JPH052431U - 展開型パラボラアンテナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】収納効率が高く、高度な指向精度を有し、又、
展開に関しては高い信頼性を有するような、極めて軽量
な大口径展開型パラボラアンテナを得る。 【構成】 展開して形状を維持し、メッシュ鏡面４を支
持する複数個の伸展式フープ３と複数の伸展アーム２、
そのアームを伸展させ副反射鏡等を支持する伸展機能を
備えた伸展式ブーム６がセンタハブ７上に取り付けられ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、展開機構及び伸展機構を、単純化することにより、高度な軽量化 と信頼性の向上及び高収納性を可能にした展開型パラボラアンテナに関するもの である。

【０００２】

【従来の技術】

近年、スペースシャトル、アリアンロケット等の性能及び信頼性が向上し、宇 宙利用に経済的なメリットが生まれてきた。特に大型の展開アンテナは、船舶、 車両等の通信用に必要であり、その開発が行われてきた。図７（ａ）、（ｂ）は 、上的展開アンテナに対し、欧州宇宙機関の機関誌「Proc. Workshop on Mechan ical Technology for Antennas」ＳＰ−２２５巻（１９８４年）に示された従来 の展開型パラボラアンテナを示す図で、図中１は下部アーム、２は展開アーム、 ４はメッシュ鏡面、１５は１及び２のアームに設けられ、メッシュ鏡面の形状を 維持する機構、７はアームの展開の支点となるセンタハブである。図８は、上記 展開アンテナのアームを示す図で、図中８は展開用うず巻バネを備えた回転ヒン ジである。図９は、上記下部アーム１及び上記伸展アーム２の展開状態を示す図 である。

【０００３】 従来の展開型パラボラアンテナは上記のように構成され、収納形状図（図８） に図示されていない保持ワイヤで拘束された上記下部アームは、地上からのコマ ンドで爆管等により保持ワイヤが切断され、展開を始める。展開アーム２も同様 に展開するが、その展開力は、バネ付回転ヒンジ８のうず巻バネの回転力を図示 されていないワイヤを介して伝える方法を取っている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

従来の展開パラボラアンテナは、上記のように構成を取っているため、今後大 型化する際、図に示したような二段式では、収納状態でのアームの長さが長くな りすぎ、それを避けるために多段式にすると展開力を伝えるために各アームの形 状や鏡面を維持する機構が複雑化し、かつ多数必要になる。さらに複雑化によっ てコストが上がり、信頼性が低下する等の課題があった。

【０００５】 この考案は、上記のような課題を解消するために、大型化しても、展開機構が 複雑化せず、又、鏡面を維持する機構を簡略化できる展開パラボラアンテナを得 ることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案による展開パラボラアンテナは、伸展アームを伸展ブームの伸展力に より伸展させて展開機構を簡略化すると共に、鏡面メッシュを複数のフープと鏡 面形状に伸展されたアームとで拘束して鏡面形状を維持できるようにして、形状 維持機構を簡略化すると共に、給電部もしくは、副反射鏡を支える伸展ブームに 、モータの回転力をワイヤとプーリによって伸展力に変換して伸展するガイドに よって位置決めされるブームを用いたものである。

【０００７】 また、給電部もしくは、副反射鏡を支える伸展ブームに、モータの回転力をラ ック・ピニオンによって伸展力に変換して伸展するブームを用いたものである。

【０００８】

【作用】

伸展アームは伸展ブームの伸展力によって伸展され、鏡面メッシュは鏡面形状 に弾性的に変形した伸展アームと複数のフープによって拘束されるので、メッシ ュ鏡面を支持するワイヤをなくし、フープの展開機構を非常に単純なものとする ことができ、又、給電部もしくは副反射鏡を支えるブームは、モータの回転力を ワイヤとプーリによって伸展力に変換して伸展し、ガイドによって位置決めされ る非常に単純な構成のブームとすることができる。これにより、アンテナが大型 化しても、非常に単純で、信頼性、指向精度、収納性の高い展開アンテナを得ら れる。

【０００９】 また、給電部もしくは副反射鏡を支えるブームは、モータとラック・ピニオン によって伸展し、ガイドによって位置決めされる非常に単純な構成のブームとす ることができる。これにより、アンテナが大型化しても、非常に単純で、信頼性 、指向精度、収納性の高い展開アンテナを得られる。

【００１０】

【実施例】

実施例１． 以下、この考案の一実施例を図１から図５に示す。図中において１は下部アー ム、２は上記下部アームの上部に伸展する伸展アーム、３は展開式のフープで、 １もしくは２のアームに複数点で支持され、複数個が互いに平行に保持されてい る。４は、鏡面メッシュであり、上記、下部アーム１、伸展アーム２及び展開式 のフープに複数点で拘束されている。５は副反射鏡もしくは給電部、６は展開時 上記伸展アーム２を伸展させ、展開後は上記副反射鏡もしくは、給電部の支持構 造となる伸展式のブーム、７は伸展式ブーム及び下部アームを支持するセンタハ ブである。８は、下部アームに展開力を与えるバネ付回転ヒンジ、９は先端の伸 展アーム２とブームを結び、展開時に伸展ブーム７の伸展力を、伸展アーム２に 伝えるアーム展開用ワイヤ、１０は伸展ブームに伸展力を与えるモータ、１１は モータの回転力を伝えるプーリ、１２はプーリに巻きつくワイヤ、１６は位置決 め用ガイドである。

【００１１】 次に動作を図によって説明する。最初第２図及び第４図のような収納状態にあ り、ここで伸展アーム２及び、伸展ブーム６及び展開式フープ３は、図中には示 されていない拘束機構により拘束されている。展開の第一段階として、まず、伸 展アーム２の拘束が、地上からのコマンド等により解かれ、次いで伸展ブーム６ の拘束が解かれる。これによって伸展ブーム６は伸展可能となる。次にモータ１ ０の回転が起動され、その回転力で、プーリ１１によってワイヤ１２を巻取り伸 展ブーム６を伸展させ、この伸展力は、アーム展開用ワイヤ９を介して伸展アー ム２に伝えられ、伸展アーム２が伸展をはじめる。

【００１２】 伸展アーム２が伸展を終了すると、伸展アーム２は、図中に示されていないロ ック機構により互いにロックされ、図３の状態になる。この後、アーム展開用ワ イヤ９は、図には示されていない展開用ワイヤ切断機構により切断される。又、 展開式フープ３の拘束機構も解除される。すると、バネ付回転ヒンジ８のバネ力 によって、伸展アーム２及び下部アーム１より成るアーム全体が、展開されはじ める。又、この展開力がアームを介して、展開式フープ３を展開させるそれ自体 の展開力の助けとなる。展開式フープ３は展開を完了すると、リング状のフープ を形づくる。アーム全体は、フープ３に多点で拘束されて鏡面形状に伸展してゆ く。

【００１３】 展開終了の状態では、アームの回転はロックされ、この状態では、アームは複 数のフープにより多点拘束されて鏡面形状になっており、このアーム及びフープ に支持された鏡面メッシュ４は、複雑な鏡面形状維持機構を待たなくとも、鏡面 形状を維持できる。

【００１４】 なお、上記実施例では、アーム全体の展開力は、バネ回転ヒンジ８のバネ力に よっているが、代わりに電源モータを用いても良い。また、展開式フープの代わ りに、気体を注入することで展開し、形状を維持できるフープを用いても良い。

【００１５】 実施例２． 上記実施例１では、モータ１０が回転し、ワイヤ１２をプーリ１１を介して巻 取り、ワイヤ１２の張力によってブーム７を伸展させているが、本実施例では、 図６に示すようにモータ１０の回転力をラック１３とピニオン１４により伸展さ せることが期待できる。本実施例における位置決め用ガイド９の詳細図は図６に 示す。

【００１６】

【考案の効果】

この考案は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるよう な効果を奏する。

【００１７】 アームの伸展を伸展ブームの伸展力によって行うことにより、アーム機構を単 純化することができ、又、アームを複数のフープにより拘束することで連続的に 鏡面形状にそって形状変形させ、かつ、鏡面をフープとアームにより拘束するこ とで、複雑な鏡面維持機構なしで、鏡面形状維持が可能をなる効果がある。

【００１８】 さらに、ブームの伸展をモータ及びワイヤとプーリから成る伸展機構を用いて 行い、ガイドで位置決めを行うことによって、伸展機構の軽量化、高信頼性、高 い位置精度を得られ、展開アンテナとして、高い収納性、高い信頼性、高い指向 精度、軽量化、コストダウン等を図ることができるという効果がある。

【００１９】 また、ブームの伸展をモータ及びラック・ピニオンを用いて行い、ガイドで位 置決めを行うことによって、伸展機構の軽量化、高信頼性、高い位置精度を得ら れ、展開アンテナとして、高い収納性、高い信頼性、高い指向精度、軽量化、コ ストダウン等を図ることができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例の展開状態を示す図であ
る。

【図２】この考案の一実施例の伸展ブームが伸展を始め
た状態を示す図である。

【図３】この考案の一実施例のアームおよび、伸展ブー
ムが伸展を完了した状態を示す図である。

【図４】この考案の実施例１におけるブームの断面図で
ある。

【図５】この考案の実施例１におけるブームの位置決め
用ガイドの詳細図である。

【図６】この考案の実施例２におけるブームの断面図で
ある。

【図７】従来の展開式パラボラアンテナの展開状態を示
す図である。

【図８】従来の展開式パラボラアンテナの展開途中を示
す図である。

【図９】従来の展開式パラボラアンテナのアームの展開
状態を示す図である。

【符号の説明】

１ 下部アーム ２ 伸展アーム ３ 伸展式フープ ４ メッシュ鏡面 ５ 副反射鏡又は給電部 ６ 伸展ブーム ７ センターハブ ８ バネ付回転ヒンジ ９ アーム展開用ワイヤ １０ モータ １１ プーリ １２ ワイヤ １３ ラック １４ ピニオン １５ 鏡面支持機構 １６ ガイド

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 下端に展開用機構を有した複数の伸展式
   アーム、展開後に上記伸展式アームに支持される展開式
   のフープ、上記伸展式アームと展開式フープに支持され
   た鏡面メッシュ、上記伸展式アームに伸展力を与える伸
   展式のブーム、上記伸展式ブームに伸展力を与えるモー
   タ、このモータの回転力をブームの伸展力に変換するワ
   イヤとプーリとを備えた事を特徴とする展開型パラボラ
   アンテナ。
2. 【請求項２】 下端に展開用機構を有した複数の伸展式
   アーム、展開後に上記伸展式アームに支持される展開式
   のフープ、上記伸展式アームと展開式フープに支持され
   た鏡面メッシュ、上記伸展式アームに伸展力を与える伸
   展式のブーム、上記伸展式ブームに伸展力を与えるモー
   タ、このモータ回転力をブームの伸展力に変換するラッ
   ク・ピニオンとを備えた事を特徴とする展開型パラボラ
   アンテナ。