JPH0523549A - 中空糸ろ過モジユール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 Ｕ字状に束ねられた中空糸束をもつ中空糸ろ
過モジュールにおいて、中空糸に懸濁物質が付着し、中
空糸同士が付着して棒状にならないよう、各中空糸間に
液流及び洗浄用空気が良く入るように各中空糸がなるべ
く全長にわたって十分に間隔を保った状態で支持するこ
と。 【構成】 中空糸束のＵ字状端部１０に第１の支持点と
それから離れた第２の支持点をもつサポート部材８，９
を設けて、それに中空糸２を引掛けて各中空糸が幅広い
Ｕ字状部を形成させるとともに、各中空糸２を分散支持
し、かつ固定部３の近くにスペーサー１２，１３を設け
て、Ｕ字状中空糸２の一方の糸と他方の糸とが間隔を保
つように保持した中空糸ろ過モジュール。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、液体ろ過用の中空糸ろ
過モジュールに関し、より詳しくは懸濁液から清澄液を
得る固液分離工程に使用するに適した中空糸ろ過モジュ
ールに関する。

【０００２】

【従来の技術】中空糸（「中空糸膜」とも呼ばれてい
る）は優れたろ過機能を有すると共に、その構造からろ
過に必要な膜の面積を大きくすることが容易であるた
め、従来より高純度の工業用水の製造や気体のろ過等、
種々の用途に広く用いられてきている。さらに、懸濁物
濃度が数千から一万〔ｍｇ／Ｌ〕以上の被処理水中に中
空糸モジュールを浸漬し、直接ろ過水を得る方法が行わ
れている。

【０００３】この中空糸モジュールを製作するにさいし
ては、製作上の便宜から多数本の中空糸の少なくとも一
端で束ねた状態で固定部で固定し、その固定部に隣接し
た部分を集水部としており、さらに中空糸をＵ字状とす
ると使用する中空糸の本数が半分ですむことからＵ字状
に束ねた中空糸束を用いて中空糸モジュールを形成する
ことが広く行われている。このような形式の中空糸モジ
ュールでは一端の固定部で束ねられているため、中空糸
相互が密接した状態で存在している。

【０００４】このような中空糸モジュールを用いて懸濁
物濃度が高い状態の被処理液、例えば生物処理槽の懸濁
液のろ過を行うと、多数の中空糸の間に懸濁物質が浸
入、滞留し、そこへ懸濁液の補給がない状態となり、中
空糸に付着した懸濁物質によって中空糸相互が密着し合
って、中空糸群がひとまとまりの棒状の束となったもの
が形成し易い。このような束が形成されると、束の内部
には被処理水が浸入接触しがたいため、ろ過面積が減少
してろ過機能が低下する欠点がある。また、Ｕ字状の中
空糸束を用いる中空糸ろ過モジュールにおいては、固定
部で固定されているＵ字状中空糸の固定端の反対側であ
るＵ字状端部は通常自由端としていたため、各中空糸が
液流により自由に運動し、互にからみ合って固まってし
まうという問題もあった。

【０００５】このような欠点を改善するために、実公平
２−１３０６７号のように、中空糸束のＵ字状部の中央
（「Ｕ字状端部」に当る）を通過する、例えばリング状
の形状をもつ中空糸サポート部材を設けて、各中空糸が
自由に動くことがなく、かつ分散してひっかけられるよ
うに配置する方式が提案されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
式では、ろ過を行う装置自体が直管内に中空糸ろ過モジ
ュールを配置する形式であったために、この中空糸ろ過
モジュールを設ける中空糸サポート部材の大きさも前記
直管の大きさに制約されて、その直管内に収まる程度
で、前記モジュールの固定部の直径とほとんど同じ程度
であった。このため中空糸サポート部材を設けても、そ
れは中空糸を分散して平行に張る程度の作用をしていな
かった。それで、この場合でも中空糸束における中空糸
の密集状態はほとんど改善されず、中空糸同士の間隔を
広げることができないため、中空糸間に浸入した懸濁物
質が滞留して中空糸同士の付着が発生するために、上記
欠点を解消するに到っていない。

【０００７】中空糸束における中空糸の密集状態を改善
するためには、例えばリング状の中空糸サポート部材の
直径を大きくすることが考えられるが、その手段ではＵ
字状中空糸束の各中空糸のＵ字状端部間が多少拡がる程
度であり、リング状の中空糸サポート部材に引かけられ
た各中空糸のＵ字状の一方の糸と他方の糸とが近接して
おり、中空糸束全体としてみれば固定部附近ではその密
集状態がまったく改善されていないという欠点がある。

【０００８】本発明は、Ｕ字状に束ねられた中空糸束を
もつ中空糸ろ過モジュールにおいて、Ｕ字状の各中空糸
がそのＵ字状端で互に離れているようにするとともに、
各中空糸自体がそのＵ字状端のみならず、固定部材附近
に至るまで、Ｕ字状をなす一方の糸と他方の糸とが十分
離れるようにした中空糸ろ過モジュールを得ることを目
的とするものである。

【０００９】また、本発明は、Ｕ字状に束ねられた中空
糸束における各中空糸自体がＵ字状をなす一方の糸と他
方の糸とが十分離れるようにして、中空糸間に浸入した
懸濁物質を滞留させることがなく、空気流の吹込みを伴
う洗浄などにさいして、容易にモジュールの外部へ流出
させることができるため、長時間使用しても中空糸同士
の付着が起こり難く、有効使用時間が長くできる中空糸
ろ過モジュールを提供することを目的とするものであ
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的
を、被処理水に浸漬されてろ過水を得るのに使用する、
Ｕ字状に束ねた中空糸束と、該中空糸束端部をろ過水を
集水するための集水部に連通するように固定した固定部
とを有する中空糸ろ過モジュールにおいて、中空糸束の
Ｕ字状端部の内側に第１の支持点とそれから離れた第２
の支持点をもつサポート部材を設けて、それに中空糸束
を引掛けて各中空糸が幅の広いＵ字状部を形成するよう
にするとともに、各中空糸が分散して支持するように
し、かつ前記固定部の近くに、各中空糸が固定部の軸線
より外方にあるように保持し、しかもＵ字状の各中空糸
の一方の糸と他方の糸とが互に離れた位置に保持するス
ペーサーを設けたことを特徴とする中空糸ろ過モジュー
ルによって達成することができた。

【００１１】本発明は、上記サポート部材及びスペーサ
ーとして、円形あるいはだ円形のリングのような閉じた
曲線の形状をもつものを用いることによってその目的を
よく達成することができる。

【００１２】すなわち、本発明では、Ｕ字状に束ねた中
空糸束のＵ字状端部の内側にスペーサーを兼ねたサポー
ト部材を設けて、Ｕ字状の各中空糸の一方の糸と他方の
糸とが離れた状態で支持するとともに、中空糸束の各中
空糸が分散された状態で支持され、さらに固定部の近く
で中空糸束の内側にスペーサを設けて各中空糸の一方の
糸と他方の糸とが離れた位置に保持されるようにしてい
る。本発明では、この構造により各中空糸がバラバラに
分散した状態で保持されるため、中空糸が密集状態にな
ることがなく、高濃度の懸濁液をろ過しても懸濁物質が
中空糸に付着することが少なく、洗浄作用なども十分有
効である。

【００１３】本発明において前記のサポート部材として
は、中空糸を前記したような状態に支持できる構造を有
するものならばどのようなものでもよいが、Ｕ字状の中
空糸群の内側へ通すことができるような、製作上容易な
ものがよい。例えば二重のリングからなるものでよい
し、円形の帯状部材でよい。また、直線状の帯状部材で
もよいが、この場合中空糸が一個所に集まってしまわな
いように糸ズレ防止突起を設ける必要がある。サポート
部材の形状は、中空糸を均一に分散させる関係上なるべ
く円形のものが好ましい。このサポート部材において、
固定部から伸びる各中空糸はサポート部材の第１の支持
点で曲がり、そこから離れた第２の支持点で曲がって固
定部へ戻る形でＵ字状を形成して支持され、かつ往きの
糸である一方の糸と戻りの糸である他方の糸とが十分離
れるようにする。

【００１４】また、中空糸ろ過モジュールの固定部の近
くに設けるスペーサーは、なるべく固定部に近い方がよ
い。スペーサーは、固定部の附近では中空糸が集中して
いるので、前記モジュールの軸線より外側に中空糸を保
持して中空糸群が棒状になるのを防ぐとともに、Ｕ字状
の各中空糸の一方の糸と他方の糸とが十分離れるように
保持される。このようにするためには、スペーサーの形
状は、サポート部材の形状と類似したものがよく、サポ
ート部材の形状か二重リングの場合には円形が良く、例
えは後記の実施例１に示すように二重リングとすること
ができる。この場合内側のリングは円板とすることもで
きる。また、サポート部材が真直ぐな帯状体の場合には
スペーサーの形状も真直ぐな帯状体とする。

【００１５】前記サポート部材の大きさは、例えばリン
グ状の場合その直径がスペーサーの直径の１〜１．８倍
程度が好ましく、その第１の支持点と第２の支持点の
幅、すなわちスペーサー相当部分の幅は、３０〜５０ｍ
ｍ程度とするのがよい。

【００１６】また、中空糸ろ過モジュールの固定部の近
くに設けるスペーサーの位置は、中空糸の長さの１／５
〜１／１０程度がよい。スペーサーが円形の場合、その
直径は、円形のサポート部材の直径よりも小さくてもよ
く、固定部の直径の１〜２倍程度が好ましい。さらにス
ペーサーの幅もサポート部材におけるスペーサーの部分
における幅よりも小さくするのが好ましいが、Ｕ字状の
中空糸の一方の糸と他方の糸との間に洗浄作用が行われ
るに十分な間隔のものとする。これらの直径とか幅は、
実験的に決定することができる。

【００１７】この中空糸ろ過モジュールを形成するのに
用いる中空糸としては、柔軟性を有し、かつ中空糸の目
詰まりに対する機能回復操作時の外力や薬品に耐えられ
るようなものが好ましく、そのような中空糸の例として
ポリオレフィン、フッ素化ポリオレフィン、ポリスルフ
ホン、ポリアクリロニトリル等の素材からなり、限外ろ
過膜又は精密ろ過膜の性質を有する中空糸を挙げること
ができる。

【００１８】

【作用】本発明の中空糸ろ過モジュールでは、Ｕ字状の
中空糸束のＵ字状端部でサポート部材により各中空糸が
分散して支持されているとともに、そのサポート部材と
固定部近くのスペーサーにより各Ｕ字状中空糸の一方の
糸と他方の糸との間隔がほとんど全長に亘って十分空け
られているため、その間に液が流れ易く両方の糸の間に
浸入した懸濁物質が中空糸間に滞留することが無く、流
出させることが容易にできるので、中空糸への懸濁物質
の付着、それにより中空糸同士の付着を防ぎ、結果とし
て中空糸群が棒状に固着するのを防ぐことができる。そ
れによりろ過を長時間継続することができる。

【００１９】

【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定される
ものではない。 実施例１ サポート部材として二重のリングからなるものを用い、
また固定部に近いスペーサーとして同様に二重のリング
を用いて中空糸ろ過モジュールを構成した。図１にその
中空糸ろ過モジュール１の斜視図を示す。

【００２０】図１において多数のＵ字状の中空糸２の束
の末端を固定部３で固定し、その固定部３の下方に集水
部４を設ける。固定部３の中央には上方に伸びる集水管
５が設けられ、この集水管５の上端にはろ過水出口６が
設けられている。集水管５の上部には支持腕７が設置さ
れ、それによって同心円状のリングである内側サポート
部材８と外側サポート部材９が支持され、この両サポー
ト部材はＵ字状中空糸２の内側にあってこの中空糸のＵ
字状端部１０を支持している。そして、設計の一例では
固定部の直径９ｃｍに対し、内側サポート部材８と外側
サポート部材９の直径がそれぞれ２２ｃｍ、３０ｃｍと
し、このように両サポート部材を間隔を空けて設けるこ
とにより、中空糸に対してスペーサーの作用もする。図
１ではＵ字状の中空糸を２本しか示していないが、中空
糸束の多数の中空糸は前記両サポート部材に均一に分散
して支持されている。

【００２１】また、集水管５の固定部３の近くには支持
腕１１が設けられ、それによって同心円状のリングであ
る内側スペーサー１２と外側スペーサー１３が支持され
ている。内側スペーサー１２及び外側スペーサー１３の
直径は、設計の一例ではそれぞれ１２ｃｍ、１７ｃｍで
あって、両スペーサーの外側にそれぞれ中空糸の一方の
糸及び他方の糸を配置することにより、中空糸を中空糸
ろ過モジュールのなるべく外側にあるように張設すると
ともに、中空糸の一方の糸と他方の糸とを間隔を空けて
配置することができる。そのさい、中空糸の強度を考慮
して中空糸に自重以外の張力がかからないようにする。

【００２２】この中空糸ろ過モジュールでは固定部、ス
ペーサー、サポート部材の順に大きくしてあるので、こ
れによりモジュールの下方から来た水流が中空糸へ有効
に当たり、洗浄効果を上げることができる。

【００２３】この中空糸ろ過モジュールの集水部４の縦
断面図を図２に示す。中空糸２の末端は固定部３におけ
る固定部材１４によって固定され、中空糸を透過した透
過水１５は集水部４に集められ、集水管５を通って上昇
する。

【００２４】この例では、サポート部材として同心円状
の二重リングからなる内側サポート部材と外側サポート
部材を使用したが、その代りに図３に示すような１個の
幅の広い環状部材をサポート部材１６として使用するこ
とができる。この場合、サポート部材１６はＵ字状中空
糸２のＵ字状端部に対するスペーサーの作用も兼ねてお
り、それには水流の通過を容易にするための穴１７を多
数明けたものとするのが良い。

【００２５】また、図１の中空糸ろ過モジュールにおい
ては固定部３において中空糸束の端部を固定するに当っ
ては、中空糸端が同心円状に分布するようにするのが良
いが、同心円状の一部である弧状に分布するように固定
することもできる。図４は、固定部３においてＵ字状中
空糸束の端部を弧状に分布するように固定した状態と、
サポート部材とスペーサーとにおけるＵ字状中空糸の支
持状態を示した模式図である。固定部上面１８には中空
糸端部１９は束となって弧状を示す形で固定されてい
る。 実施例２ サポート部材及びスペーサーとして真直ぐな帯状体を用
いて中空糸ろ過モジュールを構成した。図５にその中空
糸ろ過モジュールの斜視図を示す。

【００２６】図５において、多数のＵ字状の中空糸２の
束の末端を固定部３で固定し、その固定部３の下方に集
水部４を設け、その下方に集水管５を設け、そこからろ
過水を排出する。固定部３に連結された支柱２０により
帯状の形状のサポート部材２２が保持され、このサポー
ト部材２２をまたぐようにしてＵ字状の中空糸２が保持
されている。中空糸束の中空糸がサポート部材２２に平
均して分布するようにサポート部材２２の表面上に糸ず
れ防止突起２３を何個所か設ける。

【００２７】固定部３に近い位置には、サポート部材２
２と同様に帯状体であるスペーサー２５を、支柱２０及
び支持体２１によりＵ字状中空糸の一方の糸と他方の糸
との間にあるように保持して、両方の糸の間隔を空け
る。スペーサー２５の横の長さはサポート部材の横の長
さより狭くするが、スペーサー２５の側部には中空糸が
スペーサー２５の全体に広がるように糸ずれ防止突起２
６を何個所か設置する。

【００２８】サポート部材２２は幅が広いため中空糸２
には幅の広いＵ字状端部を形成し、スペーサー２５とと
もにＵ字状中空糸の一方の糸と他方の糸とを全体にわた
って間隔を保つことができる。サポート部材２２とスペ
ーサー２５とは水流の流通を容易にするため穴２４など
を明けておくことが好ましい。

【００２９】

【発明の効果】本発明の中空糸ろ過モジュールは、Ｕ字
状中空糸の一方の糸と他方の糸とをモジュールのほぼ全
長にわたって間隔を保つことができるとともに、中空糸
全体を分散して支持されているので中空糸束の密集状態
が改善され、中空糸間に浸入した懸濁物質を滞留させる
ことがなく、空気流の吹込みを伴う洗浄などにさいして
それらを除去できるので、その懸濁物質が中空糸が付着
したり、中空糸同士がそれによって付着することがな
い。そのため中空糸群が棒状に固まることがなく、長時
間安定してろ過水を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１における中空糸ろ過モジュー
ルの斜視図である。

【図２】図１の中空糸ろ過モジュールにおける集水部の
縦断面図である。

【図３】図１の中空糸ろ過モジュールに使用しうる環状
のサポート部材の斜視図である。

【図４】図１の中空糸ろ過モジュールにおける固定部で
のＵ字状中空糸束の端部の分布状態とサポート部材とス
ペーサーとにおけるＵ字状中空糸の支持状態を示した模
式図である。

【図５】本発明の実施例２における中空糸ろ過モジュー
ルの斜視図である。

【符号の説明】

１ 中空糸ろ過モジュール ２ 中空糸 ３ 固定部 ４ 集水部 ５ 集水管 ６ ろ過水出口 ７ 支持腕 ８ 内側サポート部材 ９ 外側サポート部材 １０ Ｕ字状端部 １１ 支持腕 １２ 内側スペーサー １３ 外側スペーサー

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 被処理水に浸漬されてろ過水を得るのに
   使用する、Ｕ字状に束ねた中空糸束と、該中空糸束端部
   をろ過水を集水するための集水部に連通するように固定
   した固定部とを有する中空糸ろ過モジュールにおいて、
   中空糸束のＵ字状端部の内側に第１の支持点とそれから
   離れた第２の支持点をもつサポート部材を設けて、それ
   に中空糸束を引掛けて各中空糸が幅の広いＵ字状部を形
   成するようにするとともに、各中空糸が分散して支持す
   るようにし、かつ前記固定部の近くに、各中空糸が固定
   部の軸線より外方にあるように保持し、しかもＵ字状の
   各中空糸の一方の糸と他方の糸とが互に離れた位置に保
   持するスペーサーを設けたことを特徴とする中空糸ろ過
   モジュール。