JPH0524432B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は被処理温水を外気によつて冷却する
冷水塔に係り、特に塔内に流入する外気に方向性
をもたせて白煙の拡散を良好にしたものに関す
る。

冷水塔は、石油化学工場、石油精製所、製鉄
所、火力発電所、地熱発電所などにおいて生ずる
温水の冷却システムとして広く採用されている。

この冷却システムは、一般に被処理温水と外部
空気とを直接熱交換させて被処理温水を冷却する
湿式冷却であり、外部空気が被処理温水と直接接
触し、湿り空気となつてフアンから排気されるた
め、排気中の水分が過飽和域まで達すると白煙化
の問題が生じる。この排気の白煙化は被処理温水
と外気との温度差に起因し、特に冬期において顕
著である。

通常、冷水塔は立地条件によりその周辺環境へ
の適応が要求されるが、例えば地熱発電用の冷水
塔などのように国立公園内にあるものは白煙化が
生じると倒木が生じたり、日照障害、視覚公害な
ど周辺環境を破壊しかねない問題がある。

そこで、従来の湿式冷水塔においては、白煙化
の防止はできないものの、第１Ａ図、第１Ｂ図に
示す如く、冷水塔のハウジング周壁１に湿式冷却
部２を放射状に配置すると共に双曲線状塔体にて
排気筒３を形成し、塔頂から湿り空気を上空へ排
出するようにし、白煙が低空で拡散しないように
して白煙による環境への影響を回避している。

ところが、湿式冷却部２を単に放射状に配置し
ても、これを通過する外気流の塔内における混合
は必ずしも充分ではなく、排気筒３から排出され
る外気流内部の熱的状態が不安定である。このた
め、排気筒３から出る上昇気流も不安定となり、
塔の高さ以上に白煙を上昇、拡散させることがで
きなかつた。

この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、
その目的は塔内で発生した湿り空気をより上空へ
上昇させて白煙の環境への影響を少くすることが
できると共に、冷却部での外気吸込力を強め、冷
却性能を向上することができる冷水塔を得ること
である。

上記目的を達成するために、この発明は、ケー
シングの頂部に円筒状の排気筒を有しケーシング
周壁から内部に流入した外気を上記排気筒から排
出するようにした冷水塔において、上記ケーシン
グの周壁に沿つて複数個設けられ、上記排気筒の
切線方向に向けられると共に絞られている外気の
流入口と、これら流入口内に外気接触すべく設け
られ被処理温水を冷却するための冷却部とを備え
たことを特徴とする。これにより、流入した外気
が塔内で旋回流となつて排気筒から安定した上昇
気流を放出できるようにし、塔内で発生した湿り
空気のより上空への上昇、拡散が可能となり、白
煙が低空に立ち込もらないようにしたものであ
る。

以下、湿式冷却塔を例にとつてこの発明に係る
冷水塔の好適一実施例を説明する。

第２図に示す如く、４は冷水塔であり、そのケ
ーシング頂部に円筒状の排気筒５を有している。
強制通風型式の場合は排気筒５内には図示しない
多数のフアンが設けられ、このフアンの回転によ
りケーシング周壁６から塔４内部へ外気を吸込
み、この吸込んだ外気を排気筒５から排出するよ
うに構成してある。

ケーシング周壁６には外気を流入するための流
入口７が周壁に沿つて互いに隣接して複数個設け
られている。これらの流入口７は、これより塔４
内に流入した外気に同一方向の旋回流を与えるべ
く、排気筒５の切線方向に向けられていると共
に、図示するように下流側が絞られて形成されて
いる。各流入口７内に外気と直接熱交換して被処
理温水を冷却するための湿式冷却部８が配設さ
れ、その前面には外気案内用のルーバ９が設けら
れている。冷却部８の周壁６上の配置としては、
図示例では、流入口７を直状としたので多角形に
なつているものが示してあるが、流入口７を湾曲
させて冷却部８を円形に配置するようにしてもよ
い。

以上の構成よりなるこの実施例の作用について
説明する。

排気筒５内のフアンにより外気が流入口７から
湿式冷却部８を通して塔４内に矢印ａで示したよ
うに流入する。外気が湿式冷却部８を通過する
際、これを流下する被処理温水と直接熱交換して
被処理温水を冷却する。被処理温水を冷却した外
気は湿り空気となつて塔４内に流入するが、流入
口７により排気筒５の切線方向に方向付けられて
いるので、塔４内で右（又は左）回りの旋回流と
なる。そして同じく他の流入口７から流入し旋回
流となつた他の外気ａと合流して排気筒５から排
気される。

したがつて、湿式冷却部８を通過した外気は同
一方向で外気全体が旋回する旋回流となるので、
塔４内全体で各所で混合され、混合が促進され
る。この促進により排気筒５からの排出外気内部
の熱的状態が均等化されるため、冷却部８を放射
状に配置した従来のものに比して排気・上昇気流
が安定し、より上空への上昇が可能となり、しか
も、流入口が絞られているため旋回流の流速も速
くなるので、より一層上空への上昇が可能とな
る。その結果、塔４内で発生した白煙を上空へ運
ぶことができその拡散が良好となる。

一方、塔４内における旋回流は塔４内の負圧化
を助長するので、湿式冷却部８からの外気吸込み
力が向上し、冷却性能を可及的に向上することが
できる。

このように、ケーシクン周壁６に排気筒５の切
線方向を向いた流入口７を設け、流入口７内の湿
式冷却部８を通過した外気が塔４内で旋回しつつ
排気筒５から排気するようにしたので、外気吸込
力が向上して冷却性能が向上すると共に、湿り空
気のより上空への上昇、拡散を可能とすることが
でき、白煙の環境への影響を有効に回避すること
ができる。

なお、上述の実施例では強制通風型湿式冷水塔
の例を示したが、この発明はこれに限定されるも
のでなく、自然通風型でもよく、また乾・湿式冷
水塔に適用し湿式冷却部と乾式冷却部とを交互に
配置させるようにして、湿り空気と乾き空気とを
充分に混合させ、湿り空気を過飽和域から非飽和
域に下げることにより白煙の発生そのものを有効
に防止することもできる。

以上要するにこの発明によれば次のような優れ
た効果を発揮する。

(1) 排気筒の切線方向に向けられると共に絞ら
れ、冷却部が納められた流入口を設けたので、
外気全体が旋回する旋回流が形成されて、放射
状に冷却部を配置した従来のものに比して、冷
却部を通過する外気の混合が促進され、塔内に
生じた湿り空気をより上空へ上昇・拡散するこ
とができ、白煙の環境への悪影響を有効に回避
することができ、しかも、流入口が絞られてい
るため、より一層排気筒から安定した上昇気流
を放出することができる。

(2) また、塔内の負圧が増大し冷却部への外気吸
込み力が大きくなるので、冷却性能の向上がは
かれる。

【図面の簡単な説明】

第１Ａ図、第１Ｂ図は、従来の冷水塔を示す概
略断面図、概略平面図、第２図はこの発明に係る
冷水塔の好適一実施例を示す概略平面図である。 尚、図中４は冷水塔、５は排気筒、６はケーシ
ング周壁、７は外気の流入口、８は冷却部、ａは
外気である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ケーシングの頂部に円筒状に排気筒を有し、
   ケーシング周壁から内部に流入した外気を上記排
   気筒から排出するようにした冷水塔において、上
   記ケーシングの周壁に沿つて複数個設けられ、上
   記排気筒の切線方向に向けられると共に絞られた
   外気の流入口と、これら流入口内に外気接触すべ
   く設けられ被処理温水を冷却するための冷却部と
   を備えたことを特徴とする冷水塔。