JPH05251775A - 超電導電界効果型素子およびその作製方法 - Google Patents
超電導電界効果型素子およびその作製方法Info
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- JPH05251775A JPH05251775A JP4351723A JP35172392A JPH05251775A JP H05251775 A JPH05251775 A JP H05251775A JP 4351723 A JP4351723 A JP 4351723A JP 35172392 A JP35172392 A JP 35172392A JP H05251775 A JPH05251775 A JP H05251775A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 MgO基板5上の両端がa軸配向で、中間がc
軸配向のY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜で構成された
超電導ソース領域2、超電導ドレイン領域3および超電
導チャネル10と、超電導チャネル10上にゲート絶縁層7
を介して配置されたゲート電極4とを具備する超電導電
界効果型素子。 【効果】 超電導チャネル10と、超電導ソース領域2お
よび超電導ドレイン領域3との間に抵抗成分や不要なジ
ョセフソン接合が存在しないので、素子の特性が優れて
いる。
軸配向のY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜で構成された
超電導ソース領域2、超電導ドレイン領域3および超電
導チャネル10と、超電導チャネル10上にゲート絶縁層7
を介して配置されたゲート電極4とを具備する超電導電
界効果型素子。 【効果】 超電導チャネル10と、超電導ソース領域2お
よび超電導ドレイン領域3との間に抵抗成分や不要なジ
ョセフソン接合が存在しないので、素子の特性が優れて
いる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超電導電界効果型素子
およびその作製方法に関する。より詳細には、超電導チ
ャネル、超電導ソース領域および超電導ドレイン領域が
一体の酸化物超電導薄膜で構成され、良好な特性を有す
る超電導電界効果型素子およびその作製方法に関する。
およびその作製方法に関する。より詳細には、超電導チ
ャネル、超電導ソース領域および超電導ドレイン領域が
一体の酸化物超電導薄膜で構成され、良好な特性を有す
る超電導電界効果型素子およびその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】超電導現象を利用した素子は、従来の半
導体素子に比較して高速であり、消費電力も小さく、飛
躍的に高性能化することができると考えられている。特
に近年研究が進んでいる酸化物超電導体を使用すること
により、比較的高い温度で動作する超電導素子を作製す
ることが可能である。超電導素子としては、ジョセフソ
ン素子がよく知られているが、ジョセフソン素子は2端
子の素子であるので論理回路を構成しようとすると、回
路が複雑になる。そのため、3端子の超電導素子が実用
上有利である。
導体素子に比較して高速であり、消費電力も小さく、飛
躍的に高性能化することができると考えられている。特
に近年研究が進んでいる酸化物超電導体を使用すること
により、比較的高い温度で動作する超電導素子を作製す
ることが可能である。超電導素子としては、ジョセフソ
ン素子がよく知られているが、ジョセフソン素子は2端
子の素子であるので論理回路を構成しようとすると、回
路が複雑になる。そのため、3端子の超電導素子が実用
上有利である。
【0003】3端子の超電導素子には、近接させて配置
した超電導電極間の半導体に超電導電流を流す超電導近
接効果を利用したものと、超電導チャネルに流れる超電
導電流をゲート電極で制御するものとが代表的である。
どちらの素子も入出力の分離が可能であり、電圧制御型
の素子であって、信号の増幅作用があるという点では共
通している。しかしながら、超電導近接効果を得るため
には、超電導体電極をその超電導体のコヒーレンス長の
数倍(酸化物超電導体の場合数nm)以内の距離に配置し
なければならない。従って、非常に精密な加工が要求さ
れる。それに対し、チャネルが超電導チャネルになって
いる超電導素子は、電流密度が大きく、製造上も超電導
電極を近接させて配置するという微細加工を必要としな
い。
した超電導電極間の半導体に超電導電流を流す超電導近
接効果を利用したものと、超電導チャネルに流れる超電
導電流をゲート電極で制御するものとが代表的である。
どちらの素子も入出力の分離が可能であり、電圧制御型
の素子であって、信号の増幅作用があるという点では共
通している。しかしながら、超電導近接効果を得るため
には、超電導体電極をその超電導体のコヒーレンス長の
数倍(酸化物超電導体の場合数nm)以内の距離に配置し
なければならない。従って、非常に精密な加工が要求さ
れる。それに対し、チャネルが超電導チャネルになって
いる超電導素子は、電流密度が大きく、製造上も超電導
電極を近接させて配置するという微細加工を必要としな
い。
【0004】図3に、超電導チャネルを有する超電導電
界効果型素子の一例の概略図を示す。図3の超電導電界
効果型素子は、基板5上に配置された酸化物超電導体に
よる超電導チャネル10と、超電導チャネル10の両端付近
にそれぞれ配置された超電導ソース領域2および超電導
ドレイン領域3と、超電導チャネル10上にゲート絶縁層
7を介して配置されたゲート電極4とを具備する。ま
た、超電導ソース領域2および超電導ドレイン領域3上
にはそれぞれソース電極12およびドレイン電極13が形成
されている。この超電導電界効果型素子は、ソース電極
12およびドレイン電極13から供給され、超電導ソース領
域2および超電導ドレイン電極3間の超電導チャネル10
を流れる超電導電流をゲート電極4に印加する電圧で制
御する。
界効果型素子の一例の概略図を示す。図3の超電導電界
効果型素子は、基板5上に配置された酸化物超電導体に
よる超電導チャネル10と、超電導チャネル10の両端付近
にそれぞれ配置された超電導ソース領域2および超電導
ドレイン領域3と、超電導チャネル10上にゲート絶縁層
7を介して配置されたゲート電極4とを具備する。ま
た、超電導ソース領域2および超電導ドレイン領域3上
にはそれぞれソース電極12およびドレイン電極13が形成
されている。この超電導電界効果型素子は、ソース電極
12およびドレイン電極13から供給され、超電導ソース領
域2および超電導ドレイン電極3間の超電導チャネル10
を流れる超電導電流をゲート電極4に印加する電圧で制
御する。
【0005】上記の超電導電界効果型素子では、超電導
チャネル10を流れる電流をゲート電極4に印加する電圧
で制御する。そのため、超電導チャネル10のゲート部分
の厚さは5nm程度にしなければならず、また、ゲート絶
縁層7の厚さも10〜15nmにしなければならない。一方、
この極薄の超電導チャネルは、結晶性がよく、特性が優
れた酸化物超電導薄膜で構成されていなければならな
い。
チャネル10を流れる電流をゲート電極4に印加する電圧
で制御する。そのため、超電導チャネル10のゲート部分
の厚さは5nm程度にしなければならず、また、ゲート絶
縁層7の厚さも10〜15nmにしなければならない。一方、
この極薄の超電導チャネルは、結晶性がよく、特性が優
れた酸化物超電導薄膜で構成されていなければならな
い。
【0006】また、上記の超電導電界効果型素子では、
超電導チャネルの超電導電流は水平方向に流れ、超電導
ソース領域および超電導ドレイン領域の超電導電流は垂
直方向に流れる。一方、酸化物超電導体の超電導特性に
は結晶異方性があり、臨界電流密度は、結晶のc軸に垂
直な方向が最大である。従って、超電導チャネルは、水
平方向に大きな電流を流すことができるc軸配向の酸化
物超電導薄膜で構成されていることが好ましく、超電導
ソース領域および超電導ドレイン領域は、垂直方向に大
きな電流を流すことができるa軸配向の酸化物超電導薄
膜で構成されていることが好ましい。
超電導チャネルの超電導電流は水平方向に流れ、超電導
ソース領域および超電導ドレイン領域の超電導電流は垂
直方向に流れる。一方、酸化物超電導体の超電導特性に
は結晶異方性があり、臨界電流密度は、結晶のc軸に垂
直な方向が最大である。従って、超電導チャネルは、水
平方向に大きな電流を流すことができるc軸配向の酸化
物超電導薄膜で構成されていることが好ましく、超電導
ソース領域および超電導ドレイン領域は、垂直方向に大
きな電流を流すことができるa軸配向の酸化物超電導薄
膜で構成されていることが好ましい。
【0007】そのため、従来は、a軸配向、c軸配向ど
ちらか一方の酸化物超電導薄膜を最初に成膜した後、不
要な部分をエッチングし、他方の酸化物超電導薄膜を再
び成膜していた。
ちらか一方の酸化物超電導薄膜を最初に成膜した後、不
要な部分をエッチングし、他方の酸化物超電導薄膜を再
び成膜していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法では、酸化物超電導薄膜のエッチングされた面が荒
れたり、残渣や寸法の変化により超電導特性が変化する
ことがある。また、このような酸化物超電導薄膜に接し
て、配向性の異なる酸化物超電導薄膜を成膜すると、界
面で抵抗成分や不要なジョセフソン接合が生じることが
ある。
方法では、酸化物超電導薄膜のエッチングされた面が荒
れたり、残渣や寸法の変化により超電導特性が変化する
ことがある。また、このような酸化物超電導薄膜に接し
て、配向性の異なる酸化物超電導薄膜を成膜すると、界
面で抵抗成分や不要なジョセフソン接合が生じることが
ある。
【0009】そこで本発明の目的は、上記従来技術の問
題点を解決した超電導電界効果型素子およびその作製方
法を提供することにある。
題点を解決した超電導電界効果型素子およびその作製方
法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に従うと、基板
と、該基板上において酸化物超電導体で構成された超電
導ソース領域および超電導ドレイン領域と、前記基板上
で該超電導ソース領域および超電導ドレイン領域間に配
置され、酸化物超電導体で構成された超電導チャネル
と、該超電導チャネル上にゲート絶縁層を介して配置さ
れ、該超電導チャネルを流れる電流を制御するためのゲ
ート電圧が印加されるゲート電極とを備える超電導電界
効果型素子において、前記基板上に酸化物超電導体と類
似の結晶構造を有する酸化物層を有し、少なくとも前記
超電導ソース領域および前記超電導ドレイン領域が該酸
化物層に接して配置されたa軸配向酸化物超電導薄膜で
構成され、前記超電導チャネルが、c軸配向の酸化物超
電導薄膜で構成されていることを特徴とする超電導電界
効果型素子が提供される。
と、該基板上において酸化物超電導体で構成された超電
導ソース領域および超電導ドレイン領域と、前記基板上
で該超電導ソース領域および超電導ドレイン領域間に配
置され、酸化物超電導体で構成された超電導チャネル
と、該超電導チャネル上にゲート絶縁層を介して配置さ
れ、該超電導チャネルを流れる電流を制御するためのゲ
ート電圧が印加されるゲート電極とを備える超電導電界
効果型素子において、前記基板上に酸化物超電導体と類
似の結晶構造を有する酸化物層を有し、少なくとも前記
超電導ソース領域および前記超電導ドレイン領域が該酸
化物層に接して配置されたa軸配向酸化物超電導薄膜で
構成され、前記超電導チャネルが、c軸配向の酸化物超
電導薄膜で構成されていることを特徴とする超電導電界
効果型素子が提供される。
【0011】また、本発明では上記本発明の超電導電界
効果型素子のより具体的な構成としては、前記酸化物層
が、前記基板上の前記超電導ソース領域および前記超電
導ドレイン領域の両側にそれぞれ配置され、a軸配向の
酸化物超電導薄膜と類似の結晶構造を有し、前記超電導
ソース領域、前記超電導ドレイン領域および前記超電導
チャネルが、前記酸化物層の間に前記酸化物層の側面に
それぞれ接して配置された、両端がa軸配向の領域で、
その間がc軸配向の領域である酸化物超電導薄膜で構成
されていることを特徴とする超電導電界効果型素子が提
供される。
効果型素子のより具体的な構成としては、前記酸化物層
が、前記基板上の前記超電導ソース領域および前記超電
導ドレイン領域の両側にそれぞれ配置され、a軸配向の
酸化物超電導薄膜と類似の結晶構造を有し、前記超電導
ソース領域、前記超電導ドレイン領域および前記超電導
チャネルが、前記酸化物層の間に前記酸化物層の側面に
それぞれ接して配置された、両端がa軸配向の領域で、
その間がc軸配向の領域である酸化物超電導薄膜で構成
されていることを特徴とする超電導電界効果型素子が提
供される。
【0012】さらに本発明においては、上記本発明の超
電導電界効果型素子を作製する方法として、基板上の所
定の素子領域の両端付近に、a軸配向の酸化物超電導体
に類似した結晶構造の酸化物層を互いに離して形成し、
c軸配向の酸化物超電導薄膜が成長する条件で前記両方
の酸化物層にかかるように酸化物超電導薄膜を成膜し、
該酸化物超電導薄膜上の前記酸化物層上の部分を除去し
て前記酸化物層の表面を露出させるとともに該酸化物超
電導薄膜の表面を平坦にし、該酸化物超電導薄膜の中央
部付近上にゲートを設ける工程を含むことを特徴とする
超電導電界効果型素子の作製方法が提供される。
電導電界効果型素子を作製する方法として、基板上の所
定の素子領域の両端付近に、a軸配向の酸化物超電導体
に類似した結晶構造の酸化物層を互いに離して形成し、
c軸配向の酸化物超電導薄膜が成長する条件で前記両方
の酸化物層にかかるように酸化物超電導薄膜を成膜し、
該酸化物超電導薄膜上の前記酸化物層上の部分を除去し
て前記酸化物層の表面を露出させるとともに該酸化物超
電導薄膜の表面を平坦にし、該酸化物超電導薄膜の中央
部付近上にゲートを設ける工程を含むことを特徴とする
超電導電界効果型素子の作製方法が提供される。
【0013】さらにまた本発明においては、本発明の超
電導電界効果型素子の別の構成として、前記酸化物層
が、前記基板上の前記超電導電界効果型素子全体の下側
に配置され、c軸配向の酸化物超電導薄膜と類似の結晶
構造を有し、前記超電導チャネルが、前記酸化物層に一
部食い込んで形成されたc軸配向の酸化物超電導薄膜で
構成され、前記超電導ソース領域および前記超電導ドレ
イン領域が、前記超電導チャネルのそれぞれ両側で前記
酸化物層上に形成されたa軸配向の酸化物超電導薄膜で
構成されていることを特徴とする超電導電界効果型素子
が提供される。
電導電界効果型素子の別の構成として、前記酸化物層
が、前記基板上の前記超電導電界効果型素子全体の下側
に配置され、c軸配向の酸化物超電導薄膜と類似の結晶
構造を有し、前記超電導チャネルが、前記酸化物層に一
部食い込んで形成されたc軸配向の酸化物超電導薄膜で
構成され、前記超電導ソース領域および前記超電導ドレ
イン領域が、前記超電導チャネルのそれぞれ両側で前記
酸化物層上に形成されたa軸配向の酸化物超電導薄膜で
構成されていることを特徴とする超電導電界効果型素子
が提供される。
【0014】上記本発明の超電導電界効果型素子を作製
する方法として、本発明では、前記基板上にc軸配向の
酸化物超電導体に類似した結晶構造の酸化物層を形成
し、該酸化物層上にa軸配向の比較的薄い酸化物超電導
薄膜を形成し、前記超電導チャネルを配置する位置の前
記a軸配向の酸化物超電導薄膜および前記酸化物層の一
部を除去した後、c軸配向の酸化物超電導薄膜が成長す
る条件で、全体の上に酸化物超電導薄膜を形成する工程
を含むことを特徴とする方法が提供される。
する方法として、本発明では、前記基板上にc軸配向の
酸化物超電導体に類似した結晶構造の酸化物層を形成
し、該酸化物層上にa軸配向の比較的薄い酸化物超電導
薄膜を形成し、前記超電導チャネルを配置する位置の前
記a軸配向の酸化物超電導薄膜および前記酸化物層の一
部を除去した後、c軸配向の酸化物超電導薄膜が成長す
る条件で、全体の上に酸化物超電導薄膜を形成する工程
を含むことを特徴とする方法が提供される。
【0015】
【作用】本発明の超電導電界効果型素子は、基板上に酸
化物超電導体と類似の結晶構造を有する酸化物層を有
し、少なくとも超電導ソース領域および超電導ドレイン
領域が該酸化物層に接しているa軸配向酸化物超電導薄
膜で構成され、超電導チャネルが、c軸配向の酸化物超
電導薄膜で構成されているところにその主要な特徴があ
る。本発明の超電導素子において、この酸化物層には、
例えばPr1Ba2Cu3O7-yを使用することが好ましい。これ
は、Pr1Ba2Cu3O7-yが、酸化物超電導体とほぼ等しい結
晶構造を有する非超電導酸化物であり、酸化物超電導体
結晶との格子整合性に特に優れ、酸化物超電導体との間
における相互拡散がほとんど問題にならない程度に少な
いからである。また、Pr1Ba2Cu3O7-y酸化物も酸化物超
電導体と同様にa軸配向およびc軸配向の薄膜が成膜可
能であり、それぞれの薄膜上には、酸化物超電導薄膜が
エピタキシャル成長し易い。酸化物超電導薄膜同士を積
層する場合も同様であるが、c軸配向の薄膜上には、a
軸配向およびc軸配向いずれの薄膜も成膜可能である。
それに対し、a軸配向の薄膜上には、c軸配向の薄膜を
成膜することは難しく、a軸配向の薄膜のみが成膜可能
である。
化物超電導体と類似の結晶構造を有する酸化物層を有
し、少なくとも超電導ソース領域および超電導ドレイン
領域が該酸化物層に接しているa軸配向酸化物超電導薄
膜で構成され、超電導チャネルが、c軸配向の酸化物超
電導薄膜で構成されているところにその主要な特徴があ
る。本発明の超電導素子において、この酸化物層には、
例えばPr1Ba2Cu3O7-yを使用することが好ましい。これ
は、Pr1Ba2Cu3O7-yが、酸化物超電導体とほぼ等しい結
晶構造を有する非超電導酸化物であり、酸化物超電導体
結晶との格子整合性に特に優れ、酸化物超電導体との間
における相互拡散がほとんど問題にならない程度に少な
いからである。また、Pr1Ba2Cu3O7-y酸化物も酸化物超
電導体と同様にa軸配向およびc軸配向の薄膜が成膜可
能であり、それぞれの薄膜上には、酸化物超電導薄膜が
エピタキシャル成長し易い。酸化物超電導薄膜同士を積
層する場合も同様であるが、c軸配向の薄膜上には、a
軸配向およびc軸配向いずれの薄膜も成膜可能である。
それに対し、a軸配向の薄膜上には、c軸配向の薄膜を
成膜することは難しく、a軸配向の薄膜のみが成膜可能
である。
【0016】本発明の超電導電界効果型素子のより具体
的な構成として、基板上の超電導ソース領域および超電
導ドレイン領域の両側にそれぞれa軸配向酸化物超電導
薄膜と類似の結晶構造の前記酸化物層が配置されてい
る。超電導チャネル、超電導ソース領域および超電導ド
レイン領域は、この酸化物層の間にこの酸化物層に接し
て配置された、両端がa軸配向でその間の領域がc軸配
向の酸化物超電導薄膜で構成されている。即ち、この酸
化物超電導薄膜の両端のa軸配向の領域がそれぞれ超電
導ソース領域および超電導ドレイン領域になっており、
その間のc軸配向の領域が超電導チャネルになってい
る。この酸化物超電導薄膜は、上記のa軸配向の領域と
c軸配向の領域とで、配向性が連続的に変化しており、
両者の間に結晶粒界が存在しない。
的な構成として、基板上の超電導ソース領域および超電
導ドレイン領域の両側にそれぞれa軸配向酸化物超電導
薄膜と類似の結晶構造の前記酸化物層が配置されてい
る。超電導チャネル、超電導ソース領域および超電導ド
レイン領域は、この酸化物層の間にこの酸化物層に接し
て配置された、両端がa軸配向でその間の領域がc軸配
向の酸化物超電導薄膜で構成されている。即ち、この酸
化物超電導薄膜の両端のa軸配向の領域がそれぞれ超電
導ソース領域および超電導ドレイン領域になっており、
その間のc軸配向の領域が超電導チャネルになってい
る。この酸化物超電導薄膜は、上記のa軸配向の領域と
c軸配向の領域とで、配向性が連続的に変化しており、
両者の間に結晶粒界が存在しない。
【0017】上記本発明の超電導電界効果型素子では、
超電導チャネル上にゲート絶縁層およびゲート電極を備
えるが、超電導ソース領域および超電導ドレイン領域上
に金属のソース電極およびドレイン電極を備えることも
好ましい。この場合、ソース電極およびドレイン電極
は、それぞれ前記酸化物層から前記酸化物超電導薄膜の
a軸配向の領域にかかるような形状にすることが好まし
い。
超電導チャネル上にゲート絶縁層およびゲート電極を備
えるが、超電導ソース領域および超電導ドレイン領域上
に金属のソース電極およびドレイン電極を備えることも
好ましい。この場合、ソース電極およびドレイン電極
は、それぞれ前記酸化物層から前記酸化物超電導薄膜の
a軸配向の領域にかかるような形状にすることが好まし
い。
【0018】上記本発明の超電導電界効果型素子を作製
する本発明の方法は、前記の両端がa軸配向でその間の
領域がc軸配向の酸化物超電導薄膜を作製するところに
主要な特徴がある。即ち、本発明の方法では、a軸配向
の酸化物超電導薄膜と類似の結晶構造を有する酸化物層
を基板上の所定の素子領域の両端部分に形成し、この基
板上にc軸配向の酸化物超電導薄膜が成長する条件で酸
化物超電導薄膜を成膜する。この酸化物超電導薄膜の上
記の酸化物層上およびこの酸化物層に隣接する領域に成
長した部分はa軸配向になり、基板上に直接成長したc
軸配向の部分と結晶面が連続している。従って、本発明
の方法では、超電導チャネルと、超電導ソース領域およ
び超電導ドレイン領域との間に抵抗成分や不要なジョセ
フソン接合が存在しない超電導素子が作製可能である。
する本発明の方法は、前記の両端がa軸配向でその間の
領域がc軸配向の酸化物超電導薄膜を作製するところに
主要な特徴がある。即ち、本発明の方法では、a軸配向
の酸化物超電導薄膜と類似の結晶構造を有する酸化物層
を基板上の所定の素子領域の両端部分に形成し、この基
板上にc軸配向の酸化物超電導薄膜が成長する条件で酸
化物超電導薄膜を成膜する。この酸化物超電導薄膜の上
記の酸化物層上およびこの酸化物層に隣接する領域に成
長した部分はa軸配向になり、基板上に直接成長したc
軸配向の部分と結晶面が連続している。従って、本発明
の方法では、超電導チャネルと、超電導ソース領域およ
び超電導ドレイン領域との間に抵抗成分や不要なジョセ
フソン接合が存在しない超電導素子が作製可能である。
【0019】一方、本発明の超電導電界効果型素子は、
他の構成とすることもできる。即ち、本発明の超電導電
界効果型素子は、基板上にc軸配向の酸化物超電導体と
類似した結晶構造を有する酸化物層に食い込んで形成さ
れたc軸配向の酸化物超電導薄膜の超電導チャネルと、
この酸化物層上で超電導チャネルの両側に形成されたa
軸配向の酸化物超電導薄膜で構成された超電導ソース領
域および超電導ドレイン領域を備える。
他の構成とすることもできる。即ち、本発明の超電導電
界効果型素子は、基板上にc軸配向の酸化物超電導体と
類似した結晶構造を有する酸化物層に食い込んで形成さ
れたc軸配向の酸化物超電導薄膜の超電導チャネルと、
この酸化物層上で超電導チャネルの両側に形成されたa
軸配向の酸化物超電導薄膜で構成された超電導ソース領
域および超電導ドレイン領域を備える。
【0020】上記本発明の超電導電界効果型素子におい
ては、上記の酸化物層上に酸化物超電導体による超電導
チャネル、超電導ソース領域および超電導ドレイン領域
が配置されているので、それぞれを構成する酸化物超電
導体に基板成分が拡散することがなく、特性が優れてい
る。
ては、上記の酸化物層上に酸化物超電導体による超電導
チャネル、超電導ソース領域および超電導ドレイン領域
が配置されているので、それぞれを構成する酸化物超電
導体に基板成分が拡散することがなく、特性が優れてい
る。
【0021】上記本発明の超電導電界効果型素子を作製
する本発明の方法は、基板上にc軸配向の酸化物超電導
体に類似した結晶構造の酸化物層を形成し、その上にa
軸配向の比較的薄い酸化物超電導薄膜を形成する。この
酸化物超電導薄膜および前記酸化物層の前記超電導チャ
ネルを配置する部分一部を除去した後、c軸配向の酸化
物超電導薄膜が成長する条件で、全体の上に酸化物超電
導薄膜を形成することにより、c軸配向の酸化物超電導
薄膜による超電導チャネル、a軸配向の酸化物超電導薄
膜による超電導ソース領域および超電導ドレイン領域が
同時に形成される。
する本発明の方法は、基板上にc軸配向の酸化物超電導
体に類似した結晶構造の酸化物層を形成し、その上にa
軸配向の比較的薄い酸化物超電導薄膜を形成する。この
酸化物超電導薄膜および前記酸化物層の前記超電導チャ
ネルを配置する部分一部を除去した後、c軸配向の酸化
物超電導薄膜が成長する条件で、全体の上に酸化物超電
導薄膜を形成することにより、c軸配向の酸化物超電導
薄膜による超電導チャネル、a軸配向の酸化物超電導薄
膜による超電導ソース領域および超電導ドレイン領域が
同時に形成される。
【0022】本発明の超電導電界効果型素子には、任意
の酸化物超電導体が使用できるが、Y1Ba2Cu3O7-X系酸
化物超電導体は安定的に高品質の結晶性のよい薄膜が得
られるので好ましい。また、Bi2Sr2Ca2Cu3Ox 系酸化物
超電導体は、特にその超電導臨界温度Tc が高いので好
ましい。また、本発明の超電導電界効果型素子に使用す
る基板としては、MgO、SrTiO3等の絶縁体基板の他、
適当なバッファ層を成膜面上に有するSi等の半導体基板
が使用できる。
の酸化物超電導体が使用できるが、Y1Ba2Cu3O7-X系酸
化物超電導体は安定的に高品質の結晶性のよい薄膜が得
られるので好ましい。また、Bi2Sr2Ca2Cu3Ox 系酸化物
超電導体は、特にその超電導臨界温度Tc が高いので好
ましい。また、本発明の超電導電界効果型素子に使用す
る基板としては、MgO、SrTiO3等の絶縁体基板の他、
適当なバッファ層を成膜面上に有するSi等の半導体基板
が使用できる。
【0023】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく
説明するが、以下の開示は本発明の単なる実施例に過ぎ
ず、本発明の技術的範囲をなんら制限するものではな
い。
説明するが、以下の開示は本発明の単なる実施例に過ぎ
ず、本発明の技術的範囲をなんら制限するものではな
い。
【0024】
【実施例】実施例1 本発明の方法により、本発明の超電導電界効果型素子を
作製した。図1を参照して、その工程を説明する。ま
ず、図1(a)に示すようなMgO基板5上に図1(b)に示す
ようa軸配向のPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜20を成膜す
る。成膜方法としては、各種のスパッタリング法、MB
E法、真空蒸着法、CVD法等任意の方法が使用可能で
ある。オフアクシススパッタリング法で成膜を行う際の
主な成膜条件を以下に示す。 基板温度 680℃ スパッタリングガス Ar 90 % O2 10 % 圧力 10 Pa 膜厚 300nm
作製した。図1を参照して、その工程を説明する。ま
ず、図1(a)に示すようなMgO基板5上に図1(b)に示す
ようa軸配向のPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜20を成膜す
る。成膜方法としては、各種のスパッタリング法、MB
E法、真空蒸着法、CVD法等任意の方法が使用可能で
ある。オフアクシススパッタリング法で成膜を行う際の
主な成膜条件を以下に示す。 基板温度 680℃ スパッタリングガス Ar 90 % O2 10 % 圧力 10 Pa 膜厚 300nm
【0025】次に、このPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜20の
中央部付近を塩素系のエッチングガスを使用した反応性
イオンエッチング、Arイオンミリング、集束イオンビー
ムエッチング等で除去し、図1(c)に示すよう作製する
超電導電界効果型素子の両端の部分のみにPr1Ba2Cu3O
7-y酸化物薄膜22、23が残るようにする。Pr1Ba2Cu3O
7-y酸化物薄膜が除去された部分には基板5が露出して
いる。基板5の露出した部分を清浄にするため、基板5
を圧力1×10-9Torr以下の超高真空中で350〜400℃に加
熱し、5分間保持する。この後、図1(d)に示すよう、
基板5上にやはりオフアクシススパッタリング法で約30
0nm のY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1を成膜する。
主な成膜条件を以下に示す。 基板温度 700℃ スパッタリングガス Ar 90 % O2 10 % 圧力 10 Pa 膜厚 300nm
中央部付近を塩素系のエッチングガスを使用した反応性
イオンエッチング、Arイオンミリング、集束イオンビー
ムエッチング等で除去し、図1(c)に示すよう作製する
超電導電界効果型素子の両端の部分のみにPr1Ba2Cu3O
7-y酸化物薄膜22、23が残るようにする。Pr1Ba2Cu3O
7-y酸化物薄膜が除去された部分には基板5が露出して
いる。基板5の露出した部分を清浄にするため、基板5
を圧力1×10-9Torr以下の超高真空中で350〜400℃に加
熱し、5分間保持する。この後、図1(d)に示すよう、
基板5上にやはりオフアクシススパッタリング法で約30
0nm のY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1を成膜する。
主な成膜条件を以下に示す。 基板温度 700℃ スパッタリングガス Ar 90 % O2 10 % 圧力 10 Pa 膜厚 300nm
【0026】Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1は、a
軸配向のPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜22、23上およびその
近傍の部分32、33がPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜に対して
エピタキシャル成長したためにa軸配向になり、その他
の部分は、基板5に対してエピタキシャル成長してc軸
配向になっている。また、図1(d')の拡大図に示すよ
う、Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1のa軸配向の部
分33(もちろん32の部分も)は、c軸配向の部分と結晶
面が連続している。
軸配向のPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜22、23上およびその
近傍の部分32、33がPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜に対して
エピタキシャル成長したためにa軸配向になり、その他
の部分は、基板5に対してエピタキシャル成長してc軸
配向になっている。また、図1(d')の拡大図に示すよ
う、Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1のa軸配向の部
分33(もちろん32の部分も)は、c軸配向の部分と結晶
面が連続している。
【0027】次に、Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1
を反応性イオンエッチング、Arイオンミリング、集束イ
オンビームエッチング等で図1(e)に示すようエッチバ
ックして、Pr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜22、23と等しい高
さで且つ所要の厚さを有する超電導チャネル10を形成す
る。超電導チャネル10の両端のa軸配向の部分は、超電
導ソース領域2および超電導ドレイン領域3となってい
る。最後に図1(f)に示すよう、超電導ソース領域2お
よび超電導ドレイン領域3上に、それぞれソース電極12
およびドレイン電極13を、超電導チャネル10上にゲート
絶縁層7およびゲート電極4を設けて本発明の超電導電
界効果型素子が完成する。尚、ゲート絶縁層およびゲー
ト電極用の金属層を形成後、ゲート電極をパターニング
する際に、Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1のa軸配
向の部分32、33の不要な部分を除去して、Y1Ba2Cu3O
7-X酸化物超電導薄膜1をPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜2
2、23と等しい高さにしてもよい。
を反応性イオンエッチング、Arイオンミリング、集束イ
オンビームエッチング等で図1(e)に示すようエッチバ
ックして、Pr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜22、23と等しい高
さで且つ所要の厚さを有する超電導チャネル10を形成す
る。超電導チャネル10の両端のa軸配向の部分は、超電
導ソース領域2および超電導ドレイン領域3となってい
る。最後に図1(f)に示すよう、超電導ソース領域2お
よび超電導ドレイン領域3上に、それぞれソース電極12
およびドレイン電極13を、超電導チャネル10上にゲート
絶縁層7およびゲート電極4を設けて本発明の超電導電
界効果型素子が完成する。尚、ゲート絶縁層およびゲー
ト電極用の金属層を形成後、ゲート電極をパターニング
する際に、Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1のa軸配
向の部分32、33の不要な部分を除去して、Y1Ba2Cu3O
7-X酸化物超電導薄膜1をPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜2
2、23と等しい高さにしてもよい。
【0028】以上のように、本発明の方法で作製された
本発明の超電導電界効果型素子は、超電導チャネル10の
部分がc軸配向で、超電導ソース領域2および超電導ド
レイン領域3の部分がa軸配向の酸化物超電導薄膜で構
成されている。従って、超電導チャネル10と、超電導ソ
ース領域2および超電導ドレイン領域3との間に抵抗成
分や不要なジョセフソン接合が存在しない。また、超電
導チャネル10と、超電導ソース領域2および超電導ドレ
イン領域3とがほぼ等しい厚さであるので超電導ソース
領域および超電導ドレイン領域の超電導電流が効果的に
超電導チャネルに絞り込まれ、良好な電流−電圧特性を
示す。
本発明の超電導電界効果型素子は、超電導チャネル10の
部分がc軸配向で、超電導ソース領域2および超電導ド
レイン領域3の部分がa軸配向の酸化物超電導薄膜で構
成されている。従って、超電導チャネル10と、超電導ソ
ース領域2および超電導ドレイン領域3との間に抵抗成
分や不要なジョセフソン接合が存在しない。また、超電
導チャネル10と、超電導ソース領域2および超電導ドレ
イン領域3とがほぼ等しい厚さであるので超電導ソース
領域および超電導ドレイン領域の超電導電流が効果的に
超電導チャネルに絞り込まれ、良好な電流−電圧特性を
示す。
【0029】上記本発明の方法で作製された本発明の超
電導電界効果型素子では、Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導
薄膜およびPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜が、MgO基板上に
直接形成されているが、基板上に予めc軸配向のPr1Ba2
Cu3O7-y酸化物薄膜を形成し、その上にY1Ba2Cu3O7-X
酸化物超電導薄膜およびPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜を形
成することも可能である。
電導電界効果型素子では、Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導
薄膜およびPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜が、MgO基板上に
直接形成されているが、基板上に予めc軸配向のPr1Ba2
Cu3O7-y酸化物薄膜を形成し、その上にY1Ba2Cu3O7-X
酸化物超電導薄膜およびPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜を形
成することも可能である。
【0030】実施例2 本発明の別の方法により、本発明の別の超電導電界効果
型素子を作製した。図2を参照して、その工程を説明す
る。まず、図2(a)に示すようなMgO基板5上に図2(b)
に示すようc軸配向のPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜20を成
膜する。成膜方法としては、各種のスパッタリング法、
MBE法、真空蒸着法、CVD法等任意の方法が使用可
能である。オフアクシススパッタリング法で成膜を行う
際の主な成膜条件を以下に示す。 基板温度 750℃ スパッタリングガス Ar 90 % O2 10 % 圧力 10 Pa 膜厚 300nm
型素子を作製した。図2を参照して、その工程を説明す
る。まず、図2(a)に示すようなMgO基板5上に図2(b)
に示すようc軸配向のPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜20を成
膜する。成膜方法としては、各種のスパッタリング法、
MBE法、真空蒸着法、CVD法等任意の方法が使用可
能である。オフアクシススパッタリング法で成膜を行う
際の主な成膜条件を以下に示す。 基板温度 750℃ スパッタリングガス Ar 90 % O2 10 % 圧力 10 Pa 膜厚 300nm
【0031】次に、このPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜20上
に、図2(c)に示すよう、比較的薄いa軸配向のY1Ba2C
u3O7-X酸化物超電導薄膜11を成膜する。Y1Ba2Cu3O
7-X酸化物超電導薄膜11も任意の方法で成膜可能であ
る。オフアクシススパッタリング法で成膜を行う際の主
な成膜条件を以下に示す。 基板温度 640℃ スパッタリングガス Ar 90 % O2 10 % 圧力 10 Pa 膜厚 100nm このY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜11の成膜は、Pr1B
a2Cu3O7-y酸化物薄膜20の成膜を行った後、基板温度を
下げて連続的に行ってもよい。
に、図2(c)に示すよう、比較的薄いa軸配向のY1Ba2C
u3O7-X酸化物超電導薄膜11を成膜する。Y1Ba2Cu3O
7-X酸化物超電導薄膜11も任意の方法で成膜可能であ
る。オフアクシススパッタリング法で成膜を行う際の主
な成膜条件を以下に示す。 基板温度 640℃ スパッタリングガス Ar 90 % O2 10 % 圧力 10 Pa 膜厚 100nm このY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜11の成膜は、Pr1B
a2Cu3O7-y酸化物薄膜20の成膜を行った後、基板温度を
下げて連続的に行ってもよい。
【0032】次いで、作製する超電導電界効果型素子の
超電導チャネルが配置される部分のY1Ba2Cu3O7-X酸化
物超電導薄膜11を塩素系のエッチングガスを使用した反
応性イオンエッチング、Arイオンミリング、集束イオン
ビームエッチング等でエッチングして除去し、さらにそ
の下のPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜20も合わせて200nm程
エッチングし、図2(d)に示すよう凹部21を形成する。
この後、オフアクシススパッタリング法で250〜300nmの
Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜を成膜する。Y1Ba2Cu
3O7-X酸化物超電導薄膜は、通常の基板上ならばc軸配
向の薄膜となる条件で成膜する。主な成膜条件を以下に
示す。 基板温度 700℃ スパッタリングガス Ar 90 % O2 10 % 圧力 10 Pa 膜厚 300nm
超電導チャネルが配置される部分のY1Ba2Cu3O7-X酸化
物超電導薄膜11を塩素系のエッチングガスを使用した反
応性イオンエッチング、Arイオンミリング、集束イオン
ビームエッチング等でエッチングして除去し、さらにそ
の下のPr1Ba2Cu3O7-y酸化物薄膜20も合わせて200nm程
エッチングし、図2(d)に示すよう凹部21を形成する。
この後、オフアクシススパッタリング法で250〜300nmの
Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜を成膜する。Y1Ba2Cu
3O7-X酸化物超電導薄膜は、通常の基板上ならばc軸配
向の薄膜となる条件で成膜する。主な成膜条件を以下に
示す。 基板温度 700℃ スパッタリングガス Ar 90 % O2 10 % 圧力 10 Pa 膜厚 300nm
【0033】このY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜は、
図2(e)に示すよう、凹部21上に成長する部分はc軸配
向の薄膜になって超電導チャネル10を構成し、a軸配向
のY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜11上に成長する部分
はa軸配向の薄膜になって超電導ソース領域2および超
電導ドレイン領域3を構成する。最後に、ゲート絶縁層
7を10〜15nmのMgOまたは窒化シリコン膜で形成し、超
電導チャネル10上にゲート電極4を、超電導ソース領域
2および超電導ドレイン領域3上に、それぞれソース電
極12およびドレイン電極13を形成して本発明の超電導電
界効果型素子が完成する。
図2(e)に示すよう、凹部21上に成長する部分はc軸配
向の薄膜になって超電導チャネル10を構成し、a軸配向
のY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜11上に成長する部分
はa軸配向の薄膜になって超電導ソース領域2および超
電導ドレイン領域3を構成する。最後に、ゲート絶縁層
7を10〜15nmのMgOまたは窒化シリコン膜で形成し、超
電導チャネル10上にゲート電極4を、超電導ソース領域
2および超電導ドレイン領域3上に、それぞれソース電
極12およびドレイン電極13を形成して本発明の超電導電
界効果型素子が完成する。
【0034】以上のように、本発明の方法で作製された
本発明の超電導電界効果型素子は、超電導チャネル10、
超電導ソース領域2および超電導ドレイン領域3が同時
に成長した酸化物超電導薄膜により構成されているの
で、超電導チャネル10と、超電導ソース領域2および超
電導ドレイン領域3との間に抵抗成分や不要なジョセフ
ソン接合が存在しない。
本発明の超電導電界効果型素子は、超電導チャネル10、
超電導ソース領域2および超電導ドレイン領域3が同時
に成長した酸化物超電導薄膜により構成されているの
で、超電導チャネル10と、超電導ソース領域2および超
電導ドレイン領域3との間に抵抗成分や不要なジョセフ
ソン接合が存在しない。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に従えば、
新規な構成の超電導電界効果型素子およびその作製方法
が提供される。本発明の方法で作製された本発明の超電
導電界効果型素子は、超電導チャネルと、超電導ソース
領域および超電導ドレイン領域との間に抵抗成分や不要
なジョセフソン接合が存在しないので、従来の超電導電
界効果型素子よりも優れた特性を示す。
新規な構成の超電導電界効果型素子およびその作製方法
が提供される。本発明の方法で作製された本発明の超電
導電界効果型素子は、超電導チャネルと、超電導ソース
領域および超電導ドレイン領域との間に抵抗成分や不要
なジョセフソン接合が存在しないので、従来の超電導電
界効果型素子よりも優れた特性を示す。
【図1】本発明の方法で本発明の超電導電界効果型素子
を作製する工程を説明する図である。
を作製する工程を説明する図である。
【図2】本発明の別の方法で本発明の別の超電導電界効
果型素子を作製する工程を説明する図である。
果型素子を作製する工程を説明する図である。
【図3】超電導電界効果型素子の構成を説明する図であ
る。
る。
1 酸化物超電導薄膜 2 超電導ソース領域 3 超電導ドレイン領域 4 ゲート電極 5 基板 7 ゲート絶縁層 10 超電導チャネル
Claims (5)
- 【請求項1】 基板と、該基板上において酸化物超電導
体で構成された超電導ソース領域および超電導ドレイン
領域と、前記基板上で該超電導ソース領域および超電導
ドレイン領域間に配置され、酸化物超電導体で構成され
た超電導チャネルと、該超電導チャネル上にゲート絶縁
層を介して配置され、該超電導チャネルを流れる電流を
制御するためのゲート電圧が印加されるゲート電極とを
備える超電導電界効果型素子において、前記基板上に酸
化物超電導体と類似の結晶構造を有する酸化物層を有
し、少なくとも前記超電導ソース領域および前記超電導
ドレイン領域が該酸化物層に接して配置されたa軸配向
酸化物超電導薄膜で構成され、前記超電導チャネルが、
c軸配向の酸化物超電導薄膜で構成されていることを特
徴とする超電導電界効果型素子。 - 【請求項2】 請求項1に記載の超電導電界効果型素子
において、前記酸化物層が、前記基板上の前記超電導ソ
ース領域および前記超電導ドレイン領域の両側にそれぞ
れ配置され、a軸配向の酸化物超電導薄膜と類似の結晶
構造を有し、前記超電導ソース領域、前記超電導ドレイ
ン領域および前記超電導チャネルが、前記酸化物層の間
に前記酸化物層の側面にそれぞれ接して配置された、両
端がa軸配向の領域で、その間がc軸配向の領域である
酸化物超電導薄膜で構成されていることを特徴とする超
電導電界効果型素子。 - 【請求項3】 請求項2に記載の超電導電界効果型素子
を作製する方法において、基板上の所定の素子領域の両
端付近に、a軸配向の酸化物超電導体に類似した結晶構
造の酸化物層を互いに離して形成し、c軸配向の酸化物
超電導薄膜が成長する条件で前記両方の酸化物層にかか
るように酸化物超電導薄膜を成膜し、該酸化物超電導薄
膜上の前記酸化物層上の部分を除去して前記酸化物層の
表面を露出させるとともに該酸化物超電導薄膜の表面を
平坦にし、該酸化物超電導薄膜の中央部付近上にゲート
を設ける工程を含むことを特徴とする超電導電界効果型
素子の作製方法。 - 【請求項4】 請求項1に記載の超電導電界効果型素子
において、前記酸化物層が、前記基板上の前記超電導電
界効果型素子全体の下側に配置され、c軸配向の酸化物
超電導薄膜と類似の結晶構造を有し、前記超電導チャネ
ルが、前記酸化物層に一部食い込んで形成されたc軸配
向の酸化物超電導薄膜で構成され、前記超電導ソース領
域および前記超電導ドレイン領域が、前記超電導チャネ
ルのそれぞれ両側で前記酸化物層上に形成されたa軸配
向の酸化物超電導薄膜で構成されていることを特徴とす
る超電導電界効果型素子。 - 【請求項5】 請求項4に記載の超電導電界効果型素子
を作製する方法において、前記基板上にc軸配向の酸化
物超電導体に類似した結晶構造の酸化物層を形成し、該
酸化物層上にa軸配向の比較的薄い酸化物超電導薄膜を
形成し、前記超電導チャネルを配置する位置の前記a軸
配向の酸化物超電導薄膜および前記酸化物層の一部を除
去した後、c軸配向の酸化物超電導薄膜が成長する条件
で、全体の上に酸化物超電導薄膜を形成する工程を含む
ことを特徴とする方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
CA002084983A CA2084983C (en) | 1991-12-10 | 1992-12-09 | Superconducting device having an extremely thin superconducting channel formed of oxide superconductor material and method for manufacturing the same |
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