JPH05245607A - 連続鋳造用鋳型内部の偏流検知方法 - Google Patents
連続鋳造用鋳型内部の偏流検知方法Info
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- JPH05245607A JPH05245607A JP8646092A JP8646092A JPH05245607A JP H05245607 A JPH05245607 A JP H05245607A JP 8646092 A JP8646092 A JP 8646092A JP 8646092 A JP8646092 A JP 8646092A JP H05245607 A JPH05245607 A JP H05245607A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 長期に亘っての高精度での偏流の検知を簡略
な測定系の構成により実現する。 【構成】 複数の注湯口2a,2b から連続鋳造用の鋳型
1に注湯するに際し、各注湯口2a,2b からの注湯量の
不均衡に伴う偏流の発生を検知する方法において、鋳型
1に供給される冷却水の入,出側間の温度差を、入側温
度計12,13 及び出側温度計14,15 の計測結果から温度差
算出部16,17 によって算出し、これらの算出結果に基づ
き、偏流検知部18において偏流の評価指数を時系列的に
求め、求めた評価指数の推移を周波数解析してそのパワ
ースぺクトルを求め、求めたパワースぺクトルにおける
特定周波数成分のパワーの大きさに基づいて偏流の発生
を検知するようにしている。
な測定系の構成により実現する。 【構成】 複数の注湯口2a,2b から連続鋳造用の鋳型
1に注湯するに際し、各注湯口2a,2b からの注湯量の
不均衡に伴う偏流の発生を検知する方法において、鋳型
1に供給される冷却水の入,出側間の温度差を、入側温
度計12,13 及び出側温度計14,15 の計測結果から温度差
算出部16,17 によって算出し、これらの算出結果に基づ
き、偏流検知部18において偏流の評価指数を時系列的に
求め、求めた評価指数の推移を周波数解析してそのパワ
ースぺクトルを求め、求めたパワースぺクトルにおける
特定周波数成分のパワーの大きさに基づいて偏流の発生
を検知するようにしている。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特にスラブ用の連続鋳
造設備において複数の注湯口を有する浸漬ノズルから鋳
型内部への注湯を行うに際し、製品鋳片の不良を招来す
る鋳型の長辺方向への偏流の発生を検知する方法に関す
る。
造設備において複数の注湯口を有する浸漬ノズルから鋳
型内部への注湯を行うに際し、製品鋳片の不良を招来す
る鋳型の長辺方向への偏流の発生を検知する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造法は、上下に開口を有する鋳型
に溶湯を連続的に注入し、水冷された鋳型内壁との接触
により冷却,凝固せしめ、外側を凝固シェルにて被覆さ
れた状態で下側開口部から連続的に引抜きつつ更に冷却
し、内側にまで凝固が進行した段階で適宜の寸法に切断
して、圧延工程等の後工程での素材となる製品鋳片を得
るものである。このような連続鋳造法においては、鋳型
の断面形状に対応する形状の製品鋳片が得られるから、
板圧延の素材となるスラブを製造する場合、スラブの断
面に対応する矩形断面の鋳型が用いられている。
に溶湯を連続的に注入し、水冷された鋳型内壁との接触
により冷却,凝固せしめ、外側を凝固シェルにて被覆さ
れた状態で下側開口部から連続的に引抜きつつ更に冷却
し、内側にまで凝固が進行した段階で適宜の寸法に切断
して、圧延工程等の後工程での素材となる製品鋳片を得
るものである。このような連続鋳造法においては、鋳型
の断面形状に対応する形状の製品鋳片が得られるから、
板圧延の素材となるスラブを製造する場合、スラブの断
面に対応する矩形断面の鋳型が用いられている。
【0003】ところで近年においては、生産性向上のた
め鋳込速度の更なる高速化が切望されているが、前述の
如く矩形断面の鋳型を用いるスラブ用の連続鋳造設備に
おいては、特に細長比が大きい鋳型を用いる場合に、長
辺方向への溶湯の不均一な流れの発生により前記高速化
の実現に限界がある。そこで従来からスラブ用の連続鋳
造設備においては、鋳型への注湯手段として、該鋳型の
両短辺に向けて夫々開口する一対の注湯口を備えた浸漬
ノズルを用いる等、複数の注湯口からの注湯により長辺
に沿う溶湯の流れを強化して不均一流れの発生を緩和す
ることにより鋳込速度の高速化に対処している。
め鋳込速度の更なる高速化が切望されているが、前述の
如く矩形断面の鋳型を用いるスラブ用の連続鋳造設備に
おいては、特に細長比が大きい鋳型を用いる場合に、長
辺方向への溶湯の不均一な流れの発生により前記高速化
の実現に限界がある。そこで従来からスラブ用の連続鋳
造設備においては、鋳型への注湯手段として、該鋳型の
両短辺に向けて夫々開口する一対の注湯口を備えた浸漬
ノズルを用いる等、複数の注湯口からの注湯により長辺
に沿う溶湯の流れを強化して不均一流れの発生を緩和す
ることにより鋳込速度の高速化に対処している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このように
複数の注湯口を設けた場合、操業の進行に伴って各注湯
口間に生じる詰り度合の相違又はノズル内壁での不均等
な詰りの発生により、夫々の注湯口からの注湯量の均衡
が崩れ、詰りが少ない側の注湯口からの溶湯の流れが強
くなって鋳型内部に偏流を発生する虞があり、流れが強
くなった側での溶湯の凝固が阻害され、不均一凝固に起
因するブレークアウトの発生を招来する上、同じく流れ
が強くなった側で溶湯内部への介在物及び気泡の持ち込
み深さが増し、これらの混入により製品鋳片の不良発生
率が増す難点があった。
複数の注湯口を設けた場合、操業の進行に伴って各注湯
口間に生じる詰り度合の相違又はノズル内壁での不均等
な詰りの発生により、夫々の注湯口からの注湯量の均衡
が崩れ、詰りが少ない側の注湯口からの溶湯の流れが強
くなって鋳型内部に偏流を発生する虞があり、流れが強
くなった側での溶湯の凝固が阻害され、不均一凝固に起
因するブレークアウトの発生を招来する上、同じく流れ
が強くなった側で溶湯内部への介在物及び気泡の持ち込
み深さが増し、これらの混入により製品鋳片の不良発生
率が増す難点があった。
【0005】特に、冷延メッキ鋼板の表面に発生するフ
クレ疵は、素材として用いる連続鋳造鋳片の内部におけ
るアルミナ(Al2 O3 )等の介在物、及びAr気泡の
混入が主因とされており、前述した如き偏流の発生を可
及的早期に知るべく、鋳型内部における流れ状態を定量
評価して偏流を検出することが重要な課題となってい
る。
クレ疵は、素材として用いる連続鋳造鋳片の内部におけ
るアルミナ(Al2 O3 )等の介在物、及びAr気泡の
混入が主因とされており、前述した如き偏流の発生を可
及的早期に知るべく、鋳型内部における流れ状態を定量
評価して偏流を検出することが重要な課題となってい
る。
【0006】従来このような偏流の検出方法としては、
鋳型の両短辺に埋設した多数の熱電対の検出結果により
両短辺での深さ方向の温度分布を得て、この結果に基づ
いて評価を行う方法、及び鋳型の両短辺近傍にて該鋳型
内部に生じる湯面変動を夫々測定し、これらの比較に基
づいて評価を行う方法が一般的に採用されている。
鋳型の両短辺に埋設した多数の熱電対の検出結果により
両短辺での深さ方向の温度分布を得て、この結果に基づ
いて評価を行う方法、及び鋳型の両短辺近傍にて該鋳型
内部に生じる湯面変動を夫々測定し、これらの比較に基
づいて評価を行う方法が一般的に採用されている。
【0007】ところが前者の方法においては、各熱電対
間の感度のばら付きが評価精度に影響を及ぼすため、多
数の熱電対の感度を管理することに多大の手間を要し、
長期に亘って正確な評価を行うことは難しく、また後者
の方法においては、溶湯表面の湯面変動と溶湯内部の流
れ状態との間に明確な対応関係が確立されておらず、高
い精度での流れ状態の評価を行い得ない難点があった。
間の感度のばら付きが評価精度に影響を及ぼすため、多
数の熱電対の感度を管理することに多大の手間を要し、
長期に亘って正確な評価を行うことは難しく、また後者
の方法においては、溶湯表面の湯面変動と溶湯内部の流
れ状態との間に明確な対応関係が確立されておらず、高
い精度での流れ状態の評価を行い得ない難点があった。
【0008】また特開昭61−150762号公報には、耐火物
製のケースに収納した熱電対を溶湯内部に挿入して複数
の注湯口夫々に対向させ、各注湯口からの注湯温度を前
記熱電対により測温すると共に、各注湯口から流出し前
記ケースに作用する溶湯の動圧を該ケースの支持部位に
貼着した歪ゲージにより測定して、これらの測定結果に
基づいて流れ状態を評価して偏流を検出する方法が開示
されている。
製のケースに収納した熱電対を溶湯内部に挿入して複数
の注湯口夫々に対向させ、各注湯口からの注湯温度を前
記熱電対により測温すると共に、各注湯口から流出し前
記ケースに作用する溶湯の動圧を該ケースの支持部位に
貼着した歪ゲージにより測定して、これらの測定結果に
基づいて流れ状態を評価して偏流を検出する方法が開示
されている。
【0009】ところがこの方法においては、前記熱電対
による測温結果にケースの周壁の厚さの影響が生じ、こ
の厚さは溶湯との接触に伴う溶損より減じられることか
ら、正確な測温結果を長期に亘って得るためには前記ケ
ースの頻繁な交換を要し、また前記歪ゲージの出力にこ
れの近傍に存在する溶湯の高温の影響が生じ、この出力
に基づく前記動圧の正確な測定は困難であるという精度
上の問題がある上、前記ケースの溶損分の溶湯中への混
入が新たな不良発生の原因となる等、操業上の支障が多
い難点がある。
による測温結果にケースの周壁の厚さの影響が生じ、こ
の厚さは溶湯との接触に伴う溶損より減じられることか
ら、正確な測温結果を長期に亘って得るためには前記ケ
ースの頻繁な交換を要し、また前記歪ゲージの出力にこ
れの近傍に存在する溶湯の高温の影響が生じ、この出力
に基づく前記動圧の正確な測定は困難であるという精度
上の問題がある上、前記ケースの溶損分の溶湯中への混
入が新たな不良発生の原因となる等、操業上の支障が多
い難点がある。
【0010】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、長期に亘っての高精度での検知を簡略な測定系
の構成により実現する偏流検知方法を提供することを目
的とする。
であり、長期に亘っての高精度での検知を簡略な測定系
の構成により実現する偏流検知方法を提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る連続鋳造用
鋳型内部の偏流検知方法は、複数の冷却系統から供給さ
れる冷却水によって冷却される連続鋳造用の鋳型に複数
の注湯口から注湯するに際し、各注湯口からの注湯量の
不均衡に伴う偏流の発生を検知する方法において、前記
鋳型に供給される冷却水の入,出側間の温度差を、前記
各注湯口からの注湯の流れ方向にある冷却系統にて夫々
検出し、これらの検出結果に基づいて偏流の評価指数を
時系列的に求め、求めた評価指数の推移を周波数解析し
てそのパワースぺクトルを求め、求めたパワースぺクト
ルにおける特定周波数成分のパワーの大きさに基づいて
偏流の発生を検知することを特徴とする。
鋳型内部の偏流検知方法は、複数の冷却系統から供給さ
れる冷却水によって冷却される連続鋳造用の鋳型に複数
の注湯口から注湯するに際し、各注湯口からの注湯量の
不均衡に伴う偏流の発生を検知する方法において、前記
鋳型に供給される冷却水の入,出側間の温度差を、前記
各注湯口からの注湯の流れ方向にある冷却系統にて夫々
検出し、これらの検出結果に基づいて偏流の評価指数を
時系列的に求め、求めた評価指数の推移を周波数解析し
てそのパワースぺクトルを求め、求めたパワースぺクト
ルにおける特定周波数成分のパワーの大きさに基づいて
偏流の発生を検知することを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明においては、各注湯口からの溶湯の流れ
方向側、即ち、スラブ用の鋳型ではこれの両短辺に相当
する部分にて内壁冷却のために供給されている冷却水の
入,出側間の温度差を夫々検出し、これらの比較結果に
基づいて流れ状態を評価するための評価指数を時系列的
に求め、求めた評価指数の推移のパワースぺクトルを求
めるのであるが、本発明者は、前記パワースぺクトルに
おける特定周波数成分が偏流の程度によってそのパワー
が変動するという現象を知見した。この知見した現象を
利用することにより、前記パワースぺクトルのパワーの
大きさに基づいて偏流の発生を検知することが可能であ
る。
方向側、即ち、スラブ用の鋳型ではこれの両短辺に相当
する部分にて内壁冷却のために供給されている冷却水の
入,出側間の温度差を夫々検出し、これらの比較結果に
基づいて流れ状態を評価するための評価指数を時系列的
に求め、求めた評価指数の推移のパワースぺクトルを求
めるのであるが、本発明者は、前記パワースぺクトルに
おける特定周波数成分が偏流の程度によってそのパワー
が変動するという現象を知見した。この知見した現象を
利用することにより、前記パワースぺクトルのパワーの
大きさに基づいて偏流の発生を検知することが可能であ
る。
【0013】
【実施例】以下本発明をその実施例を示す図面に基づい
て詳述する。図1は、本発明に係る連続鋳造用鋳型内部
の偏流検知方法(以下本発明方法という)のスラブ連続
鋳造設備における実施状態を示す模式図である。
て詳述する。図1は、本発明に係る連続鋳造用鋳型内部
の偏流検知方法(以下本発明方法という)のスラブ連続
鋳造設備における実施状態を示す模式図である。
【0014】図中1は、矩形断面の筒形をなし両端の開
口部を上下に向けて設置されたスラブ用の鋳型であり、
矩形の長辺に沿う方向の断面が示されている。図示の如
く鋳型1には、上側開口部から内部に至るまで延設され
た浸漬ノズル2を経て溶湯3が注入されており、この溶
湯3は、鋳型1内への滞留の間に、該鋳型1の水冷され
た内壁との接触により冷却され、下方に至るに外側から
凝固して、その外側を凝固シェル4aにて被覆されたスト
ランド4となり、鋳型1の下側開口部から下方に向けて
連続的に引き抜かれる。
口部を上下に向けて設置されたスラブ用の鋳型であり、
矩形の長辺に沿う方向の断面が示されている。図示の如
く鋳型1には、上側開口部から内部に至るまで延設され
た浸漬ノズル2を経て溶湯3が注入されており、この溶
湯3は、鋳型1内への滞留の間に、該鋳型1の水冷され
た内壁との接触により冷却され、下方に至るに外側から
凝固して、その外側を凝固シェル4aにて被覆されたスト
ランド4となり、鋳型1の下側開口部から下方に向けて
連続的に引き抜かれる。
【0015】前記浸漬ノズル2は、前述の如く矩形断面
をなす鋳型1への均一な注湯のため、該鋳型1の両短辺
に向けて夫々開口する一対の注湯口2a,2bをその先端に
備えた2孔タイプのノズルとなっており、溶湯3は図中
に矢符にて示す如く、注湯口2a,2bから鋳型1の両短辺
に向けて夫々流出するようになしてある。鋳型1には、
内壁水冷のための冷却水の通水路がその全周に亘って形
成してあり、図示の如く鋳型1の両短辺にも夫々、下部
から上部へ向けて冷却水を通水せしめるための通水路1
0,11が形成してある。
をなす鋳型1への均一な注湯のため、該鋳型1の両短辺
に向けて夫々開口する一対の注湯口2a,2bをその先端に
備えた2孔タイプのノズルとなっており、溶湯3は図中
に矢符にて示す如く、注湯口2a,2bから鋳型1の両短辺
に向けて夫々流出するようになしてある。鋳型1には、
内壁水冷のための冷却水の通水路がその全周に亘って形
成してあり、図示の如く鋳型1の両短辺にも夫々、下部
から上部へ向けて冷却水を通水せしめるための通水路1
0,11が形成してある。
【0016】本発明方法においては、以上の如き構成の
スラブ連続鋳造設備において鋳型1内部の溶湯3の流れ
状態を評価するために、前記通水路10,11における夫々
の入,出側間に生じる冷却水の温度差を利用する。図示
の如く、通水路10,11への入側には入側温度計12,13
が、同じく出側には出側温度計14,15が夫々配設してあ
る。
スラブ連続鋳造設備において鋳型1内部の溶湯3の流れ
状態を評価するために、前記通水路10,11における夫々
の入,出側間に生じる冷却水の温度差を利用する。図示
の如く、通水路10,11への入側には入側温度計12,13
が、同じく出側には出側温度計14,15が夫々配設してあ
る。
【0017】一方の通水路10の入側温度計12及び出側温
度計14の測温結果は、第1の温度差算出部16に与えら
れ、該温度差算出部16において両測温値の差が算出され
るようになしてあり、また他方の通水路11の入側温度計
13及び出側温度計15の測温結果は、第2の温度差算出部
17に与えられ、該温度差算出部17において両測温値の差
が同様に算出されるようになしてあり、更に、第1,第
2の温度差算出部16,17の算出結果は、所定のサンプリ
ング間隔にて偏流検知部18に取込まれるようになしてあ
る。
度計14の測温結果は、第1の温度差算出部16に与えら
れ、該温度差算出部16において両測温値の差が算出され
るようになしてあり、また他方の通水路11の入側温度計
13及び出側温度計15の測温結果は、第2の温度差算出部
17に与えられ、該温度差算出部17において両測温値の差
が同様に算出されるようになしてあり、更に、第1,第
2の温度差算出部16,17の算出結果は、所定のサンプリ
ング間隔にて偏流検知部18に取込まれるようになしてあ
る。
【0018】以上の構成により第1,第2の温度差算出
部16,17においては、鋳型1の内壁冷却のために、該鋳
型1両側の短辺、即ち前記注湯口2a,2b夫々から流出す
る溶湯3の流れ方向下流側部分に供給される冷却水の
入,出側間の温度差が夫々算出されることになり、前記
偏流検知部18においては、このように算出される前記冷
却水の入,出側間の温度差に関連して溶湯3の流れ状態
を評価し、偏流の検知を行う。
部16,17においては、鋳型1の内壁冷却のために、該鋳
型1両側の短辺、即ち前記注湯口2a,2b夫々から流出す
る溶湯3の流れ方向下流側部分に供給される冷却水の
入,出側間の温度差が夫々算出されることになり、前記
偏流検知部18においては、このように算出される前記冷
却水の入,出側間の温度差に関連して溶湯3の流れ状態
を評価し、偏流の検知を行う。
【0019】この評価を可能とするため、第1,第2の
温度差算出部16,17において鋳型1の両短辺の夫々に対
応して算出された冷却水の入,出側間の温度差T1 ,T
2 を用い、下記(1) 式にて示す如く、両者の比較により
得られる偏流の程度を表す評価指数Hを定義する。
温度差算出部16,17において鋳型1の両短辺の夫々に対
応して算出された冷却水の入,出側間の温度差T1 ,T
2 を用い、下記(1) 式にて示す如く、両者の比較により
得られる偏流の程度を表す評価指数Hを定義する。
【0020】 H=k・(T1 −T2 )× 100(%) …(1)
【0021】なお前記(1) 式中のkは、両温度差T1 ,
T2 の平均値の逆数、即ち、下記(2) であるが、適宜の
定数としてもよい。
T2 の平均値の逆数、即ち、下記(2) であるが、適宜の
定数としてもよい。
【0022】 k=1/〔(T1 +T2 )/2〕 …(2)
【0023】偏流検知部18では、偏流の発生を検知する
ために、前述の如き評価指数Hを求め、一定長さの鋳片
を鋳造する間における評価指数Hの変動を周波数解析す
る。この周波数解析においては、高速フーリエ変換によ
って評価指数Hの変動のパワースぺクトルを求め、その
パワースぺクトルにおける特定の周波数成分に着目し、
その周波数成分でのパワースぺクトルのレベルに基づい
て偏流の発生を検知する。
ために、前述の如き評価指数Hを求め、一定長さの鋳片
を鋳造する間における評価指数Hの変動を周波数解析す
る。この周波数解析においては、高速フーリエ変換によ
って評価指数Hの変動のパワースぺクトルを求め、その
パワースぺクトルにおける特定の周波数成分に着目し、
その周波数成分でのパワースぺクトルのレベルに基づい
て偏流の発生を検知する。
【0024】図2は偏流に起因して例えば、介在物性欠
陥(フクレ疵)が発生した場合に偏流検知部18において
得られる前記パワースぺクトルの波形分布の一例を示す
特性図、図3は偏流が発生せず前記介在物性欠陥が発生
していない場合に偏流検知部18において得られる前記パ
ワースぺクトルの波形分布の一例を示す特性図であり、
これらの特性図においては、縦軸にパワースぺクトルの
レベル、横軸に周波数を夫々とり、これらの関係を示し
てある。
陥(フクレ疵)が発生した場合に偏流検知部18において
得られる前記パワースぺクトルの波形分布の一例を示す
特性図、図3は偏流が発生せず前記介在物性欠陥が発生
していない場合に偏流検知部18において得られる前記パ
ワースぺクトルの波形分布の一例を示す特性図であり、
これらの特性図においては、縦軸にパワースぺクトルの
レベル、横軸に周波数を夫々とり、これらの関係を示し
てある。
【0025】図2と図3とを比較して明らかな如く、介
在物性欠陥が発生した場合(図2参照)は、パワースぺ
クトルの0.1Hz 以下の低周波数成分のレベルが、介在物
性欠陥が発生していない場合(図3参照)よりも高くな
っている。この特性は、偏流のうち、低周波数の偏流が
介在物性欠陥を引き起こすことを表している。このよう
な特性から、偏流検知部18では、前記パワースぺクトル
の特定の周波数領域成分(例えば、0.1Hz 以下の低周波
数成分)に着目し、この周波数領域成分のパワースぺク
トルのレベルが所定値を超えるか否かを判別することに
よって、偏流の発生を検知できる。
在物性欠陥が発生した場合(図2参照)は、パワースぺ
クトルの0.1Hz 以下の低周波数成分のレベルが、介在物
性欠陥が発生していない場合(図3参照)よりも高くな
っている。この特性は、偏流のうち、低周波数の偏流が
介在物性欠陥を引き起こすことを表している。このよう
な特性から、偏流検知部18では、前記パワースぺクトル
の特定の周波数領域成分(例えば、0.1Hz 以下の低周波
数成分)に着目し、この周波数領域成分のパワースぺク
トルのレベルが所定値を超えるか否かを判別することに
よって、偏流の発生を検知できる。
【0026】また、偏流検知部18における偏流の検知
は、1チャージの操業終了と共になされるから、各チャ
ージにおいて得られた製品鋳片における介在物の混入に
よる介在物性欠陥の発生を、前記パワースぺクトルの特
定の周波数領域成分のレベルに基づいて予想することが
可能となり、この予想に応じて、例えば、後工程への送
出前における品質検査の強化、振り当て先の変更等の適
宜の対策を施すことにより、後工程での欠陥の発生を未
然に防止することができる。
は、1チャージの操業終了と共になされるから、各チャ
ージにおいて得られた製品鋳片における介在物の混入に
よる介在物性欠陥の発生を、前記パワースぺクトルの特
定の周波数領域成分のレベルに基づいて予想することが
可能となり、この予想に応じて、例えば、後工程への送
出前における品質検査の強化、振り当て先の変更等の適
宜の対策を施すことにより、後工程での欠陥の発生を未
然に防止することができる。
【0027】また、偏流検知部18での評価結果により偏
流が発生していると判定されたとき、次なるチャージの
操業に際し、浸漬ノズル2からの注湯量を減少せしめる
ことにより該チャージにより得られる製品鋳片への介在
物の混入の虞を軽減する等、有害な偏流を生じさせない
ように操業状態を改善すれば、介在物性欠陥等の欠陥の
発生確率が低い操業を実現することができる。
流が発生していると判定されたとき、次なるチャージの
操業に際し、浸漬ノズル2からの注湯量を減少せしめる
ことにより該チャージにより得られる製品鋳片への介在
物の混入の虞を軽減する等、有害な偏流を生じさせない
ように操業状態を改善すれば、介在物性欠陥等の欠陥の
発生確率が低い操業を実現することができる。
【0028】なお、本実施例においては一対の注湯口2
a,2bを備えた1本の浸漬ノズル2により鋳型1への注
湯をなす場合について説明したが、浸漬ノズル2が複数
対の注湯口を備えている場合、また各1個の注湯口を備
えた複数の浸漬ノズルを用いる場合においても本発明方
法の適用は可能である。
a,2bを備えた1本の浸漬ノズル2により鋳型1への注
湯をなす場合について説明したが、浸漬ノズル2が複数
対の注湯口を備えている場合、また各1個の注湯口を備
えた複数の浸漬ノズルを用いる場合においても本発明方
法の適用は可能である。
【0029】また、本実施例においては矩形断面の鋳型
1を用いるスラブ連続鋳造設備への適用例について述べ
たが、他の連続鋳造設備においても本発明方法の適用が
可能であることは言うまでもない。
1を用いるスラブ連続鋳造設備への適用例について述べ
たが、他の連続鋳造設備においても本発明方法の適用が
可能であることは言うまでもない。
【0030】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明方法において
は、各注湯口からの溶湯の流れ方向に鋳型の内壁冷却の
ために供給されている冷却水の入,出側間の温度差を夫
々検出し、これらの検出結果に基づいて偏流に関する評
価指数を求め、求めた評価指数の推移のパワースぺクト
ルを求めるが、このパワースぺクトルにおける特定周波
数成分は、偏流の程度によってそのパワーが変動する現
象が知見されており、前記パワースぺクトルのパワーの
大きさに基づいて偏流の発生を検知するので、偏流を精
度良く検知でき、該鋳型内部の偏流に起因する製品鋳片
中への介在物の混入及び後工程での欠陥の発生を未然に
防止できると共に、偏流検知のために必要な検出系は前
記冷却水の入側温度計及び出側温度計のみであり、長期
に亘っての高精度での偏流検知が簡略な構成により可能
となる等、本発明は優れた効果を奏する。
は、各注湯口からの溶湯の流れ方向に鋳型の内壁冷却の
ために供給されている冷却水の入,出側間の温度差を夫
々検出し、これらの検出結果に基づいて偏流に関する評
価指数を求め、求めた評価指数の推移のパワースぺクト
ルを求めるが、このパワースぺクトルにおける特定周波
数成分は、偏流の程度によってそのパワーが変動する現
象が知見されており、前記パワースぺクトルのパワーの
大きさに基づいて偏流の発生を検知するので、偏流を精
度良く検知でき、該鋳型内部の偏流に起因する製品鋳片
中への介在物の混入及び後工程での欠陥の発生を未然に
防止できると共に、偏流検知のために必要な検出系は前
記冷却水の入側温度計及び出側温度計のみであり、長期
に亘っての高精度での偏流検知が簡略な構成により可能
となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図1】スラブ連続鋳造設備における本発明方法の実施
状態を示す模式図である。
状態を示す模式図である。
【図2】偏流に起因して介在物性欠陥が発生した場合に
偏流検知部において得られる前記パワースぺクトルの波
形分布の一例を示す特性図である。
偏流検知部において得られる前記パワースぺクトルの波
形分布の一例を示す特性図である。
【図3】偏流が発生せず前記介在物性欠陥が発生してい
ない場合に偏流検知部において得られるの前記パワース
ぺクトルの波形分布の一例を示す特性図である。
ない場合に偏流検知部において得られるの前記パワース
ぺクトルの波形分布の一例を示す特性図である。
1 鋳型 2 浸漬ノズル 2a ,2b 注湯口 3 溶湯 10,11 通水路 12,13 入側温度計 14,15 出側温度計 16,17 温度差算出部 18 偏流検知部
Claims (1)
- 【請求項1】 複数の冷却系統から供給される冷却水に
よって冷却される連続鋳造用の鋳型に複数の注湯口から
注湯するに際し、各注湯口からの注湯量の不均衡に伴う
偏流の発生を検知する方法において、 前記鋳型に供給される冷却水の入,出側間の温度差を、
前記各注湯口からの注湯の流れ方向にある冷却系統にて
夫々検出し、これらの検出結果に基づいて偏流の評価指
数を時系列的に求め、求めた評価指数の推移を周波数解
析してそのパワースぺクトルを求め、求めたパワースぺ
クトルにおける特定周波数成分のパワーの大きさに基づ
いて偏流の発生を検知することを特徴とする連続鋳造用
鋳型内部の偏流検知方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8646092A JPH05245607A (ja) | 1992-03-09 | 1992-03-09 | 連続鋳造用鋳型内部の偏流検知方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8646092A JPH05245607A (ja) | 1992-03-09 | 1992-03-09 | 連続鋳造用鋳型内部の偏流検知方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05245607A true JPH05245607A (ja) | 1993-09-24 |
Family
ID=13887567
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8646092A Pending JPH05245607A (ja) | 1992-03-09 | 1992-03-09 | 連続鋳造用鋳型内部の偏流検知方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05245607A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104942251A (zh) * | 2015-07-01 | 2015-09-30 | 重庆大学 | 炼钢厂连铸机的开浇时间确定方法 |
-
1992
- 1992-03-09 JP JP8646092A patent/JPH05245607A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104942251A (zh) * | 2015-07-01 | 2015-09-30 | 重庆大学 | 炼钢厂连铸机的开浇时间确定方法 |
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