JPH05216014A - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

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JPH05216014A
JPH05216014A JP27205892A JP27205892A JPH05216014A JP H05216014 A JPH05216014 A JP H05216014A JP 27205892 A JP27205892 A JP 27205892A JP 27205892 A JP27205892 A JP 27205892A JP H05216014 A JPH05216014 A JP H05216014A
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JP
Japan
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liquid crystal
side chain
polymer
crystalline polymer
crystal display
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Application number
JP27205892A
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English (en)
Inventor
Chisato Kajiyama
千里 梶山
Junichi Ono
純一 小野
Toru Kashiwagi
亨 柏木
Kensaku Takada
憲作 高田
Koji Hara
浩二 原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 応答速度が速く、かつしきい電圧値が高く、
しかも、自己支持性に優れた高分子液晶/低分子液晶混
合膜を有する液晶表示素子を提供する。 【構成】 混合膜に含まれる側鎖型液晶性高分子とし
て、側鎖液晶基が結合した繰り返し単位と、側鎖液晶基
が結合していない繰り返し単位とからなり、その少なく
とも一部が架橋した側鎖型液晶性高分子を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、TVや一般OA機器用
の液晶表示装置等に使用される液晶表示素子に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来の液晶表示素子は、数μmの間隔に
固定した一対の透明電極間に液晶材料を注入することに
よって形成されていたが、このような構成では大面積の
デイスプレイの作成が困難であり、また液晶を封入した
一対のガラス基板にはそれぞれ偏光軸が互いに直交した
偏光板を取り付ける必要があるため、画面の明るさ、視
野角等が不充分であった。
【0003】また従来の液晶表示素子では、強誘電性液
晶を用いる場合を除き配向状態にメモリー性がないた
め、大画素数の表示画面用には製造歩留りの悪いTFT
等を用いたアクテイブマトリクス駆動が必要となり、高
価になるという問題があった。さらに強誘電性液晶を用
いた場合には、1〜2μmという極めて薄いセルギャッ
プ制御および液晶の均一な配向制御が必要なため、小面
積ですら満足な表示を得ることが困難であった。
【0004】近時、高分子の骨格鎖に、側鎖としてフレ
キシブルな炭素骨格などを介して、液晶材料に相当する
部分(側鎖液晶基)を結合した側鎖型液晶性高分子を、
通常の低分子の液晶材料ととにも溶剤中に溶解して、透
明電極板等の板状体またはフィルム状の支持体上に流延
塗布し、乾燥固化させて、液晶性高分子と低分子の液晶
材料とが均一な相を示す高分子液晶/低分子液晶混合膜
を形成した後、この混合膜上にもう一枚の支持体を重ね
合わせた液晶表示素子が、九州大学の梶山千里教授らの
グループにより開発された(特開平2─193115号
公報、特開平2─127494号公報、Chem. Lett.,81
7(1989) 、Polym. Preprints, Japan 39(3) 761 (1990)
等参照)。
【0005】この液晶表示素子においては、混合膜に低
周波または直流の電場を印加すると、当該膜内で電場に
付随してイオンが移動し、液晶性高分子の主鎖に衝突し
て、その衝撃で液晶の配列が乱れて、入射光が強く散乱
され、不透明な状態となる。一方、高周波の電場を印加
すると、混合膜内の液晶分子が電場方向にホメオトロピ
ック配向して、入射光が散乱されずに通過できるように
なり、透明な状態に転換するという電気光学効果を示
す。
【0006】上記混合膜を有する液晶表示素子は、上記
両状態にて電場を除去した際に光の散乱状態または非散
乱状態を安定に保持するメモリー性があるので、制御回
路を簡易化することができる。また、この液晶表示素子
は、前記のように液晶性高分子と低分子の液晶材料とを
含有する溶液を塗布、乾燥させるだけで、液晶表示機能
を有する混合膜を形成しうるため、液晶表示素子の大面
積化を容易に行うことができる。
【0007】さらに上記混合膜は、液晶性高分子を含む
ため、これを支持体間に充填したとき、スペーサ等を用
いなくてもセル間隔を保持する程度の自己支持性を持た
せることができる。このため、たとえば混合膜の自己支
持性を利用して、柔軟なプラスチックフィルム等からな
る支持体と組み合わせることにより、柔軟性に富む液晶
表示素子を製造できるという利点もある。
【0008】上記高分子液晶/低分子液晶混合膜の特徴
は、液晶性高分子と低分子の液晶材料とが均一な相を示
すこと、電場に付随して移動するイオンと液晶性高分子
との相互作用により液晶の配列が乱れて透明から白濁へ
の変化が起こるため、配向処理等が不要であること、上
記の機構からわかるように、液晶性高分子が必須の成分
であること、の三つである。
【0009】上記高分子液晶/低分子液晶混合膜に類似
した技術として、特表平2−503963号公報に開示
された光変調物質がある。この光変調物質は、液晶側基
ポリマーと、低分子量液晶とで構成されることが記載さ
れている。しかし上記光変調物質は、液晶側基ポリマー
からなる複屈折マトリクス中に、低分子量液晶を微細液
滴として分散させた構造を有しており、液晶側基ポリマ
ーと低分子量液晶とが相分離しているため、液晶性高分
子と低分子量の液晶材料とが均一構造をとる梶山らの高
分子液晶/低分子液晶混合膜とは違うものである。この
ことは、後述する本発明の実施例で明らかとなる。
【0010】また類似技術として、負の誘電率異方性を
示すスメクチック物質の層を、ホメオトロピックに配向
するような配向処理を施した一対の電極で挟着した液晶
表示素子、または正の誘電率異方性を示すスメクチック
物質の層を、ホモジニアスに配向するような配向処理を
施した一対の電極で挟着した液晶表示素子が、クロスラ
ンドらにより提案されている(J.Phys.D:Appl.Phys.,Vo
l.11,1978. Printed in Great Britain PP2025-2034,特
公昭59−52406号公報等)。
【0011】しかし上記液晶表示素子は液晶性高分子を
用いておらず、また配向処理が必要不可欠であって、配
向処理のない素子では透明から白濁への変化が起きない
ため、液晶性高分子を必須の成分とし、かつ配向処理を
必要としない梶山らの高分子液晶/低分子液晶混合膜と
は違うものである。このことも、後述する本発明の実施
例で明らかとなる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、梶山らの高分
子液晶/低分子液晶混合膜では、液晶性高分子の粘性が
高いため、透明から不透明への転換の応答速度、およ
び、不透明から透明への転換の応答速度が遅いという問
題がある。応答速度を速くするために、低分子の液晶材
料の比率を多くして、混合膜全体の粘性を下げることが
考えられたが、この場合には、素子のしきい電圧値が低
下するという問題が生じる他、混合膜中における液晶性
高分子の数が減少するので、混合膜の自己支持性が低下
して、特に、柔軟性に富む液晶表示素子を製造できなく
なるという問題が生じる。また、透明から白濁への応答
が起こらなくなるという問題も生じる。
【0013】本発明は、以上の事情に鑑みてなされたも
のであって、応答速度が速く、かつしきい電圧値が高
く、しかも、自己支持性に優れた高分子液晶/低分子液
晶混合膜を有する液晶表示素子を提供することを目的と
している。
【0014】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するため、本発明者らは、素子の動作時における、混
合膜中での各成分分子の挙動と、素子の応答速度との関
係について検討を行った。そして、液晶性高分子や低分
子の液晶材料の運動性により、素子の応答速度が影響を
受けることを見出した。
【0015】すなわち混合膜は、高周波の電場を印加す
ると、前述したように膜内の液晶分子が電場方向にホメ
オトロピック配向して、櫛の歯状に配列された側鎖型液
晶性高分子の側鎖液晶基間に低分子の液晶材料が入り込
んで配列されたスメクティックA構造になるとともに、
液晶性高分子の主鎖が平行に配列されて、透明状態にな
る。
【0016】この白濁から透明の変化においては、液晶
性高分子の側鎖液晶基の運動が応答速度を律している。
一方、混合膜に低周波または直流の電場を印加すると、
当該混合膜内で電場に付随してイオンが移動するために
液晶の配列が乱れて、側鎖液晶基および低分子の液晶材
料がランダムに配向した状態になるとともに、液晶性高
分子の主鎖もランダムに配向した状態となり、白濁化す
る。
【0017】この透明から白濁の変化においては、液晶
性高分子の主鎖に衝突したイオンの乱れを主鎖全体に速
く効率的に伝えるようにすることと、主鎖の運動性を向
上することが、応答速度を高めるために有効である。そ
こで本発明者らは、従来使用されていた非架橋の側鎖型
液晶性高分子に代えて、側鎖液晶基が結合した繰り返し
単位と、側鎖液晶基が結合していない繰り返し単位とか
らなり、側鎖液晶基が結合していない繰り返し単位の一
部または全部が架橋した側鎖型液晶性高分子を使用した
ところ、透明から白濁への応答速度が向上するだけでな
く、驚くべきことに白濁から透明への応答速度も予想以
上に向上するという新たな事実を見いだした。
【0018】つまり架橋した側鎖型液晶性高分子におい
ては、液晶性高分子の主鎖に衝突したイオンの乱れが、
架橋部分を通じて主鎖全体に速く効率的に伝えられる。
また従来の側鎖型液晶性高分子では、主鎖に付随した多
数の側鎖液晶基が、当該主鎖の運動を制限し、またそれ
によって側鎖液晶基自身の運動も制限されていたのに対
し、上記架橋した側鎖型液晶性高分子においては、主鎖
中に側鎖液晶基が結合していない繰り返し単位を導入す
ることにより主鎖の運動性が向上するとともに、側鎖液
晶基間の間隔が拡がるので、当該側鎖液晶基の運動性も
向上する。そしてその結果、透明⇔白濁の応答速度が著
しく向上するのである。
【0019】したがって本発明の液晶表示素子は、側鎖
液晶基が結合した繰り返し単位と、側鎖液晶基が結合し
ていない繰り返し単位とからなり、その少なくとも一部
が架橋した側鎖型液晶性高分子と、低分子の液晶材料
と、電解質とを含有する混合膜を、一対の透明電極で挟
着したことを特徴とする。なおここでいう「少なくとも
一部が架橋した」とは、前記のように、主鎖を構成する
繰り返し単位のうち、側鎖液晶基が結合していない繰り
返し単位の全部または一部が架橋していることを意味す
る。
【0020】本発明の液晶表示素子において、高分子液
晶/低分子液晶混合膜に含まれる低分子の液晶材料とし
ては、通常用いられる各種の液晶材料を使用することが
できる。上記低分子の液晶材料は、単独で、あるいは2
種以上混合して使用することかできる。側鎖型液晶性高
分子としては、シロキサン結合からなる主鎖に側鎖液晶
基を結合させた、いわゆるシロキサン主鎖型の液晶性高
分子が好適に使用されるが、ビニル重合体の主鎖やアル
キレンオキサイドの主鎖に側鎖液晶基をグラフトさせ
た、種々の側鎖型液晶性高分子を使用することもでき
る。
【0021】上記側鎖型液晶性高分子としては、スメク
ティック相を示すもの、ネマティック相を示すもの、の
いずれをも使用することができる。液晶性高分子および
低分子の液晶材料の両方がネマティック相を示すもので
ある場合は、混合によりスメクティック相が誘起される
ような混合系を選択する必要がある。液晶性高分子の平
均分子量は、当該液晶性高分子の種類等にも依存する
が、良好な白濁応答と高速応答性を達成するためには、
1000〜100000の範囲内、とくに2000〜3
0000の範囲内が好ましい。
【0022】液晶性高分子と低分子の液晶材料の比率
は、各液晶の分子構造にも依存するが、通常は、両液晶
材料の合計量中に占める液晶性高分子の含有割合で表し
て5〜70重量%の範囲内であるのが好ましく、20〜
70重量%の範囲内であるのがより好ましい。これは、
液晶性高分子の含有割合が上記範囲より多い場合は、応
答速度が遅くなり、逆に液晶性高分子の割合が上記範囲
より少ない場合は、自己支持性が十分でなくなるためで
ある。
【0023】なお、混合膜の自己支持性は、高分子液晶
/低分子液晶混合膜中における液晶性高分子分子の数に
大きく依存するので、液晶性高分子と低分子の液晶材料
の重量比は、液晶性高分子分子の分子量に応じて、上記
範囲内で調整することが望ましい。側鎖型液晶性高分子
のうちシロキサン主鎖型の液晶性高分子としては、下記
一般式(1) で表される繰り返し単位を有するものがあげ
られる。
【0024】
【化1】
【0025】(式中Xは下記式(2)(3):
【0026】
【化2】
【0027】等で表される任意の液晶骨格基を表し、R
は−CN、−OCH3 等の任意の置換基を表す。mは任
意の正の数を示す。)上記液晶性高分子(1) の具体的化
合物としては、下記式(4) で表され、式中のRが−CN
または−OCH3 で、かつmが3〜10程度である繰り
返し単位を有するものがあげられる。
【0028】
【化3】
【0029】詳細には、例えばポリ(4−メトキシフェ
ニル−4′−ヘキシロキシベンゾエートメチルシロキサ
ン)、ポリ(4−メトキシフェニル−4′−プロポキシ
ベンゾエートメチルシロキサン)、ポリ(4−メトキシ
フェニル−4′−ブチロキシベンゾエートメチルシロキ
サン)、ポリ(4−メトキシフェニル−4′−デシロキ
シベンゾエートメチルシロキサン)、ポリ(4−シアノ
フェニル−4′−ブチロキシベンゾエートメチルシロキ
サン)、ポリ(4−シアノフェニル−4′−ヘキシロキ
シベンゾエートメチルシロキサン)、ポリ(4−シアノ
フェニル−4′−プロポキシベンゾエートメチルシロキ
サン)、ポリ(4−シアノフェニル−4′−デシロキシ
ベンゾエートメチルシロキサン)などがあげられ、これ
らの1種または2種以上を混合して使用することができ
る 上記シロキサン主鎖型の液晶性高分子は、従来同様に、
シロキサン結合からなる高分子主鎖中のSi−H結合の部
分に、ヒドロシリル化反応によって側鎖液晶基をグラフ
トさせて製造される。
【0030】シロキサン主鎖型の液晶性高分子を架橋さ
せるには、まず液晶性高分子の主鎖中に側鎖液晶基が結
合していない繰り返し単位を導入する。その方法として
は、下記反応式に示すように、ヒドロシリル化反応の際
に、シロキサン結合からなる高分子主鎖(5) に対する側
鎖液晶基を含む化合物(6) の仕込み量を調整して、その
反応率を制御すればよい。そうすると一般式(7) に示す
ように、高分子主鎖に反応基(−SiH)が積極的に残存
した側鎖型液晶性高分子が得られる。
【0031】
【化4】
【0032】(式中、XおよびRは前記と同じ任意の基
を表し、m,a,bは任意の正の数を示す。)上記液晶
性高分子(7) の具体的化合物としては、下記一般式(8)
で表され、式中のRが−CNまたは−OCH3 で、かつ
mが3〜10程度、a,bから下記数式
【0033】
【数1】
【0034】で求められる側鎖液晶基のグラフト率G
(%)が25≦G<100の化合物があげられる。
【0035】
【化5】
【0036】つぎに上記側鎖型液晶性高分子に残存した
反応基(−SiH)を、
【0037】
【化6】
【0038】の過程を経て架橋を行わせればよい。その
際、液晶性高分子の架橋を完全なものにするために、液
晶性高分子の合成後、40〜100℃の熱処理を施すの
が好ましい。あるいはまた、上記反応基と反応しうる2
ないし多官能の架橋剤を添加して、液晶性高分子を架橋
させることもできる。したがって、本発明における側鎖
型液晶性高分子の架橋は部分的なものであるが、どの程
度架橋させるか、つまり側鎖液晶基のグラフト時にどの
程度架橋性反応基を残存させるかは、応答速度、しきい
電圧、混合膜での自己支持性などを考慮して適宜決定す
ることができる。一般には、前記式(7) 中のa,bから
前記数式により求められる側鎖液晶基のグラフト率G
(%)を、25≦G<100の範囲から選択するのが好
ましい。
【0039】なおシロキサン結合からなる高分子主鎖原
料として、ヒドロメチルシロキサンとジメチルシロキサ
ンとの共重合体を使用してもよい。この場合には、下記
一般式(9) に示すように、シロキサン主鎖中に側鎖液晶
基が結合していない繰り返し単位を導入すること、およ
び、ヒドロシリル化反応の反応率を制御することの両方
で、側鎖液晶基のグラフト率Gが所定の値に制御されて
いるとともに、主鎖中に積極的に残存させた反応基(−
SiH)が、前記過程を経て架橋したシロキサン主鎖型の
液晶性高分子が得られる。
【0040】
【化7】
【0041】(式中、XおよびRは前記と同じ任意の基
を表し、m,a,c,dは任意の正の数を示す。)この
場合、側鎖液晶基のグラフト率G(%)を、前記数式に
より求めるには、c+d=bとして計算すればよい。な
お、以上に示したシロキサン系の高分子主鎖原料および
液晶性高分子を表す各式中の主鎖を構成する繰り返し単
位(それぞれの式中において括弧で括った部分)は、交
互またはランダムに結合されるのが好ましい。
【0042】本発明に使用される側鎖型液晶性高分子の
うちビニル重合体の主鎖を有する側鎖型液晶性高分子を
架橋させるには、重合に際して側鎖液晶基を有する単量
体と架橋のための反応基を有する単量体とを併用し、そ
れを交互共重合あるいはランダム共重合させるととも
に、重合と同時あるいは重合後に架橋させればよい。混
合膜は、0.01〜1重量%の割合で電解質を含有して
おり、この電解質に起因したイオンにより、応答速度が
さらに高められるとともに、確実かつ再現性よく、透明
→白濁の変化を生じる。
【0043】上記電解質としては、液晶性高分子および
低分子の液晶材料を適当な溶媒に溶解した、高分子液晶
/低分子液晶混合膜の原料である塗布液に溶解するもの
であれば、いずれも使用することができ、たとえば、下
記一般式(10)であらわされる四級アンモニウム塩が好ま
しいものとしてあげられる。
【0044】
【化8】
【0045】(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、
それぞれ同一または異なって、メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル基等の
アルキル基を示し、XはF、Cl、Br、I、Cl
4 、PF4 、BF4 等を示す。)かかる電解質は、1
種類のみを使用してもよく、あるいは混合物で使用して
もよい。
【0046】また、上記混合膜には、液晶表示素子をカ
ラー表示タイプにするため、従来公知の各種二色性色素
を配合することもできる。混合膜を挟着する一対の透明
電極としては、ガラス、プラスチックフィルム〔例えば
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテル
サルホン(PES)〕等の透明支持体の表面にITO
(インジウムチンオキサイド)やSnO2 等の透明導電
膜を蒸着やスパッタリング等で形成したものがあげられ
るほか、通常の液晶表示素子に用いられる透明導電ガラ
スやフィルムがあげられる。
【0047】本発明の液晶表示素子は、従来と同様に、
一方の透明電極上に、前記各成分を溶解した塗布液を塗
布し、乾燥固化させて混合膜を形成した後、この混合膜
上に他方の透明電極を重ね合わせることにより製造でき
るので、製造が容易で、工程数の削減が可能である。上
記塗布液に含まれる各成分の配合割合は、塗布液を透明
電極上に塗布するコート方法の種類や形成される混合膜
の膜厚に応じて、適宜決定することができる。
【0048】上記塗布液を透明電極上に塗布するには、
バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ロ
ーラコート法等の従来公知のコート法がいずれも採用可
能である。また本発明の液晶表示素子は、前記各成分
と、ガラス、セラミックス、プラスチック等からなるス
ペーサとを溶媒中に溶解した後、溶媒を乾燥除去してペ
ースト状の液晶混合物1を作製し、これを図1に示すよ
うに、一対の透明電極2,2で挟んでラミネートロール
R,Rでラミネート処理しても、製造することができ
る。なお図において符号Sはスペーサを示している。
【0049】
【実施例】高分子液晶/低分子液晶混合膜の構造確認 下記式(11):
【0050】
【化9】
【0051】で表される繰り返し単位を有する液晶性高
分子と、下記式(12):
【0052】
【化10】
【0053】で表される低分子の液晶材料とを、重量比
で0:100、20:80、40:60、60:40、
80:20、100:0の割合で適当な溶媒に溶解して
塗布液を作製し、この塗布液を基材上にバーコート法に
より塗布し、室温で30分間乾燥させて混合膜を形成し
た。そして、それぞれの混合膜の組織を偏光顕微鏡にて
観察したところ、いずれのものも、全面に亘ってスメク
チック相を示す同一の扇状組織が観察された。
【0054】また、上記各混合膜を、ホットステージを
組み合わせた偏光顕微鏡と、DSCとを用いて観察しつ
つ、相が変化する温度を求めたところ、図2に示すよう
に、液晶相が連続的に変化することがわかった。液晶性
高分子と低分子の液晶材料とが、特表平2−50396
3号公報に開示された光変調物質のように相分離してい
れば、上記のように全面に亘って同一の扇状組織が観察
されることはなく、また、液晶相が連続的に変化するこ
ともないので、以上の結果より、梶山らの高分子液晶/
低分子液晶混合膜は、上記光変調物質とは違い、均一構
造を有することが確認された。
【0055】さらに、上記式(11)で表される繰り返し単
位を有する液晶性高分子と、市販の低分子の液晶材料
(混合スメクチック液晶、メルク社製の商品名S2)と
を、重量比で0:100、20:80、30:70、4
0:60、50:50の割合で適当な溶媒に溶解して塗
布液を作製し、この塗布液を透明導電フィルム(ITO
─PES、膜厚み100μm)上にバーコート法により
塗布し、室温で30分間乾燥させて膜厚10μmの混合
膜を形成した後、当該混合膜上にもう一枚の上記透明導
電フィルムを積層して液晶表示素子を作製した。
【0056】そして、透明状態の各液晶表示素子に、H
e−Neレーザ光(波長633nm)を照射しつつ、室
温下、0.01Hzの交流(60V)を印加し、He−
Neレーザ光の透過率が90%から10%に達するまで
の時間を計測して、透明から白濁への応答時間を求めた
ところ、図3に示すように、液晶性高分子の含有割合が
少なくなるほど白濁化の応答速度が遅くなり、液晶性高
分子の含有割合20重量%以下では白濁化しなくなるこ
とがわかった。
【0057】このことから、梶山らの高分子液晶/低分
子液晶混合膜においては、クロスランドらの液晶表示素
子と違い、液晶性高分子が必須の成分であること、配向
処理を必要としないことが確認された。以上の事実は、
少なくとも一部を架橋させた側鎖型液晶性高分子を使用
して高分子液晶/低分子液晶混合膜を形成する本発明に
もあてはまることである。
【0058】実施例1 下記式(13):
【0059】
【化11】
【0060】で表される繰り返し単位を有するポリ(ヒ
ドロメチルシロキサン)と、このポリ(ヒドロメチルシ
ロキサン)中のSi−H結合の75%当量の、下記式(1
4):
【0061】
【化12】
【0062】で表される化合物とから、ヒドロシリル化
反応により、側鎖型液晶性高分子としてのポリ(4−メ
トキシフェニル−4′−ヘキシロキシベンゾエートメチ
ルシロキサン)[側鎖液晶基のグラフト率G=75%]
を合成した後、100℃で24時間熱処理して、残存Si
−H基を架橋させた。つぎに、この側鎖型液晶性高分子
27.3重量部と下記の各成分とを、アセトンとジクロ
ロエタンの混合溶媒(重量比50:50)に溶解させ
て、塗布液を得た。この塗布液を透明導電フィルム(I
TO─PES、膜厚み100μm)上にバーコート法に
より塗布し、室温で30分間乾燥させて混合膜を形成し
た後、当該混合膜上にもう一枚の上記透明導電フィルム
を積層して、液晶表示素子を作製した。
【0063】 低分子の液晶材料: 4−n−ブチルベンゾイックアシッド−4′−オクチロキシフェニルエステル …27.3重量部 E63(メルクジャパン社製) …50重量部 電解質:テトラエチルアンモニウムブロミド…両液晶の
総量に対して0.05重量%実施例2 式(14)で表される化合物の仕込み量を、ポリ(ヒドロメ
チルシロキサン)中のSi−H結合の50%当量としたこ
と以外は、上記実施例1と同様にして側鎖型液晶性高分
子としてのポリ(4−メトキシフェニル−4′−ヘキシ
ロキシベンゾエートメチルシロキサン)[側鎖液晶基の
グラフト率G=50%]を合成した後、100℃で24
時間熱処理して、残存Si−H基を架橋させた。
【0064】そして、この側鎖型液晶性高分子を使用し
て、上記実施例1と同様にして液晶表示素子を作製し
た。比較例1 式(14)で表される化合物の仕込み量を、ポリ(ヒドロメ
チルシロキサン)中のSi−H結合の100%当量とした
こと以外は、上記実施例1と同様にして側鎖型液晶性高
分子としてのポリ(4−メトキシフェニル−4′−ヘキ
シロキシベンゾエートメチルシロキサン)[側鎖液晶基
のグラフト率G=100%]を合成した。
【0065】そして、この側鎖型液晶性高分子を使用し
て、上記実施例1と同様にして液晶表示素子を作製し
た。比較例2 側鎖型液晶性高分子を20重量部使用したこと以外は、
上記比較例1と同様にして液晶表示素子を作製した。
【0066】上記各実施例、比較例で得た液晶表示素子
について、以下の各試験を行った。応答性試験 各実施例、比較例で得た液晶表示素子に、He−Neレ
ーザ光(波長633nm)を照射しつつ、室温下、1k
Hzの交流(60V)を印加し、He−Neレーザ光の
透過率が10%から90%に達するまでの時間を計測し
て、白濁から透明への応答時間とした。また、同様にし
て、室温下、直流(60V)を印加し、He−Neレー
ザ光の透過率が90%から10%に達するまでの時間を
計測して、透明から白濁への応答時間とした。
【0067】架橋状態の評価 各実施例、比較例で使用した液晶性高分子の重量平均分
子量(MW )を測定することで評価した。分子量測定は
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ−によるポリス
チレン換算法にて行った。しきい電圧値の測定 あらかじめ白濁状態にした液晶素子に、1kHzの交流
電圧を40秒間印加した際、He−Neレーザーにより
測定した光透過率が変化しない電圧をしきい電圧値とし
た。
【0068】以上の結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】上記表1の結果より、架橋しない従来の液
晶性高分子を使用した比較例1,2は、いずれも、透明
→白濁、白濁→透明の応答速度が遅く、かつしきい電圧
値が低いことがわかった。これに対し、液晶性高分子を
架橋させて平均分子量を大きくした実施例1,2の液晶
表示素子は、いずれも透明→白濁および白濁→透明の応
答速度が速く、かつしきい電圧値が高いことが判明し
た。
【0071】実施例3 式(14)で表される化合物に代えて、下記式(15):
【0072】
【化13】
【0073】で表される化合物を使用したこと以外は、
前記実施例2と同様にして側鎖型液晶性高分子としての
ポリ(4−シアノフェニル−4′−ヘキシロキシベンゾ
エートメチルシロキサン)[側鎖液晶基のグラフト率G
=50%]を合成した後、100℃で24時間熱処理し
て、残存Si−H基を架橋させた。そして、この側鎖型液
晶性高分子を使用して、実施例2と同様にして液晶表示
素子を作製した。
【0074】実施例4 式(14)で表される化合物に代えて、下記式(16):
【0075】
【化14】
【0076】で表される化合物を使用したこと以外は、
前記実施例2と同様にして側鎖型液晶性高分子としての
ポリ(4−シアノ−4′−ヘキシロキシビフェニルメチ
ルシロキサン)[側鎖液晶基のグラフト率G=50%]
を合成した後、100℃で24時間熱処理して、残存Si
−H基を架橋させた。そして、この側鎖型液晶性高分子
を使用して、実施例2と同様にして液晶表示素子を作製
した。
【0077】実施例5 下記式(17)で表されるヒドロメチルシロキサンとジメチ
ルシロキサンの共重合体:
【0078】
【化15】
【0079】(式中x,yから、下記数式
【0080】
【数2】
【0081】で求められるヒドロメチルシロキサンの含
有割合H(%)は82〜85%)と、この共重合体中の
Si−H結合の75%当量の、前記式(14)で表される化合
物とから、ヒドロシリル化反応により、4−メトキシフ
ェニル−4′−ヘキシロキシベンゾエートメチルシロキ
サンとジメチルシロキサンとヒドロメチルシロキサンと
の共重合体に相当する側鎖型液晶性高分子[側鎖液晶基
のグラフト率G=61.5〜63.75%]を合成した
後、100℃で24時間熱処理して、残存Si−H基を架
橋させた。
【0082】そして、この側鎖型液晶性高分子を使用し
て、前記実施例1と同様にして液晶表示素子を作製し
た。実施例6 前記実施例1で合成した架橋前の側鎖型液晶性高分子
に、当該高分子中に残存するSi−H結合と当量の、下記
式(18)で表される2官能の架橋剤を添加し、熱処理し
て、残存Si−H基を架橋させた。
【0083】
【化16】
【0084】そして、この側鎖型液晶性高分子を使用し
て、実施例1と同様にして液晶表示素子を作製した。上
記各実施例で得た液晶表示素子について、前記応答性試
験を行った。結果を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】上記表2の実施例3,4の結果を前記実施
例1,2の結果と比較すると、液晶性高分子のグラフト
率が同じであれば、側鎖液晶基の種類を変更しても、同
程度の応答性を有する液晶表示素子が得られることが判
った。また実施例5の結果より、側鎖型液晶性高分子の
主鎖中に側鎖液晶基が結合していない繰り返し単位を導
入して、側鎖液晶基のグラフト率Gを低下させた液晶性
高分子を架橋させると、単に液晶性高分子を架橋させた
場合より応答性が向上することが判った。さらに実施例
6の結果より、架橋剤を用いて液晶性高分子を架橋させ
ても、ほぼ同程度の応答性を有する液晶表示素子が得ら
れることが判った。
【0087】架橋構造の評価 前記式(13)で表される繰り返し単位8個からなるポリ
(ヒドロメチルシロキサン)と、このポリ(ヒドロメチ
ルシロキサン)中のSi−H結合の100%当量、75%
当量、50%当量、25%当量の、前記式(14)で表され
る化合物とから、ヒドロシリル化反応により、それぞれ
グラフト率100%、75%、50%、25%のポリ
(4−メトキシフェニル−4′−ヘキシロキシベンゾエ
ートメチルシロキサン)を合成した後、100℃で24
時間熱処理した。
【0088】そして、ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィ−によるポリスチレン換算法にて、熱処理後の高
分子の平均分子量を測定した。結果を、各高分子の未架
橋状態における分子量の理論値と併せて図4に示す。図
4の結果より、グラフト率100%、75%、50%の
高分子は、いずれも、平均分子量の実測値が、未架橋状
態における分子量の理論値より高くなっており、架橋し
ていることが確認された。またグラフト率25%のもの
はゲル化してしまい、平均分子量を測定できなかった
が、ゲル化したという事実から、やはり架橋しているこ
とが確認された。
【0089】さらにグラフト率25%の高分子がゲル化
したことと、図4に示すように、グラフト率が低い高分
子ほど、平均分子量の増加量が大きいことから、グラフ
ト率が低い高分子ほど架橋度が高くなることも判った。
【0090】
【発明の効果】以上のように本発明の液晶表示素子は、
高分子液晶/低分子液晶混合膜を構成する側鎖型液晶性
高分子として、側鎖液晶基が結合した繰り返し単位と、
側鎖液晶基が結合していない繰り返し単位とからなり、
その少なくとも一部が架橋した側鎖型液晶性高分子を使
用したので、混合膜中における低分子の液晶材料の比率
を多くしなくても、透明→白濁および白濁→透明の応答
速度をいずれも速くすることができる。さらに上記混合
膜はしきい電圧も高く、自己支持性にもすぐれており、
マトリックス駆動に効果的な液晶表示素子である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子を、ラミネートロールを
用いたラミネート法により製造している状態を示す図で
ある。
【図2】高分子液晶/低分子液晶混合膜における、低分
子の液晶材料の含有割合と、液晶相の転移温度との関係
を示すグラフである。
【図3】高分子液晶/低分子液晶混合膜における、液晶
性高分子の含有割合と、この混合膜を備えた素子に電圧
を印加した際に、透明状態の混合膜が白濁化するのに要
する応答時間との関係を示すグラフである。
【図4】側鎖型液晶性高分子における側鎖液晶基のグラ
フト率と、平均分子量(理論値、実測値)との関係を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高田 憲作 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 原 浩二 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】側鎖液晶基が結合した繰り返し単位と、側
    鎖液晶基が結合していない繰り返し単位とからなり、そ
    の少なくとも一部が架橋した側鎖型液晶性高分子と、低
    分子の液晶材料と、電解質とを含有する混合膜を、一対
    の透明電極で挟着したことを特徴とする液晶表示素子。
JP27205892A 1991-12-11 1992-10-09 液晶表示素子 Pending JPH05216014A (ja)

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JP3-327725 1991-12-11
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6977704B2 (en) 2001-03-30 2005-12-20 Fujitsu Display Technologies Corporation Liquid crystal display
JP2013522418A (ja) * 2010-03-15 2013-06-13 ケンブリッジ・エンタープライズ・リミテッド スメクチックa光学素子のための液晶配合および構造

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US7499132B2 (en) 2001-03-30 2009-03-03 Sharp Kabushiki Kaisha Liquid crystal display
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US8797485B2 (en) 2001-03-30 2014-08-05 Sharp Kabushiki Kaisha Liquid crystal display
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