JPH05250657A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH05250657A
JPH05250657A JP4726892A JP4726892A JPH05250657A JP H05250657 A JPH05250657 A JP H05250657A JP 4726892 A JP4726892 A JP 4726892A JP 4726892 A JP4726892 A JP 4726892A JP H05250657 A JPH05250657 A JP H05250657A
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JP
Japan
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film
coating layer
monomer
recording medium
magnetic recording
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Withdrawn
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JP4726892A
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English (en)
Inventor
Katsuro Kuze
勝朗 久世
Tadashi Tahoda
多保田  規
Akito Hamano
明人 濱野
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 帯電防止性に優れた磁気記録媒体を提供す
る。 【構成】 熱可塑性ポリエステル基材フィルムと、ポリ
エステルフィルムの片面に設けられた塗布層と、該ポリ
エステル基材フィルムの該塗布層が設けられている面と
反対面に設けられている磁性層とを含有する磁気記録媒
体であり、塗布層は、水溶性イオン導電性樹脂(A)お
よび熱架橋性単量体(B)を含有する組成物からなる。
水溶性イオン導電性樹脂(A)は、カチオン型の第4級
アンモニウム塩基を有し、かつ末端にビニル基を有する
単量体(X)、1個の水酸基を有するビニル単量体
(Y)、および単量体(X)およびビニル単量体(Y)
と共重合可能な他のビニル単量体(Z)を構成成分とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体に関し、よ
り詳しくは、帯電防止性が良好な磁気記録媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムは、高い結晶性、
優れた透明光沢性、力学的性質、耐薬品性、耐熱性を有
することから広範囲な用途に使用されている。
【0003】しかし、ポリエステルフィルムは、高い電
気絶縁性を有しているため、静電気の発生および蓄積を
生じ易く、その結果、静電気による種々の障害が発生し
ている。例えば、製膜工程や印刷、接着、製袋、包装、
その他二次加工工程等において、静電気の発生は、例え
ばポリエステルフィルムのロールへの巻き付け作業に影
響を与え、その結果、作業能率を低下させたり、作業を
困難にしたりする。人体へ電気ショックを与えるという
問題もあり、さらに印刷を行った場合には、いわゆる印
刷ヒゲが生じ、あるいはフィルム表面の汚れが起こり、
その結果、商品価値の低下をもたらす。
【0004】一般に、静電気による障害を防止する方法
として、帯電防止剤を樹脂中に練り込み、これをフィル
ム製膜する方法がある。この方法においては、フィルム
内部より帯電防止剤が表面ににじみ出ることによって帯
電防止効果が得られる。
【0005】ところが、上記の方法では、樹脂がポリエ
ステルの場合、二次転移温度が高いために、帯電防止剤
を練り込んだポリエステルをフィルム製膜後、常温付近
の温度で放置しても帯電防止剤のフィルム表面へのしみ
出しが行われない。一方、ポリエステルのフィルム製膜
温度条件が高いことや、ポリエステルの有する極性基の
高い反応性のために、帯電防止剤の配合による製膜時の
重合体の劣化や、着色および物理的性質の低下をもたら
すなどの問題があった。特に、二軸延伸したポリエステ
ルフィルムの場合、延伸工程でフィルム表面上に存在す
る帯電防止剤が逃散消失するため、全く帯電防止効果を
示さない場合が多い。さらに帯電防止剤のうちの多くは
ポリエステルフィルムへの配合によってフィルムの透明
性を極度に低下させるため実用に供し難い。
【0006】静電気による障害を防止する別の方法とし
て、フィルム表面にアニオン性化合物またはカチオン性
化合物等の帯電防止剤を塗布する方法がある。このよう
なタイプの二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法と
しては、帯電防止剤を含む塗布液をポリエステルフィル
ムに塗布後、該フィルムを延伸、熱処理する塗布延伸法
(インラインコート法)が知られている。この方法は、
二軸延伸後のポリエステルフィルムに塗布液を塗布して
塗布層を形成する方法と比較して、製膜されたフィルム
に塗布液が塗布された後延伸がなされるため、幅広の製
品が比較的に安価に得られるだけでなく、かつ塗布層と
基材のポリエステルフィルムが密着性が良い。
【0007】ところが、インラインコート法により帯電
防止剤が塗布されたポリエステルフィルムを製造する場
合には、一般に帯電防止剤が熱的に不安定なため、延
伸、熱処理工程で揮散あるいは熱分解が生じ、期待され
た帯電防止効果が発揮されない場合が多い。
【0008】従って、熱安定性の良好なアニオン型やノ
ニオン型の化合物をバインダー樹脂と混ぜてポリエステ
ルフィルム上に塗布する方法が採用されてきた。しか
し、アニオン型やノニオン型の帯電防止剤は環境の湿度
の影響が大きく、高湿度下では実用的な帯電防止性を発
揮するが、低湿度下では帯電防止性が低下するという問
題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点を解
決しようとするものであり、その目的は、帯電防止性に
優れた磁気記録媒体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体
は、熱可塑性ポリエステル基材フィルムと、該ポリエス
テル基材フィルムの片面に設けられた塗布層と、該ポリ
エステル基材フィルムの該塗布層が設けられている面と
反対面に設けられている磁性層とを含有する磁気記録媒
体であって、該塗布層が水溶性イオン導電性樹脂(A)
および熱架橋性単量体(B)を含有する組成物からな
り、該水溶性イオン導電性樹脂(A)が、カオチン型の
第4級アンモニウム塩基を有し、かつ末端にビニル基を
有する単量体(X)、1個の水酸基を有するビニル単量
体(Y)、および該単量体(X)および該ビニル単量体
(Y)と共重合可能な他のビニル単量体(Z)を構成成
分とし、そのことにより上記課題が達成される。
【0011】本発明の磁気記録媒体は、熱可塑性ポリエ
ステル基材フィルムと、該基材フィルム上の片面に形成
された塗布層と、該基材フィルムの反対側の面に形成さ
れた磁性層とを含有する。
【0012】上記熱可塑性ポリエステル基材フィルム
は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体
と、ジオールまたはそのエステル形成誘導体とから合成
される線状飽和ポリエステルよりなる。このようなポリ
エステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シク
ロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等がある。
上記ポリエステルには少量であれば他の成分が共重合に
より含有されていてもよい。基材フィルムは、上記ポリ
エルテルと他の樹脂とのブレンドで構成されていてもよ
い。
【0013】この上記ポリエステル基材フィルム中に
は、滑り性を良くするために少量の無機または有機の微
粒子が含有されていてもよい。上記無機微粒子として
は、シリカ、カオリン、アルミナ、酸化チタン、炭酸カ
ルシウム、硫酸バリウム等が挙げられ、上記有機微粒子
としては、シリコーン、アクリル樹脂、ベンゾグアミ
ン、テフロン、エポキシ樹脂等が挙げられる。上記の無
機または有機微粒子の粒径は、0.01〜5μmが適当
である。
【0014】上記ポリエステルは、常法により溶融押出
してフィルム状にし、さらに縦および横方向に二軸延伸
して配向結晶化させ加熱処理により結晶化を行うことに
より、ポリエステル基材フィルムとされる。
【0015】上記塗布層は、水溶性イオン導電性樹脂
(A)および熱架橋性単量体(B)と含有する組成物か
らなる。
【0016】上記水溶性イオン導電性樹脂(A)は、カ
チオン型の第4級アンモニウム塩基を有し、かつ末端に
ビニル基を有する単量体(X)、1個の水酸基を有する
ビニル単量体(Y)、および前記単量体(X)および前
記ビニル単量体(Y)と共重合可能な他のビニル単量体
(Z)を構成成分とする樹脂である。
【0017】上記のカチオン型の第4級アンモニウム塩
基および末端にビニル基を有する単量体(X)として
は、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート4級化
物、ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物、ジ
エチルアミノエチルアクリレート4級化物、ジエチルア
ミノエチルメタクリレート4級化物、メチルエチルアミ
ノエチルアクリレート4級化物、メチルエチルアミノエ
チルメタクリレート4級化物、ジメチルアミノスチレン
4級化物、メチルエチルアミノスチレン4級化物等が挙
げられる。上記の単量体(X)は、単独でも、あるいは
2種類以上を混合して使用することもできる。
【0018】上記1個の水酸基をビニル単量体(Y)と
しては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
上記のビニル単量体(Y)は、単独でも、あるいは2種
類以上を混合して使用することもできる。
【0019】上記単量体(X)および上記単量体(Y)
と共重合可能な他のビニル単量体(Z)としては、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、
アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキ
ルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル
等のメタクリル酸アルキルエステル;スチレン、ビニル
トルエン等のスチレン誘導体;酢酸ビニル等が挙げられ
る。上記のビニル単量体(Z)は、単独でもあるいは2
種類以上を混合して使用することもできる。
【0020】上記イオン導電性樹脂(A)中の上記単量
体(X)と、上記ビニル単量体(Y)と、上記ビニル単
量体(Z)との重合比は、モル比で(Y+Z)/Xが2
/1〜5/1の範囲が好ましい。この重合比が5/1を
超える場合、上記単量体(X)の重合比が小さくなるた
め、得られるイオン導電性樹脂(A)の水溶性が低下
し、このようなイオン導電性樹脂(A)を用いても帯電
防止性に優れた磁気記録媒体を得ることができない場合
がある。この重合比が2/1未満の場合、得られるイオ
ン導電性樹脂(A)を用いた塗布層の耐水性が低下する
ため、得られる磁気記録媒体のブロッキングが増加した
り、塗布層がべたついたりする傾向にある。
【0021】さらに、上記イオン導電性樹脂(A)中の
(X+Z)/Yの重合比は、モル比で10/1〜15/
1の範囲が好ましい。この重合比が15/1を超える場
合、上記ビニル単量体(Y)の重合比が小さくなるた
め、得られるイオン導電性樹脂(A)に熱架橋性単量体
(B)を添加した場合、得られる塗布層の架橋度が不足
するため、塗布層の耐水性および耐溶剤性が低下する傾
向にある。この重合比が10/1未満の場合、上記ビニ
ル単量体(Y)の重合比が大きくなるため、得られるイ
オン導電性樹脂(A)を用いた塗布層の耐水性および耐
溶剤性が低下する傾向にある。
【0022】水溶性イオン導電性樹脂は、上記カオチン
型の第4級アンモニウム塩基を有し、かつ末端にビニル
基を有する単量体(X)、1個の水酸基を有するビニル
単量体(Y)、および前記単量体(X)および前記ビニ
ル単量体(Y)と共重合可能な他のビニル単量体(Z)
を常法により共重合させることにより得られる。
【0023】上記熱架橋性単量体(B)は、具体的には
2〜4個のグリシジル基を有する化合物である。このよ
うな化合物としては、例えば、エチレングリコールジグ
リシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、
ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセ
ロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパ
ンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシ
ジルエーテル等が挙げられる。上記熱架橋性単量体
(B)は、単独でも、あるいは2種以上を混合して使用
することもできる。
【0024】上記塗布層の組成物中の、イオン導電性樹
脂(A)と熱架橋性単量体(B)との含有比は、重量比
で(A)/(B)が70/30〜97/3の範囲が好ま
しい。含有比が70/30未満の場合、熱架橋性単量体
(B)の含有量が多いため、得られる塗布層の耐水性お
よび耐溶剤性は向上する。しかし、帯電防止性が悪化し
たり、未延伸あるいは一軸延伸のポリエステル基材フィ
ルムにこの組成物を塗布後、延伸処理を行おうとする場
合、塗布層の延展性が低下する傾向にある。含有比が9
7/3を超える場合、熱架橋性単量体(B)の含有量が
少ないため、架橋反応性が低下し、その結果、塗布層の
耐水性および耐溶剤性が悪化したり、さらに塗布層の延
展性が低下したり、帯電防止性が悪化する傾向にある。
【0025】上記イオン導電性樹脂(A)および熱架橋
性単量体を含む組成物中には、上記熱架橋性単量体
(B)の架橋反応を促進させるために、架橋硬化剤等が
少量含有されることが好ましい。上記架橋硬化剤として
は、有機もしくは無機の塩基性化合物があり、塩基性有
機化合物としては、例えば、アミン、ポリアミン、アミ
ドアミン、ポリアミドアミン、イミダゾールもしくはこ
れらの誘導体等;塩基性無機化合物としては、アルカリ
金属炭酸塩等が挙げられる。
【0026】さらに、必要に応じて、上記組成物に他の
架橋剤、触媒、助溶媒等を含有させることもできる。ま
た、本発明の目的を阻害しない限り、紫外線吸収剤、顔
料、前記以外の有機微粒子または無機微粒子、潤滑剤、
ブロッキング防止剤等を含有させてもよい。上記組成物
にポリエステル以外の他のバインダー樹脂を併用し、形
成される塗布層とポリエステル基材フィルムとの接着性
を向上させ、あるいは得られる磁気記録媒体のブロッキ
ングを低下させることも可能である。
【0027】上記塗布層を構成する組成物の各成分は、
溶媒に溶解もしくは分散され、ポリエステル基材フィル
ム上に塗布される。上記溶媒は、上記イオン導電性樹脂
(A)が水溶性であるため水が好ましい。ポリエステル
との濡れ性を改良する等の目的でアルコール等の水と混
和する有機溶剤を水と併用してもよい。また、イオン導
電性樹脂(A)を界面活性剤等の乳化剤、分散剤を用い
てエマルジョン又は水分散体として用いることも考えら
れるが、界面活性剤は得られる塗布層の耐水性、ポリエ
ステル基材フィルムとの接着性を低下させるため、好ま
しくない。
【0028】ポリエステル基材フィルム(後述のように
未延伸フィルムであっても一軸延伸されていてもよい)
上に上記組成物からなる塗布液を塗布するには、公知の
方法が適用できる。例えば、スプレーコート法、エアー
ナイフ法、リバースコート、キスコート、グラビアコー
トなどのロールコート法、マイヤーバー法等が適用でき
る。
【0029】ポリエステル基材フィルムに塗布される上
記組成物の塗布量は、二軸延伸後のフィルム上に存在す
る量が固形分として0.01〜5g/m2の範囲である
ことが好ましく、0.05〜0.5g/m2の範囲であ
る場合がより好ましい。塗布量が0.01g/m2未満
の場合、得られる磁気記録媒体の帯電防止性が充分でな
く、またポリエステル基材フィルムとの接着性が充分で
ない場合がある。塗布量が5g/m2を超える場合、塗
布層の乾燥性が悪く、かつ得られる磁気記録媒体のブロ
ッキングが増加する。
【0030】上記組成物の溶液は、ポリエステルが溶融
押出されて得られた未延伸フィルム、あるいは縦または
横一軸延伸後のフィルムに塗布されるのが好ましい。二
軸延伸フィルムは、フィルムが幅広になっており、かつ
フィルムの走行速度が速くなっているため均一に塗布し
にくい。二軸延伸、熱固定後のポリエステル基材フィル
ムは、その表面が高度に結晶化されているため、塗布層
との接着性が不充分になりやすい。
【0031】上記組成物の溶液の塗布前に、例えば、上
記ポリエステル基材フィルムにコロナ放電処理を施すな
ど、溶液の塗布性を改良することが可能であり、さらに
ポリエステルフィルムと塗膜との間の接着性を改善する
等のための手段を採用することができる。
【0032】また塗布後あるいは二軸延伸完了後の塗膜
層にコロナ放電処理、窒素雰囲気下でのコロナ放電処
理、紫外線照射処理などを施すことによってフィルム表
面の濡れ性や接着性を向上させることも可能である。
【0033】次に、上記ポリエステル基材フィルムの塗
布層が設けられている面と反対の面に磁性層を付与する
ことにより、本発明の磁気記録媒体が得られる。
【0034】上記磁性層は磁性粉とバインダー樹脂とを
含有する。上記磁性粉としては、従来から、ビデオテー
プ、オーディオテープ、フロッピーディスク等の磁性層
として用いられている材料、あるいは従来より知られて
いる材料が挙げられる。例えば、酸化鉄、酸化クロム、
バリウムフェライト等の強磁性粉が挙げられる。上記バ
インダー樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、
酸化ビニル−塩化ビニル共重合体、ニトロセルロース等
が挙げられる。上記磁性粉を上記バインダー樹脂中に分
散させた塗布液をポリエステル基材フィルム上に塗布す
ることにより磁性層が形成される。
【0035】上記磁性層は、Ni、Fe、Co等の金属
を含む合金をポリエステル基材フィルム表面に蒸着ある
いはスパッタリング等の手段で形成してもよい。
【0036】
【作用】本発明の磁気記録媒体は、熱可塑性ポリエステ
ル基材フィルムの片面に水溶性イオン導電性樹脂(A)
を組成物として含有する塗布層を有するため、塗布層表
面に帯電防止性が付与される。さらに、熱可塑性ポリエ
ステル基材フィルムの塗布層が設けられている面と反対
側に設けられている磁性層表面にも帯電防止性が付与さ
れる。これは、水溶性イオン導電性樹脂(A)の誘電効
果によるものと考えられる。従って、静電気による種々
の障害を防止することができる。
【0037】このように、磁性層表面が帯電防止性を有
するため、磁性層に含有される帯電防止剤、例えば、カ
ーボンブラックの使用量を大幅に減量することができ、
その結果、磁性粉の含有量を多くすることができ、磁気
記録密度を上げることができる。
【0038】塗布層の組成物中には熱架橋性樹脂(B)
が含有されるため、該塗布層は耐溶剤性に優れ、その結
果、磁性層を形成するときの磁性層塗布液中の溶剤によ
り、帯電防止性能が低下するということがない。
【0039】さらに、塗布層の帯電防止性は湿度に依存
せず、低湿度においても塗布層が優れた帯電防止効果を
有するため、特に冬場における磁性層形成作業工程等、
従来、多くのトラブルを発生していた環境下においても
その作業性が向上する。
【0040】
【実施例】次に本発明を実施例および比較例を挙げて説
明する。
【0041】本発明に用いる測定方法および評価方法を
以下に示す。
【0042】1)接着性 ポリエステル基材フィルムに下記磁性層塗布液を所定の
条件でコーティングし、塗布面にスコッチテープNo−
610(幅10mm、長さ10cm;3M社製)を気泡
の入らないよう張り付けた。この上をロールでならし、
23℃、50%RHの条件下でテンシロン(東洋ボール
ドウィン社製)を用いて、引張速度1000cm/分で
このテープを360°剥離をし、剥離強度を求めた。な
お、この剥離操作においては接着部分は5cmとし、チ
ャック間は8cmとした。
【0043】2)表面固有抵抗 固有抵抗測定器(タケダ理研社製)で印加電圧500
V、23℃、50%RHの条件下で測定した。
【0044】3)帯電減衰性 スタティックディケィメーター(米国ETS社製)を用
いて、23℃、35%RHの条件下で、電極間に試料を
はさみ、5.0kVの電圧を強制印加し、荷電圧が5.
0kVになったところで電極をアースした。アースして
から荷電圧が0.05kVになるまでの減衰時間t99
測定した。
【0045】(実施例1)常法により、メチルメタアク
リレート、エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル
メタクリレートおよびジメチルアミノエチルメタクリレ
ート4級化物を、重量組成比として47:21:7:2
5の割合で共重合して共重合体溶液を得た。この共重合
体溶液に、グリセロールポリグリシジルエーテルを、上
記共重合体溶液のの固形分100重量部に対して4重量
部添加し、さらに架橋硬化剤として2−メチルイミダゾ
ールを前記グリセロールポリグリシジルエーテル100
重量部に対して2.5重量部添加し、攪拌混合して塗布
層組成物を得た。得られた組成物を水/イソプロピルア
ルコール1/1(重量比)の混合溶液で希釈し、固形分
7重量%の塗布層組成物溶液を得た。
【0046】平均粒径が0.8μmの炭酸カルシウムを
2500ppmを含む極限粘度0.65のポリエチレン
テレフタレートを290℃で溶融押出して、15℃の冷
却ロールで冷却して未延伸フィルムを得た。この未延伸
フィルムを周速の異なる85℃の一対のロール間で縦方
向に3.5倍延伸した。その後、上記塗布層組成物の溶
液を、ロールコート法で二軸延伸後の固形分量が0.2
g/m2になるように塗布し、70℃の熱風で乾燥させ
た。次いで、このフィルムをテンターで98℃で横方向
に3.5倍延伸した後、さらに200〜210℃で熱固
定を行うことにより、厚さ14μmの塗布層を有する二
軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0047】次に、下記成分をボールミルで約12時間
混合分散させた。
【0048】 Co−r−Fe23 100重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 15重量部 ウレタン変性飽和ポリエステル樹脂 15重量部 α−アルミナ 3重量部 カーボンブラック 1重量部 トルエン 105重量部 メチルエチルケトン 105重量部 シクロヘキサノン 105重量部 次いで、この混合物にパルミチン酸1重量部、ドデシル
ステアレート2重量部、オレイン酸2重量部を加え、さ
らに30分間混合し分散させた。さらに、この混合物に
トリイソシアネート化合物の酢酸エチル溶液(75重量
%)10重量部を加え、1時間混合分散することにより
磁性層塗布液を調製した。この磁性層塗布液を乾燥後の
厚さで3μmとなるように上記ポリエステルフィルムの
塗布層が設けられている面と反対側の面上に塗布した
後、磁場配向処理を施した。その後、これを60℃で乾
燥し、次いでカレンダー処理を行った。さらに、60℃
で72時間エージングし硬化反応させることにより磁性
層を形成し、磁気記録媒体を得た。この磁気記録媒体に
ついて上記各項目の試験を行った。その結果を表2に示
す。後述の実施例2〜5および比較例1〜4についても
同様である。
【0049】(実施例2〜5)実施例1の塗布層を表1
に示す組成としたこと以外は実施例1と同様にして磁気
記録媒体を得た。
【0050】(実施例6)実施例1と同様の未延伸フィ
ルムに、実施例1と同じ塗布層組成物溶液をキスコート
法で、二軸延伸後の固型分量が0.15g/m2となる
ように塗布した。次いで、このフィルムを90℃の余熱
ゾーンに通し、その後、100℃で横方向に3.2倍延
伸し、更に周速の異なる85℃の一対のロール間で縦方
向に4.2倍延伸した。次いで、200〜210℃で熱
固定することにより、厚さ7μmの塗布層を有する二軸
延伸コーティングポリエステルフィルムを得た。このフ
ィルムに実施例1と同様にして磁性層を形成し、磁気記
録媒体を得た。
【0051】(比較例1〜2)実施例1の塗布層を表1
に示す組成としたこと以外は実施例1と同様にして磁気
記録媒体を得た。
【0052】(比較例3)比較例2の水溶性イオン導電
性樹脂(A)と、スルホン酸ナトリウム塩を含有する市
販のアニオン系帯電防止剤との8:2(重量比)の混合
物を塗布層の組成物としたこと以外は、実施例1と同様
にして磁気記録媒体を得た。
【0053】(比較例4)塗布層組成物溶液を塗布しな
かったこと以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を
得た。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】表2より、実施例1〜6で得られた磁気記
録媒体は、塗布層面および磁性層面共に帯電減衰時間が
短く、帯電防止性に優れていることがわかる。
【0057】
【発明の効果】以上の説明が明らかなように、本発明の
磁気記録媒体は帯電防止性に優れるため、コンピュータ
ー、オーディオ、ビデオ、計測用等に使用されている磁
気テープ、磁気ディスク、磁気カードなどに好適であ
る。
【0058】特に、磁気テープとして使用した場合、走
行時の帯電が防止でき、走行不良や帯電による付着塵に
よる障害の低下が期待でき、好適に用いることができ
る。
【0059】また、磁性層表面にも帯電防止性を付与で
きるので、磁性層中に帯電防止剤として混合するカーボ
ンブラックの量を低減させることが可能であり、あるい
は帯電防止剤を添加する必要がなくなるので、磁気記録
密度を上げることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年6月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】 上記熱可塑性ポリエステル基材フィルムは、芳香族ジカ
ルボン酸またはそのエステル形成誘導体と、ジオールま
たはそのエステル形成誘導体とから合成される線状飽和
ポリエステルよりなる。このようなポリエステルの具体
例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジ
メチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレート等がある。上記ポリエステ
ルには少量であれば他の成分が共重合により含有されて
いてもよい。基材フィルムは、上記ポリエテルと他の
樹脂とのブレンドで構成されていてもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】 さらに、必要に応じて、上記組成物に他の架橋剤、触
媒、助溶媒等を含有させることもできる。また、本発明
の目的を阻害しない限り、紫外線吸収剤、顔料、前記以
外の有機微粒子または無機微粒子、潤滑剤、ブロッキン
グ防止剤等を含有させてもよい。上記組成物にポリエス
テルの他のバインダー樹脂を併用し、形成される塗布
層とポリエステル基材フィルムとの接着性を向上させ、
あるいは得られる磁気記録媒体のブロッキングを低下さ
せることも可能である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】 ポリエステル基材フィルムに塗布される上記組成物の塗
布量は、二軸延伸後のフィルム上に存在する量が固形分
として0.01〜5g/m2の範囲であることが好まし
く、0.05〜0.5g/m2の範囲である場合がより
好ましい。塗布量が0.01g/m2未満の場合、得ら
れる磁気記録媒体の帯電防止性が充分でない。塗布量が
5g/m2を超える場合、塗布層の乾燥性が悪く、かつ
得られる磁気記録媒体のブロッキングが増加する。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性ポリエステル基材フィルムと、該
    ポリエステル基材フィルムの片面に設けられた塗布層
    と、該ポリエステル基材フィルムの該塗布層が設けられ
    ている面と反対面に設けられている磁性層とを含有する
    磁気記録媒体であって、 該塗布層が水溶性イオン導電性樹脂(A)および熱架橋
    性単量体(B)を含有する組成物からなり、 該水溶性イオン導電性樹脂(A)が、カオチン型の第4
    級アンモニウム塩基を有し、かつ末端にビニル基を有す
    る単量体(X)、1個の水酸基を有するビニル単量体
    (Y)、および該単量体(X)および該ビニル単量体
    (Y)と共重合可能な他のビニル単量体(Z)を構成成
    分とする、 磁気記録媒体。
JP4726892A 1992-03-04 1992-03-04 磁気記録媒体 Withdrawn JPH05250657A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017159533A (ja) * 2016-03-09 2017-09-14 三菱ケミカル株式会社 積層ポリエステルフィルム
JP2017160318A (ja) * 2016-03-09 2017-09-14 三菱ケミカル株式会社 積層ポリエステルフィルムの製造方法
CN110396362A (zh) * 2019-08-10 2019-11-01 蚌埠市正园电子科技有限公司 一种变压器生产用具有防雷击功能的涂料

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