JPH05259226A - スルーホール付電気回路構造物及びその製造方法 - Google Patents

スルーホール付電気回路構造物及びその製造方法

Info

Publication number
JPH05259226A
JPH05259226A JP4114930A JP11493092A JPH05259226A JP H05259226 A JPH05259226 A JP H05259226A JP 4114930 A JP4114930 A JP 4114930A JP 11493092 A JP11493092 A JP 11493092A JP H05259226 A JPH05259226 A JP H05259226A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hole
shape
electric circuit
circuit structure
processing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4114930A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshinori Ozaki
敏範 尾崎
Shoichi Kikuchi
昇一 菊池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Cable Ltd filed Critical Hitachi Cable Ltd
Publication of JPH05259226A publication Critical patent/JPH05259226A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K3/00Apparatus or processes for manufacturing printed circuits
    • H05K3/40Forming printed elements for providing electric connections to or between printed circuits
    • H05K3/42Plated through-holes or plated via connections

Landscapes

  • Wire Bonding (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】余裕を持った位置決めにより加工精度を高め、
スルーホールのアスペクト比を小さくして短時間で厚い
めっきが行え、ホール内にクリーム状導電剤を安定注入
でき、疲労破壊に対する信頼性を向上でき、加工歩留り
や作業効率を向上する。 【構成】フィルムキャリアは、ポリイミドテープからな
る絶縁性薄板3の表裏に、銅箔製の表面金属薄板1及び
裏面金属薄板2を接着剤で貼り付けたものである。スル
ーホール5はテーパ状をしており、その軸方向の断面形
状は、V字形、Y字形、X字形などをしている。キャリ
アの下面のみを支持して、表面金属薄板1より下方向へ
ドリル穴加工するとV字形ホール5を得る。表面金属薄
板1と絶縁性薄板3よりなるフィルムに上記のドリル穴
加工した後、小径の穴を開けた裏面金属薄板2を貼り付
けるとY字形ホール5を、上記のドリル穴加工を上下両
方から行うとX字形を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、絶縁層を挟んだ表裏の
電気回路パターン層がスルーホールにより電気的に接続
されるスルーホール付電気回路構造物及びその製造方法
に係り、特にスルーホールの改善を図ることにより、フ
ィルムキャリアテープとして最適なスルーホール付電気
回路構造物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スルーホール付電気回路構造物、特にI
CやLSIのチップをTAB方式で実装するためのフィ
ルムキャリアは、高密度加工の必要性から絶縁性薄膜の
表裏面に電気回路パターンを与え、その間の電気的接続
をスルーホール技術と呼ばれる手法(穴加工および穴内
壁への金属箔取付け)により行っている。その代表例が
図5に示す両面フィルムキャリア(例えば、斉藤公彦:
電子材料、vol.28、■7、P27(1979))であ
る。この図に示されるように、従来の構造はスルーホー
ル15の壁面がテープ状フィルムキャリア20の厚さ方
向に平行な形、あるいは表裏面のホールサイズがほぼ同
一な形状であり、その内壁またはその内部に導電性物
質、例えば銅めっきとか、ハンダが注入されて、表裏の
リード11、12間が電気的に接続され、これによりI
C21とフィルムキャリア20上の回路との立体配線を
可能にしていた。
【0003】そして、そのスルーホール加工技術として
は、プレスあるいは正確なドリル穴加工により、表面の
穴と裏面の穴とを同一径とし、しかもスルーホールの軸
芯及び壁面がテープ状フィルムキャリア20の長手方向
に対し垂直となるような加工が要求されていた。例えば
ドリル穴加工を例にとれば、ドリル穴加工による穴形状
はストレート状で、単一ドリルを用いた最も単純な加工
により、このストレート状スルーホールを形成するのが
よいとされていた。従って、このようの状況下におい
て、ストレート状以外の穴を形成するなどという考えは
存在しなかった。ストレートではない穴、例えばテーパ
状の穴がたまたま形成されると、それは「加工ミス」あ
るいは「加工不良」として処理されていたのが現状であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、スルーホール
の形状が従来のようにストレート状であると、次のよう
な欠点のあることがわかった。
【0005】(1)高密度パターン加工における加工位
置精度がよくないため、加工歩留りが悪く、高密度パタ
ーンの作成が困難である。これを図2(A)を用いて具
体的に説明しよう。同図は電気回路構造物20を裏面側
から見た図を示し、絶縁性薄板3の裏面に形成した裏面
金属薄板2のパターンが、比較的低密度パターンである
点線表示の表面金属薄板1に比して高密度で、かつスル
ーホール被加工面積の比較的小さい場合を示す。この場
合、従来のスルーホール技術では、加工精度は高密度側
パターン形状で決定されてしまう。すなわち、図2
(B)に示すように、ストレートを保ってスルーホール
被加工面積内で確実にスルーホール5を形成するには、
裏面金属薄板2の極く狭いスルーホール被加工面積内に
納まるように穴明け加工精度を高めると共に、ドリル穴
サイズを小さくする必要がある。というのは、ドリル穴
サイズが大き過ぎると、スルーホール5が裏面金属薄板
2上のスルーホール被加工面積より食み出しやすくなる
ため、特別高精度な位置決め機構を有するドリル加工が
求められ、これは実用的でないからである。しかし、ド
リル穴サイズが小さくなることは、極細のドリルを使用
することになるためドリルが破壊しやすかったり、非能
率な加工条件を特に選ぶ必要があり、ドリル穴加工の作
業性が低下するばかりか、その後のスルーホール内に施
されるめっきや、ディスペンサによるクリームハンダ注
入作業(ペースト作業)も困難となる。その結果、加工
歩留りが悪く、高密度パターンの作成が困難となる。
【0006】(2)スルーホール内壁へのめっき付着能
率が悪い。図3(A)に示すようなスルーホール5内に
めっき7を付けて表裏面の金属薄板1、2の導通を図る
ために、電気めっきを高能率で行うには、スルーホール
外部に配置した対極(図示せず)に対し電流分布が偏在
しないことが望ましく、具体的には穴のアスペクト比
(深さ/口径)が小さいことが望まれる。しかし、図3
(A)のようにスルーホール5がストレート状であると
高密度パターンを作製しようとした場合、口径が深さに
対して小さくなる。このためアスペクト比が大きくなっ
て電流分布が不均一となるばかりでなく、厚いめっきを
短時間で行うことができなくなり、加工能率が劣る。
【0007】(3)ディスペンサによるクリームハンダ
のスルーホール内への安定注入が難しい。ディスペンサ
を用いてスルーホール内にクリームハンダを注入する場
合、穴がストレート状になっていると、ノズルの位置決
め作業やクリームの穴内への定量注入や、その滴下流失
などの点で注入作業が難しい。現状では、スルーホール
径がφ0.2mm以下のストレート形では、クリームハ
ンダの注入がほとんど不可能となっている。また、表裏
面間の導通を保持するためのクリームハンダの穴内部へ
の停滞も注入圧力との関係で困難である。
【0008】(4)スルーホール内のめっき又はクリー
ムハンダ(以下、これらをまとめて単に導電性物質とい
う)の熱サイクル強度が低い。図3(A)に示したスル
ーホール付電気回路構造物20に熱サイクルを与えると
絶縁性薄板3と、スルーホール内に施した導電性物質7
との熱膨張率は異なる。一般に前者が大であり、スルー
ホール内壁の導電性物質7はスルーホールの上下方向に
引張あるいは圧縮応力が与えられ、疲労破壊することが
あり、そのため信頼性に劣る。
【0009】本発明の目的は、それまでストレート形状
であったスルーホールの形状を変えることによって、前
述した従来技術の問題点を解消して、高密度化パターン
の作成及び導電性物質の強度向上を図ることが可能なス
ルーホール付電気回路構造物を提供することにある。ま
た、本発明の目的は、クリーム状導電剤の安定注入が可
能で、信頼性の高いスルーホール付電気回路構造物の製
造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のスルーホール付
電気回路構造物は、絶縁層の表面と裏面とに電気回路パ
ターン層を有し、これら電気回路パターン層間の電気的
接続を、全層を貫通するスルーホールを介して行うスル
ーホール付電気回路構造物において、スルーホールの一
部または全部をテーパ状としたものである。スルーホー
ルの軸方向の断面形状は、全部にテーパを付け一方の面
から他方の面に向けて径が縮小していくV字形、または
途中からストレート状になるY字形、もしくは両方の面
から中央部に向って縮径していくX字形とすることがで
きる。この場合、テーパの拡径側は少なくとも絶縁層の
表面または裏面に有る電気回路パターン層に開口させ
る。
【0011】スルーホールのテーパ部は、構造物の厚さ
にもよるが、その厚さ方向に対し10°〜60°傾いて
いることが望ましい。スルーホール壁面の傾きが板厚方
向に対し10°以下では位置決め精度等の効果が小さ
く、逆に60°以上ではスルーホール加工が困難な上、
拡径口の開口面積が大きくなり過ぎ、実用的でないから
である。また、これをスルーホールの口径からみると、
導電性物質の付着性、非加工能率や信頼性の点で、縮径
口口径R1 と拡径口口径R2 との比がR1 /R2<0.
7を満たしていることが望ましい。特にR1 /R2 =0
〜0.2とすることで実質的なブラインドホールを形成
することもできる。
【0012】なお、スルーホール付電気回路構造物とし
ては両面フィルムキャリアないしテープキャリア等の他
に、多層プリント基板等がある。また、電気回路パター
ン層間の電気的接続は、スルーホール壁面の金属めっき
するか又は、スルーホール内に注入したクリーム状導電
剤等によって行われる。
【0013】また、本発明のスルーホール付電気回路構
造物の製造方法は、構造物の表面側または裏面側もしく
は表裏面両方から微小ドリル加工及びプレス加工、ある
いはエッチング加工もしくはそれらの加工を組み合わせ
て、テーパ部をもつ上記スルーホールを形成し、このス
ルーホール内壁を金属めっき、あるいはスルーホール内
にディスペンサによりクリーム状導電剤を注入して表裏
面に有る電気回路パターン層間の電気的接続を行うよう
にしたものである。ここで、微小ドリル加工及びプレス
加工、あるいはエッチング加工もしくはそれらの加工の
組み合わせは、テーパ加工可能な組合せであればいずれ
でもよく、例えば、当て板を構造物の下方に当てがって
行うドリル加工等がある。
【0014】
【作用】スルーホール加工は表裏面共に正確に同一径サ
イズで開けられる方が好ましいと考えられていたが、そ
うではなく異径サイズ、いわゆるテーパ形状となった加
工ミス品の方が好ましいことがわかり、本発明はその点
に着目してなされたものである。
【0015】スルーホールの一部または全部がテーパ状
で、そのテーパの拡径側が電気回路パターン層に開口し
てスルーホールを形成してあると、スルーホール内壁に
電気めっきを施して電気回路パターン層間の導通を図る
場合、めっき電流のスルーホール内部への侵入が容易と
なり、めっき電流密度が大きく取れ、短時間で厚いめっ
きを施すことが可能となる。また、スルーホール内へク
リーム状導電剤をディスペンサで注入して電気回路パタ
ーン層間の導通を図る場合、クリーム状導電剤の注入が
容易となり、クリーム状導電剤のスルーホール内の停滞
が促される。
【0016】また、表裏の電気パターン層を比較して、
より微小高密度側にスルーホールの縮径口が来るように
加工すると、拡径口側から余裕をもって位置決めができ
るため加工ミスが減少し、高精度、高密度加工品の作成
が容易となる。
【0017】さらに、ストレート状の壁面に比して破壊
応力の低いテーパ状の傾斜壁面に対して、めっきが施さ
れたりクリーム状導電剤が注入されるので、導電性物質
の応力破壊が有効に防止できるため信頼性が向上する。
【0018】また、テーパ状のスルーホールを形成する
には、表面側から、または裏面側から、もしくは表裏面
両方から微小ドリルによる穴加工やプレス加工、あるい
はエッチング加工、もしくはそれらの加工を組み合わせ
る必要がある。例えば、電気回路構造物の下面のみに当
て板を置いて上方からドリル加工すると、ドリル穴径、
ドリル回転数、ドリル送り速度が一定の条件下にあれ
ば、図6(B)に示すようにテーパ状の穴35が簡単に
開けられる。
【0019】
【実施例】以下、本発明によるスルーホール付電気回路
構造物の実施例を説明する。図1(A)〜図1(C)
は、3種類のスルーホールの形状をマクロ的に示した本
実施例のフィルムキャリアの断面図である。フィルムキ
ャリアは、絶縁層を構成するポリイミドテープからなる
絶縁性薄板3の表面及び裏面に、電気回路パターン層を
構成する銅箔からなる表面金属薄板1、及び裏面金属薄
板2を接着剤で貼り付けたものである。スルーホールの
マクロ形状は基本的に、図1(A)〜図1(C)に示す
形状を得ることが可能である。
【0020】すなわちスルーホール5の軸方向の断面形
状が、図1(A)はV字形をしており、表面から裏面に
向って縮径していき、表面金属薄板1に拡径側が開口
し、裏面金属薄板2に小径側が開口してテーパ状のスル
ーホール内壁41を有する。これはフィルムキャリアの
下方のみをベークライト板で支持し、表面金属薄板1よ
り下方向へドリル穴加工して得た例である。図1(B)
は途中までテーパ状の内壁41をもち、それからストレ
ート状の内壁42をもったY字形をしている。表面金属
薄板1と絶縁性薄板3よりなる板材に上記手法でドリル
穴加工した後、前もってあるいは事後プレス加工又はエ
ッチング加工で、テーパの縮径口よりも小径の穴を開け
た裏面金属薄板2を貼り付けて作成した例である。図1
(C)は両面から中央に向って縮径していくテーパ状の
スルーホール内壁41、42をもったX字形をしてお
り、ドリル穴加工を表面側および裏面側の上下両方から
行った例である。
【0021】ここで、スルーホール壁面41の傾きθは
板厚方向に対し10〜60°の範囲内にしてある。10
°以下では歩留り、高密度化、めっき付着能率、クリー
ムハンダの安定注入、導電性物質の熱サイクル強度など
の効果が小さく、逆に60°以上では穴加工が困難な
上、開口面積が大ききくなり過ぎ、実用上から制約され
るためである。
【0022】次に、図1の中から代表的な形状である図
1(A)のスルーホール、すなわちスルーホール5が全
部テーパ状となり、テーパの拡径口が低密度パターンの
ある表面側に、縮径口が高密度パターンのある裏面側に
開口しているV字形スルーホールの場合についてのメリ
ットを述べる。まず、既に説明した図2(A)の高密度
パターンに適用した場合、図2(C)に示すように、表
面から裏面方向に向って順次縮径していくV字形スルー
ホールとなっているので、裏面に露出するスルーホール
5の開口は表面側より小さくて済む。すなわち、比較的
低密度パターンの表面側から高密度パターンの裏面側に
向かってドリルを降下させると、その逆を考えると容易
に理解できるように、位置決め精度に余裕ができ、スル
ーホール5の縮径口はスルーホール被加工面積となる裏
面金属薄板2内に納りやすい。これがスルーホール加工
における歩留りが向上する理由であり、裏返せば高密度
パターンにおいても、スルーホール加工が容易となるこ
とを意味する。これはスルーホール形状がY字形の場合
も同様である。
【0023】また、スルーホール5が、図3(B)に示
すようなテーパ形状であれば、既に説明した図3(A)
の場合に比べ、アスペクト比が小さくなり、電流分布の
均一化が図れるため、厚いめっき7を短時間に行うこと
ができ、加工能率も優れることになる。これはスルーホ
ール形状がY字形あるいはX字形の場合も同様である。
【0024】さらに、図4はディスペンサを用いてV字
形スルーホール5内にクリーム状導電剤であるクリーム
ハンダ10を注入している例である。図よりディスペン
サノズル9からスルーホール5の内部にクリームハンダ
10を注入するには、スルーホール5がテーパ状になっ
ている方が、大口径側から注入できるためノズル9の位
置決め作業や、クリームハンダ10のスルーホール5内
への一定量の注入や、その滴下流失などの諸点で注入作
業が容易となることが理解できる。これらの点はクリー
ムハンダ10の粘性、ノズル9の内径サイズに実用的限
界があり、それ故にスルーホール径がφ0.2mm以下
のストレート形では、クリームハンダの注入がほとんど
不可能であったという現実を考えると、V字形スルーホ
ールをもつ本実施例の効果は著しく大きく、ディスペン
サで作成可能な領域を広げるものである。加えて、クリ
ームハンダのスルーホール内部への停滞も、先端が細く
なっているので、注入圧力との関係で容易となる。な
お、これらのことは途中で径が細くなっているY字形あ
るいはX字形の場合についても同様にいえる。
【0025】また、熱サイクルについて検討すると、図
3(B)の様なテーパ状スルーホールの場合、図中に示
すようにフィルムの厚さ方向x1 に生じた応力が、テー
パ面に垂直な方向成分x2 と、テーパ面に平行な方向成
分x3 とに分力され、テーパ状のスルーホール壁面の金
属めっき7が疲労破壊に寄与する成分x3 はx1 より小
さくなる。これはスルーホール壁面の傾きが0°のとき
1 =x3 であるものの、傾きが大きくなるにつれてx
1 >x3 、x1 >>x3 へと変化することになるからで
あり、既に説明した図3(A)のストレート状よりも、
めっき破壊防止にはテーパ状が有利となる。このこと
は、図6(A)および図6(B)に示した試料に12μ
m厚の銅の電気めっきを付与し、−50〜+150℃の
熱サイクル試験におけ破壊回数を比較した結果、後者が
前者の6.2倍であったことから確認されている。
【0026】したがって、本実施例によれば次の効果を
発揮する。
【0027】(1)加工位置精度、高密度パターン加工
においては、スルーホール径が表面と裏面で異なる点を
利用し、微小高密度パターン側を小口径とし、比較的低
密度パターン側を大口径とすることにより、加工精度は
高密度側パターン形状で決定されることには変りはない
ものの、口径が全長に亘って同一のストレート状の場合
と異なり、小口径側をストレート状の場合より小さくで
きるので、加工精度の制約が緩くなる。従って、加工ミ
スが減少し、高精度、高密度加工品の作成が容易とな
る。
【0028】(2)表面あるいは裏面の金属薄板にスル
ーホールの拡径側が開口したテーパ穴加工とすること
で、めっき電流のスルーホール内部への侵入が容易とな
るため、めっき電流密度をスルーホール内壁面全面に亘
って大きく取れる。従って、短時間で厚いめっきが可能
となり、加工作業能率が向上する。
【0029】(3)スルーホールの導通を平面的に行う
めっき法ではなく、バルク(立体的に)で行うペースト
法を使う方が電気抵抗や信頼性の点で有利であるが、特
にその場合、テーパ穴加工とすることでクリームハンダ
の注入が容易となり、しかもスルーホールは先端が次第
に細くなっていく構造なので、拡径口から縮径口に向っ
て注入したクリームのスルーホール内での停滞を促すこ
とが可能となり、停滞によりスルーホールの導通をより
確実に保持することができる。
【0030】(4)信頼性においては、テーパ面へのめ
っき付着や、ディスペンサ作業によるクリームハンダの
注入により、めっきやクリームハンダの疲労破壊応力低
下が図れ、応力に起因するめっき剥がれやクリームハン
ダの脱落が無くなり、信頼性が格段と向上する。
【0031】次に、上記実施例をTABに適用した具体
例について述べる。
【0032】実施例1、比較例1及び参考例1 全部がテーパ状となったスルーホールを得る方法を具体
的に説明する。図6(A)及び図6(B)はドリル加工
品の断面図を示す。被加工材30は、その総厚が0.1
5mmであり、ポリイミドテープ33(0.06mm
厚)の両面に0.035mm厚の銅箔31、32をエポ
キシ系接着剤(0.01mm厚)で貼り付けたものであ
る。ここで、図6(A)は、ストレート状スルーホール
を得る場合の参考例1であり、被加工材30の上下両面
に当て板としてそれぞれ0.01mmのベークライト板
(図示せず)を当て、その上方よりドリルスルーホール
加工をした場合を示す。スルーホール35は表面、裏面
ともに同程度の大きさで生じ、スルーホール35の壁面
はほぼストレートに生じているのが特徴である。なお、
この形状を再現する加工条件は、ドリル径0.04〜
0.5mmφ、ドリル回転数2000〜20000rp
m、ドリル送り速度0.1〜30mm/minの範囲内
である。
【0033】一方、図6(B)はテーパ状スルーホール
を得る場合の実施例1であり、被加工材30の下面のみ
にベークライト板(図示せず)を置いた場合を示し、テ
ーパ状のスルーホール35が全板厚に亘って明いてい
る。なお、この形状を再現する加工条件は、ドリル穴径
0.04〜0.3mmφ、ドリル回転数10000〜2
0000rpm、ドリル送り速度0.1〜30mm/m
inの範囲内であった。この範囲外のドリル回転数が2
000〜7000rpmの場合の比較例1では、表裏と
もドリル径の1.2〜2.5倍の同一サイズのスルーホ
ールが明き、上述のテーパ穴とはならないこともわかっ
た。このドリル回転数の差によるスルーホール形状の相
違は、おそらく切削屑の生成及びその切削屑のスルーホ
ールからの除去過程における摩擦に基づくものと思われ
る。以上を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】このように、被加工材の片面を押えてドリ
ル加工することで容易にテーパ状のスルーホールを形成
できる。従って、この原理をプレス加工、エッチング加
工等にも適用すれば、これらの加工もしくはこれらの加
工の組み合わにより所望形状のスルーホール加工が可能
となる。
【0036】ここで特に強調したい点は、テーパ状のス
ルーホール加工及びその形状の正確なコントロールが、
単純な条件により実現性のある技術として簡単に得られ
る点である。このようなテーパ状のスルーホールは、従
来加工不良として排除されていたものであるが、本実施
例は、この現象を積極的に利用することにより、工業的
レベルでのテーパ状スルーホール加工を可能にしてい
る。
【0037】実施例2、比較例2及び参考例2 ここでは、得られるスルーホールの形状は既に説明した
図6(B)と同じであるが、0.1mmとある同図中の
単位長は2倍の0.2mmとなる。被加工材は総厚さが
300μmで実施例1の2倍となっている。各部分の厚
さは銅箔31及び32が70μm、エポキシ系接着剤が
20μm、そしてポリイミドテープ33が120μmで
ある。ドリルは市販の極細ドリルで、歯部分の径及び長
さはφ0.1mm×0.4mmである。
【0038】このドリルを高速スピンドル穴加工機に取
り付け、NC制御加工した。加工条件はドリル回転数2
00〜4700rpm、ドリル送り速度0.1〜100
mm/min、当て板は被加工材下方がベークライト
板、上方はなし、とした。
【0039】その結果、200〜700rpmの比較例
2では表面と裏面がほぼ同じスルーホール径であるもの
の、800rpm以上の実施例2では裏面に比べ表面で
1.4倍〜2倍程度のスルーホール径となった。なお、
ドリル送り速度はこの挙動に強い影響を与えず100m
m/minでも工具を破損することなく加工が可能であ
り、ストレートホール加工時の5倍以上である。
【0040】したがって、図6(B)に見られるように
1 /R2 =約0.3のスルーホールが1回のドリル加
工で得られることになる。なお、従来、日常的に行われ
ている上方及び下方へ共に当て板を設置した参考例2の
場合は、R1 /R2 の値がほぼ1になることを確認し
た。以上の加工条件と結果を図7及び表2に示す。図7
からドリル回転数が800rpm以上がテーパ加工の適
用可能範囲であり、そのときR1 /R2 <0.7となる
ことが分る。
【0041】
【表2】
【0042】製品適用の具体例 上記適用可能範囲内で図8(A)、(B)に示すフィル
ムキャリアの高密度側(裏面側)、低密度側(裏面側)
のパッド51に加工したスルーホール52の例を、それ
ぞれ拡大して図9(A)、(B)に示す。この場合は、
1 /R2 =約0.66である。
【0043】図10にスルーホール加工後、スルーホー
ル67に導電性物質を施した製品の横断面を示す。図
中、61、65は銅箔、62、64はエポキシ系接着剤
層、63はポリイミドテープであり、それらの寸法は既
述した通りである。図10(A)はスルーホール67内
にスルーホールめっき66を施したものであり、ストレ
ート形スルーホールに比べて付着しやすいことが理解で
きる。(B)はスルーホール67内へハンダペースト6
8を注入し高温で溶融したものであり、裏面側のスルー
ホール67の口径が十分小さい場合はハンダペースト6
8の注入時及び溶融時共に下方への落下が生じにくく実
質的に穴が閉塞している状態、すなわちブラインドホー
ルと見做した高能率な作業ができる。また、(C)はブ
ラインドホールを加工後、スルーホールめっき66を行
った場合を示す。これをR1 =0μmと見做せば図10
(B)、(C)よりR1 /R2 =0〜0.2が実質的な
ブラインドホールと考えられる。
【0044】更に、これら製品の信頼性に関して行った
実験結果を述べる。図6(B)に示したスルーホール3
5に厚さ15μmのスルーホール銅めっきを与えた。銅
めっき付与手法としては市販のスルーホール用電気めっ
き浴を用いた。めっき後、熱サイクル試験を行った。条
件は−50〜+150℃で、0.5h/cycle、1
500回である。その結果、本製品は30ピース中全て
に故障が見られなかった。一方、従来手法、すなわちφ
0.1mmストレート形スルーホール加工品に同一条件
で銅めっきを与えた場合は、スルーホールの中央付近の
銅めっき厚さが8μm程度に減少した。また、上記と同
様に熱サイクル試験を行った結果、30ピース中12ピ
ースにスルーホールめっきがリング状に割れ、導通が断
たれた。本実験結果より、本実施例品は従来品に比べ信
頼性に優れることが明らかとなった。
【0045】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば次の効
果を発揮する。
【0046】(1)請求項1に記載のスルーホール付電
気回路構造物によれば、ストレート形状であったスルー
ホール形状をテーパ状に変えることによって、電気回路
パターン層の高密度化が可能になり、また電気的接続を
行うめっきやクリーム状導電剤などの導電性物質の疲労
破壊に対する信頼性の向上を図ることができる。特に、
従来に比してスルーホール径が表面と裏面で異なるだけ
という簡単な構造なので、プロセス上および品質面で得
られるメリットも大きく、実用化が容易である。
【0047】(2)請求項2に記載のスルーホール付電
気回路構造物によれば、テーパの縮径口と拡径口との比
を所定比率以下にしてテーパの広がりを大きくしたの
で、スルーホール内への導電性物質の付着性が更に良好
となり、被加工能率や製品の信頼性を一層高めることが
できる。
【0048】(3)請求項3に記載のスルーホール付電
気回路構造物の製造方法によれば、微小ドリル加工及び
プレス加工など既存の加工技術を利用してテーパ加工す
るので、微細加工性、加工作業性、歩留り、信頼性など
の向上が図れ、またテーパ状をしていることにより、め
っき付着能率の向上及びクリーム状導電剤の安定注入が
可能となり、それらの結果、材料費、加工費の低減によ
る原価低減のみならず製品製作期間の短縮化をもたら
し、完成製品の小型化や高速動作性さらに高信頼性を実
現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるスルーホール付電気回路
構造物の種々のスルーホール形状を示す断面図。
【図2】従来例と本実施例との高密度パターンにおける
スルーホール形状の影響を対比して説明する電気回路構
造物の裏面図および断面図。
【図3】従来例と本実施例とのスルーホールのアスペク
ト比の相違を対比して説明する電気回路構造物の断面
図。
【図4】本実施例によるV字形スルーホールへのクリー
ムハンダの注入状況を示す電気回路構造物の断面図。
【図5】従来例の両面フィルムキャリアを示す断面図。
【図6】実施例1、比較例1及び参考例1による両面フ
ィルムキャリアのスルーホール形成状況を説明する断面
図。
【図7】実施例2、比較例2及び参考例1による穴径と
ドリル回転数との関係を示す特性図。
【図8】TABテープキャリアの高密度側(裏面側)及
び低密度側パターンの平面図。
【図9】図8の拡大図。
【図10】本実施例によるスルーホール加工品の各種横
断面図。
【符号の説明】
1 表面金属薄板 2 裏面金属薄板 3 絶縁性薄板 41 スルーホール内壁 42 スルーホール内壁 5 スルーホール 7 金属めっき 9 ノズル 10 クリームハンダ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁層の表裏面に設けた電気回路パターン
    層間の電気的接続を、層間を貫通するスルーホールを介
    して行うスルーホール付電気回路構造物において、上記
    スルーホールの一部または全部をテーパ状としたことを
    特徴とするスルーホール付電気回路構造物。
  2. 【請求項2】上記テーパ状スルーホールの縮径口口径R
    1 と拡径口口径R2 との比が次式 R1 /R2 <0.7 を満たす請求項1に記載のスルーホール付電気回路構造
    物。
  3. 【請求項3】表面側または裏面側もしくは表裏面両方か
    ら微小ドリル加工及びプレス加工、あるいはエッチング
    加工もしくはそれらの加工を組み合わせて請求項1に記
    載のスルーホールを形成し、このスルーホール内壁を金
    属めっきするか、あるいはスルーホール内にクリーム状
    導電剤を注入して表裏面に設けた電気回路パターン層間
    の電気的接続を行うようにしたことを特徴とするスルー
    ホール付電気回路構造物の製造方法。
JP4114930A 1992-01-14 1992-05-07 スルーホール付電気回路構造物及びその製造方法 Pending JPH05259226A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4-4536 1992-01-14
JP453692 1992-01-14

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05259226A true JPH05259226A (ja) 1993-10-08

Family

ID=11586768

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4114930A Pending JPH05259226A (ja) 1992-01-14 1992-05-07 スルーホール付電気回路構造物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05259226A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014182094A1 (ko) * 2013-05-08 2014-11-13 주식회사 잉크테크 인쇄회로기판의 제조방법 및 인쇄회로기판
CN110798976A (zh) * 2018-08-01 2020-02-14 宏启胜精密电子(秦皇岛)有限公司 通孔的制作方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014182094A1 (ko) * 2013-05-08 2014-11-13 주식회사 잉크테크 인쇄회로기판의 제조방법 및 인쇄회로기판
CN110798976A (zh) * 2018-08-01 2020-02-14 宏启胜精密电子(秦皇岛)有限公司 通孔的制作方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4735678A (en) Forming a circuit pattern in a metallic tape by electrical discharge machining
JP2004296619A (ja) 回路基板と製造方法およびこれを用いたパワーモジュール
CN102886546B (zh) 通孔加工方法
JP2556282B2 (ja) 印刷配線板の製造方法
US5290423A (en) Electrochemical interconnection
JPH05259226A (ja) スルーホール付電気回路構造物及びその製造方法
JP3241936B2 (ja) 絶縁材料の放電加工方法
WO2023123909A1 (zh) Pcb加工方法及pcb
JP2609825B2 (ja) 多層配線基板の製造方法
US5745987A (en) Method for bonding circuit boards to pallets
JP4799063B2 (ja) ドリル
JPH0346393A (ja) プリント配線板の製造方法
CN112770504A (zh) 一种多层电路板的沉头孔加工方法
JPH10126024A (ja) 端面スルーホール配線板
JP2023539950A (ja) バックドリル刀具及びその製造方法
JPH07223198A (ja) 穴あけ加工方法及び穴あけ加工装置
JPH11121900A (ja) 回路基板の製造方法
JPH05226423A (ja) スルーホール付電気回路構造物及びその製造方法
EP0040190B1 (en) Method for metalizing holes in insulating material
JPH0441113A (ja) 多層プリント配線板用ドリルの形状
JPS63141274A (ja) コネクタ装置
KR100866532B1 (ko) 링 형상의 도금인입선을 갖는 비오씨 반도체 패키지 기판의제조방법
JPS5814758B2 (ja) 多層配線基板
KR20230061603A (ko) 백 드릴 비트
JPS63240093A (ja) プリント配線板の製造方法