JPH05255073A - 経口製剤およびその製造方法 - Google Patents

経口製剤およびその製造方法

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JPH05255073A
JPH05255073A JP5389692A JP5389692A JPH05255073A JP H05255073 A JPH05255073 A JP H05255073A JP 5389692 A JP5389692 A JP 5389692A JP 5389692 A JP5389692 A JP 5389692A JP H05255073 A JPH05255073 A JP H05255073A
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carboxylic acid
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JP5389692A
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Ikuo Koyama
郁夫 小山
Kimihide Shimano
公秀 島野
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Taisho Pharmaceutical Co Ltd
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Taisho Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、口中のpHがたとえ酸性側
に偏っていた場合でも、生理活性物質の有する不快な味
を有効に隠蔽することのできる経口製剤とその製剤を簡
単にかつ安全に製造する方法を提供することにある。 【構成】 本発明の経口製剤は、水難溶性の生理活性物
質を高分子物質でカプセル化した粒子に有機カルボン酸
および金属水酸化物を含浸してなることを特徴とし、水
難溶性の生理活性物質を高分子物質でカプセル化した粒
子を有機カルボン酸および金属水酸化物を含有する緩衝
液に含浸することによって製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は経口製剤およびその製造
方法に関し、さらに詳しくは、薬理成分である生理活性
物質の有する苦みを隠蔽した経口製剤およびその簡単な
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、経
口投与時にその薬理成分である生理活性物質の有する不
快な味を隠蔽して経口投与し易くした種々の経口製剤が
知られている。本発明者らも特開昭63−188621
号公報においては、不快な味を呈する薬物をポリビニル
アセタ−ルジエチルアミノアセテ−ト粉床上に落下させ
る矯味経口製剤およびその製造方法を開示した。また、
特開昭64−22816号公報においては、不快な味を
呈する薬物を、冷水を用いて、ポリビニルアセタールジ
エチルアミノアセテートで覆ったマイクロカプセルにす
ることで、苦みが隠蔽された矯味経口製剤を、安全に製
造することのできる製造方法を開示した。さらに特開平
2−505658号公報においては、不快な味を呈する
薬物を含有する粒子を分散させた懸濁液を加湿加温条件
下にて微小粒子とし、乾燥させて矯味経口製剤を得る方
法を開示した。
【0003】これらの矯味経口製剤は、いずれも、通
常、口中のpHでは溶解しないが、胃酸のpHでは溶解
する胃溶性高分子化合物を利用して、有機溶媒等を用い
ない安全な製法でマイクロカプセル化したものである。
【0004】しかしながら、きわめて苦い薬物の場合、
完全にマスキングすることは困難であり、特に服用後数
分の経過した後に苦みが発現するという問題点があっ
た。更にこの問題点は、(1) 服用粒子の大部分は服用直
後に飲み込まれて口中から消失するのであるが、わずか
の粒子は、舌上皮表面のひだ部や歯と歯との間、歯と歯
肉との隙間に残存してしまう、(2) 口中のpHはあらゆ
る人に一様ではなく、特に歯垢等での口腔細菌(例え
ば、連鎖球菌、乳酸桿菌、Str. mutans 、Veillonella
等)の生存数の多い人では弱酸性側に偏っているので、
矯味経口製剤のコ−ティング物質である胃溶性高分子化
合物が口中で溶解し、苦み隠蔽の効果が損なわれる、
(3) 胃溶性高分子化合物を含むマイクロカプセルが、口
腔内の例えば舌の奥に残留してしまうと、呼気中の炭酸
ガス等の酸性物質に常時晒されるので次第に溶解し、や
はり苦み隠蔽の効果が損なわれる、という新たな三つの
問題点を生じさせる。
【0005】これらの問題点を解決するためには、酸性
側で溶解しない、例えばエチルセルロースやワックス等
の水不溶性物質、あるいはアルギン酸等のアルカリで溶
解する物質を壁剤として用いることが望ましいと考えら
れるが、実用においては、酸性である胃内で溶解しない
ので、バイオアベイラビリティー(生物学的利用率)が
低下してしまうという弊害が起こる。
【0006】一方、特開昭58−4714号公報には、
胃溶性高分子であるオイドラギット(Eudragit[登録商
標])E100 、ポリビニルアセテート、塩基性物質であ
る炭酸水素ナトリウムを含有した薬学的混合物が記載さ
れている。
【0007】しかしながら、オイドラギットE100 やポ
リビニルアセテートは、水に不要であるので、塩基性物
質を含有させるためには、クロロフォルムやアセトン等
の有機溶媒を用いる必要があり、製造する上で爆発や人
体への吸入等の危険を伴う。さらに乾燥時に排出される
溶媒蒸気による環境汚染や、溶媒を完全に回収するため
の設備が大掛かりになるという問題点がある。また、苦
み隠蔽の点についても、炭酸水素ナトリウムは口中で素
早く溶解してしまうので、苦み隠蔽の効果が持続しない
という欠点がある。
【0008】本発明は、前記事情に基づいてなされたも
のである。すなわち、本発明の目的は、口中のpHが酸
性側に偏っていても、生理活性物質の有する味を隠蔽す
ることのできる苦み隠蔽製剤と、そのような苦み隠蔽製
剤を安全に製造することのできる苦み隠蔽製剤の製造方
法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明の苦み隠蔽製剤は、水難溶性の生理活性物質を
高分子物質でカプセル化した粒子に有機カルボン酸およ
び金属水酸化物を含浸してなることを特徴とし、本発明
の苦み隠蔽製剤の製造方法は、水難溶性の生理活性物質
を高分子物質でカプセル化した粒子を有機カルボン酸お
よび金属水酸化物を含有する緩衝液に含浸することを特
徴とする。
【0010】以下、本発明の苦み隠蔽製剤についてその
製造方法と共に説明する。 −カプセル化した粒子− 本発明における水難溶性の生理活性物質を高分子物質で
カプセル化した粒子は、たとえば水難溶性の生理活性物
質と高分子物質と添加剤例えば界面活性剤または界面活
性剤および高級アルコ−ルと水または水性難凍液とから
なる懸濁液をノズルから平滑流状態で下方に流出させ、
流出する懸濁液の平滑流に振動を付与することにより調
製することができる。この調製法によると真球に近く、
しかも粒度分布の均一な粒子を調製することができる。
【0011】1.懸濁液の構成成分 本発明における懸濁液は、水難溶性の生理活性物質と高
分子物質または高分子物質および添加剤と水または水性
難凍液とを含有する。 (A)生理活性物質 本発明における前記生理活性物質は、水難溶性であり、
経口製剤を製造する場合、口中での不快感あるいは口中
での違和感を隠蔽する必要のある生理活性物質を挙げる
ことができる。
【0012】本発明に用いられる生理活性物質の具体例
としては、エリスロマイシン、クラリスロマイシンなど
のマクロライド系抗生物質、カナマイシン系、テトラサ
イクリン系、セフェム系、キノロン系などに属する抗生
物質、その他塩酸クロルプロマジン、塩酸エタフェノ
ン、塩酸ミナプリン、ビタミンD、オキサプロマジン、
インドメタシン、炭酸リチウム、塩酸ブフォルミン、ロ
キシスタチンなどの不快な味を呈する薬物を挙げること
ができる。これらの外にも、本発明に適用することので
きる生理活性物質としては、例えば、ケトプロフェン、
ケトフェニルブタゾン、イブプロフェン、アセトアミノ
フェンなどの抗炎症鎮痛剤、塩酸プロメタジンなどの抗
ヒスタミン剤、塩酸クロブチノ−ルタンニン酸オキセラ
ジンなどの鎮痛剤、塩酸ベルベリンなどの止瀉剤、臭化
プロパンテリン、塩酸パバベリンなどの鎮痙剤、塩酸ナ
クロビジンなどの血小板凝集阻害剤、メフェナム酸、フ
ルフェナム酸などの抗リュウマチ剤、塩酸プロメタジン
などの精神安定剤、ジオキトキシン、アミノフィリンな
どの強心剤、ケトデオキシコ−ル酸などの胆石溶解剤、
ジノプロストンなどの陣痛誘発促進剤などの不快な味を
呈し、水に溶けにくい薬物などや、あるいは塩酸イミプ
ラミン、塩酸モペロン、フェノプロフェンカルシウム、
テオフィリンなどの収斂性のある薬物が挙げられる。
【0013】このような水難溶性の生理活性物質は、必
要に応じてケイ酸類などで処理をしたり、固形油脂で被
覆するなどの前処理をしても良い。 (B)高分子物質 本発明に用いられる前記高分子物質としては、前記生理
活性物質を含有しつつカプセル化したものであれば特に
制限がない。本発明でできる高分子物質としては、セル
ロ−ス誘導体(エチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、
ヒドロキシプロピルセルロ−ス、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロ−ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス
フタレ−トなど)、アクリル誘導体(メタアクリル酸、
メタアクリル酸メチルコ−ポリマ−、メタアクリル酸・
ジメチルアミノエチルメタアクリル酸メチルコ−ポリマ
−など)、ポリビニル系誘導体(ポリビニルアルコ−
ル、ポリビニルピロリドンなど)の合成高分子物質の
他、アルギン酸類、ゼラチン類、ペクチン類、キサンタ
ンガム、ジェランガム、デンプン、デキストラン、カン
テンなどの天然高分子物質などを挙げることができる。
これらの他にも、ポリビニルアセタ−ルジエチルアミノ
アセテ−ト(AEA)、メチルビニルピリジンメチルア
クリレ−ト・メタクリル酸共重合体(MPM)、セルロ
−スアセテ−トジブチルアミノヒドロキシプロピルエ−
テル(CABP)、ジメチルアミノエチルメタクリレ−
ト・メチルメタクリレ−ト共重合体(オイドラギッド
E)などがある。
【0014】これらの内、好ましいのは、ポリビニルア
セタ−ルジエチルアミノアセテ−ト(以下、AEAと略
称する)などである。前記AEAはカプセル化した粒子
の調製において特に好ましく用いることができる。すな
わち、AEAは冷水に溶解するが温水には不溶解性であ
るという性質、熱により容易にゲル化するという性質、
口中のpHでは溶解せず、胃中のpHで溶解するという
独特の性質を有する。したがって、本発明の経口製剤の
製造方法にこのAEAを適用すると、生理活性物質の味
を隠蔽し、口中では溶解せず胃中で溶解する、バイオア
ベイラビリティー(生物学的利用率)の高い経口製剤を
簡単にかつ安全に製造することができる。
【0015】(C)添加剤 本発明においては、前記懸濁液に本発明の目的を阻害し
ない範囲で、必要に応じて添加剤を加えることができ
る。添加剤としては、例えば乳化剤(グリセリン脂肪酸
エステル、ジオクチルナトリウムスルホサクシネート、
ステアリン酸ポリオキシル40、ゼラチン、モノオレイ
ン酸グリセリン、レシチン、コレステロールなど)、懸
濁化剤(アラビアゴム、トラガント、結晶セルロース、
グリセリン、メチルセルロースなど)、界面活性剤(ラ
ウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、セチルア
ルコールなど)、増粘剤(カルボキシメチルセルロ−ス
ナトリウム、ポリビニルピロリドン、白糖、アルギン酸
ナトリウムなど)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロ
ース、デンプンなど)、可塑剤(マクロゴール600
0、プルロニックF68など)、pH調節剤(クエン
酸、炭酸水素ナトリウムなど)、防腐剤(パラオキシ安
息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチルなど)、滑沢
剤(タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムな
ど)、矯味剤(ソルビトール、サッカリンナトリウム、
ケイヒ油、リンゴ酸、フマル酸一ナトリウムなど)、香
料、色素などの添加剤を含有していも良い。
【0016】(D)水または水性難凍液 懸濁液を調製するための水としては、特に制限がないの
であるが、精製水が好ましい。また、水性難凍液として
は温度が零度以下であっても凍結しないように水好まし
くは精製水に、グリセリン、プロピレングリコール等の
多価アルコールを加えることができる。更に、場合によ
っては、アセトン、エタノール等の水溶性有機溶剤を加
えることもできる。
【0017】2.懸濁液の調製 カプセルの調製において、懸濁液は、前記各成分を混合
することにより得ることができる。前記各成分の混合順
序に制限はない。前記懸濁液の調製法及び各成分の含有
割合は、通常、次のとおりである。すなわち、懸濁液を
なす固形成分の粒子径は、微粒子であることが望まし
く、その粒径としては、30μm以下、好ましくは0.
1〜10μmである。また前記生理活性物質は、必要に
応じてケイ酸や、固形油脂で被覆するなどの前処理をし
ても良い。生理活性物質の懸濁液中における含有割合
は、通常、40重量%以下、好ましくは10〜30重量
%である。
【0018】また、前記懸濁液における前記高分子物質
の含有量は、通常、10%重量以下、好ましくは4〜8
重量%である。
【0019】添加剤の懸濁液中における含有量は、本発
明の目的を阻害しない程度の適量である。
【0020】これら生理活性物質、高分子物質及び添加
剤をそれぞれの適量を加え、更に水及び水性難凍液を加
えることによって懸濁液を調製する。
【0021】上述した各成分の混合方法は、従来から公
知の混合方法、混合時間及び混合装置を採用することが
できる。例えば、通常に使用されているプロペラ型、タ
ービン型などの撹拌器を使用して、−10〜10℃の範
囲で、好ましくは−5〜5℃の範囲に冷却しつつ前記各
成分を混合することにより懸濁液を調製することができ
る。
【0022】3.球状粒子の調製方法 本発明においては、上述のようにして調製された懸濁液
を用いて、下記のようにして均一な球状の微粒子を得る
ことができる。
【0023】多孔ノズルより噴出 前記懸濁液を、ノズルから平滑流状態で下方に流出さ
せ、流出する懸濁液の平滑流に振動を付与すると、球状
粒子が形成される。ノズルに設けられるノズル孔の径
は、通常50〜300μm、好ましくは75〜150μ
mであり、ノズル孔の数は、通常1〜10,000、好
ましくは100〜1,000である。ノズル孔から懸濁
液を滴下する場合、ノズル孔から押し出される懸濁液に
振動を加えると、真球に近い球状粒子を製造することが
できる。加える振動の振動数としては、1,000〜1
0,000Hzである。
【0024】ノズルから流出する懸濁液に振動を付与す
る振動法としては、ノズルを規則的に振動させてもよい
し、懸濁液を例えば、ダイアフラムや振動棒で直接加振
してもよい。振動を与える手段としては、従来から公知
の方法、例えば加振器を採用することができる。平滑流
で流出する懸濁液に規則的な振動が加わることにより、
流出する懸濁液が規則的に分断されて粒径分布の均一な
粒子状の液滴群が生成する。
【0025】ノズル孔から流出して形成される液滴群
は、通常空気中を落下する。液滴群の落下の雰囲気とし
ては、特に制限はなく、空気中であっても、不活性ガス
中であってもよい。本発明においては乾燥空気中が好ま
しい。
【0026】ノズル孔から滴下する液滴の加熱は、蒸
気、温水、熱風、ヒーター等の各種の手段により、ある
いはこれら各種の手段を組み合わせて行うことができ
る。加熱温度は、通常20〜80℃であるのが好まし
い。
【0027】具体的には、例えば、ノズルから懸濁液を
空気中に流出落下させ、流出した懸濁液に前記振動を与
えることにより生成する液滴群に加熱蒸気あるいは温風
を吹きつけ、次いで液滴群を温水槽中に落下させる加熱
手段を挙げることができる。ノズルから温水槽までの落
下距離は、液滴の空気中での滞留時間を1秒以下になる
ように調製するのが良い。温水槽は、一定温度に加熱さ
れた静水を満たした槽であっても良いが、水平に旋回す
る温水を満たした槽であるのが好ましい。温水槽におけ
る温水の温度は、前記加熱温度範囲と同様である。ま
た、この水平旋回流となって流れている温水を有する温
水槽を利用すると、相互に温度履歴の相違のない水性ゲ
ル粒子を得ることができ、又、落下した水性ゲル粒子が
器壁に衝突することにより水性ゲル粒子が変形すること
もない。
【0028】前記加熱処理されて形成された水性ゲル粒
子は、温水槽で回収され、その温水により熟成させるこ
とができるし、又、別の槽に移して熟成させることもで
きる。このようにして得られた粒子を熟性粒子と称され
ることがある。熟成させるための温水の温度は、20〜
90℃、好ましくは40〜80℃の温度で、熟成時間
は、数分から数十時間であり、好ましくは3〜24時間
である。また、当該温水槽は、後記の緩衝液からなるも
のであってもよい。
【0029】−経口製剤の製造方法− 本発明の方法では、水難溶性の生理活性物質を高分子物
質でカプセル化した粒子(前記で得られた水性ゲル粒子
または熟性粒子)を、特定成分を有する緩衝液中に含浸
する。 1.緩衝液 本発明で用いられる緩衝液は、有機カルボン酸と金属水
酸化物とを含有し、緩衝能を有する。
【0030】(E)有機カルボン酸 本発明に用いられる有機カルボン酸としては、金属水酸
化物とともに用いて緩衝作用を発現する限り、どのよう
な有機カルボン酸でもよく、特に限定されない。たとえ
ば、低分子の有機カルボン酸および高分子の有機カルボ
ン酸を使用することができる。低分子の有機カルボン酸
としては、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、そして
各種アミノ酸(例えば、グリシン、アラニン、タウリ
ン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオ
ニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チ
ロシン、トリプトファン、アスパラギン酸、アスパラギ
ン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、リジン、
ヒスチジン、プロリン、ヒドロキシプロリンなど)など
を挙げることができる。
【0031】高分子の有機カルボン酸としては、例え
ば、ゼラチン、アルギン酸、蛋白質などが好ましい。こ
れらのうち、経口製剤として服用し口中での味を考慮し
た場合、良好な味を感じさせるアミノ酸特にグリシンが
好ましい。
【0032】(F)金属水酸化物 前記金属水酸化物としては、水溶性で、前記有機カルボ
ン酸とともに用いて緩衝作用を発現する限り、どのよう
な金属水酸化物でもよく、特に限定されない。実際的に
は、前記有機カルボン酸の種類に応じて金属水酸化物が
任意に選択される。好ましい金属水酸化物として、Na
OH、KOH、Ca(OH)2 、Mg(OH)2 などを
挙げることができる。
【0033】前記緩衝液のpHは、7〜11の範囲内で
あることが好ましい。前記緩衝液がpH7以下である
と、生理活性物質の不快な味を隠蔽する効果が弱く、p
Hが11以上であると、緩衝液自体が不快な味を有し、
経口製剤としては好ましくないからである。
【0034】前記緩衝液の浸透圧は、200mOsm以
上、特に400mOsm以上であることが好ましい。緩
衝能を有する水溶液の浸透圧が、200mOsm未満で
あると、不快な味を隠蔽するのに十分な効果が得られな
いことがある。
【0035】この緩衝液は、pHが前記範囲内にあり、
また浸透圧が前記範囲にあるように、有機カルボン酸と
金属水酸化物との含有量を適宜に決定し、これらを水に
混合することにより調製することができる。
【0036】2.含浸 水難溶性の生理活性物質を高分子物質でカプセル化した
粒子を、前記緩衝液中に含浸する条件としては特に制限
がない。好ましい条件として、例えば、温度20〜90
℃、好ましくは40〜80℃に調製された緩衝液に、前
記粒子を数分から数十時間の間、好ましくは3〜24時
間の間、浸漬することを挙げることができる。浸漬の後
に、通常の濾過等の方法により粒子を取り出して乾燥す
ることにより、本発明の経口製剤を得ることができる。
乾燥方法としては、例えば、流動層乾燥装置、真空乾燥
装置、真空流動乾燥装置、媒体流動層乾燥装置、回転型
通気乾燥装置などを挙げることができる。なお、緩衝液
処理の前に、乾燥工程を入れることもできる。
【0037】
【発明の効果】本発明の経口製剤は、口中のpHが口腔
細菌や呼気中の炭酸ガスによってたとえ酸性になってい
るとしても、経口投与時に、不快な味を有する生理活性
物質が、カプセル化した高分子物質から溶出することが
なく、したがって、口中のpHにかかわりなく生理活性
物質の味を隠蔽した状態で経口投与することができる。
また、本発明の方法によると、特定の緩衝液にカプセル
化した粒子を含浸させるだけで、かつ可燃性有機溶媒を
用いることがないので、簡単にしかも安全に本発明の経
口製剤を製造することができる。
【0038】
【実施例】
(実施例1)2℃の精製水94重量部にポリビニルアセ
タ−ルジエチルアミノアセテ−ト(AEA)5重量部を
撹拌しながら加えて溶解し、その後、さらにラウリル硫
酸ナトリウム0.02重量部およびセチルアルコ−ル
0.005重量部を加え、クラリスロマイシン(平均粒
径2μm)1重量部をこれに加え、全体を撹拌すること
により均一な懸濁液を調製した。
【0039】得られた懸濁液を、振動するノズルから懸
濁液を噴出させ(ノズルの孔径:100μm、ノズル孔
数:250本、ノズルの振動数は:7,200HZ )、
均一な粒径の液滴とした。
【0040】この落下液滴に70℃の温風を吹きつけ、
落下した水性ゲル粒子を、水平旋回流の温水槽に回収し
た。ノズルから温水槽に着水するまでの滞留時間は、
0.54秒であった。
【0041】回収した水性ゲル粒子を、グリシン15g
を0.05N−NaOH水溶液に溶解した緩衝溶液(p
H9.02、浸透圧502mOsm)に、温度52℃
で、14時間浸漬させた。次いで、この粒子を通常の濾
過により回収し、流動層乾燥装置を用いて乾燥し、図1
に示す粒度分布を有する粒子を得た。そのときの乾燥温
度は7℃で、乾燥時間は30分であった。
【0042】得られた苦み隠蔽製剤について、苦み隠蔽
の程度を評価するために、苦み試験を実施した。
【0043】その方法は、20〜30才の男女各15名
を予め選び、味盲試験紙(Test Papers, ADVANTEC 社
製)により、味覚に異常のない男女各10名を選出し、
苦み試験のパネラーとした。
【0044】試験は、男女各10名全員に、1日1検体
を、昼食2時間を経過した後に行った。シロップの調製
は、各検体について、試験開始30分前に20w/w%
甘味剤(砂糖1重量部、ソルビトール2重量部、キシリ
トール2重量部、サッカリンナトリウム0.02重量
部)水溶液2.5mlに対し、クラリスロマイシンが1
00mgとなるように調製した。評価は、各パネラーに
各検体シロップ2.5mlを1分間口中に含んでもらっ
た後に、口外に吐き出させ、服用直後、5分後、15分
後の苦みの程度を、以下に示す5段階に分けて行った。
【0045】苦みの程度; 第1段階 全く苦くない。 第2段階 ほとんど苦くない。 第3段階 やや苦い。 第4段階 苦い。 第5段階 大変苦い。 評価結果を表1に示す。
【0046】(比較例1)実施例1と同様にして粒子を
調製し、緩衝溶液には浸漬せずに、52℃の温水で14
時間かけて熟成した後に、同様に乾燥して経口製剤を得
た。
【0047】得られた経口製剤につき、実施例1と同様
にして苦みの評価試験を実施した。評価結果を表1に示
す。
【0048】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1で得られた粒子の粒度分布を示
す粒度分布図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水難溶性の生理活性物質を高分子物質で
    カプセル化した粒子に有機カルボン酸および金属水酸化
    物を含浸してなることを特徴とする経口製剤。
  2. 【請求項2】 前記高分子物質がポリビニルアセタール
    ジエチルアミノアセテートであり、有機カルボン酸がグ
    リシンであり、金属酸化物が水酸化ナトリウムである前
    記請求項1に記載の経口製剤。
  3. 【請求項3】 水難溶性の生理活性物質を高分子物質で
    カプセル化した粒子を有機カルボン酸および金属水酸化
    物を含有する緩衝液に含浸することを特徴とする経口製
    剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記高分子物質がポリビニルアセタール
    ジエチルアミノアセテートであり、有機カルボン酸がグ
    リシンであり、金属酸化物が水酸化ナトリウムである前
    記請求項3に記載の経口製剤の製造方法。
JP5389692A 1992-03-12 1992-03-12 経口製剤およびその製造方法 Withdrawn JPH05255073A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008515946A (ja) * 2004-10-12 2008-05-15 サンド・アクチエンゲゼルシヤフト 味マスキング医薬組成物
JP2008120767A (ja) * 2006-11-15 2008-05-29 Ebara Corp カプセルとその製造方法及び医薬

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JP2008515946A (ja) * 2004-10-12 2008-05-15 サンド・アクチエンゲゼルシヤフト 味マスキング医薬組成物
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