JPH0521839Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、マイクロ波による加熱手段以外に、
焦げ目を付ける目的等で加熱するためのシーズヒ
ーターからなるグリルヒーターを備えた、一般に
オーブンレンジまたはオーブントースターレンジ
と称せられる調理器であるヒーター付き電子レン
ジに関するものであり、更に詳しくはグリルヒー
ターの取付構造に関するものである。

＜従来の技術＞ この種の従来のヒーター付き電子レンジは、第
８図に示すように、電子レンジ本体１の加熱室
（オーブン）２の前面側の被調理物出入れ用の開
口部に、開閉自在のドアー３が取り付けられ、加
熱室２の上壁２ａには、マグネトロン（図示せ
ず）からのマイクロ波を加熱室２に導く導波管４
が臨設され、また、加熱室２の後壁２ｂの上部お
よび下部には、それぞれシーズヒーターからなる
グリルヒーター５が軸受部６によつて取り付けら
れている。この各グリルヒーター５は、赤熱部を
水平に保持され、且つ加熱室２の上壁２ａおよび
底壁のそれぞれ近接位置に設けられている。

ところで、前記グリルヒーター５は、汚損によ
る加熱効率の低下を防止するために、ほぼ定期的
に清掃する必要があり、この清掃をグリルヒータ
ー５を可動させることによつて容易に行えるよう
に、第９図および第１０図に示すようなグリルヒ
ーター取付構造が提案されている。（実開昭56−
119908号） このグリルヒーター取付構造は、第１０図に示
すように、グリルヒーター５の両端の端子部の近
傍部位に、それぞれ球形の取付用部材７が貫通固
着され、この取付用部材７を保持する軸受部６
は、加熱室２の後壁２ｂから後方に取付用部材７
の半部が 嵌合する断面半円状に膨出された保持
部８と、同様に取付用部材７の半部が嵌合する断
面半円状の保持部が形成された軸受カバー９とに
より構成され、また、保持部８および軸受カバー
９には、上下方向に長孔状となつたガイド孔１
０，１１がそれぞれ形成されている。尚、同図に
おいて、第８図と同一若しくは同等のものには同
一の符号を付してある。

そして、グリルヒーター５の端子部を加熱室２
内から保持部８のガイド孔１０に挿通させてグリ
ルヒーター５の半部を保持部８に嵌入させ、軸受
カバー９を、これのガイド孔１１にグリルヒータ
ー５を挿通させた後にグリルヒーター５の他の半
部を嵌入させて後壁２ｂに嵌合固定することによ
り、取付用部材７を保持部８と軸受カバー９とに
よつて内部で可動自在に被包し、グリルヒーター
５が取付用部材７を支点としてガイド孔１０，１
１によつて決定される実線位置と１点鎖線位置と
の範囲内で揺動自在に取り付けられる。尚、上部
グリルヒーター５に対しては、時に下方に垂れ下
がらないよう支持する支持具１２が設けられてい
る。

また、グリルヒーター５の両端の端子部は、前
述のように加熱室２の外部に導出されるのである
が、マイクロ波による加熱時に、グリルヒーター
５を加熱室２の外部に導出させるための取付孔か
らのマイクロ波の漏洩を、規定量以下に抑える必
要がある。このマイクロ波漏洩対策として、第１
１図または第１２図に示すような手段が一般に採
用されている。第１１図のものは、加熱室２の取
付孔１３から外部に導出されたグリルヒーター５
の部分を、金属製アングル１４により、これの挿
通孔１５からグリルヒーター５の端子部１６を導
出させた状態で被包し、この金属製アングル１４
によつてマイクロ波の波長のλ／４に相当するチ
ヨーク構造を構成し、取付孔１３を通つて漏洩し
たマイクロ波を減衰させるものである。

一方、第１２図に示したものは、加熱室２の外
壁面に取り付けた板ばね１７によりグリルヒータ
ー５を取付孔１３の下方孔縁部に押し付けて圧接
させ、加熱室２内からグリルヒーター５の外殻部
を通じて取付孔１３に導かれたマイクロ波を、グ
リルヒーター５と取付孔１３との接触部から矢印
で示すように表皮電流として加熱室２のシヤーシ
に流し、最終的にアース１８に落として加熱室２
外への漏洩マイクロ波の減少を図つたものであ
る。

＜考案が解決しようとする課題＞ しかしながら、第８図乃至第１０図に示したグ
リルヒーター取付構造では、グリルヒーター５に
取付用部材７を嵌着してこの取付用部材７を保持
部８および軸受カバー９により可動自在に被包支
持する比較的複雑な構成で、しかも、グリルヒー
ター５を保持部８および軸受カバー９の各ガイド
孔１０，１１に挿通させなければならず、組立性
が悪いことによつて製造コストが高くつき、ま
た、軸受カバー９が加熱室２内に取り付けられる
ために、体裁の悪いものとなつて商品価値を低下
させている。さらに、グリルヒーター５を可動さ
せるために保持部８および軸受カバー９にガイド
孔１０，１１を穿設しているので、グリルヒータ
ー５とガイド孔１０，１１との間隙に塵埃が付着
し、この塵埃を除去するのが容易でないととも
に、この塵埃の堆積によつてグリルヒーター５の
可動が円滑に行な得なくなり、グリルヒーター５
および加熱室２内の各壁面の清掃性も悪くなる。
また、グリルヒーター５の可動範囲はガイド孔１
０，１１の開口寸法により決定されるが、このガ
イド孔１０，１１の開口寸法を大きくすると、こ
のガイド孔１０，１１を通じての漏洩マイクロ波
が大きくなるため、グリルヒーター５の可動範囲
に自ずから限度があり、この点からもグリルヒー
ター５の清掃性が悪いものとなつている。

また、第１１図のマイクロ波漏洩防止構造は、
チヨーク構造を形成するための金属製アングル１
４の形状が複雑となり、寸法的にもマイクロ波の
波長のλ／４になるよう高い精度を要し、金属製
アングル１４が比較的高価なものとなり、しか
も、このアングル１４の取付けに際して、ねじに
よる締結または溶接等の工程を要し、全体的に多
大な費用を要する。さらに、金属製アングル１４
の挿通孔１５からマイクロ波が漏洩する問題があ
る。

一方、第１２図のものは、コスト的な問題は解
消されているものの、一部の断面を示した第１３
図から明らかなように、グリルヒーター５と取付
孔１３の孔縁部との接触部１９の面積が小さいた
め、表皮電流としてアースに落とすマイクロ波が
少なく、漏洩マイクロ波の十分な減衰効果を得ら
れない。

本考案は、このような従来の問題点に鑑みてな
されたものであり、極めて簡単で安価な構成によ
り、グリルヒーターを体裁良く取り付けることが
でき、グリルヒーターを十分に稼働させるように
してこれの清掃性を向上させ、しかも、漏洩マイ
クロ波量を格段に減少させることができるような
ヒーター付き電子レンジを提供することを技術的
課題とするものである。

＜課題を解決するための手段＞ 本考案は、上記した課題を達成するための技術
的手段として、ヒーター付き電子レンジを以下の
ように構成した。すなわち、シーズヒーターから
なる加熱用グリルヒーターの両端部分が、加熱室
の側壁に穿設された取付孔に挿通されて揺動自在
に支持されたヒーター付き電子レンジにおいて、
前記グリルヒーターの両端の端子部の各近傍部位
に、前記取付孔の孔縁の内壁面に当接する膨出部
が形設され、前記取付孔にそれぞれ回動自在に挿
通されて前記加熱室の外部に導出された前記グリ
ルヒーターの両端部に係着された電気絶縁性の止
着具と、この各止着具と前記加熱室の外壁面との
間に介在して前記グリルヒーターに取着され、該
グリルヒーターを前記加熱室に対し外方に付勢す
る弾性部材とを具備した構成により特徴づけられ
る。

＜作用＞ グリルヒーターの両端部は、止着具と加熱室の
外壁面との間に介在された圧縮コイルスプリング
等の弾性部材によりそれぞれ外方に付勢されると
ともに、グリルヒーターに形成された膨出部が加
熱室の内壁面に当接して位置決めされ、取付孔に
対し回動自在に挿着される。このヒーター付き電
子レンジは、グリルヒーター両端部分を加熱室の
両側壁にそれぞれ穿設された各取付孔を挿通させ
て外部に導出させ、この外部に導出された両端部
分に弾性部材を介在させて止着具を係着するのみ
で取り付けることができ、弾性部材と止着具との
２種の取付用の部材による簡単な構成の取付構造
となつているので、簡単に取り付けでき、大幅な
コストダウンを達成できる。また、弾性部材と止
着具とは、加熱室の外部においてグリルヒーター
に取り付けられ、加熱室内においてはグリルヒー
ターに対し取付用の部材が何ら取り付けられない
ので、極めて体裁の良いものとなる。さらに、グ
リルヒーターが取付孔内において回動自在となつ
ているので、グリルヒーターはこれの取付構造に
よつて可動範囲に制限を受けないので、グリルヒ
ーターを必要なだけ可動させてグリルヒータおよ
び加熱室壁面を清掃することができる。しかも、
グリルヒーターに一体に形成した膨出部が、取付
孔の側方から加熱室の内壁面に弾性部材の付勢力
により当接しているので、この接触面積は大きな
ものとなつて、漏洩しようとするマイクロ波の大
半は、膨出部と内壁面との接触部からアースに表
皮電流として流れ、漏洩マイクロ波が大幅に減少
する。

＜実施例＞ 以下、本考案の好適な実施例について図面を参
照しながら詳述する。

第１図乃至第６図は本考案の一実施例を示し、
第１図は要部の切断平面図、第２図は全体の斜視
図、第３図および第４図はそれぞれグリルヒータ
ーの取付け前および取付け後のグリルヒーター取
付構造の斜視図、第５図は第１図の一部の拡大
図、第６図は第５図のＡ−Ａ線断面図である。こ
れらの図において、第８図乃至第１３図と同一若
しくは同等のものには同一の符号を付してその説
明を省略する。但し、この実施例では、マグネト
ロンからのマイクロ波を加熱室２内に導く導波管
４を加熱室２の右側壁２ｄに臨設した場合を示し
てあるが、このようなタイプのものに限定される
ものではない。

そして、加熱室２の上下位置に配設される各グ
リルヒーター２０は同一形状のもので、両端に固
着された板状の端子部２１の近傍部位に、第６図
に示すように、断面ほぼ長方形状となつて両端部
がグリルヒーター２０の外周面より外方に突出す
る膨出部２２が一体形成されている。そして、加
熱室２の左、右側壁２ｃ，２ｄには、グリルヒー
ター２０の径よりも僅かに大きく、且つ膨出部２
２の長さよりも僅かに小さい径のバーリング孔か
らなる取付孔２３が穿設されている。この各取付
孔２３を挿通してグリルヒーター２０の両端部分
が加熱室２の外部に導出されている。この加熱室
２の外部に導出されたグリルヒーター２０の部位
に、圧縮コイルスプリングからなる弾性部材２４
を挿通させ、さらに、グリルヒーター２０の端部
に絶縁性素材からなる止着具２５が係着されてい
る。この止着具２５は、グリルヒーター２０の端
部およびこれに固着された板状の端子部２１を挿
通させる断面ほぼ長方形の挿通孔２６が形成され
た筒形状になつており、この止着具２５のグリル
ヒーター２０に対し導出側端面に、挿通孔２６に
対し十字形状となる部位に端子部２１が遊挿する
溝２７が形成され、さらに、この溝２７に遊挿さ
れた端子部２１が当接するストツパ部２８が形成
されている。

次に、前記実施例の作用について説明する。先
ず、グリルヒーター２０の取付け手順について説
明すると、加熱室２内からグリルヒーター２０の
両端部分をそれぞれ左、右壁２ｃ，２ｄの各取付
孔２３に挿通させて加熱室２の外部に導出し、こ
の加熱室２の外部に導出したグリルヒーター２０
の部分に、弾性部材２４を挿通させて取り付け、
さらに、止着具２５を、挿通孔２６に端子部２１
を挿通させ、且つ弾性部材２４を圧縮させながら
加熱室２の外壁面に向かつて移動させ、第３図に
示すように、端子部２１が止着具２５の外部に導
出した時点で止着具２５を90°だけ回転させるの
みの簡単な作業を行なうことによつて、弾性部材
２４の復元力で端子部２１が溝２６に遊挿し、且
つストツパ部２８に当接し、止着具２５が抜脱す
ることなくグリルヒーター２０に係着し、この止
着具２５と加熱室２の左、右側壁２ｃ，２ｄとの
間に圧縮状態で介在された弾性部材２４の復元力
でグリルヒーター５の両端部が加熱室２の外方に
付勢され、膨出部２２が加熱室２の左、右側壁２
ｃ，２ｄの各内壁面に当接した状態に位置決めさ
れてグリルヒーター２０が取り付けられる。ここ
で、グリルヒーター２０は、その両端部が取付孔
２３に対し回動自在となつているので、自在に回
動させてこれの清掃を極めて容易に行なうことが
でき、また、グリルヒーター２０と取付孔２３と
の間に隙間は殆んど存在しないので、グリルヒー
ター２０を常に円滑に回動できる状態に維持でき
る。このグリルヒーター取付構造は、簡単な構造
であることによつてグリルヒーター２０を容易に
取り付けられる他に、弾性部材２４と止着具２５
とが加熱室２の外部においてグリルヒーター２０
に取り付き、加熱室２内にはグリルヒーター２０
の取付用の部材が何ら介在せず、体裁の良いもの
となる。

また、マイクロ波の漏洩に対しては、第６図に
示すように、膨出部２２が弾性部材２４の付勢力
によりその両端部による２個所において左右側壁
２ｃ，２ｄの取付孔２３の孔縁部分の内壁面に圧
接されており、グリルヒーター２０と左、右側壁
２ｃ，２ｄとの接触面積が、第１２図および第１
３図に示したものに比し格段に大きくなつてい
る。そのたえ、漏洩しようとするマイクロ波の大
半は、グリルヒーター２０と左、右側壁２ｃ，２
ｄとの接触部からシヤーシに表皮電流として流
れ、アースに落とされ、漏洩マイクロ波が大幅に
減少する。因みに実測結果を示すと、第１２図お
よび第１３図に示したものの取付孔１３における
マイクロ波の漏洩量が2.0mw／cm²であるのに対
し、前記実施例の取付孔２３からのマイクロ波の
漏洩量は０。5mw／cm²であつた。尚、膨出部を、
取付孔２３よりも大きな径の鍔形状とすれば、膨
出部で取付孔２３を閉鎖してマイクロ波の漏洩を
物理的に阻止できる。

第７図は止着具２９の他例を示し、端子部２１
を挿通させる断面ほぼ長方形の挿通孔３０と、こ
の挿通孔３０から導出した端子部２１を左、右方
向にそれぞれ90°だけ回動させた各位置に形成さ
れた端子部２１の嵌入溝３１，３２と、これら各
嵌入溝３１，３２にそれぞれ嵌入された端子部２
１が当接するストツパ部３３とが形成されてい
る。前述の実施例では、端子部２１が溝２７に遊
挿するのに対し、この実施例では、端子部２１が
何れかの嵌入溝３１，３２にがたつきなく嵌合し
て止着具２９を確実に係着できるとともに、嵌入
溝３１，３２を左右に備えていることによつて、
挿通孔３０から導出した端子部２１を任意の方向
に回動させることができ、組立性が向上する。

尚、本考案は前記説明並びに図示例にのみ限定
されるものではなく、請求の範囲を逸脱しない限
り種々の変形例をも包含し得る。例えば、弾性部
材は圧縮コイルスプリングに限らず、グリルヒー
ターの端部をスラスト方向に付勢できるものであ
ればよい。

＜考案の効果＞ 本考案は、以上のように構成し且つ作用するの
で、以下のような効果を奏する。即ち、グリルヒ
ーターに膨出部を一体形成する他に、取付孔を挿
通して加熱室の外部に導出されたグリルヒーター
の端部に取り付く弾性部材と止着具とによる簡単
な構成によりグリルヒーターを取り付けることが
でき、簡素化された構成と組立性の向上とにより
大幅なコストダウンを達成できるとともに、加熱
室内にグリルヒーターの取付用部材が何ら介在し
ないことにより、体裁の良いものとなつて商品価
値が格段に向上する。

また、グリルヒーターは、取付孔に回動自在に
取着されて自在に回動できるので、グリルヒータ
ーおよび加熱室内の壁面の清掃を容易に行なうこ
とができるとともに、グリルヒーターの円滑な回
動を維持できる。さらに、グリルヒーターに、加
熱室の内壁面に当接する膨出部を一体形成したこ
とにより、マイクロ波の漏洩量を格段に減少させ
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第６図は本考案の一実施例を示し、
第１図は要部の切断平面図、第２図は全体の斜視
図、第３図および第４図はそれぞれグリルヒータ
ーの取付け前および取付け後の状態を示すグリル
ヒーター取付構造の斜視図、第５図は第１図の一
部拡大図、第６図は第５図のＡ−Ａ線断面図、第
７図は本考案の他の実施例の止着具の左側面図、
第８図乃至第１０図はそれぞれ従来のヒーター付
き電子レンジの全体の斜視図、縦断面図および一
部の斜視図、第１１図および第１２図はそれぞれ
従来のマイクロ波漏洩の防止手段を示す縦断面
図、第１３図は第１２図の一部の切断右側面図で
ある。 ２……加熱室、２ｃ，２ｄ……側壁、２０……
グリルヒーター、２２……膨出部、２３……取付
孔、２４……弾性部材、２５，２９……止着具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シーズヒーターからなる加熱用グリルヒーター
   の両端部分が、加熱室の側壁に穿設された取付孔
   に挿通されて揺動自在に支持されたヒーター付き
   電子レンジにおいて、前記グリルヒーターの両端
   の端子部の各近傍部位に、前記取付孔の孔縁の内
   壁面に当接する膨出部が形設され、前記取付孔に
   それぞれ回動自在に挿通されて前記加熱室の外部
   に導出された前記グリルヒーターの両端部に係着
   された電気絶縁性の止着具と、この各止着具と前
   記加熱室の外壁面との間に介在して前記グリルヒ
   ーターに取着され、該グリルヒーターを前記加熱
   室に対し外方に付勢する弾性部材とを具備してな
   ることを特徴とするヒーター付き電子レンジ。