JPH05255256A - ピリジニウム塩および光硬化性組成物 - Google Patents

ピリジニウム塩および光硬化性組成物

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JPH05255256A
JPH05255256A JP8980592A JP8980592A JPH05255256A JP H05255256 A JPH05255256 A JP H05255256A JP 8980592 A JP8980592 A JP 8980592A JP 8980592 A JP8980592 A JP 8980592A JP H05255256 A JPH05255256 A JP H05255256A
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pyridinium salt
benzoylbenzyl
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hexafluoroantimonate
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JP8980592A
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Koji Ito
孝司 伊藤
Toshikazu Takada
十志和 高田
Takeshi Endo
剛 遠藤
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】カチオン重合やラジカル重合に用いる光潜在性
開始剤として有用で、保存安定性に優れ、比較的安価
で、合成がし易く、光分解による悪臭のないピリジニウ
ム塩、およびそれを含んだ光硬化性組成物を提供する。 【構成】下記の一般式で表されるピリジニウム塩であ
り、また該ピリジニウム塩0.001〜5モル%と、カ
チオン重合性物質、ラジカル重合性物質から選ばれる少
なくとも1種95〜99.999モル%とを含有してな
る光硬化性組成物である。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カチオン重合またはラ
ジカル重合に用いる光潜在性開始剤として有用なピリジ
ニウム塩、およびそれを含んだ光硬化性組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】他からエネルギー(外部刺激)、特に光
を受けて初めて重合を開始できる開始剤は、光潜在性開
始剤(以下、単に「開始剤」ということもある)と呼ば
れ、近年、取り扱い易さ、安定性、重合・硬化の開始反
応の制御性など、潜在性開始剤の持つ利点に様々な分野
で関心が高まっている。
【0003】開始剤には、真の開始種が生成する反応が
原料のモノマー等の他の分子を必要としないこと、およ
び外部刺激に対する速やかで高い応答性を有することが
要求される。このような要求特性を備えた開始剤は、重
合の開始時期の制御という観点から重要であり、エポキ
シ樹脂、インキ、塗料、レジストといった感光性樹脂な
どの応用分野で用いられている。
【0004】現在までに、光潜在性開始剤としては、以
下のものが報告されている。アリールジアゾニウム塩
(米国特許第3794576号)、ジアリールヨードニ
ウム塩〔S.P.Pappas,et al.“J.P
olym.Chem.Ed.”22,69(1984)
等〕、トリアリールスルホニウム塩〔J.W.Knap
czyk,et al.“J.Org.Chem.”
,2539(1970)等〕、フェナシルスルホニウ
ム塩〔J.V.Crivello,etal.“Mac
romolecules”16,864(1983)
等〕、ヒドロキシスルホニウム塩〔J.V.Crive
llo,et al.“J.Polym.Sci.Po
lym.Chem.Ed.”18,1021(198
1)等〕、スルホオキソニウム塩〔B.P.Star
k,et al.“Ind.Chem.Bull.”
,164(1982)等〕、ピリジニウム塩〔A.
D.Ketley,et al.“J.Rad.Cur
ing”,22(1979)等〕などのオニウム塩系
開始剤に加え、鉄−アレン化合物〔T.P.Gill,
et al.“Inorg.Chem.”19,300
7(1980)等〕、スルホン酸エステル〔G.Ber
ner.et al.“J.Rad.Curing”
,10(1986)等〕、シリルエーテル−アルミニ
ウム錯体系〔S.Hayall,et al.“Mac
romolecules”18,1799(1985)
等〕などの非塩型のものが報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在ま
でに報告されている上記の光潜在性開始剤は、全ての点
で満足できるものはない。その中で最も研究されてお
り、実用域での使用に耐えうる性能を有するものに、ト
リアリールあるいはフェナシルスルホニウム塩がある。
【0006】これらのスルホニウム塩は、保存安定性や
硬化性の観点からアリールジアゾニウム塩より優れてい
るところがあるが、合成が複雑であるうえ、一般的には
高価であり、しかも重合性組成物に光照射を行うと、こ
の開始剤の分解のために悪臭のある有機スルフィドまた
はメルカプタン等の有機硫黄化合物が発生する。
【0007】本発明は、以上のような従来の光潜在性開
始剤に存在する問題を解決し、前述の要求特性を満足す
る光潜在性開始剤と、これを用いた光硬化性組成物とを
提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために検討を重ねた結果、ピリジニウム塩
の光潜在性開始剤としての能力に着目し、特定のピリジ
ニウム塩とすれば、優れた光潜在性を有して各種のカチ
オン性あるいはラジカル性の重合モノマーを高活性で重
合させうるばかりか、保存安定性にも優れ、比較的安価
で、かつ合成がし易く、光分解による悪臭もが改善され
うることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち本発明は、(1)化2の一般式で
表されることを特徴とするピリジニウム塩、および
(2)このピリジニウム塩0.001〜5モル%と、カ
チオン重合性物質、ラジカル重合性物質から選ばれる少
なくとも1種95〜99.999モル%とを含有してな
ることを特徴とする光硬化性組成物を要旨とする。
【0010】
【化2】
【0011】化2の一般式において、Arは芳香族ケト
ンを含む置換基または縮合芳香族基から選ばれるもので
ある。例えば、ベンゾイルフェニル、ナフトイルフェニ
ル、ベンゾイルベンジル、ナフトイルベンジル、ベンゾ
イルフェネチル、ナフトイルフェネチル、ベンゾイル、
ナフトイル、キノリル、イソキノリル、ナフチル、アン
トリル、ペリル、ピリルなどである。好ましくは、ベン
ゾイルフェニル、ナフトイルフェニル、ベンゾイルベン
ジル、ナフトイルベンジル、ナフトイル、ナフチル、ア
ントリルである。さらに好ましくは、ベンゾフェニル、
ナフトフェニル、ナフトイルである。
【0012】Rは、炭素数が0(すなわち、Rがな
くても良い)以上の二価の炭化水素基で、炭素数が余り
多いと、開始剤効率の低下を招くため、炭素数の上限は
6程度であることが好ましい。
【0013】Rは、アルキル、シクロアルキル、置換
アルキル、酸素原子や硫黄原子で分断されているアルキ
ルから選ばれる一価の有機アルキル基であり、炭素数が
余り多いと、ピリジニウム塩の極性を低下させる効果が
飽和するばかりか、コストアップとなるため、炭素数1
〜20のものがより好ましい。
【0014】Aは、非求核性のアニオンである。例え
ば、SbF ,PF ,AsF ,BF ,C
SO ,ClO ,BiCl ,SnCl
,FeCl またはSbCl などである。好ま
しくは、SbF ,PF ,AsF である。
【0015】また、本発明は、以上の光潜在性開始剤で
あるピリジニウム塩とともに、カチオン重合性物質、ラ
ジカル重合性物質から選ばれる少なくとも1種を含有す
る光硬化性組成物に関する。
【0016】本発明のピリジニウム塩により、上記の物
質の硬化を促進するには、本発明のピリジニウム塩を
0.001〜5モル%、好ましくは0.01〜2モル%
存在させる必要がある。ピリジニウム塩が0.001モ
ル%未満では、上記の物質の光硬化反応が不十分であ
り、5モル%を超えても該ピリジニウム塩の効果は飽和
して不経済となるからである。
【0017】本発明のピリジニウム塩は、電磁波エネル
ギー源、好ましくは紫外線の照射により分解されて、カ
チオン種あるいはラジカル種を生成する。本発明のピリ
ジニウム塩が光照射によりカチオン種、ラジカル種を生
成するメカニズムは、まだ充分に解明されていないが、
該ピリジニウム塩に光照射するとまずラジカルが発生
し、次に一電子移動を経て、カチオン種ができると考え
られる。このカチオン種あるいはラジカル種が、カチオ
ン重合性物質あるいはラジカル重合性物質の重合を開始
する。
【0018】上記のカチオン重合性物質の一例をあげる
と、エポキシ系化合物、ビニルエーテル類、環状のエー
テル類やケトン類、ラクトン類、オキセタン類、スチレ
ン類、アクロレイン類、4−ビニルビフェニルのような
ビニルアレン類、ビニルシクロヘキセンのような脂環式
ビニル化合物、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン
などのジエン類などである。
【0019】また、カチオン種、ラジカル種のいずれに
よっても重合を開始しうるカチオン重合性物質、ラジカ
ル重合性物質の具体例としては、オキシラン含有脂肪族
系不飽和ポリエステル;ビニル芳香族化合物と組み合わ
せた化学結合オキシラン酸素を有する脂肪族系不飽和ポ
リエステル;または、例えば、グリシジルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAジグ
リシジルエーテル、4−ビニルシクロヘキサンジオキシ
ド、3,4−エポキシジシクロヘキシル−3′,4′−
エポキシジシクロヘキサンカルボキシレート、ジグリシ
ジルフタレート、シクロヘキセンオキシド、1,4−ブ
テンジオールジグリシジルエーテル、C4〜C30のα
−オレフィンオキシド、エポキシ−ノボラック樹脂など
の化合物と組み合わせた化学結合オキシラン酸素を有す
るまたは有さない該エポキシ−ノボラック樹脂などであ
る。
【0020】さらに、これらの他に、エポキシ末端基ま
たは側基を有するオキシラン含有ポリマーを、アクリル
樹脂、または上記のオキシラン含有脂肪族系不飽和ポリ
エステル、ビニル芳香族化合物と組み合わせた化学結合
オキシラン酸素を有する脂肪族系不飽和ポリエステルと
配合したものも、本発明の組成物のカチオン重合性物
質、ラジカル重合性物質として用いることができる。こ
のエポキシ末端基または側基を有するオキシラン含有ポ
リマーの具体例としては、グリシジルアクリレートまた
はメタクリレートをコモノマーの一つとして含有するビ
ニルコモノマーがある。
【0021】なお、本発明のピリジニウム塩は、以上の
カチオン重合性物質あるいはラジカル重合性物質に限定
されず、カチオンあるいはラジカル重合によって重合可
能ないかなる光硬化性物質に対しても、光潜在性開始剤
として有効に利用することができる。
【0022】本発明のピリジニウム塩は、例えば、化3
に記載するような方法によって製造することができる。
【0023】
【化3】
【0024】化3の式において、Ar,R,Aは、
化2のAr,R,Aと同じである。Rは、炭素数1
〜20の一価の炭化水素である。従って、R−OHは、
具体的には、メタノール、エタノール、ブタノール、オ
クタノール、デカノール等を用いることができる。X
は、塩素、フッ素、臭素等のハロゲンを表す。また、T
は、H、または例えばリチウム、ナトリウム、カリ
ウムなど、そのハロゲン化物が水溶性である金属を示
す。
【0025】化3の第1段プロセスでは、イソニコチン
酸またはニコチン酸にアルコールを加える。アルコール
が液体の場合には、大過剰に用い、溶媒を兼ねる。アル
コールが固体の場合には、1〜50当量のアルコールに
有機溶媒または水を加えて、アルコールを溶解させ、以
降の反応を行う。
【0026】上記の混合溶液中に、水の共沸溶媒、好ま
しくはトルエン、ベンゼンなどを少量加え、さらに酸を
イソニコチン酸あるいはニコチン酸に対して1〜10当
量、好ましくは1〜3当量加える。この酸は、例えば、
塩酸、硫酸のような鉱酸、もしくは酸性樹脂を用いる。
反応は、室温〜200℃、好ましくは60〜120℃
で、1時間〜数カ月、好ましくは1時間〜1週間、大気
中または窒素雰囲気下で行う。
【0027】反応終了後、蒸留で過剰のアルコールと共
沸溶媒を留去し、さらに真空蒸留により、イソニコチン
酸アルキルエステルまたはニコチン酸アルキルエステル
を得ることができる。
【0028】第2段プロセスでは、各種ハロゲン体、例
えばベンゾイルフェネチル、ナフトイルフェネチル、ベ
ンゾイル、ナフトイル、キノリル、イソキノリル、ナフ
チル、アントリル、ペリル、ピリルなどのブロモ体ある
いはクロロ体を、第1段プロセス生成物であるイソニコ
チン酸アルキルエステルまたはニコチン酸アルキルエス
テルに対し1〜10当量、好ましくは1〜3当量加え、
さらに有機溶媒を加える。
【0029】有機溶媒としては、例えば、C1〜C5ア
ルコール、C3〜C6ケトン、C2〜C6エステル、C
1〜C5ハロゲン溶媒、アセトニトリルなどから選ばれ
た溶媒、好ましくは、メタノール、エタノール、アセト
ン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、クロロホルム、
アセトニトリルなどを挙げることができる。これらの有
機溶媒は、単独で、あるいは2種以上の混合体で使用
し、上記の各種ハロゲン体や、イソニコチン酸アルキル
エステルまたはニコチン酸アルキルエステルを溶解させ
るに充分な量で、なるべく少量で用いる。この時、生成
物の収率が上がるため、反応によりできた生成物が溶液
から自然に沈澱してくることが望ましいので、このよう
なことを考慮して溶媒選択を行う。
【0030】反応は、上記混合物を、室温〜溶媒の沸点
で、数時間〜数カ月、好ましくは溶媒の沸点で数時間〜
数日反応させる。反応終了後、固化物を濾過し、濾液は
溶媒を減圧留去し、濾過物とあわせ完全に溶媒を留去す
る。その後、水/エーテル系混合溶液、好ましくは、水
/エチルエーテル、水/イソプロピルエーテルで、抽出
を行い、水層に、一般式T・A(T,Aは上記
の通り)を同じ当量数加え、粗生成物を得る。
【0031】この粗生成物を吸引濾過後、有機溶媒から
再結晶することにより、最終生成物を得る。このときの
再結晶用有機溶媒としては、好ましくは、メタノール、
エタノール、塩化メチレン/n−ヘキサン、塩化メチレ
ン/エチルエーテルなどである。
【0032】
【実施例】 実施例1〔N−(4−ベンゾイルベンジル)−4−エト
キシカルボニルピリジニウムヘキサフルオロアンチモナ
ートの合成〕 p−ベンゾイルベンジルブロマイド2.00g(7.2
7mmol)にアセトニトリル20mlを加え、溶解
後、イソニコチン酸エチルエステル1.10g(7.2
8mmol)とアセトニトリル20mlの溶液を加え、
室温で8日間反応させた。反応終了後、濾過し、濾液は
アセトニトリルを減圧留去後、濾過物とあわせ完全にア
セトニトリルを留去した。その後、水/エーテル混合溶
媒で抽出し、水層にカリウムヘキサフルオロアンチモナ
ート2.00g(7.28mmol)を加え、白色固体
の粗生成物を得た。これを塩化メチレン/n−ヘキサン
混合溶媒から再結晶することにより、N−(4−ベンゾ
イルベンジル)−4−エトキシカルボニルピリジニウム
ヘキサフルオロアンチモナートの白色立方体結晶を、収
率約70%(wt%のこと、以下ピリジウム塩の収率に
おいて同じ)で得た。この白色立方体結晶の物性値等を
表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】実施例2〔N−(4−ベンゾイルベンジ
ル)−4−エトキシカルボニルピリジニウムヘキサフル
オロアレセナートの合成〕 p−ベンゾイルベンジルブロマイド4.00g(14.
5mmol)にアセトニトリル30mlを加え、溶解
後、イソニコチン酸エチルエステル2.20g(14.
6mmol)を加え、100℃で2日間反応させた。反
応終了後、室温まで冷却し、濾過し、濾液はアセトニト
リルを減圧留去後、濾過物とあわせ完全にアセトニトリ
ルを留去した。その後、水/エーテル混合溶媒で抽出
し、水層にカリウムヘキサフルオロアレセナート3.3
8g(14.6mmol)を加え、白色固体の粗生成物
を得た。これを塩化メチレン/n−ヘキサン混合溶媒か
ら再結晶することにより、N−(4−ベンゾイルベンジ
ル)−4−エトキシカルボニルピリジニウムヘキサフル
オロアレセナートの淡黄色結晶を、収率約85%で得
た。この淡黄色結晶の物性値等を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】実施例3〔N−(4−ベンゾイルベンジ
ル)−4−オクトキシカルボニルピリジニウムヘキサフ
ルオロアンチモナートの合成〕 イソニコチン酸6.33g(51.4mmol)に、1
−オクタノール80mlとトルエン20ml、さらにカ
オチン交換樹脂(米国ローム・アンド・ハース社製商品
名“アンバーリスト15”)を7.00gを加え、12
0℃で1日反応させた。反応終了後、濾過し、濾液を減
圧下で過剰の1−オクタノールとトルエンを留去し、さ
らに真空蒸留し、無色透明液体のn−オクチルイソニコ
チナートを、収率約50%で得た。このn−オクチルイ
ソニコチナート1.29g(5.48mmol)を、p
−ベンゾイルベンジルブロマイド1.50g(5.45
mmol)にアセトニトリル20mlを加えて溶解させ
たものに加え、80℃で3日間反応させた。反応終了
後、室温まで冷却し、濾過し、濾液はアセトニトリルを
減圧留去後、濾過物とあわせ完全にアセトニトリルを留
去した。その後、水/エーテル混合溶媒で抽出し、水層
にアセトンを少量加え、さらにカリウムヘキサフルオロ
アンチモナート1.50g(5.46mmol)を添加
し、白色固体の粗生成物を得た。これを塩化メチレン/
n−ヘキサン混合溶媒から再結晶することにより、N−
(4−ベンゾイルベンジル)−4−オクトキシカルボニ
ルピリジニウムヘキサフルオロアンチモナートの白色針
状結晶を、収率約70%で得た。この白色針状結晶の物
性値等を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】実施例4〔N−(4−ベンゾイルベンジ
ル)−4−メトキシカルボニルピリジニウムヘキサフル
オロアンチモナートの合成〕 カリウムヘキサフルオロアレセナートの代わりに、カリ
ウムヘキサフルオロアンチモナートを使用する以外は、
実施例2と同様の操作を行い、N−(4−ベンゾイルベ
ンジル)−4−メトキシカルボニルピリジニウムヘキサ
フルオロアンチモナートの白色結晶を、収率約55%で
得た。この白色結晶の物性値等を表4に示す。
【0039】
【表4】
【0040】実施例5〔N−(4−ベンゾイルベンジ
ル)−4−エトキシカルボニルピリジニウムヘキサフル
オロホスホナートの合成〕 カリウムヘキサフルオロアレセナートの代わりに、カリ
ウムヘキサフルオロホスホナートを使用する以外は、実
施例2と同様の操作を行い、N−(4−ベンゾイルベン
ジル)−4−エトキシカルボニルピリジニウムヘキサフ
ルオロアンチモナートの白色結晶を、収率約80%で得
た。この白色結晶の物性値等を表5に示す。
【0041】
【表5】
【0042】実施例6〔N−(4−ベンゾイルベンジ
ル)−4−ブトキシカルボニルピリジニウムヘキサフル
オロアンチモナートの合成〕 1−オクタノールの代わりに1−ブタノールを使用する
以外は、実施例3と同様の操作を行い、N−(4−ベン
ゾイルベンジル)−4−ブトキシカルボニルピリジニウ
ムヘキサフルオロアンチモナートの白色針状結晶を、収
率約70%で得た。この白色針状結晶の物性値等を表6
に示す。
【0043】
【表6】
【0044】実施例7〔N−(4−ベンゾイルベンジ
ル)−4−イソブトキシカルボニルピリジニウムヘキサ
フルオロアンチモナートの合成〕 1−オクタノールの代わりに1−ブタノールを使用する
以外は、実施例4と同様の操作を行い、N−(4−ベン
ゾイルベンジル)−4−イソブトキシカルボニルピリジ
ニウムヘキサフルオロアンチモナートの白色結晶を、収
率約55%で得た。この白色結晶の物性値等を表7に示
す。
【0045】
【表7】
【0046】実施例8〔N−(4−ベンゾイルベンジ
ル)−4−イソブトキシカルボニルピリジニウムヘキサ
フルオロアレセナートの合成〕 カリウムヘキサフルオロアンチモナートの代わりに、カ
リウムヘキサフルオロアレセナートを使用する以外は、
実施例7と同様の操作を行い、〔N−(4−ベンゾイル
ベンジル)−4−イソブトキシカルボニルピリジニウム
ヘキサフルオロアレセナートの白色結晶を、収率約80
%で得た。この白色結晶の物性値等を表8に示す。
【0047】
【表8】
【0048】実施例9〔N−(4−ベンゾイルベンジ
ル)−4−イソブトキシカルボニルピリジニウムヘキサ
フルオロホスホナートの合成〕 カリウムヘキサフルオロアンチモナートの代わりに、カ
リウムヘキサフルオロホスホナートを使用する以外は、
実施例7と同様の操作を行い、〔N−(4−ベンゾイル
ベンジル)−4−イソブトキシカルボニルピリジニウム
ヘキサフルオロホスホナートの淡黄色結晶を、収率約7
0%で得た。この淡黄色結晶の物性値等を表9に示す。
【0049】
【表9】
【0050】比較例1〔N−ベンジル−4−エトキシカ
ルボニルピリジニウムヘキサフルオロアンチモナートの
合成〕 p−ベンゾイルベンジルブロマイドの代わりにベンジル
ブロマイドを使用する以外は、実施例1と同様の操作を
行い、N−ベンジル−4−エトキシカルボニルピリジニ
ウムヘキサフルオロアンチモナートの淡黄色結晶を、収
率約75%で得た。この淡黄色結晶の物性値等を表10
に示す。
【0051】
【表10】
【0052】比較例2〔N−ベンジル−4−ベンゾイル
ピリジニウムヘキサフルオロアンチモナートの合成〕 イソニコチン酸エチルエステルの代わりに、4−ベンゾ
イルピリジンを使用する以外は、実施例1と同様の操作
を行い、N−ベンジル−4−ベンゾイルピリジニウムヘ
キサフルオロアンチモナートの淡緑色結晶を、収率約8
0%で得た。この淡黄色結晶の物性値等を表11に示
す。
【0053】
【表11】
【0054】比較例3〔N−t−ブチルベンジル−4−
ベンゾイルピリジニウムヘキサフルオロアンチモナート
の合成〕 ベンジルブロマイドの代わりにt−ブチルベンジルブロ
マイドを使用する以外は、比較例2と同様の操作を行
い、N−t−ブチルベンジル−4−ベンゾイルピリジニ
ウムヘキサフルオロアンチモナートの白色結晶を、収率
約75%で得た。この白色結晶の物性値等を表12に示
す。
【0055】
【表12】
【0056】実施例10〔本発明のピリジニウム塩また
は比較のピリジニウム塩によるプロピレンオキシドの重
合〕 (1)試験方法:封管用ガラスアンプルに、プロピレン
オキシド5mmolと、実施例1〜9で得た本発明のピ
リジニウム塩または比較例1〜3で得られた比較のピリ
ジニウム塩0.2mmolとを加え、溶解する。この封
管用ガラスアンプルを真空ラインに接続し、内容物を液
体窒素で冷却固化させ、高真空下で脱気後、高真空下で
コックを閉じて内容物を溶解する。この冷却固化−脱気
−溶解を3回繰り返した後、高真空下(1Torr以
下)で溶封する。この封管を、20℃に保たれた400
Wの高圧水銀灯のメリーゴーランド型光照射装置に入
れ、波長365nm、強度0.7mw/cmの紫外線
を所定時間照射する。その後、封管を取り出し、開封し
て、ピリジンやトリエチルアミンなどの停止剤により重
合を停止させる。そして、重合体への転化率をH−N
MRで求める。 (2)結果:表13に、本発明のピリジニウム塩による
場合と、比較のピリジニウム塩による場合の、プロピレ
ンオキシドの重合物への転化率を示す。
【0057】
【表13】
【0058】表13から明らかなように、本発明のピリ
ジニウム塩は、比較のピリジニウム塩に比して、プロピ
レンオキシドに対して高い重合能力を有していることが
分かる。例えば、比較例1のピリジニウム塩は全くプロ
ピレンオキシドの重合能力がないのに対し、本発明のピ
リジニウム塩はいずれも高い活性を示している。また、
比較例1のピリジニウム塩に、本発明のピリジニウム塩
の分子骨格に導入した光増感剤であるベンゾフェノンを
混入した場合と比較しても、本発明のピリジニウム塩は
2倍以上の高い活性を示している。この結果、同一分子
内で連結している(共有結合している)本発明のピリジ
ニウム塩が、良好な光潜在性開始剤であることが分か
る。
【0059】上記の光照射による反応の途中に、本発明
のピリジニウム塩を使用しているもののガラスアンプル
を開封したところ、悪臭は何ら感じられなかった。ま
た、実施例10は、本発明のピリジニウム塩の製造後1
週間程度経過したものを使用したが、製造直後のもの、
あるいは製造後数か月経過したものを使用した場合も、
表13と同様の結果を示した。さらに、重合性物質に本
発明のピリジニウム塩を添加し、暗所で保存した場合、
重合などの変化は見られなかった。
【0060】実施例11〔ピリジニウム塩による各種モ
ノマーの重合〕 (1)試験方法:封管用ガラスアンプルに、各種モノマ
ー5mmolと、実施例1で得た本発明のピリジニウム
塩の所定量(1.0〜0.2モル%となる量)とを加
え、溶解する。ピリジニウム塩(固体)がモノマー(液
体)に完全に溶解しない場合は、溶媒を使用する。その
後、実施例10と同様の操作を行い、H−NMRで転
化率を求める。また、重合物を塩化メチレンなどの溶媒
に溶解させ、大量のメタノールに注ぎメタノール不溶な
重合物を得、濾過等で分離した後、再沈法より精製し、
減圧乾燥して重合物を得、収率等を求める。 (2)結果 表14に各種モノマーの重合転化率および収率を示す。
【0061】
【表14】
【0062】なお、本発明のピリジニウム塩を添加しな
い場合は、いずれのモノマーも転化率0%であった。表
14より明らかなように、本発明のピリジニウム塩は、
各種カチオン性重合物を光照射より重合させる能力があ
ることが分かる。また、カチオン種による重合能力のな
いメチルメタアクリレートが重合したことより、本発明
のピリジニウム塩は、光照射よりカチオン種ばかりでな
くラジカル種も発生すると考えられる。このことは、本
発明のピリジニウム塩は、広くカチオン、ラジカル重合
性の各種モノマーに適用できるばかりか、多方面な利用
が考えられ、有用な光潜在性開始剤と考えられる。
【0063】なお、実施例11は、本発明のピリジニウ
ム塩の製造後1週間経過したものを使用したが、製造直
後のもの、あるいは数カ月経過したものを使用しても、
表14と同様の結果が得られた。
【0064】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のピリジニ
ウム塩によれば、次のような効果を得ることができる。 (1)カチオン重合性物質およびラジカル重合性物質に
対して優れた重合性能を有する。 (2)長期間の保存によってもその性能は低減せず、優
れた保存安定性を有する。 (3)光照射により分解してカチオン種やラジカル種を
生成する際に、何ら悪臭を発せず、取扱い性延いては作
業性に優れている。 (4)合成が容易であり、廉価である。 また、このような効果を奏する本発明のピリジニウム塩
を使用する本発明の組成物によれば、次のような効果を
得ることができる。 (1)所望の合成樹脂を必要とする際に、光を照射する
のみで該合成樹脂を製造することができる。 (2)従って、光照射装置さえあれば、合成樹脂の使用
現場にても、該合成樹脂の製造が可能である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式で表されることを特徴とす
    るピリジニウム塩。 【化1】
  2. 【請求項2】 請求項1記載のピリジニウム塩0.00
    1〜5モル%と、カチオン重合性物質、ラジカル重合性
    物質から選ばれる少なくとも1種95〜99.999モ
    ル%とを含有してなることを特徴とする光硬化性組成
    物。
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