JPH05261917A - インクジェット式印字ヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】高密度で、高ノズル数、均質な特性を有する、
信頼性の高いインクジェット式印字ヘッドをきわめて低
コストに提供する。 【構成】圧力発生部材２０が少なくとも弾性体２１と圧
電体１０から形成されており、前記弾性体は、圧電材料
とこの圧電材料上に形成された弾性体材料とを同時焼成
した後にエッチング法により形成されている。更には、
インク滴が吐出するノズル開口が形成されているノズル
プレート４０と前記圧力発生部材との間に中間体３１を
有し、前記中間体と前記弾性体は、前記圧電材料上の一
方に前記弾性体材料が形成され、弾性体材料の形成され
ていないもう一方の側の圧電材料上には中間体材料が形
成され、これらを同時焼成した後にエッチング法により
形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット式プリ
ンタに用いる印字ヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のインクジェット式印字ヘッドは、
図５に示す様に、インクタンクを構成する容器の壁面に
複数のノズル開口を形成すると共に、各ノズル開口と対
応するように伸縮方向を一致させて圧電体を配設して構
成されている。この印字ヘッドは、駆動信号を圧電素子
に印加して圧電体を伸縮させ、この時に発生するインク
の動圧によりインク滴をノズル開口から吐出させて印刷
用紙にドットを形成するものである。この様なヘッド
は、ガラス（プラスチック）の基板とガラス（プラスチ
ック）薄板等の弾性振動板との間に複数のインク溜部
（インクキャビティ）を形成し、電極を両面に形成した
圧電体の板をインクキャビティの面積程度に切断した
後、各インクキャビティの上に弾性振動板を挟んで接着
した構造を有している。

【０００３】又、ＰＺＴ等の圧電体と金属板、セラミッ
クとの積層材とで構成された梁状部材の長手方向の両端
が支持されている圧力発生部材と、飛翔媒体であるイン
クとこのインクの吐出口であるノズルとを有し、印加電
圧により圧力発生器から圧力を発生させ、インクをノズ
ルから吐出させるオンデマンド型のインクジェットヘッ
ドが特公昭６０−８９５３号公報で開示されている。こ
のヘッドは、圧力発生部材がノズル形成基板に対してほ
ぼ直角に変位することと、ノズルメニスカスのインク流
路が短いため、インクの吐出効率及び吐出安定性が高
く、インク中に気泡・ゴミ等の異物が混入した場合で
も、この影響を受けずに正常動作が可能であるという利
点を有している。

【０００４】又、特公昭６１−２０２４号公報では、連
続した弾性振動板上に、連続した圧電体を接着し、ノズ
ル開口に対応させて電極を選択的に形成する事で、選択
的に圧力発生部材を駆動する構造が開示されている。こ
の構造は、ノズル数が増加しても、圧電体をノズル数分
だけ接着する工数を削減できるという利点を有してい
る。

【０００５】又、特公昭６２−１３４２６７号公報で
は、ヘッド本体にメタライズしたセラミックスを用い圧
電体を拡散接合した構造が開示されている。この構造は
接着剤による圧力損失、バラツキを低減できるという利
点を有している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
インクジェットヘッドは、圧電体４３０として圧電効果
の最も優れた材料であるチタン酸ジルコン酸鉛系複合ペ
ルブスカイトセラミックスを用いるのであるが、バルク
からの切り出し品であるため１００μｍ程度の厚いもの
しか使用することができなかった。そのため、駆動電圧
を１００Ｖ以上と高くする必要があり、また、圧電体４
３０とガラス薄板４１１からなる機械変位発生手段の剛
性が高いため所定の変位量を得るためには圧電体４３０
及びガラス薄板４１１の面積を大きくする必要があり、
ヘッド全体が大きくなり、コストアップを招くという問
題を有していた。

【０００７】さらに、インクキャビティ４２０の広さは
一辺が数百μｍ程度であり、これらと同程度の大きさの
圧電体４３０の板を機械変位発生手段として各インクキ
ャビティ４２０ごとに接着することが必要であった。４
４０はインクキャビティ４２０に導かれるインクが一時
とどめられるインク溜部であり、４２２はインクキャビ
ティ４２０にインクを導くインク供給路、４２１はイン
クが突出するノズルである。しかしこのような構造のヘ
ッドでは圧電体４３０とインクキャビティ４２０との位
置合わせ精度が高くできない、圧電体４３０の接着時に
おける作業性が悪い、接着の不均一さによる特性のばら
つきが大きい、接着部の剥離が起こり易い、切断加工時
の内部歪による特性のばらつきが大きい、などの問題点
を有していた。

【０００８】又、特公昭６２−１３４２６７号公報のヘ
ッド構造では、メタライズセラミックスを精度良く高密
度に加工することが必要となり、飛躍的なコストアップ
につながっていた。

【０００９】これらの問題はプリンタの性能を向上させ
るためにノズル数を増やしたり、ノズル密度を高くする
ほど、よりクローズアップされてきていた問題であっ
た。

【００１０】そこで本発明の課題はこれらの問題点を解
決することで、その目的とするところは高密度、高ノズ
ル数でも均質な特性を有する、信頼性の高いインクジェ
ットヘッドをきわめて低コストに提供することである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】ノズル開口に対応させて
圧力発生部材が配置され、圧力発生部材への駆動信号に
よりインク滴がノズル開口から外部に放出されるように
したインクジェット式印字ヘッドにおいて、前記圧力発
生部材が少なくとも弾性体と圧電体から形成されてお
り、前記弾性体は、圧電材料とこの圧電材料上に形成さ
れた弾性体材料とを同時焼成した後にエッチング法によ
り成型されていることを特徴とする。更には、前記イン
ク滴が吐出する前記ノズル開口が形成されているノズル
プレートと前記圧力発生部材との間に中間体を有し、前
記中間体と前記弾性体は、前記圧電材料上の一方に前記
弾性体材料が形成され、弾性体材料の形成されていない
もう一方の側の圧電材料上には中間体材料が形成され、
これらを同時焼成した後にエッチング法により成型され
ていることを特徴とする。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
する。

【００１３】図１は本実施例の構造図である。図１
（ａ）は上面図、（ｂ）はｍ−ｍ断面図、（ｃ）は底面
図である。

【００１４】圧電体１０は、チタン酸ジルコン酸鉛系複
合ペロブスカイトセラミックス等の圧電材料からなる。
圧電体１０の両側には一方の面に弾性体２１、それに続
いて配線部２２が形成されており、もう一方の面にはイ
ンク流路、インクキャビティ等を形成する中間体３１、
共通電極２３が形成されている。圧電体１０、弾性体２
１、及び共通電極２３により圧力発生部材２０が形成さ
れる。圧電体１０の厚さは２５μｍ、弾性体振動部の厚
さは２０μｍ、共通電極２３の厚さは１μｍ以下であ
る。また、中間体３１の厚さは６０μｍである。共通電
極２３を挟んで中間体３１にはインク６０の吐出口であ
るノズル４１が形成されたノズルプレート４０が接合さ
れている。今試作に於いては、ノズルプレート４０はＮ
ｉの電鋳法により製造されており、厚さ１００μｍ、ノ
ズル４１の直径は５０μｍである。ノズル４１は第１図
（ｃ）上、左右上下に８列ずつ、左右方向は１３５５μ
ｍピッチで、上下方向は６７７μｍピッチで配設されて
いる。また、左右方向に隣合うノズル列はΔｐだけずれ
て配設されている。ここで、Δｐは８５μｍである。中
間体３１とノズルプレート４０、圧電体１０とによっ
て、キャビティ５０、インク供給路５１、インク共通路
５２が形成されており、これらには、インク６０が満た
されている。キャビティ５０のサイズは６００μｍ×６
００μｍである。インク供給路５１はインク６０をイン
ク共通路５２からキャビティ５０へ導く通路であり、キ
ャビティ５０の四隅に配設されている。インク供給路５
１の幅は６０μｍ、長さは１５０μｍである。インク共
通路５２はインクタンク（図示されていない）に通じて
いる。インク共通路５２の幅は３００μｍである。共通
電極２３はグランドに、配線部２２は駆動回路（図示さ
れていない）に接続されており、駆動信号によって圧力
発生部材２０を駆動し、ノズル４１からインク６０を飛
翔させる。

【００１５】次に、図２〜図４を用いて本実施例を圧電
体と弾性体、中間体とを形成した製造方法を説明する。

【００１６】図２（ａ）は、定盤７０上にバインダーと
Ｃｒ、Ｍｏ、Ｐｔ等の高融点物質を混合しペースト状に
した中間体材料１３０を薄く形成する工程。図２（ｂ）
は、その上にＰｂＯ、ＴｉＯ2、ＺｒＯ2、添加剤を調
合、混合した後８００〜１０００℃で仮焼、粉砕しバイ
ンダーを添加する事によりペースト状にした、圧電体材
料１１０を薄く形成する工程。図２（ｃ）は、更にその
上にバインダーとＣｒ、Ｍｏ、Ｐｔ等の高融点導電材を
混合し、ペースト状にした弾性体材料１２０を薄く形成
する工程。このようにして形成されたペースト状積層体
を圧力をかけて１０００℃〜１２００℃で焼きあげる。
これによりバインダーは飛び去り、図３に示すような圧
電体１０、弾性層２０、中間層３０からなる３層構造の
積層体が形成される。

【００１７】次に、フォトリソグラフィ技術を用いて弾
性層２０及び、中間層３０を加工し、図４に示すように
弾性体２１、配線部２２、及び、中間体３１が形成され
る。その後、圧電体１０の中間体３１側に共通電極２３
として、Ｎｉ等の導電性薄膜をメッキ、あるいはスパッ
タリングによって形成する。

【００１８】次に、ノズルプレート４０とポリイミド等
の接着により接合し、図１に示した本実施例のインクジ
ェットヘッドを得る。

【００１９】ここで、ノズルプレート４０の製造方法と
しては、本実施例で採用した基板上に印刷や、フォトリ
ソ工程により所望の形状にレジストを形成し、無電解メ
ッキや電解メッキによりＮｉ等を成長させる電鋳法の他
に、１、プラスチック成形による方法２、ＳＵＳ、Ｎｉ
等の金属板に印刷や、フォトリソ工程により所望の形状
にレジストを形成し、レジストの残っていない部分をエ
ッチングにより除去するエッチング方法３、ＳＵＳ、Ｎ
ｉ等の金属板をプレスにより打ち抜くプレス法等が考え
られる。

【００２０】本発明によれば、圧電体１０、弾性板２０
が拡散接合されているため、接合部の信頼性が高く、従
って、フォトリソグラフィ技術を用いた加工を行って
も、接合部の信頼性を損なうことなく、高密度で吐出特
性の安定したインクジェットヘッドを提供できる。更
に、厚膜プロセスにより製造するため、圧力発生部材２
０を薄くすることができ、これにより、キャビティ５０
を小さくでき、ヘッド全体の小型化が実現できる。ま
た、キャビティの四隅にインク供給路を設けてあるため
に気泡の排出性に優れ信頼性がたいへん向上した。

【００２１】

【発明の効果】本発明によれば、圧電体、弾性体が同時
焼成されているため、接合部の信頼性が高く、従って、
フォトリソグラフィ技術を用いた加工を行っても、接合
部の信頼性を損なうことなく、高密度で吐出特性の安定
したインクジェット式印字ヘッドを提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）本発明のインクジェット式印字ヘッドの
一実施例の構造を示す上面図。 （ｂ）本発明のインクジェット式印字ヘッドの一実施例
の構造を示すｍ−ｍ’断面図。 （ｃ）本発明のインクジェット式印字ヘッドの一実施例
の構造を示す底面図。

【図２】（ａ）〜（ｃ）本発明の一実施例のインクジェ
ット式印字ヘッドの製造方法を示した図。

【図３】本発明の一実施例のインクジェット式印字ヘッ
ドの製造方法を示した図。

【図４】（ａ）本発明の一実施例のインクジェット式印
字ヘッドの製造方法の１工程における上面図。 （ｂ）本発明の一実施例のインクジェット式印字ヘッド
の製造方法の１工程におけるｎ−ｎ’断面図。 （ｃ）本発明の一実施例のインクジェット式印字ヘッド
の製造方法の１工程における底面図。

【図５】従来例を示す図。

【符号の説明】

１０・・・・圧電体 ２０・・・・圧力発生部材 ２１・・・・弾性体 ２３・・・・共通電極 ３１・・・・中間体 ４０・・・・ノズルプレート ４１・・・・ノズル ５０・・・・キャビティ ６０・・・・インク １１０・・・・圧電体材料 １２０・・・・弾性体材料 １３０・・・・中間体材料 ４２０・・・・インクキャビティ ４３０・・・・圧電体

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ノズル開口に対応させて圧力発生部材が
   配置され、圧力発生部材への駆動信号によりインク滴が
   ノズル開口から外部に放出されるようにしたインクジェ
   ット式印字ヘッドにおいて、前記圧力発生部材が少なく
   とも弾性体と圧電体から形成されており、前記弾性体
   は、圧電材料とこの圧電材料上に形成された弾性体材料
   とを同時焼成した後にエッチング法により成型されてい
   ることを特徴とするインクジェット式印字ヘッド。
2. 【請求項２】 上記インク滴が吐出する上記ノズル開口
   が形成されているノズルプレートと上記圧力発生部材と
   の間に中間体を有し、前記中間体と上記弾性体は、上記
   圧電材料上の一方に上記弾性体材料が形成され、弾性体
   材料の形成されていないもう一方の圧電材料上には中間
   体材料が形成され、これらを同時焼成した後にエッチン
   グ法により成型されていることを特徴とする請求項１記
   載のインクジェット式印字ヘッド。