JPH05252598A - 頭外定位ヘッドホン受聴装置 - Google Patents

頭外定位ヘッドホン受聴装置

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JPH05252598A
JPH05252598A JP4049131A JP4913192A JPH05252598A JP H05252598 A JPH05252598 A JP H05252598A JP 4049131 A JP4049131 A JP 4049131A JP 4913192 A JP4913192 A JP 4913192A JP H05252598 A JPH05252598 A JP H05252598A
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Shinji Hayashi
伸二 林
Masaharu Shimada
正治 島田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 両耳ヘッドホンと音像定位フィルタを用いて
頭外に音像を定位させる頭外定位ヘッドホン受聴装置に
おいて、個人毎に空間インパルス情報,実耳ヘッドホン
レスポンス情報を測定しなければ、十分な頭外感,方向
定位感が得られないという困難を解消する。 【構成】 畳み込み演算部12を用いて空間の伝達特性
を模擬する音像定位フィルタを構成し、これに畳み込み
演算部12のフィルタ係数を設定するデータを予め少数
の典型的なフィルタ係数のセットととして記憶させてお
く空間インパルスレスポンス記憶部15とヘッドホン逆
インパルスレスポンス記憶部16を設ける。これらの記
憶部15,16のデータベースを用いて、特定利用者に
最適な音像定位フィルタを選択、生成する。これによ
り、利用者毎のレスポンス測定なしに、受聴者に十分な
頭外感,方向定位感が得られるようする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、両耳ヘッドホンと音像
定位フィルタを用いて頭外に音像を定位させる受聴装置
において、従来は個人毎に空間インパルス情報,実耳ヘ
ッドホンレスポンス情報を測定しなければ、十分な頭外
感,方向定位感が得られず実用にならないという困難を
解消する頭外定位ヘッドホン受聴装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般的なヘッドホンで受聴する場合、頭
内に音像が定位し、不快感や疲労感を与える問題があ
る。これを解消するものが、頭外に音像を定位させる方
式である。まず、頭外音像定位の原理を以下に説明す
る。
【0003】図4(イ),(ロ),(ハ)は、この発明
の基となる頭外音像定位の原理を説明した図である。図
4(イ)は、実空間中の音源位置から人間の両耳で音像
位置(定位)を認知する例を、図4(ロ)は、電気情報
信号によってラウドスピーカを音源として定位を認知す
る例を、図4(ハ)は、電気情報信号からヘッドホンを
通じて音源をスピーカ位置に定位させるため真の伝達関
数を模擬するフィルタを通して処理する例を示してい
る。図において、Source(s)は音源の音響信
号、または、その変換された電気信号、Space
(s)は音源から外耳道測定点までの空間伝達関数を示
すインパルスレスポンスのフーリエ変換、S(s)は音
像定位制御フィルタ、Sp(s)はラウドスピーカを用
いた仮想音源、H(s)はヘッドホンの電気入力から実
耳の外耳道内測定点までの特性、Presi(s),i
=1,2,3は外耳道内測定点の音圧を表す。これらの
記号中のsはs=ejwである。
【0004】実空間中で人が外耳道内測定点で受ける音
圧Pres1(s)は、Pres1(s)=Source
(s)*Space(s)である。実空間中のラウドス
ピーカを用いた仮想音源による音圧Pres2(s)
は、Source(s)を電気信号に変換するマイクロ
ホンの特性を理想的なものとすると、電気信号Sour
ce(s)は実空間中の音響信号と同一で、Pres2
(s)=Source(s)*Sp(s)*Space
(s)となる。通常、Sp(s)は、平坦な特性のもの
を用いるため、図4(イ),(ロ)のいずれの場合も音
源の位置に音像を感じることになる。図4(ハ)の場合
には、Pres3(s)=Source(s)*S
(s)*H(s)となる。S(s)は音像定位感の制御
を行うフィルタの伝達特性であり、S(s)=Spac
e(s)*H-1(s)とすれば、Pres1(s)=P
res3(s)となり、人はあたかも実空間で音源位置
から音が発されているかのように感じる。
【0005】Space(s)は、図4(ロ)におい
て、スピーカから広帯域雑音を発生し、元の雑音信号
と、測定点で収録した信号からクロススペクトラム法を
用いて求めることができる。H(s)は、ヘッドホンの
電気入力信号と、外耳道内の測定点で収録した信号か
ら、同様にクロススペクトラム法を用いて求められる。
ついで、H(s)の逆特性H-1(s)は、H(s)に零
点がなければ存在し、例えば、最小二乗法を用いて求め
ることができ、S(s)=Space(s)*H
-1(s)を得る。S(s)は、時間領域に逆変換し、イ
ンパルスレスポンスとして原信号に畳み込む。
【0006】畳み込みの演算を行う装置を図5に示す。
図5において、1は入力信号、2はA/D変換器、3は
右耳用畳み込み演算器、4は右耳用畳み込み演算器、
5,6はD/A変換器、7はヘッドホンである。A/D
変換器2,畳み込み演算器3,4,D/A変換器5,6
は図4の音像定位制御フィルタを構成している。入力信
号1はA/D変換器2でディジタル信号に変換され、畳
み込み演算器3と4に入力される。畳み込み演算器3,
4は、原信号に複数の1サンプル遅延素子Z-1が従属に
接続され、原信号および各遅延信号にフィルタ係数M1
〜MnまたはM1〜Mkが乗じられてその総和が出力され
るディジタルフィルタから成る。畳み込み演算器3,4
により原信号にインパルスレスポンスを畳み込まれた信
号は、右耳用ではD/A変換器5を介し、左耳用ではD
/A変換器6を介して、アナログ信号に変換されヘッド
ホン7へ出力される。この装置を用いることにより、ヘ
ッドホン7を介して外耳道中の測定点に図4(ロ)の場
合とほぼ同一の音波を発生させることができる。これに
より、人間はあたかも頭外のラウドスピーカから信号音
が発生しているかのように知覚し、一般的なヘッドホン
受聴時に感じる頭内音像定位と言う不快な問題が解決さ
れる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の頭人音像定位の技術では、Space(s),H
(s)は、いずれも使用者個人の頭音,外耳道形状等に
大きく影響されるため、この方式が性能を発揮するため
には、各使用者毎にレスポンス情報の測定を行う必要が
あった。測定には、図4(ロ),(ハ)において、So
urce(s)を発生すると同時にPres2(s)、
または、Pres3(s)を観測するシステムと、頭外
感を達成するに適した室内音響特性を有する測定室が必
要であった。このような測定はどこでも安価に行えるも
のではなく、また、専門の知識を有するオペレータを必
要とする欠点があった。これは、該方式の普及を妨げる
要因となっている。
【0008】本発明は、上記問題点を解消するためにな
されたものであり、その目的は、両耳ヘッドホンと音像
定位フィルタを用いて頭外に音像を定位させる頭外定位
ヘッドホン装置において、従来は個人毎に空間インパル
ス情報,実耳ヘッドホンレスポンス情報を測定しなけれ
ば、十分な頭外感,方向定位感が得られず実用にならな
いという困難を解消する頭外定位ヘッドホン受聴装置を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の頭外定位ヘッドホン受聴装置においては、
両耳ヘッドホンと、空間の伝達特性を模擬する音像定位
フィルタとを用いて音像を頭外に定位させる頭外定位ヘ
ッドホン受聴装置において、音像を発生させるために必
要な逆ヘッドホンレスポンスと空間レスポンスを畳み込
んだ結果からなる音像定位フィルタのフィルタ係数を、
選択してダウンロード可能にあらかじめ少数の典型的な
フィルタ係数のセットとして記憶しておく記憶部を備え
ることを特徴としている。
【0010】
【作用】本発明の頭外定位ヘッドホン受聴装置では、両
耳ヘッドホンで受聴したときの音像を頭外に定位させる
ために空間の伝達特性を模擬する音像定位フィルタのフ
ィルタ係数を、予め記憶部に記憶してあるフィルタ係数
のセットに関するデータベースを用いて選択してダウン
ロードし、特定利用者に最適な個人頭外音像定位フィル
タを容易に選択,生成させる。これにより、利用者毎の
レスポンス情報の測定なしに、受聴者に十分な頭外感,
方向定位感が容易に得られるようにしている。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳
細に説明する。
【0012】図1は本発明の第1の実施例の構成図を示
す。図中、11はA/D変換部、12は畳み込み演算
部、13はD/A変換部、14は音源記憶部、15は空
間インパルスレスポンス記憶部、16はヘッドホン逆イ
ンパルスレスポンス記憶部、17は入力の切り換えスイ
ッチである。A/D変換部11の入力は試験用音源に接
続されている。畳み込み演算部12は、左耳用畳み込み
演算部(l)12Lと、右耳用畳み込み演算部(r)1
2Rを備え、各出力は2チャンネルを持つD/A変換部
13の各チャンネルでアナログ信号に変換されて図略の
耳栓型やインナーイヤホン型を含む両耳ヘッドホンに出
力される。畳み込み演算部12の入力は切り替えスイッ
チ17を介して切り替えによりA/D変換部11のディ
ジタル変換出力または音源記憶部14の出力に接続可能
になっている。
【0013】図1の構成は、空間の伝達特性を模擬して
音像を頭外に音像を発生させるために必要な音像定位フ
ィルタ(逆ヘッドホンレスポンスと空間レスポンスを畳
み込んだ結果からなるフィルタ)を示している。本実施
例は、分類によって生成した音像定位フィルタを用いる
頭外定位ヘッドホン装置の実施例であり、記憶部15,
16を設け、その中に選択によりダウンロード可能に、
あらかじめ少数の典型的なフィルタ係数のセットをデー
タベースとして記憶させておくことを特徴としている。
記憶部15,16中のSoil(t)は正中面,左耳,i
番目のレスポンス、Soir(t)は正中面,右耳,i番
目のレスポンス、Sdil(t)は方向d,左耳,i番目
のレスポンス、H-1 i(t)はヘッドホンの逆特性のレ
スポンスを表している。図では省略しているが、このほ
かに方向d,右耳のレスポンスも含まれている。本実施
例の畳み込み演算部12L,12Rは、それぞれ図5の
畳み込み演算器3,4の構成と同様である。
【0014】本実施例において特徴的なものは、音像定
位フィルタの係数セットの記憶部15,16と、畳み込
み演算部12へのフィルタ係数のダウンロード機能であ
る。フィルタ係数セットの記憶部15,16には、音像
定位フィルタに関し、本人の頭部を用いた直接の測定を
行うことなく、多数の人に関してあらかじめ測定した空
間インパルスレスポンス、及び、実耳に装着したときの
ヘッドホンレスポンスから、例えば後記するような、特
定の使用者に適する個人頭外音像定位フィルタを選択,
生成することによりクラスタリングされた、音場空間の
各方向とヘッドホン逆特性の代表的インパルスレスポン
スが納められている。また、音源記憶部14には、方向
定位,頭外感の試験聴取に適した無響室録音の音声,音
楽が十数秒程度記録されている。
【0015】利用者は、本装置の使用に先立ち、試験用
音源を用いて、順次ダウンロードした音像定位フィルタ
の聴感を試みることができる。ダウンロードは、空間イ
ンパルスレスポンス記憶部15の畳み込み用データとヘ
ッドホン逆インパルスレスポンス記憶部16の畳み込み
用データを選択して、これらを乗じて畳み込み演算部1
2のフィルタ係数を設定することで行われる。それらの
試みの中で最も適した音像定位フィルタのインデックス
を登録すれば、以後最適な音像定位フィルタを使うこと
ができる。従って、本実施例によれば、利用者がインパ
ルスレスポンスの測定を行うことなく、それと等価な効
果を得ることができる。
【0016】以下に、本発明の原理と上記実施例におけ
る実施アルゴリズムを説明する。
【0017】まず、本発明の原理を説明する。音源から
外耳道測定点までの空間伝達関数Space(s)は、
室内音響特性,使用者の頭部伝達特性を含んでいるた
め、これらの条件に依存する。使用者の知覚にとって最
も重要なものは、使用者の頭部伝達特性の個人差である
ことが知られている。H(s)は、ヘッドホンを使用者
の外耳部に装着したときの電気音響変換特性であり、ヘ
ッドホン特性の個体差と、利用者の外耳道形状,容量,
鼓膜インピーダンス等による個人差を含むが、使用者の
知覚に重要なものは個人差であることが知られている。
【0018】すでに多数の利用者の、室内におけるSp
ace(s)、および、使用ヘッドホンの各個人に装着
時のH(s)は測定済みである。Space(s),H
(s)の測定法は、たとえば広帯域雑音を用いたクロス
スペクトル法により得ることができ、その方法は特願平
1−59942号「頭外定位ヘッドセット通話システ
ム」(林)に詳しく述べられているとおりである。
【0019】Space(s),H(s)の個人差は、
主に各個人の頭部周辺および、外耳道周辺の形状に依存
する。このため、各個人ごとにSpace(s),H
(s)を測定しなくても、利用者によく似た形状の被測
定者により測定したSpace(s),H(s)を選び
出すことができれば、使用者自信の測定は不要である。
【0020】Space(s),H(s)のデータベー
スから使用者に適するものを検索するためには、音源に
頭外定位フィルタを畳み込み、聴感上最も自然に頭外感
が得られるものを選べば良い。しかし、数百件に上るデ
ータベースから逐一聴感を試すことは能率が悪い。そこ
で、予めデータベース上のSpace(s),H(s)
を、それらの類似性を考慮して、かつ、個人差の分布を
すべて覆うように分類しておき、その中から選択するこ
ととする。この分類により、いくつかの代表的特性のみ
を記憶することで全特性を表わすことができ、また、最
適な特性を与える頭外定位フィルタの選択も容易とな
る。
【0021】次に、空間伝達特性の分類の方法を説明す
る。
【0022】ある個人iに関して測定した方向d(正面
を0、後方をπとする。ここでは、便宜上、水平面内の
方向で説明するが、3次元の全方向を考慮しても、処理
手順は全く同一である。)の空間インパルスレスポンス
をSldi(s),Srdi(s)とする。ここに、lは左耳
に達するレスポンス、rは右耳に達するレスポンスを表
す。レスポンスを次数nのFFT複素スペクトルで表す
と、2n点の情報が必要である。
【0023】次に最も単純な分類法を述べる。
【0024】ある個人のm個の方向の左右のレスポンス
を次数L=m*2(n+1)のベクトルとみなし、N人のベ
クトルを例えばLBG法によってk個のクラスタに分類
し、各クラスタのセントロイドを代表レスポンスとする
方法である。
【0025】LBG法では、L次元のベクトルN個を、
まず2つのクラスタに分割する。分割は、L次元のベク
トル空間上で最大の固有値を与える固有ベクトルに直交
し、セントロイドを通る超平面による。ただし、この分
割超平面は厳密である必要はなく、適当に定めても、こ
の後の逐次最適化処理により救済される。新たに得られ
た2つのクラスタで、それぞれセントロイドを求め、一
方のセントロイドにより近いベクトルをそのクラスタに
含まれるとする方法でクラスタを修正する。その修正後
のクラスタのセントロイドを改めて求める逐次処理によ
り、クラスタ分割を最適化する。最適化された新たなク
ラスタについて上記手順を繰り返すことにより、k個の
クラスタが得られる。LBG法によるクラスタ化手順
は、例えば文献[“John Makhoul,Sal
im Roucos,and Herbert Gis
h,“Vector Quantization in
Speech Coding”,Proceedin
g of the IEEE,Vol.73,No.1
1,Nov.1985”]に詳しい。
【0026】この方法は、インパルスレスポンスの物理
的特性と、知覚の関係を考慮せず、機械的にベクトルの
分布を距離尺度により分類する方法であるが、結果的に
は十分知覚に対応した分類が行われる性質がある。しか
し、一般にnは8ないし10程度であり、非常に次数の
高い(例えばm=4,n=8の時、L=8192)ベク
トルの距離を多数計算し、場合によっては固有値,固有
ベクトルの計算もするため、能率の良い方法ではない。
【0027】そこで、計算量とメモリ規模を現実的な値
に低下させるために、いくつかの方法がある。一つは、
時間領域で重要な部分のみを切りとって使う方法であ
る。これは、図2に示すインパルスレスポンス波形を例
にとると、波形全部をクラスタリングにかけることな
く、到達時間tと直接音付近の波形数十サンプルのみを
用いること、また、周波数領域で分解能を落とし、nが
5程度のFFTを使うことで実用的な規模の計算量とす
ることである。
【0028】他方は、距離方向の知覚に関連するパラメ
ータを抽出してからクラスタリングを行うもので、以下
に、その知覚との対応を考慮する方法の詳細を述べる。
【0029】人が音源の方向や距離を知覚する手がかり
は、方向により異なっていると考えられる。正中面に音
源がある場合、左右両耳に同一の波形が加わるため、方
向,距離の手がかりはパワスペクトラムである。パワス
ペクトラムはたとえば線形予測(LPC)分析法により
僅かなパラメータで表すことができ、知覚との対応が良
いと言われるLPCケプストラム係数を用いると、12
次程度の次数で十分である。
【0030】その計算法は、正中面のインパルスレスポ
ンスSloi(t)の自己相関係数から正規方程式を解
き、線形予測係数αj,j=0,…,Jを求めた後、z
領域の対数スペクトル性質を用いると、逐次、ケプスト
ラム係数cj,j=1,…jを得ることができる。この
方法は文献[古井貞煕「ディジタル音声処理」東海大学
出版会]に詳しい。一例として、N人の12次LPCケ
プストラムのベクトルデータを前述のLBG法により、
k個のクラスタに分類する。N=200,k=8として
も計算量はわずかである。ケプストラムをパラメータに
用いたのは、人の知覚がパワスペクトルのピークに敏感
である性質を配慮したものであるが、その他のLPCパ
ラメータである声道反射係数,対数面積比、あるいは、
線形予測係数等や、FFTパワスペクトルを用いてもク
ラスタリングが可能であり、それぞれ効果が得られるこ
とは言うまでもない。
【0031】斜め方向に音源がある場合、人は左右の耳
に加わるスペクトル,位相の差分に対して非常に敏感で
ある。音源が左方向にあるとき、Sdi(s)=S
rdi(s)/Sldi(s)は、左耳から右耳への伝達関数
とみなすことができ、Sdi(s)は、左右のスペクトル
のレベルと位相の差分を表している。Sdi(s)をクラ
スタリングすることにより、知覚に対応の良い分類が可
能である。パワスペクトルについては、Sdi(s)に対
して前項とまったく同様な処理を行えばよい。位相成分
は、比較的単調な関数となる性質があるため、n=5程
度のFFTスペクトルの位相成分を16次元のベクトル
とみなしてクラスタリングを行えば十分である。位相成
分のクラスタリングを最も単純化した場合は、左右の耳
への到着時間差を分類することになる。パワスペクト
ル,位相の差分のデータを併せて高々28次のベクトル
が得られたら、前記のクラスタリング手順を実行すれば
良い。
【0032】上記の手順により、たとえばN=200の
インパルスレスポンスデータがL=8にクラスリングさ
れ、正中面8種類、斜め方向8種類に分類される。受聴
者は、広帯域雑音や無響室録音の音声などの適当な音源
を畳み込み、各方向のフィルタを聴感により選択すれ
ば、僅かな手間で最適なフィルタを得ることができる。
方向ごとに異なったクラスタのフィルタが選ばれても使
用上何の支障もない。
【0033】次にヘッドホン特性の分類を説明する。
【0034】ヘッドホンの特性は音源の方向に無関係で
あり、また位相成分の個人差が大きな問題になることは
ないため、パワスペクトラムのクラスタリングを行えば
十分である。実際には、逆特性として利用されるが、元
のレスポンスでも逆特性でもクラスタリング上は同一に
扱い得る。正中面の空間スペクトルのクラスタリングの
項で示した方法をそのまま用いれば、200人のデータ
がk=8程度に、容易に分類される。得られたクラスタ
から個人に適するものを選ぶときは、空間レスポンスと
ヘッドホン逆レスポンスをあらかじめ畳み込んだフィル
タを用いるよりも別々に選択すればその試行回数はk*
kから2*kとなり合理的である。
【0035】次に、本発明の第2の実施例を図3により
説明する。
【0036】本実施例は、第1の実施例における記憶部
15,16に記憶するインパルスレスポンスの分類手順
の実施例を示すものであり、図3(イ)は斜め方向の空
間インパルスレスポンスのクラスタリング、図3(ロ)
は正中面方向の空間インパルスレスポンス、及び、ヘッ
ドホンレスポンスの分類を示す機能ブロック図である。
ヘッドホンのインパルスレスポンスはデータベースとし
てファイルに収録されている。正面方向の空間レスポン
スとヘッドホンレスポンスはLPC分析のみを行う。斜
め方向の空間レスポンスはLPC分析と、次数5程度の
粗い精度のFFTを行う。LPC分析の結果得られた線
形状予測係数αj,j=0,…,jを用いてケプストラ
ム係数Cj,j=0,…,jを得る。一方FFTの位相
成分としてpj,j=0,…,Jpを得る。jpは15
で十分である。正面方向の空間レスポンスとヘッドホン
レスポンスについては、ケプストラム係数のクラスタリ
ングを行う。斜め方向の空間レスポンスは、左右のケプ
ストラム係数の差分Cj=Clj−CrとFFTの位相成分
とを併せてクラスタリングする。ケプストラムは対数ス
ペクトルを表わすため、その差分を計算することは、周
波数領域の除算結果であるSdi(s)を時間領域に戻し
てからLPCケプストラムを求めるのと等価である。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の頭外定位
ヘッドホン受聴装置は、利用者本人の頭部と外耳周辺部
分を用いたインパルスレスポンスの測定を必要とせず、
頭外定位に必要なフィルタを既存のデータベースから生
成することができる。そのため、本発明の受聴装置を不
特性の利用者が用いる場合も、本人の頭部でインパルス
レスポンスを測定した場合と同様な性能で使用すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す分類によって生成
した頭外定位フィルタを用いた頭外定位ヘッドホン受聴
装置のブロック図
【図2】上記実施例の分類すべき空間インパルスレスポ
ンスの例を示す時間領域の波形図
【図3】インパルスレスポンスの分類手順の実施例を示
す手順図を示し、(イ)は斜め方向の空間インパルスレ
スポンスのクラスタリングの手順図、(ロ)は正中面方
向の空間インパルスレスポンス及びヘッドホンレスポン
スの分類手順図
【図4】本発明の基となる頭外定位の原理の説明図を示
し、(イ)は実空間で音源の定位を知覚する場合の説明
図、(ロ)はラウドスピーカから放射される仮想音源の
定位を知覚する場合の説明図、(ハ)はヘッドホン,音
像定位制御フィルタを用いて仮想の定位を知覚する場合
の説明図
【図5】基本的な畳み込み装置の構成図
【符号の説明】
11…A/D変換部 12…畳み込み演算部 13…D/A変換部 14…音源記憶部 15…空間インパルスレスポンス記憶部 16…ヘッドホン逆インパルスレスポンス記憶部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両耳ヘッドホンと、空間の伝達特性を模
    擬する音像定位フィルタとを用いて音像を頭外に定位さ
    せる頭外定位ヘッドホン受聴装置において、音像を発生
    させるために必要な逆ヘッドホンレスポンスと空間レス
    ポンスを畳み込んだ結果からなる音像定位フィルタのフ
    ィルタ係数の設定データを、選択してダウンロード可能
    にあらかじめ少数の典型的なフィルタ係数のセットとし
    て記憶しておく記憶部を備えることを特徴とする頭外定
    位ヘッドホン受聴装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の記憶部のフィルタ係数の
    セットが、個人音像定位フィルタを形成するために、多
    数の人のあらかじめ測定した空間インパルスレスポンス
    と実耳ヘッドホンレスポンスを人間の聴覚特性に対応す
    る特徴パラメータベクトルに変換した後、クラスタリン
    グを行って少数に縮約したデータであることを特徴とす
    る頭外定位ヘッドホン受聴装置。
JP4049131A 1992-03-06 1992-03-06 頭外定位ヘッドホン受聴装置 Expired - Fee Related JP2741817B2 (ja)

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