JPH05242954A - 点火プラグおよびその製造方法 - Google Patents

点火プラグおよびその製造方法

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JPH05242954A
JPH05242954A JP7934492A JP7934492A JPH05242954A JP H05242954 A JPH05242954 A JP H05242954A JP 7934492 A JP7934492 A JP 7934492A JP 7934492 A JP7934492 A JP 7934492A JP H05242954 A JPH05242954 A JP H05242954A
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JP
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peripheral surface
insulator
mounting member
tip
inner peripheral
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JP7934492A
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Inventor
Tatsuto Fukushima
立人 福島
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車用ガソリンエンジン等の火花着火式内
燃機関に使用される点火プラグとして、火花の横飛びを
効果的に防止して正規の放電ギャップ間で着火させるこ
とができる点火プラグおよびその製造方法を提供するこ
とを目的とする。 【構成】 中心電極11およびその周囲を覆う碍子12
と、この碍子12に外嵌され、且つ先端部内周面13d
が所定の空間14を隔てて碍子12の先端部外周面を取
り囲む取付金具13と、該取付金具13に接続されて上
記中心電11の先端と所定の放電ギャップを隔てて対向
する接地電極16とを有する点火プラグ10において、
上記碍子12の先端部外周面を取り囲む取付金具13の
先端部内周面13dに電気絶縁材としてのホーロー材で
なる被覆層20を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用ガソリンエン
ジン等の火花着火式内燃機関に使用して好適な点火プラ
グおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用ガソリンエンジンに使用される
点火プラグは、中心電極を覆う碍子と、この碍子の外周
部に外嵌された取付金具および該取付金具の先端に設け
られた接地電極とで構成され、上記中心電極先端と接地
電極との間でスパーク電流を流し、これによって発生す
る電気火花により燃焼室内の圧縮された混合気を点火す
るようになっている。ところで、この種の点火プラグに
おいては、図11に示すように、中心電極1の先端部1
aを残してその周りを覆う碍子2の先端部外周面と、先
端部外周面に取付用ネジ部3aが形成され、且つ先端に
上記中心電極1の先端部1aと所定の放電ギャップを隔
てて対向する接地電極4が設けられた取付金具3の先端
部内周面との間に所定の空間5が形成されているのであ
るが、上記碍子2の表面に使用に伴ってカーボンが付着
堆積することにより、該碍子2の表面に導通経路が形成
されることになって、上記中心電極1と取付金具3との
間の空間5の電気抵抗が低下し、このため、該中心電極
1とこれに対向する接地電極4との間の正規の放電ギャ
ップにおいて適正な着火が行われず、所謂くすぶりによ
る失火が発生する。
【0003】上記のように、点火プラグにおける碍子の
表面にカーボンが付着堆積することよる失火を防止する
ために、例えば、実開昭56−37389号公報に記載
された点火プラグにおいては、中心電極を覆う絶縁部材
(碍子)との間に所定のガスボリューム空間を隔ててそ
の周りを取り囲む金属製の筒状ハウジング(取付金具)
先端の少なくとも上記ガスボリューム室に面する内周面
に電気絶縁層を形成し、この電気絶縁層により中心電極
と取付金具との間の電気抵抗の低下を抑制することによ
り、上記絶縁部材の表面にカーボンが付着堆積すること
に起因する失火を防止して中心電極と接地電極との間で
良好に着火させるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年におい
ては、自動車用エンジンに対して低燃費化の要求が高
く、このため、リーンバーン化の傾向にあるが、希薄燃
料を使用する場合には、点火プラグにおける放電ギャッ
プ、即ち、中心電極先端とこれに対向する接地電極との
間を拡大して、その間により多くの混合気を存在させる
ことにより、着火性の低下を防止することが行われる
が、この場合には、放電ギャップが拡大される分、相対
的に中心電極先端と取付金具との距離が短縮されること
になって、放電ギャップ間で正規の着火が行われず、上
記中心電極先端と取付金具との間で着火する所謂横飛び
が発生して失火の原因となる。
【0005】また、自動車用エンジンにおいは、軽量
化、コンパクト化と共に高出力が要求されており、この
ため、吸、排気バルブの多弁化、あるいはこれらバルブ
径の拡大等の手段が講じられる。この場合、上記吸、排
気バルブと共にエンジンのシリンダヘッドに設けられる
点火プラグの小径化を図り、多弁化あるいはこれに伴う
バルブレイアウトの自由度の向上させたいという要求が
あるが、点火プラグの小径化に伴い該点火プラグにおけ
る取付金具の内径が縮小され、このため、必要とされる
放電ギャップに対して中心電極と取付金具との間隔が相
対的に短縮されることになって、この場合にも上記と同
様に、放電ギャップ間で正規の着火が行われず、上記中
心電極先端と取付金具との間で着火する所謂横飛びが発
生することになる。
【0006】上記のような点火プラグにおける横飛びを
防止するために、上記従来技術のように、取付金具の先
端内周面に電気絶縁層を形成し、該取付金具と中心電極
と間の絶縁性を高めることが考えられるが、上記電気絶
縁層の組成により横飛び防止効果が大きく左右され、こ
のため、より効果的に横飛びを防止することのできる電
気絶縁層を形成する場合に、どのような組成の電気絶縁
材を選択するかが課題とされていた。また、上記電気絶
縁層として容易に剥離することなく耐久性に富み、しか
も耐熱性および取付金具のメッキ処理時等における耐薬
品性をいかに向上させるかが課題となる。
【0007】そこで本発明は、自動車用ガソリンエンジ
ン等の火花着火式内燃機関に使用される点火プラグとし
て、火花の横飛びを効果的に防止することができると共
に、容易に剥離することなく耐久性に富み、しかも耐熱
性や取付金具のメッキ処理時等における耐薬品性および
加工性に富んだ点火プラグおよびその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0009】まず、本願の請求項1に係る発明(以下、
第1発明という)は、中心電極およびその周囲を覆う碍
子と、この碍子に外嵌され、且つ先端部が所定の空間を
隔てて碍子の先端部外周面を取り囲む取付金具と、該取
付金具に接続されて上記中心電極先端と所定の放電ギャ
ップを隔てて対向する接地電極とを有する点火プラグに
おいて、上記碍子の先端部外周面を取り囲む取付金具の
先端部内周面に電気絶縁材としてのホーロー材でなる被
覆層を形成したことを特徴とする。
【0010】また、本願の請求項2に係る発明(以下、
第2発明という)は、上記第1発明の点火プラグの製造
方法に関し、ホーロー材中に酸化物もしくは窒化物等の
絶縁性無機粉末粒子を含有する電気絶縁材でなる被覆層
を形成することを特徴とする。
【0011】上記ホーロー材としては、例えば、PbO
(酸化鉛)62重量%、SiO2(シリカ)20重量
%、B23(ほう酸)11重量%、ZnO(亜鉛化)5
重量%、その他を2重量%含有する材料が使用され、ま
た、酸化物の一例としてAl23(アルミナ)、窒化物
の一例としてはSi34(窒化けい素)が挙げられる。
【0012】更にまた、本願の請求項3に係る発明(以
下、第3発明という)は、上記第2発明と同様に点火プ
ラグの製造方法に関し、碍子の先端部外周面を取り囲む
取付金具の先端部内周面に電気絶縁材としてのホーロー
スラリーを塗布、焼成することにより被覆層を成形する
と共に、上記ホーロースラリーが焼成される前の溶融状
態で該溶融部を酸化物もしくは窒化物等の絶縁性無機粉
末粒子中に埋め込んで表面処理を施すことを特徴とす
る。
【0013】なお、上記ホーロースラリーとしては、例
えば、PbO(酸化鉛)62重量%、SiO2(シリ
カ)20重量%、B23(ほう酸)11重量%、ZnO
(亜鉛化)5重量%、その他2重量%とを100とし、
これに蒸留水30重量%、CMC(セルロース)0.1
重量%を加えて撹拌、混合したものが使用される。
【0014】そして、上記のような組成とされたホーロ
ースラリーを、例えば725°Cの大気炉に3分間程度
投入して加熱することにより焼成すると共に、該スラリ
ーが溶融状態でAl23、Si34等の絶縁性無機粉末
粒子中に埋設してその表面に絶縁性無機粉末粒子を付着
させる。
【0015】また更に、本願の請求項4に係る発明(以
下、第4発明という)の点火プラグの製造方法において
は、碍子の先端部外周面を取り囲む取付金具の先端部内
周面に、酸化物もしくは窒化物等の絶縁性無機粉末粒子
を水ガラス中に分散、固化させたのち粉砕して得た粉末
が混入されたホーロースラリーを塗布、焼成することに
より被覆層を成形することを特徴とする。
【0016】この場合に使用されるホーロースラリーお
よび絶縁性無機粉末粒子としては、例えば、上記第3発
明と同様のものが使用されると共に、上記ホーロースラ
リーを、例えば725°Cの大気炉に3分間程度投入し
て加熱することにより焼成したのち、大気炉中より取り
出して徐冷することにより被覆層を形成する。
【0017】また、本願の請求項5に係る発明(以下、
第5発明という)は、上記第2ないし第4発明におい
て、被覆層を取付金具の先端部内周面から該取付金具の
先端部外周面にかけて成形することを特徴とする。
【0018】更に、本願の請求項6に係る発明(以下、
第6発明という)は、上記第1発明と同様に、中心電極
およびその周囲を覆う碍子と、この碍子に外嵌され、且
つ先端部が所定の空間を隔てて碍子の先端部外周面を取
り囲む取付金具と、該取付金具に接続されて上記中心電
極先端と所定の放電ギャップを隔てて対向する接地電極
とを有する点火プラグにおいて、上記碍子の先端部外周
面を取り囲む取付金具の先端部内周面に該内周面を覆う
電気絶縁材でなる筒状スリーブを嵌挿することを特徴と
する。
【0019】そして、上記筒状スリーブを構成する電気
絶縁材としては、体積固有抵抗が室温にて10″Ω・c
m、耐電圧が室温にて10KV/mm以上、熱膨張率が
3.0×10-6/°C以上であり、且つ熱特性として水
中投下による耐熱衝撃温度が150°C以上を満足する
ものであれば良く、例えば、Al23(アルミナ)、S
34(窒化けい素)、フッ素金雲母(KMg3AlS
iO3102)、あるいはBNやAlNと複合化された
Al23、Si34等、更には結晶化ガラスセラミック
(Li 2O、Al23、SiO2、その他よりなる)が挙
げられる。
【0020】更にまた、本願の請求項7に係る発明(以
下、第7発明という)は、上記第6発明の点火プラグの
製造方法に関し、碍子の先端部外周面を取り囲む取付金
具の先端部内周面に該内周面を覆う電気絶縁材としての
フッ素金雲母の粉末を所定の温度域で高圧焼結させて得
た筒状スリーブを嵌挿することを特徴とする。
【0021】この場合、上記フッ素金雲母の粉末を筒状
スリーブ形状に成形したのち、これを焼結成形するので
あるが、この粉末の焼結は、焼結温度が例えば1650
°C程度、また焼結圧力が例えば1500〜2000a
tm程度の条件で行われる。
【0022】また更に、本願の請求項8に係る発明(以
下、第8発明という)は、上記第7発明において、筒状
スリーブを耐熱性無機接着剤により取付金具の先端部内
周面に固着したことを特徴とし、上記耐熱性無機接着剤
としては、例えば、AL23とZnO2とを水ガラス中
の混入させたものが使用される。
【0023】また、本願の請求項9に係る発明(以下、
第9発明という)の点火プラグの製造方法においては、
碍子の先端部外周面を取り囲む取付金具の先端部内周面
に該内周面を覆う電気絶縁材としてのホーロー材からな
る粉末を圧粉成形して得た筒状スリーブを軽負荷圧入し
たのち、該筒状スリーブを焼成することを特徴とする。
【0024】なお、上記ホーロー材としては、例えば、
PbO50重量%、SiO218重量%、B2310重
量%、ZnO5重量%、Si3415重量%、その他を
2重量%よりなる材料が使用され、これをプレス成形す
ることにより筒状スリーブに成形する。
【0025】更に、本願の請求項10に係る発明(以
下、第10発明という)の点火プラグの製造方法におい
ては、碍子の先端部外周面を取り囲む取付金具の先端部
内周面を覆う電気絶縁材としてのホーロー材からなる粉
末を圧粉成形して得た筒状スリーブの表面に下地ホーロ
ー材をスプレーコートしたのち、該筒状スリーブを取付
金具の先端部内周面に嵌挿して焼結することを特徴とす
る。
【0026】この場合、上記下地ホーロー材としては、
例えば上記第9発明と同様の組成とされたホーロー材を
100とし、これに蒸留水30重量%、CMC(セルロ
ース)0.1重量%を加えて撹拌、混合したものが使用
される。
【0027】
【作用】第1発明によれば、中心電極を覆う碍子の先端
部外周面を所定の空間を隔てて取り囲む取付金具の先端
部内周面が、電気絶縁性に富んだホーロー材でなる被覆
層により被覆されることになるので、上記中心電極と取
付金具の先端部内周面との間の電気絶縁性が高められる
ことになって、該取付金具と中心電極との間で着火が発
生する横飛びが効果的に防止されることになる。これに
より、高出力化達成のためにリーンバーン化することに
伴って上記中心電極と接地電極との間の放電ギャップを
拡大させることにより、相対的に中心電極と取付金具と
が接近する場合、あるいは高出力化達成のための多弁化
に対応させて点火プラグを小径化する場合に、放電ギャ
ップに対して相対的に中心電極と取付金具とが接近する
状況下においても該中心電極と取付金具との間の横飛び
が効果的に防止されて、該中心電極とこれに対向する接
地電極との正規の放電ギャップ間で適正な着火が行われ
ることになる。
【0028】また、第2発明によれば、被覆層を形成す
るホーロー材中に、耐熱衝撃性および耐薬品性に富んだ
酸化物もしくは窒化物が含有されており、これにより、
上記被覆層の耐熱衝撃性が向上し、その強度が高められ
ると共に、上記取付金具のメッキ処理時等における被覆
層の耐薬品性が向上することになる。
【0029】更に、第3発明によれば、被覆層を形成す
るホーロースラリーが焼成される前の溶融状態で該溶融
部を酸化物もしくは窒化物等の絶縁性無機粉末粒子中の
埋め込むだけで、上記被覆層の表面に耐熱衝撃性および
耐薬品性に富んだ酸化物もしくは窒化物でなる保護層が
形成されることになり、耐熱衝撃性および耐薬品性を向
上させるための表面処理が極めて容易となって、その作
業性が向上することになる。
【0030】また、第4発明によれば、被覆層を形成す
るホーロースラリー中に、水ガラスと共に耐熱衝撃性お
よび耐薬品性に富んだ酸化物や窒化物が混入されおり、
このホーロースラリーが取付金具の内周面に塗布、焼成
されて被覆層が形成されることになるので、該被覆層の
取付金具内周面に対する密着性が高められて耐剥離性が
向上すると共に、該被覆層中に酸化物もしくは窒化物が
混入さることになるので、これら酸化物や窒化物の剥離
が効果的に防止されることになる。
【0031】特に、第5発明によれば、被覆層が取付金
具の先端部内周面から該取付金具の先端部外周面にかけ
て形成されているので、該被覆層による絶縁性が一段と
向上し、上記取付金具と中心電極との間の横飛びがより
一層効果的に防止されると共に、該被覆層の耐剥離性が
一段と向上することになる。
【0032】一方、第6発明によれば、取付金具の先端
部内周面に嵌挿された電気絶縁材でなる筒状スリーブに
より、該取付金具の先端部内周面が被覆されることにな
って、上記取付金具と中心電極との間の電気絶縁性が高
められ、該取付金具と中心電極との間で着火が発生する
横飛びが効果的に防止されることになる。これにより、
上記第1発明と同様に、高出力化達成のためにリーンバ
ーン化することに伴って上記中心電極と接地電極との間
の放電ギャップを拡大させることにより、相対的に該中
心電極と取付金具とが接近する場合、あるいは高出力化
達成のための多弁化に対応させて点火プラグを小径化す
る場合に、放電ギャップに対して相対的に中心電極と取
付金具とが接近する状況下においても該中心電極と取付
金具との間の横飛びが防止されて、該中心電極とこれに
対向する接地電極との正規の放電ギャップ間で適正な着
火が行われることになる。
【0033】また、第7発明によれば、筒状スリーブ
が、フッ素金雲母の粉末を所定の温度域で高圧焼結させ
て成形されているので、該筒状スリーブの組織中の気孔
が押し潰されてより微細化され、あるいは気孔率が極め
て低い状態となり、これにより、該筒状スリーブの組織
が緻密化されてその強度ならびに電気絶縁性が一段と向
上することになる。
【0034】更に、第8発明によれば、筒状スリーブが
耐熱性無機接着材により固着されているので、該筒状ス
リーブの取付金具内周面に対する密着性が向上すること
になって、該筒状スリーブの剥離が防止されて耐剥離性
が向上することになる。
【0035】また、第9発明によれば、ホーロー材から
なる粉末を圧粉成形して得た筒状スリーブが軽負荷圧入
されたのち、該筒状スリーブが取付金具の先端部内周面
に焼結されることになるので、該筒状スリーブの取付金
具先端部内周面に対する密着性が向上すると共に、ホー
ロースラリーを取付金具の先端部内周面に塗布、焼成す
ることにより被覆層を形成する場合のように、該被覆層
が形成される以外の部位をマスキングする必要がなく、
これにより、作業性が向上することになる。
【0036】更に、第10発明によれば、表面に下地ホ
ーロー材を塗布された筒状スリーブが取付金具の先端部
内周面に嵌挿されて焼結されることになるので、該筒状
スリーブの密着性等を考慮して、取付金具の先端部内周
面に下地ホーロー材を塗布、焼成したのち、該下地ホー
ロー材が形成された取付金具の先端部内周面に筒状スリ
ーブを嵌挿して再度焼結する場合に比べて、一度の焼結
工程により下地ホーロー材が塗布された筒状スリーブを
取付金具先端部内周面に焼結するこが可能となり、焼結
工程が省略されることなって、作業性が向上することに
なる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0038】図1は本発明に係る点火プラグの半断面図
であって、図示のように、この点火プラグ10は、その
軸心部に設けられた金属製の中心電極11と、該中心電
極11の周囲を覆う碍子12と、この碍子12の外周部
に一体的に外嵌された例えば低炭素鋼でなる金属製の取
付金具13とで構成されており、該取付金具13の先端
部と上記碍子12の先端部との間には所定の空間14が
形成されている。また、該取付金具13の先端部外周面
には、点火プラグ10をエンジンのシリンダヘッド(図
示せず)に螺合固着するためのネジ部13aが形成さ
れ、且つ該金具13の後端部には上記ネジ部13aをシ
リンダヘッドに螺合固定する場合に、所定の工具が係合
される六角部13bが形成されていると共に、上記ネジ
部13aにワッシャ15が予め組み付けられている。
【0039】更に、上記中心電極11の先端は、碍子1
2の先端より突出されて放電電極部11aとされ、且つ
該碍子12の後端より突出した中心電極11の他端は、
ディストリビュータ(図示せず)からの高電圧を供給す
るコードが接続される接続用ターミナル部11bとされ
ている。
【0040】更に、図2に拡大して示すように、上記ネ
ジ部13aが形成された取付金具13の先端面13cに
は、接地電極16が一体的に設けられており、この接地
電極16は、上記取付金具13の先端面13cに固着さ
れた基端部16aと、該基端部16aより屈曲されて上
記中心電極11における放電電極部11aと所定の間隙
(放電ギャップ)を隔てて対向する対向電極部16bと
で構成されている。そして、上記中心電極11の接続用
ターミナル部11bに高電圧が印加された場合に、該中
心電極11の放電電極部11aと上記接地電極16にお
ける対向電極部16bとの間でスパーク電流が流れ、こ
れによって発生する電気火花によりエンジン燃焼室内の
圧縮された混合気を点火するようになっている。
【0041】なお、上記碍子12の外周部と取付金具1
3におけるネジ部13aの内周面および該取付金具13
における六角部13bの内周面との間には、シール部材
17,18がそれぞれ装着されている。
【0042】そして、本実施例においては、図1,2に
示すように、上記取付金具13の先端部内周面13dか
ら先端面13cにかけて電気絶縁材でなる被覆層20が
形成されており、この被覆層20により上記取付金具1
3における先端面13cと先端部内周面13dおよび上
記接地電極16における基端部16aの一部が被覆され
るようになっている。
【0043】ここで、上記被覆層20の製造方法につい
て詳しく説明すると、該被覆層20は、電気絶縁材とし
てのホーロースラリーを塗布、焼成することにより成形
され、このホーロースラリーとしては、例えば、PbO
(酸化鉛)62重量%、SiO2(シリカ)20重量
%、B23(ほう酸)11重量%、ZnO(亜鉛化)5
重量%、その他2重量%とを100とし、これに蒸留水
30重量%、CMC(セルロース)0.1重量%を加え
て撹拌、混合したものが使用され、このホーロースラリ
ーを、上記取付金具13における先端面13cと先端部
内周面13dおよび上記接地電極16における基端部1
6aの一部に溶射あるいは塗布し、この状態で例えば7
25°Cの大気炉に3分間程度投入して加熱することに
より被覆層20が焼成される。
【0044】上記の構成とされた点火プラグ10によれ
ば、中心電極11を覆う碍子12の先端部外周面と所定
の空間14を隔てて対向する取付金具13の先端部内周
面13dおよび該取付金具13の先端面13cと、上記
接地電極16における基端部16aの一部とが電気絶縁
性に富んだホーロー材でなる被覆層20により被覆され
ることにより、上記の各部位と中心電極11における放
電電極部11aとの間の電気絶縁性が向上することにな
って、該放電電極部11aと上記取付金具13あるいは
接地電極16における基端部16aとの間で着火が発生
する横飛びが効果的に防止されることになる。
【0045】ここで、放電ギャップ、即ち、上記中心電
極11における放電電極部11aと接地電極16におけ
る対向電極部16bとの間隔が1.6mmに設定された
点火プラグについて、取付金具13の先端部内周面13
dの内径を拡大した場合と、その拡大された厚みに相当
する被覆層20を成形した場合とにおける横飛び発生の
有無を調べた実験結果を図3に示す。なお、実線Aは取
付金具13におけるネジ部13aの径が12mmのもの
であり、実線Bは取付金具13におけるネジ部13aの
径が10mmのものである。
【0046】図3に実線A、Bで示すように、内径をた
だ単に拡大しただけのものにおいては、内径に拡大に伴
って横飛びが発生しない放電ギャップが僅かに拡大され
ることが判明した。これに対して、内径が拡大された先
端部内周面13dに被覆層20を成形した場合には、実
線Cで示すように、放電ギャップが1.6mm以上であ
っても横飛びが発生しないことが確認された。これは、
上記被覆層20により取付金具13もしくは接地電極1
6における基端部16aと中心電極11における放電電
極部11aとの間の電気絶縁性が高められたことによる
ものである。
【0047】これにより、高出力化達成のためにリーン
バーン化することに伴って放電ギャップを拡大すること
により相対的に中心電極11における放電電極部11a
と取付金具13とが接近する場合、あるいは高出力化達
成のための多弁化に対応させて点火プラグ10を小径化
する場合に、放電ギャップに対して相対的に放電電極部
11a取付金具13とが接近する状況下においても横飛
びが防止されて、該放電電極部11aとこれに対向する
接地電極16における対向電極部16bとの正規の放電
ギャップ間で適正な着火が行われることになる。
【0048】次に、上記被覆層20の表面を酸化物もし
くは窒化物等の絶縁性無機粉末粒子により覆う表面処
理、あるいは該被覆層20中に酸化物もしくは窒化物等
の絶縁性無機粉末粒子を混入させることにより、該被覆
層20の耐熱衝撃性および耐薬品性を向上させる方法に
ついて説明する。なお、上記酸化物の一例としてAl2
3(アルミナ)、窒化物の一例としてはSi34(窒
化けい素)が挙げられる。
【0049】図4に示すように、上記取付金具13にお
ける先端面13cおよび先端部内周面13dと、接地電
極16における基端部16aの一部とに上記と同様のホ
ーロースラリーを塗布、焼成することにより被覆層20
を成形すると共に、このホーロースラリーが焼成される
前の溶融状態で該溶融部を酸化物もしくは窒化物等の絶
縁性無機粉末粒子A中に埋め込んで表面処理を施す。
【0050】これによれば、取付金具13の先端部内周
面13dおよび該取付金具13の先端面13cと、上記
接地電極16における基端部16aの一部とを絶縁する
被覆層20の表面に、耐熱衝撃性および耐薬品性に富ん
だ酸化物もしくは窒化物が付着し、これにより、被覆層
20の耐熱衝撃性が向上し、その強度が向上すると共
に、取付金具13のメッキ処理時等における被覆層20
の耐薬品性が向上することになる。
【0051】特に、上記の方法によれば、被覆層20を
形成するホーロースラリーが焼成される前の溶融状態で
該溶融部を酸化物もしくは窒化物等の絶縁性無機粉末粒
子A中の埋め込むだけで、上記被覆層20の表面に耐熱
衝撃性および耐薬品性に富んだ酸化物もしくは窒化物が
付着し、耐熱衝撃性および耐薬品性を向上させるための
表面処理が極めて容易となり、その作業性を向上させる
ことができる。
【0052】また、上記酸化物もしくは窒化物等の絶縁
性無機粉末粒子を水ガラス中に分散、固化させたのち粉
砕して得た粉末をホーロースラリー中に混入し、このホ
ーロースラリーを塗布、焼成することにより被覆層20
を成形するようにしても良い。これによれば、被覆層2
0を形成するホーロースラリー中に水ガラスと共に酸化
物もしくは窒化物等の耐熱衝撃性および耐薬品性に富ん
だ酸化物や窒化物が混入され、このスラリーが塗布、焼
成されて被覆層20が形成されることになるので、該被
覆層20の取付金具13に対する密着性が向上して絶縁
性が向上すると共に、該被覆層20中に耐熱衝撃性およ
び耐薬品性に富んだ酸化物もしくは窒化物が混入される
ことになるので、これら酸化物や窒化物が剥離すること
が防止される。
【0053】ここで、上記被覆層20の表面に酸化物も
しくは窒化物を付着させる表面処理を施した試料1と、
その表面処置を施さなかった試料2について、濃度15
%のNaOH水溶液中に侵漬して耐薬品性を調べた結果
を表1に示す。
【0054】
【表1】 表1より明らかなように、表面処置を施さなかった試料
2に比べて、酸化物もしくは窒化物を付着させる表面処
理を施した本実施例の試料1においては、耐薬品性が飛
躍的に向上することが確認された。
【0055】また、図5は上記試料1,2について水中
投下による耐熱衝撃性を調べた結果を示し、表面処置を
施さなかった試料2の耐熱衝撃温度が110°C程度で
あるのに対して、酸化物もしくは窒化物を付着させる表
面処理を施した本実施例の試料1の耐熱衝撃温度が15
0°C程度であり、耐熱衝撃性が向上することが確認さ
れた。
【0056】一方、図6に示すように、上記被覆層20
を取付金具13の先端部内周面13dから先端面13c
を経てネジ部13aが形成された先端部外周面にかけて
成形するようにしても良い。これによれば、横飛びが一
層効果的の防止されると共に、該被覆層20の取付金具
13に対する密着性が高められて耐剥離性が向上するこ
とになる。
【0057】また、図7なしい図9は本発明に係る点火
プラグの他の実施例のを示し、図7に示すように、この
実施例における点火プラグ30は、その軸心部に設けら
れた金属製の中心電極31と、該中心電極31の周囲を
覆う碍子32と、この碍子32の外周部に一体的に外嵌
された例えば低炭素鋼でなる金属製の取付金具33とで
構成されており、該取付金具33の先端部と上記碍子3
2の先端部との間には所定の空間34が形成されてい
る。また、該取付金具33の先端部外周面には、点火プ
ラグ30をエンジンのシリンダヘッド(図示せず)に螺
合固着するためのネジ部33aが形成されていると共
に、該ネジ部33aにワッシャ35が予め組み付けられ
ている。
【0058】また、上記中心電極31の先端は、碍子3
2の先端より突出されて放電電極部31aとされ、且つ
該碍子32の後端より突出した中心電極31の他端に
は、ディストリビュータ(図示せず)からの高電圧を供
給するコードが接続されるようになっている。
【0059】更に、上記ネジ部33aが形成された取付
金具33の先端面33cには、接地電極36が一体的に
設けられており、この接地電極36は、上記取付金具3
3の先端面33cに固着された基端部36aと、該基端
部36aより屈曲されて上記中心電極31における放電
電極部31aと所定の間隙(放電ギャップ)を隔てて対
向する対向電極部36bとで構成されている。
【0060】そして、この実施例においては、先端部外
周面にネジ部33aが形成された上記取付金具33の先
端部内周面33dに電気絶縁材でなる筒状スリーブ40
が嵌挿されており、この筒状スリーブ40は、図7ない
し図9に示すように、上記取付金具33の先端部内周面
33dを覆う筒状部40aと、該取付金具33の先端面
33cを覆う鍔部40bと、上記接地電極36における
基端部36aの一部を覆う係合部40cとを有する。
【0061】ここで、上記筒状スリーブ40の製造方法
について詳しく説明すると、該筒状スリーブは40、フ
ッ素金雲母の粉末を筒状スリーブ形状に成形したのち、
これを焼結成形するのであるが、この粉末の焼結は、焼
結温度が例えば1650°C程度、また焼結圧力が例え
ば1500〜2000atm程度の条件で行われる。そ
して、焼成された筒状スリーブ40が取付金具33の先
端部内周面33dに嵌挿される。なお、この場合、筒状
スリーブ40が嵌挿されたのち、接地電極36がスポッ
ト溶接等の適宜の手段により取付金具33の先端面33
cに固着されることになる。
【0062】上記の点火プラグ30によれば、筒状スリ
ーブ40により、取付金具33の先端部内周面33dお
よび該取付金具33の先端面33cと、上記接地電極3
6における基端部36aの一部とが被覆されることにな
って、上記中心電極31の放電電極部31aと取付金具
33との間で着火が発生する横飛びが効果的に防止され
ることになる。これにより、高出力化達成のためにリー
ンバーン化することに伴って放電ギャップを拡大するこ
とにより相対的に中心電極31における放電電極部31
aと取付金具33とが接近する場合、あるいは高出力化
達成のための多弁化に対応させて点火プラグ30を小径
化する場合に、放電ギャップに対して相対的に中心電極
31における放電電極部31aと取付金具33とが接近
する状況下においても横飛びが防止されて、該放電電極
部31aとこれに対向する接地電極36における対向電
極36bとの正規の放電ギャップ間で適正な着火が行わ
れることになる。
【0063】特に、上記筒状スリーブ40が、フッ素金
雲母の粉末を所定の温度域で高圧焼結させて成形されて
いるので、組織中の気孔が押しつぶされてより微細化さ
れ、あるいは気孔率が極めて低い状態となり、これによ
り、組織が緻密化され強度ならびに電気絶縁性が一段と
向上することになる。
【0064】なお、上記筒状スリーブ40を構成する電
気絶縁材としては、上記フッ素金雲母以外に、例えば、
PbO(酸化鉛)62重量%、SiO2(シリカ)20
重量%、B23(ほう酸)11重量%、ZnO(亜鉛
化)5重量%、その他を2重量%含有するホーロー材が
挙げられる。
【0065】また、上記ホーロー材以外に、筒状スリー
ブ40を構成する電気絶縁材としては、体積固有抵抗が
室温にて10″Ω・cm、耐電圧が室温にて10KV/
mm以上、熱膨張率が3.0×10-6/°C以上であ
り、熱特性として水中投下による耐熱衝撃温度が150
°C以上を満足するものであれば良く、例えば、Al2
3(アルミナ)、Si34(窒化けい素)、フッ素金
雲母(KMg3AlSiO3102)、あるいはBNや
AlNと複合化されたAl23、Si34等、更に結晶
化ガラスセラミック(Li 2O、Al23、SiO2、そ
の他よりなる)が挙げられる。
【0066】また、筒状スリーブ40を耐熱性無機接着
剤により取付金具33の先端部内周面33dに固着して
も良く、この場合、耐熱性無機接着剤としては、例え
ば、AL23とZnO2とを水ガラス中の混入させたも
のが使用される。これによれば、筒状スリーブ40が耐
熱性無機接着材により取付金具33の先端部内周面33
dに固着されることになるので、その密着性が高められ
て剥離が防止されて耐剥離性が向上することになる。
【0067】更に、ホーロー材からなる粉末を圧粉成形
して得た筒状スリーブ40を取付金具の先端部内周面に
軽負荷圧入したのち、該筒状スリーブ40を焼成しても
良く、この場合、上記ホーロー材としては、例えば、P
bO50重量%、SiO218重量%、B2310重量
%、ZnO5重量%、Si3415重量%、その他を2
重量%よりなる材料が使用され、これをプレス成形する
ことにより筒状スリーブ40が成形される。これによれ
ば、ホーロー材からなる粉末を圧粉成形して得た筒状ス
リーブが軽負荷圧入されたのち、該筒状スリーブが内周
面に焼成されることになるので、該筒状スリーブ40の
密着性が向上すると共に、ホーロースラリーを塗布、焼
成することにより第1実施例における被覆層20を形成
する場合のように、該被覆層20が形成される以外の部
位をマスキングする必要がなく、作業性が向上する。
【0068】また、図9に示すように、電気絶縁材とし
てのホーロー材からなる粉末を圧粉成形して得た筒状ス
リーブ40の表面に、スプレーガンB等を用いて下地ホ
ーロー材をスプレーコートしたのち、該筒状スリーブ4
0を取付金具の先端部内周面に嵌挿して焼成するように
しても良い。なお、上記下地ホーロー材としては、例え
ば、PbO50重量%、SiO218重量%、B23
0重量%、ZnO5重量%、Si3415重量%、その
他を2重量%を100とし、これに蒸留水30重量%、
CMC(セルロース)0.1重量%を加えて撹拌、混合
したものが使用される。
【0069】この場合には、筒状スリーブ40の密着性
等を考慮して、取付金具33の先端部内周面33dに下
地ホーロー材を塗布、焼成したのち、該下地ホーロー材
が形成された取付金具33の先端部内周面33dに筒状
スリーブ40を嵌挿して再度焼結する場合に比べて、一
度の焼結工程により下地ホーロー材が塗布された筒状ス
リーブ40を取付金具先端部内周面33dに焼結するこ
が可能となり、焼結工程が省略されることなって、作業
性が向上することになる。
【0070】なお、上記筒状スリーブ40の内周面に第
1実施例と同様に、耐熱性に富んだ酸化物もしくは窒化
物等の絶縁性無機粉末粒子を被覆させる表面処理を施し
た試料3と、表面処理を施さない試料4とについて水中
投下による耐熱衝撃性を調べた結果を図11に示し、表
面処置を施さなかった試料4の耐熱衝撃温度が110°
C程度であるのに対して、酸化物もしくは窒化物を付着
させる表面処理を施した本実施例の試料4の耐熱衝撃温
度が155°C程度であり、耐熱衝撃性が向上すること
が確認された。
【0071】
【発明の効果】以上のように、第1発明によれば、電気
絶縁性に富んだホーロー材でなる被覆層により取付金具
の先端部内周面が被覆されることにり、中心電極と取付
金具の先端部内周面との間の電気絶縁性が高められるこ
とになって、該取付金具と中心電極との間で着火が発生
する横飛びが効果的に防止されることになる。これによ
り、高出力化達成のためにリーンバーン化することに伴
って上記中心電極と接地電極との間の放電ギャップを拡
大させることにより、相対的に中心電極と取付金具とが
接近する場合、あるいは高出力化達成のための多弁化に
対応させて点火プラグを小径化する場合に、放電ギャッ
プに対して相対的に中心電極と取付金具とが接近する状
況下においても該中心電極と取付金具との間の横飛びが
防止されて、該中心電極とこれに対向する接地電極との
正規の放電ギャップ間で適正な着火が行われることにな
る。
【0072】また、第2発明によれば、被覆層を形成す
るホーロー材中に含有された耐熱衝撃性および耐薬品性
に富んだ酸化物もしくは窒化物により、該被覆層の耐熱
衝撃性が向上し、その強度が高められると共に、上記取
付金具のメッキ処理時等における被覆層の耐薬品性が向
上し、信頼性が一段と向上することになる。
【0073】更に、第3発明によれば、被覆層を形成す
るホーロースラリーが焼成される前の溶融状態で該溶融
部を酸化物もしくは窒化物等の絶縁性無機粉末粒子中に
埋め込むだけで、上記被覆層の表面に耐熱衝撃性および
耐薬品性に富んだ酸化物もしくは窒化物でなる保護層が
形成されることになり、耐熱衝撃性および耐薬品性を向
上させるための表面処理が極めて容易となって、その作
業性を向上させることができる。
【0074】また、第4発明によれば、被覆層を形成す
るホーロースラリーが取付金具の内周面に塗布、焼成さ
れて被覆層が形成されることになるので、該被覆層の取
付金具内周面に対する密着性が高められて耐剥離性が向
上すると共に、該被覆層中に酸化物もしくは窒化物が混
入されているので、これら酸化物や窒化物の剥離が効果
的に防止されることになる。
【0075】特に、第5発明によれば、被覆層が取付金
具の先端部内周面から該取付金具の先端部外周面にかけ
て形成されているので、該被覆層による絶縁効果が一段
と向上し、上記取付金具と中心電極との間の横飛びがよ
り一層効果的に防止されると共に、該被覆層の耐剥離性
が一段と向上することになる。
【0076】また、第6発明によれば、電気絶縁材でな
る筒状スリーブにより、取付金具の先端部内周面が被覆
されることになり、該取付金具と中心電極との間で着火
が発生する横飛びが効果的に防止されることになり、こ
れにより、上記第1発明と同様に、上記中心電極とこれ
に対向する接地電極との正規の放電ギャップ間で適正な
着火が行われることになる。
【0077】また、第7発明によれば、筒状スリーブが
フッ素金雲母の粉末を所定の温度域で高圧焼結させて成
形されているので、該筒状スリーブの組織中の気孔が押
し潰されてより微細化され、あるいは気孔率が極めて低
い状態となり、これにより、該筒状スリーブの組織が緻
密化されてその強度ならびに電気絶縁性が一段と向上す
ることになる。
【0078】更に、第8発明によれば、筒状スリーブの
取付金具内周面に対する密着性が向上することになっ
て、該筒状スリーブの剥離が防止されて耐剥離性が向上
することになる。
【0079】また、第9発明によれば、ホーロー材から
なる粉末を圧粉成形して得た筒状スリーブが軽負荷圧入
されたのち、該筒状スリーブが取付金具の先端部内周面
に焼成されることになるので、該筒状スリーブの取付金
具先端部内周面に対する密着性が向上すると共に、ホー
ロースラリーを取付金具の先端部内周面に塗布、焼成す
ることにより被覆層を形成する場合のように、該被覆層
が形成される以外の部位をマスキングする必要がなく、
これにより、作業性が向上することになる。
【0080】更に、第10発明によれば、表面に下地ホ
ーロー材を塗布された筒状スリーブが取付金具の先端部
内周面に嵌挿されて焼成されることになるので、該筒状
スリーブの密着性等を考慮して、取付金具の先端部内周
面に下地ホーロー材を塗布、焼成したのち、該下地ホー
ロー材が形成された取付金具の先端部内周面に筒状スリ
ーブを嵌挿して再度焼成する場合に比べて、一度の焼成
工程により下地ホーロー材が塗布された筒状スリーブを
取付金具先端部内周面に焼成することが可能となり、焼
成工程が省略されることなって、作業性が向上すること
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る点火プラグの半断面図。
【図2】 点火プラグ先端の要部拡大断面図。
【図3】 被覆層の効果による横飛びが発生しない放
電ギャップの変化を示すグラフ。
【図4】 被覆層に対する表面処理方法の一例を説明
するための点火プラグ先端の拡大断面図。
【図5】 被覆層に表面処理を施した場合と表面処理
を施さない場合との耐熱衝撃性を調べた結果を示すグラ
フ。
【図6】 被覆層成形方法の他の実施例を説明するた
めの点火プラグ先端の拡大断面図。
【図7】 電気絶縁材でなる筒状スリーブが嵌挿され
た点火プラグ先端の拡大断面図。
【図8】 筒状スリーブを半断面にして示す斜視図。
【図9】 筒状スリーブ表面に下地ホーロー材を塗布
する方法を説明するための筒状スリーブ単体の斜視図。
【図10】 筒状スリーブ内周面に表面処理を施した場
合と表面処理を施さない場合との耐熱衝撃性を調べた結
果を示すグラフ。
【図11】 従来の点火プラグ先端部の拡大断面図。
【符号の説明】 10,30 点火プラグ 11,31 中心電極 11a,31a 放電電極部 13,33 取付金具 13c,33c 先端面 13d、33d 先端部内周面 16,36 接地電極 16a,36a 基端部 16b,36b 対向電極部 20 被覆層 40 筒状スリーブ 40a 筒状部 40b 鍔部 40c 係合部

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心電極およびその周囲を覆う碍子と、
    この碍子に外嵌され、且つ先端部が所定の空間を隔てて
    碍子の先端部外周面を取り囲む取付金具と、該取付金具
    に接続されて上記中心電極先端と所定の放電ギャップを
    隔てて対向する接地電極とを有する点火プラグであっ
    て、上記碍子の先端部外周面を取り囲む取付金具の先端
    部内周面に電気絶縁材としてのホーロー材でなる被覆層
    が形成されていることを特徴とする点火プラグ。
  2. 【請求項2】 中心電極およびその周囲を覆う碍子と、
    この碍子に外嵌され、且つ先端部が所定の空間を隔てて
    碍子の先端部外周面を取り囲む取付金具と、該取付金具
    に接続されて上記中心電極先端と所定の放電ギャップを
    隔てて対向する接地電極とを有する点火プラグの製造方
    法であって、上記碍子の先端部外周面を取り囲む取付金
    具の先端部内周面にホーロー材中に酸化物もしくは窒化
    物等の絶縁性無機粉末粒子を含有する電気絶縁材でなる
    被覆層を形成することを特徴とする点火プラグの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 中心電極およびその周囲を覆う碍子と、
    この碍子に外嵌され、且つ先端部が所定の空間を隔てて
    碍子の先端部外周面を取り囲む取付金具と、該取付金具
    に接続されて上記中心電極先端と所定の放電ギャップを
    隔てて対向する接地電極とを有する点火プラグの製造方
    法であって、上記碍子の先端部外周面を取り囲む取付金
    具の先端部内周面に電気絶縁材としてのホーロースラリ
    ーを塗布、焼成することにより被覆層を成形すると共
    に、上記ホーロースラリーが焼成される前の溶融状態で
    該溶融部を酸化物もしくは窒化物等の絶縁性無機粉末粒
    子中に埋め込んで表面処理を施すことを特徴とする点火
    プラグの製造方法。
  4. 【請求項4】 中心電極およびその周囲を覆う碍子と、
    この碍子に外嵌され、且つ先端部内周面が所定の空間を
    隔てて碍子の先端部外周面を取り囲む取付金具と、該取
    付金具に接続されて上記中心電極先端と所定の放電ギャ
    ップを隔てて対向する接地電極とを有する点火プラグの
    製造方法であって、上記碍子の先端部外周面を取り囲む
    取付金具の先端部内周面に、酸化物もしくは窒化物等の
    絶縁性無機粉末粒子を水ガラス中に分散、固化させたの
    ち粉砕して得た粉末が混入されたホーロースラリーを塗
    布、焼成することにより被覆層を成形することを特徴と
    する点火プラグの製造方法。
  5. 【請求項5】 被覆層を取付金具の先端部内周面から該
    金具の先端部外周面にかけて成形することを特徴とする
    請求項2および請求項4のいずれかに記載の点火プラグ
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 中心電極およびその周囲を覆う碍子と、
    この碍子に外嵌され、且つ先端部内周面が所定の空間を
    隔てて碍子の先端部外周面を取り囲む取付金具と、該取
    付金具に接続されて上記中心電極先端と所定の放電ギャ
    ップを隔てて対向する接地電極とを有する点火プラグで
    あって、上記碍子の先端部外周面を取り囲む取付金具の
    先端部内周面に該内周面を覆う電気絶縁材でなる筒状ス
    リーブが嵌挿されていることを特徴とする点火プラグ。
  7. 【請求項7】 中心電極およびその周囲を覆う碍子と、
    この碍子に外嵌され、且つ先端部内周面が所定の空間を
    隔てて碍子の先端部外周面を取り囲む取付金具と、該取
    付金具に接続されて上記中心電極先端と所定の放電ギャ
    ップを隔てて対向する接地電極とを有する点火プラグの
    製造方法であって、上記碍子の先端部外周面を取り囲む
    取付金具の先端部内周面に該内周面を覆う電気絶縁材と
    してのフッ素金雲母の粉末を所定の温度域で高圧焼結さ
    せて得た筒状スリーブを嵌挿することを特徴とする点火
    プラグの製造方法。
  8. 【請求項8】 筒状スリーブを耐熱性無機接着剤により
    取付金具の先端部内周面に固着したことを特徴とする請
    求項7記載の点火プラグの製造方法。
  9. 【請求項9】 中心電極およびその周囲を覆う碍子と、
    この碍子に外嵌され、且つ先端部内周面が所定の空間を
    隔てて碍子の先端部外周面を取り囲む取付金具と、該取
    付金具に接続されて上記中心電極先端と所定の放電ギャ
    ップを隔てて対向する接地電極とを有する点火プラグの
    製造方法であって、上記碍子の先端部外周面を取り囲む
    取付金具の先端部内周面に該内周面を覆う電気絶縁材と
    してのホーロー材からなる粉末を圧粉成形して得た筒状
    スリーブを軽負荷圧入したのち、該筒状スリーブを焼結
    することを特徴とする点火プラグの製造方法。
  10. 【請求項10】 中心電極およびその周囲を覆う碍子
    と、この碍子に外嵌され、且つ先端部内周面が所定の空
    間を隔てて碍子の先端部外周面を取り囲む取付金具と、
    該取付金具に接続されて上記中心電極先端と所定の放電
    ギャップを隔てて対向する接地電極とを有する点火プラ
    グの製造方法であって、上記碍子の先端部外周面を取り
    囲む取付金具の先端部内周面を覆う電気絶縁材としての
    ホーロー材からなる粉末を圧粉成形して得た筒状スリー
    ブの表面に下地ホーロー材をスプレーコートしたのち、
    該筒状スリーブを取付金具の先端部内周面に嵌挿して焼
    結することを特徴とする点火プラグの製造方法。
JP7934492A 1992-02-28 1992-02-28 点火プラグおよびその製造方法 Pending JPH05242954A (ja)

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