JPH0524953U - 燃料噴射装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ディーゼルエンジンの電子制御電磁弁式ユニ
ットインジェクタの、電磁弁の開弁応答能力を向上す
る。 【構成】 燃料噴射ノズルに接続している燃料逃がし通
路１５と、燃料タンクへの燃料戻し通路１７との間に、
設けた電磁弁装置３０を、ソレノイド３１、弁３２、弁
３２を開方向に付勢するばね３３、ソレノイド３１と弁
３２とを連結するロッド３７により構成する。弁３２は
直径Ｄ１の弁棒３４と、細い首部３５を介して先端に設
けたＤ１より大きい直径Ｄ２のバルブシート３６とより
形成する。電磁弁装置本体４０には弁３２を嵌入する直
径Ｄ１の弁穴４１を穿設し、下部にはＤ１より大きく、
Ｄ２より小さい直径Ｄ３の段付穴４３を設け、下端に弁
座４２を設ける。燃料噴射時、即ち、弁３２閉弁時に
は、弁３２に開弁方向にばね３３の力と、Ｄ３とＤ１と
の面積差に高圧燃料圧力がかかった力が加わり、ばね３
３の初期荷重を大きくしたのと同一の効果を発揮して開
弁応答能力を向上する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ディーゼルエンジンに燃料を供給する燃料噴射装置、特にはユニッ トインジェクタの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図２は従来の燃料噴射装置（ユニットインジェクタ）の模式図であり、１は機 関に同期して回転するカム、１１は燃料加圧用のプランジャ、１２はプランジャ １１をカム１側に付勢しているばね、１３は圧力室、１４はノズル２０への噴射 燃料通路、１５は燃料逃がし通路である。ノズル２０はニードル弁２１と、ばね ２２と、弁座２３および噴口２４とからなっており、ばね２２でニードル弁２１ を弁座２３に圧接している。１６は図示されないフィードポンプからの燃料供給 路であり、燃料逃がし通路１５および図示されない燃料タンクに連通している燃 料戻し通路１７と連通している。

【０００３】 燃料逃がし通路１５と燃料供給路１６および燃料戻し通路１７との間には電磁 弁装置３０が介装されている。電磁弁装置３０は図５の詳細図に示すように、ソ レノイド３１と、弁３２と、ばね３３とからなっている。弁３２の直径Ｄ１の弁 棒３４の先端にはＤ１より細い首部３５を介して、Ｄ１よりも大きい直径Ｄ２の バルブシート３６が設けられている。弁棒３４は電磁弁装置本体４０に穿設され た弁穴４１に滑動自在に嵌入されている。弁穴４１の先端部には弁座４２が形成 されており、バルブシート３６と密接するようになっている。弁３２はロッド３ ７によってソレノイド３１に連結しており、ばね３３は弁３２を開弁方向に付勢 している。ソレノイド３１が作動すると弁３２は引き上げられてバルブシート３ ６は弁座４２に当接し、燃料逃がし通路１５と燃料戻し通路１７との連絡通路を 閉じるようになっている。

【０００４】 次に燃料噴射装置の作動について説明する。図２はプランジャ１１が一番上に ある状態で、電磁弁装置３０の弁３２は開弁状態にあり、フィードポンプから燃 料供給路１６を経て送られた燃料は燃料逃がし通路１５を経て圧力室１３を満た すと同時に、燃料戻し通路１７から燃料タンクに戻される。

【０００５】 図３に示すように、カム１を回転させるとプランジャ１１は下降する。このと きソレノイド３１を作動させて弁３２を引き上げ、バルブシート３６を弁座４２ に当接させて燃料逃がし通路１５と燃料戻し通路１７との連絡通路を閉じると圧 力室１３の燃料圧力は上昇し、噴射燃料通路１４の燃料は高圧となり、ニードル 弁２１の先端に上向きかかる力がばね２２の設定荷重より大きくなるとニードル 弁２１は弁座２３から離れ、高圧の燃料は噴口２４から噴射する。

【０００６】 プランジャ押し下げ行程において、燃料噴射後、図４に示すようにソレノイド ３１の作動を停止すると、弁３２はばね３３の力によって開弁し、燃料逃がし通 路１５と燃料戻し通路１７とが連通し、噴射燃料通路１４の燃料圧力は低下して 噴射は完了する。以上のごとく、燃料噴射量と噴射時期とはソレノイド３１によ る弁３２の開閉によって制御される。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

上記のごとく、燃料噴射完了はソレノイド３１の作動を停止し、弁３２を開く ことによって行われる。弁３２は開き始めにおいては燃料逃がし通路の高圧の燃 料圧力がバルブシート３６の直径Ｄ２の面積にかかるため、ばね３３の力に加え て直径Ｄ２の面積と直径Ｄ１の面積との差に燃料圧力が加わった力の分だけ開弁 方向に力がかかり、開弁応答能力を上げる効果を生ずる。しかしながら、弁３２ の開き始めから開き終わりまでの間において、図５に示すように、高圧燃料が矢 印のごとくに流れ、弁３２の下面に流れ込み弁３２の下降を妨げ、前記のＤ２と Ｄ１との面積の差に加わる圧力の分の力の効果を失う結果となる。そのため、電 磁弁装置の応答性、特に開弁応答能力に問題が生じ、エンジンの高速回転域にお ける制御可能最小噴射量が大きく影響を受け、安定した高速、軽負荷運転ができ なくなる場合がある。

【０００８】 本考案は上記の問題点に着目してなされたもので、開弁応答能力の良好な燃料 噴射装置を提供することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記の目的達成のため、本考案に係る燃料噴射装置においては、機関に同期し て回転するカムにより往復動して燃料を圧送するプランジャと、このプランジャ の一端に臨んで形成された圧力室と、圧力室と連通し燃料圧力が所定値に達する と開弁して燃料を噴射するノズルと、圧力室に連通する燃料逃がし通路に介装さ れ、機関の運転状態に応じて開閉し、開弁時に圧力室からの高圧燃料を逃がす、 弁棒の先端に弁棒より直径の大きいバルブシートを備えた弁を有する電磁弁装置 とを備えたディーゼルエンジンの燃料噴射装置において、前記弁棒を嵌入する弁 穴が、弁穴下端に設けられた弁座の上部に、直径が弁棒よりも大きく、バルブシ ートよりも小さい段付穴を有することを特徴としている。

【００１０】

【作用】

上記構成によれば、電磁弁装置の弁穴の弁座上部に、直径が弁棒よりも大きく 、バルブシートよりも小さい段付穴を設けたため、燃料噴射を行う閉弁時にバル ブシートにかかる力は、ばねの力に、段付穴と弁棒との面積の差にかかる高圧燃 料圧力の力を加えたものとなり、開弁方向の初期荷重が大きくなり、開弁応答能 力を向上する。

【００１１】

【実施例】

以下に、本考案に係る燃料噴射装置の実施例について、図面を参照して説明す る。図１は電磁弁装置の詳細図であり、燃料逃がし通路１５と燃料供給路１６お よび燃料戻し通路１７との間には電磁弁装置３０が設けられている。３１はソレ ノイド、３２は弁、３３はばねであり、ソレノイド３１と弁３２とはロッド３７ により連結しており、ばね３３は弁３２を開弁方向に付勢している。弁３２の弁 棒３４の直径はＤ１であり、先端には弁棒３４より細い首部３５を介して、Ｄ１ よりも大きい直径Ｄ２のバルブシート３６が設けられている。弁棒３４は電磁弁 装置本体４０に穿設された直径Ｄ１の弁穴４１に滑動自在に嵌入されている。弁 穴４１の下部にはＤ１より大きく、Ｄ２より小さい、直径Ｄ３の段付穴４３が設 けられ、下端には弁座４２が形成されている。

【００１２】 次に作用について説明する。燃料噴射状態においては、図１に示すようにソレ ノイド３１は作動して弁３２を引き上げ、バルブシート３６と弁座４２とは当接 して燃料逃がし通路１５と燃料戻し通路１７との連絡通路を閉じている。従って 、バルブシート３６には直径Ｄ３の面積に高圧燃料の圧力がかかり、弁３２はば ね３３の力に、Ｄ３とＤ１との面積の差に燃料圧力が加える力分だけ増加した力 で開弁方向に付勢される。即ち、ばね３３は変更することなく、ばね３３装着部 の場積を増加することなく、ばね３３の初期荷重を大きくしたのと同一の効果を あげることができ、開弁応答能力が向上する。

【００１３】

【考案の効果】

以上説明したごとく、本考案はユニットインジェクタの電磁弁装置の弁穴に弁 棒よりも大きく、バルブシートよりも小さい段付穴を設けたため、燃料噴射時、 弁を閉じると弁にはばねの力に段付穴と弁棒の直径の差の面積に加わる燃料圧力 分だけ増加した力が加わり、ばねを変更することなく、開弁方向のばねの初期荷 重を大きくしたのと同一の効果を発揮して、開弁応答能力の優れた燃料噴射装置 が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の電磁弁装置の構造図である。

【図２】ユニットインジェクタの模式図である。

【図３】ユニットインジェクタの燃料噴射時の説明図で
ある。

【図４】ユニットインジェクタの燃料噴射完了時の説明
図である。

【図５】従来の電磁弁装置の構造図である。

【符号の説明】

１５ 燃料逃がし通路 １６ 燃料供給路 １７ 燃料戻し通路 ３１ ソレノイド ３２ 弁 ３４ 弁棒 ３６ バルブシート ４１ 弁穴 ４２ 弁座 ４３ 段付穴

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 機関に同期して回転するカムにより往復
   動して燃料を圧送するプランジャと、このプランジャの
   一端に臨んで形成された圧力室と、圧力室と連通し燃料
   圧力が所定値に達すると開弁して燃料を噴射するノズル
   と、圧力室に連通する燃料逃がし通路に介装され、機関
   の運転状態に応じて開閉し、開弁時に圧力室からの高圧
   燃料を逃がす、弁棒の先端に弁棒より直径の大きいバル
   ブシートを設けた弁を有する電磁弁装置とを備えたディ
   ーゼルエンジンの燃料噴射装置において、前記弁棒を嵌
   入する弁穴が、弁穴下端に設けられた弁座の上部に、直
   径が弁棒よりも大きく、バルブシートよりも小さい段付
   穴を有することを特徴とする燃料噴射装置。