JPH0522244Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は臨海地域における原子力発電所等の塩
分粒子による塩害を防止するためのエアフイルタ
に関する。

（従来の技術） 従来、臨海地域に建設される例えば原子力発電
所等は、海面上で発生した波しぶきの影響を受け
る。波しぶきは風によつて陸に運ばれるが、途中
水分が蒸発して結晶化し塩分粒子となり大気中に
浮遊する。そのため原子力発電所等の外気処理空
調機には、エアワツシヤ及びエアフイルタを設け
除去し取り入れた外気中の塩分でステンレスの応
力腐食割れ、電気系の故障等、機器類の問題によ
つて信頼性の低下とならないようにしている。

（考案が解決しようとする問題点） 従来、エアワツシヤは塩分粒子を80−90％程度
除去するが噴霧水滴にて塩分粒子を除去している
ため大量の水を使用する、また回収水は循環して
いるため回収された塩分が循環水に蓄積され次第
に高濃度となり、エアワツシヤ自身が発生源と成
る。

また、エアフイルタは塩分粒子を90％以上捕集
するが捕集した塩分粒子は、湿分や雨滴等によつ
て潮解して乾燥時に析出することにより材表面
に膜を形成し、材の目詰まりを生ぜしめ圧力損
失を急激に上昇させて寿命を短くする。

これらエアフイルタは枠を金属で材はガラス
繊維にて構成しているため、その使用後該フイル
タを空調機から取り外してドラム缶に収納して長
期間保存する場合、圧縮破壊、焼却などにより減
容することができず、放射性廃棄物として指定の
貯蔵庫に収納されるが、エアフイルタは交換部品
であり年々その量は増し不経済である。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、従来の上記エアワツシヤ及びエアフ
イルタの不都合を解消し、著しく小容量に放射性
汚染物質を焼却灰の形でドラム缶に収納保存し得
られ、圧力損失の急激な上昇を生ぜしめることな
く長寿命で捕集容量の大きいエアフイルタを提供
するもので、フイルタ枠体内に材を設けたフイ
ルタにおいて、該フイルタ枠体は防炎合板から成
り、かつ多数の内枠で仕切られた多数の仕切空間
を有し、該材はポリオレフイン繊維等の撥水性
有機繊維にて構成した２重層構造の粗材層と、
密材層から成る袋状フイルタ部材から成り、フ
イルタ枠体内の仕切空間の夫々に袋状フイルタ部
材を気流方向上流側に粗材層を、下流側に密
材層となるように配設したことを特徴とする。

（作用） 本考案のエアフイルタは、ポリオレフイン繊維
を用いているため、空気上流側の粗材層で捕集
された塩分が潮解によつて膜へと成長しようとす
るが繊維がポリオレフインのため撥水性を有して
いることから、繊維の表面に付着した塩粒子は潮
解のため、塩粒子を核として球状の滴となるが一
定のサイズになると粗材層のポリオレフイン繊
維にそつて落下し目詰まりをすることがない。ま
た密材層は粗材層で捕集できなかつた非常に
粒子径の小さな塩粒子を捕集する。更にポリオレ
フイン繊維は自己消火性があり、火災に対しても
安全性が高く、かつ使用済後は焼却炉で焼却させ
ることができるため収納効率は向上する、併せて
枠も防炎合板を用いるため同様な効果を有する。

（実施例） 次に本考案の実施例について記述する。

第１図ないし第３図は、本考案の１例を示し、
１は防炎合板で作成したフイルタ枠体を示す。該
枠体１は正方形、矩形などの方形の外周囲枠１ａ
と、該外周囲枠１ａの内部空間内に嵌合し、かつ
互いに当接並列した多数の長矩形内枠１ｂ，１ｂ
の縦桟１ｃ，１ｃにより該外周囲枠１ａの内部空
間は多数の長矩形状の仕切空間２，２に仕切られ
て全体として格子枠体に構成されている。

また、材４はポリオレフイン繊維にて構成し
た粗材層５と密材層６を重合した２重層構造
であつて、第１図および第２図に示すような開口
縁７を備える袋状フイルタ部材３に構成されてい
る。

そして、前記フイルタ枠体１内に多数設けられ
た各仕切空間２の夫々に袋状フイルタ部材３の開
口縁７を固定する共に、第３図に示すように気流
方向（第３図の矢印方向）の上流側に材４の粗
材層５を、気流の下流側に材４の密材層６
となるように配置するようにした。

このように構成した可燃性で長寿命のエアフイ
ルタは、例えば原子力発電所に設置される、外気
処理空調機のエア流入側に設けられる金属性の、
フイルタ受け枠面に着脱自在に取り付けられて使
用される。次に前記実施例のエアフイルタを610
×610×915（奥行）mmの寸法で風量72m²／minで
試験したところ、捕集効率が食塩水による炎光分
析法で90％、圧力損失初期で15mmaqであつた。
また焼却炉で焼却後の減容比は１／3500であつ
た。

（考案の効果） このように本考案によるときは、原子力発電所
用エアフイルタをポリオレフイン繊維の気流上流
側に粗材層を下流側に密材層の２重層構造の
袋状フイルタ部材で構成しているので、捕集した
塩分粒子は、湿分や雨滴等によつて潮解して液状
となろうとする際にポリオレフイン繊維の有する
撥水性によつて球状に成長して材内部に塩分粒
子が入りにくくなり、従来潮解し、乾燥時に析出
することによる膜形成を良好に防止し得、そのた
めに圧力損失の急激な上昇を生ぜしめることなく
長寿命で捕集容量の大きい、且つポリオレフイン
繊維は自己消火性であることから火災時の安全性
が高いこと、並びに材は可燃性材で、またフイ
ルタ枠体は防炎合板等の可燃性材で構成されてい
るので、その使用後は焼却などで容積を著しく減
少できて、ドラム缶への収容保存効率を著しく向
上できる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案エアフイルタの１実施例の正面
図、第２図はその一部を截除した上面図、第３図
は材の構成図を示す。 １……枠体、１ａ……外周囲枠、１ｂ……内
枠、１ｃ……縦桟、２……仕切空間、３……袋状
フイルタ部材、４……材、５……粗材層、６
……密材層、７……開口縁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フイルタ枠体内に材を設けたフイルタにおい
   て、該フイルタ枠体は防炎合板から成り、かつ多
   数の内枠で仕切られた多数の仕切空間を有し、該
   材はポリオレフイン繊維等の撥水性有機繊維に
   て構成した２重層構造の粗材層と、密材層か
   ら成る袋状フイルタ部材から成り、フイルタ枠体
   内の仕切空間の夫々に袋状フイルタ部材を気流方
   向上流側に粗材層を、下流側に密材層となる
   ように配設したことを特徴とする焼却型塩分除去
   フイルタ。