JPH0522359Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、消失模型鋳造法に使用する模型の変
形防止用治具に関するものである。

〔従来の技術〕

鋳造方法の１つに、消失模型鋳造法がある。こ
の鋳造法は、鋳造によつて形成する製品と同型の
模型１を、発泡ポリスチレン等の消失性材料を用
いて製作すると共に、模型に連なる湯道２、湯口
３等も同じく消失性材料を用いて製作しておく。
次に、上記模型１の外周面に耐火性を有する塗型
材をコーテイングした後、この模型１をバイブレ
ータやエアハンマ等を使用して第８図に示す如
く、鋳型砂４内に埋没させる。そしてこの後、鋳
型砂４全体を減圧吸引装置により真空引きし、鋳
型砂４内を減圧し、この状態で模型１に連なる湯
口３から金属溶湯を注湯する。すると、消失性材
料からなる模型１は、溶湯の熱によつて溶けて消
失し、その跡へ溶湯が流入し、所望の製品が形成
される。尚、上記模型１の消失時、模型１から発
生したガスは、塗型材から鋳型砂４間に形成され
た減圧状態にある微小隙間を通つて外部に排気さ
れる。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記方法によつて所望の製品を鋳造する場合に
於いて、模型１は発泡ポリスチレン等の消失性材
料によつて形成されており、強度的にあまり強く
ないため、模型１によつて形成される製品がブロ
ツク状のものの場合は特に問題はないが、製品が
例えばエンジンのカムシヤフトのように長尺なも
のの場合は、カムシヤフト形成に用いる模型１の
鋳型砂４内への埋没時、模型１が鋳型砂４内で湾
曲してしまい、その結果、模型１により形成され
る製品、即ちカムシヤフトにも変形が生じるとい
つた問題があつた。

又、上記問題を解決するための手段として、模
型１の鋳型砂４内への埋没時、第９図に示す如
く、模型１の周囲に、金属製の一対の支柱１１，
１１からなる治具１０を配置し、上記一対の支柱
１１，１１から延びる複数の支持板１２，１２に
より、模型１の適当個所を挟持し、治具１０に模
型１を固定しておくことにより、模型１の鋳型砂
４内への埋没時、模型１が変形するのを防止する
方法もある。しかし、上記治具１０を用いると、
模型１の鋳型砂４内での消失時、模型１から発生
するガスの鋳型砂４を通しての排気が、治具１０
の支持板１２，１２と接触している部分のみ、支
持板１２，１２によつて阻害され、ガス排気が円
滑に行われないため、鋳造後、支持板１２，１２
と接触していた部分にブローホールが生じたり、
スス欠陥が発生したりするといつた問題があつ
た。

〔課題を解決するための手段〕

消失模型鋳造時に用いる消失性材料からなる模
型の周囲に配置され、模型の鋳型砂内への埋没
時、模型の変形を防止するための治具に於いて、
上記治具の模型と接触する接触部に通気性を持た
せたものである。

〔作用〕

上記した如く、模型変形防止用治具の模型と接
触する接触部に通気製を持たすことにより、模型
消失時、模型から発生するガスの鋳型砂を通して
の排気を阻害しないようにしたものである。

〔実施例〕

第１図及び第２図は、本考案に係る消失模型変
形防止用治具２０の第１実施例を示すものであ
る。同図において、２１，２１は、模型１の両側
に配置される金属性の一対の支柱、２２，２２は
両支柱２１，２１に対向配置した複数個の支持板
であり、上記支持板２２，２２の対向する面に
は、それぞれ、模型１の所定個所と接触し、模型
１を把持するための切欠部２３，２３が設けてあ
る。又、この模型１との接触部となる支持板２
２，２２は、通気性を有する素材、例えば発泡セ
ラミツクによつて構成してある。

上記構成からなる治具２０を用いて、例えばカ
ムシヤフト形成用の模型１の変形防止を行う場合
は、第３図に示す如く、模型１の両側に治具２０
の一対の支柱２１，２１を配置し、支柱２１，２
１に設けた支柱板２２，２２の切欠部２３，２３
を模型１の外周に嵌合させ、模型１の所定個所を
支持板２２，２２によつて挟持することにより、
模型１を治具２０に固定する。そして、この治具
に固定された模型１を、治具２０と共に鋳型砂４
内に埋没させ、後は従来と同様、模型１に向けて
溶湯を供給することにより、模型１を消失させ、
所望の製品、この場合はカムシヤフトを形成す
る。このように、模型１を治具２０に固定した状
態で鋳型砂４に埋没させれば、模型１の鋳型砂４
内での変形を防止でき、かつ、治具２０の模型１
と接触している支持板２２，２２は通気性を有す
るため、模型１消失時、模型１から発生するガス
の鋳型砂４を通しての排気が支持板２２，２２に
よつて阻害されることもないため、支持板２２，
２２との接触面にブローホールやスス欠陥が発生
する心配もない。

第４図及び第５図は治具２０の支持板２２に通
気性を持たせるための第２実施例を示すものであ
り、この実施例の場合は、支柱２１に設けた金属
性の支持板２２に、一端が支持板２２の欠切部２
３に開口し、他端が支持板２２の側面或いは支柱
２１の外周面に開口した通気孔２４，２４……を
複数本、放射状に穿設し、この通気孔２４，２４
……によつて模型１消失時、模型１の支持板切欠
部２３と接触している部分から発生するガスを鋳
型砂４に向けて排気させるようにしてある。

第６図及び第７図は、治具２０の支持板２２に
通気性を持たせるための第３実施例を示すもので
あり、この実施例の場合は、支柱２１に設けた金
属性の支持板２２に、上記２つの実施例と同様、
模型１挟持用の切欠部２３を設けると共に、この
切欠部２３の模型１との接触面に沿つてスリツト
２５を形成し、切欠部２３の模型１との接触面積
を必要最小限にすることにより、模型１の消失
時、支持板２２がガス排出の障害となるのを極力
防止するようにしたものである。

〔考案の効果〕

上記した如く、本考案は、模型変形防止用治具
の模型と接触する接触部、即ち切欠部を有する支
持板に通気性を持たすことにより、模型消失時、
模型から発生するガスの鋳型砂を通しての排気を
阻害しないようにしたから、模型の鋳砂内での変
形を防止できると同時に、模型を消失させること
により形成される製品の上記支持板との接触部に
ブローホールやスス欠陥が発生するのも防止でき
る。従つて、本考案に係る模型変形防止用治具を
用いれば、カムシヤフト等の長尺な製品を消失模
型鋳造法によつて形成することが可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る治具を示す正面図、第２
図は平面図、第３図は治具の使用状態を示す正面
図、第４図は本考案に係る治具の第２の実施例を
示す平面図、第５図は部分正面図、第６図は第３
図の実施例を示す平面図、第７図は部分正面図、
第８図は消失模型鋳造法の一例を示す断面図、第
９図は治具の従来例を示す正面図である。 １……模型、２０……治具、２１……支柱、２
２……支持板、２３……切欠部、２４……通気
孔、２５……スリツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 消失模型鋳造時に用いる消失性材料からなる模
   型の周囲に配置され、模型の鋳型砂内への埋没
   時、模型の変形を防止するための治具に於いて、
   上記治具の模型と接触する接触部に通気性を持た
   せたことを特徴とする消失模型変形防止用治具。