JP3805786B2 - バイノーラル信号合成と頭部伝達関数とその利用 - Google Patents

バイノーラル信号合成と頭部伝達関数とその利用 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、聴取者に対して恣意的に三次元に配置した音源から聴取者の外耳への音の伝達をシミュレーションする改良された方法と装置とに関する。特に、本発明は、ある頭部伝達関数(head-related transfer function)の新規な利用と、斯かる頭部伝達関数の生成及び頭部伝達関数利用する方法と装置とに関する。
発明の背景
人間は、自ら備わっている両耳聴音像定位能力を利用して三次元に広がっている音源を検知すると共に、その位置を感知している。
聴覚に対する入力は二つの信号から成り立っている。即ち、両耳におけるそれぞれの鼓膜に作用する音圧がそれである。これらの二つの音響信号はバイノーラル信号と呼ばれている。バイノーラルなる用語は、二つの信号が一組になって聴覚に対する入力となっていることを意味する。聴覚が音源までの距離と方向の情報をどうやって識別しているかについては、いまなお完全に解明されていない。手がかりになるものとして、音色、両耳間での時間差(interaural time difference)、内耳での位相差、内耳でのレベル差などが挙げられる。方向性聴覚について手がかりになる徹底した説明は、1974年にドイツ国シュットガルトのHirzel Verlag社から出版されているJ. Blauert著の「Raeumliches Hoeren」や、1983年にマサチューセッツ州ゲンブリッジのMITプレス社から出版されている「Spatial Hearing」で論じられている。
これは、鼓膜での音圧が特定の空間音場により生成されるのと同じように生成されるのであれば、聴取者は、このように生成された音を空間音場におかれた場合に経験する音と区別することができないことを意味する。
この理想的な音再生状況にアプローチする公知の一方法には、人工頭部記録法(artificial head recording technique)がある。人工頭部とは、人間の頭部のモデルであって、体、肩、頭、耳など体型分布について音響学的な立場から適切な人間の幾何学的造影をできるだけ正確にモデル化したものである。例えばコンサートの記録時に、人工頭の両外耳にマイクを配置して音圧を検出して、マイクからの電気出力信号を記録する。
例えばヘッドホンでこれらの信号を再生すると、コンサート時での人工頭の外耳における音圧が聴取者の外耳で再生され、それにより聴取者はコンサートホールでコンサートを聴取している感じを得ることになる。ヘッドホンで再生する信号もバイノーラル信号と呼ばれている。
バイノーラル信号なる用語は、左右の二つの信号の一組を意味し、例えば聴取者の左外耳と右外耳の如くの、人間たる聴取者の両耳への伝達に対応する伝達特性を利用してコード化されている。
バイノーラル信号は、電気信号であるのが通常ではあるが、例えば光学信号とか、電磁波信号、直接もしくは間接的に人間の左右耳への音信号に変換できるその他の信号になっていることもある。
聴取者の左右耳に対して所定の方向に所定の距離だけ隔てたところにある音源から伝播する音波の伝達は、左耳用と右耳用との二つの伝達関数で説明されており、この伝達関数には、音色、両耳間での時間差、内耳でのスペクトル差の如くのリニア歪み(linear distortion)が含まれている。これらの伝達関数は、聴取者の耳に対する音源の方向と距離とに応じて変わる。方向と距離とがどうであろうともこれらの伝達関数を測定して、例えばフィルターを利用するとか、電子的にこれらの伝達関数をシミュレーションすることは可能である。斯かるフィルターを、例えばテープレコーダーの如きの再生装置と聴取者が利用するヘッドホンとの間の音路(sound path)に介在させると、聴取者は、耳において音圧が忠実に再生されていることからヘッドホンから聞こえる音が、フィルターの伝達関数で定まる距離と方向に配置された音源から発生しているものと感じることができる。
このような左耳用と右耳用の伝達関数の一組は、頭部伝達関数(Head-related Transfer Function(HTF))と呼称されている。各伝達関数は、基準に対する外耳PL(左耳)又はPR(右耳)における、或いはそれに近接する平面波(Plane wave)により発生する音圧pの比として表されている。ここでの基準とは伝統的に、頭の中間部(middle of the head)ではあるが、聴取者がいないときに平面波により発生する音圧P1が選ばれている。周波数領域では、このHTFは下式で表されている。
L=PL/P1、HR=PR/P1・・・・・・・・・・(1)
ここでのLは左耳を、Rは右耳を表す。HTFの逆フーリェ変換である時間領域表現(time domain representation)ないしHTFの表現(description)は、時折、頭部インパルス応答(HIR)と呼ばれている。従って、HTFの時間領域表現(time domain description)は、左耳用と右耳用との二つのインパルス応答の一組であり、各インパルス応答は、周波数領域におけるHTFの一組の伝達関数の内の対、応する伝達関数の逆フーリェ変換である。
HTFは、聴取者に対する平面波の入射角度に応じて変わる。頭の周囲での分散(diffraction around the head)、肩からの反響、外耳での反響などを含む聴取者の耳への音の伝わりを完全に表現している。
式(1)で表されている定義は、1974年にドイツ国シュットガルトのHirzel Verlag社から出版されているJ. Blauert著の「Raeumliches Hoeren」において説明されている。
バイノーラル法についての教本は、応用音響学No. 3/4, pp. 171-218, Vol. 36, 1992におけるHenrik Moller著の「Fundamentals of Binaural Technology(バイノーラル法の基礎)」に掲載されている。
前述したように、バイノーラル信号は、人工頭再生記録法を用いて生成することができるが、その際の人工頭は被験者に置換することもできる。
別の方法としては、例えばアナログフィルターやデジタルフィルター、信号処理器、コンピューターなどの如くの、人間の外耳へ擬似的に音を伝達する手段によってもバイノーラル信号を生成することができる。
米国特許第3,920,904号には、複数のスピーカーに印加する電気信号に応答して所定の音響環境おいて聴取者の鼓膜で生成される音圧に対応する音圧をヘッドホンを介して聴取者の鼓膜で生成する方法にして、聴取者に対してスピーカーの位置に対応するHTFを測定し、アナログ電子フィルターでHTFをシミュレーションする方法が開示されている。
HTFの測定はないが、指向性聴覚に対する特有な手がかり(cue)についての知識の基づいた別の手法を利用してシミュレーション用フィルターを構成することは可能だと言われている。そのような手法は米国特許第4,817,149号に開示されており、この特許では、スペクトルのバイアス、ノッチフィルターによる高揚、それに二つのチャンネル間での時間シフトによりフロント/バックキュー(front/back cue)が生成されている。
発明の簡単な開示
本発明は、バイノーラル法の分野での集中的な研究に基づくものであって、高品質のHTF及びバイノーラル法についての幾つかの改良、HTFが使われている他の技法を提供するものである。
従って、本発明は、その中でも、HTFの新規で改良された測定方法と、新規で改良されたHTF、並びに、HTFを処理する新規で改良された方法、聴取者が知覚する音源の方向を変える、或いは維持する新規な方法、そして最も重要な利用方法の一つとして、バイノーラル信号合成の新規な方法を提供している。
本発明の目的は、人ごとのHTFの周波数領域におけるゲイン間の差が非常に小さいか、又は、HTFの対応する時間領域表現(time domain description)間の差が非常に小さいHTFを提供することにある。本発明者らは、複数の方向と、各人の外耳における複数の異なった測定点、即ち、外耳の内部や外耳への入口近傍などの測定点について複数の人ごとのHTFの多大な研究を行った。この研究時に本発明者らは、時間領域表現は驚くほど短く、また、個人差も驚くほど小さいHTFが測定できるか、それとも構成できるように測定方法を改良した。
本発明によれば、音源から聴取者の外耳への音の伝達のシミュレーションに用いる電子フィルターの設計や、例えば人工頭で最適品質の記録が達成できるとか人工頭が人を最もよく再現できるようにするために、人工頭のHTFが本発明のHTFにできるだけ近似する人工頭の設計の如きの、音の測定ないし再生に関する用途で実施しうる際立った特徴を有する一群のHTF提供されている。
また、本発明は、聴取者に対する音源の各方向ごとに、例えば人工頭の設計や信号処理手段の設計の如きの異なった用途での設計目標として利用できる、一群の人達の人間HTFを表す機能を抽出する、或いは構成する方法を提供している。更にまた、本発明は、異なった方向に対応する伝達関数に基づいて仮想音源の仮想距離と方向とが生成できる新規な内挿方法を提供している。
発明の詳細な開示
ある一面における本発明は、頭部伝達関数(HTF)の左耳部と右耳部とをシミュレーションするように構成された、二個を一組とするフィルターを少なくとも一組用いて少なくとも一つの音響入力をろ波することによりバイノーラル信号を生成する方法であって、下記特徴(a)〜(c)の内の少なくとも一つの特徴を有してなる方法に関する。
(a)1kHzから8kHzまでの周波数間隔の少なくとも大部分に亙って、対象問でのデシベルで表される振幅の標準偏差が、図22に示した曲線の少なくとも一つにつき大きくても図22に示すとおりとなるように決められたHTFをバイノーラル信号の対象となる大勢の人達の個人群ために一般に用いること、
(b)HTFをシミュレートしているフィルターの伝達関数の時間領域表現の持続時間が多くても2msであること、及び、
(c)HTFをシミュレートしているフィルターの伝達関数の周波数領域表現の0Hzにおける値が0.316から3.16の範囲内であること。
特徴(a)について:
本発明の重要な面は、バイノーラル信号合成に「汎用」HTFを用いるところにある。ここでの「汎用(general)」なる用語は、聴取者のHTFとは通常異なるが、聴取者をして、高品質の再生音を高品質にて聴取でき、しかも、仮想音源を明確に同定できる「汎用」HTFを用いてバイノーラル信号を生成することが可能となった非常に好ましい事実を指している。「汎用」HTFないし一組の「汎用」HTFは、特定の音響入射角度(angle of sound incidence)についての各個人ごとのHTFもしくは個人のグループごとの一組のHTFを意味するものとすることができ、1kHzから8kHzまでの周波数間隔の少なくとも大部分に亙って、対象間でのデシベルで表される振幅の標準偏差が、図22から図24に示した曲線の少なくとも一つにつき大きくても当該図に示すとおりとなるように決められている。この場合での「周波数間隔の少なくとも大部分に亙って」なる表現は、図22から図24に示した対数表示において、標準偏差が大きくても、その対数表示で見られるように周波数間隔の大部分に亙って当該周波数での曲線の値と同一値であることを示している。換言すれば、1kHzから8kHzの周波数範囲を表すX軸(ミメートル)の少なくとも51%に亙って、標準偏差が該当する曲線で表される値よりも小さいか、又はそれと同一値となるように条件をコンプライする。この定義は、標準偏差がこれらの図にも示されている100Hzから1kHzの範囲における曲線値よりも大きいことを意味するものではなく、むしろ曲線値よりも常に、殆ど常に小さいか、大きくても曲線値と同一であるが、それよりこの定義は、「汎用」性(generality)からして一層大切である1kHzから8kHzの範囲における曲線の部分に焦点を当てている。言うまでもないことではあるが、周波数範囲が例えば少なくとも75%或いは少なくとも90%とかの効率を超え条件を満たすのが望ましく、ここで説明する如く全ての周波数において条件を満たすがより望ましいが、前述のように定義づけた最も緩やかな条件(least stringent condition)が高度の汎用性を示すことになる。
図22から図24及びそれに関連する説明から明らかなように、特に音響入射角度が最も重要な値にあると対象間で極端に小さい変化を得ることができる。と言うことは、HTFを用いる種々の目的全般にわたって「汎用」高品質HTFを利用することができ、従って、HTFと、バイノーラル法、特にバイノーラル信号合成の如くのHTFと関係のある技法の商業ベースでの有用性を著しく向上させている。
人間は解剖学的に個人差が大きく、しかもその中でも人間のHTFは頭部や耳介での分散作用(diffraction)や反響作用及び外耳での伝達特性により定まることから、HTFは各人ごと異なっていることは直感的に理解されるところである。従来ではこれらの差は非常に大きいものと考えられている。聴取者ではなくて別の人からHTFを用いてバイノーラル信号を生成する実験を行ったところ、聴取者による聴取結果は、原因としては種々あるものの、その中でもバイノーラル信号から仮想音源を同定する能力が減少したことから芳しいものではなかった。従って、従来では各個人ごとのHTFの変動は、異なった聴取者について一組のHTFを用いることが重要な条件であると考えられている。例えば、J. Acoust. Soc. Am. (米国音響学会機関誌)Vol. 85(2), pp. 858-879, 1989に掲載されているF.L. WightmanとD. Kistlerによる「Headphone Simulation of Free-Field Listening, I: Stimulus Synthesis, II: Psychoacoustical Validation(自由音場聴取でのヘッドホンシミュレーション I:刺激合成 II:音響心理学的有効性)においては、「頭の大きさと耳介の形とが一定とすると、音源位置が同一の場合ではHRTFの個人間での変動は相当なものと期待される。このHRTFの変動は以前に(1966年Shaw)報告されており、我々のデータでも顕著に現れている。…第3図は、対象間でのHRTFの変動が、7kHz〜10kHzの間でほぼ8デシベルのピーク値に達するまで周波数に応じて増大している。」と報告されている。ここで報告されているデータは1/3オクターブのノイズ帯域値である。
しかし、本発明の重要な成果は、HTFの実地での利用において充分な品質を達成するためにはHTFを個々のユーザーに適応すべきであるとの従来より広く考えられているのとは異なって、関数HTF(A)が殆ど全てのユーザーによる切羽詰まった品質上の要求に応えるように対応する人間のHTF(individual HTF)に近似するHTFを特定音響入射角度ごとに生成もしくは求めることができることが判明したところにある。実地ではこのことは、本発明によりHTF(A)を利用すれば、殆ど全ての利用環境で一層高品質を得ることができ、従って汎用改良(general improvement)が達成できることを意味する。このことについては後ほどに図8を参照した説明で詳述する。
HTF(A)が対応する人間のHTFに近似することができる、別の言葉で表せば、小さい標準偏差で求められる一群のHTFの一部となることができることは、図22から図24について前述した条件で定量的に説明できる。HTFは、標準偏差が図22の適切な曲線の内の少なくとも一つに対して大きくても図22に示したようなものであれば、汎用性の品質を有するものと見なすことができる。例えば米国宇宙飛行士や北欧の若者、或いは一般の個人群(population)の如くの、バイノーラル信号合成の成果をさし向ける、もしくは主としてさし向ける聴衆に対して図22の基準を満たしたHTFの特性は、
第3オクターブのノイズにつきデシベルで表されるHTFの振幅と
第3オクターブのノイズにつきデシベルで表される、恣意的に選ばれた一群の人間のHTFの振幅であって、大きくても図8に示した第3オクターブ周波数の大部分につき図8に示した標準偏差の2.2倍、好ましくは図8に示した標準偏差の1.4倍、更に好ましくは1.2倍、もっと好ましくは図8に示した標準偏差の1.1倍である振幅
との差の自乗の平均の平方根で表すこともできる。
HTFが「汎用性」の品質を満たしているかどうかを評価するに当たっては、当該HTFと比較すべき(個人群の中からの代表数の個人の)人間のHTFを、特定音響入射角度と特定距離、HTFの特定基準点、特定姿勢などについて測定して求めるが、その際、繰り返す測定の間での振幅(デシベル)の標準偏差で表される測定の繰返し性が大きくても図8に示した標準偏差の1/2倍となるようにして測定する。この評価で、HTFの元の測定で用いた、或いはシミュレートすべきHTFの音響入射角度、基準点、姿勢などに対応するそれらのパラメーターが得られるのであれば、最も適切であると同時に価値のあることである。後述の説明では、汎用性の基準を満たすようにHTFを測定ないし構築する特定の方法を沢山説明しているが、前述の評価方法は特定の用途におけるHTFの適切さを判定する、又は、特定の用途で用いるHTFが本発明の範囲に含まれるかどうかを判定する一般的な方法であるといえる。
図22に示した基準を部分的もしくは全て満たすことはHTFの汎用性の基本的な要件ではあるが、HTFは、複数の曲線の内の少なくとも一つについて、図23に示したより厳格な基準を満たす、又は、複数の曲線の内の少なくとも一つについて図24に示した更により厳格な基準を満たすのが望ましい。1/3オクターブ測定に関する曲線が純音よりも低いところにおかれている理由は、1/3オクターブ曲線が周波数平均であるからである。図22の基準と同様に、図23と図24で定まる漸次増加する厳格さ(stringency)の各レベルにおいて、HTFがその図に示した適切な曲線の内の少なくとも一つの基準を満たすようになっているのが望ましいのは容易に理解されるところである。
また、前述の条件ないし基準は広範囲の個人群に対する「汎用」HTFを定めるものではあるが、本発明における意味での個人群を構成するある明確な基準がって、その基準は耳の解剖学上所見や個人群の解剖学的特徴に関連しているのが理解されよう。従って、一群の大人について求めた一組のHTFは、幼児の個人群のHTFとしては最適ではなく、「汎用」ではないものと仮定している。しかし、前述したように特定の個人群に対する汎用性基準は、図22の基準、好ましくは図23の基準、更に好ましくは図24の基準が問題の個人群に対して満たされるのが判明しているから、即ち、前述の評価が問題の個人群の中の代表集団(人数とバリエーションについて)、例えば個人群の内の25人、好ましくはそれより多い人達について行った場合に、これで本発明に不確実性がもたらされるようなことはない。
特徴(b)について:
本発明によれば、品質を著しく損なわずにバイノーラル信号合成で用いる高品質HTF、即ち、高品質HIRの時間領域表現(time domain representation)の持続期間を2ms下それ以下に減少できると判明したのは驚くべきことである。これにより、HTFをシミュレートしているときのコンピューターのパワー要求量を著しく減少させることができる。バイノーラル信号を生成しているときに、音響入力信号は一般にHIRによりたたみ込まれてしまう(convoluted)。「HTFの時間領域表現の持続時間」とは、「HIRの持続時間」と等価であり、音響入力信号のたたみ込み(convolution)に用いたHIRのその部分の時間長を意味する。HTFの時間領域表現の持続時間の減少、即ち、HIRの持続時間の減少とは、HIRのより短い部分が音響入力信号のたたみ込みに使われている事実を指している。本発明により短いHTF(又はHIR)が提供されているから、デジタルフィルターで実現される高品質HTFは標準的な(moderate)計算機類(computing resource)により取り扱われるようになっている。従来より報告されているHTFの時間領域表現は2.9msか、それ以上となっている。頭部インパルス応答性の持続時間を評価する場合では、その周波数応答性を研究するのが重要である。明らかに短いパルスは、それを打ち切ると(truncation)、インパルスにはより長い時間に亙って重要な情報を含んでいることから受け入れがたいほど、その周波数応答性を変えてしまうので、数ミリ秒以下に打ち切ることはできない。このことは本明細書で説明する如く求めた、或いは図9と図10とを参照して後述する本発明による基準を満たしている高品質インパルスには該当しないことも判明している。
本発明者らにより得られたHTFの品質は、得られたHTFを打ち切ったものをバイノーラル信号合成に用いる実験で立証されている。パネリストとしての聴取者が同一HTFの打ち切ったものと、打ち切っていないものとにそれぞれ基づく再生音を比較したところ、本発明者らにより得られたHTFは前述の持続時間に打ち切っても、聴取者が聴覚的に感じる印象が損なわれないのが判明した。この時のリスニング試験は、三肢択一強制選択であった。この意味での本発明においては、この種の試験は、あらゆるHTFの打ち切り性(truncatability)を評価するの利用できる一般的な試験であると理解されよう。
一般的な定義に従えば適切でないHTFであるある短いインパルスについての開示が文献でなされている。例えば、外耳における圧力pがp1で割れない伝達関数が報告されており、この場合での測定はHTFの測定ではなく、スピーカーとHTFの組み合わさった伝達関数の測定である。
2msの持続時間のHTFを用いることは本発明に特有なものと信ずるが、例えば長くとも1.5msかそれ以下、例えば長くとも1.2msか1ms、或いは長くとも0.9msないし0.75ms、又は長くとも0.5msの如くのもっと短いHTFの部分を利用することもできるのが判明している。
そのような短いHTFを利用する場合に通常従わなければならない基準は、特徴(c)について後述する如くのその直流値に関するある要件を満たさなければならないと言うことである。直流の調節を行わなくても前述した如くのできるだけ短いHTFを利用することも可能ではあるが、本発明者らが慣習的な対策として好んでいる通常の注意事項としては、特徴(c)に関して説明されているところに従って短いHTFの直流値を調節することである。
特徴(c)について:
この特徴によれば、HTFの周波数領域表現のゼロ周波数における値は0.316から3.16、好ましくは0.7から1.4の範囲の如くの0.5から2、より好ましくは0.9から1.1の範囲の如くの0.8から1.2、更により好ましくは0.5から1.05の範囲にあり、1.0に設定するのが最適である。
本発明以前では、HTFの周波数領域表現のゼロ周波数における値(HTFの直流値)は、従来注意を引くようなことはなかった、或いはあまり注目されるようなことはなかった。しかし、本発明者らによる研究開発により、直流値がHTFの周波数領域表現に著しい影響があって、HTFを音の再生に用いると音の調子の如くの音質に影響があると分かった。
HTFを測定したところ、音響トランスジューサーが静的音圧を発生できないのでHTFの直流値の測定は不可能であった。従って、測定直流値は、測定用増幅器の直流オフセット値の如くの時として正確に制御できない測定装置(measurement set-up)の二次的特性に関係しており、測定中のHTFには関係しない。
HTFの理論直流値は、聴取者の存在により静的音圧が変化するようなことはないから1である。また、低周波数では頭を中心とする音の分散(diffraction)は起こらず、従って、異なった場所での音圧は低周波数にあっては同一となる傾向がある。1以外の値を測定することは、HTFの時間領域表現に定数を加えること、或いは、特に低周波数において周波数応答の出現が著しく変わり、そのためにHTFをバイノーラル信号合成に用いると音質を変えてしまうHTFの周波数領域表現に正弦関数を加えることに対応する。このことについては図11と図12を参照しながら詳述する。
よって、本発明によれば、測定HTFの直流値は、HTFの周波数領域表現において直接、又は、定数をHTFの時間領域表現に加えることにより、0.316から3.16、好ましくは0.7から1.4の範囲の如くの0.5から2、より好ましくは0.9から1.1の範囲の如くの0.8から1.2、更により好ましくは0.5から1.05の範囲にあり、理想的には1となるようにしている。
更に、HTFの正確な値の適切な範囲内に直流値を調節する方法は、最低周波数の値とゼロヘルツとの範囲内にある測定したHTFの周波数値がこれらの値の間に内挿される利点があり、直流値の調節を行わない場合では外挿法を用いるべきであり、この外挿法によりあまり正確でない、場合によっては非常に乏しい成果しか得られない。
本発明の方法の幾つかの用途においては、複数の音源をシミュレートするのが望ましく、そのために方法の実用的な実施の態様では、少なくとも一つの音響入力を、頭部伝達関数(HTF)の左耳部と右耳部とをそれぞれシミュレートするように構成された二個のフィルターを一組とする少なくとの二組のフィルターで、或いは、頭部伝達関数(HTF)の左耳部と右耳部とをそれぞれシミュレートするように構成された二個のフィルターを一組とする少なくと三組のフィルターで、同様にして四組のフィルター、五組のフィルターなどでろ波している。
後述の説明では、本発明者らによりHTFの測定と生成の何れか一方、又は両方に価値あると判明された幾つかの対処を論じている。そこから分かるように、これらの対処方及びその組合せにより、従来では実現できなかったと思われる品質のHTFが得られ、幾つかの音響入射角度についての斯かるHTFの幾つかをここで、特に図面で開示している。本発明者らはこれらのHTFとその組合せは、HTFの測定と構築の何れか一方、ないし両方に対する新規な対処方が本発明の一部を構成しているのと同様に、それ自体が新規性を有しているものと確信している。後で判明するように、これらのHTFは、前述の特徴(a)〜(c)を呈するものであり、従って、それを利用すること本発明のバイノーラル信号合成についての好ましい実施の態様を構成している。しかし、本発明はこれらのHTFの利用、もしくは、ここに開示する特別な技法により測定ないし構築されるHTFに限定されるべきものではなく、HTFが如何に測定されようとも、また構築されようとも、本発明で定める特徴を呈する限り、HTFそのもの及びHTFの組合せの新規な用法をも含むものであることが理解されよう。
前述の教本において説明されていると共に、米国音響学会ジャーナルの1994年12月号に掲載されているHammershoiとMollerによる「Sound Transmission to and within the Human Ear Canal(人間の外耳での音響伝達作用)」で説明されているように、本発明者らによる研究開発で、外耳におけるある部位から別の部位への音響伝達作用は音響入射角度とは関係がないと判明している。このことから、完全に指向性のある情報が存在する部位の物理的位置は鼓膜から外耳道入口までのどこかに選定することができる。恐らくは、外耳道から数ミリ外側の部位や、それと並んだ部位を利用することもできるだろう。また、完全に指向性のある情報が塞いだ外耳道の入口に存在することも判明している。更に、本発明者らは、異なった人間の鼓膜への音響伝達作用の個人差の大部分は、外耳道に沿った音響伝達作用の個人差によるものと発見した。従って、本発明者らは、完全な指向性を有する情報が塞がった外耳の入口に存在し、異なった人のHTFの個人差はこの部位では最小と見積もっているので、塞がった外耳の入口においてHTFを測定するのを現に好んでいる。
本発明者らによる研究では、塞がった外耳道への入口における測定値は、塞がった外耳道への入口で測定したHTFは音響伝達の残りの部分となんら関係がないことが統計上はっきりしているので、鼓膜までの音響伝達の残りの部分には関係はない。本発明者らによれば、例えば解放外耳道の入口の如くの耳の他の部位での測定値でこの品質を保てないのは明らかである。
塞がった外耳道への入口で測定すれば、測定値間の標準偏差を減少させることができるのが以前から分かっていたが、幾つかある中でもこの対処方を利用することにより、従来の高品質バイノーラル信号合成で必要と信じられていた個人方法(individual approach)とは違って、個人群に現実的に有用な「汎用」HTFに達することが可能であるとの前述の驚くべき認識は、新規なものであり重要なものである。
塞いだ外耳道への入口における音圧の測定は、その部位にマイクを装着させるのが比較的に容易に行える利点を備えている。本発明者らは、耳栓とマイクとを一体化するのを望ましいものとしている。
従って、本発明の好ましい実施の態様によれば、一つ又は複数のHTFの基準点を、塞いだ外耳道への入口、又はその近傍に設定している。
基準点(測定用マイクを配置する個所)は外耳道の外側であってもよく、又は、外耳道の内側であってもよい。この基準点は通常、塞いだ外耳道への入口から遠くとも0.8センチのところである。好ましくは、塞いだ外耳道への入口から遠くとも0.6センチのところ、もっと好ましくは塞いだ外耳道への入口から遠くとも0.3センチ、理想的には入口のところである。一般に、外耳道の閉塞は、従来の耳栓、好ましくは外耳道において膨張して外耳道内を完全に塞ぐ圧縮自在発砲プラスチック材の耳栓を挿入することによりこれを行う。
前述したように、本発明は、HTFの測定理論及び測定条件の幾つかの品質改良をなしたものである。これらの改良点は本発明による新規なHTFの品質と有用性に反映されている。従って、本発明の一面は、下記の対処方法(a)〜(h)の内の少なくとも一つを用いて確立したHTFの利用に関するものである。
(a) 空間に配置した音源からの音圧p2を、人又は人工頭の塞いだ外耳道への入口又はその近傍で測定していること、
(b) 音源からの音圧p1を、被験者ないし人工頭が居合わせていないときに、その被験者又は人工頭の両耳の間の位置で測定していること、
(c) HTFの周波数領域表示(frequency domain description)が、p2の周波数領域表示をp1の周波数領域表示で割り、必要に応じて低域ろ波することにより算出されていること、
(d) HTFの時間領域表示(time domain description)が、周波数領域表示の逆フーリェ変換で得られていること、
(e) 被験者又は人工頭に対する特定の方向につき、HTFの左耳部と右耳部とが同時に測定されていること、
(f) HTFの測定時に被験者が居合わせていること、
(g) 被験者の頭の位置がHTFの測定時と、正確な位置とは違った頭の位置を無視して行うHTFの測定時の何れか一方、又は両方において変化していないことを保証するために、当該被験者が例えばビデオとかの視覚手段によりモニターされていること、
(h) 被験者自身が、例えば鏡やビデオモニターなどにより自分の頭の位置をモニターして、HTF測定時に正しい位置に頭を保持していること、及び
(i) HTFの測定が長くとも5秒、好ましくは長くとも3秒、より好ましくはL5秒の如くの長くとも2秒に亙り無響室にて行われていること。
幾つかの従来例では、HTFは無響室で測定されており、その測定は音源としてスピーカーを用いて無響室に音場を醸し出した上で、先ずp2を、そしてその後にp1、又はその逆を周波数ごとに測定している。測定後にp2をp1で割ることによりHTFが得られるようになっている。しかし、この方法ではHTFのゲインが得られるのみであって、位相については不明のままである。
ある公知文献には、p1の測定を含まないHTF測定方法が開示されている。これは、そこで開示されているHTFは実際のHTFではなくて、用いたスピーカーの伝達関数を当該スピーカーから音圧測定位置までの音圧の伝達と組み合わさった伝達関数を表していることを意味する。この組合せ伝達関数をバイノーラル音響信号の再生に用いた場合、聴取者が聞く再生音はそのスピーカーから演奏されているものと感じられることになる。
従って、音源が醸し出す音圧p1を被験者が居合わせていない状態で被験者の両耳の間の位置で測定すると共に、HTFの周波数及び時間領域表現を前述のように生成するのが本発明の重要な課題である。
必要に応じて行う低域ろ波は、主にスピーカーとマイクと測定装置におけるアンチエイリアシングフィルターの周波数特性で定まるサンプリング周波数の半分に近似する周波数において得られる比較的低い測定値による影響を避けるために行なう。この周波数域での二つの音圧を割れば、次段で低域ろ波を行わないとすれば、HTFの周波数領域表現に著しいピークと谷が生ずる。
二つのHTF(左耳用と右耳用)を同時に測定すれば、被験者ないし人工頭の位置と向きとが、HTFの測定間で変化しない、或いは、HTFの測定値の時間基準が同一となるようにすることができる。
聴取者の左耳と右耳とに特定音源からの音圧が達するまでの時間差は、聴音像定位の上で最も重要なパラメーターの一つである。このパラメーター、即ち、両耳間時間差を正確に求めることは非常に重要である。HTFの測定が両耳について同時に行えないのであれば、被験者の両耳は二回に亙る測定次にミリ単位で同一位置に保たれていなければならない。例えば、被験者の頭が1センチ動くと、これは30マイクロ秒の時間差に相当することになり、この程度の両耳間時間差の測定の不確実性でHTFの品質が著しく影響を受けるのが通常である。従って、本発明者らは、両耳についてHTFを同時に測定する一層実用的で、正確な解決方法を選んでいる。
HTFの測定を行う場合、従来例では、被験者を確固に支えることができ、従って、測定中に頭部を定位置保つことができることから、測定時には被験者を着座させているのが最も普通であった。しかし、このような方法には、膝からの反響でインパルス応答が長引く問題がある。本発明者らは、被験者が着座していたとしても、また立っていたとしても、その被験者の両耳聴音像定位能力には差はないとの一般に理解されていることに逆らうものは見いだせなかったので、できるだけ短いインパルス応答を得るために測定時には被験者を立たせるようにしていた。しかし、そのためには被験者の姿勢を確実に支える必要があると共に、支持手段からの反響を避けることも同時に必要である。
図6に示したように、鈍感部(lumber region)に被験者を支え、その際に用いた支持体が反響を起こさないようにしている。また、測定時間を非常に短くして、測定中に頭を動かさないようにとの被験者の努力を和らげている。測定時間は1.5秒で、これでS/N比と測定時間とを最適に選ぶことができる。
更に、例えばビデオとかの視覚手段で被験者をモニターするのが望ましく、そうすることにより、HTF測定時に被験者の頭の位置が変わらなかったことを確かめることができる。HTF測定時に被験者の頭が動いたのが検出されると、その時の測定値は無効にするのが望ましい。
測定時に頭を定位置に保つように被験者を助けるためには、被験者が測定中に頭を正しい位置に保っているかどうかを自らモニターできるようにビデオモニターを試験測定機に含ませるのが望ましい。
一群の被験者について、当該被験者に対する複数の方向からの一群の音源を用いてHTFを測定すると、特定の方向についてはその方向に対応する測定HTF値を表すHTFを生成することができるようになる。
これを行う一方法としては、直流値を前述の範囲に調節した後のHTF(A)として測定された複数のHTFの内の一つを選定することである。
選ばれたHTF(A)は、これを音の再生に用いた場合、例えば後述のように選ばれたHTF(A)に対応する伝達関数のフィルターを介して録音されている音を再生すると、大抵の人には高品質の音が聴取できるようなものでなければならない。
本発明の一面は、人又は人工頭からなる少なくとも二つの試験対象について、前述した幾つかの方法のどれかに従って得られたHTF(B)から、バイノーラル信号合成に用いると、試験パネリストが聴取すると問題の方向における音源を実際に聴取したのと高度に似た印象が得られるようなHTFを選択することにより得たHTF(A)に関する。このような試験については以下に詳述する。
本発明のもう一つの面は、人又は人工頭からなる少なくとも二つの試験対象について、前述した幾つかの方法のどれかに従って得られたHTF(B)から、例えば周波数ないし時間領域で客観的に説明すると、個人群における個人のHTFと高度な類似性を呈するHTFを選択することにより得られるHTF(A)に関する。この面についても、後ほどに詳述する。特定の方向に関しての一つの基準は、該当するHTFと測定した他のHTFとの間の差の和が最小となるHTF(A)としてHTFを選択することが挙げられる。この差は、対応するHTFの二つの測定値間での差の絶対値、もしくは、対応するHTF二つの測定値間の差の差ないしその他の関数の自乗値として表すことができる。特定の方向に関しては、これは、各測定HTFにつき、このHTFと測定した一群のHTFの内の他の各HTFとの間の差がHTFの時間領域表現の各時間サンプル(または、複数の時間サンプルの内の選択された組の各時間サンプル)ごと、又は、HTFの周波数領域表現の各周波数サンプル(又は、複数の周波数サンプルの内の選択された組の各周波数サンプル)ごとに算出され、全ての算出された差が加算されて和が得られることを意味する。このように加算するに当たっては、計算値に重み素数を乗じてもよい。その後、最小和(least resulting sum)のHTFがHTF(A)として選ばれる。
代表HTF(A)は、人又は人工頭からなる少なくとも二つの試験対象について、周波数領域においてHTF(B)の振幅を平均化することによって測定HTFに基づいても算出することができ、その場合の振幅平均化は、例えば音圧、パワー又は対数に基づいて行うとし、その後にHTFを得るために最小位相又はゼロ位相を生成し、前記平均化の後には所望により両耳間時間差を与えるリニア位相成分を加算するとし、リニア位相成分ないし両耳間時間差を、リニア位相成分又は元のHTFの両耳間時間差を別に平均化することにより適宜得るものとしている。このHTF(A)の生成方法は、本発明により望ましいものと判明したことから、互いに非常に似た測定HTFを得るためのものである。
本発明によるHTFの間のずれは非常に小さいことから、HIRの著しいピークやノッチ、HTFのピーク振幅などの如きのHTFの特異な特徴を認識したり、利用するのが可能であると共に、比較的容易になった。従って、HTF(B)の特性パラメーターを平均化することにより、人又は人工頭からなる少なくとも二つの試験対象についてのHTF(B)からHTF(A)を得ることができ、その場合での特性パラメーターとしては、例えばピークないしノッチの如くの特性点の振幅と周波数、又はHTF(B)が周波数領域で表示されている場合では例えばピークないしノッチの3デシベル点の周波数、又は、HTFが時間領域で表示されている場合では例えば正の特性ピークないし負の特性ピークの如きの特性点の振幅と時間、又は、HTFが複素s−ないしz−領域で表示されている場合では、極とゼロの座標ないし特性周波数とQファクターが挙げられる。
音源までの一群の方向について測定してHTF(B)を表す一群のHTFは、異なった特定の方向に対するHTF(A)を生成するために選んだ方法が、実際の用途で有利と思われるように同一又は異なるように選ばれるようにして、前述の方法に従って生成することができる。
また、一群のHTFは前述のように生成することができるのではあるが、部分集合のHTF(A)が一群の被験者について測定したHTF(B)から生成され、他の部分集合のHTF(A)が別の群の被験者について測定したHTF(B)から生成される場合。
本発明の重要な点は、時間領域ないし周波数領域で
(a) 例えば(1)パルスの立ち上がりないし第1ピークに対するアラインメント、又は(2)最大クロス相関(cross-correlation)に対するアラインメントを行って得た時間整合(time-aligned)HTF(B)、又は、
(b) リニア位相部と全通過位相部の何れか一方又は両方を除去したHTF(B)を平均化することにより、人又は人工頭からなる少なくとも二つの試験対象についてのHTF(B)から得られるHTF(A)にあり、前記平均化の後には所望によっては両耳間時間差を表すリニア位相成分を加算してもよいし、リニア位相成分ないし両耳間時間差は、元のHTF(B)のリニア位相成分ないし両耳間時間差を別に平均化することにより得られる。周波数軸ないしその部分ないしその複数の部分、又は、時間軸ないしその部分ないしその複数の部分は、平均化に先立ってHTF間での差を減少させるために、各HTFにっき個々に圧縮又は拡張してもよい。
少なくとも二つの音響入射角度に関する一群のHTFは、前述の方法の何れかで得たHTFからなるものであってもよい。この一群は、好ましくは前述の臨場感選択法(real life listening selection method)を用いて前述したHTFから個々に選択した、必ずしも同一源からのHTFから選んだものでもないHTF(A)からなるものであってもよい。
本発明は、完全に定義付けした複数の特に高品質のHTFを供するものである。従って、本発明は、図1、図2、図3の何れかに示した97個のHTFからなる群から選ばれるHTF(A)に関するものである。これらのHTFは、図面に、或いは、表の形で示されており、従来では得られなかった品質を備えた、HTFが使われるあらゆる用途で非常に価値のある商業上の道具である。
また、本発明は、前述した特定のHTF、即ち、図1、図2、図3の何れかに示した97個のHTFの内の二つかそれ以上の間での内挿により得られたHTF、もしくは、バイノーラル信号合成に用いた場合では、前記図面の何れかに示したHTF(D)が醸し出す印象、または、それらの間での内挿により得られる印象とは明らかに異なることのない臨場感が得られるHTFに基づいて生成される有用な派生物であるHTFを供するものでもある。この場合での「明らかに異なる」とは、未経験聴取者群が、HTFが用いられている、或いは、HTFを用いることになっているプログラム材を用いて、平衡化四肢強制選択法において二つのHTF(A)と(D)とを比較した場合に、少なくとも90%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも70%、もっと好ましくは少なくとも50%の正解を出すようなことを意味している。
本発明によれば好ましいHTF(A)ごとに
(a) 一つのHTF(B)ないし複数のHTF(B)の基準点が、塞いだ外耳道への入口、又はその近傍にあり、HTF(B)がHTF(A)を用いる一群のユーザーを代用する一群の被験者から得られたものであること、
(b) HTF(A)が、バイノーラル信号合成に用いられると、上記(a)に依るHTF(D)から得られる印象とは明らかに異なることのない臨場感を醸し出すものであること、
の何れか一方、又は両方である。
本明細書で説明するHTFないし一群のHTFは、HTFないし一群のHTFを修正することにより個々の聴取者又は一群の聴取者に合わせてもよく、この修正は、
(a) 頭の直径、両耳の間隔などの聴取者の物理的寸法、又は、
(b) バイノーラル信号合成にHTFないし一群のHTFを用いており、個々の聴取者ないし一群の聴取者が知覚する音の印象が問題の方向における音源を実際に聞いている場合と高度に一致したものとなる心理音響実験
に基づいて行われる。
本発明のある面は、近似法によるHTFの生成に関する。これは、例えば頭の位置又は向きの変化が小さい場合とかの幾つかの場合に非常に価値のあるものである。従って、本発明の一面では、音響入射角度に対する近似HTF(approximate HTF)は、互いに隣接する音響入射角度に対応するHTFを補完することにより得られ、この場合での内挿は、隣接するHTFの重みづけ平均として行われ、この場合での平均化は、好ましくは前述のようにして行うのがよい。別の面では、近似HTF(A)は、近似HTF(A)が使われる音響入射角度に関する両耳間時間差をほぼ得るためにHTF(B)のリニア位相の調節を行うことにより、近くのHTF(B)に基づいて行うことができる。
本発明の一面は、聴取者と音源との間の距離が短い場合での近似HTFを得る方法に関し、この方法は、
(a) 音源位置から左耳位置までの幾何学的角度、又は、左耳が音源位置から見えない場合では、必要に応じて音源位置から、耳を妨げている頭の部分までの接線方向の幾何学的角度を表すHTFの左耳部と、音源位置から右耳位置までの幾何学的角度、又は、右耳が音源位置から見えない場合では、必要に応じて音源位置から、耳を妨げている頭の部分までの接線方向の幾何学的角度を表すHTFの右耳部とを組み合せるか、
(b)HTFの左耳部と右耳部とのレベルを個々に調節するか、
何れか一方、又は両方からなる。HTFの左耳部と右耳部のレベルを個々に調節することは、頭の中間までの幾何学的距離とそれぞれの耳までの幾何学的距離又は、音源位置から耳が見えない場合では、必要に応じて耳を妨げている頭の部分の接線上の点まで又は接線との交点を通り、頭の曲率に沿う耳までの幾何学的距離を用いて、球状音波の距離法則に従って行ってもよい。
前述したように、HTF(A)の用途の一例としては、一群の(想像上の)音源から聴取者の左耳と右耳への伝達をシミュレートするために用いる、例えば一群のデジタルフィルタ一対の如くの信号処理手段の設計目標として一群のHTF(A)を用いることがある。一群のデジタルフィルター対の伝達関数は、関連するHTF(A)に対応するように設計されている。バイノーラル信号は、一群のデジタルフィルター対で一群の音源に対応する一群の音響信号をろ波することにより生成される。
従って、HTFは、例えばろ波、平準化、遅延、モデリングの如くの処理ないし元のHTFないし元の群のHTFにある情報の内容を維持するその他の処理を更に施すことにより、本発明による前述のHTFから得ることができ、その場合での前記処理は、HTFの左耳部と右耳部とではほぼ同一であるか、或いは、異なった音響入射角度に対応する一群のHTFは、異なった方向ではほぼ同一ではあるが、HTFの左耳部と右耳部とでは必ずしも同一ではない。
幾つかの用途では有用な斯かる信号処理の一例としては、
(a) 例えば横断面(frontal plane)におけるが如しの特定の角度のHTFがフラットな周波数応答性を有するように、又は、
(b) 拡散音場のバイノーラル信号合成により形成されるバイノーラル信号の振幅が拡散音場それ自体の振幅とほぼ同一となるように、又は、
(c) 特定の音場のバイノーラル信号合成により形成されるバイノーラル信号の振幅が、p1基準点における音場の振幅とほぼ同一となるように、
行われる信号処理がある。
例えばミキシングコンソールとかの本発明の方法の幾つかの実際の用途では、少なくとも二つに音響入力(1)を、HTFをシミュレートしている二つのフィルターからなる一組みのフィルターでろ波した音響入力(2)に組み込んでいる。一般に組み合わせた音響入力(1)は、例えば聴取者に対して「前方から」、「背後から」、「右から」、「左から」などの如くの空間グループにおいて互いに一緒になっている(belonging together in spatial groups)音響入力である。
本発明のバイノーラル信号合成方法の重要な用途は、例えばコンサートホールとかの室内の如くの特定の環境の音場のシミュレーションであり、その場合では当該環境での特定の位置における一群の音源から当該環境での特定位置における聴取点までの音の伝達が、
(a) 各音源ごとの複数の伝達路のそれぞれに対してバイノーラル信号(A)を形成し、
(b) 各音源ごとのバイノーラル信号(A)をバイノーラル信号(B)に組み込み、
(c) 一群の音源のバイノーラル信号(B)を得られたバイノーラル信号(C)に組み込むことによりシミュレートされる。
本発明の重要な用途は、ノイズ測定とノイズによる影響の評価との何れか一方、又は両方、又は、音の伝達の表現が関係しているその他の測定とシミュレーションの何れか一方、又は両方であり、そこでは本明細書において説明されているところに従って生成したバイノーラル信号と、本明細書において特徴づけているHTFとの何れか一方、又は両方を汎用性を増大させるために用いている。
例えば仮想リアリティ分野や電話会議などを含む本発明のある用途のために、聴取者の頭の位置と向きの何れか一方、又は両方と、位置の変化と向きの変化の何れか一方、又は両方との何れか一方、又は両方を検出して、検出した位置と向きの何れか一方、又は両方と位置の変化と向きの変化の何れか一方、又は両方との何れか一方、又は両方に従って電子信号処理を変えるのが有用である。
聴取者の頭の位置と向きの何れか一方、又は両方と、位置の変化と向きの変化の何れか一方、又は両方との何れか一方、又は両方を検出することは、
(a) 聴取者の頭のところとその動く位置に装着した一つかそれ以上の受信手段が受信するようになっている、超音波パルスないし赤外線パルスの如くの少なくとも一つのパルス状エネルギーを伝達し、
(b) 伝達したパルス状エネルギーが受信手段に到達する到達時間を検出して、所望に応じては対応する送信器からの送信時間を検出又は記録し、
(c) 検出した到達時間と、所望によっては検出ないし記録した送信時間に基づいて聴取者の頭の位置と向きの何れか方、又は両方を算出することにより達成できる。
本発明の方法における信号処理には、所望によっては、信号音響トランスジューサーの伝達特性、例えば斯かるトランスジューサーの周波数依存性感度、インピーダンス関係などの補償作用を含ませて、理想的な信号音響トランスジューサーの知覚(perception)に似せることができる。また、信号音響トランスジューサーから、例えば聴取者の外耳道の特定の点の如くの特定の点までの音の伝達の特性を補償作用に含ませてもよい。他方、楽しいないし面白いものと感じられる幾つかの再生音にはスピーカーの伝達特性ないし音色、或いは、スピーカーが置かれている室内特有の音響変形(sound modifications)などが含まれているのが通常であり、従って、反響、残響、音色の内の少なくとも一つをバイノーラル信号に補って、仮想信号音響トランスジューサーの不均等信号応答をシミュレートする、或いは仮想信号音響トランスジューサーが仮想室内に置かれているのようシミュレートすることももう一つの興味のある可能性である。これらの別の信号は、園か騒音源についての方向と距離の何れか一方、又は両方の情報で記号化されていてもよいし、又は記号化されていなくてもよい。
前述したように、信号処理には、耳がヘッドホンにより塞がれている、塞がれていない場合、外耳道への入力での圧力分割(pressure division)の差を別途補償するようにしてもよい。耳がヘッドホンにより塞がれている、塞がれていない場合、外耳道への入力での圧力分割の差の表示を得る方法としては、ヘッドホンから
−塞がれた外耳道への入口又はその近傍と
−開いている外耳道への入口又はその近傍
における音圧までの伝達を測定し、その場合での伝達の周波数領域表示の比はこの状況においては圧力分割(X)に特有なものとして得られ、
耳の音響伝播インピーダンス(acoustic radiation impedance)に影響しない音源から
−塞がれた外耳道への入口又はその近傍と
−開いている外耳道への入口又はその近傍
における音圧までの伝達を測定し、その場合での伝達の周波数領域表示の比はこの状況においては圧力分割(X)に特有なものとして得られ、
圧力分割の差の周波数領域表示を構成する比X/Yを得ることよりなる。
ヘッドホンやスピーカーの如きの信号音響トランスジューサーの補償は、各ユーザーごとの適当な伝達特性を求めることにより各聴取者に合わせてもよい。
前述の信号処理の対象になった信号は、例えば放送信号とかの音を表す信号へと、適当な音再生システムの暗号化方式に対応する方法で当該信号を解読して、前述のようにバイノーラル信号に処理することにより解読されるようになった信号である。特定の放送信号が特定のシステムで解読されるようになっているかどうかは、当該システムに適切な解読器に信号を供給して、解読した信号を分析することにより容易に評価することができる。
ヘッドホンは、バイノーラル信号の好ましい信号音響トランスジューサーを構成している。その意味で、ヘッドホンなる用語は、従来公知のヘッドホンや、人間の耳の近く、もしくは耳に近づけて人間に装着するようにした二つを一組とする信号音響トランスジューサー装置を意味する。
本発明の方法において用いる特に魅力的なヘッドホンは、例えば電磁波式、光学式、赤外線式、超音波式などの無線にてバイノーラル信号を伝送できるワイヤレスヘッドホンである。
バイノーラル信号は一般にヘッドホンを介して発せられるようになっているが、二基のスピーカーで信号を再生することも本発明の範囲に含まれる。スピーカーを用いた場合では、スピーカー間のクロストークは、バイノーラル信号に組み込むか、又は別の電気信号からなる人工クロストークでバイノーラル信号を補うことにより相殺することができる。クロストークは、ヘッドホンとは違って左耳は右側スピーカー、また、右耳は左側スピーカー、或いはその逆の音を聞くようになっていることから発生するのである。
バイノーラル信号に対応する音を再生するのに二基のスピーカーを用いた場合では、これらのスピーカーに対する聴取者の位置は、クロストーク現象があるためにむしろ重要なものとなる。しかし、聴取者の頭の位置を検出して、この検出に応じて電子信号処理を変えることにより、聴取者の頭の位置に従ってクロストークを補償し、それによりリスニングの品質を著しく向上させることができる。ヘッドホンを用いた場合や、二基のスピーカーを用いた場合の何れでも、聴取者の頭の位置と向きの何れか一方、又は両方と、位置の変化と向きの変化の何れか一方、又は両方との何れか一方、又は両方は、前述したように適当な検出手段で検出でき、また、検出した聴取者の頭の位置と向きの何れか一方、又は両方と、位置の変化と向きの変化の何れか一方、又は両方との何れか一方、又は両方に従って電子信号処理を変えることができる。この調節でねらっている目的は、再生されているバイノーラル音を聞いている時に頭の動きがあると望ましいとされている些細な矯正ないし調節から、聴取者の頭の位置と向きの何れか一方、又は両方と、位置の変化と向きの変化の何れか一方、又は両方との何れか一方、又は両一方にも係わらず仮想音源が定置されている印象を聴取者に与えるための修正、もしくは、聴取者が頭を回すのと止めた後での「慣性」により仮想空間音場が僅かに回る感じの如くの人工効果をねらっている場合での修正まで行き渡っている。当業者には分かるように、電子処理のこのような修正は、HTFを後ほど詳述する如くのデジタルフィルターで実行した場合に特に可能である。
前述の聴取者の位置と向きに関するパラメーターを検出する一方法とし、聴取者の周囲に公知の可変磁界を醸し出し、一群の交叉コイル(crossing coils)を聴取者の頭に宛うことがある。リスニング室に醸し出した磁界が既知であれば、交叉検出コイルに発生する電圧から聴取者の頭の位置と向きとを検出することが可能である。例えばリスニング室に満ちた超音波の如くのその他の場でも、検出器を聴取者の頭に宛うことによりこれと類似の方法を用いることもでき、映像認識手段と接続したビデオカメラを含む装置をも利用することができる。
本発明の他の面は、例えば人工頭を設計したり、ヘッドホンの周波数応答性を設計したり、人間の両耳聴音像定位ないし知覚のコンピューターモデルなどにおいてHTFの汎用性の特徴を利用して、バイノーラル信号合成に用いるHTFの利用方法に関している。
前述したところに従い、本発明の一実施の形態は、変調超音波からなるバイノーラル信号を伝送することからなり、この変調超音波は、それぞれの耳に近づけて装着されている二つの受信手段を介して聴取者により受信されるようになっており、基準向きからの聴取者の頭の向きの移動は両受信手段間での超音波パルスの伝播時間の差に基づいて、聴取者が頭の向きに関係なく仮想音源が基準位置に止まっていると知覚するように補償されるようになっており、その場合での補償作用は電子信号処理を伴って自動的に行われるようになっている。
例えば交通整理や、タクシーないしトラックの整理、メッセンジャー事務所、救命救急センター、警備保障会社、電話会議、オーディオ・ビジュアル通信手段を用いた会議などの実地での用途においては、本発明の方法は通信に適用でき、その際、信号処理手段により、
−少なくとも一つの信号音響トランスジューサーに送信されるようになっている少なくとも一つの単チャンネル通信システムのと少なくとも一つの複チャンネル通信システムの何れか一方、又は両方の信号(A1・・・An)、又は
−斯かる信号(A1・・・An)に解読されるようになっている信号をバイノーラル信号(C)に変換(transform)することよりなり、このバイノーラル信号はそれが再生されると、信号(A1・・・An)をそれぞれ送信するn個の独立した仮想音源を備えた空間音場を聴取しているかのような印象を通信受信者に与えるようになっている。
これについての価値ある実施の形態としては、受信者の頭の位置と向きとがモニターされるようになっていると共に、モニターすることで得られる頭の位置と向きのデータとを、受信者をして何れかの信号(A1・・・An)に対応する送信器にメッセージを、当該送信器に対応する仮想音源の方へ頭を振り向けることにより選択的に送信させるのに用いる。
本発明の方法の特別な用途としては、例えばドルビーサラウンド、ステレオ、クアドロフォニー(Quadrophony)、ハイビジョンテレビ用複チャンネル仕様の如くの複チャンネルサウンド再生があり、これは信号処理手段で
−複チャンネルサウンド再生システムのn個の異なった信号音響トランスジューサーに供給されるようになっている複チャンネルサウンド再生システムの信号(A1・・・An)、又は
−斯かる信号(A1・・・An)に解読されるようになっている信号を
本発明の方法でバイノーラル信号(C)に変換(transform)することよりなり、このバイノーラル信号はそれが再生されると、室内において空間的に配置したn個の信号音響トランスジューサーに対して聴取していると得られる音場と類似した空間音場を聴取しているかのような印象を聴取者に与えるようになっている。
本発明の方法の利用範囲は、例えば産業プロセスのオペレーター、パイロット、飛行士、航空管制官、ビデオゲーム遊戯者、対話式テレビのユーザー、手術医などの如くの使用者に対して特定の仮想位置に一群の音を配置するのにバイノーラル信号を用いる状況に関係している。
この一例として、特徴のある音を発している可動仮想音源が一群の仮想音源の特定位置間で連続もしくは断続的に動いている状況が該当し、この場合での使用者は、可動仮想音源が特定仮想音源の位置にほぼ定置されたときにシステムを促すことにより、前記特定化騒音源に従ってシステムに特定のメッセージを送ることができるようにされている。可動仮想音源の位置は使用者、使用者の頭の向きと位置の何れか一方、又は両方の何れか一方、又は両方により制御されるようになっており、それと同時に或いはそれとは別に、位置は所定の計画の一群の規則に従ってコンピューターで動的に制御されるようになっている。
一つの用途として、ロボットないし人、盲人の如くの対象物の移動を案内する場合があり、その際、対象物と生き物の何れか一方、又は両方の移動と位置の何れか一方、又は両方を、対象物と生き物の何れか一方、又は両方に対して仮想音源を、当該仮想音源の位置に対して対象物と生き物の何れか一方、又は両方を案内するように動的に位置決めすることにより制御ないし手助けする方法を用いる。本発明の全ての実施の形態においては、バイノーラル信号はオーディオ記憶媒体に記憶させてもよいし、又は放送してもよいのは言うまでもない。格別な特徴としては、二つ以上の音響入力(1)の組合せを表す各音響入力(2)を例えば別のトラックに記憶させたり、別のチャンネルで放送してもよく、記憶もしくは放送に先立って、或いはその前にバイノーラル信号のろ波を行っておく。
本発明は、本発明により得られた汎用性のHTFの、コンピューターモデリングないし人間の中枢における両耳聴音像定位能力の分析への利用も可能である。
また、ヘッドホンの設計にも役立ち、その場合ヘッドホンの伝達特性を適用することにより、例えば横断面方向の如くの所定方向について本発明に従って特徴づけたHTFもしくは、所定方向の平均に対応する斯かるHTFの重みづけ平均に似せるようにすることができる。
更に本発明の別の面は、あらゆる音響入射角度について、或いは、少なくとも上半球ないし横断面域の如くの人工頭をとりまく全球体の一部を構成する音響入射角度について本発明により求めたHTFにほぼ対応するHTFを有する人工頭に関している。これは、人工頭の幾何学的特性と、人工頭のHTFに近似するように用いた素材の音響特性との何れか一方、又は両方を、あらゆる音響入射角度について、或いは、少なくとも上半球ないし横断面域の如くの人工頭をとりまく全球体の一部を構成する音響入射角度に対する本発明によるHTFに適応することにより達成できる。
以後、添付図面を参照しながら本発明を詳述する。
図1(1)から図1(6)までは、本発明による特定の人の一群のHTFの時間領域表現を示している。
(7)から図1(12)までは、HTF(1)の周波数領域表現を示している。
図2(1)から図2(6)までは、デシベルでの周波数ごとの最小位相概算値を平均化してHTFの平均リニア位相部を加算することによって得た、40人のHTFの平均値として得られた本発明による一群のHTF(2)の時間領域表現を示している。
図2(7)から図2(12)までは、HTF(2)の周波数領域表現を示している。
図3(1)から図3(6)までは、サンプルごとにHTFの時間アラインメントした時間領域表示を平均化してHTFの平均遅延量を加算することによって得た、40人のHTFの平均値として得られた本発明による一群のHTF(3)の時間領域表現を示している。
図3(7)から図3(12)までは、HTF(3)の周波数領域表現を示している。
図4は、塞いだ外耳道での圧力p2を測定するために被験者の耳に装着した小型マイクの写真を示す。
図5は外耳道の塞いだ入口にマイクを配置した図である。
図6はHTF測定のための無響室における測定装置を示す写真である。
図7はある人の試験者に対する特定のHTFの周波数領域表現と時間領域表現とのグラフを示す。
図8は本発明による測定と従来例による測定との比較のために異なった被験者群について得られたHTFのゲインの標準偏差を示す。
図9は頭部インパルス応答の一例を示す。
図10は異なった長さに打ち切った図9の頭部インパルス応答の周波数領域表現を示す。
図11は異なった直流値に調節した頭部インパルス応答の一例を示す。
図12は図11と類似ではあるが、周波数領域表現のものを示す。
図13は一群のHTFの時間領域表現の平均化の一例を示す。
図14は図13と類似ではあるが、周波数領域表現のものを示す。
図15は一群のHTFの周波数領域表現を平均化する対数の一例を示す。
図16は最小位相表現の一例と平均化した頭部インパルス応答のゼロ位相表現の一例を示す。
図17は時間アラインメント後の一群のHTFの時間領域表現の平均化の一例を示す。
図18図は図17と類似ではあるが、HTFの周波数領域表現のものを示す。
図19は、4つの既知のHTFに対応する四方向間にある方向に対応する新しいHTFを生成するためのHTFの時間領域表現の内挿の一例を示す。
図20は図19と類似ではあるが、周波数領域表現のものを示す。
図21aから図21dまでは、聴取者と音源との間の距離が短い場合に近似H.TFを得る一例を示す。
図22、図23及び図24、対象間における単一周波数と1/3オクターブノイズ帯域についての100Hzから8kHzの周波数間隔のデシベルでの標準偏差を示す。
図1〜図3は本発明に係る異なった方法によって得られる異なるHTFのセットを示し、各セットは各々図面に示されている。各図面において、HTFの記載は(方位、高さ)として言及されたように、それらのインシデンス角によって特徴づけられる。時間領域の記載の各々は、上方曲線が左耳に属し、下方曲線が右耳に属する。周波数領域の記載においては、太線が左耳に属し、組線が右耳に属する。周波数領域曲線の各サイドのタグはOdBを示す。
図1〜図3のHTFは本発明に係るHTFの具体例で、図1のHTFは単一人のHTFである一方、図および図のHTFは多数の人間の平均であり、発明の観点に従って得られたものである。図2の平均HTFは40人のHTFの平均として得られたもので、デシベル周波数毎の最小位相近似値を平均化、次いでHTFの平均直線位相部分の加算により得られる。図3のHTFは40人の平均として得られ、時間領域のアライメントを行ったHTFサンプル毎の時間領域表示の平均化、次いでHTFの平均遅延を加算することにより得られる。
図6は無響室で行われた本発明に係るHTF測定に対するセットアップを示し、測定されるHTFに対応する方向に位置するラウドスピーカには既知信号が送られる。図4および図5に示される試験者の外耳にはふさがれた外耳道の各々にSennbeiserKE4−211−2型の小形マイクロホンが置かれる。
このKE4−211−2はバック・エレクレット型の圧力マイクロホンで、FETアンプを内蔵している。マイクロホン自身はおよそ10mV/Paの感度を有し、データシートで提示された利得と結合されて、感度はおよそ35mV/Paに増加する。小さな電池箱が使用され、出力信号を増大させ、出力インピーダンスを減少させるために、その箱内に20dBアンプが内蔵された。2種の選択されたマイクが実験を通して各耳に1つづつ使用された。
上記ラウドスピーカからの対照音圧P1は小形マイクロホンの各々を用いて測定した。マイクロホンは試験中試験者の頭の中央がある所に置かれた。できるだけ領域の邪魔を少なくするために、マイクロホンは細ワイヤで、ラウドスピーカからの音波に90°のインシデントが付与される方向に固定された。このようにしてP1測定は音領域でのマイクロホンの存在により受ける影響は最小であった。
ふさがれた外耳の入口における音圧P2の測定中、マイクロホンは外耳に置かれたEARプラグ内に装着された。このマイクロホンはイヤープラグ内の孔に挿入され、イヤープラグの軟材質材は外耳への挿入中圧縮されていた。イヤープラグをゆるめると、外耳の外側端は完全に充填される。このイヤープラグ端部とマイクロホンは外耳入口に対し面一に装着される(図4および図5参照)。
測定は、6.2m(長さ)×5.0m(幅)×5.8(高さ)の自由空間を有する無響室で行われた。試験者は自然に起立姿勢で台上に立ち、その台上に装着された小型のバックレストは試験者に静止させるのを助けた。
試験者の頭の水平位置および方向の制御を助けるために、試験者は頭頂部にペーパマーカを置いた。このマーカは試験者の前方右側に位置するビデオカメラを通して観測され、試験者に対する可動モニタに示された。これを使用して試験者の位置及び方位を修正することができた。
操作者は試験者の正確な位置を観測し、各測定中に試験者が動かないように制御するために同様のモニタを行った。動きが観測されると、測定は無視され、やり直した。
上記ラウドスピーカは7cm膜径ミッドレンジユニット(Vifa M10MD−39)であり、15.5cm径の硬質プラスチックボールに装着されたものを使用した。MLSSA(マキシマム・レングス・セキュエンス・システム・アナライザー)として知られる測定システムが使用された。最大長セキュエンスは二つの2段階擬似ランダムセキュエンスである。
MLSSA技術の基本的な考えは上記セキュエンスの擬似形を試験中の直線システムに適用し、得られる応答をサンプルし、オリジナルのセキュエンスとサンプルされた応答との相反相関によりシステムのインパルス応答を決定することにある。
最大長セキュエンスを使用する測定の実施方法によって、伝統的な周波数・時間領域技術に比して有利である。この方法は基本的にノイズ免疫(immune)であって、平均化法に比してノイズに対する信号比は高い。MLS法の完全な研究はRifeおよびVnderkooy著の「伝達関数測定」Journal of the Audio Engineeringu Societyの37巻8号により発表されている。
両耳を同時に測定するために、2つのMLSSAシステムが使用され、サンプルの同時測定を行わせる同期ユニットを使用することによりマスター縦続の形状と対にする。
4Vのピーク対ピークの刺激信号がマスターMLSSAボードからパワーアンプ(パイオニアA−616)に送られ、0.0dBの調整利得が得られるように修正される。この出力からスイッチ・ボックスを通して測定方向のラウドスピーカに向けられる。この自由なフィールドのサウンドは試験者の位置で75dB(A)のレベルにあり、あぶみ骨はリラックスした状態にあると仮定される。
上記マイクロホンから測定用アンプB&K2607を介して信号が送られる。48KHzのサンプリング周波数又は外部クロックにより提供された。周波数エイリアシング(aliasing)を避けるために、MLSSAの20kHzのChebyshevのローパスフィルタと測定用アンプの22.5kHzのローパスフィルタを使用した。測定用アンプ上の22.5kHzハイパスフィルタが活性であった。
MLSSA、65535ポイントにより提供される最大MLS長を使用しての自由フィールドのセットアップにおける予備測定により、4095ポイントの長さは時間エイリアシングを避けるには十分である。ノイズに対する高い信号値を達成するためには、記録は16回平均化され、MLSSAシステムにおける前平均化と呼ばれる。測定全時間は、この平均化することによってさえ、1.45秒と短い。この時間中、試験者は通常静止状態であることができた。全ての測定インパルス応答は非常に短く、各インパルス応答の最小の768サンプルは16ミリセカンドに対応し、計算され、セーブされた。
測定の結果はパワーアンプへの入力から測定用アンプの出力への伝達のためのインパルス応答であった。望まれる情報を得るに必要なポスト・プロセッシングはMATLABで実行された。
測定されたインパルス応答は、ラウドスピーカから測定地点への伝搬時間(およそ6ミリセカンド)に対応する初期遅延を総て含んでいる。全ての応答は非常に短く、わずか数ミリセカンドであった。それ故に、256から511のサンプルだけが処理された(5.33msから10.65msまで)。この時間窓の制限により無響室内でのモニタからの反射が除去される。
HTF(P2/P1)の測定のために、P1およびP2のインパルス応答における選択された部分がフーリエ変換され、完全な分割が周波数領域で行われた、同一の装置がP1およびP2の測定中に使用されたので、装置の影響がキャセルした。
アナログフィルタを使用してHTFをシュミレートするのが望ましいからHTFの周波数領域表示はフィルタ合成についての教科書に記載されるようにフィルタのアナログ的実施における合成のためのベースとなる。
HTFのインパルス応答はP2/P1の逆フーリエ変換により決定され、変換前にP2/P1は4’オーダのButterworthフィルタによりフィルタされ(二元変換され)、周波数エイリエスを防止する。
デジタル技術を使用してHTFシュミレートするのが望ましいのなら、頭部関連のインパルス応答をデジタル化し、フィルタのデジタル的実施の貯蔵部に貯蔵される。
1人の試験者の特定のHTF周波数領域表示および時間領域表示の具体例は図7に示されている。有効なHTFを使用することは、ヘッドホーンのようなサウンド変換器に対する信号を正しく較正する必要があることを理解するために重要である。
既に述べたように、ふさがれた外耳への入口は測定地点として選ばれてきた。なぜならば、異なる試験者間のHTFの差異はこの選択のため他の事項の間では非常に低いものと思われてきたからである。各HTF間の差異の主要部は各自の外耳を通しての音圧の伝達により加えられている。このようにして、音圧(例えばヘッドホーンによるもの)をふさがれた外耳の入口において再生し、音圧に各々の差異を与えないようにするのが重要である。これは、ヘッドホーンの端子からのふさがれた外耳の対照地点へ音信号を伝達する特性を示す伝達関数が平坦な周波数応答を有する必要があるので、HTFの周波数領域表示は歪められない。
さらに、ヘッドホーンはHenrik Moller氏指導のように開放されなければならない。すなわち、それは後述するように耳に結合している自由なフィールドと等価物を有していることと等しいことになるので、ヘッドホーンを耳につけると、耳からのインピーダンスは変化せず、すなわち、逆にヘッドホーンは伝達インピーダンスを補償するために調整されるべきである。
図8は従来法で行った測定と本発明によって行われた測定の比較のために異なったグループの試験者に対するHTF利得の標準偏差を示す。
図8のグラフはかなりの数の試験者のHTF測定に基づくものである。従来法による測定はF.L.WightmanおよびD.Kistler著の「自由フィールド聴音におけるヘッドホーンシュミレーションI.同時合成II:Psychoacoustical Validation」J.Acoust.Soc.Am.社85(2)858−78頁、1989における小型マイクロホンプローブ管測定」J.Acoust.Soc.Am.社93(2)、907〜919頁1993年発行に記載されている。このグラフは1/2オクターブ域の全ての方向に対し平均化された周波数の関数としての利得の標準偏差を示している。本発明によれば、公知方法よりおよそ2ファクター改善されることがわかる。それにより従来法よりかなり改善される。
図9は頭部関連インパルス応答の典型的な具体例である。インパルス応答の異なる長さ(図9においてt=0から始まる)はフーリエ変換され、結果は図10に示されている。以下に記載のDC調節はインパルス応答の切り出し後各フーリエ変換前に行われる。図10からわかるように、インパルス応答の周波数領域表示において有意量の変化が1ms以上のインパルス中には起こらない。前述したように、シュミレーションで使用された頭部関連のインパルス応答の部分の期間を評価するときは、その周波数応答を研究するのが重要である。具体例によれば、切り出しにより許容できない程度まで周波数応答が変化するので2〜3msまでの明らかに短いインパルスは切り出しできない。なぜなら、そのインパルスが比較的長い期間にわたる必須の情報を含むからである。図9および10はこれを本発明のインパルスに対して正しいものではないことを例示している。
前述したように、本発明まではHTFの周波数領域表現の0Hzにおける値(HTFのDC値)がこの分野では魅力なく、注目されないもののようであった。しかしながら、本発明者の研究により、上記DC値が、HTFを音再生において使用するときは、HTFの周波数領域表示にかなりの影響を与え、音質、例えば音色に影響することが明らかになった。図11は異なるDC値に対して調整された頭部関連のインパルス応答の具体例を示し、図12は対応する周波数領域表示を示すHTFの時間領域表示に対する影響が辛うじてわかるのに対し周波数領域表示に対する影響はかなりものである。図13は10人のグループに対する1つの耳に対する特別の方向のHTFの時間領域表示を示し、これらのHTFの平均値が示されている(この明細書では、平均化とは圧力自身、対数値圧力またはP2(パワー平均値)のような測定された圧力の全ての関数の平均化を意味する)。図14は図13のHTFの対応する周波数領域表示の利得を示す、平均化利得も示されている。
図15は図14で示されるHTFの利得を示すが、対数平均値が示される。対数平均値は図14に示される平均値より、HTFを良好に表すように思える。
図14および図15において、利得だけが平均化され、規定されるべき位相を残している。数種の可能性が存在している。
追加された最小位相を伴う平均化されたHTFの時間領域表示が示され、0位相を伴う対応する平均値が示されている。
図17および図18は10人グループの1つの外耳に対する特定の方向のHTFの時間および周波数領域表示を示し、これらのHTFの平均値も示されているが、時間領域でのアライメントを行った後である。この時間領域でのアライメントは時間領域において行われ、パルスの立ち上がりまたは第1ピークにアライメントするかまたは最大相互相関にアライメントすることにより行われる。図17および図18において、インパルスはインパルスの立ち上がりにアライメントされる。この方法を備える平均値が時間領域でのアライメントを行わない平均値よりHTFの特徴をより再生するように思える。
時間領域でのアライメント後直線位相の平均化が両耳間時間差を計算するために平均化関数に加えられる。関数に対する直線移相の寄与は総てのHTFの直線位相の平均値のような測定されたHTFに属するものを基準に計算される。
特定の方向のHTFを平均化する他の方法は有意義な特徴、例えばピークと谷間にX軸(時間又は周波数)を拡縮することを含み、時間又は周波数領域のいずれかにおいてHTFのピークおよび谷部をアライメントするように、時間領域表示をアライメントし、次いで得られる関数を平均化し、計算された例えば平均化位相寄与を追加する。
多くの場合、例えば仮想現実適用においては、非常に多くのHTF数をシュミレートするのが望ましく、本発明によれば、内挿を使用した特定のHTFのセットからHTFをシュミレートすることができる。
4つの公知のHTFに対応する方向間に位置する特定の方向に対応するHTFを上記平均化技術で述べた計算法により計算することができた。図19および20はこの時間領域および周波数領域の具体例を示す。
図22、23および24において、グループIの角度は水平面上のおよび耳と同一側における角度を示し、グループIIの角度は残りの角度を示す。

Claims (91)

  1. 頭部伝達関数(HTF)の左耳部と右耳部とをそれぞれシミュレートするように構成された二つのフィルターからなる少なくとも一組のフィルターで少なくとも一つの音響入力をろ波することによりバイノーラル信号を生成する方法であって、下記特徴(a)〜(c)の内の少なくとも一つの特徴を有してなるバイノーラル信号生成方法。
    (a)1kHzから8kHzまでの周波数間隔の少なくとも大部分に亙って、対象間でのデシベルで表される振幅の標準偏差が、図22に示した曲線の少なくとも一つにつき大きくても図22に示すとおりとなるように決められた頭部伝達関数をバイノーラル信号の対象である大勢の人達個人群のために一般に用いること、
    (b)頭部伝達関数をシミュレートしているフィルターの伝達関数の時間領域表現の持続時間が多くても2msであること、及び、
    (c)頭部伝達関数をシミュレートしているフィルターの伝達関数の周波数領域表現の0Hzにおける値(振幅)が0.316から3.16の範囲内であること。
  2. 請求項1の(a)に記載の方法であって、前記頭部伝達関数は、1kHzから8kHzまでの周波数間隔の少なくとも大部分に亙って、対象間でのデシベルで表される振幅の標準偏差が、図23に示した曲線の少なくとも一つにつき大きくても当該図に示すとおりとなるように決められてなるバイノーラル信号生成方法。
  3. 請求項2に記載の方法であって、前記頭部伝達関数は、1kHzから8kHzまでの周波数間隔の少なくとも大部分に亙って、対象間でのデシベルで表される振幅の標準偏差が、図24に示した曲線の少なくとも一つにつき大きくても当該図に示すとおりとなるように決められてなるバイノーラル信号生成方法。
  4. 請求項1から3までの何れか一項に記載のものであって、頭部伝達関数をシミュレートしているフィルターの伝達関数の時間領域表現が大きくとも1.5msであるバイノーラル信号生成方法。
  5. 請求項4に記載のものであって、頭部伝達関数をシミュレートしているフィルターの伝達関数の時間領域表現の持続時間が大きくとも1.2msであるバイノーラル信号生成方法。
  6. 請求項5に記載のものであって、頭部伝達関数をシミュレートしているフィルターの伝達関数の時間領域表現の持続時間が大きくとも1msであるバイノーラル信号生成方法。
  7. 請求項6に記載のものであって、頭部伝達関数をシミュレートしているフィルターの伝達関数の時間領域表現の持続時間が大きくとも0.9msであるバイノーラル信号生成方法。
  8. 請求項7に記載のものであって、頭部伝達関数をシミュレートしているフィルターの伝達関数の時間領域表現の持続時間が大きくとも0.75msであるバイノーラル信号生成方法。
  9. 請求項8に記載のものであって、頭部伝達関数をシミュレートしているフィルターの伝達関数の時間領域表現の持続時間が大きくとも0.5msであるバイノーラル信号生成方法。
  10. 請求項1から9までの何れか一項に記載のものであって、頭部伝達関数をシミュレートしているフィルターの伝達関数の0Hzにおける周波数領域表現の値(振幅)が0.5から2msであるバイノーラル信号生成方法。
  11. 請求項10に記載のものであって、頭部伝達関数をシミュレートしているフィルターの伝達関数の0Hzにおける周波数領域表現の値(振幅)が0.7から1.4msであるバイノーラル信号生成方法。
  12. 請求項11に記載のものであって、頭部伝達関数をシミュレートしているフィルターの伝達関数の0Hzにおける周波数領域表現の値(振幅)が0.8から1.2msであるバイノーラル信号生成方法。
  13. 請求項12に記載のものであって、頭部伝達関数をシミュレートしているフィルターの伝達関数の0Hzにおける周波数領域表現の値(振幅)が0.9から1.1msであるバイノーラル信号生成方法。
  14. 請求項13に記載のものであって、頭部伝達関数をシミュレートしているフィルターの伝達関数の0Hzにおける周波数領域表現の値(振幅)が0.95から1.05msであるバイノーラル信号生成方法。
  15. 請求項1乃至4の何れか一項に記載のものであって、頭部伝達関数は、空間に配置した音源からの音圧p 2 を、人又は人工頭の塞いだ外耳道への入口又はその近傍で測定していることにより求められてなるバイノーラル信号生成方法。
  16. 請求項1乃至14の何れか一項に記載ものであって、頭部伝達関数は、音源からの音圧p 1 を、被験者又は人工頭が居合わせていないときに、その被験者又は人工頭の両耳の間の位置で測定していることにより求められてなるバイノーラル信号生成方法。
  17. 請求項1乃至14の何れか一項に記載ものであって、頭部伝達関数は、頭部伝達関数の周波数領域表現が、p 2 の周波数領域表示をp 1 の周波数領域表示で割り、必要に応じて低域ろ波することにより算出されていることにより求められてなるバイノーラル信号生成方法。
  18. 請求項1乃至14の何れか一項に記載ものであって、頭部伝達関数は、頭部伝達関数の時間領域表現が、周波数領域表現の逆フーリエ変換で得られていることにより求められてなるバイノーラル信号生成方法。
  19. 請求項1乃至14の何れか一項に記載ものであって、頭部伝達関数は、被験者又は人工頭に対する特定の方向につき、頭部伝達関数の左耳部と右耳部とが同時に測定されていることにより求められてなるバイノーラル信号生成方法。
  20. 請求項1乃至14の何れか一項に記載ものであって、頭部伝達関数は、頭部伝達関数の測定中に被験者が居合わせていることにより求められてなるバイノーラル信号生成方法。
  21. 請求項1乃至14の何れか一項に記載ものであって、頭部伝達関数は、被験者の頭の位置が頭部伝達関数の測定中及び/又は正確な位置とは違った頭の位置を無視して行う頭部伝達関数の測定時の何れか一方、又は両方において変化していないことを保証するために、当該被験者が例えばビデオとかの視覚手段によりモニターされていることにより求められてなるバイノーラル信号生成方法。
  22. 請求項1乃至14の何れか一項に記載ものであって、頭部伝達関数は、被験者自身が、例えば鏡やビデオモニターなどにより自分の頭の位置をモニターして、頭部伝達関数測定中に正しい位置に頭を保持していることにより求められてなるバイノーラル信号生成方法。
  23. 請求項1乃至14の何れか一項に記載ものであって、頭部伝達関数は頭部伝達関数の測定が長くとも5秒、好ましくは長くとも3秒、より好ましくは約1.5秒のように長くとも2秒に亙り無響室にて行われていることにより求められてなるバイノーラル信号生成方法。
  24. 請求項15乃至23の何れか一項に記載のものであって、基準点は塞いだ外耳道への入口から多くとも0.8センチ隔てていることよりなるバイノーラル信号生成方法。
  25. 請求項24に記載のものであって、基準点は塞いだ外耳道への入口から多くとも0.6センチ隔てていることよりなるバイノーラル信号生成方法。
  26. 請求項25に記載のものであって、基準点は塞いだ外耳道への入口から多くとも0.3センチ隔てていることよりなるバイノーラル信号生成方法。
  27. 請求項26に記載のものであって、基準点は塞いだ外耳道への入口であることよりなるバイノーラル信号生成方法。
  28. 請求項1乃至27の何れか一項に記載のものであって、頭部伝達関数が、人又は人工頭の何れかである少なくとも二つの試験対象についての頭部伝達関数(B)から
    (a)バイノーラル信号合成に用いた場合、被験者群に聞かせると問題の方向における音源から実際に聞いているのと高度に合致する臨場感を醸し出す頭部伝達関数、又は、
    (b)個人群における個人の頭部伝達関数と高度な類似性を呈する頭部伝達関数を選択することにより得られるバイノーラル信号生成方法。
  29. 請求項28に記載のものであって、少なくとも二つの音響入射角度に関する頭部伝達関数が頭部伝達関数(B)の中から個別的に選択されてなるバイノーラル信号生成方法。
  30. 請求項1乃至27の何れか一項に記載のものであって、頭部伝達関数が、人又は人工頭の何れかである少なくとも二つの試験対象頭部伝達関数(B)について、該頭部伝達関数(B)の振幅を周波数領域において平均化することにより得た頭部伝達関数であるバイノーラル信号生成方法。
  31. 請求項1乃至27の何れか一項に記載のものであって、頭部伝達関数が、人又は人工頭の何れかである少なくとも二つの試験対象の頭部伝達関数(B)について該頭部伝達関数を時間整合した時間整合伝達関数()を時間領域もしくは周波数領域において平均化することにより得た頭部伝達関数であるバイノーラル信号生成方法。
  32. 請求項1乃至27の何れか一項に記載のものであって、頭部伝達関数が、人又は人工頭の何れかである少なくとも二つの試験対象の頭部伝達関数(B)について該頭部伝達関数(B)からリニア位相部と全通過位相部の何れか一方又は両方を除去した頭部伝達関数(B)を時間領域もしくは周波数領域において平均化して得た頭部伝達関数であることよりなるバイノーラル信号生成方法。
  33. 請求項30乃至32の何れか一項に記載ものであって、平均化の後に、元の頭部伝達関数(B)のリニア位相成分又は両耳間時間差を別に平均化することにより得た、両耳間時間差を生ずるリニア位相成分を加算した頭部伝達関数(B)を平均化して得た頭部伝達関数であることよりなるバイノーラル信号生成方法。
  34. 請求項30乃至33の何れか一項に記載のものであって、周波数軸、その一部又は複数部分、もしくは、時間軸、その一部又は複数部分が、平均化に先立って頭部伝達関数間の差を減少させるために各頭部伝達関数について個別的に圧縮もしくは拡張されてなるバイノーラル信号生成方法。
  35. 請求項1乃至29の何れか一項に記載のものであって、頭部伝達関数(B)の特性パラメーターを平均化することにより得た、人又は人工頭の何れかである少なくとも二つの試験対象についての頭部伝達関数(B)から頭部伝達関数を得ることよりなる方法であって、前記パラメーターが
    −特性点の周波数と振幅、又は、頭部伝達関数(B)が周波数領域で表現されている場合では3デシベル点でのピークないしノッチの周波数であることよりなるバイノーラル信号生成方法。
  36. 請求項1乃至29の何れか一項に記載のものであって、頭部伝達関数(B)の特性パラメーターを平均化することにより得た、人又は人工頭の何れかである少なくとも二つの試験対象についての頭部伝達関数(B)から頭部伝達関数を得ることよりなる方法であって、前記パラメーターは、頭部伝達関数が時間領域で表現されているときの特性点の時間と振幅であるバイノーラル信号生成方法。
  37. 請求項1乃至29の何れか一項に記載のものであって、頭部伝達関数(B)の特性パラメーターを平均化することにより得た、人又は人工頭の何れかである少なくとも二つの試験対象についての頭部伝達関数(B)から頭部伝達関数を得ることよりなる方法であって、前記パラメーターは、頭部伝達関数が複素s−又はz−領域で表現されているときの極とゼロの座標又は特性周波数とQファクターであることよりなるバイノーラル信号生成方法。
  38. 請求項1乃至37の何れか一項に記載のものであって、頭部伝達関数が図1、図2又は図3に示した97個の頭部伝達関数からなる群から選ばれているバイノーラル信号生成方法。
  39. 請求項1乃至38の何れか一項に記載ものであって、頭部伝達関数が、図1、図2又は図3に示した97個の頭部伝達関数の内の二つ以上の間の内挿によって得られるバイノーラル信号生成方法。
  40. 請求項1乃至39の何れか一項に記載ものであって、頭部伝達関数は、バイノーラル信号合成に用いた場合、請求項38又は39に依る頭部伝達関数(C)が醸し出す印象とは明らかに異なるところのない臨場感を出し、ここでの明らかに異なるとは、未経験聴取者群が、頭部伝達関数が用いられている、或いは、頭部伝達関数を用いることになっているプログラム材を用いて、平衡化四肢強制選択法において二つの頭部伝達関数を頭部伝達関数(C)と比較した場合に、少なくとも90%の正解を出すようなことを意味する頭部伝達関数であることよりなるバイノーラル信号生成方法。
  41. 請求項40に記載のものであって、ここでの明らかに異なるとは、未経験聴取者群が少なくとも80%の正解を出すことを意味するバイノーラル信号生成方法。
  42. 請求項41に記載のものであって、明らかに異なるとは、未経験聴取者群が少なくとも70%の正解を出すことを意味するバイノーラル信号生成方法。
  43. 請求項42に記載のものであって、明らかに異なるとは、未経験聴取者群が少なくとも50%の正解を出すことを意味するバイノーラル信号生成方法。
  44. 請求項1乃至43の何れか一項に記載のものであって、頭部伝達関数は個々の聴取者又は一群の聴取者に適応されており、頭部伝達関数の両耳間時間差を修正することよりなり、前記修正が、
    (a)頭の直径、両耳の間隔などの聴取者の物理的寸法、又は
    (b)バイノーラル信号合成に頭部伝達関数を用いており、個々の聴取者ないし一群の聴取者が知覚する音の印象が問題の方向における音源を実際に聞いている場合と高度に一致したものとなる心理音響実験
    との何れかに基づいて行われることよりなるバイノーラル信号生成方法。
  45. 請求項1乃至44の何れか一項に記載のものであって、頭部伝達関数は、互いに隣接する頭部伝達関数の重みづけ平均として互いに隣接する頭部伝達関数を内挿することにより、特定の音響入射角度に対する近似頭部伝達関数として得たものであることよりなるバイノーラル信号生成方法。
  46. 請求項45に記載のものであって、平均化方法は請求項30乃至37の何れか一項に記載の平均化方法であることよりなるバイノーラル信号生成方法。
  47. 請求項1乃至46の何れか一項に記載のものであって、頭部伝達関数は、近似頭部伝達関数が意図されている入射角度に関係のある両耳間時間差をほぼ得るために頭部伝達関数(B)のリニア位相を調節することにより付近の頭部伝達関数(B)に基づいて得た近似頭部伝達関数であることよりなるバイノーラル信号生成方法。
  48. 請求項1乃至47の何れか一項に記載の方法に用いる聴取者と音源との短い距離に対する近似頭部伝達関数を得る方法であって、
    −音源位置から左耳位置までの幾何学的角度、又は、左耳が音源位置から見えない場合では、音源位置から、耳を妨げている頭の部分までの接線方向の幾何学的角度を表す頭部伝達関数の左耳部と、
    −音源位置から右耳位置までの幾何学的角度、又は、右耳が音源位置から見えない場合では、音源位置から、耳を妨げている頭の部分までの接線方向の幾何学的角度を表す頭部伝達関数の右耳部とを組み合せる過程から成る方法。
  49. 請求項48に記載の方法であって、さらに、頭部伝達関数の左耳部と右耳部とのレベルを個々に調節する過程を含む方法。
  50. 請求項1乃至47の何れか一項に従って行う場合に、請求項48又は49に従って得た頭部伝達関数を用いてバイノーラル信号を生成する方法。
  51. 波、平準化、遅延、モデリングのような処理又は元の頭部伝達関数にある情報の内容を維持するその他の処理を、頭部伝達関数の左耳部と右耳部に対して同一に施すことにより、請求項1乃至50の何れか一項において特徴づけられている頭部伝達関数から得た少なくとも一組のフィルターで少なくとも一つの音響入力をろ波することによりバイノーラル信号を生成する方法。
  52. 波、平準化、遅延、モデリングのような処理又は元の頭部伝達関数の群にある情報の内容を維持するその他の処理を、頭部伝達関数の左耳部と右耳部に対して必ずしも同一ではないが、種々の角度に対しては同一に施すことにより、請求項1から44までの何れか一項において特徴づけられている頭部伝達関数の群から得た少なくとも一組のフィルターで少なくとも一つの音響入力をろ波することによりバイノーラル信号を生成する方法。
  53. 請求項51又は52に記載のものであって、前記信号処理は、
    (a)例えば横断面(frontal plane)における特定の角度の頭部伝達関数がフラットな周波数応答性を有するように、又は、
    (b)拡散音場のバイノーラル信号合成により形成されるバイノーラル信号の振幅が拡散音場それ自体の振幅とほぼ同一となるように、又は、
    (c)特定の音場のバイノーラル信号合成により形成されるバイノーラル信号の振幅が、p1基準点における音場の振幅とほぼ同一となるように、
    行われることよりなる方法。
  54. 請求項1乃至53の何れか一項に記載のものであって、少なくとも二つの音響入力(1)を、頭部伝達関数をシミュレートしている二つのフィルターからなる一組みのフィルターでろ波した音響入力(2)に組み込んでなる方法。
  55. 請求項54に記載のものであって、組み込まれた音響入力(1)は、聴取者に対して「前方から」、「背後から」、「右から」、「左から」などのように空間グループとグループを成す音響入力であることよりなる方法。
  56. 請求項1乃至55の何れか一項に記載のものであって、バイノーラル信号は反響に対応する補助信号で補われている方法。
  57. 請求項1乃至56の何れか一項に記載のものであって、少なくとも一つの音響入力は、頭部伝達関数(HTF)の左耳部と右耳部とをシミュレートするように構成された二個を一組とする少なくとも二組のフィルターによりろ波されてなる方法。
  58. 請求項57に記載のものであって、少なくとも一つの音響入力は、頭部伝達関数(HTF)の左耳部と右耳部とをシミュレートするように構成された二個を一組とする少なくとも三組のフィルターによりろ波されてなる方法。
  59. 請求項1乃至58の何れか一項に記載のものであって、バイノーラル信号はコンサートホールのような室内の特定の環境の音場のシミュレーションに使われており、その場合では当該環境での特定の位置における一群の音源から当該環境での特定位置における聴取点までの音の伝達が、
    (a)各音源ごとの複数の伝達路のそれぞれに対してバイノーラル信号(A)を形成し、
    (b)各音源ごとのバイノーラル信号(A)をバイノーラル信号(B)に組み込み、
    (c)一群の音源のバイノーラル信号(B)を得られたバイノーラル信号(C)に組み込むことによりシミュレートされることよりなる方法。
  60. ノイズの測定とノイズの影響の評価の何れか一方、又は両方、又は、音の伝達の表現が関係しているその他の測定とシミュレーションの何れか一方、又は両方のための方法であって、請求項1乃至47の何れか一項、又は、請求項51乃至58の何れか一項に従って得たバイノーラル信号と、請求項1の(a)乃至3の何れか一項又は請求項15乃至49の何れか一項に特徴づけられる頭部伝達関数との何れか一方、又は両方を用いてなる方法。
  61. 請求項1乃至60の何れか一項に記載のものであって、聴取者の頭の位置と向きの何れか一方、又は両方と、位置の変化と向きの変化の何れか一方、又は両方との何れか一方、又は両方を検出して、検出した位置と向きの何れか一方、又は両方と位置の変化と向きの変化の何れか一方、又は両方との何れか一方、又は両方に従って電子信号処理を修正することよりなる方法。
  62. 請求項61に記載の方法において用いる、聴取者の頭の位置と向きの何れか一方、又は両方と、位置の変化と向きの変化の何れか一方、又は両方との何れか一方、又は両方を検出する方法であって、
    (a)聴取者の頭のところとその動く位置に装着した一つかそれ以上の受信手段が受信するようになっている、超音波パルス又は赤外線パルスのような少なくとも一つのパルス状エネルギーを伝達し、
    (b)伝達したパルス状エネルギーが受信手段に到達する到達時間を検出して
    (c)検出した到達時間に基づいて聴取者の頭の位置と向きの何れか一方、又は両方を算出することよりなる方法。
  63. 請求項61又は62に記載の方法であって、電子信号処理を修正することが、聴取者の頭の位置と向きの何れか一方、又は両方と、位置の変化と向きの変化の何れか一方、又は両方との何れか一方、又は両方に関係なく仮想音源が定位置に保持されている印象を聴取者に与えることになる方法。
  64. 請求項61乃至63の何れか一項に記載のものであって、信号処理は請求項38乃至40の何れか一項に記載の近似方法を用いて修正されてなる方法。
  65. 請求項1乃至64の何れか一項に記載の方法であって、さらに変調超音波からなるバイノーラル信号を伝送することからなり、この変調超音波は、それぞれの耳に近づけて装着されている二つの受信手段を介して聴取者により受信されるようになっており、基準向きからの聴取者の頭の向きの移動は両受信手段間での超音波パルスの伝播時間の差に基づいて、聴取者が頭の向きに関係なく仮想音源が基準位置に止まっていると知覚するように補償されるようになっており、その場合での補償作用は電子信号処理を伴って自動的に行われるようにした方法。
  66. 請求項1乃至65の何れか一項に記載の方法によるバイノーラル信号生成方法であって、頭部伝達関数によりろ波される音響入力は、
    −少なくとも一つの信号音響トランスジューサーに送信されるようになっている少なくとも一つの単チャンネル通信システムのと少なくとも一つの複チャンネル通信システムの何れか一方、又は両方の信号(A1・・・An)、又は
    −斯かる信号(A1・・・An)に解読されるようになっている信号であり、
    このバイノーラル信号はそれが再生されると、信号(A1・・・An)をそれぞれ送信するn個の独立した仮想音源を備えた空間音場を聴取しているかのような印象を聴取者に与えるようになっている方法。
  67. 請求項66に記載のものであって、受信者の頭の位置と向きとがモニターされるようになっていると共に、モニターすることで得られる頭の位置と向きのデータとを、受信者をして何れかの信号(A1・・・An)に対応する送信器にメッセージを、当該送信器に対応する仮想音源の方へ頭を振り向けることにより選択的に送信させるのに用いてなる方法。
  68. 請求項66又は67に記載のものであって、頭部伝達関数によってろ波される音響入力が、交通整理や、タクシーやトラックの管理、メッセンジャー事務所、救命救急センター、警備保障会社、電話会議、オーディオ・ビジュアル通信手段などのような多数のユニットとのモニタリング及び/又は制御及び/又は通信に関連して発生することよりなる方法。
  69. 請求項1乃至65に何れか一項に記載の方法によるバイノーラル信号生成方法であって、頭部伝達関数によってろ波される音響入力は、
    −複チャンネルサウンド再生システムのn個の異なった信号音響トランスジューサーに供給されるようになっている複チャンネルサウンド再生システムの信号(A1・・・An)、又は
    −斯かる信号(A1・・・An)に解読されるようになっている信号であり、
    このバイノーラル信号はそれが再生されると、室内において空間的に配置したn個の信号音響トランスジューサーに対して聴取していると得られる音場と類似した空間音場を聴取しているかのような印象を聴取者に与えるようになっている方法。
  70. 請求項69に記載のものであって、複チャンネルサウンド再生システムがドルビーサラウンドシステム又はハイビジョンテレビに関するNチャンネルサウンドシステムである方法。
  71. 請求項69又は70に記載のものであって、複チャンネルサウンド再生システムがステレオシステムである方法。
  72. 請求項1乃至47の何れか一項、又は、請求項50乃至58の何れか一項に記載のものであって、使用者に対する特定の仮想位置における一群の音を位置決めするためにバイノーラル信号を用いてなる方法。
  73. 請求項72に記載のものであって、特徴のある音を発している可動仮想音源が一群の仮想音源の特定位置間で連続もしくは断続的に動いており、使用者は、可動仮想音源が特定仮想音源の位置にほぼ定置されたときにシステムを促すことにより、前記特定仮想音源に従ってシステムに特定のメッセージを送ることができるようになっている方法。
  74. 請求項73に記載のものであって、可動仮想音源の位置は使用者により制御されるようになっている方法。
  75. 請求項73又は74に記載のものであって、可動仮想音源の位置が、使用者の頭の向きと位置の何れか一方、又は両方により制御されるようになっている方法。
  76. 請求項72乃至75の何れか一項に記載のものであって、可動仮想音源の位置がコンピューターにより動的に制御されるようになっている方法。
  77. 請求項76に記載のものであって、対象物と生き物の何れか一方、又は両方の移動と位置の何れか一方、又は両方を、対象物と生き物の何れか一方、又は両方に対して仮想音源を、当該仮想音源の位置に対して対象物と生き物の何れか一方、又は両方を案内するように動的に位置決めすることにより制御ないし手助けするに用いる方法。
  78. 請求項1乃至77の何れか一項に記載のものであって、さらに信号音響トランスジューサーの伝達特性の補償作用から成る方法。
  79. 請求項78に記載のものであって、塞いだ外耳道への入口、又はその近傍における音圧が信号音響トランスジューサーの出力と見なされてなる方法。
  80. 請求項1乃至79の何れか一項に記載のものであって、ヘッドホンからバイノーラル信号が発生されてなる方法。
  81. 請求項80に記載のものであって、バイノーラル信号がワイヤレスシステムを介してヘッドホンに送信されてなる方法。
  82. 請求項79又は80に記載のものであって、さらに耳がヘッドホンで塞がれている、もしくは塞がれていないときに、外耳道への入力における圧力分割の差の補償作用から成る方法。
  83. 請求項82に記載のものであって、耳がヘッドホンにより塞がれている、塞がれていない場合、外耳道への入力での圧力分割の差の表現を、ヘッドホンから
    −塞がれた外耳道への入口又はその近傍と
    −開いている外耳道への入口又はその近傍
    における音圧までの伝達を測定することによって得られ、その場合での伝達の周波数領域表現の比はこの状況においては圧力分割(X)に特有なものとして得られ、
    耳の音響伝播インピーダンスに影響しない音源から
    −塞がれた外耳道への入口又はその近傍と
    −開いている外耳道への入口又はその近傍
    における音圧までの伝達を測定し、伝達の周波数領域表示の比はこの状況においては圧力分割(Y)に特有なものとして得られ、
    圧力分割の差の周波数領域表現を構成する比X/Yを得ることよりなる方法。
  84. 請求項1乃至79の何れか一項に記載のものであって、バイノーラル信号はスピーカーを介して発する方法。
  85. 請求項78乃至84の何れか一項に記載のものであって、補償作用ないしクロストーク相殺は個々の聴取者に対して適応されてなる方法。
  86. 請求項1乃至85の何れか一項に記載のものであって、バイノーラル信号をオーディオ記憶媒体に記憶させる、又は放送させてなる方法。
  87. 請求項54乃至59と請求項86との組合せに記載のものであって、二つ以上の音響入力(1)の組合せを表す頭部伝達関数によってろ波される各音響入力(2)を例えば別のトラックに記憶させたり、別のチャンネルで放送し、記憶もしくは放送に先立って、或いはそのにバイノーラル信号のろ波を行うことよりなる方法。
  88. コンピューターモデリングないし人間の中枢における両耳聴音像定位能力の分析方法であって、請求項1乃至87の何れか一項により得られたバイノーラル信号、もしくは、請求項1の(a)乃至3の何れか一項、又は請求項15乃至46の何れか一項、又は、請求項48又は49による頭部伝達関数を用いてなる方法。
  89. ヘッドホンの設計方法であって、請求項1の(a)乃至3の何れか一項又は請求項15乃至49の何れか一項に特徴づけられた、横断面方向のような所定方向についての頭部伝達関数、又は、所定方向の平均に対応する斯かる頭部伝達関数の重みづけ平均に似せるように、ヘッドホンの伝達特性を適応してなる方法。
  90. 全ての音響入射角度、又は、少なくとも上半球ないし横断面域の如くの人工頭をとりまく全球体の一部を構成する音響入射角度について、請求項1の(a)乃至3の何れか一項、又は、請求項15乃至46の何れか一項、又は、請求項48又は49による頭部伝達関数にほぼ対応する頭部伝達関数を有する人工頭。
  91. 請求項90による人工頭を創成する方法であって、人工頭の幾何学的特性と、人工頭の頭部伝達関数に近似するように用いた素材の音響特性との何れか一方、又は両方を、あらゆる音響入射角度について、或いは、少なくとも上半球ないし横断面域の如くの人工頭をとりまく全球体の一部を構成する音響入射角度に対する、請求項1の(a)から3までの何れか一項、又は、請求項15乃至46の何れか一項、又は、請求項48又は49による頭部伝達関数に適応することよりなる方法。
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