ｂにその
一部が漏れ出す。これによって効果的に光信号を減衰さ
せることができる。

【００１１】また上記シングルモードファイバにおいて
もマルチモードファイバにおいても、それぞれそのテー
パ部分の外径の比率を調整すれば容易に光減衰量を微調
整することができる。従って、限られたサイズのケーシ
ングの中に収容する光減衰用ファイバについて、予め一
定量の光減衰性物質を添加したものを用意し、これをテ
ーパ加工することによって比較的広い範囲の光減衰量を
持つものを用意することができる。また、光減衰性物質
の添加量を調整した数種類の光減衰用ファイバについ
て、それぞれ各種のテーパ加工を施せば、多種類のほぼ
同サイズの光減衰器を得ることができる。

【００１２】

【発明の効果】以上説明した本発明の光減衰器によれ
ば、光伝送システムにおいて要求される各種の光減衰量
の光減衰器を、光減衰性物質の添加量を選定した何種類
かの光減衰用ファイバを用いて、そのテーパ形状を調整
することによって高精度に微調整して供給することがで
きる。従って、光減衰性物質の添加量を調整することな
くテーパ形状を微調整し、多種類の光減衰器を得ること
もでき、幅広い需要に答え、またその自由度を著しく高
めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の光減衰器実施例を示す主要部縦断面図
である。

【図２】従来一般の光減衰器縦断面図である。

【図３】本発明の光減衰器の効果を説明する図表であ
る。

【図４】シングルモードファイバにおける本発明の光減
衰器の作用を説明するファイバ縦断面図である。

【図５】マルチモードファイバにおける本発明の光減衰
器の作用を説明する光ファイバ縦断面図である。

【符号の説明】

５ 光減衰用ファイバ ５Ａ コア ５Ｂ クラッド

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コアと、このコア外周に被覆され、コア
   より光屈折率の小さいクラッドを備え、 前記コア及び／またはクラッドを構成する材料中に、光
   減衰性物質を添加し、 前記コア及びクラッドの外径を長手方向に変化させてテ
   ーパ状に成形したことを特徴とする光減衰器。