JPH05226924A - プリントアンテナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 プリントアンテナにおいて、アンテナ素子の
利得−周波数特性の帯域幅を改良し、同時に、交差偏波
特性または円偏波特性を改良する。 【構成】 プリントアンテナにおいて、絶縁体基板の一
方の面に設けられた接地導電体に形成した窓１２と、該
窓１２内に形成した２つのストリップ導電体１０と、該
ストリップ導電体１０の各々の長さ方向の中央と該接地
導電体とを接続する短絡導電体１１を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、マイクロ波送受信用プ
リントアンテナに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】プリント基板上にアンテナ素子及び伝送
線路を構成したプリントアンテナは、薄型、軽量、小
型、量産向き、電子回路の一体化が容易であるなどの多
くの利点を有し、衛星放送、移動体通信などのマイクロ
波送受信用アンテナとして用いられている。プリントア
ンテナには、各種の形式があるが、線状のストリップア
ンテナ素子を用い、接地導電体を取り除いた窓を設ける
ことにより広帯域化したプリントアンテナは、パッチ型
素子等を用いる他のプリントアンテナと異なり、共振モ
ードが１つしかなく動作が安定しているという点で注目
されている。

【０００３】この窓は幅の広いスロットアンテナ素子と
しても動作するので、これはストリップアンテナ素子に
対して不要放射の発生源となる。不要放射を抑制する手
段としては、ストリップアンテナ素子の長さ方向の中央
部の位置で窓に凸部を設ける提案が本発明と同じ発明者
によってなされている（特願平３−１７６２１２号）。

【０００４】さらに、衛星放送受信等に用いられる円偏
波送受信用のアンテナとしてこの線状のストリップアン
テナ素子を用いる場合には、ストリップアンテナ素子と
線状素子であるスロットアンテナ素子とを組み合わせ
て、励振用の伝送線路に沿って給電位相差が９０度とな
るように配置することが提案されている。このように配
置すると、ストリップ素子の放射電界とスロットアンテ
ナ素子の放射電界とは空間的に直交しているので、時間
的に９０度の位相差を持つと共に、空間的に直交した励
振電磁界の合成となり、効率よく円偏波を放射すること
ができる（なお、アンテナは、電磁界の双対性により、
送信、受信のいずれにも用いることができる）。

【０００５】以上述べた線状素子の組み合わせにより円
偏波を放射するプリントアンテナの従来例を図６〜図８
に示す。

【０００６】図６は、線状素子の組み合わせにより円偏
波を放射するプリントアンテナの従来例を示す平面図で
あり、図７は、図６のプリントアンテナを構成する従来
例の窓付きストリップアンテナ素子の１つを示す平面図
であり、図８は、反射板も共に示す図６及び図７の線８
−８に沿った断面図である。

【０００７】図６〜図８において、符号１０は、ストリ
ップアンテナ素子（ストリップ導電体）を示し、１２
は、窓を示し、１３は、入出力部を示し、１４は、伝送
線路を示し、１５、１６は、絶縁体基板を示し、１７は
接導電体を示し、１８は反射板を示し、１９はスロット
アンテナ素子を示す。窓１２は伝送線路１４との結合を
弱くさせることにより、窓からの放射を少なくする目的
から伝送線路側にテーパを設けてある。なお、この従来
例のプリントアンテナ素子の機能に関する詳細な説明は
前述の特許出願に記載さているので、ここでは省略す
る。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】衛星放送送受信用の偏
波切り換えアンテナなどでは、アンテナ素子の交差偏波
特性が広い周波数帯域幅にわたって良好なことが要求さ
れる。このようなアンテナの素子として窓付きのストリ
ップアンテナ素子を用いる場合、窓からの不要放射（交
差偏波特性を悪化させる主な要因である）を抑制するた
めには、窓に前述の凸部を設けるが、この凸部により主
偏波の利得の周波数帯域幅が狭くなる。そこで、凸部の
形状を交差偏波特性と利得−周波数特性との間で最適化
する必要があり、テーパ付きの窓を用いても、両方の特
性を同時に、良好な状態することができないという欠点
があった。

【０００９】また、この周波数帯域幅は、反射板を付加
し、基板厚を薄くするほど狭くなる傾向があり、さら
に、円偏波アンテナとしてスロットアンテナ素子と組み
合わせる時には、スロットアンテナ素子に較べストリッ
プアンテナ素子の周波数帯域幅が狭いことによって、円
偏波特性が悪化するという欠点があった。

【００１０】したがって、本発明の目的は、アンテナ素
子の利得−周波数特性の帯域幅が広く、同時に、交差偏
波特性または円偏波特性が良好な、マイクロ波送受信用
プリントアンテナを提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに、本発明は、絶縁体基板の一方の面に設けられた接
地導電体に形成した窓と、該窓内に形成した２つのスト
リップ導電体と、該ストリップ導電体の各々の長さ方向
の中央と該接地導電体とを接続する短絡導電体を有する
ことを特徴とするプリントアンテナを採用するものであ
る。

【００１２】

【作用】本発明は、１つの窓内にストリップ導電体を２
つ形成しているので、周波数帯域幅が広く、各々のスト
リップ素子の幅が狭いので共振モードが１つしかなく動
作が安定している。また、ストリップ導電体の各々の長
さ方向の中央と窓の縁とを接続する短絡導電体により、
効果的に窓からの不要放射を抑圧することができるもの
である。

【００１３】短絡導電体の幅がストリップ導電体の幅よ
り広いと、ストリップ導電体の共振周波数が上昇し、ス
トリップ導電体の長さのみで共振周波数が決定されない
ため、設計性が悪化する。また、窓からの不要放射は、
同一寸法であれば周波数が増加するほど増加するので、
ストリップ素子の共振周波数が上昇するために、交差偏
波特性も悪化する。

【００１４】反射板は、通常、使用周波数での波長をλ
としてストリップ導電体からλ／４の位置に置かれる
が、アンテナの一方に電磁波を放射する目的を達成でき
れば良く、特に前述の値に限定されない。また、反射板
の位置を固定するために別の絶縁体基板を反射板との間
に挟んでも良い。

【００１５】アンテナの絶縁体基板についても厚みが均
一で、誘電体特性が所望のものであれば良く、特に限定
されない。

【００１６】

【実施例】次に、図面を参照して、本発明の実施例を詳
細に説明する。図１は、本発明のプリントアンテナの第
１実施例の要部拡大平面図であり、図２は、図１の線２
−２に沿った断面図であり、図３は、プリントアンテナ
を反射板付きの直線偏波送受信用プリントアンテナに適
用した第２実施例の要部拡大平面図であり、図４は、図
３の線４−４に沿った断面図であり、図５は、図１のプ
リントアンテナを円偏波送受信用プリントアンテナに適
用した第３実施例の全体を示す平面図である。

【００１７】図１及び図２を参照すると、厚さ２．０ｍ
ｍの絶縁体基板１５の一方の面には、長さ１５ｍｍ、幅
５．５ｍｍの四角形の窓１２の中に幅１．０ｍｍ、長さ
９．２ｍｍのストリップ導電体を２つからなるアンテナ
素子１０を形成した。このとき、２つのストリップ導電
体の間隔は、１．５ｍｍであり、ストリップ導電体の中
央は幅０．４ｍｍの短絡導電体１１で窓の縁と接続し
た。絶縁体基板１５の他方の面には、励振用の伝送線路
１４を形成した。

【００１８】次に、図３及び図４を参照すると、これら
の図面には、図１及び図２に示したプリントアンテナ
を、反射板付き直線偏波送受信用プリントアンテナに適
用した例を示している。このプリントアンテナは、反射
板１８を付加し、反射板１８が基板の伝送線路側に他の
厚さ２．０ｍｍの絶縁体基板１６を介して配置している
点を除いては前述のプリントアンテナと構成は同様であ
る。

【００１９】図３及び図４に示したアンテナの正面で
は、周波数１１．８ＧＨｚで主偏波の放射電力強度が最
大となり、主偏波の放射電力の半値周波数帯域幅は８０
０ＭＨｚであり、広帯域であることがわかった。また、
４角形の窓（テーパが付加されていない）にもかかわら
ず交差偏波抑圧比（交差偏波の主偏波に対する放射電力
の比）は、−１７ｄＢであり、従来のテーパ付き窓のス
トリップアンテナ素子と同一で良好な値であった。

【００２０】比較例として、図７及び図８に示す構成の
プリントアンテナで、周波数１１．８ＧＨｚで主偏波の
放射電力強度が最大となるようにストリップアンテナ素
子の長さを９．４ｍｍに調整したところ、主偏波の放射
電力の半値周波数帯域幅は４５０ＭＨｚ、交差偏波抑圧
比−１５ｄＢであった。なお、この比較例のアンテナ
は、窓の形状およびストリップ素子の長さ以外は図３及
び図４に示したアンテナと同一に作成したアンテナであ
る。

【００２１】このように、本発明の構成は、従来の窓付
きストリップアンテナ素子のように窓にテーパを付けな
くても交差偏波特性が従来と同一であり、同時に広帯域
なストリップアンテナ素子であることがわかる。

【００２２】図５は、図３及び図４に示したプリントア
ンテナに、さらにスロットアンテナ素子１９を付加した
プリントアンテナ素子を基本素子とした構成した円偏波
送受信用プリントアンテナの一例を示す。

【００２３】スロットアンテナ素子では、一般に主偏波
の放射電力の半値周波数比帯域幅は１０％程度であり、
図３及び図４に示したプリントアンテナで８０ＭＨｚ
（比帯域幅では７％）であることから、図５に示したプ
リントアンテナは、円偏波特性が良好であることが容易
にわかる。

【００２４】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、窓からの不要放射が少なく、交差偏波特性または
円偏波特性が良好で、同時に、広帯域なプリントアンテ
ナが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明のプリントアンテナの第１実施
例の要部拡大平面図である。

【図２】図２は、図１の線２−２に沿った断面図であ
る。

【図３】図３は、プリントアンテナを反射板付きの直線
偏波送受信用プリントアンテナに適用した第２実施例の
要部拡大平面図である。

【図４】図４は、図３の線４−４に沿った断面図であ
る。

【図５】図５は、図１のプリントアンテナを円偏波送受
信用プリントアンテナに適用した第３実施例の全体を示
す平面図である。

【図６】図６は、線状素子の組み合わせにより円偏波を
放射するプリントアンテナの従来例を示す平面図であ
る。

【図７】図７は、図６のプリントアンテナを構成する従
来例の窓付きストリップアンテナ素子の１つを示す平面
図である。

【図８】図８は、反射板も共に示す図６及び図７の線８
−８に沿った断面図である。

【符号の説明】

１０ ストリップアンテナ素子（ストリップ導電体） １１ 短絡導電体 １２ 窓 １３ 入出力部 １４ 伝送線路 １５、１６ 絶縁体基板 １７ 接地導電体 １８ 反射板 １９ スロットアンテナ素子 ２０ 窓の凸部

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 絶縁体基板の一方の面に設けられた接地
   導電体に形成した窓と、該窓内に形成した２つのストリ
   ップ導電体と、該ストリップ導電体の各々の長さ方向の
   中央と該接地導電体とを接続する短絡導電体を有するこ
   とを特徴とするプリントアンテナ。
2. 【請求項２】 請求項２記載のプリントアンテナにおい
   て、前記短絡導電体の幅が前記ストリップ導電体の幅よ
   り狭いことを特徴とするプリントアンテナ。
3. 【請求項３】 請求項１及び２のいずれか１つに記載の
   プリントアンテナにおいて、前記ストリップ導電体に関
   連して、前記接地導電体に形成したスロットアンテナ素
   子を有することを特徴とするプリントアンテナ。
4. 【請求項４】 請求項１乃至３のいずれか１つに記載の
   プリントアンテナにおいて、前記プリントアンテナを基
   本素子とし、該基本素子を絶縁体基板に複数個設けたこ
   とを特徴とするプリントアンテナ。
5. 【請求項５】 請求項１乃至４のいずれか１つに記載の
   プリントアンテナにおいて、前記絶縁体基板に間隔を隔
   てて反射板を設けたことを特徴とするプリントアンテ
   ナ。