JPH05215277A - 形状記憶合金製パイプ用継手とその製造方法 - Google Patents

形状記憶合金製パイプ用継手とその製造方法

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JPH05215277A
JPH05215277A JP6433191A JP6433191A JPH05215277A JP H05215277 A JPH05215277 A JP H05215277A JP 6433191 A JP6433191 A JP 6433191A JP 6433191 A JP6433191 A JP 6433191A JP H05215277 A JPH05215277 A JP H05215277A
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pipe
shape memory
memory alloy
joint
cylinder
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JP6433191A
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Tadakatsu Maruyama
忠克 丸山
Hiroyuki Tanahashi
浩之 棚橋
Yoshiaki Asai
芳明 浅井
Takahiko Mio
堯彦 三尾
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Awaji Sangyo KK
Nippon Steel Corp
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Awaji Sangyo KK
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】実際の配管施工作業に当って、締結するパイプ
にマーキングをして作業者が確認するという配慮をしな
くても、適正な差し込み深さが確保される信頼性の高い
配管施工作業の行える形状記憶合金製パイプ用継手とそ
の製造法の提供。 【構成】形状記憶合金製継手の円筒の中央部内面に円筒
にわたる凹部を設け、この凹部にパイプ当て止め具を装
着することによって、配管施工時に継手端部から差し込
まれたパイプがこの当て止め具に突き当たることによっ
て、必要以上に深く差し込まれることがないようにし
た。またこの当て止め具は弾力性のある素材で作られて
継手製造工程中の最終の拡管の後に装着することができ
るので、拡管作業に障害を与えることがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種の配管におけるパ
イプとパイプ間の結合に用いることのできる形状記憶合
金製のパイプ継手に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に配管においては、継手の持つ重要
性はパイプ本体に劣らぬほど大きいとされている。パイ
プ自身がいかに優れた特性を有していても、継手の特性
例えば耐食性が悪ければ、配管系全体としての寿命は継
手によって決まってしまうことになる。また配管におい
て使用する継手の数は非常に多いのが普通であるから、
継手の作業性が悪ければ配管作業自体の能率も著しく低
いものとならざるを得ない。
【0003】また最近では、いかに特性の良い継手であ
っても、作業に熟練を要する高度な技能の必要なもの
は、熟練作業員確保の点で敬遠される傾向にある。すな
わち継手に要求されるのは、使用する配管用パイプの性
能を低下させることの無い優れた性能を持ち、しかも作
業に熟練のいらない単純な手段で締め込みが可能なこと
である。
【0004】このような観点から注目されているのが形
状記憶合金の形状回復特性を利用した継手である。形状
記憶合金は、ある臨界温度以下で加工を加えた後に、必
要な温度に加熱することによって元の形状に戻るという
特性を持っている。従ってこの合金で円筒状の継手を作
り、あらかじめ臨界温度以下で一定量の拡管処理をした
後にパイプを差し込んで加熱するだけで、パイプを固定
し結合することが出来る訳である。
【0005】現場作業としては比較的低い温度に加熱す
るか、合金の特性によって拡管処理を室温以下の低温で
実施しておいて、室温での配管作業中に自然に締め込み
が完了するというような使い方の出来るものもある。し
たがって配管作業自体は熟練の要らない単純な作業とな
るので、形状記憶合金継手の課題は、この作業によって
形成される継手の強度確保や継手部での漏れの防止等、
継手に要求される特性が確実に得られるかどうかという
ことになる。これまでに形状記憶合金を使った継手とし
て提案されている非常に多くの例も、ほとんどがこの点
に工夫を凝らした物となっている。
【0006】形状記憶合金を継手に使用した具体的な例
としては、形状記憶合金継手の内表面に突起をつけてパ
イプ外表面へ咬み込ませるようにした方法に、特公昭5
4−4898号公報、特開昭54−148960号公報
等がある。また、形状記憶合金継手とパイプの間に平滑
もしくは内側に突起のついたスリーブを挿入し、形状記
憶合金継手はこのスリーブを介してパイプを締め込む方
法として、特開昭59−93241号公報が、またゴム
等のシール材に対して変形を与えることによって間接的
にパイプに対する締め付け力を作用させることを狙った
実開昭59−191488号公報等も知られている。
【0007】ところでこの種の継手を実際に使用する上
で問題となるのが、締結するパイプが継手の中に完全に
差し込まれた状態で締結されるかどうかという点であ
る。形状記憶合金製のパイプ用継手がその機能を十分に
発揮するためには、継手の円筒部分にパイプが十分な長
さだけ差し込まれた状態で継手の内径を収縮させること
が必要なことはいうまでもない。実際に既存の継手の場
合にも、継手内面には差し込まれたパイプが突き当たっ
て決まった長さだけ差し込まれて止まるように、継手内
面に当て止めを設けたものが存在する。このような当て
止めを設けることができれば、配管作業時にパイプを当
て止めまで十分に差し込んでから締結を行うことができ
るため、差し込み不十分で不完全な締結に終わってしま
う事態を事前に防止することができるわけである。
【0008】しかしながら形状記憶合金製パイプ用継手
の場合には、継手の製造過程において円筒状の継手を内
側から押し広げて、締結しようとするパイプの外径より
継手内径を大きくするための拡管工程が必須なため、継
手内側に突起を作るのはこの拡管工程をやりにくくする
という問題があった。このためやむを得ず継手内面には
当て止めを作らないか、強いて作る場合には、最終的な
継手として必要な厚みより肉厚の厚い円筒を作ってお
き、拡管処理が終わった後で円筒内面を切削加工して中
央部分に突起を残し、当て止めとすることが必要であっ
た。しかしこの加工は、拡管作業によって加工硬化した
円筒内面を切削することになるため切削工具の摩耗が激
しい上、継手の製造コストを大幅に上昇させるという問
題があった。
【0009】形状記憶合金製パイプ用継手であっても継
手内面側に突起を持たせて、この突起をパイプに食い込
ませて締結力を発生させる種類の継手の場合には、突起
を加工することと同時にパイプ当て止めの加工を行うこ
ことは作業として大きな追加にはならないとも考えられ
る。しかし継手内面に突起を形成すること自体が継手製
造コストを大幅に高めてしまうので、特別な用途を狙っ
た高級継手の場合はともかく、一般配管用の低コスト継
手としてはコストアップにつながる内面への加工は極力
避けたいのが実状であるため、やむを得ず当て止めの無
い継手が使用されていた。
【0010】継手内にパイプ当て止めを持たないパイプ
用継手を使用してパイプを締結する場合には、パイプ端
部の、継手本体の長さの約半分に相当する差し込み代が
確保される位置にマーキングを行い、このマークを目安
にして継手にパイプを差し込むことになる。簡単な作業
ではあるが、継手の数が多くなるとこれだけの単純な作
業でも敬遠され、目分量で適当に差し込みがなされると
いうことにもなりがちである。またマーキングが行われ
てパイプが適正な位置まで差し込まれた場合であって
も、締結の完了するまでに外部から力が加わると簡単に
位置がずれてしまうことから、作業には常に細心の注意
を払うことが必要であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】これまでの形状記憶合
金製パイプ用継手は丸棒等の素材から切削加工によって
円筒状に切り出されることが普通だった。ところが最近
になって加工性が良く薄板状に圧延しやすい形状記憶合
金素材が得られるようになり、これに伴ってパイプ用継
手も薄板を円筒状に成形加工後溶接して作られることも
多くなってきた。
【0012】このようにして能率良くパイプ用継手を製
造する可能性が開けたのに対して、締結するパイプを差
し込んだ時の当て止めを。低コストでかつ能率的に作り
込む方法がこれまでには見あたらなかった。せっかくパ
イプ用継手本体の円筒が薄板から容易に作られるように
なったにもかかわらず、従来通りこの円筒を拡管処理し
た後で内面の切削加工によって当て止め部分を削り出す
のでは、継手の製造コストが押し上げられ、既存の継手
に打ち勝つ競争力をもつことが困難になる。
【0013】このような事情から、締結するパイプの差
し込み代を確保して信頼性の高い配管施工作業が行える
形状記憶合金製パイプ用継手、および前記のパイプ用継
手を製造するための方法を提供することが本発明の目的
である。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、端部から差し
込まれたパイプを、形状回復効果の発現に伴って発生す
る形状記憶合金製円筒の収縮作用によって締結する形状
記憶合金製パイプ用継手であって、差し込まれたパイプ
を締結する円筒の内面に円周にわたる凹部を設け、前記
凹部にパイプの当て止め具を円筒内に若干突出するよう
にはめ込んだことを特徴とする形状記憶合金製パイプ用
継手、ならびに形状記憶合金製の薄板を円筒状に成形し
た後に突合せ部分を溶接する工程を含むパイプ用継手の
製造において、成形前の薄板の面上に、円筒状に成形し
た後で円筒長手方向の中央部分内面側を一周する凹部を
構成するような溝を成形前の薄板の状態で予め加工して
おき、ついで円筒状への成形と溶接およびパイプ用継手
としての内径収縮機能を与えるための熱処理と拡管の組
合せ処理が終わった後で、パイプ当て止め具を前記円筒
内面の凹部に円筒内に若干突出するようにはめ込むこと
を特徴とする形状記憶合金製パイプ用継手の製造方法で
ある。
【0015】ここで形状記憶合金製パイプ用継手本体を
なす円筒部分は、薄板を成形して溶接する工程によって
製造されるものだけでなく、丸棒素材からの削り出しや
熱間押出し等、他の製作手段によることも可能である。
さらにこの継手の内面側に継手のシール性を向上させる
ためのシール剤が塗布されるか、継手の耐食性確保のた
め少なくとも継手内面にメッキが施されているか、さら
には継手の耐食性とシール性を共に確保するためにメッ
キの上にシール剤が塗布されているかのいずれかの処理
がなされていても差し支えない。また本発明に用いる形
状記憶合金の種類は特に限定されないが、一般配管用継
手への応用という狙いに沿うものとして、安価な鉄系や
銅系合金は特に望ましい。
【0016】本発明の継手は図1に概略を示すように、
継手本体の円筒部分1の内部の円周にわたる凹部2に、
円筒とは別に作られて挿入された当て止め具5を備えて
いる。このためパイプへのマーキングは行わなくても、
突き当る処まで継手にパイプを差し込めば、自然に適正
な差し込み長さが確保される。また継手の左右から差し
込まれた両側のパイプに対して、互いに継手に差し込む
方向へのわずかな力を加えぎみにしておくだけで、締結
前の位置ずれが完全に防止される。しかもパイプ当て止
め具は弾力性と耐熱性を有するゴム等の素材によって継
手本体とは別に製作され、拡管工程を経た後の継手製造
の最終段階で、素材の弾力性を利用して当て止め具を変
形させながら継手本体の内部に組み込まれるため、パイ
プ当て止め具の存在が継手製造工程に支障を及ぼすこと
がまったくないという特徴をもっている。
【0017】また弾力性と共に耐熱性が必要なのは、形
状記憶合金製パイプ用継手の締結に当っては一定温度へ
の加熱が行われるからである。加熱されるのは当て止め
具が継手の内部に装着され、しかも施工時にパイプが継
手の中に差し込まれて当て止め具としての機能を発揮し
てから後のことになるので、素材の弾力性が劣化するの
はさして問題ではない。しかし継手締結時の加熱によっ
て燃えたり収縮してしまったりすると、燃えカスや当て
止め具のちぎれた部分が配管内にとどまる心配があるの
で、ある程度の耐熱性が必要となるものである。当て止
め具はリング状である必要のある他はとくに制約はな
く、リングの断面形状も図2に示したような、円形、半
円形、楕円形、半楕円形、矩形、三角形などを、作り易
さとパイプのサイズ(当て止め部にかかる力の大きさ)
を勘案して自由に選ぶことができる。
【0018】形状記憶合金製パイプ用継手の本体をなす
円筒部分の製作は、薄板を曲げ成形して溶接する工程が
低コスト量産向きである。この場合の製造工程の一例を
図3によって説明する。図3(A)において1’は継手本
体を形成する形状記憶合金製薄板である。この薄板に
は、薄板が円筒状に成形された後で内面の凹部となるべ
き溝2’が加工される(図3(B))。次ぎに薄板1’は
図3(C)〜(D)のように曲げ成形された後、突合せ端面
を溶接されて図3(E)となる。3は溶接線である。図3
(F)には溶接後の円筒の一部を切り欠いた状態を示して
あるが、この段階で、始めの薄板1’に加工された溝
2’が円筒1内周を一周する凹部2を形成していること
がわかる。
【0019】次いで図では省略してあるが、形状記憶処
理としての熱処理と円筒を拡管する工程が行われる。円
筒の収縮機能を高めるためのトレーニング処理が必要な
場合は、前記の拡管の前に、予備的な拡管と熱処理を組
合せたトレーニング処理もこの段階で行われる。最後
に、以上の継手本体をなす形状記憶合金製円筒とは別に
製作されたパイプ当て止め具5が円筒の一端から装着さ
れて、本発明の形状記憶合金製パイプ用継手が完成する
(図3(G))。
【0020】なお継手のシール性を補強するためにシー
ル剤を使用する必要のある場合には、シール剤は、円筒
内にパイプ当て止め具を装着する工程の前もしくは後
で、形状記憶合金製円筒の内面に塗布する。この場合、
シール剤は当て止め具の表面に塗布される必要はない
が、工程的に当て止め具の表面にもシール剤が塗布され
てしまうことがあっても実用性能に支障はない。
【0021】また継手の耐食性を確保するためにメッキ
を行う必要のある場合には、パイプ当て止め具を装着す
る前に行う。メッキとシール剤を供用する場合も同様で
ある。シール剤としてはシール性が良好で強度もあり、
さらに継手締結時の加熱に対する耐熱性も具備するステ
ンレスペイントのような物が最も適している。またメッ
キの場合は、メッキ厚が均一で密着性が良く、メッキ時
に合金中へ水素の侵入する心配の少ない化学メッキ法が
適する。
【0022】以上、本発明による形状記憶合金製パイプ
用継手の代表的な製造方法を説明したが、継手本体をな
す形状記憶合金製の円筒部分が薄板から成形されるので
なくて、丸棒からの削り出しや熱間押出し等の他の手段
で作られる場合もあり得る。また薄板を円筒状に成形す
る工程を経るものであっても、拡管量が多くなって円筒
内の凹部の変形が著しい場合には、予め薄板段階で溝を
つけてから円筒に成形する方法が採用しにくくなる。こ
のような場合の円筒内面の凹部の加工は、円筒が出来上
がった後の内面に対して直接行われることになる。しか
しこの場合でも、形状記憶合金製円筒が拡管によって加
工硬化してしまう前の軟らかい状態で加工ができるの
で、拡管後の加工硬化した後で凸部を残すように削り出
す従来の方法と較べればはるかに容易であり、かつ削り
代も少なくてすむ。
【0023】またこのパイプ当て止めが弾力性のある耐
熱ゴム等で製作されることから、パイプの締結時に、継
手本体の両端から差し込まれたパイプに継手の当て止め
具に密着させる方向の力を作用させながら加熱すれば、
形状記憶合金製継手が収縮してパイプを締結する場合
に、継手内でのパイプ先端の突合せ部分が当て止め具に
よってシールされるという使い方も可能となる。配管の
内部に腐食性の強い流体が流れて、継手本体の形状記憶
合金を腐食させる心配のある場合には、このような締結
のしかたが一層有効である。
【0024】
【作用】本発明の継手を使用する配管作業では、施工時
に継手内部に差し込まれるパイプが、継手内部の当て止
め具によって、適正な差し込み長さを越えて差し込まれ
てしまうことが防止される。
【0025】
【実施例】
実施例1 Mn28%、Si6%、Cr5%、を含有する鉄基の形状
記憶合金を熱間圧延で、板厚3mm、幅140mmの薄
板にした。この板から圧延方向の長さが70mmとなる
切り板を作り、長さ70mmの中央部分に幅2mm、深
さ1.5mmの矩形の溝を板幅を横断するようにつけ
た。これを溝のついた面が内側になるようにして圧延直
角方向に丸めて円筒状に成形し、突合せ部分にTIG溶
接を行って継手本体を作製した。次ぎに900℃に加熱
して形状記憶処理を施した後、室温で内径を6%拡管し
た。このようにして造られた形状記憶合金製パイプ用継
手は、パイプを差し込んで300℃に加熱することによ
って、拡管前の細い内径の状態に収縮しようとする力が
発生して、パイプを締結することができる。
【0026】本発明の継手本体には、円筒の内面中央部
に溝が形成されており、この溝は拡管作業によって多少
の変形が加わりはしたが、切り板の状態で加工された際
の幅2mm、深さ1.5mmの形状がほぼ保たれて残っ
ている。そこで拡管作業が終わった後、別に用意したシ
リコンゴム製の当て止め具を継手本体の溝部分に装着し
た。当て止め具の形状はリング状で断面は矩形とし、そ
の外径は継手本体内面中央部の溝底径より0.5mmだ
け小さく、またその内径は継手本体の円筒部分の内径よ
り2mmだけ小さく、さらにリングの幅は1.7mmに
製作した。この継手はSGP規格の32Aサイズ(実外
径42.5mm)のパイプの配管に使用したところ、パ
イプ差し込み深さにバラツキの生じることなく、非熟練
者であっても安定した配管作業が行われた。
【0027】実施例2 Mn16%、Si6%、Cr9%、Ni5%を含有する鉄基
の形状記憶合金を、熱間圧延で、板厚2mm、幅140
mmの薄板にした。この板の中央部分に幅2mm、深さ
1mmの矩形の凹部を切削加工で形成した後に丸めて、
長さが60mm、内径20.2mmの円筒に成形した。
突合せ端面はTIG溶接し、900℃に加熱して形状記
憶処理を施した。
【0028】この継手本体に対して、まず室温で内径を
6%拡管して600℃に加熱するトレーニング処理を施
した後、さらに6%の最終拡管を行った。最終拡管後の
内径は22.2mmとなった。この後、円筒内面にはシ
ール剤としてステンレスペイントを塗布して乾燥させ
た。シール剤の厚みは0.1mmとした。次ぎに継手本
体の円筒の内面中央部の凹溝の中に、シリコンゴム製の
当て止め具を装着した。当て止め具の断面は直径2mm
の円形で、リングの外径は23.5mmとした。
【0029】以上の工程で製造された継手は、ステンレ
スパイプの20−Suサイズ(実外径21.6mm)のパ
イプの配管に使用したところ、配管作業の際のパイプ差
し込みに特別に注意力を集中させる必要がなくなり、楽
な作業で良好な性能の確保できる配管作業が実現でき
た。
【0030】実施例3 実施例2で使用したのと同じ素材の直径30mmの丸棒
から、長さが60mm、内径20.2mm、肉厚3mm
の円筒を削り出しによって製作した。円筒の中心部分の
内面に円周を一周する幅3mm、深さ1.5mmの半円
形の溝を加工した。この継手本体に対して、まず室温で
内径を6%拡管して600℃に加熱するトレーニング処
理を施した後、さらに6%の最終拡管を行った。最終拡
管後の内径は22.2mmとなった。次ぎに継手全体を
酸洗してから、無電解メッキ法でニッケルをメッキし
た。メッキ厚は20μmとした。
【0031】形状記憶合金製パイプ用継手は、形状記憶
合金とパイプ素材との間の異種金属接触腐食が問題とさ
れる場合があり、とくにステンレス配管系統で使用する
場合にはこの点に対する配慮が必要とされている。本実
施例の継手は素材の形状記憶合金部分をメッキによって
被覆することによってこの種の腐食を防止することを狙
ったものである。メッキ後に、バイトン製で断面形状が
直径3mmの円形で、リング外径が23.5mmの当て
止め具を装着した。
【0032】実施例4 Mn20%、Si5%、Cr8%、Ni5%、を含有する鉄
基形状記憶合金を熱間圧延で、板厚2mm、幅140m
mの薄板にした。この板の中央部に幅4mmで深さ1m
mの矩形の凹溝を形成した後に、丸めて長さが60m
m、内径20.2mmの円筒に成形し、突合せ端面をT
IG溶接し、900℃に加熱して形状記憶処理を施し
た。この継手に対して、まず室温で内径を6%拡管して
600℃に加熱するトレーニング処理を加えた後、6%
の最終拡管を行い内径を22.2mmとした。
【0033】次ぎに無電解メッキ法によってニッケルを
10μmの厚みでメッキし、その上にさらにステンレス
ペイントを0.1mmの厚みで塗布した。次ぎにシリコ
ンゴム製でリング直径が23.5mm、断面は幅3.5m
m厚み2mmの矩形の当て止め具を装着した。このメッ
キとステンレスペイントの両方を使用した継手は、耐食
性とシール性がともに優れており、応用範囲の広い継手
として利用できるものであるが、本発明法によって製造
されることによって、施工時に、パイプ差し込み長さに
対して過度の注意力の集中が不要な継手とすることがで
き、実用性を一層高めることができた。
【0034】
【発明の効果】本発明による継手は、締結時のパイプ差
し込み代を確保するための当て止めを簡単な方法で形成
することができ、しかも形状記憶合金製パイプ用継手で
欠くことのできない拡管工程に対して、何等の特別な配
慮を要しないという特徴がある。当て止めを有する継手
は、配管施工者に対して注意力の過度な集中維持を強い
る必要がなくなるため、作業能率と配管の信頼性をとも
に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明による形状記憶合金製パイプ用継手の一例
を示す図、図2はパイプ当て止め具の断面形状の例を示
す図 図3は本発明による形状記憶合金製パイプ用継手の代表
的な製造工程の一例を示す概略図、である。
【符号の説明】
1:形状記憶合金製パイプ用継手本体、 1’:継手本
体に成形される前の形状記憶合金製薄板、 2:継手本
体内の凹部、 2’:継手本体の円筒状に成形された後
で内面の凹部を形成するように加工された薄板上の溝、
3:薄板から円筒状に成形された後の溶接線、 5:
パイプ当て止め具。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅井 芳明 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内 (72)発明者 三尾 堯彦 東京都千代田区神田錦町3−6 共同ビル 淡路産業株式会社東京支社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】端部から差し込まれたパイプを、形状回復
    効果の発現に伴って発生する形状記憶合金製円筒の収縮
    作用によって締結する形状記憶合金製パイプ用継手であ
    って、差し込まれたパイプを締結する円筒の内面に円周
    にわたる凹部を設け、前記凹部にパイプの当て止め具を
    円筒内に若干突出するようにはめ込んだことを特徴とす
    る形状記憶合金製パイプ用継手。
  2. 【請求項2】継手の形状記憶合金製円筒部分の内面にシ
    ール剤が塗布されている請求項1記載の形状記憶合金製
    パイプ用継手。
  3. 【請求項3】継手の形状記憶合金製円筒部分の少なくと
    も内面にメッキが施されている請求項1記載の形状記憶
    合金製パイプ用継手。
  4. 【請求項4】継手の形状記憶合金製円筒部分の少なくと
    も内面にメッキが施されかつ内面側のメッキ上にシール
    剤が塗布されている請求項1記載の形状記憶合金製パイ
    プ用継手。
  5. 【請求項5】形状記憶合金製の薄板を円筒状に成形した
    後に突合せ部分を溶接する工程を含むパイプ用継手の製
    造において、成形前の薄板の面上に、円筒状に成形した
    後で円筒長手方向の中央部分内面側を一周する凹部を構
    成するような溝を成形前の薄板の状態で予め加工してお
    き、ついで円筒状への成形と溶接およびパイプ用継手と
    しての内径収縮機能を与えるための熱処理と拡管の組合
    せ処理が終わった後で、パイプ当て止め具を前記円筒内
    面の凹部に円筒内に若干突出するようにはめ込むことを
    特徴とする形状記憶合金製パイプ用継手の製造方法。
JP6433191A 1991-03-28 1991-03-28 形状記憶合金製パイプ用継手とその製造方法 Withdrawn JPH05215277A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4878096A (en) * 1986-03-28 1989-10-31 Kabushiki Kaisha Toshiba Semiconductor device IC with DMOS using self-aligned back gate region

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US4878096A (en) * 1986-03-28 1989-10-31 Kabushiki Kaisha Toshiba Semiconductor device IC with DMOS using self-aligned back gate region

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